以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
[電気光学装置]
図1は、本発明の電気光学装置の一例であるタッチパネル一体型の液晶表示装置の概略断面図を示す。なお、図1では、紙面縦方向をZ方向と規定し、また、紙面横方向をY方向と規定し、また、紙面視方向をX方向と夫々規定する。
本実施形態の液晶表示装置1は、主として、表示ユニットである液晶表示パネル(電気光学パネル)2と、その一方の面側(観察側)に配置されたアナログ型抵抗膜方式のタッチパネル4(入力装置)を含んで構成されている。
(液晶表示パネルの構成)
液晶表示パネル2は、透過型表示モードを有する液晶表示パネルであり、観察側に配置された前面側基板22aと、当該前面側基板22aに対向配置された背面側基板22bとが枠状のシール材23を介して貼り合わされてなり、その枠状のシール材23で区画される領域内に液晶が封入され液晶層32が形成されてなる。
前面側基板22aは、例えば硬質のガラス等の透光性を有する材料からなる基板本体24aを有する。液晶層32と接触する側の基板本体24aの内面上には、その略一面に亘って、例えばITOなどに代表される透明導電材料よりなる前面側電極26aが形成されている。前面側基板26aの内面上には、図示しない配向膜が形成され、その配向膜には液晶分子の配向規制手段としてのラビング処理が施されている。一方、背面側基板22bは、例えば基板本体24aと同一の材料よりなる基板本体24bを有する。背面側基板22bの厚さは、後述するタッチパネル4に対する入力操作時の前面側基板22aの変形に対して追従できる構成とするため、約0.1mm〜約0.4mm程度とすることができる。液晶層32と接触する側の基板本体24bの内面上には、上記した前面側電極26aと同一の材料よりなる背面側電極26bがマトリクス状に形成されている。背面側電極26bの内面上には、図示しない配向膜が形成され、その配向膜には液晶分子の配向規制手段としてのラビング処理が施されている。また、背面側基板24bの外面上には偏光板6bが設けられ、その偏光版6bの外面上には、図示しない照明装置としてのバックライトが設けられる。そして、一対の前面側基板22a及び背面側基板22bの間隔(ギャップ)は、それらの内部に配置され、例えばアクリル樹脂等の透光性を有する材料よりなるスペーサ29により均一に保持されている。例えば、一対の前面側基板22a及び背面側基板22bの間隔(ギャップ)は、約1μm〜約10μm程度に規定されている。
また、前面側基板22aは、背面側基板22bの一端側から外側へ張り出してなる張り出し領域24cを有する。この張り出し領域24cは、実装端子形成領域として用いられる。前面側基板22aの前面側電極26aは、液晶層32側から張り出し領域24cにかけて延在するように形成されており、端子部パターン33の一部を構成している。また、背面側基板22bの背面側電極26bは、図示しない導通部材を介して、張り出し領域24cの端子部パターン33に導電接続されている。端子部パターン33は、液晶表示パネル2を電気的に駆動するために設けられる液晶駆動用IC(ドライバIC)36との間の電気的な接続を可能にする配線パターンである。本実施形態では、張り出し領域24cに形成された端子部パターン33には、液晶駆動用IC36がCOG(Chip On Glass)実装されて、液晶表示パネル2と液晶駆動用IC36とが電気的に接続されている。勿論、実装形態としては、COG実装以外にも、FPC(Flexible Printed Circuit)実装等の他の形態を採用することも可能である。
なお、この液晶表示パネル2の構成及び駆動方式には特に限定はない。したがって、この液晶表示パネル2は、パッシブマトリクス駆動方式又はアクティブマトリクス駆動方式のいずれであってもよく、また、液晶の配向形態も、TN型、VAN型、STN型、強誘電型、反強誘定型等の種々の公知の形態を採り得る。また、本発明では、背面側基板22bに反射性を有する反射膜を設けることにより、反射型の液晶表示パネルとして構成してもよく、更に、この反射膜に開口やスリット等を形成することにより、半透過反射型の液晶表示パネルとして構成してもよい。また、本発明では、前面側基板22a及び背面側基板22bのいずれか一方の基板に各色のカラーフィルタを設けることにより、カラー型の液晶表示パネルとして構成しても構わない。
(タッチパネルの構成)
次に、図1乃至図3を参照して、タッチパネルの構成について説明する。
図2(a)は、図1に示すタッチパネルの構造を示す分解斜視図である。図2(b)は、図2(a)における切断線A−A’に沿ったタッチパネルの要部断面図である。図3(a)は、図1の下方からタッチパネルを観察したときの、その構成要素である前面側基板8aの構成を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)における切断線B−B’に沿った前面側基板8aの要部断面図を示す。なお、図1及び図3において、領域A1は入力に寄与する有効位置座標入力エリア(以下、「有効位置座標入力エリアA1」と呼ぶ)であり、その領域A1の外側の領域A2は入力に寄与しない非有効位置座標入力エリア(以下、「非有効位置座標入力エリアA2」と呼ぶ)である。
タッチパネル4は、観察側に配置された前面側基板8aと、当該前面側基板8aに対向配置された背面側基板8bとが枠状のシール材9を介して貼り合わされてなり、その枠状のシール材9で区画される領域内に屈折率調整用の液状材料15が封入されてなる。
前面側基板8aは、例えば硬質のガラス等の透光性を有する材料からなる基板本体11aを有する。液状材料15と接触する側の基板本体11aの内面上には、矩形状の平面形状を有し、例えばITO(比抵抗は約2×10−4[Ω・m]程度)などに代表される透光性導電膜(透明導電膜)からなる、高抵抗化膜たる第1の面状電極12aが形成されている。第1の面状電極12aは、約500Å程度の薄膜状に形成され、その面内全域でほぼ均一な面抵抗を備えている。第1の面状電極12aは、基板本体11aの内面上において、液晶表示パネル2の有効表示領域(表示に寄与する領域)に対応する範囲を覆う位置に形成されている。
有効位置座標入力エリアA1に設けられた第1の面状電極12aには、当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように、矩形状の平面形状を有する複数の開口12abが適宜の間隔をおいて且つ行列状に設けられている。なお、本発明では、各開口12abは有効位置座標入力エリアA1に位置する第1の面状電極12aに複数設けられていればよく、各開口12abは、必ずしも有効位置座標入力エリアA1に位置する第1の面状電極12aに行列状に設けられている必要はない。各開口12abの大きさは、入力機器3等を用いて入力操作(押圧)を行った場合に、有効位置座標入力エリアA1内において位置座標が検出可能な大きさ、例えば入力機器3の入力側の先端部等より小さい大きさに形成されているのが好ましい。好適な例では、開口12abの大きさ、即ち、開口12abのX方向の距離d1及びY方向の距離d2は、約10μm〜約100μm、より好ましくは、約10μm〜約50μmに設定されているのが好ましい。また、本例では、各開口12abは矩形状に形成されているが、本発明では、各開口12abの形状に特に限定はない。したがって、各開口12abの平面形状は、矩形、円、楕円、三角などの周知の平面形状を採用することが可能である。X方向に対応する、第1の面状電極12aの内面上の両端部には、帯状の形状を有する一対の第1配線13a及び第2配線13bが夫々設けられている。第1配線13a及び第2配線13bは、導電性の高い金属薄膜、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、又はこれらの金属のうちのいずれか1種類以上の金属を含む合金によって形成され、第1の面状電極12aに比較して低抵抗化膜となっている。
