JP3551118B2 - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ及びその製造方法に関し、特に、周波数特性に優れた小型大容量の固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器のデジタル化に伴って、コンデンサについても、小型大容量で高周波領域でのインピーダンスの低いものが要求されている。
【0003】
従来、高周波領域で使用されるコンデンサには、フィルムコンデンサ、マイカコンデンサ、積層セラミックコンデンサがあるが、これらのコンデンサでは小型大容量化が難しいという課題を抱えている。
【0004】
一方、大容量のコンデンサとしては、アルミニウム乾式電解コンデンサ、またはアルミニウムもしくはタンタル固体電解コンデンサ等の電解コンデンサが存在する。
【0005】
これらのコンデンサでは、誘電体となる酸化皮膜が極めて薄いために、大容量化が実現できるのであるが、一方酸化皮膜の損傷が起こり易いために、それを修復するための真の陰極を兼ねた電解質を設ける必要がある。
【0006】
例えば、アルミニウム乾式コンデンサでは、エッチングを施した陽極、陰極アルミニウム箔をセパレータを介して巻取り、液状の電解質をセパレータに含浸して用いている。
【0007】
この液状電解質は、イオン伝導性で比抵抗が大きいため、損失が大きく、インピーダンスの周波数特性、温度特性が著しく劣るという課題を有する。
【0008】
さらに加えて、液漏れ、蒸発等が避けられず、時間経過と共に容量の減少及び損失の増加が起こるといった課題を抱えていた。
【0009】
また、タンタル固体電解コンデンサでは、マンガン酸化物を陰極導電層として用いているため、温度特性及び容量、損失等の経時変化についての課題は改善されるが、マンガン酸化物の比抵抗が比較的高いため損失、インピーダンスの周波数特性が、積層セラミックコンデンサ、あるいはフィルムコンデンサと比較して劣っていた。
【0010】
さらに加えて、タンタル固体電解コンデンサでは、マンガン酸化物からなる陰極導電層の形成に当り、硝酸マンガン溶液に浸漬後、300℃程度の温度で熱分解するという工程を数回から十数回繰り返して行う必要があり、形成工程が煩雑であった。
【0011】
そこで、近年、金属、導電性を有する金属酸化物、ポリピロール等の導電性高分子を誘電体皮膜上に形成後、それらの導電層を経由して、電解重合により、ポリピロール等の導電性高分子を形成してなる固体電解コンデンサが、特開昭63−158829号公報、特開昭63−173313号公報及び特開平1−253226号公報等に提案されている。
【0012】
さらに特公平2−15611号公報において、3、4位に置換基を有する導電性高分子ポリチオフェンを化学重合によって形成してなる固体電解コンデンサが提案されている。
【0013】
また、電気化学会第58回大会講演要旨集251〜252頁(1991年)にはエッチドアルミ箔上に電着ポリイミド薄膜からなる誘電体を形成した後、化学重合及び電解重合により、順次導電性高分子層を形成して電極とする大容量フィルムコンデンサが提案されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マンガン酸化物のような導電性の熱分解金属酸化物を経由して電解重合高分子を形成する場合には、熱による誘電体皮膜の損傷がおこるため、高耐圧のコンデンサを得るためには、電解重合前に再度化成を行い、その修復を行うことが必要でもあり、工程がさらに複雑になるという課題を有していた。
【0015】
さらに、タンタル固体電解コンデンサでは、マンガン酸化物からなる陰極導電層を、熱分解を繰り返して形成しており、生じた皮膜損傷を修復するためにその都度化成が必要で、工程がより複雑になるという課題を有していた。
【0016】
加えて、ポリピロールを用い化学重合で導電性高分子層を形成する場合、室温付近における重合速度大きいため、エッチドアルミニウム箔及びタンタル焼結体の細孔の深部まで浸透する途中で重合する結果、エッチピット及び焼結体の細孔の閉塞が一部で起こり、高充填率の導電性高分子層を形成することは困難であった。
【0017】
その結果として、容量達成率(陰極導電層に電解液を用いた場合との容量比)の高いコンデンサが得られにくいという課題があった。
【0018】
この課題は、重合温度を下げることにより解決可能であるが、媒体に水を使用する場合、摂氏0度付近で凍結するため、限界があった。
【0019】
また、ピロールモノマーの濃度を下げることにより、この課題は解決されるが、一方で被覆に要する重合繰り返し回数が多くなるという新たな課題が発生してしまう。
【0020】
さらにまた、ポリピロール層及び3、4ーエチレンジオキシチオフェンの重合体(ポリエチレンジオキシチオフェン)層を化学重合により形成した場合、粉体状の重合体が得られ、コンデンサ電極表面、中でもエッジ部の被覆性が劣り、完全被覆のための重合に長時間を要することも課題であった。
【0021】
電解重合ポリピロールの場合には、フィルム状の重合体が得られるため、このような課題は生じないが、一方誘電体表面に導電性を付与しないと高被覆率の皮膜形成ができないという課題があった。
【0022】
またフィルムコンデンサでは、例えば表面積の大きいエッチドアルミニウム箔表面に高分子誘電体を形成して、さらにその上に導電性高分子で対極を形成することにより、小型大容量化が実現できるが、ここでも上述の固体電解が抱えている課題と同様の課題が避けられなかった。
【0023】
