JP6246599B2 - 小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法 - Google Patents

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Description

この発明は、小規模の建築物や擁壁などの小規模構造物に適用して好適な小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法に関する。
小規模建築物に採用されている地盤補強工法として、小径の鋼管杭や既製コンクリート杭を打設する既製杭工法が広く採用されている。例えば特許文献1で採用している工法は、地盤をオーガードリルで掘削しながら鋼管杭を埋め込む工法である。また、特許文献5の回転貫入鋼管杭工法では鋼管先端に溶接固定した鋼製翼に特徴がある。
また、例えば先端部に攪拌翼を有する掘削攪拌ロッドを地中に貫入させる等して、地盤を掘削しながらセメント系固化材を注入して、掘削した原地盤土とセメント系固化材と攪拌混合させ固化させ、柱状杭(ないし柱状補強体)を造成するいわゆる柱状改良杭工法も広く採用され、具体的な施工方法としては種々の工法がある(特許文献2、特許文献3)。
また、地盤をアースオーガー等で掘削し、その掘削孔に、排出した掘削土とセメント系固化材とを混合した改良土を埋め戻し締め固めることで柱状補強体を形成するいわゆる乾式の柱状改良杭工法もある(特許文献3ではこの工法も採用)。
ところで、場所打ち杭工法の代表的な工法の一つであるオールケーシング工法は、先端に掘削刃を持つケーシングを揺動圧入等により地盤に圧入し、ケーシング内をハンマーグラブで掘削・排出し、掘削孔に鉄筋かごを挿入し、コンクリートを注入しながらケーシングを引き抜くことで鉄筋コンクリート杭を造成する工法(例えば特許文献4で採用されている)であるが、施工設備が大掛かりであり、一般に小規模建築物には適さない。また、排出土の処理に費用がかかり、環境問題も生じる。リバース工法、アースドリル工法等も同様である。
特開2002−356846 特開2006−283438 特開平11−247175 特開2002−115481 特開2010−281205
上記の鋼管杭や既製コンクリート杭は、杭材を生産工場から現場へ搬送するのが容易でなく、コストも高くなるという問題がある。また、地盤状況によっては杭の長さ調整が必要となるという問題もある。また、回転貫入鋼管杭工法では、鋼管を現場溶接した時の品質確保の問題や、使用する鋼管が高価であるという問題もある。
また、柱状改良杭工法は所望の強度を安定して得ることが必ずしも簡単でないという品質確保の問題があり、また、施工に伴い発生する残土の処理の問題もある。
本願発明者らは、上記のような背景のもと、小規模構造物に適用可能な小口径コンクリート杭に特化することで、残土の排出が殆んどなく、安定した品質を確保することが容易で、しかも施工が容易かつ低コストで施工できる小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法を開発し、既に特許出願をした(特願2012-241639)。
本発明はこの先の出願(特願2012-241639)の地盤補強工法を前提として、これを改良したものであるが、前提となるこの先の出願の工法は、詳細は後述するが簡略化して説明すれば、図3(イ)〜(ヘ)に示すように、鋼管であるケーシング1の先端に先端掘削翼2を、ケーシングの貫入時回転方向に対してはケーシングと係合して一体に回転し前記貫入時回転方向と逆方向の回転に対してはケーシング1から外れるように係合させ、この先端掘削翼付きのケーシング1を回転圧入して所定深度まで貫入し、次いで、鉄筋を挿入することなくケーシング1内に注入材7を注入し、次いで、ケーシング1を前記貫入時回転方向と逆方向に回転させながら前記先端掘削翼2を外し杭底に残した状態で抜き取るという工法である。
なお、この明細書において「注入材」なる用語は、本発明においてコンクリート場所打ち杭を施工する施工現場でケーシングに注入する材料という意味で用いている。一方、「コンクリート」なる用語は、「注入材」と同義で用いている場合と、コンクリート品質を問題にする場合等において「セメントと水と骨材の混合物」という一般的な意味で用いている場合がある。また、混同する恐れがない文脈では、生コンクリートも単にコンクリートと呼ぶ。
この工法を採用する際、杭の施工深さをHメートルとすると、コンクリート品質低下の原因となるコンクリートの材料分離が生じないためのコンクリート落下高さの制限から、注入ホースでコンクリートを注入する作業を、杭の施工深さ全体について連続して行なうことができず、例えば、杭の施工深さHメートルの約半分(H/2(メートル):以下メートルを略して単にH/2と記す))だけ打設した時点で、コンクリート打設作業(注入材注入作業)を中断し、杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシングを継ぎ足して、再びコンクリート打設作業を再開する必要がある。
この工法による杭築造工程は例えば図12に示した(1)〜(10)のような工程となる。すなわち、
(1)先端に先端掘削翼2を取り付けた約H/2(メートル)の長さの第1のケーシング1’を地盤に回転・圧入して約H/2の深さまで貫入し、
(2)前記第1のケーシング1’内に注入ホース8を挿入し、
(3)前記第1のケーシング1’内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース8を介して前記ケーシング1’内に注入材を注入し、
(4)前記注入ホース8を引き抜く。
(5)次いで、前記第1のケーシング1’に長さ約H/2の第2のケーシング1”を接続する(接続した第1、第2のケーシング1’、1”の全体を符合1で示す)。
(6)次いで、長さ約Hとなったケーシング1の全体を回転・圧入して杭施工深さHまで貫入し、
(7)前記ケーシング1内に再度注入ホース8を挿入し、