一方、背面側基板8bは、例えば基板本体11aと同一の材料よりなる基板本体11bを有する。液状材料15と接触する側の基板本体11bの内面上には、矩形状の平面形状を有し、例えば第1の面状電極12aと同一の材料よりなり、高抵抗化膜たる第2の面状電極12bが形成されている。第2の面状電極12bは、約500Å程度の薄膜状に形成され、その面内全域でほぼ均一な面抵抗を備えている。第2の面状電極12bは、前面側基板11bの内面上において、液晶表示パネル2の有効表示領域(表示に寄与する領域)に対応する範囲を覆う位置に形成されている。Y方向に対応する、第2の面状電極12b上の両端部には、帯状の形状を有する一対の第1配線14a及び第2配線14bが夫々設けられている。一対の第1配線14a及び第2配線14bは、例えば一対の第1配線13a及び第2配線13bと同様に、銀合金、アルミニウム、銅などの導電性の高い金属薄膜にて形成され、第2の面状電極12bに比較して低抵抗化膜となっている。
本実施形態において、前面側基板8aの外面側(観察面側)であって、液晶表示パネル2の有効表示領域に対応する領域が座標入力面(即ち、入力機器3や指等によって直接タッチパネル上の位置を押圧して入力操作を行なう面)である。
前面側基板8aに形成された一対の第1配線13a及び第2配線13bは、夫々導通部材17を介して、背面側基板8bに設けられた補助用配線18に導電接続され、さらにその補助用配線18を介して端子部16に導電接続されている。補助用配線18及び端子部16は、例えば一対の第1配線13a及び第2配線13bと同一の材料により形成されている。本実施形態において、第1配線13a及び第2配線13b並びに補助用配線18は配線部を構成し、X方向に位置する前面側基板8a及び背面側基板8bの両端部付近において、Y方向に延在するように形成されている。
なお、本実施形態では、前面側基板8a及び背面側基板8bは夫々ガラス基板を用いているため、プラスチックフィルム基板を用いた従来のタッチパネルと異なり、高温の熱処理や強酸性のエッチング溶液を使用したエッチング処理が可能である。このため、本実施形態では、位置座標を検出するためのこれらの導電膜(第1の面状電極12a、第2の面状電極12b、補助用配線18、端子部16等)を、いずれもスパッタ法又は蒸着法等の真空プロセスを用いて形成し、更にエッチング処理により第1配線13a及び14a、第2配線13b及び14b、並びに補助用配線18及び端子部16を細線化し、狭額縁化の配線部を形成している。
例えば、配線部にAPC(銀、パラジウム、銅の合金であり、その比抵抗は約3.9×10−6[Ω・m]程度である)を用いた場合、従来、銀ペーストで厚さ20μm、線幅0.1mmで作った配線部は、APCでは厚さ0.2μm、線幅0.1mmで作ることが可能となる。また、銅、アルミニウム、クロムの比抵抗は、それぞれ、約6×10−6[Ω・m]、約6×10−6[Ω・m]、約5×10−5[Ω・m]程度であるため、これらの金属を用いても、線幅を従来に比べて1桁から2桁程度細くすることができる。図2(b)に示すように、この例において、第2の面状電極12bと第1配線14a及び第2配線14b並びに補助用配線18は、ITO等からなる透光性導電膜とAg等からなる金属膜とを高温条件下で順次積層し、その後、金属膜と透光性導電膜とをこの順でエッチング処理することにより形成されている。このため、第2の面状電極12b並びに第1配線14a及び第2配線14bは低抵抗且つ緻密な膜となり、また、これらの界面抵抗も低減される。なお、図2(b)において、透光性導電膜12cはエッチングされずに残った透光性導電膜を示している。
本実施形態において、前面側基板8a、背面側基板8bを夫々構成する基板本体11a、11bには、いずれも硬質のガラス基板が使用されている。通常、入力操作(押圧)が行なわれる前面側基板8aには、入力時(押圧時)に基板の変形を必要とすることから、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルム基板が使われるが、このようなプラスチックフィルム基板は、入力時(押圧時)の荷重によって大きな撓みを生じるため、繰り返し入力を行なっているうちに、前面側基板8aの内面側に形成した第1の面状電極12a、第1配線13a、第2配線13bにクラックが入り、入力特性が劣化してしまうとう問題がある。一方、本実施形態のように前面側基板8aをガラス基板とした場合には、このような問題が生じないが、硬質のガラス基板はプラスチックフィルム基板に比べて柔軟性が劣るため、入力時の荷重が小さいと、十分に入力を行うことができないという問題がおこる。そこで、この問題を解消するため、本実施形態では、前面側基板8aの厚さを約0.1mm〜0.2mm程度まで薄くしている。
また、本実施形態では、上記したように、前面側基板8aと背面側基板8bとにおいて、枠状のシール材9によって囲まれた空間には、屈折率調整用の液状材料15か封入されている。この液状材料15としては、ガラスとの屈折率差が空気よりも小さいシリコーンオイル等の液状材料を用いることが好ましい。このような液状材料を封入すると、液晶表示パネル2側から出射された光が背面側基板8bと前記空間との界面、或いは、前記空間と前面側基板8aとの界面で反射しなくなり、明るい表示を実現することができる。また、一対の前面側基板8a及び背面側基板8bの間に液状材料15を封入することによって、これが一種のクッションとして機能し、前面側基板8aに対して衝撃が加わったときに、それを緩和することができる。
つまり、本実施形態では、前面側基板8aの座標入力面を他の部分よりも薄くしているため、通常のものよりも機械的な衝撃に対して弱くなっているが、このような緩衝構造を設けてその部分を補強すれば、このような弱点を補うことができる。このクッションとしての機能を考慮した場合には、液状材料15の粘度は2mm2/s〜5000mm2/sの範囲であることが好ましい。同様の趣旨で、一対の前面側基板8a及び背面側基板8bの間に緩衝部材を設置しても良い。この緩衝部材としては、シリコーンやウレタン等の柔らかい材料{例えば、弾性率が1×104(N/m2)〜1×108(N/m2)の範囲のもの)を用いることが好ましい。この緩衝構造は、前面側基板8a、背面側基板8bのギャップを制御するためのスペーサとして兼用することができる。
以上の構成を有する、タッチパネル4と液晶表示パネル2とは、透光性を有する弾性体(例えば、ガラスとの屈折率差が空気よりも小さいシリコンゲル、アクリルゲル、ウレタンゲル、ウレタンゴム等の透光性を有する弾性体)を含む接着剤50によって光学接着されている。そして、そのように光学接着されたタッチパネル4及び液晶表示パネル2は、図示しないベゼル等のケース体の内部に収容されている。
このように一体化されたタッチパネル4及び液晶表示パネル2の上下の外面(即ち、タッチパネル4の前面側基板8aの観察側の面、及び液晶表示パネル2の背面側基板22bの観察側とは反対側の面)には、それぞれ偏光板(第1の光学フィルム)6a、及び偏光板(第2の光学フィルム)6bが配置されている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1は、タッチパネル4と液晶表示パネル2とを一体化し、これを一対の偏光板6a、6bによって狭持した、いわゆるインナータイプの液晶表示装置である。なお、この例では、光学フィルムとして偏光板6a及び偏光板6bのみを設けることとしたが、円偏光モードを採用する場合には、更に、第3の光学フィルムとして1/2波長板や1/4波長板等の位相差板を設置することもできる。ただし、タッチパネル4の前面側基板8aの外面上に偏光板(第1の光学フィルム)6aと位相差板(第3の光学フィルム)とを積層した場合には、これらの光学部材の総厚が大きいと、入力時の押圧力が座標入力面に十分に伝わらなくなるため、このような場合には、前面側偏光板6aと位相差板とをタッチパネル4の上下に貼り分ける(即ち、第1の光学フィルムである前面側偏光板6aをタッチパネル4の前面側基板8aの外面上に配置し、第2の光学フィルムである位相差板をタッチパネル4と液晶表示パネル2との間に配置する)ことが好ましい。こうすることによって、入力操作が行ない易くなる。
