JP2007234768A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐電圧と良好な動的特性とが実現可能な電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】陽極金属層と、誘電体層と、導電性高分子層と、陰極層とを少なくとも備え、陰極層はグラファイトフィルム層を少なくとも含み、該グラファイトフィルム層は導電性高分子層と接して形成されており、かつ、該グラファイトフィルム層の見かけ比重が0.4〜1.8g/cm3の範囲内である電解コンデンサに関する。該グラファイトフィルム層は内部に層状の空気層を含むことが好ましい。また、荷重が加えられる前の状態でのグラファイトフィルム層の厚みAと、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBとから、以下の式、
圧縮率(%)=(A−B)/A×100
に従って算出される圧縮率が20%以上であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、陰極層の少なくとも一部として特定のグラファイトフィルム層が形成され、高い耐電圧と良好な動作特性とを有する電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電解コンデンサは、一般に、アルミニウムやタンタルなどの弁金属からなる陽極の上に酸化皮膜からなる誘電体、電解質および陰極を形成した構成となっている。この構成の電解コンデンサにおける電解質には二つの重要な役割がある。一つは、極めて薄い酸化皮膜からなる誘電体を保護・修復する作用であり、他の一つは陽極上の誘電体から静電容量を引き出すという事実上の陰極としての作用である。
一般に、電解コンデンサの電解質には電解液が用いられる事が多い。該電解液としては、エチレングリコールやγ‐ブチロラクトンなどの有機溶媒に有機酸や無機酸またはそれらの塩を添加した複合電解液などが用いられる。有機酸や無機酸またはそれらの塩としては、具体的には、リン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、三級アミン類、四級アンモニウム塩などが用いられる。上記のような複合電解液が用いられる理由は、イオン伝導性と電子伝導性とを兼ね備えた電解質である点にある。しかしながら、上記のような電解液の電気伝導度はせいぜい10-3S/cm程度であり、低インピーダンスコンデンサの実現には不十分なものであった。また上記のような液体電解質においては、用いられた溶媒の蒸発によるドライアップと言う現象が生じる場合があり、長期寿命や耐熱性という特性が不十分であった。
一方、近年溶媒を含まない固体状のコンデンサが開発されている。具体的には、ポリピロールやポリチオフェン誘導体などの導電性高分子を電解質として用いたコンデンサが挙げられる。上記のような導電性高分子においては、電解質および溶媒からなる電解液に比べて電気伝導度(すなわち電子伝導性)がはるかに高いため、該導電性高分子を電解質とするコンデンサでは内部インピーダンスを低減する事ができ、特に高周波回路用コンデンサにおいて優れた特性を発揮する。しかしながら、導電性高分子は本質的にイオン伝導性を有していないので、電解コンデンサの誘電体を構成する酸化皮膜の修復性、すなわち陽極酸化性という作用の点で、導電性高分子コンデンサは従来の電解液をもちいたコンデンサに比較してはるかに劣るものであった。
上記のような理由により、導電性高分子を電解質に用いた場合高い耐電圧のコンデンサを作る事が出来ないという欠点があった。アルミを陽極として用いた導電性高分子コンデンサでは、例えば40V化成を行った場合、実使用上の電圧は16V程度、またタンタルを用いた導電性高分子コンデンサでは、例えば24V化成を行った場合、実使用上の電圧は12V程度の耐電圧のコンデンサしか製造できないのが現状である。ここで、40V化成とは、弁金属表面に誘電体としての酸化皮膜を形成する際に、弁金属に印加する直流電圧つまり化成電圧が40Vであることを意味する。無論、化成電圧を大きくして耐電圧を上げる事は原理的には可能であるが、その場合には化成電圧が高くなるに従ってコンデンサ容量が小さくなり、さらに化成電圧を高くしても耐電圧はそれに比例して上昇しないという問題がある。
導電性高分子を電解質に用いたコンデンサにはチップ型コンデンサと捲回型コンデンサとの二種類がある。チップ型コンデンサを製造するには、まず導電性高分子電解質の上にカーボンペーストを塗布・乾燥し、さらにその上から銀ペーストを塗布、積層、乾燥してコンデンサ素子を作製する。カーボンペーストは導電性高分子との良好な接続を実現し、かつ銀粒子のマイグレーションによる電極間の短絡を防ぐ目的で塗布される。銀ペーストはコンデンサ素子全体の電気的インピーダンスを低減し、良好なコンデンサ特性を実現するという役割を持っている。チップ型導電性高分子コンデンサは上記の様な構成で作製されるため非常にすぐれた周波数特性を有しているが、一方で素子作製技術は極めて難しく不良率が高いのが欠点である。
一方、捲回型導電性高分子コンデンサは、表面に誘電体酸化皮膜を形成したアルミ等の弁金属から形成される陽極箔と、陰極箔と、さらに該陰極箔と該陽極箔との間に設けられたセパレ−タとからなるコンデンサである。コンデンサ素子の作製は、上記の陽極箔、陰極箔およびセパレータを捲回した後に導電性高分子のモノマーを含浸、重合して電解質を形成する事によって行なう。
該セパレータは連通多孔質基材から構成され、ポリオレフィンやセルロース繊維を使用したものが好ましく用いられている。捲回型コンデンサにおいては、コンデンサのショートを防止するためにセパレータが不可欠であるが、該セパレータによりコンデンサのインピーダンス特性が悪くなるという問題がある。すなわち、捲回型の導電性高分子コンデンサは大容量化には有利であるが高周波特性には劣るという特性を有する。
導電性高分子層による誘電体層の保護・修復作用は、誘電体層の破損時に生じるジュール熱によって破損部近傍の導電性高分子が脱ドープを起こし、絶縁化することによって得られると考えられている。銀ペースト層等の陰極層が形成される場合、該陰極層から導電性高分子層への金属原子のマイグレーションにより誘電体層近傍の電界集中、およびこれに起因する誘電体層の絶縁破壊が生じ、耐電圧が低下する場合があるため、前述したように、導電性高分子層と陰極層との間にたとえばカーボンペースト等の導電性炭素層を介在させる方法が従来提案されている。しかし、この方法において導電性高分子層とカーボンペーストとの密着性および隠蔽力が不十分である場合、耐電圧の低減効果が十分得られない他、導電性高分子層とカーボンペーストとの接触抵抗が増大してESR(等価直列抵抗)やtanδ(損失角の正接)等の動的特性が低下するという問題がある。
導電性高分子層と導電性炭素層との密着性を向上させた固体電解コンデンサとして、特許文献1には、金属材からなる陽極体の表面に誘電体皮膜層、固体電解質層、導電性炭素層および陰極層を順次形成した固体電解コンデンサであって、該導電性炭素層は2種類以上の異なる粒子径の導電性炭素を混合したものからなる固体電解コンデンサが提案されている。特許文献1においては、該導電性炭素層によって固体電解質層と導電性炭素層との密着性を改善するとともに、該導電性炭素層を緻密で均一な層にすることにより、ESR(等価直列抵抗)およびtanδ(損失角の正接)が小さく、耐熱性に優れた固体電解コンデンサを提供することができるとされている。
また、特許文献2には、金属材からなる陽極体の表面に誘電体皮膜層、固体電解質層、導電性炭素層および陰極層を順次形成した固体電解コンデンサであって、該導電性炭素層は導電性カーボンブラックと導電性グラファイトとの混合物からなる固体電解コンデンサが提案されている。特許文献2においては、粒子径の大きい導電性グラファイトの隙間に、粒子径の小さい導電性カーボンブラックが入り込み、固体電解質と導電性炭素層との密着性および導電性炭素層による隠蔽力が高まることにより、ESRおよびtanδが小さく、また耐熱性および耐熱衝撃性に優れた固体電解コンデンサを提供することができるとされている。
しかし、特許文献1および2で提案される固体電解コンデンサにおいて形成される導電性炭素層は、柔軟性および機械強度に乏しく、固体電解質層と導電性炭素層との密着性および隠蔽力が満足できる程度に向上されるとは言えない。また炭素粒子を用いて導電性炭素層を形成する方法においては、該導電性炭素層の形成時および電圧印加時に炭素粒子のマイグレーションが生じる場合があり、この場合耐電圧を低下させてしまうという問題がある。
一方、構造が制御されたグラファイト膜の例として、特許文献3に、高複屈折率ポリイミドフィルムを熱処理することによりフィルム状グラファイトを得る方法が提案されている。特許文献3の方法によれば比較的厚みの大きいフィルム状グラファイトを容易に作製することが可能であるが、該フィルム状グラファイトの物理的、化学的特性と実際の用途との関係については検討されていない。
特開2004−221224号公報 特開2004−228389号公報 特開2004−123506号公報
本発明は上記の課題を解決し、導電性高分子を電解質として用い、高い耐電圧と良好な動的特性とが実現可能な電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、陽極金属層と、誘電体層と、導電性高分子層と、陰極層とを少なくとも備え、陰極層はグラファイトフィルム層を少なくとも含み、該グラファイトフィルム層は導電性高分子層と接して形成されており、かつ、該グラファイトフィルム層の見かけ比重が0.4〜1.8g/cm3の範囲内である電解コンデンサに関する。
本発明の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層が内部に層状の空気層を含むことが好ましい。
