JP2007246562A - 高外観耐候性ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

高外観耐候性ポリアミド樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの産業用材料に好適な、過度の熱や光の環境下において、変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性に優れる高外観ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリアミド66とポリアミド6からなり、かつ末端がモノカルボン酸あるいはモノアミンで1〜70(ミリ当量/Kg)封鎖されている共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、アパタイト化合物(B)0.1〜30質量部、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)から一種以上選ばれたポリアミド成分10〜1000質量部からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)5〜250質量部、ヒンダードフェノール類(E)0.01〜5.0質量部、ヒンダードアミン類(F)0.01〜5.0質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド樹脂組成物に関し、更に詳しくは、得られる成形体が、過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性などに優れるポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は、機械特性をはじめとして、耐薬品性および成形加工性など優れた特性を有するため、従来から自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの各種部品に広く利用されている。しかしながら、近年、産業の高度化に伴い、ポリアミド樹脂成形体に、従来にない多様な特性を求められるようになってきている。より具体的にいえば、高濃度の強化フィラーを含有しているにも拘らず、高外観性を要望され、過度の外力、熱、紫外線などの光が加えられるような厳しい環境下で使用可能な高耐久性のポリアミド樹脂材料が強く要望されている。この様な状況に鑑み、ポリアミド樹脂の特性を向上させることを目的に、安定性に優れるポリアミド樹脂組成物を提案されている(例えば、特許文献1参照。)。該組成物は従来のポリアミド樹脂と比較して、マトリックスであるポリアミド中に均一にかつ微細に分散し、その界面においてポリアミドに極めて良好に固着、接着しているアパタイト型化合物を含有するポリアミド複合体に安定剤を配合して成るポリアミド脂組組成物であるが、従来のポリアミド樹脂と比較し、過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性などの安定性に優れるポリアミド樹脂組成物であった。しかしながら、年々耐熱変色性や耐候性などの要求スペックが厳しくなり、十分満足出来なくなってきた。
特開2001−234059号公報
本発明の目的は、得られる成形体が、過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性などの安定性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂に特定量のアパタイト化合物を含有させた特定のポリアミド樹脂複合体に、特定の安定剤を配合したポリアミド樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)ポリアミド66とポリアミド6からなり、かつ末端がモノカルボン酸あるいはモノアミンで1〜70(ミリ当量/Kg)封鎖されている共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、アパタイト化合物(B)0.1〜30質量部、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)から一種以上選ばれたポリアミド成分10〜1000質量部からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)5〜250質量部、ヒンダードフェノール類(E)0.01〜5.0質量部、ヒンダードアミン類(F)0.01〜5.0質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ヒンダードフェノール類(D)に対し、ヒンダードアミン類(E)が1.1〜5倍含有する事を特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物から得られることを特徴とする成形品。
である。
過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性などの安定性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における共重合ポリアミド成分(A)は、ポリアミド66(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド6(カプロアミド)ならびに末端封止剤としてモノカルボン酸あるいはモノアミンを含有している。本発明の共重合ポリアミド中のポリアミド66単位の含有量は90〜99.9質量%であり、より好ましくは95〜99.5質量%であり、更に好ましくは97〜99.5質量%である。
ポリアミド66単位とポリアミド6単位との含有量は、1Hあるいは13C−核磁気共鳴法(NMR)や熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)/MS法を用いて測定することができる。共重合ポリアミド成分(A)中のポリアミド66単位が90〜99.9質量%の範囲であれば、外観の低下やガス発生による金型汚染も無く、得られる成形品は強度や吸水剛性などに優れる。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)の末端カルボキシル基濃度[COOH](ミリ当量/Kg)と末端アミノ基濃度(ミリ当量/Kg)は、その和[COOH]+[NH]が約50〜200(ミリ当量/Kg)であり、かつその比[COOH]/[NH]が0.1〜10程度の範囲にあることが好ましい。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)は、末端基封鎖剤としてモノカルボン酸あるいはモノアミンを含有している。該末端封止剤の含有量([末端封止剤](ミリ当量/Kg))は1〜70(ミリ当量/Kg)であり、好ましくは5〜50(ミリ当量/Kg)であり、更に好ましくは10〜30(ミリ当量/Kg)である。末端基封鎖剤であるモノカルボン酸あるいはモノアミンの含有量は、経験則から、下記式により求まることがわかっている。すなわちASTM D789に準じて測定して求まる分子量(RV)、測定した末端カルボキシル基濃度[COOH]及び末端アミノ基濃度[NH]を用いて、下記式から算出できる。
重合度(DP)=((RV)/10−0.725)1/1.285
