JP4263574B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁気記録媒体の製造方法に関し、詳しくは、薄層磁性層を有する高記録密度磁気記録媒体の製造に好適な磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年の磁気記録媒体の高記録密度化への要求から、磁性層は、薄膜化、高充填化および高耐久性化への指向を強めており、磁性層に求められる特性はより高度なものとなってきている。
反磁界による減磁を防ぐために薄膜化した磁性層の実現を目指して、従来より、磁性層の下にアンダーコート層を設ける等の提案がなされている。また、磁性層形成用塗料を改良することにより磁性層の薄膜化を図る技術についても、種々提案されてきている。例えば、本出願人は先に、特許文献1において、磁性層形成用塗料中に、有機溶剤として所定の沸点を有する溶剤を所定量含有させることで、薄層磁性層において高充填化および高耐久性化を図るとともに、配向度の向上や、磁性層形成用塗料を塗布する際に発生するスレスジ(長さ10〜50mm、幅10〜60μm程度の塗布スジ(塗布面と何かが擦れ合って発生したようなスジ))の改善を図って、均一な磁性層/非磁性層界面を形成する技術を提案している。
なお、磁性層の形成に際しては、下側に位置する層を一度乾燥させた後、上側に位置する磁性層を設ける、いわゆるウェット・オン・ドライ(W/D)塗布法や、下側に位置する層と上側の磁性層とを湿潤状態のうちに同時に設ける、いわゆるウェット・オン・ウェット(W/W)塗布法等の検討もなされているが、薄層化の観点からは、一般に、W/D塗布法が有利である。
特開2002−367159号公報(特許請求の範囲等)
上記W/D塗布法または薄膜単層のノズル塗布法において、磁性層のさらなる薄膜化を図るためには、塗布性、即ち、塗布欠陥(塗布スジ、塗布ヌケ、塗膜の厚みムラ)のない塗膜の形成や、最適な配向を得る観点から、磁性塗料の固形分濃度(NV)を下げて塗布膜厚(乾燥前の膜厚:ウェット膜厚)を厚くする必要が生ずる。しかし、固形分濃度NVをある程度低くすると、スレスジがさらに発生して塗布欠陥を引き起こし、エラーレートの悪化を起こしやすくなるという問題があり、これは上記特許文献1に記載の技術によっても十分には解消し得なかった。従って、特に、固形分濃度NVを低くして磁性層を塗布形成する場合において、スレスジ等の塗布欠陥の発生をより確実に防止することのできる技術が求められていた。
そこで本発明の目的は、スレスジの発生を確実に防止して、磁性層に塗布欠陥がなく、エラーレートの改善された磁気記録媒体を効率よく製造することのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、磁性塗料中に溶剤としてシクロヘキサノンを用いるとともに、その磁性塗料中における含有量を磁性塗料の固形分濃度との関係において最適化することが、スレスジの発生防止により効果的であることを見出して、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体の一方の面上に、直接または非磁性層を介して磁性塗料を塗設して磁性層を形成するに際し、
前記磁性塗料の溶剤として少なくともシクロヘキサノンを用いて、該磁性塗料中のシクロヘキサノンの含有量M(重量%)と、該磁性塗料の固形分濃度NV(重量%)とが、下記式(1)および(2)、
M≧−2.5×NV+81 (1)
NV<15 (2)
で表される関係を満足するよう、前記磁性塗料を調製することを特徴とするものである。ここで、固形分濃度NVにおける固形分とは、溶剤以外の材料の全てを意味し(ただし、硬化剤を含まない)、磁性粉末、バインダ樹脂、各種添加剤の全てを含み、常温液体のバインダ樹脂や潤滑剤等も含む。固形分濃度NVとは、この固形分の重量を塗料重量(固形分重量と溶剤重量との総和)で割ったものである。
本発明の製造方法を、非磁性層を介して磁性層を形成する重層媒体の製造に適用する場合には、前記非磁性支持体の一方の面上に非磁性塗料を塗設する工程と、塗設された該非磁性塗料を乾燥させる工程と、を含む非磁性層形成工程と、
形成された該非磁性層上に前記磁性塗料を塗設する工程を含む磁性層形成工程と、を順次行う、W/D塗布法を用いることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記磁性層を厚み0.17μm以下にて形成する場合により有効である。
