JP5102187B2 - 地盤改良を併用した杭の施工方法 - Google Patents

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本発明は、地盤改良を併用した杭の施工方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、プレボーリング工法を用いた杭の施工方法の改良に関する。
螺旋状羽根を有する杭のプレボーリング工法として、予め支持層に達する深さの縦孔を掘削し、その縦孔の下端部に根固め用のセメントミルクを注入し、そのセメントミルクが固化する前に張り出し翼(螺旋状羽根)が設けられた杭を回転させながら挿入するというものがある。
このような杭の施工方法において、杭頭付近に軟弱地盤が存在する場合、地震時に作用する水平力に対して杭の変位量が大きくなり、上部構造に悪影響を与えるおそれがある。そこで、このような影響を軽減できるようにした技術として、地盤改良後に杭を施工する方法(例えば特許文献1参照)、杭施工後に周辺地盤を掘削して良質土で埋め戻す方法、杭の設置孔形成時に杭頭付近を拡大掘削する方法(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
特開2005−320692号公報 特開2002−97636号公報
しかしながら、地盤改良後に杭を施工する方法の場合、地盤改良体をほぐしてしまうという問題がある。
また、杭の施工後、周辺地盤を掘削して良質土で埋め戻す方法の場合は、そもそも手間がかかり面倒だということに加え、掘削時に杭を傷付けるおそれがある。
また、杭の設置孔形成時に杭頭付近を拡大掘削する方法の場合、掘削ロッドや拡大ビットでは土を細かく砕くことができないため、地盤改良体に土塊が存在して均一な硬化体が形成できないといった問題がある。
そこで、本発明は、従来技術における種々の課題を踏まえつつ、杭の水平抵抗力を向上させることが可能な地盤改良を併用した杭の施工方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。杭が軟弱地盤に設置されていると、地震により水平力を受けた場合に特に杭頭の変位が大きく、尚かつ杭自体に大きな曲げモーメントが発生することになるため、例えば杭頭付近におけるSC杭(鋼管コンクリート複合杭)の鋼管の厚みを増やすなど、これらに耐えうる高い剛性を確保することが必要となる。しかし、そうすると杭の重量が増大する等してコストが嵩むことになり不経済である。これらの点をふまえつつ、杭の水平変位量や発生曲げモーメントを小さくすることについて検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
本発明はかかる知見に基づくものであり、杭を設置するための掘削孔および杭を支持する根固め部を掘削ビットを用いて地盤に形成し、充填材を当該掘削孔に埋め戻し、硬化材を注入しながら杭頭付近の地盤を攪拌し、その後、杭を沈設する、という地盤改良を併用した杭の施工方法である。
通常、杭施工の際の地盤改良といえば、何も乱されていない状態(掘削等が行われていない状態)の地盤において実施されるものである。この点、本発明においては、掘削されていったんほぐされた状態となった掘削孔内に土砂等の充填材を埋め戻して固形物を増加させ、その後硬化材を注入しながら攪拌を行った後、杭を沈設する。こうすることにより、設置後における杭の特に杭頭付近における軟弱地盤の改良を確実に行うことができ、水平力が作用した際の杭頭付近の水平変位量および発生曲げモーメントを抑えることが可能となる。このため、杭に必要とされる曲げ剛性がさらに小さくて済み、従来よりも経済的な設計をすることによりコスト低減を図ることが可能となる。