(8)前記ケーシング1内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース8を介して前記ケーシング1内に注入材を注入し、
(9)前記注入ホース8を引き抜き、
(10)最後に前記長さ約Hのケーシング1を引き抜く。
以上の工程により小口径コンクリート杭が築造される。
前記コンクリート落下高さの制限の問題は、前記(3)の工程におけるコンクリート打設作業の際のコンクリート落下高さを制限以下とし、また、前記(8)の工程におけるコンクリート打設作業の際もコンクリート落下高さを制限以下とすることで、すなわち、コンクリート打設作業を中断して2回に分けることで回避できる。
しかし、その場合、始めに貫入させた第1のケーシング1’に第2のケーシング1”を継ぎ足すことが必要となり、そのケーシング継ぎ足し作業が煩雑なので、施工能率が悪く施工時間が長くかかる。
すなわち、鋼管杭の施工において、短い鋼管を継ぎ足して杭施工深さの鋼管杭を施工する場合、その継ぎ足しは溶接接合により行なうのが一般的であるが、本発明の前提とする地盤補強工法において、第1のケーシング1’と第2のケーシング1”との継ぎ足しを、同様に溶接接合により行なうとすると、溶接接合作業が煩雑なので、前記の通り施工能率が悪く施工時間が長くかかる。
ところで、前記長さ約H/2の第1、第2の各ケーシング1’、1”は、実際にはいずれも例えば長さ3m等の短尺ケーシングを継ぎ足して構成する場合が多いが、その場合に短尺ケーシングどうしを継ぎ足す工程は、回転・圧入駆動装置で既に貫入させた短尺ケーシングAの頂部から回転・圧入駆動装置を取り外し、回転・圧入駆動装置で継ぎ足す側の短尺ケーシングBの頂部を把持して、その下端部を前記短尺ケーシングAの頂部に接続するという作業となり、この場合には、短尺ケーシング継ぎ足し工程が増えるので、この短尺ケーシングどうしの継ぎ足しを、前記のように鋼管杭の施工の場合と同じく溶接接合により行なうとすると、一層煩雑になり、施工能率が一層悪く施工時間が長くかかる。
本発明は上記背景のもとでなされたもので、残土の排出が殆んどなく、安定した品質を確保することが容易で、しかも施工が容易かつ低コストで施工可能であるとともに、更に、コンクリート品質低下の原因となるコンクリートの材料分離を生じさせることなく能率的に施工可能な、小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する請求項1の発明は、杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシングとこのケーシングの先端に係脱可能に取り付けられてケーシングの回転・圧入を促進するための先端掘削翼とを用いて施工する、小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法であって、
前記先端掘削翼は、ケーシングの貫入時回転方向に対してはケーシングと係合して一体に回転し前記貫入時回転方向と逆方向の回転に対してはケーシングから外れるようにケーシングに係合しており、
次の(1)〜(11)の工程により杭を築造することを特徴とする小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法。
(1)前記ケーシングをその下端に前記先端掘削翼を係合させた状態で地盤に回転・圧入して杭施工深さHの約半分の深さH/2まで貫入する工程。
(2)前記ケーシング内に注入ホースを挿入する工程。
(3)前記ケーシング内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース介して前記ケーシング内に注入材を注入する工程。
(4)前記注入ホースを引き抜く工程。
(5)前記ケーシングの上端部にヤットコを接続する工程。
(6)注入材が充填された前記ヤットコ接続のケーシングを回転・圧入して、最終的な杭施工深さHまでさらに貫入する工程。
(7)前記ヤットコ接続のケーシングを、前記貫入時回転方向と逆方向に回転させながら前記先端掘削翼を外し杭底に残した状態で、ケーシング下端が、先に注入した注入材の上端面付近にくるまで引き上げる工程。
(8)前記ヤットコを前記ケーシングから取り外し、注入ホースを再度ケーシング内に挿入する工程。
(9)前記ケーシング内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホースを介して前記ケーシング内に注入材を注入する工程。
(10)前記注入ホースを引き抜く工程。
(11)前記ケーシングを引き抜く工程。
請求項2は、請求項1の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法において、
ケーシングに注入材を注入する手段として、注入ホースを介して注入材をケーシングに注入する手段に代えて、ケーシングの上方にセットした注入ホッパを介して注入材をケーシングに注入することを特徴とする。
請求項3は、請求項1又は2の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法において、
前記先端掘削翼は、ケーシング径より大径でケーシングの先端開口を閉塞する一部切欠き円板部2とこの一部切欠き円板部に基部が固定された、尖った先端部を有する板状刃13とからなるとともに、前記一部切欠き円板部2は、ケーシングの先端開口を閉塞する円形閉塞部121と、この円形閉塞部に連接してケーシング外周面より半径方向外方に一部切欠き鍔状に延在する一部切欠きの翼部122とからなり、前記翼部における前記切欠き部の片側近傍は上向きに傾斜して上向き傾斜面部122aを形成し、他側近傍は下向きに傾斜して下向き傾斜面部122bを形成する構造であることを特徴とする。
請求項4は、請求項3の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法において、前記ケーシングと先端掘削翼との係合構造が、前記ケーシング先端部内面に円周方向に間隔をあけて固定した2箇所以上の突起と、前記先端掘削翼の一部切欠き円板部の円形閉塞部の内面に固定された、前記各突起に係合可能な態様のL形係合片とによる係合構造であることを特徴とする。