本発明は、上記従来技術における各課題を解決するもので、高容量達成率でかつ高周波特性の優れた固体電解コンデンサを簡便に得ること、及び小型大容量のフィルムコンデンサを簡便に得ることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、誘電体層と、前記誘電体層を介在させて対向して設けられた一対の電極と、前記誘電体層と一対の電極の間に1,3―ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を有する第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上にピロール、3,4エチレンジオキシチオフェン又はポリアニリンを繰り返し単位とする第2の導電性高分子を有する第2の導電性高分子層を具備するコンデンサである。
【0025】
バンジェネウグデン(D.Vangeneugden)他は、アクタ・ポリマー、49巻(1998)687〜962頁(Acta Polym.,Vol.49(1998)pp687〜962)に、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体の合成方法ならびに前記誘導体を繰り返し単位とする導電性高分子の重合方法を開示している。
【0026】
さらに上記文献には、この導電性高分子の内、(化2)に示す構造を有するものは、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に可溶であることが開示されている。
【0027】
【化2】
Figure 0003551118
【0028】
さらにまた、(化2)記載のポリ(1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体)はヨー素ドーピングすることにより高い電気伝導度を発現することが記載されている。
【0029】
(化2)は上記のようにRとRの内容により、3タイプある。つまり、タイプaはR=SC17かつR=Hの場合、タイプbはR=C17かつR=Hの場合、タイプcはR=ClかつR=C17の場合である。
【0030】
1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層は、前記導電性高分子を含有する溶液を塗布することにより、あるいは1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体をスタート物質として化学重合を用いてその場重合で形成する製造方法が好適である。
【0031】
また本発明は、対向して設けられた一対の電極と、前記電極間に設けられた誘電体層と、前記電極の少なくとも一方において、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層と、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層からなる積層導電性高分子層、あるいはエチレンジオキシチオフェン、または、アニリンを繰り返し単位として含む導電性高分子層からなる積層導電層を有するコンデンサである。
【0032】
さらにまた、ピロール、エチレンジオキシチオフェンまたはアニリンの重合をP−ニトロフェノール、Pーシアノフェノール、mーヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシフェノール、m−ニトロフェノールなどのフェノール誘導体を含む水媒体中で行うこともできる。
【0033】
チオフェン誘導体では、これにより重合反応が促進され、一方ピロール及びその誘導体を含む導電性高分子では電気伝導度の向上が認められる。
【0034】
さらにまた本発明は、対向して設けられた一対の電極と、前記電極間に設けられた誘電体層と、前記電極の少なくとも一方において、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層と、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層からなる積層導電性高分子層、あるいはエチレンジオキシチオフェン、またはアニリンを繰り返し単位として含む導電性高分子層からなる積層導電層と1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層の3層を有するコンデンサである。
【0035】
最外層の、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層は、特にその内層のポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンあるいはポリアニリンが化学重合により形成される場合、溶液含浸を用いて形成される製造方法が好適である。
【0036】
以上の構成により、高容量達成率でかつ高周波特性の優れた固体電解コンデンサを容易に得ること、及び小型大容量のフィルムコンデンサを簡便に得ることができる。
【0037】
なお、本発明にかかるコンデンサの優れた高周波特性は導電層として用いた導電性高分子の電気伝導度が高いことに起因している。
【0038】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の本発明は、誘電体層と、前記誘電体層を介在させて対向して設けられた一対の電極と、前記誘電体層と一対の電極の間に1,3―ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を有する第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上にピロール、3,4エチレンジオキシチオフェン又はポリアニリンを繰り返し単位とする第2の導電性高分子を有する第2の導電性高分子層を具備するコンデンサである。
【0039】