(タッチパネルの位置座標検出方法)
次に、図4及び図5を参照して、タッチパネル4の位置座標検出方法について説明する。
図4及び図5は、タッチパネル4の位置座標検出の原理を説明する当該タッチパネル4の模式的回路図を示す。図4は、X軸側の位置座標読取りパネル(前面側基板8a)に電圧を印加した状態を示す。一方、図5は、Y軸側の位置座標読取りパネル(背面側基板8b)に電圧を印加した状態を示す。
図4及び図5において、前面側基板8aはX軸側の位置座標読取りパネルであり、上記したように第1の面状電極12aと、そのX方向両端部の対向する2辺に設けられた一対の第1配線13a及び第2配線13bとが主要構成部品として構成されている。一方、背面側基板8bはY軸側の位置座標読取りパネルであり、第2の面状電極8bと、そのY方向両端部の対向する2辺に設けられた第1配線14a及び第2配線14bとが主要構成部品として構成されている。タッチパネル4の背面側基板8bに設けられた端子部16は、更に、前面側基板8aの第1配線13aと電気的に接続された第1端子部16a、前面側基板8aの第2配線13bと電気的に接続された第2端子部16b、背面側基板8bの第1配線14aと電気的に接続された第3端子部16c、及び、背面側基板8bの第1配線14bと電気的に接続された第4端子部16dを有する。端子部16は、入力制御回路60内のスイッチング回路50と接続されている。
スイッチング回路50は、スイッチSW1〜SW3を有し、定電圧を供給する定電圧電源Vcc及び接地用端子(GND)に接続されている。スイッチSW3と接地用端子(GND)の間には電圧計51が設けられている。なお、本発明では、入力制御回路60の構成に限定はなく、周知の様々な入力制御回路を採用し得る。
ここで、X軸側の位置座標入力を読み取る場合、スイッチSW1及びSW2は、図4に示すように、前面側基板8aの第1配線13a、第2配線13b及び第1の面状電極12aと、端子部16aと、端子部16bとを端子X1及びX2を通じて直列接続すると共に、スイッチSW3は端子部16dに接続された端子E1と電圧計51とを導電接続する。これにより、X軸側の位置座標入力を読み取ることが可能となる。一方、Y軸側の位置座標入力を読み取る場合、スイッチSW1及びSW2は、図5に示すように、背面側基板8bの第1配線14a、第2配線14b及び第2の面状電極12bと、端子部16cと、端子部16dとを端子Y1及びY2を通じて直列接続すると共に、スイッチSW3は端子部16bに接続された端子E2と電圧計51とを接続する。これにより、Y軸側の位置座標入力を読み取ることが可能となる。
次に、具体的な、タッチパネル4の位置座標検出原理について説明する。
まず、図4及び図5において、タッチパネル4を構成する可撓性のある前面側基板8aの座標入力面を、図中の入力点Pで示す位置を入力機器3の先端で押圧すると、前面側基板8aが背面側基板8bに接近する方向に撓んで第1の面状電極12aが背面側基板8bの第2の面状電極12bに接触し、その接触位置において電気的な導通が行われる。
例えば、図4に示すように、X軸側の位置座標読取りパネルである前面側基板8aに定電圧電源Vccを介して電圧を印加した状態で、入力点Pの位置を入力機器3の先端で押圧すると、X軸側の位置座標読取りパネルである前面側基板8aの接触点Pxと、Y軸側の位置座標読取りパネルである背面側基板8bの接触点Pyで電圧が対面するY軸側の位置座標読取りパネルである背面側基板8b側に分圧して電流が流れる。このとき、背面側基板8b側の抵抗YR2が電圧計51の内部抵抗値に比べて非常に小さく無視できる値であるので、電圧計51には前面側基板8a側の抵抗XR2に対する電圧値が示される。
次に、図5に示すように、スイッチSW1〜SW3を切り替えてY軸側の位置座標読取りパネルである背面側基板8bに定電圧電源Vccを介して電圧を印加すると、接触点Pyの電圧が接触点PxでX軸の位置座標読取りパネルである前面側基板8a側に分圧して電流が流れる。このとき、前面側基板8a側の抵抗XR2が電圧計51の内部抵抗値に比べて非常に小さく無視できる値であるので、電圧計51には背面側基板8b側の抵抗YR2に対する電圧値が示される。
このように、押圧部位である入力点PにおけるX軸側の位置座標読取りパネル(前面側基板8a)、及び、Y軸側の位置座標読取りパネル(背面側基板8b)の電圧値を夫々検出して、この電圧値を印加電圧との比から入力点PのX軸及びY軸の位置座標が夫々算出される。
次に、比較例と比較した、本発明に係る実施形態の特有の作用効果について説明する。
まず、図6を参照して比較例の構成等について説明する。なお、比較例において、本実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は簡略化又は省略する。
図6は、本実施形態に係るタッチパネル4の前面側基板8aに相当する、比較例に係るX軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8xの平面図である。
本実施形態に係る前面側基板8aと、比較例に係る前面側基板8xとを比較した場合、本実施形態では、第1の面状電極12aには、当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように複数の開口12abが設けられていたのに対して、比較例では、第1の面状電極12aには開口12abは設けられていない。それ以外の点は、比較例と本実施形態とは同様の構成を有する。
以上の構成を有する比較例では、次のような不具合が生じる。
X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8xにおいて、X軸側の座標位置を検出するための配線部の構成要素(即ち、一対の第1配線13a及び第2配線13b、並びに補助用配線18及び端子部16)は、いずれもスパッタ法又は蒸着法等の真空プロセスを用いて形成され、更にエッチング処理により薄膜状に形成され且つ細線化されている。例えば、その配線部の形成材料としてAPCを用いる場合には、その配線部は、厚さ0.2μm、線幅0.1mmで形成される。
このように配線部が薄膜状に形成され且つ細線化されると、入力部たる端子部X1及びX2側からの距離に応じて、その配線部の引き回し抵抗が大きくなってしまい、そのため電圧降下(電圧ロス)も大きくなってしまう。また、これにより、低抵抗化膜たる一対の第1配線13a及び13bの抵抗値と、高抵抗化膜たる第1の面状電極12aの抵抗値との相対的な大きさも小さくなる。これらにより、図6において電源入力部(即ち、接地用の端子部X1及び電源Vccが供給される端子部X2)側からY方向への各位置での引き回し抵抗体(配線部と第1の面状電極12aとを含む抵抗体)の距離(mm)と、その引き回し抵抗体に印加される電圧(V)との直線的な関係であるリニアリティ特性の直線性(精度)が悪くなり、X軸側の位置座標の検出精度が低下して、その正確な位置座標を検出することができなくなってしまうという問題を有する。この点について図6及び図7を参照して更に説明する。
図7は、比較例に係る、入力部たる端子部X1及びX2側からY方向への所定位置での、引き回し抵抗体の距離(mm)と、その引き回し抵抗体に印加される電圧(V)との直線的な関係(リニアリティ特性)を示すグラフである。図7の横軸において、位置Lsは図6の第1配線13aの位置を、また、位置Leは図6の第2配線13bの位置を、さらに、位置Lmは図6のX方向における第1配線13aと第2配線13bの中央位置を夫々示す。また、図7の縦軸において、電圧Vsは位置Lsでの引き回し抵抗体の電圧値を、また、電圧Veは位置Leでの引き回し抵抗体の電圧値を、さらに、電圧値Vnは位置Lmでの引き回し抵抗体の電圧値を夫々示す。