総末端基数(ミリ当量/Kg)=(2/DP)×106/226=([COOH]+[NH]+[末端封止剤]従って、[末端封止剤]=(2/DP)×106/226−([COOH]+[NH])モノカルボン酸あるいはモノアミンの量が1〜70(ミリ当量/Kg)の範囲の場合には、成形時の溶融粘度が安定し、熱分解成分による金型の汚染の低減効果がある。
前記モノカルボン酸は、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げることができる。
本発明では、これらのモノカルボン酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。本発明においては、これらモノカルボン酸の中でも、酢酸、安息香酸が好ましく用いられる。前記モノアミンとは、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族モノアミンなどを挙げることができる。本発明では、これらのモノアミンを1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で、銅化合物およびハロゲン銅以外のハロゲン化合物の混合物を熱安定剤として加えてもかまわない。かかる銅化合物は、銅元素の金属化合物を挙げることができ、例えば、銅のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、プロピオオン酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、テレフタル酸塩、サルチル酸塩、ニコチン酸塩、ステアリン酸塩や、エチレンジアミン(en)、エチレンジアミン四酢酸等のキレート化合物など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、好ましいものとしては、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、酢酸銅を挙げることができる。かかるハロゲン銅以外のハロゲン化合物は、臭素あるいはヨウ素と元素周期律表の1あるいは2族の金属元素との塩であり、好ましいものとしては、臭化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができ、中でも最も好ましいものとしては、ヨウ化カリウムを挙げることができる。本発明の銅化合物とハロゲン銅以外のハロゲン化合物との配合量は、良好な金型汚染性や靭性を有するために、共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.75質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部が最も好ましい。
本発明においては、銅化合物とハロゲン銅以外のハロゲン化合物とは、組み合わせて用いるが、金型汚染性がより改善されるという観点から、ハロゲン元素と銅元素とのモル比が1〜50の範囲が好ましく、10〜30の範囲がより好ましい。共重合ポリアミド成分(A)に銅化合物とハロゲン銅以外のハロゲン化合物を配合する方法は、例えば、該化合物を共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料に配合する方法、共重合ポリアミド成分(A)の重合過程で配合する方法、共重合ポリアミド成分(A)のペレット表面に付着させる方法、共重合ポリアミド成分(A)に溶融混練法により配合する方法、マスターバッチとして共重合ポリアミド成分(A)に配合する方法など、あるいはこれらの方法を組み合わせて配合する方法など、いずれの方法を用いてもかまわない。本発明においては、中でも共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料に配合する方法が好ましい方法として挙げることができる。
本発明で用いられるアパタイト化合物(B)は、下記一般式で示される。
(Y)10―Z(HPO(PO6―Z(X)2―Z・nH
ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、(Y)は金属元素、また(X)は陰イオンまたは陰イオン化合物であるが、成形性および物性の観点から0≦z<1、0≦n≦4であることがより好ましい。
前記金属元素(Y)は、得られる共重合ポリアミド樹脂組成物の成形性、物性の点から、モル比にして50〜100%がカルシウムであることが好ましく、モル比にして75〜100%がより好ましく、更には80〜100%が好ましく、85〜100%がカルシウムであることが最も好ましい。一方、カルシウム以外の金属元素としては、カルシウム以外の元素周期律表の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13族元素およびスズ、鉛を挙げることができる。これらカルシウム以外の金属元素は1種であっても、2種以上であってもかまわない。本発明においては、カルシウム以外の金属元素として好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、鉛、スズあるいはこれらの2種以上からなる混合物を挙げることができる。
前記一般式中の(X)で示される陰イオンまたは陰イオン化合物としては、水酸イオン(OH)、フッ素イオン(F)、塩素イオン(Cl)などを挙げることができる。これら陰イオン元素または陰イオン化合物は1種であっても、2種以上であってもかまわない。また、本発明においては、前記一般式中のリン酸水素イオン(HPO 2−)、リン酸イオン(PO 3−)、あるいは(X)の一部が炭酸イオン(CO 2−)に置換した炭酸含有アパタイトであってもよい。本発明においては、前記アパタイトの中、最も好ましく用いられるものとして、金属元素(Y)がカルシウムである水酸アパタイト((X)が水酸イオン)、フッ素化アパタイト((X)の一部または全部がフッ素イオン)、塩素化アパタイト((X)の一部または全部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタイト、炭酸含有フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化アパタイト、さらには、これらの混合物が最も好ましく用いられる。
本発明のアパタイト化合物(B)の存在確認は、例えば、共重合ポリアミド樹脂組成物のペレットや成形品などを用いて広角X線回折などで直接確認する方法や、ペレットや成形品などを共重合ポリアミド成分(A)が可溶なフェノール溶媒等に浸し共重合ポリアミド成分(A)を除去し、残った成分を広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで確認する方法などによれば良い。広角X線回折の場合には、金属元素がカルシウムである水酸アパタイトを例にとると、2θで約25.9、31.7および32.6(度)に観測される(002)、(211)および(300)面に起因するピークの存在により、アパタイト化合物(B)の存在を確認することができる。
本発明では、アパタイト化合物(B)のリンに対する金属元素の比は、モル比にして1.2〜2.0が好ましく、1.3〜1.8が特に好ましい。このモル比の範囲では強度、靱性などの物性に優れ、良好な成形性を有する。
