JP2007239239A - 鋼管杭及びその根固め工法 - Google Patents

鋼管杭及びその根固め工法 Download PDF

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【課題】低空頭の施工条件下において、周面摩擦力を増大させ、所定の支持力を発現させることができる鋼管杭及びその根固め工法を提供する。。
【解決手段】切削ビット2が先端に固定され、内部に配置された掘削液及び固化材の送給管7が、切削ビット2に設けられた注入口5と連通するように該ビットに連結され、地盤に回転圧入される鋼管杭1であって、鋼管の下端部周壁に固化材の注入孔9が設けられるとともに、内部に注入孔9と連通する固化材の注入管10が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、鋼管杭及びその根固め工法に関し、さらに詳細には、先端に切削ビットが固定され、回転圧入装置により地盤に回転圧入される回転中掘式の鋼管杭とその根固め工法に関する。
例えば、線路上空に人工地盤を構築する場合、その基礎杭は狭隘な線路間での施工となる。一般的には、線路を移動させて必要なスペースを確保するが、線路切り替えができない場合は、キ電停止間合いでの施工となるとなることから、杭施工に多くの日数がかかっている。基礎杭としては、多くの場合、場所打ち杭が適用され、この場合は孔壁の安定確保が問題となっている。対策としては、工事桁により列車を直接防護する方法や、地盤改良により孔壁を保護する補助工法を適用している。
場所打ち杭の場合、一般的には、薬液注入工等の地盤改良工により杭を施工する位置の地盤を補強し、TBH(逆循環掘削方式)やBH(正循環方式)の掘削方式を用いて施工している。これにより、長時間施工に及んでも対応可能とし、また列車振動による孔壁の崩壊を防ぎながら施工している。
孔壁の安定を図る杭の施工方法として、先端に切削ビットを取り付けた鋼管杭を用いる工法がある。この場合、鋼管杭を回転しながら地盤に圧入するが、線路内等狭隘な場所に搬入できる杭打ち機は小型のものに制限される。そのため、打設可能な鋼管杭の管径も小径のものとならざるを得なく、その必要杭長は長くなり、コスト・工期の点で問題がある。このようなことから、小型の杭打ち機で所要の支持力を確保できる鋼管杭の施工方法の開発が望まれていた。
ところで、鋼管の外周面の摩擦力を向上させる方法として、従来、先端に撹拌翼を取り付けた回転撹拌ロッドを鋼管内に配置し、杭先端付近の土砂と固化材とを撹拌・混合して地盤改良を行い、その改良部分において杭先端外周面に取り付けたリブを付着させ、支持力を確保する方法や、ソイルモルタル杭を先行して造成した後、リブ付き鋼管を沈設する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、鋼管内の撹拌ロッドの引抜き作業や上部に回転機構を取り付ける必要があったり、作業が2工程であったりすることから、低空頭・狭隘・短時間という条件下での線路間施工には適用ができない。
なお、先端に切削ビットを固定して地盤に回転圧入する方式の鋼管杭については、例えば特許文献1に記載されている。また、本出願人は、線路間での施工に適した低空頭用の鋼管杭回転圧入装置を既に提案している(特許文献2及び特許文献3)。
特開2003−261940公報 特許第3218202号公報 特許第3255278号公報
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、低空頭・狭隘・短時間の施工条件下において、鋼管の周面摩擦力を増大させ、所定の支持力を発現させることができる鋼管杭及びその根固め工法を提供することにある。
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、切削ビットが先端に固定され、内部に配置された掘削液及び固化材の送給管が、前記切削ビットに設けられた注入口と連通するように該ビットに連結され、地盤に回転圧入される鋼管杭であって、
鋼管の下端部周壁に固化材の注入孔が設けられるとともに、内部に前記注入孔と連通する前記固化材の注入管が設けられていることを特徴とする鋼管杭にある。
より具体的には、前記注入孔が存する部分を含む鋼管の外周にリブが設けられている。このリブとしては螺旋状のものとすることができる。また、前記送給管の上部には分岐継手が設けられ、この分岐継手に前記注入管が接続され、前記送給管及び前記注入管に選択的に固化材を供給可能となっている構造とすることもできる。