本発明によれば、上記構成とすることにより、磁性層形成時におけるスレスジの発生を確実に防止することができ、薄層磁性層を有する高記録密度磁気記録媒体を効率よく製造することが可能となる。
以下、本発明の一好適実施形態について詳細に説明する。
本発明は、非磁性支持体の一方の面上に、直接または非磁性層を介して磁性塗料を塗設して磁性層を形成する、単層ないし重層の磁気記録媒体の製造方法であり、薄層磁性層を形成する際に用いる磁性塗料の改良に係る技術である。
本発明においては、磁性塗料の溶剤として少なくともシクロヘキサノンを用いるとともに、磁性塗料中のシクロヘキサノンの含有量M(重量%)と、磁性塗料の固形分濃度NV(重量%)とが、下記式(1)および(2)、
M≧−2.5×NV+81 (1)
NV<15 (2)
で表される関係を満足するよう、磁性塗料を調製する点が重要である。
磁性塗料中のシクロヘキサノンの含有量Mを多くすることがスレスジ発生の抑制に効果的であることは知られている(特許文献1等)。一方、薄層塗布を実現するためには塗料の固形分濃度NVを低くする必要があるが、固形分濃度NVが15重量%未満程度まで低くなると、シクロヘキサノンの含有量Mをある程度多くしてもスレスジが発生してしまう場合がある。本発明によれば、固形分濃度NVとシクロヘキサノンの含有量Mとの関係を適切に規定することで、固形分濃度NVが15重量%未満である低濃度の磁性塗料を用いた場合でも、スレスジの発生を確実に防止することができ、薄層磁性層を有する磁気記録媒体を効率良く塗布形成することが可能となったものである。
本発明においては、磁性塗料中のシクロヘキサノンの含有量Mおよび磁性塗料の固形分濃度NVに関して上記した要件を満足するものであれば、他の、磁気記録媒体の具体的な構成材料や製造工程の詳細については特に制限されるものではない。例えば、構成材料については、以下のようなものを用いることができる。
磁性粉末としては、γ−Fe23、Fe34、γ−Fe23とFe34との固溶体、Co化合物被着型γ−Fe23、Co化合物ドープ型γ−Fe23、Co化合物被着型Fe34、Co化合物ドープ型Fe34、Co化合物被着型γ−Fe23とCo化合物被着型Fe34との固溶体、Co化合物ドープ型γ−Fe23とCo化合物ドープ型Fe34との固溶体、CrO2等の酸化物強磁性粉末、Fe−Co−Ni合金、Fe−Al合金、Mn−Bi合金、Fe−Al−P合金、Fe−Co−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Zn合金、Fe−Co−Ni−P合金、Fe−Ni合金、Co−Ni合金、Co−P合金、Fe−Mn−Zn合金、Fe−Ni−Cr−P合金等、Fe、Ni、Coを主成分とする従来公知の金属磁性粉末(強磁性金属粉末)が挙げられる。
本発明においては、特に、高記録密度に対応した微粒子の磁性粉末として、平均長軸長xが130nm以下、特には、30〜100nmの針状強磁性金属粉末を用いることが好ましい。なお、平均長軸長が150nmを超えると、磁気記録媒体に要求される電磁変換特性(特に、S/NおよびC/N特性)を十分に満足することができなくなる傾向にあるので、好ましくない。また、バリウムフェライト等の六方晶形酸化鉄粉末を用いることもできる。六方晶形酸化鉄粉末の板状比は2〜7が好ましい。また、TEM観察による平均一次板径が10〜50nmであることが好ましい。大きいと、磁性層の表面性が悪化する傾向にある。
このような磁性粉末は、磁性層組成中に70〜90重量%程度含まれていればよい。磁性粉末の含有量が多すぎるとバインダの含有量が減少するためカレンダ加工による表面平滑性が悪化しやすくなり、一方、少なすぎると高い再生出力が得られにくくなる。
また、バインダとして用いる樹脂材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂やこれらの混合物を好適に使用することができ、特に制限されるべきものではない。例えば、塩化ビニル−エポキシ系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、繊維素系樹脂、合成ゴム系樹脂などがあり、これらは一般に磁気記録媒体用に使用されるバインダとしての樹脂材料である。
