JP2007250822A - 磁性シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透磁率が高くしかも膜厚の厚い磁性層を有する磁性シートの製造方法を提供する。
【解決手段】軟磁性粒子、バインダーおよび揮発性溶剤を含有する磁性塗料を塗布して磁性塗膜を形成する塗布工程と、磁性塗膜に対して配向磁界を印加して軟磁性粒子を配向する配向工程と、軟磁性粒子が配向された磁性塗膜を乾燥させて揮発性溶剤を揮発させる乾燥工程とをベースフィルム3に対して2回繰り返すことにより、ベースフィルム3上に磁性塗膜2a,2bを2重層して磁性シート1の磁性層2を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性粒子およびバインダーを含有する磁性層を有する磁性シートの製造方法に関するものである。
この種の磁性シートの製造方法として、特開2003−243877号公報に開示されている磁性シート(防磁性シート)の製造方法が知られている。この磁性シートの製造方法では、第1工程において、少なくとも一種類の軟磁性粒子と、高分子材料と、揮発性溶剤とからなる液状(ペースト状)の防磁性組成物を作製し、第2工程において、乾燥後の防磁性塗膜厚さが40〜200μmとなるように、作製した防磁性組成物を絶縁性支持体の少なくとも一方の表面に塗布することにより、磁性シートが作製される。
特開2003−243877号公報(第6頁)
ところが、従来のこの種の磁性シートの製造方法には、以下の問題点がある。すなわち、この磁性シートの製造方法では、一回の工程で所望の厚さの防磁性塗膜を絶縁性支持体の少なくとも一方の表面に形成する。このため、防磁性塗膜を乾燥させる工程において、防磁性塗膜の膜厚が薄いときには、防磁性塗膜に含まれている揮発性溶剤が十分に揮発するため、防磁性塗膜内に揮発性溶剤が残存することに起因して発生する空孔の数を低減することができる。しかしながら、防磁性塗膜の膜厚が厚いときには、防磁性塗膜に含まれている揮発性溶剤が揮発しにくいため、防磁性塗膜内に揮発性溶剤が多く残存し、その結果、防磁性塗膜内に残存する空孔の数が増加する。したがって、一回の工程で所望の厚さの防磁性塗膜を形成する従来の磁性シートの製造方法には、空孔の増加に起因して、防磁性塗膜の密度が低下して、実質的な軟磁性粒子の充填割合が低下する結果、透磁率を高めるのが困難であるという問題点が存在する。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、透磁率が高くしかも膜厚の厚い磁性層を有する磁性シートの製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係る磁性シートの製造方法は、軟磁性粒子、バインダーおよび揮発性溶剤を含有する磁性塗料を塗布して磁性塗膜を形成する塗布工程と、前記磁性塗膜に対して配向磁界を印加して前記軟磁性粒子を配向する配向工程と、前記軟磁性粒子が配向された前記磁性塗膜を乾燥させて前記揮発性溶剤を揮発させる乾燥工程とを支持体に対して複数回繰り返すことにより、前記支持体上に前記磁性塗膜を重層して磁性シートの磁性層を形成する。
この場合、前記塗布工程、前記配向工程および前記乾燥工程を複数回繰り返して形成した前記磁性層に対してカレンダー処理を実行することもできる。
また、前記塗布工程、前記配向工程、前記乾燥工程、および当該乾燥工程によって乾燥された前記磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程を複数回繰り返すことにより、前記磁性層を形成することもできる。
また、前記塗布工程、前記配向工程、前記乾燥工程、当該乾燥工程によって乾燥された前記磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程、およびカレンダー処理された前記磁性塗膜を熱硬化させる熱硬化工程を複数回繰り返すことにより、前記磁性層を形成することもできる。
