JP4167250B2 - 鋼管杭 - Google Patents

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Description

この発明は、鋼管杭に関し、さらに詳細には、先端に切削ビットが固定され、回転圧入装置により地盤に回転圧入される回転中掘式の鋼管杭に関する。
例えば、線路上空に人工地盤を構築する場合、その基礎杭は狭隘な線路間での施工となる。一般的には、線路を移動させて必要なスペースを確保するが、線路切り替えができない場合は、キ電停止間合いでの施工となるとなることから、杭施工に多くの日数がかかっている。基礎杭としては、多くの場合、場所打ち杭が適用され、この場合は孔壁の安定確保が問題となっている。対策としては、工事桁により列車を直接防護する方法や、地盤改良により孔壁を保護する補助工法を適用している。
場所打ち杭の場合、一般的には、薬液注入工等の地盤改良工により杭を施工する位置の地盤を補強し、TBH(逆循環掘削方式)やBH(正循環方式)の掘削方式を用いて施工している。これにより、長時間施工に及んでも対応可能とし、また列車振動による孔壁の崩壊を防ぎながら施工している。
孔壁の安定を図る杭の施工方法として、先端に切削ビットを取り付けた鋼管杭を用いる工法がある。この場合、鋼管杭を回転しながら地盤に圧入するため、大きなトルクが必要となる。このため、線路内に搬入できるベースマシン(回転圧入装置)も制限を受け、細い鋼管杭の施工に限定されている。
このような鋼管杭は仮設杭にしか利用されていないのが現状である。鋼管杭を本設杭に利用するためには、支持層においてセメントミルク等の固化材を注入し、掘削土砂と撹拌・混合して根固めを施す必要がある。
しかしながら、鋼管杭内部に入り込んだ掘削土砂については、鋼管杭の回転に伴って同一方向に回転するため(共回り現象)、掘削土砂と噴射されたセメントミルクとが十分に混合されず、所定の支持力を持った根固め構造とすることができない。このため、従来、支持層の所定の深度位置まで掘削が完了した時点で、鋼管杭に回転を加えながら上下させ、掘削土砂と噴射したセメントミルクとを混合し、ソイルセメントとして支持力を確保するようにしている。
しかしながら、このような鋼管杭を上下させる従来工法では、掘削土砂とセメントミルクとが十分に混合されないというのが現状である。また、鋼管杭を上下させることにより、孔壁の崩壊が生じるおそれもある。さらに、線路内の時間的制限により所定の位置までの掘削完了後、さらに翌日に亘って特別の施工をする必要が生じ、経済的に、そして工期的にも不利な方法である。
なお、先端に切削ビットを固定して地盤に回転圧入する方式の鋼管杭については、例えば特許文献1に記載されている。また、本出願人は、線路間での施工に適した低空頭用の鋼管杭回転圧入装置を既に提案している(特許文献2及び特許文献3)。
特開2003−261940公報 特許第3218202号公報 特許第3255278号公報
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、鋼管杭内部に取り込まれた掘削土砂と固化材との撹拌・混合が確実になされて所定の支持力を得ることができ、また孔壁の崩壊のおそれがなく、加えて経済的にも工期的に有利に施工をすることができる鋼管杭を提供することにある。
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、切削ビットが先端に固定され、内部に配置された掘削液及び固化材の送給管が、前記切削ビットに設けられた注入口と連通するように該ビットに連結され、地盤に回転圧入される鋼管杭であって、
前記送給管は前記切削ビットにスイベルを介して相対回転自在に連結されるとともに、地盤に対して相対回転不能に固定され、
この送給管の下部外周に鋼管杭内部に入り込んだ掘削土砂を撹拌するための撹拌部材が設けられていることを特徴とする鋼管杭にある。
より具体的には、前記送給管の下部に複数の注入口が設けられている。前記撹拌部材はスパイラル翼からなる態様を採ることができる。
前記撹拌部材は前記送給管の軸方向及び周方向に間隔を置いて設けられた複数の棒部材又は板部材からなる態様を採ることもできる。この場合、前記撹拌部材は前記送給管内部と連通する中空のものからなり、複数の注入口が設けられている構造とするとよい。さらに、前記鋼管杭の下部内周にスパイラルエッジが設けられている構造とすることもできる。
この発明によれば、送給管は切削ビットすなわち鋼管杭に対しては回転自在ではあるが、地盤に対しては回転しない。このため、送給管に設けられた撹拌部材と、鋼管杭内部に取り込まれて鋼管杭と同一方向に回転しようとする掘削土砂との間に相対回転が生じる。これにより、鋼管杭内部の掘削土砂が固化材と十分に撹拌・混合され、所定の支持力を発揮するソイルセメントによる根固めが造成される。
また、根固め時において鋼管杭を上下させることがないので、孔壁の崩壊を防止することができ、さらに従来に比べて1工程少なくて済むので、経済的にも工期的に有利に施工をすることができる。
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図、図2は下面図、図3は図1のA−A線矢視断面図である。鋼管杭は、所定長さの複数本の鋼管を溶接あるいはねじ式継手等により順次接続しながら、地盤中に回転圧入される。図1に示される鋼管杭1は、先頭の鋼管部分である。鋼管杭1の先端には切削ビット2が固定されている。
切削ビット2は管軸3と、この管軸3の外周に固定された複数枚の掘削翼4からなり、各掘削翼4の外縁が鋼管杭1に固定される。管軸3の先端には掘削液及び固化材の注入口5が設けられている。注入口5は通常は弁6により閉鎖され、注入圧力により開放するようになっている。
鋼管杭1の内部には、その軸心位置に掘削液及び固化材の送給管7が配置されている。送給管7は鋼管杭1の下部に配置される大径の主送給管7aと、この主送給管7aの上端に連結固定される複数本の小径の連結送給管7bとからなっている。この発明によれば、主送給管7aの下端は切削ビット2の管軸3にスイベル8を介して相対回転自在に連結されている。また、連結送給管7bの上端部は、鋼管杭1の回転圧入施工時に地上において圧入装置の非回転部分等に固定される。