発明が解決しようとする課題の欄で述べた通り、先端掘削翼を係合させたケーシングを貫入して孔を掘削した後、鉄筋を挿入することなくケーシング内に注入材を注入し、掘削孔の底に先端掘削翼を残置させてケーシングのみを引き抜くという簡単な手順で杭築造を行なう際に、コンクリート落下高さの制限に対応するために、コンクリート打設作業を中断して、杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシングを継ぎ足す工程が生じ、そのケーシング継ぎ足しの作業が煩雑であり、施工時間が長くかかる等の問題があったが、本発明によれば、コンクリートの材料分離によるコンクリート品質を低下させることなく(コンクリート落下高さの制限に従ってままで)、杭施工深さHの約半分H/2のケーシングを継ぎ足すという作業を不要とすることができ、施工能率が向上し施工時間が短縮される。
すなわち、図12で説明した従来工法において、杭施工深さHの約半分H/2のケーシングを継ぎ足す作業を、鋼管杭の施工の場合の短い鋼管の継ぎ足しと同様に溶接接合により行なうとすると、溶接接合作業が煩雑なので、施工能率が悪く施工時間が長くかかるが、本発明によれば、そのケーシング継ぎ足し工程が不要となるので、そして、既に貫入させたケーシングにヤットコを接続する作業は溶接接合と比べて容易なので、施工能率が向上し施工時間が短縮される。
特に、杭施工深さHの約半分(H/2)のケーシングは、それが一体ものでなく例えば3mなどの短い短尺ケーシングを連結して施工深さの約半分のケーシングとすることも多いので、その場合には、従来工法のように長さ約H/2の第1、第2の各ケーシング1’、1”を継ぎ足す工法では、ケーシング継ぎ足し回数が大幅に増え煩雑になるが、本発明ではヤットコを用いることで第2のケーシング1”に相当するものが不要となり、ケーシング継ぎ足し回数が大幅に少なく済み、施工能率向上、施工時間短縮の効果はさらに顕著に高いものとなる。
また、本発明では、ケーシングとして使用する鋼管材は、杭施工深さの約半分の長さで済み(第1のケーシング1’に相当するものだけで済む)、杭施工深さ分の長さを必要とする従来方法と比べて、取り扱いが容易であり、また材料コストも安く済む。
本発明の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法によれば、ケーシングの外径が小径であり掘削土はそれほど多くないので、殆んど無排土で施工でき、残土処理も不要となる。
また、単純な施工手順で、品質の安定した口径コンクリート杭を得ることができ、施工が容易であり、施工コストも安く済む。
既製杭工法と異なり、杭材を生産工場から搬送することが不要なので、この点でも工事全体としてのコストも安く済み、施工管理も容易になる。
このように、本発明によれば、小規模構造物に適用可能な小口径コンクリート杭に特化することで、残土の排出が殆んどなく、安定した品質を確保することが容易で、しかも施工が容易かつ低コストで施工が可能となる。
また、場所打ち杭であるから地盤状況によっては杭の長さ調整が必要となるという問題は生じないし、回転貫入鋼管杭工法と異なり、鋼管を現場溶接した時の品質確保の問題や、使用する鋼管が高価であるという問題もない。
請求項3によれば、先端掘削翼の翼部が、切欠き部空間cを挟んで片側に上向き傾斜部、他側に下向き傾斜部を有する構造なので、翼部の両傾斜部により大きな推進力が得られ、回転・圧入装置による押し込み力と合わせてケーシングの貫入が円滑に行なわれる。
また、ケーシングを貫入させて掘削する際、翼部が板状刃と協働して地盤の掘削を行うので、翼部の推進力が効率よく機能するとともに、翼部の両傾斜部と板状刃との相乗作用により、効率的に掘削することができる。
また、掘削孔の底に残置される先端掘削翼の形状を、例えば請求項4のようなL形係合片を持つ形状等の、硬化した注入材と一体係合する形状とすることで、先端掘削翼の広い翼部で大きな支持力を確保できることができる。すなわち、周面摩擦による支持力だけでなく、特許文献5の回転貫入鋼管杭工法と同様に先端支持力も確保することが可能となる。
本発明の一実施例の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法の施工手順を説明する図である。 本発明の他の実施例の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法の施工手順を説明する図である。 本発明の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法の前提となる地盤補強工法を説明する図である。 上記の各実施例においてコンクリート打設をする装置を説明する図である。 図2、図3において用いるヤットコとケーシングとの連結構造を説明するもので、(イ)はヤットコをケーシングの頭部の上方に位置させた連結直前の状態を示した斜視図、(ロ)は(イ)の状態からヤットコを下降させてケーシングの頭部に載せた状態を示す断面図、(ハ)は(ロ)の状態からヤットコを回転させてヤットコをケーシング頭部に係合させた連結状態、(ニ)は(ハ)とは逆方向に回転させて係合させた連結状態を示す断面図である。 上記の地盤補強工法に用いるケーシング及びその先端に係合させた先端掘削翼を示すもので、(イ)は前記先端掘削翼をケーシングに係合させた状態で示した正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、(ハ)は上側部分は(イ)のB−B断面図であるが下側部分は(イ)の左側面図で示した図ある。 図6における先端掘削翼のみを示すもので、(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ、図4の(イ)、(ロ)、(ハ)における先端金具のみを示す図である。 図7の先端掘削翼における一部切欠き円板部を円形鋼板から切り込み曲げ加工して製作する要領を説明するため図であり、(イ)は素材の円形鋼板の平面図、(ロ)は製作した一部切欠き円板部の模式的な正面図である。 図5におけるケーシング先端部と先端掘削翼との係合構造の一箇所を示す斜視図である。 (イ)は先端掘削翼をケーシングの先端に係合させた状態で示した斜視図、(ロ)は先端金具を分離させた状態で示した斜視図である。 本発明の地盤補強工法の適用例を示すもので、(イ)は適用した小規模建築物のべた基礎の平面図、(ロ)は(イ)におけるC部の拡大断面図である。 本発明の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法が前提とする地盤補強工法であるが、本発明と異なる工法を採用した場合の問題点を説明する図である。