磁性層に用いられるこれらのバインダ樹脂の含有量は、磁性粉末100重量部に対して5〜40重量部、特には10〜30重量部の範囲内とすることが好ましい。バインダ樹脂の含有量が少なすぎると磁性層の強度が低下するため、走行耐久性が悪化しやすくなる。一方、多すぎると磁性粉末の含有量が低下するため、電磁変換特性が低下してくる。
これらのバインダ樹脂を硬化させる架橋剤としては、例えば、熱硬化型樹脂の場合は、既知の各種ポリイソシアナートを挙げることができ、この架橋剤の含有量はバインダ樹脂100重量部に対し、10〜30重量部とすることが好ましい。また、磁性層中には、必要に応じ、分散材、潤滑剤、研磨材、帯電防止剤、硬化剤などを添加してもよい。これらは、一般に磁性塗料中に添加して用いられるものである。
本発明においては、前述したように、磁性塗料に用いる溶剤成分として、少なくともシクロヘキサノンを用いることが必要であるが、シクロヘキサノン以外の溶剤成分としては、特に制限されるものではなく、通常用いられる各種有機溶剤、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等のバインダ(結合剤)として用いる樹脂材料(バインダ樹脂)を溶解するのに適したものを単独または2種以上にて混合して適宜用いることが可能である。好ましくは、メチルエチルケトンおよびトルエンを、メチルエチルケトン/トルエン=2/8〜8/2程度の比率にて調整して用いる。また、有機溶剤の添加量は、固形分(磁性粉末や各種無機粒子等)とバインダ樹脂との合計量100重量部に対して100〜2000重量部程度とすればよい。
磁性層の厚みについては特に制限されるものではないが、磁性層が厚すぎると自己減磁損失や厚み損失が大きくなる一方、薄すぎると、再生出力が小さくなる傾向があるので、通常、0.05〜0.30μm程度とする。本発明は特に、薄膜磁性層、例えば、厚み0.17μm以下程度の薄層磁性層を有する磁気記録媒体を製造する場合により有効である。
また、磁性層表面の中心線平均粗さRaは、1.0〜8.0nm、好ましくは1.0〜5.0nmとする。Raが1.0nm未満では表面が平滑すぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、8.0nmを超えると、磁性層表面が粗くなり、再生出力等の電磁変換特性が劣化する。
非磁性層は、本発明においては、所望に応じ設けることができるものであり、必須ではない。非磁性層に用いる非磁性粉末としては、各種無機質粉末を用いることができ、好ましくは、針状非磁性粉末、例えば、針状の非磁性酸化鉄(α−Fe23)などを挙げることができる。その他、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化チタン(TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、α−アルミナ(α−Al23)等の各種非磁性粉末を適宜配合してもよい。また、非磁性層にはカーボンブラックを用いることが好ましい。かかるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
カーボンブラックと無機質粉末との配合比率は、重量比で100/0〜10/90が好ましい。無機質粉末の配合比率が90を上回ると、表面電気抵抗で問題が生じやすくなる。
非磁性層用のバインダとして用いる樹脂としては、上記した磁性層と同様のものを適宜用いることができ、特に制限されない。また、磁性層の場合と同様に、研磨材や分散材等その他の各種添加物を添加してもよい。非磁性塗料は、上記磁性層について列挙したのと同様の有機溶剤を、同程度の添加量にて用いて作製することができる。
非磁性層の厚みは、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは0.1〜2.3μmである。この厚みを2.5μmより厚くしても性能の向上は望めず、却って、塗膜を設ける際、厚みが不均一になりやすい。なお、0.1μmよりも薄いと、非磁性層の持つ、磁性層への潤滑剤供給能力が減り、耐久性が悪化する傾向がある。
また、形成された非磁性層の中心線平均表面粗さRaは、平滑化処理後において8.0nm以下程度であることが好ましく、6.0nm以下がより好ましく、5.0nm以下が最も好ましい。8.0nmを超えると、磁性層と非磁性層との界面が不均一となり、出力変動を起こすおそれがある。