X軸側の正確な位置座標を検出するためには、引き回し抵抗体のリニアリティ特性は、破線グラフG1に示すように直線性を有するのが理想である。しかし、比較例では、配線部は薄膜状に形成され且つ細線化され、さらに低抵抗化膜たる一対の第1配線13a及び13bの抵抗値と、高抵抗化膜たる第1の面状電極12aの抵抗値との相対的な大きさが小さくなっているので、その引き回し抵抗体のリニアリティ特性は、実線グラフG2に示すように非直線的になり、位置Lmでは電圧変動ΔVが生じている。ここで、ΔV(%)={|Vm−Vn|/(Ve−Vs)}×100であり、最大でΔV=±1.5%である。このため、比較例では、等電位線ELは、図6に示すように斜め方向に湾曲した状態となり、X軸側の正確な位置座標を検出することが困難となっている。
このような問題を改善する方法としては、配線部の厚さを厚くし且つ配線部の線幅を太くすることにより当該配線部の引き回し抵抗を小さくする、或いは、第1の面状電極12aに当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように開口を形成して、第1の面状電極の断面積{第1の面状電極12aの厚さ(膜厚)と、第1の面状電極12a電流の進行方向であるY方向の第1の面状電極12aの長さとの積、以下同様}を小さくして当該第1の面状電極12aの抵抗値を大きくするなどの方法が考えられる。しかし、現実的な問題として、前者のように配線部の厚さを厚くし且つ配線部の線幅を太くすることにより、当該配線部の引き回し抵抗を小さくする方法だけでは、リニアリティ特性の直線性(精度)を改善するのにある程度限界がある。
そこで、本実施形態では、有効位置座標入力エリアA1内における第1の面状電極12aに当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように開口12abを設けることにより、第1の面状電極12aの抵抗値を大きくして、低抵抗化膜たる一対の第1配線13a及び13bの抵抗値と、高抵抗化膜たる第1の面状電極12aの抵抗値との相対的な大きさを大きくする。よって、必要に応じて、開口12abの設定数やその大きさ等を変えることで、引き回し抵抗体の抵抗値の大きさを自由に調整することが可能となり、そのリニアリティ特性の精度(直線性)を向上させることが可能となる。よって、本実施形態では、図6において比較例に係る実線で示す等電位線ELの状態を、破線で示す斜めの等電位線ELxの状態とすることができる結果、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aにおいてX軸側の位置座標の検出精度が向上し、その正確な位置座標を検出することが可能となる。
好適な例では、各開口12abは、有効位置座標入力エリアA1内において第1の面状電極12aに一定の間隔をおいて且つ行列状に設けられているのが好ましい。また、各開口12abの大きさは、入力機器3等を用いて入力操作を行った場合に、有効位置座標入力エリアA1内において位置座標が検出可能な大きさ、例えば入力機器3の入力側の先端部等より小さい大きさに形成されているのが好ましい。そのため、各開口12abの大きさ、即ち、開口12abのX方向の距離d1及びY方向の距離d2は、約10μm〜約100μm、より好ましくは、約10μm〜約50μmに設定されているのが好ましい。また、各開口12abの平面形状は、矩形、円、楕円、三角などの周知の各種の平面形状を採用することができる。
また、本実施形態では、第1の面状電極12abに開口12abを設けることによる副次的な効果として、開口12abの位置には第1の面状電極12aが存在しないので、その分だけ透過率の向上を図ることができる。
なお、上記の例では、上記した不具合を改善するため、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aの第1の面状電極12aに当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように開口12abを設けるように構成したが、これに代え又はこれと共に、本発明では、Y軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8bの第2の面状電極12bに当該第2の面状電極12bの抵抗を大きくするように開口を設けるようにして、上記の原理に基づきY軸側の正確な位置座標を検出するように構成しても構わない。この場合、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aにおいて第1の面状電極12aに設ける各開口12abと、Y軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8bの第2の面状電極12bに設ける各開口との相対的な位置、大きさ、形状等は、同一又は非同一であっても構わない。
(応用例1)
次に、図8を参照して、本実施形態の応用例1について説明する。図8は、図3(b)に対応する前面側基板8aの断面図を示す。なお、図8において、上記した本実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
上記の実施形態では、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aにおいて、有効位置座標入力エリアA1内における第1の面状電極12aに複数の開口12abを設けた。そのため、有効位置座標入力エリアA1内の第1の面状電極12aは凹凸形状を有している。このため、各開口12abのある位置と各開口12abのない位置とでの相対的な透過率が異なってきてしまい、表示上の見栄えが変わってきてしまうという問題がある。したがって、このような問題を改善するためには、有効位置座標入力エリアA1内における複数の開口12abを有する第1の面状電極12aをできる限り平坦化することが望ましい。
そこで、応用例1では、図8に示すように、第1の面状電極12aの各開口12abに対応する位置に且つ重なる位置に、例えば透明アクリル樹脂等の透光性を有する材料よりなるフォトスペーサ70を設け、各開口12abの位置と各開口12abのない位置とをできる限り平坦化するようにしている。但し、本発明では、全ての開口12abに対応する位置に且つ重なる位置にフォトスペーサ70を設けることは必須ではなく、少なくとも1つの開口12abに対応する位置にフォトスペーサ70を設ければよい。なお、フォトスペーサ70は、既知の印刷法又はフォトリソグラフィー法を用いて形成することが可能である。これにより、各開口12abのある位置と各開口12abのない位置とで透過率をある程度揃えることができ、表示上の見栄えが変わってきてしまうのを防止できる。
(応用例2)
次に、図9(a)〜図9(c)を参照して、本実施形態の応用例2について説明する。図9(a)は、図3(a)の破線領域A10に対応する、応用例2に係る1つの態様に係る前面側基板8aの部分平面図を示す。図9(b)は、図3(a)の破線領域A10に対応する、応用例2に係る他の態様に係る前面側基板8aの部分平面図を示す。図9(c)は、図3(a)の破線領域A10に対応する、応用例2に係る更に他の態様に係る前面側基板8aの部分平面図を示す。なお、図9(a)〜図9(c)において、上記した本実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