本発明に係る磁性シートの製造方法では、磁性塗膜を形成する塗布工程と、磁性塗膜内の軟磁性粒子を配向する配向工程と、磁性塗膜を乾燥させて揮発性溶剤を揮発させる乾燥工程とを支持体に対して複数回繰り返して、支持体上に磁性塗膜が重層されてなる磁性層を形成する。この場合、一回に形成する磁性塗膜の膜厚を揮発性溶剤が十分に揮発し得る厚みに規定することにより、揮発性溶剤を十分に揮発させつつ各磁性塗膜を重層して所望の厚さの磁性層を形成することができる。したがって、この磁性シートの製造方法によれば、各磁性塗膜中の空孔の数、ひいては磁性層全体に含まれる空孔の数を大幅に低減することができる結果、磁性層の密度を増加させて、その透磁率を高めることができる。したがって、透磁率が高くしかも膜厚の厚い磁性層を有する磁性シートを製造することができる。
また、本発明に係る磁性シートの製造方法によれば、塗布工程、配向工程および乾燥工程を複数回繰り返して形成した磁性層に対して、カレンダー処理を実行することにより、カレンダー処理を実行するカレンダー工程の回数を1回として磁性シートの製造工程を簡略化しつつ、この磁性層中に残存している空孔をさらに減少させて、より透磁率の高い磁性層を有する磁性シートを製造することができる。
また、本発明に係る磁性シートの製造方法によれば、塗布工程、配向工程、乾燥工程、およびこの乾燥工程によって乾燥された磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程をそれぞれ実行することにより、各磁性塗膜中に残存している空孔を一層減少させることができる。このため、磁性層全体の空孔も一層減少させることができ、これにより、一層透磁率の高い磁性層を有する磁性シートを製造することができる。
また、本発明に係る磁性シートの製造方法によれば、塗布工程、配向工程、乾燥工程、この乾燥工程によって乾燥された磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程、およびカレンダー処理された磁性塗膜を熱硬化させる熱硬化工程を複数回繰り返すことにより、カレンダー工程および熱硬化工程において硬化され、かつ表面が平坦化された磁性塗膜上に上層の磁性塗膜を形成することができる。したがって、下層の磁性塗膜を構成する塗料と、その表面に形成された上層の磁性塗膜を構成する塗料とが混ざり合う事態を回避できるため、面荒れを効果的に防止することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る磁性シートの最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係る磁性シート1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す磁性シート1は、磁性層2がベースフィルム(非磁性支持体)3の少なくとも一方の面(本例では、同図に示すように上面)上に形成されて構成されている。
(ベースフィルム)
ベースフィルム3として用いる支持体には特に制限はなく、目的に応じて公知の絶縁性材料で形成された支持体を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、アラミド、芳香族ポリアミド等の樹脂材料で形成された絶縁性支持体(絶縁フィルム)を用いることができる。また、ベースフィルム3は、通常、その厚みが3μm〜100μmの範囲内に設定される。また、ベースフィルム3は、長尺な帯状(テープ状)、シート状、カード状、ディスク状等、各種の平面視形状に形成することができる。
(磁性層)
磁性層2は、複数(図1では一例として2つ)の磁性塗膜2a,2bを重層して形成されている。各磁性塗膜2a,2bは、バインダーおよび少なくとも一種類の軟磁性粒子を含有する。この場合、軟磁性粒子としては、一般的に、透磁率が大きく、かつ保磁力Hcの小さな(例えば約790A/m(10エルステッド)以下の)磁性材料が好ましい。このような軟磁性粒子としては、例えば、フェライトなどが挙げられるが、軟磁性合金または軟磁性アモルファス合金として分類される合金系軟磁性粒子なども好ましい。この場合、上記した軟磁性粒子を1種類用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