以下、本発明の小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図3は本発明の前提となる小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法の施工手順を説明する図である。すなわち、コンクリート落下高さの制限に対する対応を省略して説明する図、ないし、コンクリート落下高さの制限を考慮しないで済む程度の杭施工深さである場合の施工を説明する図である。
(1)図3(イ)のように、小口径コンクリート杭を造成しようとする杭芯位置に合せて、先端に鋼製の先端掘削翼2を係合させたケーシング1をセットする。先端掘削翼1の詳細構造については後述する。
杭打ち機3のリーダ4には、ケーシング1の頭部に連結されてケーシング2を回転・圧入する回転・圧入駆動装置5がリーダ4に沿って昇降自在に設けられている。回転・圧入駆動装置5として、アースオーガーのオーガー駆動部を用いることができる。
(2)次いで、ケーシング1の鉛直性を確認した後、回転・圧入駆動装置5によりケーシング1を回転・圧入させながら、所定深度まで埋設する(図3(ロ))。
この工法は先端支持力と周面摩擦力により所定の支持力を確保できる工法を前提としている。
先端掘削翼2は、詳細は後述するが、ケーシング1の貫入時回転方向に対してはケーシング1の先端に係合し、貫入時回転方向と逆方向の回転に対してはケーシング1の先端から外れる構造である。
また、ケーシング1が貫入される際、先端掘削翼2で掘削された土砂は、ケーシング1の外径が小径であり発生する掘削土はそれほど多くないので、掘削土が地上に排出されることは殆んどない。
このように殆んど無排土で施工することができ、残土処理をする必要がない。
(3)次いで、回転・圧入駆動装置5をケーシング1から切り離す(図3(ハ))。
(4)次いで、ケーシング1内に注入材を注入する(図3(ニ))。注入材としては、後述するような、コンクリートと砕石混合セメントミルクとを攪拌混合したものを用いるとよい。注入された注入材を7で示す。なお、この図3(ニ)で示した工程には、実際には、注入ホースをケーシング内に挿入する工程、注入ホースから注入材を注入する工程、注入ホースを引き上げる工程を含む。
(5)次いで、回転・圧入駆動装置5を再度ケーシング1に接続する(図3(ホ))。
(6)次いで、回転・圧入駆動装置5を貫入時の回転方向と逆方向に回転させながら、ケーシング1を引き抜く(図3(ヘ))。
その際、ケーシング先端に係合していた先端掘削翼2は、ケーシング1の逆回転によりケーシング1から外れて、掘削孔の底に残る。したがって、ケーシング1内に注入された注入材7はケーシング1を引き抜く際に掘削孔内に充満していく。
ケーシング1を引き抜いた後、注入材頭部の深度を確認・調整して小口径コンクリート杭の築造作業を完了する。
注入された注入材7が硬化すれば、所望の性能を備えた小口径コンクリート杭が得られる。
この工法により施工された小口径コンクリート杭は、鉛直支持力のみを期待して施工されるものであり、所定の設計・施工方針に従って設計・施工された小口径コンクリート杭の長期並びに短期荷重時の鉛直荷重に対する支持能力が、設計通りの性能を有することが実験によって確かめられた。
本発明では、図3で説明した小口径コンクリート場所打ち杭による地盤補強工法を前提として、図1のようにして、コンクリート落下高さの制限に対応をした施工をする。
すなわち、本発明の地盤補強工法は、杭の施工深さ(最終的な施工深さ)Hの約半分の長さ(H/2)のケーシング10とこのケーシング10の先端に係脱可能に取り付けられてケーシング10の回転・圧入を促進するための先端掘削翼2とを用いて、次の(1)〜(11)の工程により杭を築造する。なお、前記先端掘削翼2は、詳細は後述するように、ケーシング10の貫入時回転方向に対してはケーシング10と係合して一体に回転し前記貫入時回転方向と逆方向の回転に対してはケーシング10から外れるようにケーシング10に係合する構造である。
(1)杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシング10をその下端に前記先端掘削翼2を係合させた状態で地盤に回転・圧入して杭施工深さHの約半分の深さH/2まで貫入する工程(図1(1)参照)。以下では、各工程に対応する図1における工程番号((2)、(3)、…)の記載は省く。
(2)前記ケーシング10内に注入ホース8を挿入する工程。
(3)前記ケーシング10内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース8を介して前記ケーシング10内に注入材7を注入する工程。
(4)前記注入ホース8を引き抜く工程。
(5)前記ケーシング10の上端部にヤットコ9を接続する工程。
(6)注入材7が充填された前記ヤットコ接続のケーシング20を回転・圧入して、最終的な杭施工深さHまでさらに貫入する工程、
(7)前記ヤットコ接続のケーシング20を、前記貫入時回転方向と逆方向に回転させながら前記先端掘削翼2を外し杭底に残した状態で、ケーシング下端が、先に注入した注入材の上端面付近にくるまで引き上げる工程。
