JP2005188237A - 柱状地盤改良装置および柱状地盤改良工法 - Google Patents

柱状地盤改良装置および柱状地盤改良工法 Download PDF

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Abstract

【課題】 場所打ち杭状の柱状地盤改良層を構築するに際して、最初に小径の改良土の杭を構築し、余分な土を排出することなしに径を大きくする動作を後で行い、強度の大きい柱を構築可能とする。
【解決手段】 作業装置に支持されて、地盤中に挿入されて土を掘削・攪拌する掘削ヘッド10では、駆動機構と固化材を供給する装置が接続される。前記ロッド11の下端部には、掘削刃部20を固定保持し、その上部には上部フライト部材14を係脱可能なジョイント12を介して接続する。そして、ロッド部材を一方に回転させて小径の縦孔を掘削した後、掘削刃部を引き上げながら下部に固化材を充満させ、上部フライト部材14を上部に残して塞ぐようにしておき、孔の中の土と固化材とを混合して、強度の大きい改良土の柱を構築する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、住宅等の建物の基礎に用いる杭基礎等の構築装置と構築工法に関し、特に、土と固化材とを混合した柱状の改良土の柱を作成する時に、余分な土を地上に排除せずに強度の大きな柱状地盤改良を行い得る装置とその構築工法に関する。
従来より、住宅やその他の小規模の建物等の構造物を構築するに際しては、その構築場所の地盤の強度等の条件を調査し、その地盤の強度が構築を予定している構造物を支持することができないと判断された場合には、その支持力を増大させる工事を行っている。前記地盤の支持力を増大させためには、コンクリートや鋼管杭等の既成の杭等を打設することや柱状の地盤改良を行うこと、または、地盤改良を行った孔に既成の杭部材を打設して一体化させる等の、種々の工法が用いられる。前記支持柱として一般に用いられている工法は、例えば、次の文献1に開示されているような技術手段を用いることが知られているもので、掘削孔の中に既成の杭を打設して、改良土の柱と一体化した支持柱による基礎を容易に構築できるものとして、多くの実施例が知られている(特許文献1を参照)。
特公平1−40173号公報
前記従来例に開示されているような従来工法においては、地盤を掘削した際に余分と考えられる土をあらかじめ排除しておくことで、地盤改良の作業後に余る土の処分を容易に行うことが可能とされる。しかしながら、従来の工法を用いる場合には、土に隙間のない所に固化材(セメントミルク)を圧入するために、固化材が土と混合される前に地表面にあふれ出たり、地中の隙間を通って流出したりして、注入した固化材が無駄に消費されるという欠点がある。そのために、設計値にしたがって設定した量の固化材を圧送しても、それが全部土と混合されて地盤改良柱が構築されるものとはならず、地中に構築した柱の強度にも疑問が持たれる場合が多くあった。また、前記固化材を高圧で注入する方法を用いているために、地表面に近い部分の土が盛り上がったりすることがあり、その土の処分を必要とすることの他に、固化材が混合された土の一部が地上に排出されることがあり、その排出された土の除去も必要とされる場合がある。ところが、前記掘削孔から排出される土は、固化材が混入されているものであることから、そのまま投棄することはできない性質のものとなっており、産業廃棄物として特別の処分方式にしたがって処理する必要がある。そのために、残土の処分費用が余分に要求されること等の、後で解決を要する不利益が多くある等の問題が残っている。
本発明は、前記改良土の柱のみにより支持柱を構築する場合と、支持柱に既成の柱部材を打設して一体化した杭を構築する場合等に際して、残土を排出せずに杭基礎の構築コストを低減させ得て、杭の強度を増大させ得る装置と、そのような装置を用いた工法とを提供することを目的としている。