ここで請求項2記載のように、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む第3の導電性高分子を有する第3の導電性高分子層を、第2の導電性高分子層の上に形成して具備するコンデンサであってもよい。
【0040】
さらに請求項3記載のように、溶媒に可溶な1,3―ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子が(化2)に示す構造を有する溶媒可溶性のものを用いることができる。
【0043】
ここで請求項記載のように、誘電体として電極の一方を構成する弁金属の酸化物皮膜を形成して用いることができる。
【0044】
またここで請求項記載のように、弁金属がアルミニウムもしくはタンタルであってもよい。
【0049】
一方、具体的なコンデンサの製造方法の一例としては、請求項記載のように、一対の電極に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、前記誘電体層の上に1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子溶液を塗布又は化学重合して第1の導電性高分子層を形成する工程と、前記第1の導電性高分子層の上にピロール、3,4エチレンジオキシチオフェン又はポリアニリンを繰り返し単位とする第2の導電性高分子層を化学重合又は電解重合により形成する工程を有するコンデンサの製造方法である。
【0050】
このように、第1の導電性高分子層を塗布法又は化学重合によって形成するため、熱による誘電体層の損傷を防止することができる。
【0055】
また、第2の導電性高分子層の形成が電解重合の場合、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子層が存在するため、それを介してスムースに第2の導電性高分子層を形成することができる。
【0056】
後述するように、ピロール、3、4ーエチレンジオキシチオフェンまたはアニリンを繰り返し単位として含む導電性高分子層の形成に無毒性かつ不燃性の水を媒体として用いることが可能であり、生産プロセスの構築が容易で量産を容易にすることができる。
【0059】
さらにまた、第2の導電性高分子層の化学重合工程で、フェノール誘導体もしくはニトロベンゼン誘導体を添加した媒体を用いることができる。
【0060】
フェノール誘導体またはニトロベンゼン誘導体の添加により、チオフェン誘導体及び及びピロールから得られた導電性高分子の電気伝導度及びその安定性が、より向上する。
【0061】
これは、フェノール系化合物は、前記両導電性高分子中にはドーパントとして組み込まれないが、規則性の高い、したがって共役長の発達した導電性高分子を生成させるためと考えられるが、その結果、フェノール系の誘導体を添加した重合系から得られたポリピロールを用いたコンデンサの初期特性及び安定性はさらに向上する。
【0062】
またポリ(3、4ーエチレンジオキシチオフェン)およびポリアニリンの場合は、そのメカニズムは不明であるが、これらの添加剤により、環境安定性の向上が見られ、コンデンサの耐熱・耐湿性向上のために有効である。
【0063】
ここで、フェノール誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノール若しくはアセトフェノール、またはそれらの組合せであることが好適である。
【0064】
またここで、ニトロベンゼン誘導体がニトロ安息香酸、ニトロベンジルアルコールまたはそれらの組合せであることが好適である。
【0068】
さらに、請求項記載のように、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む第3の導電性高分子層を第2の導電性高分子上に形成してコンデンサを製造することもできる。
【0069】
例えば化学重合の場合、粉体状のポリマー皮膜が形成され、陰極構成材料であるコロイダルグラファイトの浸透によるショート不良が起こり易いために、これを防止することが重要である。
【0070】
そのため、形成処理回数を多くして、厚いポリマー層を形成することがしばしば行われてきたが、上記によりそのプロセスを簡略化することができる。
【0071】
ここで、第3の導電性高分子層を、可溶型の1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を用いて行うことができる。
【0072】
また、必要により後ドープして第3の導電性高分子層の電気伝導度を向上させることもできる。
【0073】
さらに、請求項記載のように、誘電体形成工程を弁金属の陽極酸化によって行うことができる。
【0074】
ここで、請求項記載のように、弁金属としてアルミニウムもしくはタンタルを用いることができる。
【0075】
ここで、請求項28記載のように、誘電体形成工程に高分子材料の電着を用いることができる。
【0076】
さらにここで、請求項29記載のように、高分子材料としてポリイミドが好適に用いられる。
【0077】
さらにここで、請求項30記載のように、高分子材料としてアクリル酸とメタクリル酸とスチレン共重合体を用いることもできる。
【0078】
本発明の各実施の形態について、以下図を参照資ながら詳細に説明をする。
【0079】
(実施の形態1)
以下、本発明第1の実施の形態について詳細に説明する。
【0080】
図1は本実施の形態に係るコンデンサの概念図である。
【0081】
本実施の形態においては、まず、2x1.4x0.9mmのタンタル線陽極リード付きタンタル焼結体からなる電極1に対して、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用い、約90℃で40Vを印加して、陽極酸化により誘電体層2を形成した。