本発明のアパタイト化合物(B)を形成する合成原料は、好ましくは共重合ポリアミド成分(A)の重合条件下でアパタイトを形成するものであり、より具体的には、リン酸系金属化合物や、リン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合物などを挙げることができるが、本発明では、リン酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合物であることがより好ましい。
前記リン酸系金属化合物としては、リン酸一水素カルシウム(CaHPO・mHO、但し0≦m≦2である。)、二リン酸二水素カルシウム(CaH)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(HPO・HO)、二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca(PO)、リン酸四カルシウム(Ca(POO)、リン酸八カルシウム五水和物(Ca(PO・5HO)、亜リン酸カルシウム一水和物(CaHPO・HO)、次亜リン酸カルシウム(Ca(HPO)、リン酸マグネシウム第二・三水和物(MgHPO・3HO)、リン酸マグネシウム第三・八水和物(Mg(PO・8HO)、リン酸バリウム第二(BaHPO)などを挙げることができる。
これらの中でも、物性と経済性の観点から、リン酸一水素カルシウム(CaHPO・mHO、但し0≦m≦2である。)がより好ましく用いられ、特に無水リン酸一水素カルシウム(CaHPO)とリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)が最も好ましく用いられる。
本発明におけるリン酸系金属化合物は、リン酸一水素カルシウム(CaHPO・mHO、但し0≦m≦2である。)を例にとると、Phosphorusand its Compounds,1(1958)で記載されているVan WazerによるCaOHO−P系の状態図が示すように、水の存在下、リン酸化合物とカルシウム化合物を混合することによる公知の方法で得ることができる。より具体的には、例えば、20〜100℃の温度下、リン酸二水素カリウム溶液に、リン酸アルカリ溶液および塩化カルシウム溶液を滴下し反応させ合成する方法や、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムとリン酸水溶液を混合する方法などによれば良い。
本発明における非リン酸系金属化合物としては、前記リン酸類以外で金属元素と化合物を形成するものであれば特に制限はなく、金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化マンガンなど)、金属塩化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化マンガンなど)、金属フッ化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウムなど)、金属臭化物(臭化カリウム、臭化カルシウムなど)が挙げられる。また、金属炭化物(炭化カルシウムなど)、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アルミニウムなど)、硫酸金属塩(硫酸カルシウムなど)、硝酸金属塩(硝酸カルシウムなど)、ケイ酸金属塩(ケイ酸カルシウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなど)などの無機金属化合物や、金属元素とモノカルボン酸との化合物(酢酸カルシウム、酢酸銅、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、金属元素とジカルボン酸との化合物(しゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウムなど)、金属元素とトリカルボン酸との化合物(クエン酸カルシウムなど)などを挙げることができる。本発明では、これらの非リン酸系金属化合物は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせても良い。
本発明では、これら化合物の中でも、経済性および物性がより優れていることから、金属水酸化物、金属フッ化物、炭酸金属塩、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。特にナトリウム、カリュウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、フッ化物、炭酸塩、あるいはこれらの混合物がより好ましく、その中でも水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムが最も好ましく用いられる。
非リン酸系金属化合物の製造方法は特に制限されるものでなく、例えば炭酸カルシウムの場合を例にとると、天然材の粉砕品であっても、化学的に合成されたものであってもかまわない。また、その結晶形態や形状も特に制限されるものではなく、炭酸カルシウムの場合を例にとると、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、アラゴナイト型炭酸カルシウム、バテライト型炭酸カルシウム、針状型炭酸カルシウムなど、あるいはこれらの混合品など、いずれを用いてもかまわない。
本発明のアパタイト化合物(B)を形成する合成原料のリンに対する金属元素の比は、モル比にして1.2〜2.0が好ましく、1.3〜1.8が特に好ましい。このモル比の範囲では、成形性が良好であり、強度、伸度などの物性が優れている。
本発明のアパタイト化合物(B)であるリン酸系金属化合物や非リン酸系金属化合物は、好ましい平均粒子径が0.001〜10μm、より好ましくは0.001〜5μm以下、さらに好ましくは0.001〜1μmである。平均粒子径の測定は、アパタイト化合物(B)を純水あるいはアルコール類中に分散させ、超音波処理を行った後、レーザ回折/散乱式粒度分布装置で測定する方法によれば良い。
本発明において、共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂を製造することが好ましい。共重合ポリアミド樹脂の製造方法は、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料に、アパタイト化合物(B)を形成する合成原料を配合し、次いで共重合ポリアミド成分(A)の重合とアパタイト化合物(B)を合成する方法であれば良い。より好ましい方法は、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料との配合物を、減圧下、または常圧下、または加圧下に加熱し、共重合ポリアミド成分(A)をアパタイト化合物(B)を形成する合成原料の存在下に重合し、その後アパタイト化合物(B)を形成する合成原料を合成する方法や、あるいはアパタイト化合物(B)を形成する合成原料を共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料の存在下に反応させ、その後共重合ポリアミド成分(A)を重合する方法である。
特に好ましい方法は、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料との配合物を用いて、減圧下または常圧下または加圧下、40〜300℃の温度下で、共重合ポリアミド成分(A)の重合反応およびアパタイト化合物(B)の合成反応を同時並行的に進行させる方法である。
