JP3223790B2 - コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
コンデンサ及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周波数特性及び耐
圧特性等のコンデンサ特性に優れた小型大容量コンデン
サ及びその製造方法に関し、少なくとも一方の電極を多
価アニオンと一価アニオンからなる混合ドーパントがド
ープされた導電性高分子で構成するか、さらに加えて二
酸化マンガンとで構成するコンデンサ及びその製造方法
に関するものである。
圧特性等のコンデンサ特性に優れた小型大容量コンデン
サ及びその製造方法に関し、少なくとも一方の電極を多
価アニオンと一価アニオンからなる混合ドーパントがド
ープされた導電性高分子で構成するか、さらに加えて二
酸化マンガンとで構成するコンデンサ及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器のデジタル化に伴って、
コンデンサについても小型大容量で高周波領域でのイン
ピーダンスの低いものが要求されている。
コンデンサについても小型大容量で高周波領域でのイン
ピーダンスの低いものが要求されている。
【0003】従来、高周波領域で使用されるコンデンサ
には、プラスチックコンデンサ、マイカコンデンサ、積
層セラミックコンデンサがあるが、これらのコンデンサ
では形状が大きくなり大容量化が難しい。
には、プラスチックコンデンサ、マイカコンデンサ、積
層セラミックコンデンサがあるが、これらのコンデンサ
では形状が大きくなり大容量化が難しい。
【0004】一方、大容量のコンデンサとしては、アル
ミニウム乾式電解コンデンサ、またはアルミニウムもし
くはタンタル固体電解コンデンサ等の電解コンデンサが
存在する。
ミニウム乾式電解コンデンサ、またはアルミニウムもし
くはタンタル固体電解コンデンサ等の電解コンデンサが
存在する。
【0005】これらのコンデンサでは、誘電体となる酸
化皮膜が極めて薄いために、大容量化が実現できるので
あるが、一方酸化皮膜の損傷が起こり易いために、それ
を修復するための真の陰極を兼ねた電解質を設ける必要
がある。
化皮膜が極めて薄いために、大容量化が実現できるので
あるが、一方酸化皮膜の損傷が起こり易いために、それ
を修復するための真の陰極を兼ねた電解質を設ける必要
がある。
【0006】例えば、アルミニウム乾式コンデンサで
は、エッチングを施した陽極、陰極アルミニウム箔をセ
パレータを介して巻取り、液状の電解質をセパレータに
含浸して用いている。
は、エッチングを施した陽極、陰極アルミニウム箔をセ
パレータを介して巻取り、液状の電解質をセパレータに
含浸して用いている。
【0007】この液状電解質は、イオン伝導性で比抵抗
が大きいため、損失が大きくインピーダンスの周波数特
性、温度特性が著しく劣るという課題を有する。
が大きいため、損失が大きくインピーダンスの周波数特
性、温度特性が著しく劣るという課題を有する。
【0008】さらに加えて、液漏れ、蒸発等が避けられ
ず、時間経過と共に容量の減少及び損失の増加が起こる
といった課題を抱えていた。
ず、時間経過と共に容量の減少及び損失の増加が起こる
といった課題を抱えていた。
【0009】また、タンタル固体電解コンデンサでは、
マンガン酸化物を電解質として用いているため、温度特
性および容量、損失等の経時変化についての課題は改善
されるが、マンガン酸化物の比抵抗が比較的高いため損
失、インピーダンスの周波数特性が、積層セラミックコ
ンデンサ、あるいはフィルムコンデンサと比較して劣っ
ていた。
マンガン酸化物を電解質として用いているため、温度特
性および容量、損失等の経時変化についての課題は改善
されるが、マンガン酸化物の比抵抗が比較的高いため損
失、インピーダンスの周波数特性が、積層セラミックコ
ンデンサ、あるいはフィルムコンデンサと比較して劣っ
ていた。
【0010】さらに加えて、タンタル固体電解コンデン
サでは、マンガン酸化物からなる電解質の形成に当り、
硝酸マンガン溶液に浸漬後、300℃程度の温度で熱分
解するという工程を数回から十数回繰り返して行う必要
があり、形成工程が煩雑であった。
サでは、マンガン酸化物からなる電解質の形成に当り、
硝酸マンガン溶液に浸漬後、300℃程度の温度で熱分
解するという工程を数回から十数回繰り返して行う必要
があり、形成工程が煩雑であった。
【0011】そこで、近年、金属、導電性を有する金属
酸化物、ポリピロール等の導電性高分子を誘電体皮膜上