【0082】
この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、18.5μFであった。
【0083】
さらに、この構成を用いて、(化2)のタイプaに示す分子構造のポリ(1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体)(PDTIT)のクロロホルム溶液に5分間浸漬後、80℃で乾燥した。その後、ヨー素ドーピングを行った。
【0084】
ここで得られたPDTITの電気伝導度は38S/cmであった。
【0085】
上述の浸漬、乾燥、ドーピングの操作を表面が完全にPDTITで被覆されるまで繰り返すことにより、PDTITからなる導電性高分子層3を形成した。
【0086】
ここで、PDTITは、バンジェネウグデン(D.Vangeneugden)他は、アクタ・ポリマー、49巻(1998)687〜962頁(Acta Polym.,Vol.49(1998)pp687〜962)記載されている方法に準じて作製した。
【0087】
ついで、このように導電性高分子層3が形成されたタンタル焼結体上に、カーボン層4と銀ペイント層5で陰極を形成すると共に、その上に陰極リード6を取り付け、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0088】
さらに、その素子をエポキシ樹脂を用いて外装して、さらに105℃で13Vを印加したエ−ジング処理を行い、コンデンサを完成させた。
【0089】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0090】
【表1】
Figure 0003551118
【0091】
(比較例1)
次に、比較のため、比較例1としてPDTITに替えて、硝酸マンガン30%水溶液に浸し、250℃で熱分解して二酸化マンガンを電解質として形成した以外、第1の実施の形態と同様の条件で10個のコンデンサを完成させた。
【0092】
これら10個の素子についても、第1の実施の形態と同様に1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示した。
【0093】
第1の実施の形態と本比較例との結果を検討すると、損失係数及びインピーダンスはPDTITを用いた場合の方が向上していることが分かる。
【0094】
また、本比較例では、漏れ電流を下げるために、硝酸マンガンの熱分解処理のたび毎に誘電体皮膜修復のための化成処理が必要であったが、第1の実施の形態の方法によれば、加熱処理工程を経ないため、修復化成することなしに二酸化マンガンを電解質として使用したコンデンサと同等の漏れ電流を得ることができた。
【0095】
以上より、PDTITを電解質として採用することにより、コンデンサ特性に優れたコンデンサを容易に製造することができることが判明した。
【0096】
さらに、容量達成率においても、第1の実施の形態におけるコンデンサは97%(17.9/18.5)と、従来の二酸化マンガンを陰極導電層に用いたタンタルコンデンサと同等であり、極めて高いことが実証された。
【0097】
なお、上記の実施の形態では、PDTITからなる導電性高分子層3を溶液塗布により形成したが、化学重合により設けた場合も同様の効果を得た。
【0098】
(実施の形態2)
本発明第2の実施の形態では、第1の実施の形態におけるPDTITに替えて、(化2)のタイプbに相当するPDTITを用いた以外、第1の実施の形態と同様の条件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0099】
なお、ここで用いたPDTITの電気伝導度はそれぞれ4S/cmであった。
【0100】
本実施の形態と比較例1との結果を検討すると、損失係数及びインピーダンスは本実施の形成の方が向上していることが分かる。
【0101】
(実施の形態3)
以下、本発明第3の実施の形態について詳細に説明する。
【0102】
図2は本実施の形態に係るコンデンサの概念図である。
【0103】
本実施の形態では、第1の実施の形態におけるタンタル焼結体に代えてエッチドアルミニウム箔電極を用いた以外、第1の実施の形態と同様の条件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0104】
ここで、具体的なコンデンサの作製は次の通りに行なった。
【0105】
まず図2に示すように、4×10mmのアルミニウムエッチド箔からなる電極11を、3mmと6mmの部分に仕切るように、両面に渡って、幅1mmのポリイミドテープ17を貼付けた。
【0106】
次に、アルミニウムエッチド箔の4×6mmの部分を、3%アジピン酸アンモニウム水溶液を用い、約70℃で50Vを印加して、陽極酸化により誘電体層12を形成した。
【0107】
ここで、この構成をコンデンサと見立て、化成液中の容量を測定したところ、4.92μFであった。
【0108】
その後、第1の実施の形態と同様にして、導電性高分子層13、カーボン層14,銀ペイント層15を設け、あらに外装して10個のコンデンサを完成させた。
【0109】
その後やはり第1の実施の形態と同様の評価を行い、結果を(表1)に示した。
【0110】
(表1)から本実施の形態においても、低損失及び高周波インピーダンス特性に優れたコンデンサを効率的に得ることができた。
【0111】
容量達成率も、97%(4.79/4.92)と高いことが分かった。
【0112】