前記共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料との好ましい配合方法は、より具体的には、固体状の共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料とを直接混合する方法、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料水溶液とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料の水溶液や懸濁液とを配合する方法などのいずれによっても良い。また、アパタイト化合物(B)を形成する合成原料の分散性を向上させるために、必要に応じて、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料やアパタイト化合物(B)を形成する合成原料に分散剤や錯化剤などの化合物を添加しても良い。
共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂の好ましい重合方法は、より具体的には、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料(ヘキサメチレンアジパミド、カプロラクタム、末端封止剤)水溶液に、アパタイト化合物(B)を形成する合成原料を配合して、必要に応じて例えば、銅化合物とヨウ素銅以外のヨウ素化合物との水溶液、消泡剤等の混合物を用いて、40〜300℃の温度下、加熱濃縮し、発生する水蒸気圧を常圧〜20気圧の間の圧力に保ち、最終的には圧力を抜き常圧あるいは減圧し重縮合を行う熱溶融重縮合法である。さらには、共重合ポリアミド重縮合物や共重合ポリアミド固体塩の融点以下の温度で行う固相重合法、ジカルボン酸ハライド、ラクタムのハライド、モノカルボン酸ハライド成分等を用いて溶液中で重縮合させる溶液法なども用いることができる。これらの方法は必要に応じて組合せてもかまわない。
また、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に制限されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂の分子量は、良好な成形性や靭性を有するために、ASTM D789に準じて測定して求まる分子量(RV)は、20〜500が好ましく、25〜350がより好ましく、30〜300が最も好ましい。分子量(RV)は、溶媒として90質量%蟻酸水溶液を用いて、3gサンプル/30ml溶媒の濃度で、25℃の温度条件下で行う。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂のアパタイト化合物(B)の含有量は、押出や成形加工が問題なくでき、剛性、強度の向上が達成し得るには、本発明のポリアミド樹脂組成物中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部である必要があり、より好ましくは1〜25質量部、特に好ましくは2.5〜20質量部である。アパタイト化合物(B)の含有量は、例えば、ペレットや成形品などをJIS R3420に従って強熱減量(Ig.loss)を測定し、その質量減少量から求めることができる。具体的には、試料(ペレット、成形品)を十分乾燥した後、白金皿に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その質量を量り、アパタイト化合物(B)の含有量を定量する。
本発明の共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂のアパタイト成分(B)は、有機物を含有していることが好ましい。該有機物は、共重合ポリアミド成分(A)の重合過程で、アパタイト化合物(B)が合成されることにより、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料および/または共重合ポリアミド成分(A)がアパタイト化合物(B)と物理的、化学的に相互作用した結果、アパタイト化合物(B)に含有される有機物である。このことから、本発明の有機物は、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料および/または共重合ポリアミド成分(A)である。特にマトリックスである共重合ポリアミド成分(A)との固着、接着性がより向上する点から、有機物の少なくとも一部は共重合ポリアミド成分(A)であることが好ましい。
また、有機物には、水が含有されてもかまわない。本発明では、アパタイト化合物(B)に残存する前記有機物は、押出や成型加工に優れ靭性を有するために、アパタイト化合物(B)100質量部あたり、1〜100質量部であることが必要である。より好ましくは、3〜100質量部、特に好ましくは4〜50質量部である。
本発明のアパタイト化合物(B)はその平均粒子径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。本発明における平均粒子径は、電子顕微鏡写真法により求めることができ、該平均粒子径は次のようにして算出することができる。すなわち、成形品から切り出した超薄切片の透過型電子顕微鏡(TEM:写真倍率2.5万倍)を撮影し、アパタイトの粒子径di、粒子数niを求め、次式により平均粒子径を算出する。
平均粒子径=Σdi・ni/Σni
この場合、粒子径が球状とみなせない場合には、その短径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とする。また、平均粒子径の算出には最低100個の粒子径を測定する。
本発明におけるポリアミド成分(C)は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体でよい。
本発明課題を達成するのに好ましく用いるポリアミド成分(C)は、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカラクタム(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体およびこれらの混合物などである。
これらのポリアミドのうち、より好ましく用いるポリアミド成分(C)は、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体およびこれらの混合物などである。
更にこれらのポリアミドのうち、最も好ましいポリアミド成分(C)は、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
本発明のポリアミド成分(C)の配合量は、本発明の共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、10〜1000質量部、好ましくは30〜750質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。この配合量の範囲で得られた成形品は、良好な表面外観を有し、強度や靭性を有している。