さらにこの発明は、上記鋼管杭の根固め工法であって、
前記送給管に掘削液を供給して、前記切削ビットの注入口から掘削液を吐出させがら地盤を掘削し、鋼管杭を回転圧入する工程と、
根固めを必要とする所定深度に達した後、掘削液を固化材に切り替えて前記送給管を通して前記切削ビットの注入口から固化材を吐出させ、かつ鋼管杭を回転させながら、所定深度範囲で鋼管杭を昇降させる工程と、
前記鋼管杭の下降位置で該鋼管杭を回転させながら、前記注入管を通して前記注入孔から固化材を鋼管杭外周に吐出させる工程と
を備えてなることを特徴とする鋼管杭の根固め工法にある。
この発明によれば、鋼管の下端部周壁に固化材の注入孔を設けるとともに、この注入孔と連通する注入管を鋼管内部に設けたので、根固め処理に際して、注入孔から鋼管外周に固化材を吐出させることにより、鋼管杭の外周には鋼管と一体化した固化材の硬化層が形成される。このため、鋼管杭に作用する鉛直荷重は、硬化層を介して地盤に伝達されることとなり、周面摩擦力を増大させることができる。
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図、図2は図1のA−A線矢視断面図である。鋼管杭は、所定長さの複数本の鋼管を溶接あるいはねじ式継手等により順次接続しながら、地盤中に回転圧入される。図1に示される鋼管杭1は、先頭(最下端部)の鋼管部分である。鋼管杭1の先端には切削ビット2が固定されている。
切削ビット2は管軸3と、この管軸3の外周に固定された複数枚の掘削翼4とからなり、各掘削翼4の外縁が鋼管杭1に固定される。管軸3の先端には掘削液及び固化材の注入口5が設けられている。注入口5は通常は弁6により閉鎖され、注入圧力により開放するようになっている。鋼管杭1の内部には、その軸心位置に掘削液及び固化材の送給管7が配置され、この送給管7の下端は切削ビット2の管軸3に連結されている。鋼管杭1の上部に設けられたスタビライザ8は、送給管7を鋼管杭1の軸心位置に保持するための部材である。
この発明によれば、鋼管杭1の周壁には複数個の固化材の注入孔9が設けられている。この実施形態では注入孔9は、鋼管杭の長さ方向に間隔を置き、かつ180度の角度間隔を置いて2個設けられている。また、鋼管杭1の内部には注入孔9に対応して、複数本の注入管10が設けられている。各注入管10は鋼管杭1の内周に沿って下方に延びるように配置され、Uボルトなどの止め具11により鋼管杭1の内周に固定されている。各注入管10の先端には逆止弁12を有するエルボ13が設けられ、このエルボ13の先端は注入孔9と連通している。
注入孔9が存する部分を含む鋼管杭1の外周にはリブ(突起)14が設けられている。リブ14は、この実施形態では螺旋状のものとなっている。リブ14は、螺旋状とする以外にも、平鋼、アングル、丸鋼、異型棒鋼などで所定長さに形成したものを鋼管杭1の外周に多数個取り付けるようにしてもよい。また、鋼管杭1の外周を取り巻くリング状のリブを一重又は多重に設けるようにしてもよい。
送給管7の上端には弁15aを介して分岐継手16が設けられ、この分岐継手16にはスイベル17を介してホース18が接続されている。また、各注入管10の上端にはホース19が接続され、各ホース19は弁15bを介して分岐管16に接続されている。
次に上記のような鋼管杭の施工手順を図3を参照して説明する。
1.図示しない回転圧入装置により鋼管杭1を回転させながら地盤に圧入する。鋼管杭1の回転にともなって先端の切削ビット2が回転して地盤が掘削され、同時に鋼管杭1は地盤に圧入される。その際、土質の性状に応じて送給管7を通じて、水にベントナイト等の添加剤が添加された掘削液を切削ビット2に送る。この掘削液は圧力により弁6を開放して注入口5から掘削孔底に吐出される(図3(a))。なお、図3では、先頭の鋼管杭1のみが示されているが、鋼管杭1、送給管7及び注入管10は根固めする所定深度に達するまで、順次継ぎ足す。
2.根固めが必要な深度位置に達したら鋼管杭1の圧入が完了する(図3(b))。
3.圧入完了後、掘削液の供給を停止してセメントミルク等の固化材の供給に切り替える。そして、注入口5からセメントミルクを吐出させ、かつ鋼管杭1を回転させながら、所定深度範囲d(例えば500mm )だけ上昇させる(図3(c))。
4.鋼管杭1が上昇位置に達したら、注入口5からのセメントミルクの吐出及び鋼管杭1の回転を続行しながら、上昇分(d)だけ下降させる(図3(d))。