(8)前記ヤットコ9を前記ケーシング10から取り外し、注入ホース8を再度ケーシング10内に挿入する工程。
(9)前記ケーシング10内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース8を介して前記ケーシング10内に注入材7を注入する工程。
(10)前記注入ホース8を引き抜く工程
(11)前記ケーシング10を引き抜く工程。
以上の工程により小口径コンクリート杭が築造される。
ヤットコ9は、その下端部にケーシングに対する係合構造を有し、上端部に回転・圧入駆動装置との連結構造を有するものであればよい。中間部(軸部)は中実又は中空の単なる棒状部材であってもよい。
ヤットコ9の構造の一例を図5に示す。このヤットコ9は、ケーシング10の外径より細い中空又は中実の軸部(図示例は中空)21の下端にケーシング10との接続部22を有している。前記接続部22は、ケーシング10の外径と同じ外径の肉厚円筒部23の下部に段差23aをつけて形成された薄肉円筒部25を有し、この薄肉円筒部25がケーシング10の上端部の内面に嵌合し、前記段差部23aにてヤットコ9からの圧入力をケーシング10に伝達する。軸部21は肉厚円筒部23の上端の円板部24に溶接固定されている。
ケーシング10の上端近傍の内面の直径方向に対向する2箇所に突起10aが溶接固定されており、前記薄肉円筒部25の下端部に、ケーシング10の前記突起10aが係合する切欠き26を形成している。前記切欠き26は、前記突起10aが上下に出入りできる程度の狭い横幅の開口26aの上側に、前記突起10aが横移動できる程度の縦幅で前記開口26aの位置から左右に伸びる横長溝26bを有して、T字形をなしている。
図1の(1)〜(11)で説明した杭築造工程における(5)〜(8)などの工程を
、図5の場合につて説明すると、次の通りである。
図3に示した杭打ち機3の回転・圧入駆動装置5で把持したヤットコ9を、前記切欠き26の開口26aの位置をケーシング10の前記突起10aの位置に合わせてケーシング10に真上から下ろすと、図5(ロ)に示すように、ケーシング10側の突起10aがヤットコ9の開口26aを通って横長溝26bに入り込むとともに、ヤットコ9の薄肉円筒部25がケーシング10の内面に嵌合し、かつ、ヤットコ9の段差部23aがケーシング10の上端面に当たる。
図5(ロ)の状態でヤットコ9を矢印のように上から見て右回転させると、相対的にケーシング10の突起10aがヤットコ9の横長溝26aの片側に入りこみ、図5(ハ)に示すように横長溝26aの奥端に突き当たる。図1(5)の「ケーシング10の上端部にヤットコ9を接続する」という工程では、図5(ハ)のようにする。
図5(ハ)の状態では、突起10aと横長溝26aとの係合により、ヤットコ9を破線矢印のように上から見て右方向に回転させたときケーシング10も一体に右回転し、かつ、ヤットコ9とケーシング10とが一体に上下移動可能となる。
したがって、図1(6)の「注入材7が充填されたヤットコ接続のケーシング20を回転・圧入して、最終的な施工深さ(H)までさらに貫入する」という工程では、図5(ハ)の状態で、ヤットコ9を回転・圧入駆動装置5により右回転・圧入する作業となる。
また、図1(7)の「ヤットコ接続のケーシング20を、貫入時回転方向と逆方向に回転させながら引き上げる」という工程では、図5(ハ)とは逆に、ヤットコ9を上から見て左回転させてケーシング10の突起10aがヤットコ9の横長溝26aの反対側の奥端に突き当たった図5(ニ)の状態で、ヤットコ9を回転・圧入駆動装置5により左回転させて引き抜く作業となる。
また、図1(8)の「ヤットコ9を前記ケーシング10から取り外す」工程は、図5(ロ)の状態で単にヤットコ9を引き上げる作業となる。
上記の地盤補強工法を採用して行なった施工実験における概略仕様は次の通りである。
(A)ケーシングの仕様
ケーシングの直径:φ216.3mm、
最大施工深さ:施工地盤面から15m
最小間隔:60cm(先端掘削翼の一部切欠き円板部外径の約1.7倍)
但し、使用するケーシングのサイズは上記サイズに限らず、例えばφ139.8mm〜φ318.5mm等のサイズが考えられ、好適にはφ165.2mm〜φ267.4mmのサイズである。
(B)注入材の仕様
(1)コンクリート(呼び強度:27N/mm
・単位セメント量:270kg/m以上
・水セメント比:65%以下
・スランプ:21cm以上
(2)セメントミルク+砕石(配合設計強度21N/mm
(a)セメントミルク
・水セメント比:60%
・ブリージング率:3%以下
(b)砕石
・コンクリート用砕石2005(JIS規格 A−5005)
・5mm以上25mm以下の粒径
図4は注入材をケーシングに注入する設備を簡略化して示したもので、ミキサー車31で輸送された前段落の(1)のコンクリートと、(2)の砕石混合セメントミルク(「セメントミルク+砕石」)とを電動アジテーターホッパー32に投入して混練し、電動アジテーターホッパー32からロータリーポンプ(スクイズ式ポンプ)33でサクションホース34を介して吸引してケーシング内に注入する。前記砕石混合セメントミルクは、施工現場にて、砕石及びセメントミルクをそれぞれ上記の割合で計量し、ミキシングバケットに投入し攪拌混合した材料を用いた。
図2に本発明の地盤補強工法の他の実施例を示す。
この実施例は、注入材をケーシングに注入する手段として、注入ホースにより注入する代わりに注入ホッパ28から注入する点で異なるが、他の部分は図1について説明した工法と基本的に共通する。
次の(1)〜(11)の工程により杭を築造する。
(1)杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシング10をその下端に前記先端掘削翼2を係合させた状態で地盤に回転・圧入して杭施工深さHの約半分の深さH/2まで貫入する工程(図1(1))。以下では、各工程に対応する図1における工程番号((2)、(3)、…)の記載は省く。