本発明の強化フィラー(D)は、特に限定されるものではなく、任意の強化フィラーを使用することができる。本発明において好ましく用いる強化フィラー(D)は、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、マイカ、タルク、炭素繊維、カオリン、ケイ灰石、二硫化モリブデン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、アラミド繊維、ホイスカーなどがあり、これらの強化フィラー1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明の強化フィラー(D)の配合量は、良好な成形品の表面外観と強度を併せ持つためには、本発明の共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対して5〜250質量部であり、好ましくは15〜200質量部、更に好ましくは20〜150質量部である。
本発明のヒンダートフェノール類(E)の例としては、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ハイドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3ハイドロキシ−2,6−ジメチルベンジ)イソシアネートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明のヒンダードフェノール類(E)の配合量は、過度の熱や光の環境下において、変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性に有し、銀状などの成形不良や金型付着物の発生を抑え、良好な成形性を有するためには、本発明の共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.03〜4質量部、更に好ましくは0.05〜3質量部である。
本発明のヒンダードアミン類(F)としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明のヒンダードアミン類(F)の配合量は、過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性に有し、銀状などの成形不良や金型付着物の発生を抑え良好な成形性を有するためには、本発明の共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.03〜4質量部、更に好ましくは0.05〜3質量部である。
本発明のヒンダードアミン類(F)の配合量は、より一層の過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性を得るために、本発明のポリアミド樹脂組成物中に含まれるヒンダードフェノール類(E)の配合量に対して1.1〜5倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜3倍、より好ましくは1.5〜2.5倍である。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、共重合ポリアミド成分(A)および/またはアパタイト化合物(B)および/またはポリアミド成分(C)および/または強化フィラー(D)にヒンダードフェノール類(E)およびヒンダードアミン類(F)を配合する方法、共重合ポリアミド成分(A)の重合時あるいはアパタイト化合物(B)の合成時あるいはポリアミド成分(C)の重合時のいずれかの段階にヒンダードフェノール類(E)およびヒンダードアミン類(F)を配合する方法、共重合ポリアミド成分(A)および/またはアパタイト化合物(B)および/またはポリアミド成分(C)および/または強化フィラー(D)の表面にヒンダードフェノール類(E)およびヒンダードアミン類(F)を付着させる方法、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)、強化フィラー(D)、ヒンダードフェノール類(E)およびヒンダードアミン類(F)を溶融混練する方法など、あるいはこれらの方法を組み合わせて配合する方法など、いずれの方法を用いてもかまわない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、マトリックスであるポリアミドに、アパタイト化合物(B)、強化フィラー(D)、ヒンダードフェノール類(E)およびヒンダードアミン類(F)が分散し、従来のポリアミド樹脂組成物に比較し、得られる成形体が、強化フィラーを高濃度含んでいるにも拘わらず、高外観性を有し、加えて過度の熱や光の環境下において変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性に優れるという特徴を有する。従って、自動車部品、電子電気部品、工業機械部品などの各種部品への応用が期待される。
各種部品としては、例えばバンパー、スポイラー、サイドカバー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ルーフレール、ルーフレッグ、ドアミラースティ、ドアミラーカバー、ドアミラーブラケット、レインチャンネル、ワイパーブレード、サンルーフデフレクター、アウトドアの把手、フェンダー、テールランプなどの自動車外装・外板部品、シリンダーヘッドカバー、ラジエータタンク、タイミングベルトカバー、コネクター、結束バンド、モーターファン、ギア・カム、熱風機ハウジング、チューブ、ホース、パワーステアリングオイルタンク、リザーバータンク、ブレーキオイルタンク、フューエルストレーナー、ペーパーキャスター、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、エンジンマウント、エアサスタンク、ガソリンタンク、アルコールタンク、フレオンタンク、フューエルチューブ、フューエルストレーナー、ブレーキオイルタンク、クラッチオイルタンク、パワーステアリングタンク、クーラー用フレオンチューブ、エアークリーナ、インテクマニーホールド、サージタンクなどの自動車アンダーフード部品、レジスターブレード、ウォッシャーレバー、ウインドーレギュレーターハンドル、ウインドーレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、サンバイザーアーム、シートロック部品、アクセルペダルなどの得られる成形体、ホイールリム、ホイールスポーク、サドル、サドルポスト、ハンドル、スタンド、荷台などの自転車などの二輪車用部品、机の脚、椅子の脚、座、キャビン、ワゴンなどの家具用部品、パソコンハウジングなどのOA機器分野用品、スィッチ類、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクター、コネクターのハウジング、コネクターのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ダンシングプーリーなどの電子電気部品、歯ブラシ用などのブラシ用ブリッスル、タイヤコード、ベルト、人工芝生、絨毯、自動車座席用シート、漁網、ロープ、ザイル、フィルター用糸、ホース用補強糸、バルブハウジング、釘、ねじ、ボルト、ボルトナット、スペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、ワイヤーグリップ、アジャスターなどの床下部品、サッシ用クレセント、住宅用ドアおよび引戸の把手、窓の格子、窓枠、レールサッシ、手摺り、食器収納棚の把手、洗面台およびキチンなどの水栓レバー、シャワーヘッド、トイレ便座用温水タンクなどの温水用各種容器、各種シリンダー、洗濯機バランサー、スピーカーボックス、農薬用ボトル、飲料水用などの各種ボトルなどの工業機械部品などが挙げられ、その他各種用途に有用であることが期待できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法を用いても、良好に成形加工ができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で通常のポリアミド樹脂に用いられる添加剤、充填剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、芳香族系ポリフォスフェート、複合ガラス粉末などの難燃剤、チタンホワイト、カーボンブラック、メタリック顔料などの顔料や着色剤を含有させることができる。