本願の請求項1ないし4に記載の発明は、地盤に垂直な小径の杭孔を掘削し、前記掘削した杭孔の中に低圧で固化材を充填してから、孔壁を削った土を固化材に混合して、改良土の柱を構築するために用い得る柱状地盤改良装置に関する。
請求項1の発明は、固化材を供給する装置に接続され、下部から固化材を噴出させる供給手段と、孔の掘削と掘削した土を攪拌する掘削ヘッドとを設けたロッド部材と、前記ロッド部材を正逆方向に駆動するための駆動手段と、を組み合わせて設け、前記掘削ヘッドには、ロッド部材の正転方向に対応して、小径の孔と大径の孔の2種類の孔を掘削可能な掘削刃部を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記掘削ヘッドに設ける掘削刃部には、ロッド部材が中心部を貫通するように設けた刃板支持部材に、刃板部材を支軸を介して揺動可能に設け、前記刃板部材には、土に当接する面に耐磨耗性を発揮する部材を取付け、前記ロッド部材を正逆転させることにより、小径の孔と大径の孔の2種類の孔の外径に対応させて、刃板部材を各々突出させて固定手段により保持可能とし、前記ロッド部材を一方向に駆動することで、小径の孔の掘削に対応させ、前記ロッド部材を逆転方向に駆動することにより、大径の孔の掘削に対応させることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記掘削刃部の上部に、ロッド部材に対して係脱可能な接続手段を用いて支持される上部フライト部材を設け、前記ロッド部材に対して前記フライト部材を固定して、前記掘削刃部とともに所定の深さまで孔を掘り下げ、前記ロッド部材から前記フライト部材を切り離して、掘削刃部のみを駆動することによって、孔の中の土を固化材に混入することを特徴とする。
請求項4の発明は、前記掘削刃部の上部に、ロッド部材に対して係脱可能な接続手段を用いて支持される上部フライト部材には、前記ロッドを上下に貫通させる筒部材に対して、上部が小径で下部が大径のフライト部材を設け、前記下部のフライト部材の大径の部分の径が、前記掘削刃部の最小の回転径以下の外径のものとして形成されており、前記フライト部材を回転させずに上昇させる動作により、掘削した土を孔の壁に向けて押圧する作用を行うものとして設けたことを特徴とする。前記フライト部材のスクリューの外形が、上部が小径で下部が大径の略テーパ状のものとされているので、前記スクリューが上昇されることにより、そのテーパの斜面により孔の土が壁に向けて押圧されるので、孔の壁を強化する作用を発揮てきる。
請求項5以降の発明は、前記請求項1ないし4に記載の装置を用いて実施する柱状地盤改良工法に関する。
請求項5の発明は、前記掘削ヘッドにより柱状の改良土の柱を構築するに際して、最初に小径に設定した掘削刃部により、所定の深さまで掘り下げた後で、前記掘削ヘッドを回転させずに短い距離ずつ上昇させながら、その下部に固化材を流入させて充満させる工程と、掘削ヘッドの掘削刃部を大径の孔の掘削に対応させて拡開した状態で、孔の中で前記掘削ヘッドのみを複数回上下動させて、孔の壁を削った土と固化材とを混合する工程とを、順次施工することを特徴とする。そして、前記掘削ヘッドを回転させずに上昇させる際に、その下部に形成される空隙部に対しては、掘削ヘッドの上昇速度に対応する量の固化材を注入するようにすれば、孔の中に十分な量の固化材が供給されることになる。
請求項6の発明は、前記掘削ヘッドにより柱状の改良土の柱を構築するに際して、
前記小径の孔を掘削する状態に設定した掘削刃部により、小径の孔を所定の深さまで掘削する工程と、前記掘削ヘッドを回転させずに引き上げながら、その下部に固化材を注入する工程と、前記掘削ヘッドのフライト部材を、ロッド部材から切り離して杭孔の上部においた状態で、ロッド部材により掘削ヘッドを前記掘削時と逆方向に回転させながら、前記掘削ヘッドを上下動させる動作を繰り返し、大径の孔の掘削に対応させた掘削ヘッドにより、孔の壁の土と固化材と混合する動作を行う工程とを、順次行うことを特徴とする。
請求項7の発明は、前記装置を用いて柱状地盤改良を行ってから、その改良土の柱内部にコンクリートまたは鋼管杭のような既成の杭を所定の深さまで挿入し、前記改良土の柱と一体化した地中柱を構築することを特徴とする。