磁性層2用のバインダー(結合剤)としては、磁性シート1の目的とする用途に応じた強度、耐熱性、成形性、難燃性、柔軟性などの特性を有するバインダーを適宜選択して用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂やこれらの混合物がバインダーとして用いられる。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、これらポリマー以外に、モノマー、オリゴマーも用いることができる。
また、バインダーの配合比は、軟磁性粒子100重量部に対し、好ましくは8重量部以上22重量部以下の範囲内に、特に好ましくは8重量部以上18重量部以下の範囲内に設定される。なお、結合剤としてポリカーボネートポリウレタン樹脂を用いることにより、乾燥工程において揮発性溶剤を揮発させた際に、磁性層2に発生する空孔の数を軽減することができ、しかも、その後のカレンダー処理において、発生した空孔を減少させることができる。この結果、磁性層2、ひいては磁性シート1の密度を高めて透磁率を向上させることができる。この場合、バインダーの配合比が少なすぎると、磁性層2の塗膜強度が低下し、他方、バインダーの含有量が多すぎると、軟磁性粒子の含有量が低下して、磁性層2の透磁率が低下する。
磁性層2(磁性塗膜2a,2b)を形成するための磁性塗料の調整に際しては揮発性溶剤を用いるが、このような揮発性溶剤としては、例えば、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール系溶剤の他、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
磁性層2を形成するための磁性塗料は、公知の方法で、上記各成分に上記揮発性溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行うことにより調製される。一例として、磁性層2を形成するための磁性塗料は、上記の軟磁性粒子およびバインダーに、揮発性溶剤として例えばメチルエチルケトンおよびトルエンを軟磁性粒子100重量部に対して25重量部ずつ投入して十分に混練し、その後に、さらにメチルエチルケトンおよびトルエンを軟磁性粒子100重量部に対して50重量部ずつ追加投入して十分に混練を行うことで調整する。この場合、軟磁性粒子を揮発性溶剤およびバインダーと混練し、これらを均一に分散させる方法としては、ニーダー、ボールミル、ロールミル、ジェットミルなどを使用して行う方法を採用することができる。
また、磁性層2中には、必要に応じて、分散剤、安定剤、滑剤、充填剤、増量剤、可塑剤、架橋剤、硬化剤、老化防止剤、加硫促進剤、難燃性材料などの各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤は、例えば、上記方法で作製した磁性塗料に添加および混合する。この場合、硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物、具体的には、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。これにより、磁性シート1の製造後における膨張率を低下させることができる。市販品の具体例としては、例えば、コロネート2030(日本ポリウレタン社製)などが挙げられる。
(磁性シート1の製造)
上記のようにして調製された磁性塗料を用いて、塗布、配向、乾燥、カレンダーおよび硬化等することにより、磁性層2をベースフィルム3上に形成して、図1に示す磁性シート1を製造する。
具体的には、まず、塗布工程を実行することにより、ベースフィルム3の一方の面上に調製された磁性塗料を塗布して、未硬化の磁性塗膜2aを形成する。この場合、磁性塗料の塗布に際しては、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布などの公知の塗布方法を用いることができる。次いで、配向工程を実行することにより、未硬化の磁性塗膜2aに対して配向磁界を印加して軟磁性粒子を配向する。続いて、乾燥工程を実行することにより、磁性塗膜2aを乾燥させる。この乾燥工程では、例えば、磁性塗膜2aを60℃雰囲気内で乾燥させて、磁性塗膜2a内の揮発性溶剤を揮発させる。