また、成形性改良剤、例えば、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステル化合物、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸エステル化合物、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの高級脂肪酸化合物、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩化合物、ステアリルステアレートなどの高級脂肪酸エステル化合物、高級脂肪酸アミド化合物、ポリアルキレングリコールあるいはその末端変性物、低分子量ポリエチレンあるいは酸化低分子量ポリエチレン、置換ベンジリデンソルビトール、カプロラクトン類、タルクなどの無機結晶核剤を含有させることができる。更には、帯電防止剤などの各種添加剤も含有させることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、以下のように行った。
1.共重合ポリアミド樹脂の特性
(1−1)分子量(RV)
共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂を溶媒として90%蟻酸を用いて、3gサンプル/30ml蟻酸の濃度で、25℃の温度条件下で行う。
(1−2)アパタイト化合物(B)の含有量の定量(質量/100質量部ポリアミド)
共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂を100±20℃で8時間乾燥し冷却する。該共重合ポリアミド樹脂を白金皿に1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その質量を量り、アパタイト化合物(B)の含有量を定量した。
(1−3)アパタイト型化合物の生成の確認
(a)アパタイト化合物(B)の分離操作:共重合ポリアミド成分(A)とアパタイト化合物(B)からなる共重合ポリアミド樹脂10gを秤量し、90質量%フェノール200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器〔国産遠心器(株)製H103RLH〕を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。さらに200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行った。引き続き、99.5質量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操作をさらに4回繰り返した後、減圧乾燥器中にて80℃で12時間乾燥し、目的のアパタイト化合物(B)を得た。
(a)で得たアパタイト化合物(B)の赤外吸収スペクトルを測定した。装置はPerkinElmer社製1640、分解能は4cm−1で測定した。
2.成形品の作成および物性
成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹脂(株)製PS40E、シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定し、射出10秒、冷却15秒の射出成形条件で、成形品を得た。
(2−1)耐候性試験
ISO4892−2に準じ、自然色の成形品にて1000時間後を評価した。
試験機:ATLAS社製 Ci4000(キセノンランプ)雨有り
(2−2)表面外観
(a)耐候性試験前と(b)1000時間後の表面外観を、(株)堀場製作所製ハンディ光沢計IG320を用いて、JISK7150に準じてGs60℃を測定した。
得られた数値が高いほど、成形品表面が鏡面状態に近く、表面外観が良好である。
(c)保持率(%)を(b)1000時間後の表面外観÷(a)耐候性試験前の表面外観×100として求めた。
(2−3)曲げ試験
曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(GPa)の測定はサンプルを乾燥状態(通常はいわゆる絶乾状態)を維持し、ASTM D790に準じて行った。
(2−4)金型汚染性試験
(2−3)の曲げ試験用短冊片の射出成形を100ショット行い、金型の汚れの状態を目視にて評価した。
○:金型がほとんど汚れていない。
×:金型に汚れの目立つ箇所がある。
3.原材料の製造および入手
(製造例1)
共重合ポリアミド樹脂(1)の製造:共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料として、ポリアミド66原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)とポリアミド6原料(カプロラクタム)を、100:1の割合で含有する50質量%水溶液を30Kg作製した。該共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料の水溶液30Kgに末端封止剤として酢酸25gを用いた。アパタイト化合物(B)を形成する合成原料として、平均粒子径1μmリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)の25質量%懸濁液を3Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=0.75Kg:2.25Kg)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウム(CaCO)の25質量%懸濁液を1.16Kg(炭酸カルシウム:純水=0.29Kg:0.87Kg)用いた。
該共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料の水溶液とアパタイト化合物(B)を形成する合成原料の懸濁液とを、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。十分窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77Mpaになるが、圧力が1.77Mpa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、更に約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止し、下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、共重合ポリアミド樹脂(1)のペレットを得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(1)を評価した結果、分子量は、45であった。アパタイト化合物(B)の含有量は、共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、5.7質量部であった。