(2)前記ケーシング10の上部に注入ホッパ28をセットする工程。
(3)前記ケーシング10内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホッパ28を介して前記ケーシング10内に注入材7を注入する工程。
(4)前記注入ホッパ28を取り外す工程。
(5)前記ケーシング10の上端部にヤットコ9を接続する工程。ヤットコ9を接続したケーシング10の全体をヤットコ接続のケーシング20で示す。
(6)注入材7が充填された前記ヤットコ接続のケーシング20を回転・圧入して、最終的な杭施工深さHまでさらに貫入する工程。
(7)前記ヤットコ接続のケーシング20を、前記貫入時回転方向と逆方向に回転させながら前記先端掘削翼2を外し杭底に残した状態で、ケーシング下端が、先に注入した注入材の上端面付近にくるまで引き上げる工程。
(8)前記ヤットコを前記ケーシングから取り外し、注入ホッパ28を再度ケーシング10の上部にセットする工程。
(9)前記ケーシング10内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホッパ28を介して前記ケーシング10内に注入材7を注入する工程。
(10)前記注入ホッパ28を取り外す工程
(11)前記ケーシング10を引き抜く工程。
以上の工程により小口径コンクリート杭が築造される。
注入ホースに代えて注入ホッパを用いるこの工法も、注入ホースを用いた場合の前述した効果と同じ効果を奏する。
前記先端掘削翼2の詳細構造について説明する。
図10(イ)は先端掘削翼2をケーシング10の先端に係合させた状態で示した斜視図、(ロ)は先端掘削翼2を分離させた状態で示した斜視図である。
図6(イ)は先端掘削翼2をケーシング1の先端に係合させた状態で示した正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、(ハ)は上側部分は(イ)のB−B断面図であるが下側部分は(イ)の左側面図で示した図である。
図7は図6における先端掘削翼2のみを示すもので、(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ、図6の(イ)、(ロ)、(ハ)における先端金具のみを示す図である。
図8は図7の先端掘削翼2における一部切欠き円板部12を円形鋼板から切り込み曲げ加工して製作する要領を説明するため図であり、(イ)は素材の円形鋼板(但し、切欠き部cが形成された段階のもの)12’の平面図、(ロ)は製作した一部切欠き円板部12の模式的な正面図である。
前記先端掘削翼2は、ケーシング径より大径でケーシング1の先端開口を閉塞する一部切欠き円板部12と、この一部切欠き円板部12に基部が溶接固定された図示例では正三角形状の板状刃13と、前記一部切欠き円板部12の前記板状刃13と反対側の面に溶接固定された、前記ケーシング1の先端部に嵌合する短い円筒部11とを備えた構造である。そして、詳細構造は後述するが、図9に示すようなケーシング1との係合構造15を有している。
前記一部切欠き円板部12は、ケーシング1の先端開口を閉塞する円形閉塞部121(ケーシング1の円周内部分)と、この円形閉塞部121に連接してケーシング外周より半径方向外方に一部切欠きの鍔状に延在する翼部122とからなり、前記翼部122における前記切欠き部cの片側近傍は上向きに傾斜して上向き傾斜面部122aを形成し、他側近傍は下向きに傾斜して下向き傾斜面部122bを形成する構造である。
前記一部切欠き円板部12は、直径350mmφの円形鋼板を切り込み曲げ加工して製作したものであり、その製作要領を図8を参照して説明すると、素材の円形鋼板12’に、当該一部切欠き円板部12に溶接固定される前記円筒部11(図8に2点鎖線で示す)の下端外周に沿うように所定範囲に円弧状の切込みaを設け、前記切込みaを含む所定範囲を半径方向外側への2本の切込みbによって扇形状に切り欠いて(切除して)切欠き部cを形成し、前記切込みaの各終端と円形鋼板12’の中心を結ぶ線分の延長線dを折曲げ線として前記切欠き部cの片側を上方に折曲して前記上向き傾斜面部122aを形成し、前記切欠き部cの他側を下方に折曲して前記下向き傾斜面部122bを形成し、前記上向き傾斜面部122aおよび前記下向き傾斜面部122bの切込み部aにおける傾斜部と非傾斜部の交差部とを溶接接合して製作する。これにより、切欠き部cを介在させて対向する上向き傾斜面部122aと下向き傾斜面部122bとを有する一部切欠きの鍔状の翼部122が円形閉塞部121の周囲に形成される。
上記構造の先端掘削翼2において、ケーシング1を回転させて地盤に貫入させる際、下向き傾斜部122bが、掘削刃である板状刃13と協働して地盤の掘削を行うとともにケーシング1を下方に引きずり込む推進力を得るように機能する。 また、上向き傾斜部122aも推進力を得るように機能する。これら、下向き傾斜部122bおよび上向き傾斜部122aの推進力が回転・圧入装置5による押し込み力に加わって、円滑な貫入が行なわれる。
先端掘削翼2のケーシング1に対する係合構造15は、図9にも斜視図で示すように、ケーシング1の先端部内面に溶接固定した、図示例ではケーシング1の直交する2つの直径方向の4箇所の突起17と、前記先端掘削翼2の一部切欠き円板部12の円形閉塞部121の裏面(板状刃13と反対側の面)に固定された、前記各突起17に係合可能な態様のL形係合片14とによる係合構造である。
ケーシング1の貫入時回転方向は右回転であり、ケーシング1が右回転(矢印a)すると、ケーシング1側の突起17が先端掘削翼2のL形係合片14に当たるので、先端掘削翼2はケーシング1と一体に回転する。引き抜き時にケーシング1が左回転(矢印b)すると、ケーシング1側の突起17は先端掘削翼2のL形係合片14から離れるので、ケーシング1を引き抜いた時、先端掘削翼2はケーシング1から外れて掘削孔底に残る。
なお、先端掘削翼2とケーシング1との係合構造はこの実施例に限らず、その他適宜の構造を採用することができる。
なお、先端掘削翼2として次の仕様が好適である。