また、本発明にかかる施工方法は、地盤改良を併用したプレボーリング工法であるものの、地盤改良後に再掘削を行うものではない。このため、改良された地盤(改良体)を改めて乱すようなことはない。したがって、杭の沈設後に改めて地盤を調整する必要がない。
さらに、本発明にかかる施工方法によれば、杭の沈設後に周辺地盤を掘削するような手間がない。このため、沈設後の杭を痛めることもない。
また、掘削孔および根固め部の成形時、径方向に拡大可能な拡大掘削刃を有する掘削ビットを用いるとともに、該掘削ビットを引き上げる際、少なくとも地盤改良の対象となる杭頭付近の部分においては拡大掘削刃を拡大させずに引き上げることが好ましい。通常、地盤改良は、土の固形物ができるだけ残っている状態下で行うことが望ましいとされる。この点、本発明は、地盤改良の対象となる部分においてビットを拡大させずに引き上げるので、当該地盤改良の対象部分をできるだけほぐさないようにして固形物を残すことが可能である。
さらには、掘削ビットを回転させる掘削ロッドとして周囲にスクリューが形成されているロッドを用いるとともに、掘削ビットを引き上げる際、地盤改良の対象となる杭頭付近の部分と根固め部との間の部分において排土量を少なくする方向に掘削ロッドを回転させることも好ましい。上部の地盤改良対象部分と下部の根固め部との間にある中間部においては、掘削ビットを例えば逆転させながら引き上げることによって排土量を少なくすることができる。この場合、当該中間部はほぐされた状態の土が存在した状態となるから、杭の貫入性が向上するという利点がある。
上述の施工方法においては、共回り防止翼付きの地盤改良ロッドを有する地盤改良ビットを用い、地盤改良ロッドを介して硬化材を注入しながら杭頭付近の地盤を攪拌することが好ましい。掘削時に排出された排土等を埋め戻した後、共回り防止翼付きロッドとビットとの間で当該土を細かく砕くことにより、良質な改良体を形成することが可能である。
また、杭として、先端外周部に螺旋状羽根を有するものを用いることも好ましい。当該杭を回転させることにより、該螺旋状羽根を使って杭の下端を根固め部へ進入させやすくすることができる。
さらに、地盤を改良することによって杭頭付近に形成される地盤改良体の直径を、根固め部の直径よりも小さくすることが好ましい。このようにすれば、杭施工時に隣接する他の杭の改良体に与える悪影響を少なくすることができる。また、掘削、地盤改良、杭の沈設を同じ重機で容易に行うことができ、効率的である。
本発明によれば、従来技術における種々の課題を踏まえつつ、杭頭の水平変位量および発生曲げモーメントを小さくし、これによって杭の水平抵抗力を向上させることが可能となる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明にかかる地盤改良を併用した杭の施工方法の実施形態を示す。本発明にかかる地盤改良を併用した杭5の施工方法は、杭5を設置するための掘削孔4、および杭5を支持する根固め部4Bを掘削ビットを用いて地盤3に形成し、充填材(例えば掘削孔4の掘削時に排出された排土)を当該掘削孔4に埋め戻し、地盤改良ビット21を用いて、硬化材を注入しながら杭5の杭頭付近の地盤3を攪拌し、その後、杭5を沈設するというものである。
図1において、符号1はオーガーモータ(図示省略)により回転駆動され、杭5を沈設する掘削孔4を掘削するための掘削ロッドである。この掘削ロッド1の周面には螺旋状羽根1aが取り付けられており、下端部に拡大掘削ビット2が設けられている。本実施形態では、地盤3の上方から見た場合に掘削ロッド1(および地盤改良ロッド20)が時計回りに回転する場合を「正転」、反時計回りに回転する場合を「逆転」と呼んでいる(図1参照)。掘削ロッド1が正転するとき、螺旋状羽根1aが共に正転することにより該掘削ロッド1は地盤3を掘り下げる方向に進行する。一方、掘削ロッド1が逆転するとき、螺旋状羽根1aが共に逆転することにより該掘削ロッド1は地盤3から引き上げる方向に進行する。