上記の本実施形態では、有効位置座標入力エリアA1内における第1の面状電極12aに当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように複数の開口12abを設け、低抵抗化膜たる一対の第1配線13a及び13bの抵抗値と、高抵抗化膜たる第1の面状電極12aの抵抗値との相対的な大きさを大きくして、引き回し抵抗体のリニアリティ特性の精度(直線性)を向上させ、図6において比較例に係る実線で示す等電位線ELの状態を、破線で示す斜めの等電位線ELxの状態とした。これにより、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aにおいてX軸側の位置座標の検出精度を向上し、その正確な位置座標を検出するようにした。
しかし、かかる構成に比べてより一層、X軸側の位置座標の検出精度を向上するためには、かかる等電位線ELxは第1配線13a及び第2配線13bと平行な方向に延在している状態となっていることが必要である。
そこで、かかる目的を達成するため、上記した本実施形態の構成を前提としつつ、非有効位置座標入力エリアA2に設けられた第1の面状電極12aにも複数の開口12abを設ける。具体的には、応用例1に係る一つの態様では、上記した本実施形態の構成を前提としつつ、図9(a)に示すように、非有効位置座標入力エリアA2であって、第1配線13a、及び第2配線13b(図示略)の近傍に位置する第1の面状電極12aにも開口12acを設け、その開口12acの粗密を変える。そこで、開口12acの数は、電源供給側である端子部16側に位置する第1配線13aの一端側13asから他端側13aeに向かって漸次減少するように設定されていると共に、電源供給側である端子部16側に位置する第2配線13b(図示略)の一端側から当該一端側と逆側に位置する他端側に向かって漸次減少するように設定されている。換言すれば、開口12acは、開口12ac同士のピッチが電源供給側である端子部16側に位置する第1配線13aの一端側13asから他端側13aeへ向かうに従って漸次減少するように、即ち開口12acが密から粗に配置されるように形成すると共に、図示を省略するが、開口12ac同士のピッチが電源供給側である端子部16側に位置する第2配線13bの一端側から、その逆側である他端側へ向かうに従って漸次減少するように、即ち開口12acが密から粗に配置されるように形成する。換言すれば、第1の面状電極12aにおける所定の面積に占める開口12acの個数が、第1配線13aの一端側13asから他端側13aeへ向かうに従って漸次(又は段階的に)減少するように開口12acが配置されていると共に、第1の面状電極12aにおける所定の面積に占める開口12acの個数が、図示を省略するが、第2配線13bの一端側から他端側へ向かうに従って漸次(又は段階的に)減少するように開口12acが配置されている。
なお、本発明では、開口12acの数は、電源供給側である端子部16側に位置する第1配線13aの一端側13asから他端側13aeに向かって段階的に減少するように設定され、さらに、開口12acの数は、電源供給側である端子部16側に位置する第2配線13b(図示略)の一端側から当該一端側と逆側に位置する他端側に向かって段階的に減少するように設定されていても構わない。これにより、非有効位置座標入力エリアA2において、電源供給側である端子部16側からその反対側にかけて第1の面状電極12aの抵抗値を均一化でき、X軸側の位置座標読取りパネルたる前面側基板8aにおいて等電位線ELxの延在方向を第1配線13a及び第2配線13bと平行な方向に補正(設定)することができる。よって、上記した本実施形態と比べてより一層、X軸側の位置座標の検出精度を向上させることができる。
なお、かかる構成だけで本発明の作用効果を得ることも可能であり、その場合、本発明では、図10(a)に示すように、有効位置座標入力エリアA1内の第1の面状電極12aに複数の開口12abを設けない構成も採用し得る。
また、これに代えて、上記の目的を達成するため、応用例1に係る他の態様では、上記した本実施形態の構成を前提としつつ、図9(b)に示すように、非有効位置座標入力エリアA2であって、第1配線13a、及び第2配線13b(図示略)の近傍に位置する第1の面状電極12aにも開口12acを設け、その開口12acの大きさを変える。開口12acの大きさは、電源供給側である端子部16側に位置する第1配線13aの一端側13asから他端側13aeへ向かうに従って開口12acの大きさが小さくなるように(又は段階的に小さくなるように)形成すると共に、図示を省略するが、電源供給側である端子部16側に位置する第2配線13bの一端側から、その逆側である他端側へ向かうに従って開口12acの大きさが小さくなるように(又は段階的に小さくなるように)形成する。これにより、上記した応用例1に係る一つの態様と同様の作用効果を得ることができる。
なお、かかる構成だけで本発明の作用効果を得ることも可能であり、その場合、本発明では、図10(b)に示すように、有効位置座標入力エリアA1内の第1の面状電極12aに複数の開口12abを設けない構成も採用し得る。
また、これに代えて、上記の目的を達成するため、応用例1に係る更に他の態様では、上記した本実施形態の構成を前提としつつ、図9(c)に示すように、非有効位置座標入力エリアA2であって、電源供給側である端子部16側に位置する第1配線13aの一端側13asから他端側13aeへ向かうに従って、当該第1配線13aのX方向の幅が漸次大きくなるように(又は段階的に大きくなるように)形成すると共に、図示を省略するが、電源供給側である端子部16側に位置する第2配線13bの一端側から、その逆側である他端側へ向かうに従って、当該第2配線13bのX方向の幅が漸次大きくなるように(又は段階的に大きくなるように)形成する。これにより、電源供給側である端子部16側からその反対側にかけて一対の第1配線13a及び第2配線13bの抵抗値を均一化でき、上記した応用例1に係る一つの態様と同様の作用効果を得ることができる。
なお、かかる構成だけで本発明の作用効果を得ることも可能であり、その場合、本発明では、図10(c)に示すように、有効位置座標入力エリアA1内の第1の面状電極12aに複数の開口12abを設けない構成も採用し得る。
また、本発明では、上記した応用例2に係る一つの態様及び他の態様において、開口12acの平面形状及び設定位置などに限定はなく、また、上記した応用例2に係る更に他の態様においても、第1配線13a及び第2配線13bの平面形状に特に限定はない。
[変形例]
次に、図11を参照して、変形例に係る液晶表示装置111の構成等について説明する。図11は、図1に対応する、変形例に係る液晶表示装置111の断面図を示す。
図1において、上記した本実施形態のように液晶表示パネル2の前面側(観察側)にタッチパネル4を設置した構成では、タッチパネル4の表面を指や入力機器3で押圧して入力操作を行なうときに、液晶表示パネル2の表示に歪みが生じることがある。これは、入力時の押圧力によってタッチパネル4に局所的な変形が生じ、この変形によって、タッチパネル4の背面側に設けられた液晶表示パネル2の前面側基板22aに僅かではあるが僥みが発生してしまうことによる。つまり、液晶表示パネル2のギャップは高々約1μm〜約10μm程度であるので、前面側基板22aの僥みが僅かであっても、この僥みが液晶表示パネル2のギャップを局所的に大きな比率で変動させることになり、その結果、表示に干渉縞のような歪みが生じるのである。このような問題は、液晶表示パネル2の背面側基板22bの厚さを十分に薄くすることで解消することができる。