請求項8の発明は、前記小径の孔を掘削する状態に設定した掘削刃部により、小径の孔を所定の深さまで掘削してから、前記掘削ヘッドを回転させずに引き上げながら下部に固化材を注入し、前記掘削刃部を引き抜いた状態で、固化材を硬化させることにより杭を構築することを特徴とする。
前述したように構成した装置を用い、掘削した土に固化材を混合する攪拌作業を行うに際して、土が混入しない状態で予定した量の全部の固化材が、改良土の柱(杭、または場所打ち杭)の中に充填されるので、杭の強度を十分に確保することができる。そして、前記改良土の柱は、大量の固化材を主体として構成されていることから、強度にばらつきが少ないもとされ、改良土の柱の信頼性を向上させることができる。さらに、前記改良土の柱の構築に際して、その後に残土が排出されないので、余分な費用の支払いが発生せずに、後処理の作業を容易に行うことが可能となり、場所打ち杭等の構築コストを低減させることが可能となる。
以下に説明する柱状地盤改良装置は、従来公知の場所打ち杭の施工装置と同様に、図示を省略する自走式の吊り下げ用のアームを装備したクレーンのような車両や、現場に固定して設置するやぐら状の支持装置に支持される。さらに、前記支持装置に加えて、セメントミルクのような固化材を製造し、中空なロッド部材の中を通して、ロッド部材の下端部から噴出させ、掘削した土と混合するようにする供給機構を装備している。また、前記固化材の供給は、掘削深度や土質の変化に対応させて、あらかじめ設計した供給量の制御情報にしたがって、前記固化材を供給する量を自動的に調節可能とする等の、各種の調節手段を組み合わせて用いる。そして、前記掘削装置のロッド部材に固定する掘削刃部に対して、フライト部材を地中でロッド部材から切り離し得るようにする接続手段を用いて、掘削した孔から余分な土を排除することなしに信頼性の高い地盤改良を行って、柱状の地中構造物を得ることが可能とされる。したがって、前述したような要求項目に対処が可能であれば、以下に説明する装置において、一部の機構を改良して現場の土質に対処可能とすること、または、限られた装備の一部を改良して用いることが可能とされる。
図示される例にしたがって、本発明の装置の構成を最初に説明する。図示される作業装置1は、従来の場所打ち杭の構築装置と同様な装置を使用することが可能である。その1つの例を図1、2に従って説明すると、所定の高さに立設した支柱部材2に対して、掘削装置の駆動装置7を上下動方向にスライド部8を介して案内するように設けている。前記駆動装置7とその下部に支持されている掘削ヘッド10は、支柱部材2のヘッドシーブ2aを介して接続されるワイヤ3を巻上げ機4により巻き取り、巻き戻し方向に駆動するように支持している。また、前記駆動装置7に割り回転される掘削ヘッド10に対して、そのロッド部材11の上部からセメントミルク等の固化材を供給するために、混合装置5を付属させて設けており、前記混合装置5とロッド部材11の上部との間を、供給ホース6で接続している。
前記支柱部材2に設けたスライド部8に沿って上下動される駆動装置7は、その下部に掘削ヘッド10のロッド部材11を保持して駆動するための駆動機構を有しており、油圧モータまたは電動機等の任意の機構が設けられる。そして、前記駆動装置7においては、ロッド部材11を正転方向と逆転方向に向けて、各々駆動切換が可能なように構成されており、前記ロッド部材11を正転させて杭孔を掘進する作業と、ロッド部材11を逆転方向に駆動して杭孔9内の土を攪拌し、土と固化材とを混合する作業とを、随時行い得るようにしている。
前記駆動装置7により駆動されるロッド部材11には、図2に示すような掘削ヘッド10を設けているもので、下端部に固定して設けた掘削刃部20と、その上部に上部フライト部材14を設けている。前記上部フライト部材14においては、所定の長さの筒状部材15にスクリュー部材16を設けているもので、前記スクリュー部材16は上部が小径で下部が大径のものとして形成されたものを用い、前記スクリュー部材を設けた上部フライト部材14を無回転で引き上げる工程で、下部の掘削ヘッド10が掘削した土を孔の壁に向けて押圧する動作を行わせ、掘り下げた縦孔の壁の土を圧密するよう作用する。