バックコート層は、走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のために、非磁性支持体の非磁性層および磁性層形成面とは反対側の面上に、必要に応じて設けることができ、本発明においては必須ではない。バックコート層には、30〜80重量%のカーボンブラックを含有させることが好ましく、かかるカーボンブラックとしては通常使用されるものであればどのようなものであってもよく、上述の非磁性層に用いるものと同様のものを用いることができる。また、カーボンブラック以外に、必要に応じ、磁性層に用いられるような各種研磨材等の非磁性無機粉末や、界面活性剤等の分散材、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
バックコート層の厚み(カレンダー加工後)は、0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。この厚みが1.0μmを超えると、媒体摺接経路との間の摩擦が大きくなりすぎて走行安定性が低下する傾向にある。一方、0.1μm未満では、媒体の走行時にバックコート層の塗膜削れが発生しやすい。
また、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリアセテート、ポリカーボネート等の公知の材料からなるものを適宜使用することができる。その厚み等についても既知の範囲内で適宜決定することができ、特に制限されるべきものではない。
本発明においては、上記非磁性支持体上に、上記磁性塗料を、直接または上記非磁性塗料を塗布して形成した非磁性層上に塗布して磁性層を形成し、さらに、所望に応じてバックコート層を塗布形成した後、スリッタで所望のテープ形状等に加工し、必要に応じて磁性層表面および/またはバックコート層表面に研磨、クリーニング等の二次加工を施すことで、磁気記録媒体を製造することができる。
本発明を、非磁性層を介して磁性層を塗布形成する重層媒体に適用する場合には、上述したように、非磁性層および磁性層を積層して重層塗膜を形成する手法として、非磁性支持体上に非磁性塗料を塗布した後、この非磁性塗料が湿潤状態のうちに磁性塗料を塗布するW/W塗布法と、少なくとも非磁性塗料の塗設、乾燥、架橋硬化を行って非磁性層を形成した後に磁性塗料の塗設、配向処理、乾燥、カレンダ加工を行って磁性層を形成するW/D塗布法とがあるが、本発明は、特に、磁性塗料の固形分濃度を低く作製する必要のあるW/D塗布法用の磁性塗料作製用として有効である。この場合、磁性塗料塗布時において非磁性層の膨潤を避けるため、非磁性層については層中に含まれる結合剤樹脂の架橋硬化反応がある程度生じている必要がある。磁性層を形成した後に、熱処理やEB照射により、非磁性層の架橋硬化反応を完結させることも可能である。
各層の塗布方法については、特に制限されるものではないが、押し出し塗布法、リバースロール塗布法、グラビアロール塗布法、ナイフコータ塗布法、ドクターブレード塗布法、キスコート塗布法、カラーコート塗布法、スライドビード塗布法等を用いることができる。中でも、特に、塗布膜厚の均一性の点で、押し出し塗布法が好適である。
また、各層の乾燥は、乾燥装置(乾燥炉)で行うことができる。具体的には、通常、乾燥炉の内部に設けられた熱風、遠赤外線、電気ヒーター、真空装置等の公知の乾燥手段によって乾燥させる。乾燥温度は通常40〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜150℃の範囲で、非磁性支持体の耐熱性や溶剤組成、塗料の固形分濃度等によって適宜選定すればよい。乾燥温度が40℃未満では、乾燥効率が低く、残留溶剤量が増加する傾向にあり好ましくない。一方、200℃を超えると、塗膜中の溶剤の蒸発が急激すぎるため磁気記録媒体の表面性を悪化させてしまう。なお、乾燥炉内には温度勾配をもたせてもよく、乾燥炉内の雰囲気は、一般の空気または不活性ガス等を用いればよい。
カレンダ加工は、各層の形成された非磁性支持体を、交互に配置された金属ロール−弾性ロール間または金属ロール−金属ロール間を、所定の温度と圧力を加えた状態で通過させることにより行うことができる。また、カレンダ加工後には、塗膜の硬化を促進するために、40℃〜80℃の熱硬化処理および/または電子線照射処理等を施すことが好ましい。