本発明の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層が、荷重が加えられる前の状態でのグラファイトフィルム層の厚みAと、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBとから、以下の式、
圧縮率(%)=(A−B)/A×100
に従って算出される圧縮率が20%以上であるグラファイトフィルム層であることが好ましい。
本発明の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層が、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBと、該荷重が開放された後の状態でのグラファイトフィルム層の厚みCとから、以下の式、
復元率(%)=(C−B)/B×100
に従って算出される復元率(%)が5%以上であるグラファイトフィルム層であることが好ましい。
本発明の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層の面方向の電気伝導度が1000S/cm以上であることが好ましい。
本発明の電解コンデンサは、好ましくはチップ型の構造を有することができる。
本発明の電解コンデンサは、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された単位構造を1つまたは複数含むことが好ましい。また、陰極層、導電性高分子層、誘電体層、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された構造を形成するように、複数の上記単位構造が配置されることが好ましい。
本発明の電解コンデンサはまた、捲回型の構造を有することができる。
本発明の電解コンデンサは、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、セパレータ、陰極層がこの順で配置され、捲回された構造を有することができる。
本発明はまた、上記の電解コンデンサを得るための製造方法であって、グラファイトフィルム層を構成するグラファイトフィルムを形成するグラファイトフィルム形成工程と、陽極金属層の表面を酸化処理することにより陽極金属層の表面に酸化膜からなる誘電体層を形成する酸化工程と、陽極金属層の表面に、少なくとも誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された積層体を形成する積層工程と、を含む電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明の電解コンデンサの製造方法においては、積層工程において、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された単位構造を1つまたは複数形成し、該積層工程の後に圧縮工程をさらに設けることが好ましい。
該積層工程において、陰極層、導電性高分子層、誘電体層、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された構造を形成するように複数の上記単位構造を配置することが好ましい。
また、該積層工程において、陽極金属層の表面に、誘電体層、導電性高分子層、セパレータ、陰極層がこの順で配置された積層体を形成し、該積層工程の後に捲回工程をさらに設けることができる。
本発明の電解コンデンサの製造方法においては、グラファイトフィルム形成工程が高分子フィルムを加熱処理するグラファイト化工程を含むことが好ましい。
また、グラファイト化工程における加熱処理が、不活性ガス中または真空中にて2400℃以上の温度で行なわれ、かつ、グラファイトフィルムが、高分子フィルムの厚みの80%以上の厚みを有する発泡フィルムであることが好ましい。
また、高分子フィルムが、ポリイミド、ポリオキサジアゾール、ポリパラフェニレンビニレンから選択された少なくとも1種類からなるフィルムであることが好ましい。
また、高分子フィルムが、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下であるポリイミドを含むことが好ましい。
また、高分子フィルムが、複屈折率が0.13以上であるポリイミドを含むことが好ましい。
また、高分子フィルムが、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下でありかつ複屈折率が0.13以上であるポリイミドを含むことが好ましい。
本発明の電解コンデンサにおいては、面方向の電気伝導性に優れるフィルム状のグラファイトからなるグラファイトフィルム層を用いることによりインピーダンス特性の向上効果が得られる。また該グラファイトフィルム層においては、見かけ比重の制御により機械強度と柔軟性とが両立されるため、該グラファイトフィルム層と導電性高分子層とが良好かつ安定に接続されることにより耐電圧および動作特性の向上効果が得られる。
本発明の電解コンデンサは、陽極金属層と、誘電体層と、導電性高分子層と、陰極層とを少なくとも備える。本発明において形成される陰極層はグラファイトフィルム層を少なくとも含み、該グラファイトフィルム層は、導電性高分子層と接するように形成される。すなわち本発明の電解コンデンサにおいてはグラファイトフィルム層が陰極層の少なくとも一部として作用する。陰極層は、グラファイトフィルム層のみから形成されても、グラファイトフィルム層と他の陰極金属とが組み合わされて形成されても良い。
図1は、本発明に係る電解コンデンサの一例としてのチップ型電解コンデンサの構造について説明する図である。図1に示すように、電解コンデンサ1は、陽極金属層11、導電性高分子層12,グラファイトフィルム層13,陰極金属14がこの順で配置されてなる電解コンデンサ素子と、該電解コンデンサ素子と電気的に接続された接続端子15,16と、外装樹脂17とを備えている。なお陽極金属層11の表面には酸化膜からなる誘電体層(図示せず)が形成されており、該誘電体層と導電性高分子層12とが接している。図1に示す構成の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層および陰極金属が本発明における陰極層として形成されているが、本発明においては、陰極金属14が形成されず、グラファイトフィルム層13のみが陰極層とされても良い。
図2および図3は、本発明に係る電解コンデンサの一例としての捲回型電解コンデンサの構造について説明する図である。図2に示すように、電解コンデンサ2においては、径方向内側から、陽極金属層と誘電体層と導電性高分子層とがこの順に配置された複合層21、セパレータ層22、陰極層23、セパレータ層24がこの順で重ねられた電解コンデンサ素子がたとえばアルミ等からなるリード25を介して接続端子26に接続されている。セパレータ層22,24においては、たとえばポリオレフィンやセルロース繊維等からなるセパレータ材料と導電性高分子とが複合化されている。本明細書においては、導電性高分子を含む該セパレータ層も導電性高分子層と称する。上記の電解コンデンサ素子は、図3に示すように電解コンデンサ素子31としてアルミケース32およびスリーブ33からなる外装部の内部に配置され、封口ゴム34で封入される。リード35および接続端子36は図2に示すリード25および接続端子26に対応する。
本発明の電解コンデンサは、たとえば図1に示すようなチップ型の構造とされても、たとえば図2および図3に示すような捲回型の構造とされても良い。いずれの場合も、面方向の電気伝導性に優れるグラファイトフィルム層が陰極層またはその一部として使用されることにより、インピーダンス特性の向上効果が得られる。また本発明においては、見かけ比重を制御することにより機械強度と柔軟性とが両立されたグラファイトフィルム層を陰極層として用いることにより、導電性高分子層と陰極層との良好かつ安定な接続が得られる。これにより導電性高分子層と陰極層との接触抵抗を低減し、ESRやtanδ等の動的特性の向上効果が得られる。
本発明の電解コンデンサにおいては導電性高分子層とグラファイトフィルム層との良好かつ安定な接続が可能であるため、たとえば本発明の電解コンデンサがチップ型とされる場合には、後述する機構により陰極金属中の金属原子の導電性高分子層へのマイグレーションが防止され、耐電圧の向上効果が得られる。また後述する機構によりグラファイトフィルム層からの炭素原子のマイグレーションが防止されることによっても耐電圧の向上効果が得られる。
本発明においては、見かけ比重を特定の範囲内に制御した柔軟性に富むグラファイトフィルム層が導電性高分子層に接して形成されることにより、導電性高分子層とグラファイトフィルム層とが良好かつ安定に接続し、たとえば陰極層として陰極金属が組み合わされた場合における導電性高分子層と金属層との良好な遮断性が実現される。これにより、陰極金属から導電性高分子層への金属原子のマイグレーションがグラファイトフィルム層によりブロックされ、耐電圧の向上が可能となる。また、導電性高分子層とグラファイトフィルム層との良好な接続による接触抵抗の低減によりESR、tanδ等の動的特性の向上が可能となる。さらに、本発明において形成されるグラファイトフィルム層は、フィルム状であることからたとえばカーボンペースト等と比べて炭素原子のマイグレーションが少ないという利点を有するため、炭素原子のマイグレーションの低減による耐電圧の向上効果も得られる。たとえば本発明の電解コンデンサとしてのチップ型電解コンデンサにおいては、特定の見かけ比重を有するグラファイトフィルム層が形成されていることにより、化成電圧が50V以下の場合には化成電圧の80%以上の実使用電圧を、また化成電圧が50V〜100Vの範囲内の場合には化成電圧の60%以上の実使用耐圧を実現することができる。