掘削ロッド1は内部が中空の構造であり、液体等を通じるための配管を兼ねている。この掘削ロッド1が先行掘削する際、その下端部ノズルからエアーや水、掘削液などを噴出するように構成されている。また、拡大掘削ビット2の下端部には、螺旋状羽根1aの外径よりも僅かに小さくなるように掘削刃8が設けられている(図1参照)。
また、拡大掘削ビット2には、掘削ロッド1の逆転に伴って地盤3との接触により拡開し得る例えば一対の拡大掘削刃6が設けられている(図1参照)。この拡大掘削刃6は、掘削ロッド1が正転する状態では螺旋状羽根1aの外径よりも内側に収納した状態となる。一方、掘削ロッド1が逆転する状態では、拡大掘削刃6は地盤3の壁面に接触して食い込み、その抵抗力により拡開し、螺旋状羽根1aの外径よりもさらに外側に突出した状態となる。
杭5の具体例としては、コンクリート杭、鋼管コンクリート杭、鋼管杭などが挙げられる。なお、杭5の先端に設けられる螺旋状羽根5aを鋼製とする場合は、杭5を鋼管コンクリート杭、鋼管杭にするか、コンクリート杭の場合でも鋼管で腹巻し、これに溶接して取り付ける方法等により鋼製の螺旋状羽根5aを設ければよい。また、コンクリート杭の場合は、コンクリート製の螺旋状羽根を型枠を用いて杭5と一体化成形してもよい。
ここで、上述の拡大掘削ビット2を用い、掘削孔4の下端部を拡大掘削する様子を示す(図1(A)等参照)。
まず、杭5の芯の位置に掘削ロッド1の下端に設けられた拡大掘削ビット2の軸芯を合わせる。次に、図示しないオーガーモータを回転駆動して掘削ロッド1を正転させ、拡大掘削刃6を収納した状態で地盤3を掘り下げる。これにより、螺旋状羽根1aの外径に応じた小径の掘削孔4aが形成される(図1(A)参照)。
掘削の際は、地上に設置されたプラント(図示省略)等から掘削ロッド1の内部に設けられた配管に水を供給し、その配管の先端に位置するノズルから水を吐出しながら掘削を行う。もちろん、水以外としてエアー等を使用してもよい。なお、砂質系の崩壊性地盤を掘削する際に適量のベントナイト掘削液を使用すると、掘削トルクや杭5の沈設トルクを小さくできるばかりでなく、最終的な排土量が少なくなる場合もある。
掘削ロッド1によって地盤3を所定の深さまで掘削した後は、該掘削ロッド1を逆転させて拡大掘削刃6を拡開させ、所定区間引き上げて掘削孔4の下端部に拡大掘削孔4bを形成する(図1(B)参照)。また、掘削ロッド1を上下に移動させながら、地上に設置されたバッチャープラント(図示省略)から掘削ロッド1の内部配管に例えば硬化体材料の一例として根固め液であるセメントミルクを供給し、配管先端のノズルから拡大掘削孔4b内にこのセメントミルクを注入して根固め部4Bを形成する。ここで例示したセメントミルクは根固め用のセメント硬化体用スラリーの一例にすぎず、この他、セメント粉体等を利用してもよい。セメント粉体は掘削時等に使用される水や地盤3内に含まれる水と混合されてスラリーと化すことができる。また、セメントミルクの注入中は拡大掘削ビット2を例えば3回程度上下させることによってセメントミルクを攪拌することが望ましい。
なお、掘削刃8が目的の深さまで到達する以前に掘削ロッド1を正転から逆転に切り替えて拡大掘削刃6を拡開させてもよい。このようにして地盤3を掘り下げ掘削し、掘削孔4の先端部に拡大掘削孔4bを形成することもできる。
その後、オーガーモータの回転を逆回転に維持したまま、拡大掘削ビット2を掘削孔4の途中まで引き上げる。これにより、掘削孔4には、拡大掘削孔4bに連続した大径掘削孔4cが形成される(図1(C)参照)。本実施形態では、この大径掘削孔4cを、上述した根固め部4Bから地盤改良の対象部分(以下、地盤改良部ともいい、図中では符号4Aで示す)に至るまでの部分(以下、中間部ともいい、図中では符号4Cで示す)に形成し、いわば掘削孔4を三層構造とする(図1(C)等参照)。