なお、第1の実施の形態におけるコンデンサより、損失係数に優れ、さらにインピーダンスも容量の比から推定されるより小さくなっているのは、焼結体とエッチド箔という電極構造の差に基づくものであるといえる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、電極箔として厚さ約100μm、平均細孔径が約2μm、表面積が約30倍の電気化学的にエッチングされたエッチドアルミニウム箔を用いた。この箔を第3の実施の形態と同様の寸法形状に成形後、やはり第3の実施の形態と同様にポリイミドテープを貼付した。
【0114】
この電極箔に電着によりポリイミドからなる誘電体層を形成した。
【0115】
構造的に、本コンデンサは弁金属の陽極酸化皮膜に替えて、誘電体として高分子膜を用いた以外は、第3の実施の形態に記載の固体電解コンデンサと同様である。ただし、誘電体が高分子フィルムで構成されているため、無極性コンデンサとして機能する。
【0116】
以下、ポリイミド電着膜形成の一例を示す。
【0117】
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp―フェニレンジアミンをN−メチルピロリドン中で窒素還流下で反応させてポリアミック酸を得た。
【0118】
このポリアミック酸をN,N−ジメチルアミドに希釈し、トリエチルアミンを加えてポリアミック酸塩溶液を得た。
【0119】
上記溶液にメタノールを添加して最終的にポリアミック酸を0.15%含むように調整を電着液とした。
【0120】
この溶液にコンデンサ素子を浸し、これを陽極として前記コンデンサ素子と離隔して設けた陰極間に30Vの電圧を印加してポリアミック酸膜を析出させた。
【0121】
その後、250℃で1時間加熱してポリアミック酸をポリイミド化した。
【0122】
この電着並びに加熱を3回繰り返した後、導電性高分子層形成を行った。
【0123】
その後、第1の実施の形態と同様にして、10個のコンデンサを完成させ、やはり第1の実施の形態と同様の評価を行い、結果を(表1)に示した。
【0124】
以上より、本実施の形態においても、低損失及び高周波インピーダンス特性に優れコンデンサを効率的に得ることができた。
【0125】
(実施の形態5)
本実施の形態では、第4の実施の形態におけるポリイミドに替えて、ポリイミドアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体を電着で形成した以外、第4の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0126】
ポリイミドアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体の電着膜形成法の一例を次に示す。
【0127】
用いた電着液組成は、固形分が10重量%、イオン交換水86重量%、ブチルセロソルブ4重量%である。
【0128】
ここで固形分として、分子量約3万のアクリル酸とメタクリル酸とスチレンの共重合体とベンゾグアナミン系樹脂が重量比で7:3で混合したものを用いた。
【0129】
この固形分を液中に分散させるため、カルボン酸基の50%をトリメチルアミンにより中和した。
【0130】
上記電着液に、粘着テープを貼付した電極箔を浸し、0.3mA/cmの電流密度で10Vに達するまで定電流電着を行い、さらに10Vで15分間定電圧電着を行った。
次に、アクリル酸系の高分子薄膜が形成された電極箔を水洗後80℃で20分間、180℃で30分間熱処理することにより、ベンゾグアナミン系樹脂との間で架橋反応させた。
その後、第4の実施の形態と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0131】
このコンデンサを第1の実施の形態と同様に評価を行い、その結果を(表1)に示した。
【0132】
これから明らかなように、本実施の形態においても低損失及び高周波インピーダンス特性に優れたコンデンサを効率的に得ることができた。
【0133】
(実施の形態6)
以下、本発明第1の実施の形態について詳細に説明する。
【0134】
図3は本実施の形態に係るコンデンサの概念図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態における構成において、PDTITのみで導電性高分子層を形成することに替えて、PDTITと化学重合ポリピロール(PPy)からなる積層導電層を形成した以外は、第1の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0135】
第1の導電性高分子層23は、第1の実施の形態に記載した通りの方法で、PDTIT溶液への一回の浸漬処理で形成し、ついで、このようにPDTITの層が形成された誘電体層22を有するタンタル焼結体21を、ピロールモノマー0.75mol/lとアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)0.75重量%からなる25℃のモノマー水溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄0.1mol/lを含む酸化剤溶液に室温で10分間浸漬した。
【0136】
この処理を、表面がPPyからなる第2の導電性高分子層28で被覆されるまで繰り返した後、第2の導電性高分子層28上に、カーボン層24と銀ペイント層25と陰極リード26を第1の実施の形態と同様に設け、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0137】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0138】
従来の方法では、化学重合によりその場でPPy層を形成する場合、その重合速度が大きいため、焼結体の細孔構造の中に充填することは極めて困難である。これは、例えばモノマー濃度と酸化剤濃度を下げること、あるいは重合温度を下げることにより実現できるが、必要な処理繰り返し回数が多くなるまたはプロセスの制御が難しくなる等の理由で容易にコンデンサを得ることができないという課題がある。