また、前記スクリュー部材16を設けたフライト部材14では、筒状部材15の下部に係止溝部17を設け、ロッド部材11に設けた被係止突部としての突部材13と組み合わせるようにして、ジョイント部12を形成している。前記ジョイント部12には、フライト部材14の筒状部材15の下部に、開口させた略T字状の溝17として設けているもので、前記係止溝部17の縦溝に対して、ロッド部材11に設けている被係止突起13を上下動させる状態でのみ、係脱可能なものとされる。そして、上部の巾の広い部分にまで被係止突部13を挿入する状態にして、ロッド部材11の回転を上部フライト部材14に対して伝達し、掘削刃部20とともに回転させるようにする。
前記掘削ヘッド10に設けたジョイント部12において、係止溝部17に対して被係止突部13を挿入した状態で、ロッド部材11に対してフライト部材14と掘削刃部20を一体に接続する。そして、ロッド部材11を一方向(図の正転方向)に回転させることにより、掘削ヘッド部を小径の孔に対応させた状態で、地中にネジ込む(孔を掘り下げる)ようにする。前述したようにして、前記掘削ヘッド10を予定した深さまで掘り下げてから、前記掘削ヘッド10を無回転で上昇させる動作と、掘削ヘッド10の下部に形成される空隙部に、固化材を充填する作業を平行して行う。前記固化材を孔の中に充填するに際しては、掘削ヘッド10を上昇させることで、その下部に生じる空隙に固化材を流し込んで充填するように、その施工工程を設定している。なお、前記杭孔の掘削と、掘削された土と固化材とを混合する作用は、後で図6にしたがって詳細に説明する。
前記掘削刃部20に設け.下刃部材23は、図2、3に説明するように構成されるもので、ロッド部材11に固定された刃板支持部材24、24aの間に、刃板部材26、26aをそれぞれ支軸25、25aを介して揺動可能に設けている。前記刃板支持部材24、24aは、図示されるように、略長円形の板部材で構成されているもので、ロッド部材11を中心にして、対角線方向の対称的な位置に支軸25、25aを設け、前記支軸を中心にして各々を揺動可能に刃板部材26、26aを支持している。そして、前記刃板部材26、26aとともに、前記刃板支持部材が土を掘削・攪拌する際に、直接土に接するものであるから、そのような作業に対処可能な耐磨耗性や硬度、耐久性等の、いわゆる強さを有するものとして構成される。
なお、前記図1、2に示す例において、掘削刃部20には、複数段に下刃部材23……を設けているもので説明しているが、前記刃板部材26……を設けた下刃部材を最下部にのみ設けて、その上部では単純な構成の攪拌翼(フライト)を設けて構成することもできる。そして、縦孔を掘り下げるに際しては、最下部の下刃部材23により孔の掘削を行うものとするが、前記掘削刃部20の最下部に配置している下刃部材23に対して、その上部に配置するフライト部材は、例えば、スクリューを設けたパイプまたは筒状部材を、駆動源により回転されるロッド部材に対して、上下方向に移動可能に配置することが可能である。その他に、スクリューを短く切った扇子状のものを、軸に所定の間隔をおいて溶接して固定する等の手段により取り付けることが可能である。
前記図3に説明する下刃部材23において、刃板部材26、26aには、ロッド部材11を正逆回転させる際に、各前記刃板部材が進む方向の上流側、つまり、刃板部材の巾方向の両側面の土を切る面に、ビット部材29、29、29a……を各々設けている。前記ビット部材としては、焼き入れした硬い金属合金等の、従来の掘削装置に用いるものと同様な掘削刃部材が用いられるものであるが、その刃の大きさや取付け位置と、固定方法等に関しては、従来の掘削装置と同様に構成することが可能である。前記ビットを設けた刃板部材26、26aは、刃板支持部材24、24aの間で支軸25を介して揺動が可能なように支持されていて、前記ロッド部材11の回転方向にしたがって、刃板部材26、26aの先端部が描く円の大きさが異なるものとされる。つまり、図4に示すように、ロッド部材11を反時計方向(以下逆転方向と呼ぶ)に回転させる時には、下刃部材23の刃板支持部材24よりも、刃板部材26、26aの先端が大きく突出されて、回転されることにより描かれる円9aの半径は大きなものとされる。