バインダとして放射線硬化型樹脂を使用している場合には、その架橋硬化に用いる放射線としては、電子線が好ましい。その照射量は、1〜10Mrad、好ましくは3〜7Mradであり、また、その照射エネルギー(加速電圧)は100kV以上とすることが好ましい。さらに、放射線の照射は、塗布、乾燥、カレンダ処理後、巻き取る以前にインラインにて行うのが望ましいが、巻き取り後に行ってもよい。
また、磁性層に施す配向処理は、磁性層中の磁性粉末を配向させるために行われるものであるが、その配向方向は、媒体の走行方向に対して、長手方向であっても、垂直方向であっても、斜め方向であってもよい。配向方向を所定方向へ向けるためには、フェライト磁石や希土類磁石等の永久磁石、電磁石、ソレノイド等の磁界発生手段が用いられる。これらの磁界発生手段は複数併用してもよく、さらには乾燥後の配向性が最も高くなるように、配向前に予め適度の乾燥工程を設けたり、配向と同時に乾燥を行うようにしてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
(磁性塗料の作製)
磁性粉末 Fe系針状強磁性粉末 100.0重量部
(Fe/Co/Al/Y=100/24/5/8(原子比)、Hc:188kA/m、σs:140Am2/kg、BET比表面積値:50m2/g、平均長軸長:0.10μm)
バインダ樹脂 塩化ビニル共重合体 10.0重量部
(日本ゼオン(株)製 商品名:MR110)
バインダ樹脂 ポリエステルポリウレタン 6.0重量部
(東洋紡(株)製 商品名:UR8300)
分散材 3.0重量部
(東邦化学工業(株)製、商品名:RE610)
研磨剤 α−アルミナ 10.0重量部
(住友化学工業(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=30重量%
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=4/4/2(重量比)
上記の材料をニーダーで混練した後、前分散として、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)にて充填した横型のピンミルにて分散した後、さらに、
NV(固形分濃度)=14重量%
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=22.5/22.5/55(重量比)
となるように希釈してから、仕上げ分散を行った。
得られた塗料に硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)10重量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、磁性塗料を作製した。
(非磁性塗料の作製)
顔料 針状α−FeOOH 80.0重量部
(平均長軸長:0.1μm、結晶子径:12nm)
カーボンブラック 20.0重量部
(三菱化学(株)製 商品名:#950B、平均粒径:17nm、BET比表面積値:250m2/g、DBP吸油量:70ml/100g、pH:8)
樹脂 塩化ビニル 11.0重量部
(東洋紡績(株) 商品名:TB−0246、(固形分)塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度:310、過硫酸カリ使用S含有量:0.6%(重量百分率)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用して日本ゼオン(株)製 MR110をアクリル変性したもの、アクリル含有量:6モル/1モル)
樹脂 ポリウレタン 9.0重量部
(東洋紡績(株) 商品名:TB−0216、(固形分)ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール、平均分子量:13,000、P含有量:0.2重量%、アクリル含有量:8モル/1モル)
分散材 リン酸系界面活性剤 3.2重量部
(東邦化学工業(株)製 商品名:RE610)
研磨剤 α−アルミナ 5.0重量部
(住友化学工業(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=33重量%
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(重量比)
上記の材料をニーダーで混練した後、0.8mmのジルコニアビーズが充填率80%(空隙率50vol%)にて充填された横型のピンミルにて分散した後、さらに、下記材料、
潤滑剤 脂肪酸 0.5重量部