本発明においては、グラファイトフィルム層が単独で陰極層とされても良い。この場合、上記のような金属原子のマイグレーションは考慮する必要がないが、導電性高分子層とグラファイトフィルム層との良好な接続による動作特性の向上効果、およびグラファイトフィルム層からの炭素粒子のマイグレーションの抑制による耐電圧の向上効果が得られる。陰極層がグラファイトフィルム層のみからなる場合、上記の金属原子のマイグレーションという問題が生じない点で有利であるとともに、電解コンデンサの製造工程の簡略化によるコスト低減効果も得られる。
一方、捲回型の電解コンデンサにおいて陰極として通常用いられるアルミ箔は、しばしばその表面に絶縁膜、具体的には酸化アルミ膜を形成するため、陰極の絶縁体化によるインピーダンス特性の低下という問題を有している。本発明においては、該アルミ箔からなる陰極箔の代わりにグラファイトフィルム層を形成する事で陰極の絶縁体化を防止することが出来る。すなわち、本発明の電解コンデンサが捲回型の構造を有する場合、アルミニウム等の金属からなる従来の陰極層をグラファイトフィルム層に置き換えることにより、該金属の酸化により生じ易いインピーダンス特性の低下という問題を解決することができる。
<グラファイトフィルム層の構造>
本発明においては、グラファイトフィルム層の見かけ比重が0.4〜1.8g/cm3の範囲内とされる。本発明において用いられるグラファイトフィルム層はほぼ純粋なグラファイトからなる。グラファイトの理論的な比重は2.25g/cm3であり、グラファイトフィルム層の見かけ比重とは、該グラファイトフィルム層におけるグラファイト部分と空隙部分との比を反映する値と考えることができる。本発明においては、グラファイトフィルム層の見かけ比重が0.4g/cm3以上とされることにより、該グラファイトフィルム層と導電性高分子層との接続を長期にわたって安定に維持する上で必要な機械強度が付与されるとともに、該グラファイトフィルム層に陰極層として所望される導電性が付与される。また該見かけ比重が1.8g/cm3以下とされることにより、グラファイトフィルム層内部の空隙の作用で該グラファイトフィルム層に柔軟性が付与され、導電性高分子層とグラファイトフィルム層との良好な接続が実現される。グラファイトフィルム層の見かけ比重は、さらに0.5g/cm3以上、さらに0.6g/cm3以上とされることが好ましく、また、さらに1.6g/cm3以下、さらに1.4g/cm3以下とされることがより好ましい。
グラファイトフィルム層の見かけ比重は、たとえば、グラファイトフィルム層の見かけ上の平均厚さをフィルム断面の顕微鏡観察等で測定し、該平均厚さから算出されるフィルムの体積とグラファイトフィルム層の質量との比から計算する方法により測定される。
本発明において用いられるグラファイトフィルム層は、内部に層状の空気層を含むことが好ましい。ここで層状の空気層とは、グラファイト結晶がグラファイトフィルムの面方向に配向することにより、フィルム面方向に扁平な形状で形成される空気層を意味する。グラファイトフィルム層が層状の空気層を含むことにより、該グラファイトフィルム層の厚み方向に圧縮応力をかけた後に該圧縮応力を解放した際の形状復元性が良好であるとともに、面方向の電気伝導性が良好になるという効果が得られる。
図4は、本発明において用いられるグラファイトフィルム層の断面形態を示す図である。図4に示すグラファイトフィルム層は、極めて薄い薄膜状グラファイトの集合体であり、該薄膜状グラファイトの間に層状の空気層が存在する。
層状の空気層の好ましい形状としては、たとえば走査型電子顕微鏡を用いて観察される断面形態において、該空気層が面方向において解放されている形状、または解放されていないが、空気層の厚みが該空気層の面方向長さの1/10以下である形状等が例示できる。なお空気層の厚みと面方向長さとの比は観察視野における各空気層の平均値として算出され得る。
本発明においては、荷重が加えられる前の状態でのグラファイトフィルム層の厚みAと、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBとから、以下の式、
圧縮率(%)=(A−B)/A×100
に従って算出される圧縮率(%)(以下、単に圧縮率とも称する)が20%以上であるグラファイトフィルム層を用いることが好ましい。該圧縮率が20%以上である場合、グラファイトフィルム層の柔軟性が特に良好であり、グラファイトフィルム層に荷重が加えられた際、グラファイトフィルム自身が圧縮されることによって該荷重を平均化することができる。これにより導電性高分子層とグラファイトフィルム層との良好な接続を実現する事が出来る。上記の圧縮率は30%以上、さらに40%以上であることがより好ましい。
圧縮率が大きい程荷重の平均化には有効であるが、該圧縮率が大き過ぎる場合には、圧縮によっても過度の空気層がグラファイトフィルム層を含む陰極の内部に存在してしまうため、結果として電極の体積あたりのインピーダンスが増加してしまうことになる。そのため圧縮率は75%以下、さらに70%以下、さらに65%以下とされることが望ましい。
本発明においては、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBと、該荷重が開放された後の状態でのグラファイトフィルム層の厚みCとから、以下の式、
復元率(%)=(C−B)/B×100
に従って算出される復元率(%)(以下、単に復元率とも称する)が5%以上であるグラファイトフィルム層を用いることが好ましい。該復元率が5%以上である場合、グラファイトフィルム層の復元力により導電性高分子層とグラファイトフィルム層との密着性がより良好となる。該復元率は10%以上、さらに15%以上であることがより好ましい。本発明において用いられるグラファイトフィルム層としては、荷重を加えた後で該荷重を開放した際の厚みが該荷重を加える前の厚みにほぼ等しくなるものが特に好ましいが、荷重解放後にある程度まで厚みが復元するものであれば良く、たとえば復元率を100%以下に設定することにより、グラファイトフィルム層の製造コストの過度な上昇を防止できる。
本発明の電解コンデンサにおいては、グラファイトフィルム層が未圧縮のまま、すなわち圧縮応力がかかっておらず圧縮履歴も有しない状態で形成されても良いが、たとえばグラファイトフィルム層の厚み方向に圧縮応力がかかった状態で電解コンデンサに組み込まれていても良い。またたとえば積層工程等において厚み方向の圧縮応力がかけられた後、該圧縮応力が開放された状態で、すなわち圧縮応力はかかっていないが圧縮履歴を有する状態で電解コンデンサに組み込まれていても良い。
本明細書において規定するグラファイトフィルム層の見かけ比重、圧縮率および復元率とは、特に記載がない限り電解コンデンサ内に組み込まれたグラファイトフィルム層について規定される値を意味するが、特に、圧縮応力がかかった状態で電解コンデンサに組み込まれているグラファイトフィルム層の圧縮率および復元率については、該圧縮応力が開放された状態を、荷重がかけられる前の状態として定義する。
本発明においては、グラファイトフィルムが電解コンデンサの陰極層として組み込まれる前に、あらかじめグラファイトフィルム単独での圧縮処理が行なわれても良い。圧縮処理としては、加圧圧縮、ロールがけ圧縮等が採用され得る。圧縮処理後でかつ電解コンデンサに組み込まれる前のグラファイトフィルムとしては、電解コンデンサにおけるグラファイトフィルム層と同様の方法により測定される圧縮率および復元率において、圧縮率20〜40%の範囲内、かつ復元率5〜40%の範囲内であるものが好ましく例示できる。グラファイトフィルムの圧縮率および復元率が上記の範囲内とされる場合には、その後の積層工程を経て電解コンデンサが作製された際、該電解コンデンサに対して耐電圧および動作特性の向上効果が良好に付与される。
グラファイトフィルム層の面方向の電気伝導度は、1000S/cm以上であることが好ましい。本発明において形成されるグラファイトフィルム層は陰極層としての作用を有する。電解コンデンサのインピーダンスを低減するためには陰極層が特に面方向において高い電気伝導度を有することが好ましい。本発明において用いられるグラファイトフィルム層の面方向の電気伝導度が1000S/cm以上とされる場合、電解コンデンサのインピーダンスをより低減することができる。該電気伝導度は、さらに2000S/cm以上、さらに4000S/cm以上とされることが好ましい。なお、陰極層の面方向の電気伝導度が高い程電解コンデンサのインピーダンス特性は良好になる傾向があるが、該電気伝導度は本発明の効果が損なわれない範囲内に設定されることが好ましい。
<電解コンデンサの作製>
本発明の電解コンデンサは、典型的には、高分子フィルムを加熱処理することにより、グラファイトフィルム層を構成するグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程と、陽極金属層の表面を酸化処理することにより該陽極金属層の表面に酸化膜からなる誘電体層を形成する酸化工程と、陽極金属層の表面に、少なくとも誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された積層体を形成する積層工程とを含む方法により製造されることができる。
(グラファイトフィルムの作製)
本発明の電解コンデンサの製造方法においては、まずグラファイトフィルム層を構成するグラファイトフィルムを形成する(グラファイトフィルム形成工程)。グラファイトフィルムは、たとえば高分子フィルムを加熱処理するグラファイト化工程により形成することができる。グラファイト化工程の前には予備加熱による炭素化工程がさらに設けられることが好ましい。この場合、高分子フィルムを予備加熱して炭素化フィルムを調製した後、該炭素化フィルムを高温で加熱処理してグラファイト構造に転化させることによりほぼ純粋なグラファイトフィルムを得ることができる。以下具体的に説明する。