そして、前記ロッド部材11を時計方向(以下正転方向と呼ぶ)に回転させて、刃板部材26、26aにより杭孔9の土を攪拌する際には、前記刃板部材26、26aをロッド部材11を中心にして小さな半径の円(孔9a)を描くように、前記刃板部材を固定・保持させるようにする。そのために、前記2つの刃板部材26、26aのロッド部材11に接する側には、2つの円弧面27、28を設けており、前記刃板部材26が支軸25を中心にして、土から受ける力により揺動される。したがって、図4、5に各々説明するように、前記刃板部材26、26aが各々押圧される方向に回転されて、前記円弧面27、28の1つがロッド部材11の表面に押圧されて、土を掘削する姿勢を維持できるようにする。
前述したように構成された掘削ヘッド10を用いて、地表面から所定の深さまで杭孔9を掘削する際には、ジョイント部12における被係止突部13が、係止溝部17に挿入された状態とされるので、ロッド部材11が正転方向に回転されることにより、掘削刃部20と上部フライト部材14は同方向に回転される。これに対して、ジョイント部12での係止状態が解除されると、ロッド部材11の回転は上部フライト部材14に対しては伝達されない状態とされるので、ロッド部材11を回転させると、掘削刃部20の下刃部材のみが孔の中で回転されて、掘削した土を固化材と混合・攪拌する動作を行うようにされる。前記ロッド部材11に設けた被係止突部13を、上部フライト部材14に設けた係止溝部17から離脱させるためには、ロッド部材11を引き上げ、上部フライト部材14を掘削した孔の上部付近まで上昇させた状態で固定し、ロッド部材11を所定の距離押し下げるようにすることによっても、容易に切り離しの動作が行われる。また、前記上部フライト部材14を引き上げて、地上付近にまで引き上げた状態で固定し、前記ジョイント部12での切り離しを行うことで、掘削刃部20のみが、ロッド部材により回転される状態とされる。
前述したように、最初に縦孔を掘り下げる際には、掘削刃部20と上部フライト部材14とを組み合わせて、ロッド部材を一方(正転方向)に回転させ、小径の孔を掘削する。その後に、ロッド部材11を少しずつ引き上げながら、フライト部材のテーパ状の外形により、孔の中の土を孔壁に向けて押圧するようにして、中空なロッド部材の下部から、孔の下部の空間に向けてセメントミルク等の固化材を注入する動作を続ける。そして、前記掘削刃部20を所定の高さまで引き上げて、上部フライト部材14が地表面から若干露出された位置、または、地面から所定の深さの位置まで上昇させたところで、ジョイント部12で切り離しを行って、上部フライト部材14を地中に埋めた状態で、孔の上部を塞ぐように固定保持させる。前述したようにして、ロッド部材11から上部フライト部材14を切り離し、ロッド部材11を逆転方向に駆動して、その下端部に固着している掘削刃部20を回転させて、大径の孔9の作成に対応させた状態とすることにより、杭孔9の壁の土を切り崩しながら、固化材と混入する作業を行う。
なお、前記掘削刃部20においては、最下部の掘削部材23のみを、掘削刃部材を設けたものとして設け、その上部の上刃部材21は、単純な構成のフライト等を設けて、土を混合攪拌する作用を有するものとして構成しても良いことは、前述した通りである。前述したように、最下部の掘削刃部材の他の部材を、ビットを設けない掘削刃部材として構成する場合にも、最下部の掘削部材23により掘削された土を、前記上刃部材21により攪拌する作用や、固化材と土とを混合する作用を、良好な状態で行わせ得るようにする。なお、前記ロッド部材11に支持される上部フライト部材14と掘削刃部20とは、構築を予定する孔の径よりも小径のものとして構成されている。具体的には、下刃部材23に設けた掘削刃部材26、26aが大きく突出された状態が、構築を予定しているする杭孔の直径に対応されるが、前記図4のように、掘削刃部材26、26aが大きく拡開された状態で、孔壁の掘削と固化材を混合する作用が行われる。そして、最初に孔の中に充満されている固化材に、壁から削り取った土を混入することで、孔9aよりも少し大きな径の改良土の柱を構築することができる。