【0139】
本実施の形態においては、はじめにPDTIT溶液を用いて細孔構造の深部に導電性高分子層を形成しておくことにより、PPy層形成のための工程を上述のように、室温で行ったように簡略化しても容量達成率の高いコンデンサを得ることができた。
【0140】
(表1)に示した本実施の形態と第1の実施の形態の結果との比較から明らかなように、本実施の形態においても高周波特性の優れた、高容量達成率のコンデンサが得られることが実証された。
【0141】
(実施の形態7)
本実施の形態では、第6の実施の形態のPDTITに替えて(化2)のタイプcに相当するPDTITを用いた以外、第6の実施の形態と同様の条件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0142】
なお、ここで用いたPDTITの電気伝導度はそれぞれ0.01S/cmであった。
【0143】
本実施の形態と比較例1との結果を検討すると、損失係数及びインピーダンスは本実施の形成の方が向上していることが明らかであり、本発明の優れた効果がここでも実証された。
【0144】
(実施の形態8)
本実施の形態では、第6の実施の形態の構成において、PPyに替えて、ポリ(3、4ーエチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)からなる導電性高分子層を形成した以外は、第6の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0145】
PDTITは、第1の実施の形態に記載した通りの方法で、一回の浸漬処理で形成し、ついで、このようにPDTIT層が形成されたタンタル焼結体上に、3、4ーエチレンジオキシチオフェンモノマー(EDOT)0.1mol/lとトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量338)4重量%からなる65℃のモノマー水溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄0.1mol/lを含む65℃の酸化剤溶液に100分間浸漬した。
【0146】
この処理を表面がPPyで被覆されるまで繰り返し、PPyが形成されたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で陰極を第1の実施の形態と同様に形成して、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0147】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0148】
化学重合により、その場でPEDOT層を形成する場合、焼結体の細孔構造の深部に充填することは極めて困難である。
【0149】
これは、例えばモノマー濃度と酸化剤濃度を下げること、あるいは重合温度を下げることにより実現できるが、必要な処理繰り返し回数が多くなるまたはプロセスの制御が難しくなる等の理由で容易にコンデンサを得ることができないという課題がある。
【0150】
はじめにPDTIT溶液を用いて細孔構造の深部に導電性高分子層を形成しておくことにより、PPy層形成のための工程を簡略化しても容量達成率の高いコンデンサを得ることができた。
【0151】
PEDOT層の形成に水媒体を用いたが、それ以外の有機溶媒を用いることもでき、また酸化剤、添加剤として本実施の形態で用いた以外のものを用いることもできる。
【0152】
(実施の形態9)
本実施の形態では、第6の実施の形態の構成において、PPyに替えて、ポリアニリン(PA)からなる導電性高分子層を形成した以外は、第6の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0153】
PDTITは、第1の実施の形態に記載した通りの方法で、一回の浸漬処理で形成し、ついで、このようにPDTIT層が形成されたタンタル焼結体上に、アニリンモノマーと硫酸をそれぞれ0.5mol/lおよび1mol/l含むモノマー溶液に2分間浸漬後過硫酸アンモニウム3mol/l含む酸化剤溶液に100分間浸漬した。
【0154】
この処理を表面がPAで被覆されるまで繰り返し、PAが形成されたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で陰極を第1の実施の形態と同様に形成して、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0155】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0156】
化学重合により、その場でPA層を形成する場合、焼結体の細孔構造の深部に充填することは極めて困難である。
【0157】
これは、例えばモノマー濃度と酸化剤濃度を下げること、あるいは重合温度を下げることにより実現できるが、必要な処理繰り返し回数が多くなるまたはプロセスの制御が難しくなる等の理由で容易にコンデンサを得ることができないという課題がある。
【0158】
はじめにPDTIT溶液を用いて細孔構造の深部に導電性高分子層を形成しておくことにより、PA層形成のための工程を簡略化しても容量達成率の高いコンデンサを得ることができた。
【0159】
PEDOT層の形成に水媒体を用いたが、それ以外の有機溶媒を用いることもでき、また酸化剤、添加剤として本実施の形態で用いた以外のものを用いることもできる。
【0160】
(実施の形態10)