主送給管7aの外周には攪拌部材としてのスパイラル翼9が設けられている。この実施形態では、巻き方向が互いに逆方向の2つのスパイラル翼9a,9bが用いられている。また、主送給管7aには複数の注入口10が設けられている。主送給管7aの上部にボス11を介して相対回転自在に設けられたスタビライザ12は、送給管7を鋼管杭1の軸心位置に保持するための部材である。
施工時において、鋼管杭1には図示しない回転圧入装置により回転力及び圧入力が付与される。これにより、鋼管杭1とともに先端の切削ビット2が回転して地盤が掘削され、同時に地盤に押込まれる。その際、土質の性状に応じて送給管7を通じて、水にベントナイト等の添加剤が添加された掘削液が切削ビット2に送られ、この掘削液は圧力により弁6を開放して注入口5から掘削孔底に注入される。このような掘削をそれぞれ複数本の鋼管及び連結送給管7bを接続しながら繰り返す。
そして、根固めが必要な深度位置に到達したら、掘削液の供給を停止してセメントミルク等の固化材の供給に切り替え、掘削すなわち鋼管杭1の回転圧入を続行する。供給された固化材は、切削ビットの注入口5から掘削孔底に注入され、固化材は切削ビット2の回転により掘削土砂と撹拌・混合される。
固化材が注入された掘削土砂は鋼管杭1の内部に取り込まれるが、この取り込まれた掘削土砂に対しても、固化材と十分な混合・攪拌作用が与えられる。すなわち、上記のように、送給管7は切削ビット2にスイベル8を介して相対回転自在ではあるが、上部が回転圧入装置に固定されているので、地盤に対しては相対回転しない。したがって、送給管7に取り付けられたスパイラル翼9も地盤に対して相対回転しない。
他方、鋼管杭1の内部に取り込まれた掘削土砂は鋼管杭1とともに同一方向に回転しようとする(共回り現象)。この結果、鋼管杭1の内部に取り込まれた掘削土砂とスパイラル翼9との間に相対回転が生じ、鋼管杭1の内部においても掘削土砂が攪拌される。また、2つのスパイラル翼9a,9bは巻き方向が互いに逆方向となっているので、鋼管杭1の内部に取り込まれた掘削土砂の撹拌が助長される。
これにより、鋼管杭内部の掘削土砂が固化材と十分に撹拌・混合され、所定の支持力を発揮するソイルセメントによる根固めが造成される。なお、鋼管杭内部においても、主送給管7aに設けられた注入口10から固化材が注入され、鋼管杭内部に取り込まれた掘削土砂に固化材が十分に供給され、かつ十分に撹拌・混合される。
図4は別の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。この実施形態は、撹拌部材として棒部材13が設けられている。撹拌棒13は中空のもので主送給管7a内部と連通し、固化材を注入するための注入口14が設けられている。撹拌部材としては、棒部材に替えて板部材を用いることもできる。この場合も、主送給管7a内部と連通する中空のものとし、注入口を設けることができる。
図5はさらに別の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。この実施形態では、撹拌部材13に加えて、鋼管杭1の先端部内周にスパイラルエッジ(突条)15が形成されている。このスパイラルエッジ15の巻き方向は、鋼管杭1の回転時において掘削土砂を鋼管杭内部に取り込む上昇力を与える巻き方向である。掘削土砂は上昇力を与えられる一方、撹拌部材13によってそれを阻害されることから、掘削土砂の流動化が助長され、撹拌・混合作用を促進させることができる。また、このスパイラルエッジ15により、鋼管杭内部に形成されたソイルセメントによる根固め体と鋼管杭1との付着力を増大させることができる。
この発明の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。 図2は同鋼管杭の下面図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 別の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。 さらに、別の実施形態を示す鋼管杭の軸方向断面図である。
符号の説明
1 鋼管杭
2 切削ビット
3 管軸
4 掘削翼
5 注入口
6 弁
7 送給管
7a 主送給管
7b 連結送給管
8 スイベル
9(9a,9b) スパイラル翼
10 注入口
11 ボス
12 スタビライザ
13 撹拌棒
14 注入口
15 スパイラルエッジ

Claims (6)

  1. 切削ビットが先端に固定され、内部に配置された掘削液及び固化材の送給管が、前記切削ビットに設けられた注入口と連通するように該ビットに連結され、地盤に回転圧入される鋼管杭であって、
    前記送給管は前記切削ビットにスイベルを介して相対回転自在に連結されるとともに、地盤に対して相対回転不能に固定され、
    この送給管の下部外周に鋼管杭内部に入り込んだ掘削土砂を撹拌するための撹拌部材が設けられていることを特徴とする鋼管杭。
  2. 前記送給管の下部に複数の注入口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭。
  3. 前記撹拌部材はスパイラル翼からなることを特徴とする請求項1又は2記載の鋼管杭。
  4. 前記撹拌部材は前記送給管の軸方向及び周方向に間隔を置いて設けられた複数の棒部材又は板部材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の鋼管杭。
  5. 前記撹拌部材は前記送給管内部と連通する中空のものからなり、複数の注入口が設けられていることを特徴とする請求項4記載の鋼管杭。
  6. 前記鋼管杭の下部内周にスパイラルエッジが設けられていることを特徴とする請求項4記載の鋼管杭。
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