(製造例2)
共重合ポリアミド樹脂(2)の製造:共重合ポリアミド成分(A)形成する重合原料として、ポリアミド66原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)とポリアミド6原料(カプロラクタム)を、100:1の割合で含有する50質量%水溶液を30Kg作製した。該共重合ポリアミド成分(A)形成する重合原料の水溶液30Kgに末端封止剤として酢酸25gを用いた。アパタイト化合物(B)を形成する合成原料として、平均粒子径1μmリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)の25質量%懸濁液を12Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=3Kg:9Kg)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウム(CaCO)の25質量%懸濁液を4.64Kg(炭酸カルシウム:純水=1.16Kg:3.48Kg)用いた以外は、製造例1と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(2)のペレットを得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(2)を評価した結果、分子量は、45であった。アパタイト化合物(B)の含有量は、共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、22.7質量部であった。
(製造例3)
共重合ポリアミド樹脂(3)の製造:共重合ポリアミド成分(A)形成する重合原料として、ポリアミド66原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)とポリアミド6原料(カプロラクタム)を、100:1の割合で含有する50質量%水溶液を15Kg作製した。該重合ポリアミド成分(A)形成する重合原料の水溶液15Kgに末端封止剤として酢酸12.5gを用いた。アパタイト化合物(B)を形成する合成原料として、平均粒子径1μmリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)の25質量%懸濁液を12Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=3Kg:9Kg)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウム(CaCO)の25質量%懸濁液を4.14Kg(炭酸カルシウム:純水=1.16Kg:3.48Kg)用いた以外は、製造例1と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(3)のペレットを得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(3)を評価した結果、分子量は、45であった。アパタイト化合物(B)の含有量は、共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、45.8質量部であった。
(製造例4)
ポリアミド66/6の製造:製造例1において、アパタイト化合物(B)を形成する合成原料を配合せず、共重合ポリアミド成分(A)を形成する重合原料のみを用いて重合を行い、ポリアミド66/6のペレットを得た。分子量を評価した結果、45であった。
(製造例5)
ポリアミド66の製造:50質量%のポリアミド66を形成する重合原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)の水溶液を30Kg作製した。該ポリアミド66を形成する重合原料の水溶液を、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。十分窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77Mpaになるが、圧力が1.77Mpa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、更に約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止し、下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ポリアミド66のペレットを得た。分子量を評価した結果、50であった。
ポリアミド成分(C)、強化フィラー(D)、ヒンダードフェノール類(E)、ヒンダードアミン類(F)は市販されている製品を使用した。
ポリアミド成分(C)
ポリアミド6(宇部興産(株)製 商品名:UBEナイロン1022A)
強化フィラー(D)
ガラス繊維:チョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製 商品名:JA416)
ヒンダードフェノール類(E)
N,N’−ヘキサメチレンビス(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:Irganox1098)
ヒンダードアミン類(F)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:TINUVIN770DF)
[実施例1]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)としてポリアミド6が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が0.1質量部、ヒンダードアミン類(F)が0.5質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、270℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリアミド成分(C)としてポリアミド6の代わりに、(製造例5)にて得られたポリアミド66を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