次いで、上記の一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を再度実行することにより、調製された磁性塗料(磁性塗膜2a形成のときと同じ磁性塗料)を用いて、磁性塗膜2a上に磁性塗膜2bを形成する。これにより、磁性塗膜2aおよび磁性塗膜2bで構成される磁性層2がベースフィルム3の一方の面上に形成される。この場合、一回に形成する磁性塗膜2a,2bの各膜厚を、磁性塗膜2a,2bの内部に含まれている揮発性溶剤が十分に揮発し得る厚みとする。これにより、各磁性塗膜2a,2bに含まれている揮発性溶剤が十分に揮発するため、揮発性溶剤の残存に起因して発生する空孔の数が大幅に低減された状態で膜厚の厚い磁性層2が形成される。
その後に、カレンダー工程を実行して、加熱状態の磁性層2に対して金属ロールによりカレンダー処理を行い、磁性層2の厚みを所望の厚みに形成する。この際に、磁性層2に対して垂直な方向(厚み方向)に圧力を加えることにより、磁性層2に残存している空孔を減少させて、磁性層2およびベースフィルム3全体の密度(具体的には磁性層2の密度)を高めると共に、軟磁性粒子の配向性を改善することができる。
次いで、カレンダー処理を完了した磁性層2およびベースフィルム3(磁性シート1の原反)を巻取りロールに巻き取る。最後に、巻き取った状態の磁性シート1の原反に対して、60℃雰囲気内で24時間放置する熱硬化処理(本発明における熱硬化工程)を行い、磁性シート1の作製が完了する。
このように、この磁性シートの製造方法によれば、磁性塗膜2a,2bを形成する塗布工程と、磁性塗膜2a,2b内の軟磁性粒子を配向する配向工程と、磁性塗膜2a,2bを乾燥させて揮発性溶剤を揮発させる乾燥工程とをベースフィルム3に対して複数回(本例では2回)繰り返して、ベースフィルム3上に磁性塗膜2a,2bを重層して磁性層2を形成することにより、一回に形成する磁性塗膜2a,2bの各膜厚を揮発性溶剤が十分に揮発し得る厚み(例えば50μm以下の厚み)とすることにより、揮発性溶剤を十分に揮発させつつ所望の厚みに磁性層2を形成して磁性シート1を製造することができる。このため、磁性層2全体についても揮発性溶剤を十分に揮発させることができ、これにより、磁性層2中の空孔の数を大幅に低減することができる。したがって、磁性層2の密度を増加させることができるため、磁性層2の膜厚を厚くしつつ、磁性層2の透磁率、つまり磁性シート1の透磁率を高めることができる。また、この磁性シート1の透磁率が高いため、例えば電子機器の輻射ノイズ対策等に、電波干渉防止材や電波吸収体として好適に使用することができる。また、RFIDタグの安定動作に不可欠である搬送波(磁界)収束部材としても好適に用いることができる。
なお、2つの磁性塗膜2a,2bで磁性層2を形成した例について上記したが、上記の一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を3回以上繰り返すことにより、3重層以上の磁性層2をベースフィルム3上に形成することができるのは勿論である。例えば、この一連の工程を3回繰り返すことにより、図5に示すように、ベースフィルム3上に磁性塗膜2a,2b,2cを重層して、膜厚のより厚い磁性層2が形成された磁性シート1Aを製造することができる。また、この一連の工程を4回繰り返すことにより、図6に示すように、ベースフィルム3上に磁性塗膜2a,2b,2c,2dを重層して、膜厚の一層厚い磁性層2が形成された磁性シート1Bを製造することができる。
また、磁性層2がベースフィルム3上に一体的に形成された磁性シート1,1A,1Bについて上記したが、図7に示すように、ベースフィルム3の表面に剥離層12が形成されたフィルム13を使用し、この剥離層12の表面に磁性層2を形成して磁性シート11を構成することもできる。この場合、磁性層2は、フィルム13から剥離して単体でも用いられるため、本発明における磁性シートとして機能する。なお、図7では、磁性シート1と同様にして、磁性層2を2つの磁性塗膜2a,2bで形成した例について説明したため、磁性シート1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、図示はしないが、図5に示す磁性シート1A(3つ磁性塗膜2a,2b,2c)や、図6に示す磁性シート1B(4つ磁性塗膜2a,2b,2c,2d)の各ベースフィルム3に代えてフィルム13を用いることにより、上記の磁性シート11と同様にして、磁性層2をフィルム13から剥離可能な磁性シートを作製することもできる。