掘削孔4のうち、かかる中間部4Cにおいては地盤3がほぐされた状態となる。すなわち、根固め部4Bを形成してから大径掘削孔4cを形成するまでの間、本実施形態では拡大掘削ビット2を逆転させながら途中まで引き上げているため、その間、螺旋状羽根1aによる排土作用(掘削土を地表に排出する作用)が働きにくい。このため、中間部4Cにおいては地盤3の土がほぐされた状態となっている。
続いて、大径掘削孔4cが地盤改良部4Aに差し掛かったところで拡大掘削ビット2の逆転を止め、正転させた状態で当該拡大掘削ビット2を引き上げる。ここまで拡開していた拡大掘削刃6は、このように回転方向が変わることで収納状態となる。したがって、この状態の拡大掘削ビット2を地表まで引き上げる際、小径掘削孔4aは拡径されず小径のままである(図1(C)参照)。ただし、この間は拡大掘削ビット2を正転させているため、螺旋状羽根1aによる排土作用が働き、地盤改良部4Aにおける土が地表へと排土される(図1(C)参照)。
続いて、掘削孔4に排土を埋め戻す(図1(D)参照)。上述したように、掘削孔4のうち地盤改良部4Aに相当する小径掘削孔4aにおいては、螺旋状羽根1aによる排土作用によって土が少ない状態となっている。そこで、本実施形態では当該小径掘削孔4aに排土を埋め戻し、硬化材と土の攪拌をより効果的に行いうる状態とする(図1(D)参照)。また、排土を埋め戻すことで周辺環境に配慮できるという利点もある。なお、本実施形態では掘削時の排土を埋め戻す例を示しているが、この他、排土以外の土や土砂等を充填材として掘削孔4に埋め戻すようにしてもよい。
その後、地盤改良ロッド20を用い、小径掘削孔4aの周囲の部分(すなわち地盤改良部4A)について硬化材と土を攪拌する(図1(E)、(F)参照)。ここで、本実施形態で用いる地盤改良ロッド20について説明すると以下のとおりである。
地盤改良ロッド20は、例えばオーガーモータ(図示省略)によって回転駆動され、掘削孔4の一部(本実施形態の場合、地盤改良部4A)を攪拌するためのロッドである。この地盤改良ロッド20の下端には地盤改良ビット21が設けられている。地盤改良ロッド21は、その内部配管の先端からセメント系硬化材を供給することができる。また、該地盤改良ビット21の上段には、共回り防止翼22と攪拌翼23とが設けられている(図1(E)、(F)参照)。
共回り防止翼22は小径掘削孔4aの径を超える長さに形成されている翼で、両端が地盤3に入り込んだ状態となり、地盤改良ビット21と共回りしないようになっている。詳しくは図示していないが、共回り防止翼22はパイプ等を介して地盤改良ロッド20に対して相対回転可能な状態で取付けられている。また、この共回り防止翼22と地盤改良ビット21は、土をせん断して細かく砕くのに適したある程度狭い間隔に配置されており(図1(E)参照)、良質な改良体を形成することに寄与する。
攪拌翼23は、地盤改良ロッド20に例えば直交するように配置された複数の棒状部材からなる(図1(E)等参照)。この攪拌翼23は、地盤改良ロッド20と共に回転し、細かく砕かれた土を小径掘削孔4a内で攪拌する。
本実施形態では、例えばこのような地盤改良ロッド20を使用し、小径掘削孔4aを埋め戻した排土ごと硬化材と攪拌する。具体的には、地盤改良ロッド20を回転させ尚かつセメント系硬化材を注入しながら小孔掘削孔4a内で引き下げ、地盤改良ビット21が地盤改良部4Aと中間部4Cとの境目に達したところで引き上げる。このような上下動を複数回繰り返してもよい。以上により、掘削孔4のうち地盤改良部4Aに相当する部分の土が細かく砕かれ、当該部分の硬化材と土とが均一に混合される(図1(E)、(F)参照)。