ヒンダードフェノール類(E)が0.1質量部、ヒンダードアミン類(F)が0.1質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ヒンダードフェノール類が0.5質量部(E)、ヒンダードアミン類(F)が0.1質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)の代わりに(製造例4)にて得られたポリアミド66/6を使用した以外は、実施例1と同様にして実施した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(製造例2)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(2)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(2)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)としてポリアミド6が30質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が0.1質量部、ヒンダードアミン類(F)が0.2質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
(製造例2)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(2)の代わりに、(製造例3)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(3)を使用した以外は、実施例3と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)にて得られたポリアミド66が900質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が0.1質量部、ヒンダードアミン類(F)が0.2質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、270℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例5]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)から得られたポリアミド66が1500質量部になるように混合した以外は、実施例4と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表3に示す。
[実施例5]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)としてポリアミド6が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が15質量部、ヒンダードフェノール類(E)が0.1質量部、ヒンダードアミン類(F)が0.2質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、270℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表4に示す。
[実施例6]
強化フィラー(D)としてガラス繊維が150質量部になるように混合した以外は、実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表4に示す。
[比較例6]
強化フィラー(D)としてガラス繊維が300質量部になるように混合した以外は、実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表4に示す。
[実施例7]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)にて得られたポリアミド66が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が3質量部、ヒンダードアミン類(F)が4.5質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
[比較例7]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)にて得られたポリアミド66が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が15質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
[比較例8]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)にて得られたポリアミド66が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードアミン類(F)が15質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
[比較例9]
(製造例1)にて得られた共重合ポリアミド樹脂(1)中の共重合ポリアミド成分(A)100質量部(共重合ポリアミド樹脂(1)からアパタイト化合物(B)の含有量を差し引いた質量を100質量部とした。)に対して、ポリアミド成分(C)として(製造例5)にて得られたポリアミド66が100質量部になるように混合した、共重合ポリアミド成分(A)、アパタイト化合物(B)、ポリアミド成分(C)からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)としてガラス繊維が50質量部、ヒンダードフェノール類(E)が6質量部、ヒンダードアミン類(F)が9質量部になるように混合し、単軸押出機(株式会社池貝製FS30)を用いて、280℃の条件下で溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
Figure 2007246562
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本発明は、ポリアミド成分と特定量のアパタイト化合物を含有する特定のポリアミド樹脂に、特定の安定剤を配合することにより、高濃度の強化フィラーを含有しているにも拘わらず、高外観性を有し、過度の熱や光の環境下においても、極めて変色や劣化が少ない耐熱変色性や耐候性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供できる。したがって、得られる成形品は、太陽光や人工光などが照射される、自動車外装・外板部品、自動車内装部品、自動車アンダーフード部品、二輪車用部品、家具用部品、OA機器分野用品、電子電器用部品、工業用部品など、各種用途に非常に有用であることが期待される。

Claims (3)

  1. ポリアミド66とポリアミド6からなり、かつ末端がモノカルボン酸あるいはモノアミンで1〜70(ミリ当量/Kg)封鎖されている共重合ポリアミド成分(A)100質量部に対して、アパタイト化合物(B)0.1〜30質量部、共重合ポリアミド成分(A)以外のポリアミド成分(C)から一種以上選ばれたポリアミド成分10〜1000質量部からなるポリアミド複合体100質量部に対し、強化フィラー(D)5〜250質量部、ヒンダードフェノール類(E)0.01〜5.0質量部、ヒンダードアミン類(F)0.01〜5.0質量部を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ヒンダードフェノール類(D)に対し、ヒンダードアミン類(E)が1.1〜5倍含有する事を特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物から得られることを特徴とする成形品。
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