(1)一部切欠き円板部
・材質:JISG3106(溶接構造用圧延鋼材)に規定されるSM490A、又はこれと同等以上の機械的性質を有するもの。
・直径φ350mm×厚さ12mm
(2)円筒部:JISG3101(一般構造用圧延鋼材)に規定されるSS400、又はこれと同等以上の機械的性質を有するもの。
(3)板状刃:JISG3101(一般構造用圧延鋼材)に規定されるSS400、又はこれと同等以上の機械的性質を有するもの。
上述の通り、コンクリートの材料分離を防止するためのコンクリート落下高さの制限に対応するために、コンクリート打設作業を中断して、2度に分けたコンクリート打設作業の必要が生じるが、2度に分けたコンクリート打設作業のために、従来は杭の施工深さの約半分の長さのケーシングを継ぎ足す工程が生じていたのに対して、上記の地盤補強工法によれば、杭施工深さHの約半分H/2のケーシングを継ぎ足すという煩雑なケーシング継ぎ足し作業が不要となり、施工能率が向上し施工時間が短縮される。
すなわち、図12で説明した従来工法において、杭施工深さHの約半分H/2のケーシングを継ぎ足す作業を、鋼管杭の施工の場合の短い鋼管の継ぎ足しと同様に溶接接合により行なうとすると、溶接接合作業が煩雑なので、施工能率が悪く施工時間が長くかかるが、上述の施工法によれば、そのケーシング継ぎ足し工程が不要となるので、そして、既に貫入させたケーシングにヤットコを接続する作業は溶接接合と比べて容易なので、施工能率が向上し施工時間が短縮される。
特に、杭施工深さHの約半分(H/2)のケーシングは、それが一体ものでなく例えば3mなどの短い短尺ケーシングを連結して施工深さの約半分のケーシングとすることも多いので、その場合には、図12で説明した従来工法では、ケーシング継ぎ足し回数が大幅に増え煩雑になるが、本発明ではヤットコを用いることで第2のケーシング1”に相当するものが不要となり、ケーシング継ぎ足し回数が大幅に少なく済み、施工能率向上、施工時間短縮の効果はさらに顕著に高いものとなる。
また、本発明では、ケーシングとして使用する鋼管材は、杭施工深さの約半分の長さで済み、杭施工深さ分の長さを必要とする従来方法と比べて、取り扱いが容易であり、またコストも安く済む。
ところで、上述の工法において使用する杭打ち機は、無用に大型の杭打ち機を使うことはしないので、通常、リーダーストロークがケーシング10の長さ(H/2)を吊り上げ可能な程度の小型の杭打ち機を用いる。この場合、図1の工法における最後の工程(11)では、長さH/2のケーシング10を引き抜くのは、1回のケーシング取り外し作業で済む。
一方、図12で説明した従来工法においてもリーダーストロークが同程度の小型の杭打ち機を用いるとすると、長さHのケーシング1を引き抜く最後の工程(10)では、ケーシング1をH/2余りを引き上げた時点で上側のケーシング1”を取り外し、次いで残った下側のケーシング1’をH/2余りを引き上げて取り外すという2回に分けたケーシング取り外し作業となる。
上記の通り、本発明によれば最後の工程でのケーシング取り外し作業の回数が1回で済むので、施工能率が高い。
また、杭施工深さHの約半分(H/2)のケーシングが一体ものでなく、例えば長さH/4の短い短尺ケーシングを連結して施工深さの約半分(H/2)のケーシングとする施工法の場合であれば、図12の従来工法の場合には、長さHのケーシング1を引き抜く最後の工程(10)では、ケーシング1をH/4余りを引き上げた時点で一番上の短尺ケーシングを取り外し、次いでその下の短尺ケーシングをH/4余りを引き上げて取り外し、というように4回に分けたケーシング取り外し作業が必要となる。
これに対して本発明の工法では、図1の工法における最後の工程(11)では、ケーシング10をH/4余りを引き上げた時点で上側の短尺ケーシングを取り外し、次いで下側の短尺ケーシングをH/4余りを引き上げて取り外すという2回に分けたケーシング取り外し作業で済む。
このように、本発明によれば、最後のケーシング取り外し工程における、短尺ケーシング取り外し作業が従来工法の場合と比べて概ね半分で済み、施工能率向上、施工時間短縮の効果はさらに顕著に高いものとなる。
また、上記の地盤補強工法によれば、上記の通り、殆んど無排土で施工でき、残土処理も不要となる。
また、先端掘削翼2を係合させたケーシング1を貫入して孔を掘削した後、掘削孔の底に先端掘削翼2を残置させてケーシング1のみを引き抜きながらケーシング1内に注入材7を注入するので、すなわち、掘削孔径が確保されたケーシング1内に注入材7を打設するので、品質の安定した小口径コンクリート杭の築造が可能である。
簡略化して言えば、ケーシングを貫入させ、注入材を注入し、鉄筋を挿入することなくケーシングを引き抜くという単純な施工手順で、品質の安定した小口径コンクリート杭を得ることができるので、施工が容易であり、施工コストも安く済む。
既製杭工法と異なり、杭材を生産工場から搬送することが不要なので、施工コストも安く済み、施工管理も容易になる。
本発明工法で使用する杭打ち機は小型の杭打ち機を使用することができるので、その点でも施工が容易であり、コストが安価に済む。
このように、本発明によれば、小規模構造物に適用可能な小口径コンクリート杭に特化したことで、残土の排出が殆んどなく、安定した品質を確保することが容易で、しかも施工が容易かつ低コストで施工が可能となっている。
さらに、本発明における先端掘削翼2は、その翼部122が、切欠き部空間cを挟んで片側に上向き傾斜部122a、他側に下向き傾斜部122bを有する構造なので、翼部122の両傾斜部122a、122bにより大きな推進力が得られ、回転・圧入装置5による押し込み力と合わせて貫入が円滑に行なわれる。
また、ケーシング1を貫入させて掘削する際、翼部122に先立って板状刃13が地盤の掘削をするので、翼部122の推進力が効率よく機能するとともに、翼部122の両傾斜部122a、122bと板状刃13との相乗作用により、効率的に掘削することができる。