また、磁性塗膜を形成する一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を複数回行った後に、カレンダー工程を1回行うことで、カレンダー処理の回数を最小限にして製造工程を簡略化した磁性シートの製造方法について上記したが、一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)中にカレンダー工程を含めて、一つの磁性塗膜を形成する都度、カレンダー処理を実行することもできる。この磁性シートの製造方法によれば、工程が増加するものの、磁性塗膜に残存している空孔を一層減少させることができる。このため、磁性層2全体の空孔も一層減少させることができ、これにより、一層透磁率の高い磁性層2を有する磁性シートを製造することができる。
また、一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)中にカレンダー工程を含める上記の製造方法において、この一連の工程にさらに熱硬化工程を含めて、カレンダー工程後にこの熱硬化工程を実行することもできる。この磁性シートの製造方法によれば、塗布工程、配向工程、乾燥工程、カレンダー工程および熱硬化工程を一連の工程として複数回実行することにより、工程がさらに増加するものの、一つの磁性塗膜を形成する度にカレンダー処理を行うことによって磁性層2の透磁率を一層高めつつ、カレンダー工程および熱硬化工程において硬化され、しかも表面が平坦化された磁性塗膜上に、次の(上層の)磁性塗膜を形成することができる。したがって、下層の磁性塗膜を構成する塗料と、その表面に形成された上層の磁性塗膜を構成する塗料とが混ざり合う事態を回避できるため、面荒れを効果的に防止することができる。
次に、実施例を挙げて本発明に係る磁性シート1について詳細に説明する。
[軟磁性粒子の製造例]
水アトマイズ法により、合金粒子(Fe/Si/Cr=75/24/1(原子比))を作製し、次いで、媒体撹拌ミルにより、合金粒子を扁平化する。続いて、熱処理を施して、扁平状軟磁性合金粒子からなる軟磁性粒子を得た。媒体撹拌ミルによる扁平化は、扁平状軟磁性合金粒子の重量平均粒径D50が25μmとなるまで行った。重量平均粒径D50は、光散乱を使用した粒度分析計によって測定した。熱処理は、0.1体積%〜1体積%の酸素を含む窒素雰囲気中にて、350℃で20分間から1時間行った。なお、分析型走査型電子顕微鏡で測定したところ、軟磁性粒子の平均厚さは、0.1μm〜1.0μmであった。
[実施例1]
(磁性塗料の調製)
軟磁性粒子(上記製造例で製造したもの) 100重量部
(Fe/Si/Cr=75/24/1(原子比)、Hc:490A/m、厚み:0.1μm〜1.0μm、D50:25μm)
バインダー(結合剤) ポリカーボネートポリウレタン樹脂 18重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:N5230、粘度:8000〜18000cp/25℃、Tg:−33℃)
揮発性溶剤 メチルエチルケトン 25重量部
揮発性溶剤 トルエン 25重量部
上記の各材料をニーダーで混練した後、揮発性溶剤としてメチルエチルケトンおよびトルエンをさらに50重量部ずつ投入して混練を行い、最後に、硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:コロネート2030)を2重量部、添加および混合して、磁性塗料を作製した。なお、上記したバインダー、各揮発性溶剤および硬化剤の各配合比は、軟磁性粒子の配合量を100としたときの数値で示したものである。
(磁性層形成工程)
25μm厚のPET製のベースフィルム3の一方の面上に、ブレード塗布方式により、カレンダー加工後の厚みが50μmとなるように磁性塗料を塗布して磁性塗膜2aを形成し、次いで、磁性塗膜2aに配向磁界を印加して配向を行い、続いて、60℃雰囲気内で磁性塗膜2aを乾燥させた。続いて、これら一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を再度実行して、磁性塗膜2a上に磁性塗膜2bをカレンダー加工後の厚みが10μmとなるように形成した。