(日本油脂(株)製 商品名:NAA180)
潤滑剤 脂肪酸アマイド 0.5重量部
(花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS)
潤滑剤 脂肪酸エステル 1.0重量部
(日光ケミカルズ(株)製 商品名:NIKKOLBS)
を添加して、
NV(固形分濃度)=25重量%
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=2/2/1(重量百分率)
となるように希釈した後、分散を行った。得られた塗料をさらに絶対濾過精度3.0μmのフィルターで濾過して、非磁性塗料を作製した。
(バックコート塗料の作製)
カーボンブラック 75重量部
(キャボット社製 商品名:BP−800、平均粒径17nm、DBP吸油量68ml/100g、BET比表面積値210m2/g)
カーボンブラック 10重量部
(キャボット社製 商品名:BP−130、平均粒径75nm、DBP吸油量69ml/100g、BET比表面積値25m2/g)
炭酸カルシウム 15重量部
(白石工業(株)製 白艶華O、平均粒径30nm)
ニトロセルロース 65重量部
(旭化成工業(株)製 商品名:BTH1/2)
ポリウレタン樹脂 35重量部
(脂肪族ポリエステルジオール/芳香族ポリエステルジオール=43/53)
NV(固形分濃度)=30重量%
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1(重量比)
上記の材料をニーダーで混練した後、0.8mmのジルコニアビーズが充填率80%(空隙率50vol%)にて充填された横型のピンミルにて分散して、さらに、
NV(固形分濃度)=10重量%
溶剤比 MEK/トルエン/シクロヘキサン=5/4/1(重量比)
となるように希釈して、分散を行った。このようにして得られた塗料に硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:コロネートL)5重量部を添加混合して、さらに、絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、バックコート塗料を作製した。
上記のようにして得られた磁性塗料、非磁性塗料およびバックコート塗料を夫々用いて、下記の要領で磁気記録媒体のサンプルを作製した。
(非磁性層塗布工程)
下記の要領にて、非磁性層塗布済み原反を作製した。
6.2μm厚のPEN支持体上に、カレンダー加工後の厚みが2.0μmになるように、非磁性塗料をノズルにより押し出し塗布法で塗布して、乾燥後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーにて、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、さらに、4.5Mradで電子線照射を行い、非磁性層を形成した。
(磁性層およびバックコート層塗布工程)
上記のようにして形成した非磁性層上に、磁性層を、加工後の厚みが0.05μmになるようにノズルで塗布して、配向、乾燥した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーにて、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、磁性層を形成した。また、非磁性層および磁性層形成面とは反対側の面に、バックコート塗料を、乾燥厚0.6μmとなるようにノズルで塗布し、乾燥した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーにて、ニップ数4回、加工温度80℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、バックコート層を形成した。
以上のようにして得られた磁気記録媒体用原反を、60℃で48時間熱硬化させて、1/2“幅に切断し、実施例1の磁気記録媒体サンプルとしてのデータ用テープを作製した。
非磁性層上に磁性塗料をノズルにより塗布している間に、塗布面を目視にて観察することにより、スレスジの発生状況を確認した。スレスジの発生がないものを○とし、発生したものを×とした。この結果を、磁性層の厚み、磁性塗料の固形分濃度NV、磁性塗料に含まれる溶剤中のシクロヘキサノン量、原反27m2当たりの磁性塗料供給量およびこれに含まれるシクロヘキサノン量Mと併せて、下記の表1中に示す。