前述したように構成された掘削ヘッド10を装備する柱状地盤改良装置を用いて、場所打ち杭(改良土の柱)を施工する場合には、図6(A)〜(E)の工程にしたがって、掘削した杭孔9に改良土の柱を構築する工事が行われる。まず、図6(A)に示すように、駆動装置7に取付けたロッド部材11の下部では、掘削刃部20と上部フライト部材14がジョイント部で、係止溝17に被係止突部13を組み合わせて固定保持する。そして、前記ロッド部材11を下部に向けて押し下げるようにして、駆動装置7により回転させながら、杭孔9を掘り下げる作業を行う。そして、前記装置を用いて杭孔9を掘り下げるに際して、同図(B)で、符号10aで示す位置(最下部)に達する位置まで掘り下げる。前述したように、最初に縦孔を掘り下げるに際しては、ロッド部材11を図の正転方向に回転させて、掘削ヘッド20による掘削を予定した深さに達するまで行う。
前述したように、掘削ヘッド10を用いて杭孔9を掘り下げるに際して、予定した深さまで固化材を供給しないで孔を掘り下げるが、前記杭孔9を掘り下げる最初の工程では、図5のように、ロッド部材11を正転方向に回転させて、小径の掘削孔を構築するようにしている。そして、孔を所定の深さまで掘り下げてから、ロッド部材11を回転させないで掘削ヘッド10を引き上げるようにして、同図(B)の符号10で示す位置まで上昇させる。なお、前記掘削ヘッド10を無回転で引き上げるに際しては、その下部に形成される空隙部に対して、適量の固化材を連続して適量ずつ供給できれば、段階的な引き上げを行わずに、連続した引き上げの動作を行うことも可能とされる。前記掘削ヘッド10を上昇させる動作により、上部フライト部材14のスクリュー部材の外形が、下部が大径とされているテーパ面により、土を孔の周囲の壁に向けて押圧して、孔の壁の土を圧密して強化する作用が行われる。前述したように、上部フライト部材を上昇させる際に、孔の周囲の壁に向けて土を押圧して孔の壁を強化することで、例えば、地層に隙間等があったとしても、そのような隙間を土で塞ぐことができる。したがって、注入したセメントミルク等の固化材が、孔の壁の隙間を通って外に漏れ出したりする恐れはなくなり、固化材を有効に利用できるものとなる。
なお、前記小径の孔9aを掘り下げてから、スクリュー部材14とともに掘削ヘッド20を上昇させる際に、前記ロッド部材11の下端部からセメントミルクを供給することにより小径の孔の中に、ほとんど固化材(セメントミルク)のみで作成された柱が構築されることになる。そして、前記図6(B)の符号10で示すように、掘削ヘッド10を上昇させた位置の下部にまで、固化材としてのセメントミルクの柱が形成されることになり、その孔の最上部では、上部フライト部材14と掘削した土とによって、栓をした状態とされる。前述したようにして、ロッド部材11を引き上げて、上部フライト部材14を所定の位置まで上昇させてから、前記上部フライト部材14を固定保持して、ロッド部材11を下降させてジョイント部12から切り離す。前記切り離したフライト部材14は、土の中に埋めた状態で保持することで、杭孔のキャップとしての作用を発揮させることが可能とされるが、前記上部フライト部材14を地上においた状態として、その下部で改良土の柱の構築作業を行うことも可能である。
前述したようにして、掘削刃部20のみをロッド部材12に保持する状態で、同図(C)、(D)に示すように、掘削刃部20を逆転させながら上下動させ、孔の中の固化材に対して壁を削った土を混合して、改良土の柱を構築する作業を行う。なお、前記図6(C)、(D)に示すように、掘削刃部20を逆転方向に駆動しながら上下動させる際に、前記掘削刃部20では、図4に示しているように、掘削刃部材26、26aが大きく拡開された状態で、孔壁の掘削と固化材を混合する作用が行われ、大径の改良杭部材が構築される。そして、最初に掘削した小径の孔9aの周囲の孔壁を崩しながら、大径の杭孔9として形成され、固化材が低い圧力で注入されるため外に流出することがなく、固化材の混合比率の大きい改良土の柱が作成されることになる。