例えば、背面側基板22bの厚さを約0.1mm〜約0.4mm程度にまで薄くして基板を撓み易くした場合には、前述のように液晶表示パネル2の前面側基板22aに撓みが生じても、それに追従して背面側基板22bも撓み、ギャップは殆ど変動しなくなる。しかし、このように基板を薄くしてしまうと、基板の取り扱いが難しくなり、製造工程中に基板の割れ等を生じる場合がある。また、機械的衝撃に対して弱くなるため、携帯用途で用いる場合には、落下等による破損の問題も生じる。このように、基板の取り扱い性や耐衝撃性の面では、基板は厚いほど好ましく、表示品質の面では、基板は薄いほど好ましい。 そこで、変形例では、この双方の要求を満たすために、前面側基板22aに厚板のガラス基板を用いて取り扱い性等を向上し、その一方で、背面側基板22bの表示を行なう部分には図11に示すように基板本体24bに凹部(薄板領域)24baを形成して薄板化し、入力時の前面側基板22aの変形に対して追従できるような構成としている。また、変形例では、前面側基板22a及び背面側基板22b(凹部24baを形成しない部分)の基板の厚さを例えば約0.5mm程度としており、背面側基板22bの凹部24baの形成された部分の基板の厚さを約0.1mm〜約0.4mm程度としている。
また、上記した本実施形態のタッチパネル4において、前面側基板8aを構成する基板本体11aには、硬質のガラス基板が使用されている。硬質のガラス基板はプラスチックフィルム基板に比べて柔軟性が劣るため、入力時の荷重が小さいと、十分に入力を行なうことができないという問題がある。そこで、上記した本実施形態では、前面側基板8aの厚さを約0.1mm〜約0.2mm程度にまで薄くしている。
しかしながら、このように基板を薄くしてしまうと、基板の取り扱いが難しくなり、上記したような問題が生じる。このように、ガラス基板を用いる場合には、基板の取り扱い性や入力装置の耐久性、耐衝撃性の面では、基板は厚いほど好ましく、入力のし易さや検出精度の面では、基板は薄いほど好ましい。そこで、変形例では、この双方の要求を満たすために、前面側基板8a及び背面側基板8bの厚さを約0.5mm程度とし、その一方で、少なくとも前面側基板8aの基板本体11aの座標入力を行なう部分には図11に示すような凹部(薄板領域)11abを形成して薄板化し、その凹部11abが形成された部分の基板の厚さを約0.1mm〜約0.2mm程度としている。
このように、変形例では、前面側基板8a(凹部11abを形成しない部分)及び背面側基板8bの基板の厚さを、液晶表示パネル2の前面側基板22a及び背面側基板22bの厚さと同程度の厚さとしている。前述のように、本実施形態のタッチパネル4は、2枚のガラス基板をシール材9によって一体化した構造を有するため、基本的には液晶表示パネル2を製造するのと同じ方法で製造することが可能である。このため、タッチパネル4の一対の前面側基板8a及び背面側基板8bの厚さを液晶表示パネル2の一対の前面側基板22a及び背面側基板22bの厚さと略同じ厚さとすれば、タッチパネル4の製造ラインを液晶表示パネル2の製造ラインと共通化することが可能になるという利点がある。
また、変形例では、偏光板6a及び6bのうち、タッチパネル4の観察側に設けられた偏光板6aは、前面側基板8aに形成された凹部11ab内に設置されている一方、液晶表示パネル2の観察側とは反対側に設けられた偏光板6bは、背面側基板22bに形成された凹部24ba内に設置されている。このように、変形例では、偏光板6a及び6bを前面側基板8a及び背面側基板22bの凹部11ab及び24baに夫々配置しているため、その分、液晶表示装置111を薄型化することができる。
なお、図11では、光学フィルムとして偏光板6a及び偏光板6bのみ示したが、円偏光モードを採用する場合には、更に、光学フィルムとして1/2波長板や1/4波長板等の位相差板を設置することもできる。位相差板を設置する場合には、偏光板6a及び6bと同様に、これらを基板の凹部11ab及び24baに配置することが好ましい。ただし、タッチパネル4の前面側基板8aに偏光板(第1の光学フィルム)6aと位相差板(第2の光学フィルム)とを積層した場合には、これらの光学部材の総厚が大きいと、入力時の押圧力が座標入力面に十分に伝わらなくなるため、このような場合には、偏光板6aと位相差板とをタッチパネル4の上下に貼り分ける(即ち、第1の光学フィルムである偏光板6aをタッチパネル4の前面側基板8aの凹部11ab内に配置し、第2の光学フィルムである位相差板をタッチパネル4と液晶表示パネル2との間に配置する)ことが好ましい。こうすることによって、入力操作を行ない易くなる。
また、上記の各実施形態等では、第1の面状電極12aに開口12abが等間隔でマトリクス状に配置される構成について説明した。しかし、本発明では、リニアリティ特性の直線性を向上できるのであれば、有効位置座標入力エリアA1内におけるランダムな位置に開口12abが配置されても良い。
また、本発明では、開口12ab及び/又は開口12acは、当該開口12ab及び/又は開口12acの底部に第1の面状電極12aの一部が残るような形状でも良い。
なお、上記の本実施形態、各種の応用例及び変形例に夫々示したタッチパネルや液晶表示パネルの構成は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々の変更が可能である。また、本発明の液晶表示装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明では、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出素子を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等)などの各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
[液晶表示装置の製造方法]
次に、上記の適当な図面、及び、図12乃至図15を参照して、本実施形態に係る液晶表示装置1等の製造方法について説明する。
図12は、本実施形態に係る液晶表示装置1等の製造方法のフローチャートを示す。図13は、図12の工程S1に対応する、タッチパネル4の製造方法のフローチャートを示す。図14及び図15は、図13に対応するタッチパネル4の製造工程を示す。なお、図14及び図15では、便宜上、後述のタッチパネル形成領域に対応する、タッチパネル4の構成要素のみ示す。
まず、タッチパネル4を作製する(工程S1)。その製造方法では、複数のタッチパネル4が形成されるべき領域(以下、「タッチパネル形成領域」と称する)を有する大面積のマザー基板を用いて、その複数のタッチパネル4を一括して形成し、その後、その各領域を切断することによって個々のタッチパネル4を作製する方法を採用する。
具体的には、まず、図14(a)に示すように、複数のタッチパネル形成領域を含み前面側基板8aとなる第1のマザー基板101aを用意する。ここで、第1のマザー基板101aとしては、厚さが約0.5mm程度の厚板のガラス基板を用いる。
次に、図14(a)に示すように、第1のマザー基板101a上に高抵抗膜であるITO等の透光性導電膜12axをスパッタ法又は蒸着法により形成し、続いて、透光性導電膜12ax上に低抵抗膜である銀等の金属膜13xをスパッタ法又は蒸着法により形成する(工程P1)。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、上層側の金属膜13xをエッチングして、図14(b)、図2(a)及び図3に示すように、第1配線13a及び第2配線13bの形状にパターニングする(工程P2)。これにより、非有効位置座標入力エリアA2に対応する位置に第1配線13a及び第2配線13bが夫々形成される。また、工程P2では、必要に応じて、図9(c)に示すように、第1配線13a(及び/又は第2配線13b)の形状を、上記した応用例2に係る更に他の態様の形状のように形成しても構わない。