まず、原料である高分子フィルムを、たとえば不活性ガス中、好ましくは窒素ガス中で予備加熱して炭素化し、炭素化フィルムを調製する。予備加熱は通常1000℃程度の温度で行なう。例えば、10℃/分の昇温速度で予備処理を行なう場合には、1000℃近傍、たとえば800〜1400℃の温度領域で30分程度の保持を行なう事が望ましい。予備加熱の段階では、原料である高分子フィルムの配向性が失われない様に、フィルムの破壊が起きない程度の面方向の圧力を加える事が有効である。
次に、上記の方法で得られた炭素化フィルムを超高温炉内にセットし、グラファイト化を行なう。グラファイト化は真空中または不活性ガス中で行なうが、不活性ガス中で行なう事が好ましい。不活性ガスとしてはアルゴンが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加える事はさらに好ましい。より純粋なグラファイトフィルムが得られる点で処理温度は2400℃以上である事が好ましく、2700℃以上の温度で処理する事はより好ましい。2400℃以上の超高温を作り出すためには、通常グラファイトヒーターに直接電流を流し、そのジュ−ル熱を利用して加熱を行なう。グラファイト化は予備加熱による炭素化で作製した炭素化フィルムをグラファイト構造に転化する事によって起きるが、グラファイト化のためには炭素−炭素結合の開裂・再結合が起きなくてはならない。グラファイト化をスムーズに起こすためには、炭素−炭素結合の開裂・再結合が最小のエネルギーで起こるような条件を設定することが好ましい。原料である高分子フィルムの分子配向は炭素化フィルムの炭素の配列に影響を与え、該炭素の配列が、グラファイト化の際の炭素−炭素結合の開裂・再結合のエネルギーを少なくする効果を持つ。従って、原料である高分子フィルムの分子が高度に配向するように分子設計を行なうことで低温でのグラファイト化と良質のグラファイトフィルムの作製が可能になる。
高分子フィルムからグラファイト化工程により得られるグラファイトフィルムは、該高分子フィルムの厚みの80%以上の厚みを有する発泡フィルムであることが好ましい。またグラファイト化工程における加熱処理が不活性ガス中または真空中にて2400℃以上の温度で行なわれることにより該発泡フィルムが形成されることが好ましい。この場合、高分子フィルムの転化、すなわちグラファイト化をほぼ完全に進行させ、ほぼ純粋な発泡フィルムを調製することができる。
原料の高分子フィルムの種類によって異なるものの、無発泡の状態で作製されたグラファイトフィルムの厚みは通常原料の高分子フィルムの厚みの50〜65%程度である。たとえば、無発泡状態のグラファイトフィルムの厚みが原料の高分子フィルムの厚みの50%である場合、グラファイトフィルムの厚みが高分子フィルムの厚みの80%であるということは、該グラファイトフィルムが1.6倍に発泡したことを意味する。同様に、無発泡状態のグラファイトフィルムの厚みが原料の高分子フィルムの厚みの70%である場合、グラファイトフィルムの厚みが高分子フィルムの厚みの80%であるということは、該グラファイトフィルムが1.23倍に発泡したことを意味する。
グラファイトフィルムが、原料の高分子フィルムの厚みの80%以上の見かけ上の厚みを有する場合、グラファイトフィルムの内部の空隙量が多いことにより該グラファイトフィルムにより良好な柔軟性が付与され、導電性高分子層とグラファイトフィルム層との接続がより良好なものとなる。グラファイトフィルムは、高分子フィルムの厚みの100%以上、さらに120%以上の見かけ上の厚みを有することがより好ましい。
グラファイトフィルムは、原料の高分子フィルムの厚みの300%以下の見かけ上の厚みを有することが好ましい。この場合、グラファイトフィルムの機械強度が良好であり、導電性高分子層とグラファイトフィルム層との接続を長期にわたって安定に維持することができる。グラファイトフィルムの見かけ上の厚みは、高分子フィルムの厚みの250%以下、さらに200%以下とされることが好ましい。
なお上記の見かけ上の厚みとは、該グラファイトフィルムに圧縮応力がかかっておらずかつ圧縮履歴も有さない状態で測定される該グラファイトフィルムの厚みを意味する。
本発明の電解コンデンサの製造方法においては、グラファイトフィルムの原料である高分子フィルムとして、ポリイミド、ポリオキサジアゾール、ポリパラフェニレンビニレンから選択された少なくとも1種類からなるフィルムを用いることができる。転化処理に供給される高分子フィルムはあらかじめ炭化された状態で供給されても良い。具体的には、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)が挙げられる。特に、ポリイミド(PI)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)等が好ましく例示できる。また、発泡処理によってグラファイトフィルムを形成する場合には、高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる事が特に好ましい。
上記の高分子フィルムからグラファイトフィルムを得る方法としては従来公知の方法が採用され得る。中でも、ポリイミドにおいては他の高分子フィルムよりも容易にフィルムの炭化、黒鉛化が進行し、高品質グラファイトとなり易く、さらに製造条件によっては発泡状態のグラファイトフィルムを得る事が出来るので、本発明において特に好ましく使用され得る。
ポリイミドの好ましい例としては、下記の一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位から選択される2種以上の繰り返し単位を含む共重合体、あるいは、一般式(1)〜(3)で表される繰返し単位の各々からなるポリイミドの2種以上の混合物が挙げられる。
Figure 2007234768
Figure 2007234768
Figure 2007234768
なお、R1は、
Figure 2007234768
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oである。
一般式(3)中のRは、
Figure 2007234768
であって、ここでnは1〜3の整数である。そしてXおよびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数6以下の低級アルキル基、または炭素数6以下のアルコキシ基、そしてAは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、または−CH2−、である。
また、上記一般式(1),(2)および下記一般式(4),(5)で表される繰り返し単位から選択される3種以上の繰り返し単位を含む共重合体、あるいは、上記一般式(1),(2)、および下記一般式(4),(5)で表される繰り返し単位の各々からなるポリイミドの3種以上の混合物も好ましく挙げられる。本発明において用いられるグラファイトフィルムは、これらのポリイミドを2400℃以上の温度で熱処理してグラファイト化することにより得られることが好ましい。
Figure 2007234768
Figure 2007234768
さらに、一般式(1),(2)で表される繰り返し単位をもつ共重合体からなるポリイミドフィルムであって、4、4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の割合で含むジアミンを用いて得られるポリイミドフィルムは本発明において用いられるグラファイトフィルムを得るために最も好ましい。中でも上記の共重合体が、一般式(1),(2),(4),(5)で表される繰り返し単位をもつ共重合体であって、一般式(1),(2),(4),(5)それぞれの繰り返し単位の数を、a,b,c,dとし、(a+b+c+d)の値をsとしたとき、(a+b)/s,(a+c)/s,(b+d)/s,(c+d)/sがそれぞれ0.25〜0.75の範囲内となる共重合体であることが最も好ましい。この場合、ポリイミド中に一般式(1),(2),(4),(5)で表される繰り返し単位が比較的均等に存在し、線膨張係数、弾性率、複屈折率およびグラファイト化工程における発泡性において良好なバランスを有する高分子フィルムを得ることができる。
高分子フィルムがポリイミドを含む場合、該ポリイミドの100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下であることが好ましく、この場合、グラファイト化工程におけるフィルムの破損が生じ難く、電気伝導性、柔軟性、機械強度に優れるグラファイトフィルムが得られる。平均線膨張係数は、さらに2.0×10-5cm/cm/℃以下、さらに1.5×10-5cm/cm/℃以下であることが好ましい。該平均線膨張係数は小さい程好ましいが、3.0×10-6cm/cm/℃程度であればグラファイト化工程におけるフィルムの破損は生じ難いため、たとえば3.0×10-6cm/cm/℃以上、さらに4.0×10-6cm/cm/℃以上、さらに5.0×10-6cm/cm/℃以上に設定されても良く、この場合製造コストの過度の上昇が防止される。
なおフィルムの平均線膨張係数は、TMA(熱機械分析装置)を用いて測定することができる。まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時における100℃〜200℃の線膨張係数の値を採用してフィルムの平均線膨張係数とすることができる。
高分子フィルムがポリイミドを含む場合、該ポリイミドの弾性率は200kg/mm2以上であることが好ましく、この場合グラファイト化工程におけるフィルムの破損が生じ難い点で有利である。該弾性率は、さらに250kg/mm2以上、さらに350kg/mm2以上であることが好ましい。また、弾性率が極端に高いフィルムではフィルムが硬くなり過ぎ取り扱い難くなる傾向がある。この様な観点から、該弾性率は2000kg/mm2以下、さらに1500kg/mm2以下とされることが好ましい。該弾性率は、たとえばASTM D 882に準拠して測定できる。