本実施の形態では、第6の実施の形態の構成において、化学重合PPyに替えて電解重合PPyからなる導電性高分子層を形成した以外は、第6の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0161】
PPyの電解重合は下記の方法で行った。
【0162】
まず、電極をポリイミドテープに接触させ、ピロールモノマー0.3Mとトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム0.1Mを含む水溶液に浸漬して、前記電極と離隔して設けた第二の電極間に3Vの直流電圧を印加して電解重合ポリピロールからなる固体導電層を形成させた。
【0163】
これらについて第1の実施の形態と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0164】
(表1)より理解されるように、本実施の形態においても、優れた特性を有するコンデンサを実現できることがわかる。
【0165】
なお、本実施の形態によれば、電解重合膜成長を媒介する導電層をPDTITで形成できるため、熱分解二酸化マンガン層形成に際して必要であった熱処理工程が不要になり、工程が簡略化できる利点も生じる。
【0166】
以上より、本実施の形態においても、低損失及び高周波インピーダンス特性に優れコンデンサを効率的に得ることができた。
【0167】
なお、PPyに替えてPEDOTおよびPAを電解重合して用いても同様の結果が得られた。
【0168】
(実施の形態11)
第4図は本実施の形態に係るコンデンサの概念図である。
本実施の形態では、第6の実施の形態の構成において、PDTITとPPyとPDTITからなる積層導電層を形成した以外は、第6の実施の形態と同様にして10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0169】
PDTITからなる第1の導電性高分子層33は、第1の実施の形態に記載した通りの方法で、1回の浸漬処理で形成し、ついで、第6の実施の形態記載と同様な方法でPPyからなる第2の導電性高分子層38を化学重合法により形成した。
【0170】
その後、さらに第1の実施の形態と同様にして、PDTITからなる第3の導電性高分子層39を表面に形成した。
【0171】
この形成に要した塗布回数は1回であった。
【0172】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0173】
従来は、化学重合により、その場でPPy層を形成する場合、表面特にエッジ部分のカバレージ性に難点があり、それを補うために導電性ポリマー層形成のために必要な浸漬処理回数が増加してしまうという課題があった。
【0174】
本実施の形態によれば、最外層の導電性高分子層をPDTIT溶液を塗布して形成することにより、電解質形成のための浸漬処理繰り返し回数を低減することができる。
【0175】
以上より、本実施の形態においても、高容量達成率、低損失及び高周波インピーダンス特性に優れコンデンサを効率的に得ることができた。
【0176】
本実施の形態では、第2の導電性高分子層に化学重合PPyを用いた場合についてのみ述べたが、化学重合PEDOTおよびPAを用いた場合でも同様の効果が得られた。
【0177】
(実施の形態12)
本実施の形態では、第10の実施の形態で述べた電解重合溶液にさらに0.075Mのpーニトロフェノール(pNPh)を添加した組成の電解重合溶液を用いた以外は、第10の実施の形態と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0178】
これら10個の素子について、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0179】
pNPhが共存する系で電解重合または化学重合によって得られたPPyは、電気伝導度および環境安定性が向上することを発明者らは見出した。
【0180】
そしてこれは、電子供与性置換基のニトロ基の作用で、規則性の高い骨格構造のPPyが形成されることによると考えられている。
【0181】
そして、(表1)から理解されるように、本実施形態のコンデンサは、第10の実施の形態におけるコンデンサと比較して、損失計数及びインピーダンスにおいてさらに優れていることが分かった。
【0182】
なお、このようにして得られたPPyの環境安定性が高いことから、このコンデンサは耐熱・耐湿性においても優れていることが容易に予想される。
【0183】
(実施の形態13)
本実施の形態においては、第12の実施の形態におけるp−ニトロフェノールに代えて、p−シアノフェノール(A)、m−ヒドロキシ安息香酸(B)、m−ヒドロキシフェノール(C)、アセトフェノール(D)、ニトロ安息香酸(E)、又はニトロベンジルアルコール(F)を添加した以外は、第12の実施の形態と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0184】
これらについて第1の実施の形態と同様の評価を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0185】
(表1)から理解されるように、本実施の形態におけるコンデンサも、第12の実施の形態と同様のコンデンサ特性を呈した。
【0186】
よって、本実施の形態においても、低損失及び高周波インピーダンス特性に優れたコンデンサ素子を効率的に得ることができたといえる。
【0187】
なお、実施の形態では、第2の導電性高分子層としてPPy、PEDOTおよびPAを用いた場合についてのみ述べたが、これらの誘導体を用いることもできる。
【0188】
なお、本実施の形態では陽極弁金属として、アルミニウムおよびタンタルを用いた場合についてのみ述べたが、ニオブなど他の弁金属を用いることもでき、本発明はその種類に限定されない。