また、実施例の先端掘削翼2は、その一部切欠き円板部12にL形係合片14を持つので、打設した注入材7が硬化すると、硬化した注入材7とL形係合片14を介して一体化する。したがって、先端金具2の広い翼部122で大きな支持力を確保できることができる。すなわち、周面摩擦による支持力だけでなく、特許文献5の回転貫入鋼管杭工法と同様に先端支持力も確保することが可能となる。
図11に本発明の地盤補強工法の適用例を簡略化して示す。図11(イ)は本発明の地盤補強工法を適用して建築した小規模建築物の基礎(図ではべた基礎)の平面図、(ロ)は(イ)のC−C拡大断面図である。図示例ではべた基礎の基礎梁の間隔をあけた適宜の位置に、本発明工法による小口径コンクリート杭7’(図1(11)の注入材7が硬化したものとして示す)を設置している。
なお、本発明の小口径コンクリート杭で支持する対象の基礎はべた基礎に限らず、布基礎、独立基礎でもよい。
本発明の地盤補強工法は、長期接地圧が50kN/m以下の構造物に適用して好適である。
対象とする小規模構造物としては、例えば、地上3階以下、高さ13m以下、軒高9m以下、延べ面積1000m以下の各条件を満足する小規模建築物に適用して好適である。なお、高さ3.5m以下の擁壁に適用することもできる。
また、適用基礎構造としては、鉄筋コンクリート造で、基礎スラブ厚さが150mm以上の布基礎、べた基礎、及び独立基礎に適用して好適である。
また、本発明の工法は、砂質土地盤、粘性土地盤、ローム地盤に適用して好適である。
1 (長さ杭施工深さHの)ケーシング
1’ 第1のケーシング
1” 第2のケーシング
2 先端掘削翼
3 杭打ち機
4 リーダ
5 回転・圧入駆動装置
6 掘削孔
7 注入材(コンクリート)
8 注入ホース
9 ヤットコ
10 ケーシング
11 円筒部
12 一部切欠き円板部
121 円形閉塞部
122 翼部
122a 上向き傾斜面部
122b 下向き傾斜面部
13 板状刃
14 L形係合片
15 (先端金具とケーシングとの)係合構造
17 突起
12’(一部切欠き円板部の素材の)円形鋼板
a (円弧状の)切込み
b (半径方向外側への)切込み
c 切欠き部
d 折曲げ線
20 ヤットコ接続のケーシング(ヤットコを接続したケーシング)
28 注入ホッパ

Claims (4)

  1. 杭の施工深さHの約半分の長さH/2のケーシングとこのケーシングの先端に係脱可能に取り付けられてケーシングの回転・圧入を促進するための先端掘削翼とを用いて施工する、小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法であって、
    前記先端掘削翼は、ケーシングの貫入時回転方向に対してはケーシングと係合して一体に回転し前記貫入時回転方向と逆方向の回転に対してはケーシングから外れるようにケーシングに係合しており、
    次の(1)〜(11)の工程により杭を築造することを特徴とする小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法。
    (1)前記ケーシングをその下端に前記先端掘削翼を係合させた状態で地盤に回転・圧入して杭施工深さHの約半分の深さH/2まで貫入する工程。
    (2)前記ケーシング内に注入ホースを挿入する工程。
    (3)前記ケーシング内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホース介して前記ケーシング内に注入材を注入する工程。
    (4)前記注入ホースを引き抜く工程。
    (5)前記ケーシングの上端部にヤットコを接続する工程。
    (6)注入材が充填された前記ヤットコ接続のケーシングを回転・圧入して、最終的な杭施工深さHまでさらに貫入する工程。
    (7)前記ヤットコ接続のケーシングを、前記貫入時回転方向と逆方向に回転させながら前記先端掘削翼を外し杭底に残した状態で、ケーシング下端が、先に注入した注入材の上端面付近にくるまで引き上げる工程。
    (8)前記ヤットコを前記ケーシングから取り外し、注入ホースを再度ケーシング内に挿入する工程。
    (9)前記ケーシング内に鉄筋を挿入することなく前記注入ホースを介して前記ケーシング内に注入材を注入する工程。
    (10)前記注入ホースを引き抜く工程。
    (11)前記ケーシングを引き抜く工程。
  2. 請求項1の小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法において、ケーシングに注入材を注入する手段として、注入ホースを介して注入材をケーシングに注入する手段に代えて、ケーシングの上方にセットした注入ホッパを介して注入材をケーシングに注入することを特徴とする小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法。
  3. 前記先端掘削翼は、ケーシング径より大径でケーシングの先端開口を閉塞する一部切欠き円板部とこの一部切欠き円板部に基部が固定された、尖った先端部を有する板状刃とからなるとともに、前記一部切欠き円板部は、ケーシングの先端開口を閉塞する円形閉塞部と、この円形閉塞部に連接してケーシング外周面より半径方向外方に一部切欠き鍔状に延在する一部切欠きの翼部とからなり、前記翼部における前記切欠き部の片側近傍は上向きに傾斜して上向き傾斜面部を形成し、他側近傍は下向きに傾斜して下向き傾斜面部を形成する構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法。
  4. 前記ケーシングと先端掘削翼との係合構造が、前記ケーシング先端部内面に円周方向に間隔をあけて固定した2箇所以上の突起と、前記先端掘削翼の一部切欠き円板部の円形閉塞部の内面に固定された、前記各突起に係合可能な態様のL形係合片とによる係合構造であることを特徴とする請求項3記載の小口径コンクリート場所打ち杭を用いた地盤補強工法。
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