さらに、高分子フィルムがポリイミドを含む場合、該ポリイミドの面内配向性を示す複屈折率Δnがフィルム面内のどの方向においても0.13以上であることが好ましい。この場合、グラファイト結晶の面方向の配向性が高いグラファイトフィルムを得ることができる。上記の複屈折率Δnは、さらに0.15以上、さらに0.16以上であることがより好ましい。ここで、複屈折率とはフィルム面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差であり、本明細書においては、たとえばフィルム面内X方向の複屈折率Δnxは下記の式、
複屈折率Δnx=(面内X方向の屈折率Nx)−(厚み方向の屈折率Nz)
で与えられる。
複屈折率Δnxの具体的測定方法を説明すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光をフィルム面内のX方向に垂直な方向から当て、偏光顕微鏡で観察すると、干渉縞がみられるので、この干渉縞の数をnとし、フィルム面内X方向の複屈折率Δnxを、下記の式、
Δnx=n×λ/d
に従い算出する。
ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の幅(nm)である。複屈折率の測定方法の詳細は「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
なお、上記の「複屈折率Δnがフィルム面内のどの方向においても」とは、例えばフィルム製膜時の流れ方向を基準として、面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、との意味である。
高分子フィルムがポリイミドを含む場合、該ポリイミドにおいて、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下でありかつ複屈折率が0.13以上であることが特に好ましい。
グラファイトフィルムは、グラファイト粉末をシート状に押し固めることにより製造されても良い。グラファイト粉末がフィルム状に成型されるためには、粉末がフレーク状、あるいはリン片状になっている必要がある。この様なグラファイト粉末の製造のための最も一般的な方法がエキスパンド法と呼ばれる方法である。これはグラファイトを硫酸などの酸に浸漬し、グラファイト層間化合物を作製し、しかる後にこれを熱処理、発泡させてグラファイト層間を剥離するものである。剥離後、グラファイト粉末を洗浄して酸を除去し、薄膜状のグラファイト粉末を得る。この様な方法で得られたグラファイト粉末をさらに圧延ロール成型してフィルム状のグラファイトを得る。この様な手法で得られたグラファイトフィルムはフィルム内部に空気層を含み、柔軟性に富んでいるので本発明の目的において好ましく用いられる。上記の方法により得られるグラファイトフィルムの圧縮率は40%程度、復元率は30%程度とされることができる。上記のような方法によるグラファイト化工程により作製されたグラファイトフィルムを用いて電解コンデンサが製造される。
(誘電体層の形成)
本発明の電解コンデンサの製造に際しては、陽極金属層の表面にたとえば酸化膜からなる誘電体層を形成する。典型的には、陽極金属層の表面を酸化処理することにより該陽極金属層の表面に酸化膜からなる誘電体層を形成する(酸化工程)。陽極金属層としては、アルミニウム、タンタル、ニッケル、ニオブ等が用いられるため、たとえば、エッチング処理を施したアルミニウム箔や微粒子を焼結して得られるタンタル焼結体などの弁金属からなる陽極金属層の表面に陽極酸化法をもちいて酸化皮膜を形成し、誘電体層とすることができる。陽極酸化による酸化皮膜の形成方法は古くから知られており、電解液としては、ホウ酸水溶液、リン酸水溶液、アジピン酸アンモニウム水溶液などが用いられる。
(導電性高分子層の形成)
次に、上記の方法で得られた誘電体層の表面に導電性高分子層を形成する。本発明に用いられる導電性高分子としては、特に限定されるものではないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体等が好ましく例示される。該誘導体の例としては、1−4ジオキシチオフェンモノマーから得られるポリチオフェン等を挙げる事が出来る。導電性高分子の合成方法としては、化学重合法、電解重合法、有機金属化学的縮重合法等が例示でき、特に化学重合法および電解重合法は、導電性高分子の合成が容易かつ簡便である点で好ましく用いられる。
電解コンデンサにおいては、コンデンサ容量を増大させるために陽極金属層を通常エッチング箔や金属粉末の焼結体として形成する。そのため化学重合法で導電性高分子を合成する場合には、該導電性高分子がエッチング箔の孔や焼結粉体の隙間に充填されるようにしなくてはならない。一方、電解重合法で導電性高分子を合成する場合、導電性高分子層を誘電体層の表面に形成するためには、該表面にあらかじめ導電性膜を形成して導電化しておき、給電電源から電流または電圧を印加して電解重合を行なう必要がある。この様な目的に用いられる導電性膜としては化学重合により合成された導電性高分子や熱分解二酸化マンガンなどを用いる事ができる。
電解重合法は、例えば、ピロールモノマーを支持電解質と共に溶媒に溶解し、陽極酸化する事により脱水素重合する方法で、誘電体層表面に導電性高分子であるポリピロールを析出させる事ができる。一般的に、ポリマーの酸化還元電位はモノマーに比べて低いため、重合過程でさらにポリマー骨格の酸化が進み、それに伴って支持電解質のアニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれる。電解重合においては、こうしたメカニズムにより、後でドーパントを加えなくても、導電性を有するポリマーが得られると言う利点がある。
一方、化学重合法は、適当な酸化剤の存在下で、例えばチオフェン誘導体などの原料モノマーを酸化脱水することで重合する方法である。酸化剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、あるいは鉄、銅、マンガン等の遷移金属塩が使用できる。化学重合により合成された導電性高分子も、酸化剤のアニオンがドーパントとして重合過程でポリマー中に取り込まれるため、一段階の反応で導電性を有するポリマーを得る事ができる。
導電性高分子のドーパントは、その導電性高分子の電気伝導度や熱安定性に与える影響を考慮して選択される。本発明における導電性高分子層に好ましく用いられるドーパントとしては、4−フッ化ホウ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、n−プロピルリン酸イオン、過塩素酸イオン、等を例示する事ができる。
これらのドーパントを電解重合法でポリマー中に取り込む方法としては、たとえばp−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−プロピルリン酸エステル、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等、ナトリウム塩、エステル、アンモニウム塩等の形とされたドーパントを水などの溶媒に溶かし込み、この溶液中で前述の電解重合を実施する方法が好ましく採用され得る。
(陰極層)
本発明の電解コンデンサにおいては、上記のような方法で形成した導電性高分子層の表面に陰極層を形成する。陰極層はグラファイトフィルム層のみから形成されても良いが、陰極金属とグラファイトフィルム層とが組合されても良い。この場合陰極金属としてはたとえば銀ペースト層等の従来公知の金属層が形成され得る。陰極層としてグラファイトフィルム層と陰極金属とを組合せて用いる場合には、導電性高分子層の表面にグラファイトフィルム層を形成し、さらに該グラファイトフィルム層の表面に陰極金属を形成する。
(電解コンデンサ素子の組み立て)
前述のように、導電性高分子を電解質として用いた電解コンデンサには、大きく分けてチップ型と捲回型とがある。一般にチップ型電解コンデンサは、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層が順次形成された上にカーボンペーストを塗布し、さらに陰極層として銀ペーストを塗布して作製する。大容量化のため、必要に応じてカーボンペーストや銀ペーストが乾燥する前に積層してコンデンサ素子を作製する場合もある。
本発明ではカーボンペーストの代わりにグラファイトフィルム層を用いる。該電解コンデンサは、酸化工程において、陽極金属層の表面に陽極酸化等で誘電体層を形成した後、積層工程において、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、陰極層がこの順で配置された単位構造を1つまたは複数形成し、積層工程の後に圧縮工程を設ける方法を採用することにより作製できる。上記の単位構造が複数形成された電解コンデンサは大容量である点で好ましい。
上記の単位構造を複数形成する方法としては、誘電体層および導電性高分子層を両表面に形成した陽極金属層を挟むように陰極層を積層して積層体を形成する方法や、該積層体をさらに複数積層する方法等が挙げられる。陰極層としてグラファイトフィルム層と陰極金属とが併用される場合には、該積層体の最表面に陰極金属が形成されるようにし、該積層体をさらに複数積層する場合には、各積層体間に陰極金属が1層ずつ形成されるようにすることが好ましい。また、陰極層としてグラファイトフィルム層を単独で用いる場合、誘電体層および導電性高分子層を両表面に形成した陽極金属層とグラファイトフィルム層とを交互に積層する方法も好ましく例示できる。陽極金属、誘電体層、導電性高分子層、陰極層からなる積層構造を、たとえば絶縁体を介して縦型または横型に複数配列する方法も例示できるが、製造効率の点では絶縁体を介さずに形成できる方法が好ましい。
積層工程の後に圧縮工程が設けられることにより導電性高分子層とグラファイトフィルム層との接続がより良好となり、電解コンデンサの耐電圧およびインピーダンス特性をより良好に向上させることができる。