その後に、金属ロールを用いたカレンダーによって、ニップ数1回で加工を行い、膜厚が60μmの磁性層2を形成した。
以上のようにして得られた磁性シート1の原反を、巻取りロールに巻き取った状態で、60℃で24時間熱硬化させ、この磁性シート1を以下の各評価で規定されている形状に裁断することにより、磁性シートのサンプルを作製した。
[実施例2〜5]
また、上記したカレンダー加工後の磁性塗膜2a,2bの各厚みが図2に示す厚みとなるように磁性塗料を塗布して、同図に示す膜厚の磁性層2を形成した以外は、上記した実施例1と同様にして、磁性シート1を作製し、この磁性シート1を以下の各評価で規定されている形状に裁断することにより、実施例2〜5としての磁性シートのサンプルを作製した。
[実施例6]
また、上記した磁性層2の形成工程において、カレンダー加工後の磁性塗膜2bの厚みが50μmとなるように磁性塗料を塗布し、かつ磁性塗膜2bに対する乾燥工程の実行後に、上記の一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を再度実行して、図5に示すように、磁性塗膜2b上に磁性塗膜2cをカレンダー加工後の厚みが50μmとなるように形成した以外は、上記した実施例1と同様にして、磁性層2の膜厚が150μmの磁性シート1Aを作製し、この磁性シート1Aを以下の各評価で規定されている形状に裁断することにより、実施例6としての磁性シートのサンプルを作製した。
[実施例7]
また、上記した磁性層2の形成工程において、カレンダー加工後の磁性塗膜2bの厚みが50μmとなるように磁性塗料を塗布し、かつ磁性塗膜2bに対する乾燥工程の実行後に、上記の一連の工程(塗布工程、配向工程および乾燥工程)を2回実行して、図6に示すように、磁性塗膜2b上に、磁性塗膜2cおよび磁性塗膜2dをカレンダー加工後の各厚みが50μmとなるように重層した以外は、上記した実施例1と同様にして、磁性層2の膜厚が200μmの磁性シート1Bを作製し、この磁性シート1Bを以下の各評価で規定されている形状に裁断することにより、実施例7としての磁性シートのサンプルを作製した。
[比較例1〜7]
また、上記した磁性層2の形成工程において、ベースフィルム3の一方の面上に、ブレード塗布方式により、カレンダー加工後の厚みが図2に示す厚みとなるように、磁性塗料を塗布して、図8に示すように、単層で磁性層2を形成した以外は、上記した実施例1と同様にして、磁性シート1Cを作製し、この磁性シート1Cを以下の各評価で規定されている形状に裁断することにより、比較例1〜7としての磁性シートのサンプルを作製した。
[磁性シートの評価]
各磁性シートのサンプルについて、次の評価試験を実施した。
(透磁率)
磁性シート1,1A,1B,1Cを外径14mm、内径6mmのリング状体に打ち抜いて作製したサンプルについて、アジレントテクノロジー社製の測定器「Agilent 4291B RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ」を使用して、13.56MHzでの透磁率を測定した。
(密度)
磁性シート1,1A,1B,1Cを20mm×20mmの方形状体に裁断して作製したサンプルについて、ソニー社製の測定器「μ−mate」を使用して磁性層2の厚みを測定し、また磁性層2の重量も測定して、得られた厚みと重量とから磁性層2の密度を算出した。
以上の各実施例1〜7および各比較例1〜7についての透磁率および密度の測定結果を、図2の測定結果図に示す。また、図2に示す測定結果のうち、膜厚と透磁率との関係を図3の透磁率特性図に示し、膜厚と密度との関係を図4の密度特性図に示す。図2〜図4に示す測定結果から、単層(つまり単一の磁性塗膜)で磁性層2を形成した比較例1〜7では、膜厚が50μmまでは透磁率および密度は共に十分に高い値(透磁率:50、密度:3.32g/cm)で一定となっているが、さらに膜厚を厚くしたときには、透磁率および密度は次第に低下し、膜厚が70μmまでは必要な透磁率(45以上)および必要な密度(3.00g/cm以上)が確保されるものの、さらにそれ以上の膜厚(80μm以上の膜厚)では必要な透磁率および密度を共に確保できないことが確認された。