前述したようにして構築された場所打ち杭は、その掘削ヘッドを引き抜いた状態で放置して、そのまま固化材を硬化させることで、大きな強度を発揮させ得る杭を構築することができる。また、前記掘削ヘッドを上下動させながら大径の孔を掘削する状態で、土と固化材とを混合する作業を行うに際して、前記掘削ヘッドにより構築する縦孔を、従来の場所打ち杭が必要としていた杭の径よりも小さな径で、より強度が大きいものとして構築することができる。そして、前記図6の工程(E)を経て構築される柱状改良層30は、そのまま杭として用いて、その上部に構築する基礎を介して建物等を構築することができるが、前記柱状改良層30に対して既成の杭を追加施工し、より強度の大きな基礎を構築することもある。そのような場合には、図7に示すように、地盤を垂直に改良して作成した柱状改良層30の内部に、既成の杭31を立設して、柱状改良層30と一体化することにより、より強度の大きい支持杭を構築することが可能となる。
前記柱状改良層30に組み合わせて立設する既成の杭31としては、従来より一般に用いられているコンクリート製の杭や、鋼管杭、その他に、H形鋼やI形鋼等の断面積が小さくても、大きな値の支持強度を発揮できる杭部材を用いることができる。その他に、小径のパイプの先端部にスクリュー状の受圧面を設けた特殊な杭等を埋設して、柱状改良層30の材料と一体化させることも可能である。そして、これらの杭部材31を、柱状改良層30が固化しない状態で打設すれば、柱状改良層の土が固化すると同時に、既成の杭を強固に一体保持できるものとされる。
前記図7に示す例において、縦孔に改良土を充満させた柱状改良層(場所打ち杭)30に対して、その上部には、固化材が混入されていない土の層が残ることもある。そこで、前記柱状改良層30の上部に1〜2m程度入り込ませるように、既成の杭を打ち込んで、柱状改良層30の上部に所定の長さだけ既成の杭の下部を打ち込んで、一体化させた複合杭を構築することによっても、その上部に構築する建物の基礎を支持可能にすることができる。また、前記柱状改良層30を構築する最初の工程において、縦孔を掘り込んでから段階的に上昇させる動作の最後の段階で、上部フライト部材とともに、その上の土が地上に排出されることがある。その排出される土の量は比較的少量であるが、固化材が混入されていない良質の土であるから、その土は廃棄物とされることはなく、そのまま任意の場所に埋めても良い。
掘削装置の構成を示す説明図である。 掘削部材の構成の説明図である。 下刃部材の構成の説明図である。 下刃部材の掘削作業時の状態の説明図である。 ロッド部材を逆転する時の下刃部材の状態の説明図である。 (A)ないし(E)は、杭孔を掘削する工程を、順を追って説明する説明図である。 完成した杭孔に既成の杭を埋設する例の説明図である。
符号の説明
1 作業装置、 2 支柱、 4 巻上げ機、 5 混合装置、
7 駆動装置、 9 掘削孔、 10 掘削ヘッド、 11 ロッド部材、 12 ジョイント部、 13 被係止突部、 14 上部フライト部材、
16 スクリュー、 17 係止溝部、 20 掘削刃部、
21 上刃部材、 23 下刃部材、 24 刃板支持部材、
26 刃板部材、 27・28 円弧部、 29 ビット部材、
30 柱状改良層、 31 既成の杭。

Claims (8)

  1. 地盤に垂直に杭孔を掘削し、前記掘削した杭孔の土に固化材を混入して攪拌することにより、改良土の柱を構築する柱状地盤改良装置であって、
    固化材を供給する装置に接続され、下部から固化材を噴出させる供給手段と、孔の掘削と掘削した土を攪拌する掘削ヘッドとを設けたロッド部材と、
    前記ロッド部材を正逆方向に駆動するための駆動手段と、を組み合わせて設け、