【0189】
なお、本実施の形態では誘電体高分子として、ポリイミドおよびアクリル酸とメタクリル酸とスチレン共重合体を用いた場合についてのみ述べたが、その他の高分子誘電体を用いることもでき、本発明はその種類に限定されない。
【0190】
【発明の効果】
以上のように、コンデンサに係る本発明は、EDTTを繰り返し単位として含む導電性高分子単層またはこれとピロールまたはEDOTを繰り返し単位として含む導電性高分子からなる複合導電層、もしくは前記複合導電層にさらに加えてEDTTを繰り返し単位として含む導電性高分子を複合させてなる導電層を用いて、コンデンサの対向して設けられた少なくても一方の電極を構成したものである。
【0191】
PDTIT層は溶液塗布によって形成できるため、エッチングピットあるいは多孔質焼結体からなるコンデンサ電極深部にも容易に導電性高分子層を形成することが可能である。
【0192】
PDTITの電気伝導度が低い場合には、PPy、PEDOTまたはPAと複合化して陰極導電層として使用することにより、単独使用の場合と比較して、損失係数及び高周波特性の優れたコンデンサを実現することができる。
【0193】
さらに特に化学重合の場合問題になるが、その場重合で得られるPPy及びPEDOTは、エッジ部のカバーレッジ性が低いため、ポリマー層形成のための処理繰り返し回数を多くせざるを得ないが、前述の複合導電層に加えて最外層をPDTIT溶液を用いて形成することにより、工程を簡略化することができるいう特有の効果を奏するものである。
【0194】
そして、本発明のコンデンサの製造方法は、PDTIT層を溶液塗布によって形成することが望ましいが、その他化学重合または電解重合によって形成してもよい。
【0195】
また、PDTITと複合化するPPy及びPEDOTは化学重合または電解重合により形成することができる。
【0196】
さらにまた、PPy、PEDOTまたはPAの重合をフェノール誘導体あるいはニトロベンゼン誘導体を共存させた系で行うことにより、コンデンサ特性向上あるいはコンデンサの製造が容易にできるという効果を奏する。
【0197】
そして電解重合によって複合導電層を形成する場合、PDTIT層は電解重合膜成長の媒介導電層として機能する。
【0198】
この電解重合膜成長の媒介導電層として、従来使用されてきた熱分解二酸化マンガン形成の場合のように、加熱処理を必要としないため、誘電体皮膜の劣化が少なくかつまた工程の簡略化が実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施の形態に係るコンデンサの断面図
【図2】同第3の実施の形態に係るコンデンサの断面図
【図3】同第6の実施の形態に係るコンデンサの断面図
【図4】同第11の実施の形態に係るコンデンサの断面図
【符号の説明】
1、11、21、31 電極
2、12、22、22 誘電体層
3、13、23、33 導電性高分子層
4、14、24、34 カーボン層
5、15、25、35 銀ペイント層
6、16、26、37 陰極リード
17 ポリイミドテープ
28、38 第2の導電性高分子層
39 第3の導電性高分子層

Claims (9)

  1. 誘電体層と、前記誘電体層を介在させて対向して設けられた一対の電極と、前記誘電体層と一対の電極の間に1,3―ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子を有する第1の導電性高分子層と、前記第1の導電性高分子層の上にピロール、3,4エチレンジオキシチオフェン又はポリアニリンを繰り返し単位とする第2の導電性高分子を有する第2の導電性高分子層を具備するコンデンサ。
  2. 1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む第3の導電性高分子を有する第3の導電性高分子層を、第2の導電性高分子層の上に形成して具備する請求項2記載のコンデンサ。
  3. 1,3―ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子が(化1)に示す構造を有するものであり、溶媒可溶性である請求項1又は2記載のコンデンサ。
    Figure 0003551118
  4. 電極の少なくとも一方が弁金属を含み、誘電体層が前記弁金属の酸化物皮膜である請求項1ないし3のいずれか記載のコンデンサ。
  5. 弁金属が、アルミニウム、タンタルである請求項4記載のコンデンサ。
  6. 対向した一対の電極を配置する工程と、前記電極間に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む導電性高分子溶液を前記誘電体層の上に塗布又は化学重合することにより第1の導電性高分子層を形成する第1の導電性高分子層形成工程と、ピロール、3、4ーエチレンジオキシチオフェン又はアニリンを繰り返し単位として含む第2の導電性高分子層を化学重合又は電解重合により前記第1の導電性高分子層の上に形成する第2の導電性高分子層形成工程を有するコンデンサの製造方法。
  7. 1,3−ジチエニルイソチアナフテン誘導体を繰り返し単位として含む第3の導電性高分子層を第2の導電性高分子層の上に塗布により形成する第3の導電性高分子層形成工程を含む請求項6記載のコンデンサの製造方法。
  8. 誘電体層形成工程が、一対の電極の少なくとも一つを構成する弁金属の陽極酸化により誘電体を形成する請求項6又は7記載のコンデンサの製造方法。
  9. 弁金属がアルミニウムまたはタンタルである請求項8記載のコンデンサの製造方法。
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