実施例2〜15および比較例1〜12
磁性層の厚み、磁性塗料の固形分濃度NV、磁性塗料に含まれる溶剤中のシクロヘキサノン量、原反27m2当たりの磁性塗料供給量およびこれに含まれるシクロヘキサノン量Mを、夫々下記の表1中に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして各実施例および比較例のテープサンプルを作製し、同様にしてスレスジの発生状況を確認した。この結果を下記の表1中に示す。また、磁性層厚み0.10μmの場合の実施例および比較例についての固形分濃度NVとシクロヘキサノン量Mとの関係を示すグラフを、図1に示す。図1中、○は実施例を、●は比較例を、夫々表す。また、図中の直線は、本発明に係る前記式(1)のグラフである。実施例と比較例との境界は、M≧−2.5×NV+81により表される。
実施例16
6.2μm厚のPEN平滑支持体(フィラーによる突起を低減した支持体)上に、非磁性層を介さずに磁性層を形成し、磁性層の厚み、磁性塗料の固形分濃度NV、磁性塗料に含まれる溶剤中のシクロヘキサノン量、原反27m2当たりの磁性塗料供給量およびこれに含まれるシクロヘキサノン量Mを、夫々下記の表1中に示すように変えた以外は、実施例1と同様にしてテープサンプルを作製し、同様にしてスレスジの発生状況を確認した。この結果を下記の表1中に示す。
また、各実施例および比較例のテープサンプルを評価するに当たり、エラーレートによる評価は磁性層の厚みに大きく依存し、磁性層の厚みが異なるサンプル同士では比較しにくいため、エラーレートによる欠陥評価の代用として、ミッシングパルスによる評価を行った。
記録波長が0.55μmとなるように記録周波数5.49MHz(テープスピード3.0m/s)で信号を記録し、テープ長2.54cm先の信号のP−P値の半値より、35%以下のP−0信号をミッシングパルスとし、4個以上連続したミッシングパルスをLong Defectとした。また、1個以上のミッシングパルスが500bytesの区間内で起こった場合もLong Defectとした。テープ1m当たりのLong Defectの数を計測し、1トラック当たり1.5個/m以上を不良とした。この結果を下記の表1中に併せて示す。
Figure 0004263574
上記表1の結果からわかるように、実施例のテープではスレスジが発生せず、ミッシングパルスによる評価も良好であったのに対し、比較例のテープではスレスジが発生して、ミッシングパルスも悪化した。即ち、エラーレート評価の代用であるミッシングパルス評価の結果が改善されていることから、本発明に係る実施例のテープでは、エラーレートが改善できることが確かめられた。
以上説明してきたように、本発明によれば、スレスジの発生を確実に防止して、磁性層に塗布欠陥がなく、エラーレートの改善された磁気記録媒体を効率よく製造することのできる磁気記録媒体の製造方法を実現することができる。
各実施例および比較例の固形分濃度NVとシクロヘキサノン量Mとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体の一方の面上に、直接または非磁性層を介して磁性塗料を塗設して磁性層を形成するに際し、
    前記磁性塗料の溶剤として少なくともシクロヘキサノンを用いて、該磁性塗料中のシクロヘキサノンの含有量M(重量%)と、該磁性塗料の固形分濃度NV(重量%)とが、下記式(1)および(2)、
    M≧−2.5×NV+81 (1)
    NV<15 (2)
    で表される関係を満足するよう、前記磁性塗料を調製することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記非磁性支持体の一方の面上に非磁性塗料を塗設する工程と、塗設された該非磁性塗料を乾燥させる工程と、を含む非磁性層形成工程と、
    形成された該非磁性層上に前記磁性塗料を塗設する工程を含む磁性層形成工程と、を順次行う請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記磁性層を厚み0.17μm以下にて形成する請求項1または2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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