    前記掘削ヘッドには、ロッド部材の正転方向に対応して、小径の孔と大径の孔の2種類の孔を掘削可能な掘削刃部を設けたことを特徴とする柱状地盤改良装置。
  2. 前記掘削ヘッドに設ける掘削刃部には、ロッド部材が中心部を貫通するように設けた刃板支持部材に、刃板部材を支軸を介して揺動可能に設け、
    前記刃板部材には、土に当接する面に耐磨耗性を発揮する部材を取付け、
    前記ロッド部材を正逆転させることにより、小径の孔と大径の孔の2種類の孔の外径に対応させて、刃板部材を各々突出させて固定手段により保持可能とし、
    前記ロッド部材を一方向に駆動することで、小径の孔の掘削に対応させ、
    前記ロッド部材を逆転方向に駆動することにより、大径の孔の掘削に対応させることを特徴とする請求項1に記載の柱状地盤改良装置。
  3. 前記掘削刃部の上部に、ロッド部材に対して係脱可能な接続手段を用いて支持される上部フライト部材を設け、
    前記ロッド部材に対して前記フライト部材を固定して、前記掘削刃部とともに所定の深さまで孔を掘り下げ、
    前記ロッド部材から前記フライト部材を切り離して、掘削刃部のみを駆動することによって、孔の中の土を固化材に混入することを特徴とする請求項1または2に記載の柱状地盤改良装置。
  4. 前記掘削刃部の上部に、ロッド部材に対して係脱可能な接続手段を用いて支持される上部フライト部材には、
    前記ロッドを上下に貫通させる筒部材に対して、上部が小径で下部が大径のフライト部材を設け、
    前記下部のフライト部材の大径の部分の径が、前記掘削刃部の最小の回転径以下の外径のものとして形成されており、
    前記フライト部材を回転させずに上昇させる動作により、掘削した土を孔の壁に向けて押圧する作用を行うものとして設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の柱状地盤改良装置。
  5. 前記掘削ヘッドにより柱状の改良土の柱を構築するに際して、
    最初に小径に設定した掘削刃部により、所定の深さまで掘り下げた後で、
    前記掘削ヘッドを回転させずに上昇させながら、その下部に固化材を流入させて充満させる工程と、
    掘削ヘッドの掘削刃部を大径の孔の掘削に対応させて拡開した状態で、孔の中で前記掘削ヘッドのみを複数回上下動させて、孔の壁を削った土と固化材とを混合する工程とを、順次施工することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の柱状地盤改良装置を用いた柱状地盤改良工法。
  6. 前記掘削ヘッドにより柱状の改良土の柱を構築するに際して、
    前記小径の孔を掘削する状態に設定した掘削刃部により、小径の孔を所定の深さまで掘削する工程と、
    前記掘削ヘッドを回転させずに引き上げながら、その下部に固化材を注入する工程と、 前記掘削ヘッドのフライト部材を、ロッド部材から切り離して杭孔の上部においた状態で、ロッド部材により掘削ヘッドを前記掘削時と逆方向に回転させながら、前記掘削ヘッドを上下動させる動作を繰り返し、大径の孔の掘削に対応させた掘削ヘッドにより、孔の壁の土と固化材と混合する動作を行う工程とを、順次行うことを特徴とする請求項5に記載の柱状地盤改良工法。
  7. 前記装置を用いて柱状地盤改良を行ってから、その改良土の柱内部にコンクリートまたは鋼管杭のような既成の杭を所定の深さまで挿入し、前記改良土の柱と一体化した地中柱を構築することを特徴とする請求項5または6に記載の柱状地盤改良工法。
  8. 前記小径の孔を掘削する状態に設定した掘削刃部により、小径の孔を所定の深さまで掘削してから、前記掘削ヘッドを回転させずに引き上げながら下部に固化材を注入し、
    前記掘削刃部を引き抜いた状態で、固化材を硬化させることにより杭を構築することを特徴とする請求項1ないし4に記載の柱状地盤改良装置を用いた柱状地盤改良工法。
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