次に、図14(c)に示すように、第1配線13a及び第2配線13bの下層側に配置された透光性導電膜12axをエッチングして第1の面状電極12aの形状にパターニングすると共に、有効位置座標入力エリアA1内に位置する第1の面状電極12aに当該第1の面状電極12aの抵抗を大きくするように複数の開口12abを形成する(工程P3)。これにより、第1の面状電極12aが形成され、さらに有効位置座標入力エリアA1内に位置する第1の面状電極12aに複数の開口12abが形成される。なお、各開口12abの形状及び大きさ、並びに各開口12abの間隔などは上記した実施形態の構成を採用することができる。また、工程P3では、必要に応じて、図9(a)及び図9(b)に夫々示すように、非有効位置座標入力エリアA2に対応する透光性導電膜12axに、上記した応用例2に係る一つの態様及び他の態様で開口12acを形成するようにしても構わない。
次に、図8に示すように、必要に応じて、印刷法又はフォトリソグラフィー技術を用いて、第1の面状電極12a上にアクリル樹脂などの透光性材料を塗布し、その後、その透光性材料をエッチングして第1の面状電極12aの複数の開口12のうち、少なくとも1つの開口12abに対応する位置にフォトスペーサ70を形成する(工程P4)。なお、本発明では、第1のマザー基板101a上に、アクリル樹脂などの透光性材料を塗布し、その後、透光性材料上に透光性導電膜12axを形成し、その後、金属膜13xを形成し、その後、上記した方法で第1配線13a及び第2配線13b、第1の面状電極12a等を順次形成し、さらに、フォトリソグラフィー技術等を用いて、第1の面状電極12aの各開口12abが形成されるべき位置に且つ重なる位置にフォトスペーサ70を形成するようにしても構わない。
以上のようなプロセスを採用することで、第1の面状電極12a及び第2の面状電極12bと、第1配線13a及び第2配線13b並びに補助用配線18により構成される配線部との界面抵抗の小さい膜構造を得ることができ、更にフォトリソグラフィー技術によって狭額縁の配線部を形成することが可能になる。
また、上記同様の作製方法により対向側基板も作製する。
具体的には、図14(a)に示すように、複数のタッチパネル形成領域を含み前面側基板8bとなる第2のマザー基板101bを用意する。ここで、第2のマザー基板101bとしては、厚さが約0.5mm程度の厚板のガラス基板を用いる。また、一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bの厚さが夫々異なると、後述する図13の工程R4においてそれらの基板を切断するときに応力が分散してうまく切断できなくなるため、第2のマザー基板101bの厚さは、第1のマザー基板101aの厚さと略同じ厚さとする。
次に、図14(a)に示すように、第2のマザー基板101b上に高抵抗膜であるITO等の透光性導電膜12bxをスパッタ法又は蒸着法により形成し、続いて、透光性導電膜12bx上に低抵抗膜である銀等の金属膜14xをスパッタ法又は蒸着法により形成する(工程Q1)。次に、フォトリソグラフィー技術を用いて、上層側の金属膜14xをエッチングして、図1及び図2(a)に示すように、第1配線14a及び第2配線14bの形状にパターニングする(工程Q2)。これにより、非有効位置座標入力エリアA2に対応する位置に第1配線14a及び第2配線14bが夫々形成される。また、工程Q2では、図2(a)に示すように、補助用配線18及び端子部16も形成する。また、工程Q2では、必要に応じて、図9(c)に示すように、第1配線14a(及び/又は第2配線14b)の形状を、上記した応用例2に係る更に他の態様の形状のように形成しても構わない。
次に、第1配線14a及び第2配線14bの下層側に配置された透光性導電膜12bxをエッチングして、図2(a)等に示すように第2の面状電極12bの形状にパターニングすると共に、必要に応じて、有効位置座標入力エリアA1内に位置する第2の面状電極12bに、当該第2の面状電極12bの抵抗を大きくするように上記した複数の開口12abと同様の複数の開口を形成する(工程Q3)。これにより、第2の面状電極12b、及び、必要に応じて当該第2の面状電極12bに複数の開口が形成される。なお、当該各開口の形状及び大きさ、並びに当該各開口の間隔などは上記した実施形態の構成を採用することができる。また、工程Q3では、必要に応じて、図9(a)及び図9(b)に夫々示すように、非有効位置座標入力エリアA2に対応する透光性導電膜13axに、上記した応用例2に係る一つの態様及び他の態様で、開口12acと同様の開口を形成するようにしても構わない。
次に、図示を省略するが、図8のように、必要に応じて、印刷法又はフォトリソグラフィー技術を用いて、第2の面状電極12b上にアクリル樹脂などの透光性材料を塗布し、その後、その透光性材料をエッチングして第2の面状電極12bに設けられた複数の開口のうち、少なくとも1つの開口に対応する位置にフォトスペーサ70を形成する(工程Q4)。
次に、図15(a)に示すように、第1のマザー基板101a又は第2のマザー基板101bの各タッチパネル形成領域の周縁部に枠状のシール材9を印刷法等により形成する(工程R1)。ここで、形成したシール材9の一部には液状材料15を注入するための注入口(図示略)を形成する。また、第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bの各タッチパネル形成領域のうち、一方のマザー基板には、シリコーンやウレタン等の柔らかい素材によって、前面側基板8aに加わる衝撃を緩和するための緩衝部材を形成することが好ましい。この緩衝構造は、ギャップ制御用のスペーサ構造と兼用させてもよい。続いて、図示を省略するが、第1のマザー基板101aの各タッチパネル形成領域と、第2のマザー基板101bの各タッチパネル形成領域とが互いに対向するように配置し、第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bのうち一方のマザー基板を他方のマザー基板側に押圧して貼り合わせる(工程R2)。図15(a)には、一対の第1配線13a及び第2配線13bと、一対の第1配線14a及び第2配線14bとが直交するように、一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bが互いに対向するように貼り合わされた状態が示されている。なお、一点鎖線C1及びC2は、第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bを後述の工程R4において切断する際の切断線を示している。
次に、図15(b)に示すように、第1のマザー基板101aの座標入力面側をフッ酸系のエッチング溶液を用いてケミカルエッチングし、第1のマザー基板101aの厚さが約0.1mm〜約0.2mm程度となるように薄板化する(工程R3)。また、上記した変形例に係る液晶表示装置111の態様の場合、工程R3では、図11のように、少なくとも第1のマザー基板101aの座標入力面となる部分を選択的に薄板化し、凹部(薄板領域)11abを形成する。この場合、工程R3では、少なくとも第1のマザー基板101aの座標入力面となる部分以外の部分をレジスト等によってマスキングしてから、フッ酸系のエッチング溶液を用いてケミカルエッチングし、凹部11abの形成された部分の基板の厚さが約0.1mm〜約0.2mmとなるようにする。このように、第1のマザー基板101aの周縁部を約0.5mm程度と厚くして額縁状に形成することにより、後述の切断作業を容易且つ的確に行い得る。
次に、貼り合わせた一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bを個々のタッチパネル形成領域の周縁に沿って切断し、さらに図15(b)に示すように、第1のマザー基板101aを切断線C1に沿って切断すると共に、第2のマザー基板101bを切断線C1及びC2に沿って切断することにより、液状材料15を注入する前のタッチパネルが複数得られる(工程R4)。
次に、図示を省略するが、液晶材料15を注入する前のタッチパネルの注入口から一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bのギャップ内に液状材料15を真空注入し、この注入口にモールド樹脂等の封止材を充填し、この封止材を硬化させて注入口を封止する(工程R5)。こうして、図15(c)に示すように、タッチパネル4が製造される。