図5および図6は、本発明に係る電解コンデンサの製造における積層工程について説明する図である。陽極金属層の両表面に誘電体層および導電性高分子層が形成されてなる箔状体51を挟むようにグラファイトフィルム54を積層し、上記の単位構造を複数形成する場合、グラファイトフィルム54の一部が箔状体51の部分からはみ出すようにし、はみ出した部分のグラファイトフィルム54を束ねて陰極を引き出すことが好ましい。引き出したグラファイトフィルム54を束ねるためには、たとえば銀ペーストを用いることができる。箔状体51もまたグラファイト層54からはみ出すようにし、はみ出した部分の陽極金属層から陽極を引き出すことが好ましい。陽極を引き出すためには、箔状体51と一体で誘電体層および導電性高分子層が形成されていない部分の陽極金属層53を用いることができる。この場合箔状体51と陽極金属層53との境界部分に絶縁シールド52が設けられていることが好ましい。
積層工程においては、図6に示すように、箔状体51とグラファイトフィルム54とを交互に積層し、該グラファイトフィルム54が圧縮されるように、溝を刻んだフッ素樹脂製治具55を用いて箔状体51およびグラファイトフィルム54を挟み、圧縮応力を加えながら積層体を成型することができる。圧縮応力は陽極金属層の表面に形成された誘電体層が破壊されない程度の大きさとされることが好ましい。グラファイトフィルムが発泡状態のフィルム、もしくは発泡状態のグラファイトを圧縮処理して得られるフィルムである場合、上記の圧縮応力をグラファイトフィルムが吸収することによって導電性高分子層とグラファイトフィルム層との接続が良好になり耐電圧および動作特性の向上効果が良好に得られる。以上のような方法によって電解コンデンサ素子を作製することができる。
本発明の電解コンデンサが捲回型の構造を有する場合、陽極金属層、誘電体層、導電性高分子層、セパレータ、陰極層がこの順で配置された積層体を、該陽極金属層が半径方向内側となるよう巻芯体に巻き付け、該巻芯体を回転させることによって該積層体を円筒状に捲回する方法等により電解コンデンサ素子を形成すれば良い。
上記のような方法で組み立てられた電解コンデンサ素子に、従来公知の方法で接続端子、外装樹脂等が形成され、本発明の電解コンデンサが完成される。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<グラファイトフィルムの作製>
本発明の実施例における陰極層として、以下の3種類のグラファイトフィルムを用いた。
(1)グラファイトフィルム−A
ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で仕込み、ポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行なった。このアルミ箔とポリアミド酸溶液との積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱して、100〜200℃の平均線膨張係数が1.6×10-5cm/cm/℃のポリイミドフィルムを製造した。フィルム厚さは75μmである。上記の方法で作製したポリイミドフィルムの複屈折率は0.14であった。
得られたポリイミドフィルムを、電気炉を用いて窒素ガス中、10℃/分の速度で1000℃まで昇温させ、1000℃で1時間保って予備加熱して炭素化した。得られた炭素化フィルムを、自由に伸び縮み出来る様に円筒状のグラファイトヒーターの内部にセットし、20℃/分の昇温速度で2800℃まで昇温、10分間保持し、その後40℃/分の速度で降温する加熱処理を行なってグラファイトフィルム−Aを得た(グラファイト化工程)。なお上記の加熱処理は、アルゴン雰囲気で0.5kg/cm2の加圧下でおこなった。
上記で得られたグラファイトフィルム−Aの厚みは80μmであり、見かけ比重が1.125g/cm3である発泡状態のフィルムであった。このグラファイトフィルム−Aに17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理したところ、厚さは40μmとなった。すなわち、グラファイトフィルム−Aの圧縮率は50%であった。さらに、該荷重を除去したときのグラファイトフィルム−Aの厚みは68μmであり、グラファイトフィルム−Aの復元率は70%であった。
さらに、上記の厚み68μmの圧縮処理後のフィルムに再度17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理したときの圧縮率は72%であった。また該荷重を除去した後のフィルム厚みは68μmまで復元し、以後17MPaの荷重を繰り返しかけても荷重除去後のフィルム厚みは68μmに復元した。
また、グラファイトフィルム−Aの面方向の電気伝導度は、厚み40μmの換算値で14000S/cmであった。電気伝導度の測定は、グラファイトフィルム−Aを長さ20mm、幅5mmの短冊状に切り出し、端子に外部電極を取り付け、さらに内部電極を電極間隔が12mmとなる様に形成して、外部端子から10μA〜100μAの一定電流を流して内部端子間の電圧を測定する方法(四端子法)で行なった。
(2)グラファイトフィルム−B
ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で3/2/1の割合で仕込み、ポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行なった。このアルミ箔とポリアミド酸溶液との積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱して100〜200℃の平均線膨張係数が1.0×10-5cm/cm/℃のポリイミドフィルム(厚さ75μm)を製造した。このフィルムの複屈折率は、0.15〜0.16の範囲であった。
得られたポリイミドフィルムを、電気炉を用いて窒素ガス中、10℃/分の速度で1000℃まで昇温させ、1000℃で1時間保って予備加熱して炭素化した。得られた炭素化フィルムを、自由に伸び縮み出来る様に円筒状のグラファイトヒーターの内部にセットし、20℃/分の昇温速度で2800℃まで昇温、10分間保持し、その後40℃/分の速度で降温する加熱処理を行なってグラファイトフィルム−Bを得た(グラファイト化工程)。なお上記の加熱処理は、アルゴン雰囲気で0.5kg/cm2の加圧下でおこなった。
上記で得られたグラファイトフィルム−Bの厚みは60μmであり、見かけ比重が1.50g/cm3である発泡状態のフィルムとして得られた。グラファイトフィルム−Bに17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理したところ、厚みは40μmとなった。すなわちグラファイトフィルム−Bの圧縮率は約33.3%であった。さらに、該荷重を除去したときのグラファイトフィルム−Bの厚みは64.8μmであり、グラファイトフィルム−Bの復元率は62%であった。
さらに、上記の厚み64.8μmの圧縮処理後のフィルムに再度17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理したときの圧縮率は60%であった。また該荷重を除去した後のフィルム厚みは64.8μmまで復元し、以後17MPaの荷重を繰り返しかけても荷重除去後のフィルム厚みは64.8μmに復元した。
また、グラファイトフィルム−Bの面方向の電気伝導度を、グラファイトフィルム−Aにおける測定と同じ方法で測定したところ、厚み40μmの換算値で、18000S/cmであった。
(3)グラファイトフィルム−C
グラフテック社製のグラファイトフィルム(eGRAF−HiTherm,販売元巴工業(株)商品番号710)をグラファイトフィルム−Cとして用いた。グラファイトフィルム−Cは、厚み250μmであり、見かけ比重が1.26g/cm3である。これを、17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理したところ、厚みは140μmとなった。すなわちグラファイトフィルム−Cの圧縮率は44%であった。さらに、該荷重を除去したときのグラファイトフィルム−Cの厚さは187.6μmであり、グラファイトフィルム−Cの復元率は34%であった。
さらに、上記の厚み187.6μmの圧縮処理後のフィルムに再度17MPaの荷重を1分間かけて圧縮処理し、該荷重を除去した後のフィルム厚みは187.6μmまで復元し、以後17MPaの荷重を繰り返しかけても荷重除去後のフィルム厚みは187.6μmに復元した。
また、グラファイトフィルム−Cの面方向の電気伝導度を、グラファイトフィルム−Aにおける測定と同じ方法で測定したところ、厚み40μmの換算値で、1000S/cmであった。
<実施例1>
陽極金属層としてアルミニウム箔を用い、該アルミニウム箔の陽極酸化により形成した酸化膜からなる誘電体層の表面に電解重合によって導電性高分子層を形成することで電解コンデンサを作製した。すなわち、陽極リードをつけた縦7mm×横10mmのエッチング処理により表面に細孔を形成したアルミニウム箔(すなわちアルミニウムエッチド箔)を、3wt%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、70℃で印加電圧50Vの条件で陽極酸化を行ない、アルミニウム箔の表面に酸化被膜である誘電体層を形成した。ついで、これを硝酸マンガンの30wt%水溶液に浸積し、自然乾燥させたのち、300℃で30分間熱分解処理を行ない、誘電体層の表面にマンガン酸化物層からなる導電層を形成した。
次に、導電層上に電解重合ポリピロール層を形成した。重合に用いた電解液はピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(0.1M)の30wt%アルコール溶液、および水からなる電解重合液である。