一方、2重層(2つの磁性塗膜2a,2b)で磁性層2を形成した実施例1〜5では、膜厚が70μmまでは透磁率および密度は共に十分に高い値(透磁率:50、密度:3.32g/cm)で一定となり、また膜厚を80μm以上にしたときであっても、100μmまでは透磁率および密度が共に徐々に低下するものの、その低下の度合いは極めて小さいことが確認された。したがって、実施例1〜5では、同じ厚みの磁性層2を単層で形成した比較例3〜7と比較して、透磁率および密度が共に高く、しかも、必要な透磁率(45以上)および必要な密度(3.00g/cm以上)を確保できるのが確認された。
また、3重層(3つの磁性塗膜2a,2b,2c)で磁性層2を形成した実施例6、および4重層(4つの磁性塗膜2a,2b,2c,2d)で磁性層2を形成した実施例7では、それぞれ膜厚が150μm,200μmと非常に厚膜であるにも拘わらず、必要な透磁率(45以上)および必要な密度(3.00g/cm以上)を確保できるのが確認された。
したがって、一回に形成する磁性塗膜の膜厚を揮発性溶剤が十分に揮発し得る厚み(例えば50μm以下)に規定し、かつこの磁性塗膜を重層して磁性層2を形成することにより、透磁率が高くかつ膜厚の厚い磁性層を備えた磁性シート1,1A,1Bを製造できることが確認された。
本発明に係る磁性シート1(実施例1〜5)の断面図である。 各実施例1〜7および各比較例1〜7についての磁性層2の塗膜構造、膜厚、透磁率および密度の測定結果を示す測定結果図である。 図2に示す測定結果のうちの膜厚と透磁率との関係を示す透磁率特性図である。 図2に示す測定結果のうちの膜厚と密度との関係を示す密度特性図である。 本発明に係る磁性シート1A(実施例6)の断面図である。 本発明に係る磁性シート1B(実施例7)の断面図である。 本発明に係る磁性シート11の断面図である。 磁性シート1C(比較例1〜7)の断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,11 磁性シート
2 磁性層
3 ベースフィルム

Claims (4)

  1. 軟磁性粒子、バインダーおよび揮発性溶剤を含有する磁性塗料を塗布して磁性塗膜を形成する塗布工程と、
    前記磁性塗膜に対して配向磁界を印加して前記軟磁性粒子を配向する配向工程と、
    前記軟磁性粒子が配向された前記磁性塗膜を乾燥させて前記揮発性溶剤を揮発させる乾燥工程とを支持体に対して複数回繰り返すことにより、前記支持体上に前記磁性塗膜を重層して磁性シートの磁性層を形成する磁性シートの製造方法。
  2. 前記塗布工程、前記配向工程および前記乾燥工程を複数回繰り返して形成した前記磁性層に対してカレンダー処理を実行する請求項1記載の磁性シートの製造方法。
  3. 前記塗布工程、前記配向工程、前記乾燥工程、および当該乾燥工程によって乾燥された前記磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程を複数回繰り返すことにより、前記磁性層を形成する請求項1記載の磁性シートの製造方法。
  4. 前記塗布工程、前記配向工程、前記乾燥工程、当該乾燥工程によって乾燥された前記磁性塗膜に対してカレンダー処理を実行するカレンダー工程、およびカレンダー処理された前記磁性塗膜を熱硬化させる熱硬化工程を複数回繰り返すことにより、前記磁性層を形成する請求項1記載の磁性シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20100012881A1 (en) * 2006-08-31 2010-01-21 Sony Chemical & Informatioin Device Corporation Method for manufacturing magnetic sheet and magnetic sheet
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