なお、本例では液状材料15を真空注入によって充填したが、液状材料15の充填は次の方法により行なうこともできる。まず、一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bのうち、一方のマザー基板に封入口のない枠状のシール材9を形成し、このマザー基板又は他方のマザー基板に液状材料15を液滴状に配置する。そして、真空条件下でこれらのマザー基板を貼り合わせ、シール材9を硬化する。そして、最後に一対の第1のマザー基板101a及び第2のマザー基板101bを切断して、複数のタッチパネル4に分離する。
図12に戻り、図1に示す液晶表示パネル2を既知の方法により作製する(工程S2)。 本製造方法では、上記したタッチパネル4の製造方法と同様に、複数の液晶表示パネル2となるべき領域を有する大面積のマザー基板を用いて複数の液晶表示パネル2を一括して形成し、その各領域を切断することによって個々の液晶表示パネル2に分離する方法を採用するのが好ましい。また、本製造方法では、前面側基板22a及び背面側基板22bとしては、厚さが約0.5mm程度の厚板のものを用いるのが好ましい。これは、タッチパネル4の製造ラインと、液晶表示パネル2の製造ラインとを共通化することが可能になるからである。また、図11に示す液晶表示パネル2を作製する場合には、観察側と逆側に配置される基板本体24bの有効表示領域以外の部分をレジスト等によってマスキングしてから、フッ酸系のエッチング溶液を用いてケミカルエッチングし、凹部24baの形成された部分の基板の厚さが約0.1mm〜約0.4mmとなるようにする。なお、タッチパネル4と液晶表示パネル2の作製順序は図12に示す例と逆でも構わない。
次に、タッチパネル4と液晶表示パネル2とを貼り合わせる(工程S3)。
具体的には、図1を参照して分かるように、液晶表示パネル2の前面側基板22aと、タッチパネル4の背面側基板8bとを接着剤50によって光学接着する。接着剤50としては、シリコンゲル等の透光性の弾性体を用いることが好ましい。このように弾性体を用いることで、入力操作時の応力が緩和され、液晶表示パネル2の表示歪みを改善することができるからである。また、タッチパネル4と液晶表示パネル2を光学接着することで、光の口スが更に低減され、明るい表示が可能になる。なお、接着剤50としては、両面テーブ等を用いることも可能である。この場合、両面テープを基板の周縁部に環状に設け、液晶表示パネル2とタッチパネル4との間に隙間を設けることが好ましい。こうすることによって、入力時の応力を液晶表示パネル2側に直接伝えない構造とすることができる。
次に、タッチパネル4の前面側基板8aの前面(観察側の面)に偏光板6aを取り付けると共に、液晶表示パネル2の背面側基板22bの背面(観察側とは反対側の面)に偏光板6bを取り付ける(工程S4)。なお、図11に示す態様の場合には、各偏光板6a、6bは、それぞれタッチパネル4の前面側基板8aに形成された凹部11ab内、及び、液晶表示パネル2の背面側基板22bに形成された凹部24ba内に夫々配置する。
以上の各工程を経てタッチパネル一体型の液晶表示装置1等が製造される。こうして製造された液晶表示装置1等は、上記した本発明の作用効果を得ることができる。
また、本製造方法では、以下のような効果が得られる。
本製造方法では、タッチパネル4の前面側基板8a及び背面側基板8bの双方を硬質のガラス基板によって構成しているため、入力操作時に基板が過度に変形することを抑えることができる。このため、第1の面状電極12a及び12b、並びに、第1配線13a及び第2配線13bにクラック等が発生しにくくなり、従来よりも耐久性の高い液晶表示装置が得られる。また、高温の熱処理が可能であるため、第1の面状電極12a及び第2の面状電極12bの膜質を改善して明るい液晶表示装置を実現することができる。また、本製造方法では、タッチパネル4の前面側基板8aの座標入力面を薄板化しているため、入力操作に伴う入力荷重を低減でき、位置座標の検出精度も高めることができる。また、図11に示すように、前面側基板8a全体を薄板化するのではなく、少なくとも座標入力面に対応する部分を選択的にエッチングして薄型化した場合には、製造時の基板の取り扱い性や耐衝撃性が損なわれることはない。また、このように前面側基板8aに薄板領域を設けた場合には、前面側基板8aの重量も少なくなるため、タッチパネルの軽量化にも寄与する。また、通常の半導体プロセスを用いることができるので、界面抵抗の小さい導電膜を形成することができ、更にエッチング等の手法を用いれば、極めて細い配線パターン(第1配線13a及び14a、第2配線13b及び14b、補助用配線18、端子部16に相当)を形成することができるため、配線領域の狭額縁化も可能になる。
また、本製造方法では、液晶表示パネル2の背面側基板22bをエッチングして前記座標入力面に対応する部分を薄板化しているため、タッチパネル4の入力操作に起因する表示の歪みを改善することができる。また、このように、背面側基板22bに薄板領域を形成することで、液晶表示パネル2の軽量化にも寄与する。また、図11に示す態様の液晶表示装置111を作製する場合、偏光板6a、6bは、上記した凹部11ab及び24ba内に夫々配置されるため、この凹部11ab及び24ba内の深さ分だけ液晶表示装置11を薄型化することができる。
また、本製造方法では、タッチパネル4のギャップ内に屈折率調整用の液状材料15を封入しているため、更に明るい表示が可能である。また、封入された液状材料15は、入力時の応力を緩和するためのクッションとして機能するため、タッチパネル4の耐衝撃性も高めることができる。また、本製造方法では、タッチパネル4と液晶表示パネル2とを透光性の弾性体としての接着剤50によって光学接着しているため、更に明るく且つ歪みの少ない表示が可能になる。
[電子機器]
以下、上述の液晶表示装置1等を備えた電子機器の具体例について説明する。なお、本発明では、かかる液晶表示装置1以外にも、上記した各種の応用例及び変形例に係る液晶表示装置も勿論適用可能である。
図16は、本発明の電子機器の一例であるハンディターミナル1000を示す斜視図である。図16において、ハンディターミナル1000は本発明の入力装置であるタッチパネル一体型の液晶表示装置1、操作キー1001、及び電源入力スイッチ1002を有する。本例のハンディターミナル1000は、操作キー1001に印刷されたアイコンや、タッチパネル4の下に配置された液晶表示パネル2(図示略)の画面を見ながら、タッチパネル4上の位置を直接押圧することによって、データ入力を行なうものである。このハンディターミナル1000は、入力装置として前述した本発明のタッチパネル4を備えているため、明るい表示が可能で且つ操作性にも優れ、更に信頼性も高い電子機器となる。
なお、本発明のタッチパネル一体型の液晶表示装置1等は、上記したハンディターミナル1000に限らず、種々の電子機器に搭載することができる。この電子機器としては例えば、携帯電話、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末等があり、このタッチパネル一体型液晶表示装置1等はこれらの画像表示手段兼入力手段として好適に用いることができる。
1、111 液晶表示装置、 2 液晶表示パネル、 3 入力機器、 4 タッチパネル、 8a、22a 前面側基板、 8b、22b 背面側基板、 12a 第1の面状電極、 12ab、12ac 開口、 12b 第2の面状電極、 13a、14a 第1配線、 13b、14b 第2配線、 16 端子部、 18 補助用配線、 1000 ハンディターミナル、 A1 有効位置座標入力エリア、 A2 非有効位置座標入力エリア