上記で誘電体層および導電層が形成されたアルミニウム箔を、上記の電解重合液中に配置し、重合開始電極を該導電層に近接させ、重合開始電極と陰極との間に1.5Vの定電圧を50分間印加して電解重合反応をおこない、導電性高分子層としての電解重合ポリピロール層を導電層上に形成した。
上記で形成した導電性高分子層の表面に、発泡状態のグラファイト−A(厚さ80μm)をグラファイトフィルム層として積層した。図6に示すように、陽極金属層、誘電体層および導電性高分子層からなる箔状体51の両面に、グラファイトフィルム54としての発泡状態のグラファイトフィルム−Aを配置し、該グラファイトフィルム54が圧縮されるように、溝を刻んだフッ素樹脂製治具55を用いて箔状体51およびグラファイトフィルム54をはさみ、本発明に係る電解コンデンサのモデル素子を作製した。
具体的には、導電性高分子層を形成した陽極箔の厚さをあらかじめ測定しておき、フッ素樹脂製治具55のギャップを制御することによりグラファイトフィルム−Aの厚さが55μmとなるように調整し、グラファイトフィルム層を形成した。前述のようにグラファイトフィルム−Aの厚さは80μmであるので、電極として用いられたグラファイトフィルムは導電性高分子層に対して圧力が加わるように形成されていることが分かる。また、モデル素子におけるグラファイトフィルム層の見かけ比重は1.636g/cm3である。
(コンデンサ特性)
上記で得られたモデル素子を20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。電極はそれぞれ、アルミニウム箔である陽極、グラファイトフィルム層である陰極から引き出した。耐電圧の測定においては、20mV/秒の速度で電圧を上昇させ、10mAの電流が流れた時点を耐電圧と定義した。なお得られた各特性は10個のモデル素子の平均値である。
その結果、初期容量は6.5μF、tanδは1.3%、インピーダンスは95mΩ、耐電圧は44V(ただし40V〜46Vの間でばらついていた)であった。
<比較例1>
グラファイトフィルム−Aの代わりにカーボンペースト(日本黒鉛工業(株)製の商品名「バニーハイトFU」)を用いた以外は実施例1と同じ方法で電解コンデンサのモデル素子を作製した。すなわち、実施例1と同様の方法で誘電体層および導電性高分子層を形成したアルミニウム箔上に、カーボンペースト層および銀ペースト層を陰極層として設け電解コンデンサのモデル素子を作製した。
上記で得られたモデル素子を20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。初期からショートモードであるモデル素子が10個中3個あり、それらをのぞいた7個のモデル素子で各特性の平均値を算出した。その結果、初期容量は6.7μF、tanδは1.1%、インピーダンスは89mΩ、耐電圧は21V(ただし16V〜30Vの間にばらついていた)であった。初期容量、tanδ、インピーダンス特性においては実施例1のモデル素子と大きな差は認められなかったが、耐電圧は実施例1のモデル素子の約半分に低下していた。これらの結果から、本発明においてグラファイトフィルム層を陰極層として用いることの有用性が確認できた。
<実施例2>
陽極金属層としてアルミニウム箔を用い、該アルミニウム箔の陽極酸化により形成した酸化膜からなる誘電体層の表面に、チオフェンの化学重合よって得られた導電性高分子層を形成した。すなわち、アルミニウムエッチド箔4×3.3mmを、3wt%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、まず10mV/secの速度で0Vから10Vまで上げ、つづけて24Vの定電圧を40分間印加し、アルミニウムエッチド箔の表面に誘電体層を形成した。次にこのアルミニウム箔を脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行なった。この時得られたアルミエッチド箔の液中容量は7.5μFであった。
次に、ベンゼンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属塩のベンゼンスルフォン酸第二鉄と、トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸イオンをアニオンとする遷移金属塩のトリイソプロピルナフタレンスルフォン酸第二鉄と、のエタノール溶液を酸化剤として用い、この溶液に1、4ジオキシチオフェンを混合し攪拌して重合溶液を作製した。上記で陽極酸化したアルミニウム箔を該重合溶液に浸漬し、105℃の電気炉で5秒加熱し、さらに70℃の電気炉で10分間加熱して化学重合を進行させ、さらに脱イオン水による洗浄、乾燥をおこなった。この操作を、目視上アルミニウム箔全体がポリチオフェンで覆われるようになるまで5回繰り返した後、洗浄、乾燥を行なった。
上記で形成された導電性高分子層の表面に、実施例1と同様の方法で発泡フィルムであるグラファイトフィルム−Aを積層し、本発明に係る電解コンデンサのモデル素子を作製した。実施例1と同様に、導電性高分子層を形成した陽極箔の厚さをあらかじめ測定し、フッ素樹脂製治具55のギャップを制御することにより、グラファイトフィルム−Aの厚さが55μmとなるように調整した。
上記で得られたモデル素子を20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。電極はそれぞれ、アルミニウム箔である陽極、グラファイトフィルム層である陰極から引き出した。耐電圧の測定においては、20mV/秒の速度で電圧を上昇させ、10mAの電流が流れた時点を耐電圧と定義した。なお得られた各特性は10個のモデル素子の平均値である。
その結果、初期容量は6.3μF、tanδは2.0%、インピーダンスは102mΩ、耐電圧は21Vであった。
<比較例2>
グラファイトフィルム−Aの代わりにカーボンペースト(日本黒鉛工業(株)製の商品名「バニーハイトFU」)を用いた以外は実施例2と同じ方法で電解コンデンサのモデル素子を作製した。すなわち、実施例2と同様の方法で誘電体層および導電性高分子層を形成したアルミニウム箔上に、カーボンペースト層および銀ペースト層を陰極層として設け電解コンデンサのモデル素子を作製した。
また、上記で得られたモデル素子を20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、インピーダンス(120Hz)、および耐電圧(V)を測定した。初期からショートモードであるモデル素子が10個中5個あり、それらをのぞいた5個のモデル素子で各特性の平均値を算出した。その結果、初期容量は6.5μF、tanδは1.8%、インピーダンスは95mΩ、耐電圧は11V(ただし7V〜14Vの間にばらついていた)であった。初期容量、tanδ、インピーダンス特性においては実施例2のモデル素子と大きな差は認められなかったが、耐電圧は実施例2のモデル素子の約半分に低下していた。これらの結果から、化学重合により導電性高分子層を形成する場合にも、本発明においてグラファイトフィルム層を陰極層として用いることの有用性が確認できた。
<実施例3>
グラファイトフィルム−Aの代わりに、グラファイトフィルム−Bを用いた以外は、実施例1と同じ方法で本発明に係る電解コンデンサのモデル素子を作製した。
実施例1と同様に導電性高分子層を形成した陽極箔の厚さをあらかじめ測定しておき、フッ素樹脂製治具55のギャップを制御することによりグラファイトフィルム−Bの厚さが50μmとなるように調整し、グラファイトフィルム層を形成した。前述のようにグラファイトフィルム−Bの厚さは60μmであるので、電極として用いられたグラファイトフィルムは導電性高分子層に対して圧力が加わるように形成されていることが分かる。また、モデル素子におけるグラファイトフィルム層の見かけ比重は1.8g/cm3である。
また、上記で得られたモデル素子の各特性値を測定した。その結果、初期容量は6.5μF、tanδは1.6%、インピーダンスは102mΩ、耐電圧は42Vであった。これらの結果から、グラファイトフィルムとしてグラファイト−Bを用いた場合にも、グラファイトフィルム−Aを用いた場合と同様に本発明の効果が得られる事が分かった。
<実施例4>
グラファイトフィルム−Aの代わりに、グラファイトフィルム−Cを用いた以外は、実施例1と同じ方法で本発明に係る電解コンデンサのモデル素子を作製した。
実施例1と同様に導電性高分子層を形成した陽極箔の厚さをあらかじめ測定しておき、フッ素樹脂製治具55のギャップを制御することによりグラファイトフィルム−Cの厚さが180μmとなるように調整し、グラファイトフィルム層を形成した。前述のようにグラファイトフィルム−Cの厚さは250μmであり、電極として用いられたグラファイトフィルムは導電性高分子層に対して圧力が加わるように形成されていることが分かる。また、モデル素子におけるグラファイトフィルム層の見かけ比重は1.75g/cm3である。
また、上記で得られたモデル素子の各特性値を測定した。その結果、初期容量は6.3μF、tanδは1.8%、インピーダンスは110mΩ、耐電圧は40Vであった。これらの結果から、グラファイトフィルムとしてグラファイト−Cを用いた場合にも、グラファイトフィルム−Aを用いた場合と同様に本発明の効果が得られる事が分かった。
<比較例3>
グラファイトフィルム−Aの代わりに、硬質のグラファイト板(東海カーボン製の押し出し成型黒鉛板、商品名「G151」を厚さ200μmに研磨した板)を用いた以外は実施例1と同じ方法で電解コンデンサのモデル素子を作製した。