続いて、セメントミルクが硬化する前に杭5を沈設して施工を完了させる(図1(G)、(H)参照)。本実施形態では、杭5をオーガーモータ(図示省略)にセットし、杭芯位置に杭5の先端の軸芯を合わせ、オーガーモータを回転駆動して杭5を正転させつつ杭5をまず地盤改良部4Aに貫入させ、さらに中間部4Cに貫入させる(図1(G)参照)。上述したように、本実施形態において中間部4Cは乱された状態となっているため、特に当該中間部4Cにおいて杭5の貫入性がよいという利点がある。また、本実施形態の杭5はその先端に推進力が得られる螺旋状羽根5aを備えているものであるから、適宜回転させることによって拡大掘削孔4b内の根固め部4Bへも貫入させやすい(図1(H)参照)。螺旋状羽根5aが根固め部4Bに位置するまで杭5を沈設した後は、拡大掘削孔4b内に注入したセメントミルクが硬化することで杭5の杭周や螺旋状羽根5aが拡大掘削孔4b内に定着し、杭5が地盤3に定着される。
ここまで説明したように、本実施形態の杭5の施工方法はプレボーリング工法に地盤改良を併用するものであり、杭5を設置した後に再掘削を行うことがない。換言すれば、本実施形態では、一部に硬化材と土を攪拌した掘削孔4に杭5を沈設することによって杭施工を完了させる。このため、この施工方法によれば地盤改良部4Aにおける地盤(つまり改良体)を乱すようなことがない。同様に、杭5の設置後にその周辺の地盤3を掘削する手間も要しないので、当該設置後の杭5を痛めることもない。
また、本実施形態では、掘削用のビットとして径方向に拡開可能な拡大掘削刃6を備えた拡大掘削ビット2を用いているものの、該拡大掘削ビット2を引き上げる際、少なくとも地盤改良の対象となる部分(地盤改良部4A)においては拡大掘削刃6を拡大させずに引き上げるので、地盤改良部4Aを極力乱さないようにして土の固形物を残した状態とすることができる(図1(C)等参照)。これによれば、掘削後でありながらも、硬化材と土との攪拌に際してより望ましい状態の地盤3を維持して良質な改良体を形成することが可能である。しかも、本実施形態では共回り防止翼22や攪拌翼23を備えた地盤改良ロッド20により攪拌を行うことから、これら共回り防止翼22等の効果により良質な改良体を形成することが可能である。
以上のようにプレボーリング工法に地盤改良を併用する本実施形態の施工方法によれば、設置後における杭5の特に杭頭付近における地盤改良を確実に行うことができるから、水平力が作用した際の杭頭付近の水平変位量および発生曲げモーメントを抑えることができる。このため、杭5に必要とされる曲げ剛性が小さくて済み、従来よりも経済的な設計をすることによりコスト低減を図ることが可能となる。また、このように杭頭における発生モーメントを抑えることができるため、杭頭ないしはフーチングにおける補強用鉄筋を少なくすることができるという効果もある。ちなみに、水平力が作用したときに曲げモーメントなどが問題となるのは上部の杭頭付近であり、中間部4Cの付近においては大きな問題とならない。したがって、地盤改良部4Aと根固め部4Bの間の部分(中間部4C)の土がほぐされた状態のままでも水平変位量や発生曲げモーメントに関しての影響は少ない。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した各実施形態では、周囲に螺旋状羽根(スクリュー)1aが形成された掘削ロッド1を用いた施工方法を説明したが、特に軟弱地盤ではこれとは逆に螺旋状羽根1aがない掘削ロッド1を用いることも可能である。螺旋状羽根1aがない場合には、掘削時における抵抗が大きくなったり、積極的に排土することが難しくなったりするものの、土をあまりほぐさなくなる、特に地盤改良部4Aにおいて土の固形物をより多く残すことができる、といった利点がある。