5.鋼管杭1の下降後、今度はこれを逆転させながらセメントミルクを吐出させ、深度範囲dでの上昇及び下降を繰り返す(2往復程度、図3(e))。以上のような、鋼管杭1の正逆回転を伴う昇降により、掘削土砂とセメントミルクとが撹拌・混合されてなるソイルセメントが鋼管杭1の先端部付近に形成され、その一部が鋼管杭1内に取り込まれる。これにより鋼管杭の根固めがなされる。
6.この発明では、鋼管杭1の外周面の周面摩擦力を増大させるために、さらに次の工程を行う。すなわち、鋼管杭1の下降位置でこれを回転させ、弁15a及び弁15bの開閉を切り替えて、注入管10を通して注入孔9から鋼管杭1の外周にセメントミルクを吐出させる(図3(f))。以上で、施工は完了するが、切削ビット2、鋼管杭内部の送給管7及び注入管10は埋め殺しとされる。したがって、施工完了後にはこれらを引き抜く必要がない。
上記のような工法によれば、鋼管杭1の根固め処理に際して、その外周にセメントミルクを吐出するので、図4に示すように、鋼管杭1の外周にはセメントミルクが充填される。そして、このセメントミルクが硬化することにより、鋼管杭1の外周にはこれと一体となった硬化層20が形成される。このため、鋼管杭1に作用する鉛直荷重は、硬化層20を介して地盤に伝達されることとなり、周面摩擦力を増大させることができる。
また、鋼管杭1の外周にリブ14を設けたので、硬化層20との付着力を高めることができる。さらにリブ14を螺旋状のものとすることにより、鋼管杭外周に吐出されるセメントミルクは鋼管杭の回転に伴って上昇することとなり、鋼管杭の長さ方向に関して広範囲にセメントミルクを充填することができる。
上記実施形態は例示にすぎず、この発明は種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では周面摩擦力を増大させるための固化材の注入孔を先頭の鋼管部分にのみ設けたが、これに継ぎ足される鋼管部分にも注入孔を設け、固化材の充填範囲を長さ方向に伸ばすようにしてもよい。
また、上記実施形態では注入管を送給管から分岐させたが、注入管を独立した固化材の供給経路としてもよい。さらに、上記実施形態では複数の注入孔及び注入管を設置しているが、これらが単数の場合もこの発明に包含される。
この発明の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。 図2は図1のA−A線矢視断面図である。 鋼管杭の施工手順を示す断面図である。 鋼管杭外周に形成される硬化層を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1 鋼管杭
2 切削ビット
3 管軸
4 掘削翼
5 注入口
6 弁
7 送給管
9 注入孔
10 注入管
12 逆止弁
13 エルボ
14 リブ
15a,15b 弁
16 分岐継手

Claims (5)

  1. 切削ビットが先端に固定され、内部に配置された掘削液及び固化材の送給管が、前記切削ビットに設けられた注入口と連通するように該ビットに連結され、地盤に回転圧入される鋼管杭であって、
    鋼管の下端部周壁に固化材の注入孔が設けられるとともに、内部に前記注入孔と連通する前記固化材の注入管が設けられていることを特徴とする鋼管杭。
  2. 前記注入孔が存する部分を含む鋼管の外周にリブが設けられていることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭。
  3. 前記リブは螺旋状のものであることを特徴とする請求項2記載の鋼管杭。
  4. 前記送給管の上部には分岐継手が設けられ、この分岐継手に前記注入管が接続され、前記送給管及び前記注入管に選択的に固化材を供給可能となっていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の鋼管杭。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1記載の鋼管杭の根固め工法であって、
    前記送給管に掘削液を供給して、前記切削ビットの注入口から掘削液を吐出させがら地盤を掘削し、鋼管杭を回転圧入する工程と、
    根固めを必要とする所定深度に達した後、掘削液を固化材に切り替えて前記送給管を通して前記切削ビットの注入口から固化材を吐出させ、かつ鋼管杭を回転させながら、所定深度範囲で鋼管杭を昇降させる工程と、
    前記鋼管杭の下降位置で該鋼管杭を回転させながら、前記注入管を通して前記注入孔から固化材を鋼管杭外周に吐出させる工程と
    を備えてなることを特徴とする鋼管杭の根固め工法。
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