また、上記で得られたモデル素子の各特性値を測定した。完成させたモデル素子10個のうち5個はショート不良であった。ショート不良は、硬質グラファイトを用いたことにより素子作製の際の圧力で誘電体層が破損したことが原因で生じたものと推察された。残りの5個のモデル素子について各特性値の平均値を測定した結果、初期容量は5.3μF、tanδは2.3%、インピーダンスは57mΩ、耐電圧は38Vであった。初期容量およびインピーダンスは実施例1〜4に比べて著しく大きく、本比較例における電解コンデンサのモデル素子では、導電性高分子層と硬質グラファイト板との間で十分な接続が取れていないものと推定された。これらの結果から、硬質のグラファイト板を用いた場合には、グラファイトフィルムを用いた場合のような耐電圧の向上効果が得られない事が分かった。
<実施例5>
実施例2に示したモデル素子を5個積層し、積層型コンデンサを作製した。得られた積層型コンデンサの各特性値を測定したところ、初期容量は31μFとなり、実施例2のモデル素子の約5倍になった。また、tanδは2.2%、インピーダンスは34mΩ、耐電圧は20Vであり、いずれも良好な値であった。これらの結果から、積層型の電解コンデンサとされた場合にも本発明の効果が得られることが分かった。
<実施例6>
陽極金属層としてタンタル焼結体を用い、該タンタル焼結体の表面に形成した酸化膜からなる誘電体層の表面に化学重合によって得られた導電性高分子層を形成することで電解コンデンサを作製した。すなわち、陽極リードをつけた板状のタンタル焼結体(長さ3mm、幅1.5mm、厚さ0.5mm)を0.05wt%リン酸水溶液中で、85℃、60分間、印加電圧33.9Vの条件で陽極酸化し、タンタル焼結体の表面に酸化被膜である誘電体層を形成した。ついで、これをピロール0.75mol/l水溶液に2分間浸漬し、つづいて硫酸第二鉄0.1mol/l水溶液に10分間浸漬した。この操作を約20回繰り返し、誘電体層の表面全体が化学重合によるポリピロールで覆われる様にした後、水洗、乾燥した。
次に、上記で導電性高分子層が形成されたタンタル焼結体の両面にグラファイトフィルム−Aを押し付けてグラファイトフィルム層を形成した。グラファイト層の厚みは、それぞれ55μmであった。グラファイトフィルム層に陰極リードを設け、エージングを印加電圧12.5Vで1時間行ない、樹脂で外装して本発明の電解コンデンサのモデル素子を得た。
また、上記で得られたモデル素子を20Vで1時間エージングした後、初期容量、tanδ、漏れ電流値、および耐電圧(V)を測定した。得られたモデル素子の初期容量は15.5μF、tanδは1.9%、漏れ電流値は0.17μA、耐電圧は30Vであった。これらの結果から、陽極金属層としてタンタルを用いた場合でも、電解コンデンサの耐電圧の向上効果を得られる事が分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る電解コンデンサは高い耐電圧と優れた動作特性を有し、たとえば電源整流回路、高周波回路、結合回路、各種通信機器等に対して好適に適用され得る。
本発明に係る電解コンデンサの一例としてのチップ型電解コンデンサの構造について説明する図である。 本発明に係る電解コンデンサの一例としての捲回型電解コンデンサの構造について説明する図である。 本発明に係る電解コンデンサの一例としての捲回型電解コンデンサの構造について説明する図である。 本発明において用いられるグラファイトフィルム層の断面形態を示す図である 本発明に係る電解コンデンサの製造における積層工程について説明する図である。 本発明に係る電解コンデンサの製造における積層工程について説明する図である。
符号の説明
1,2,3 電解コンデンサ、11,53 陽極金属層、12 導電性高分子層、13 グラファイトフィルム層、14 陰極金属、15,16,26,36 接続端子、17 外装樹脂、21 複合層、22,24 セパレータ層、23 陰極層、25,35 リード、31 電解コンデンサ素子、32 アルミケース、33 スリーブ、34 封口ゴム、51 箔状体、52 絶縁シールド、54 グラファイトフィルム、55 フッ素樹脂製治具。

Claims (20)

  1. 陽極金属層と、誘電体層と、導電性高分子層と、陰極層とを少なくとも備え、
    前記陰極層はグラファイトフィルム層を少なくとも含み、
    前記グラファイトフィルム層は前記導電性高分子層と接して形成されており、かつ、
    前記グラファイトフィルム層の見かけ比重が0.4〜1.8g/cm3の範囲内である、電解コンデンサ。
  2. 前記グラファイトフィルム層が内部に層状の空気層を含む、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記グラファイトフィルム層が、荷重が加えられる前の状態でのグラファイトフィルム層の厚みAと、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBとから、以下の式、
    圧縮率(%)=(A−B)/A×100
    に従って算出される圧縮率が20%以上であるグラファイトフィルム層である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記グラファイトフィルム層が、厚み方向に17MPaの荷重が1分間加えられた状態でのグラファイトフィルム層の厚みBと、前記荷重が開放された後の状態でのグラファイトフィルム層の厚みCとから、以下の式、
    復元率(%)=(C−B)/B×100
    に従って算出される復元率が5%以上であるグラファイトフィルム層である、請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  5. 前記グラファイトフィルム層の面方向の電気伝導度が1000S/cm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  6. チップ型の構造を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  7. 前記陽極金属層、前記誘電体層、前記導電性高分子層、前記陰極層がこの順で配置された単位構造を1つまたは複数含む、請求項6に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記陰極層、前記導電性高分子層、前記誘電体層、前記陽極金属層、前記誘電体層、前記導電性高分子層、前記陰極層がこの順で配置された構造を形成するように、複数の前記単位構造が配置されてなる、請求項7に記載の電解コンデンサ。
  9. 捲回型の構造を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  10. 前記陽極金属層、前記誘電体層、前記導電性高分子層、セパレータ、前記陰極層がこの順で配置され、捲回された構造を有する、請求項9に記載の電解コンデンサ。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電解コンデンサを得るための製造方法であって、
    前記グラファイトフィルム層を構成するグラファイトフィルムを形成するグラファイトフィルム形成工程と、
    前記陽極金属層の表面を酸化処理することにより前記陽極金属層の表面に酸化膜からなる前記誘電体層を形成する酸化工程と、
    前記陽極金属層の表面に、少なくとも前記誘電体層、前記導電性高分子層、前記陰極層がこの順で配置された積層体を形成する積層工程と、
    を含む、電解コンデンサの製造方法。
  12. 前記積層工程において、前記陽極金属層、前記誘電体層、前記導電性高分子層、前記陰極層がこの順で配置された単位構造を1つまたは複数形成し、
    前記積層工程の後に圧縮工程をさらに設ける、請求項11に記載の電解コンデンサの製造方法。
  13. 前記積層工程において、前記陽極金属層の表面に、前記誘電体層、前記導電性高分子層、セパレータ、前記陰極層がこの順で配置された積層体を形成し、
    前記積層工程の後に捲回工程をさらに設ける、請求項11に記載の電解コンデンサの製造方法。
  14. 前記グラファイトフィルム形成工程が高分子フィルムを加熱処理するグラファイト化工程を含む、請求項11に記載の電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記グラファイト化工程における前記加熱処理が、不活性ガス中または真空中にて2400℃以上の温度で行なわれ、かつ、前記グラファイトフィルムが、前記高分子フィルムの厚みの80%以上の厚みを有する発泡フィルムである、請求項14に記載の電解コンデンサの製造方法。
  16. 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリオキサジアゾール、ポリパラフェニレンビニレンから選択された少なくとも1種類からなるフィルムである、請求項14または15に記載の電解コンデンサの製造方法。
  17. 前記高分子フィルムが、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下であるポリイミドを含む、請求項14〜16のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  18. 前記高分子フィルムが、複屈折率が0.13以上であるポリイミドを含む、請求項14〜17のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  19. 前記高分子フィルムが、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が2.5×10-5cm/cm/℃以下でありかつ複屈折率が0.13以上であるポリイミドを含む、請求項14〜16のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  20. 請求項11〜19のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法により得られる電解コンデンサ。
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