また、上述の実施形態では、掘削ロッド1を逆転させると地盤3との接触によって拡大掘削刃6が自動的に拡開する構成としたが、掘削ロッド1内に別途油圧経路を内蔵した掘削装置を用いて拡大掘削刃6を油圧機構等により拡開させる構成とすることもできる。こうした場合、掘削ロッド1を正転させた状態で拡大掘削することも可能となる。また、このように油圧機構等の外部動力を利用して拡大掘削刃6を随時拡開させうるようにすれば、上述した中間部(地盤改良部4Aと根固め部4Bの間の部分)4Cの土質をどの程度ほぐすかを任意に設定することが可能となる。
本発明は、コンクリート杭、鋼管コンクリート杭、鋼管杭等の既製杭のプレボーリング工法、特に杭頭付近に軟弱地盤が存在する場合に適用して好適なものである。
本発明の一実施形態を示す掘削孔の断面図で、(A)拡大掘削ビットによる正転掘削、(B)拡大掘削ビットによる拡大掘削、(C)地盤改良部における拡大掘削ビットの正転引き上げ、(D)掘削孔への排土の埋め戻し、(E)地盤改良ビットによる地盤改良、(F)地盤改良ビットの引き上げ、(G)杭の沈設、(H)杭の定着 の各段階をそれぞれ表している。
符号の説明
1…掘削ロッド、1a…螺旋状羽根(スクリュー)、2…拡大掘削ビット(掘削ビット)、3…地盤、4…掘削孔、4A…地盤改良部(地盤改良の対象となる杭頭付近の部分)、4B…根固め部、4C…中間部(杭頭付近の部分と根固め部との間の部分)、5…杭、5a…螺旋状羽根、6…拡大掘削刃、20…地盤改良ロッド、21…地盤改良ビット、22…共回り防止翼

Claims (7)

  1. 杭を設置するための掘削孔および前記杭を支持する根固め部を掘削ビットを用いて地盤に形成し、充填材を当該掘削孔に埋め戻し、硬化材を注入しながら杭頭付近の地盤を攪拌し、その後、前記杭を沈設する、地盤改良を併用した杭の施工方法。
  2. 前記掘削孔および根固め部の成形時、径方向に拡大可能な拡大掘削刃を有する掘削ビットを用いるとともに、該掘削ビットを引き上げる際、少なくとも前記地盤改良の対象となる前記杭頭付近の部分においては前記拡大掘削刃を拡大させずに引き上げる、請求項1に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
  3. 前記掘削ビットを回転させる掘削ロッドとして周囲にスクリューが形成されているロッドを用いるとともに、前記掘削ビットを引き上げる際、地盤改良の対象となる前記杭頭付近の部分と前記根固め部との間の部分において排土量を少なくする方向に前記掘削ロッドを回転させる、請求項2に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
  4. 共回り防止翼付きの地盤改良ロッドを有する地盤改良ビットを用い、前記地盤改良ロッドを介して硬化材を注入しながら前記杭頭付近の地盤を攪拌する、請求項1から3のいずれか一項に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
  5. 前記杭として、先端外周部に螺旋状羽根を有するものを用いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
  6. 地盤を改良することによって前記杭頭付近に形成される地盤改良体の直径を、前記根固め部の直径よりも小さくする、請求項1から5のいずれか一項に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
  7. 前記充填材は、前記掘削孔の掘削時に排出された排土である、請求項1から6のいずれか一項に記載の地盤改良を併用した杭の施工方法。
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CN106245643A (zh) * 2016-10-12 2016-12-21 连云港港务工程公司 一种适用于沿海深厚吹填土地基处理的复合桩型结构及施工方法

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