に形成後、それらの導電層を経由して、電解重合によ
り、ポリピロール等の導電性高分子を形成してなる固体
電解コンデンサが提案されてきている(特開昭63−1
58829号公報、特開昭63−173313号公報及
び特開平1−253226号公報等)。
酸化物、ポリピロール等の導電性高分子を誘電体皮膜上
に形成後、それらの導電層を経由して、電解重合によ
り、ポリピロール等の導電性高分子を形成してなる固体
電解コンデンサが提案されてきている(特開昭63−1
58829号公報、特開昭63−173313号公報及
び特開平1−253226号公報等)。
【0012】さらに、また、エッチドアルミ箔上に電着
ポリイミド薄膜からなる誘電体を形成した後、化学重合
及び電解重合により、順次導電性高分子層を形成して電
極とする大容量フィルムコンデンサが提案されている
(電気化学会第58回大会講演要旨集251〜252頁
(1991年))。
ポリイミド薄膜からなる誘電体を形成した後、化学重合
及び電解重合により、順次導電性高分子層を形成して電
極とする大容量フィルムコンデンサが提案されている
(電気化学会第58回大会講演要旨集251〜252頁
(1991年))。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マンガ
ン酸化物のような導電性の熱分解金属酸化物を経由して
電解重合高分子を形成する場合、熱による誘電体皮膜の
損傷がおこるため、高耐圧のコンデンサを得るためには
電解重合前に再度化成を行い、その修復を行うことが必
要で、工程が複雑になるという課題を有していた。
ン酸化物のような導電性の熱分解金属酸化物を経由して
電解重合高分子を形成する場合、熱による誘電体皮膜の
損傷がおこるため、高耐圧のコンデンサを得るためには
電解重合前に再度化成を行い、その修復を行うことが必
要で、工程が複雑になるという課題を有していた。
【0014】さらに、タンタル固体電解コンデンサで
は、マンガン酸化物からなる電解質を熱分解を繰り返し
て形成しており、生じた皮膜損傷を修復するためにその
都度化成が必要で、工程が複雑になるという課題を有し
ていた。
は、マンガン酸化物からなる電解質を熱分解を繰り返し
て形成しており、生じた皮膜損傷を修復するためにその
都度化成が必要で、工程が複雑になるという課題を有し
ていた。
【0015】さらに、また、上記のように、予め適当な
導電層を形成後、それを経由して電解重合導電性高分子
層を形成する方法では、工程が複雑になるという課題を
も有していた。
導電層を形成後、それを経由して電解重合導電性高分子
層を形成する方法では、工程が複雑になるという課題を
も有していた。
【0016】加えて、化学重合で導電性高分子層を形成
する場合、エッチドアルミニウム箔及びタンタル焼結体
の細孔の深部まで高充填率の導電性高分子層を形成する
ことは困難であった。
する場合、エッチドアルミニウム箔及びタンタル焼結体
の細孔の深部まで高充填率の導電性高分子層を形成する
ことは困難であった。
【0017】さらに、高導電性の電解質を使用した場合
に、耐圧特性の低下が懸念されていた。
に、耐圧特性の低下が懸念されていた。
【0018】本発明は、上記従来技術における課題を解
決するもので、高容量達成率でかつ耐熱耐湿性の高い固
体電解コンデンサを容易に得ること、及び小型大容量で
高容量達成率かつまた耐熱耐湿性の高いフィルムコンデ
ンサを簡便に得ることを目的とする。
決するもので、高容量達成率でかつ耐熱耐湿性の高い固
体電解コンデンサを容易に得ること、及び小型大容量で
高容量達成率かつまた耐熱耐湿性の高いフィルムコンデ
ンサを簡便に得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、対向して設け
られた一対の電極と、その電極間に設けられた誘電体層
と、その電極の少なくとも一方において、ピロールまた
はその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及
びアニオン系界面活性剤から解離した一価アニオンをド
ーパントとして含む導電性高分子層とを有するコンデン
サである。
られた一対の電極と、その電極間に設けられた誘電体層
と、その電極の少なくとも一方において、ピロールまた
はその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及
びアニオン系界面活性剤から解離した一価アニオンをド
ーパントとして含む導電性高分子層とを有するコンデン
サである。
【0020】そして、多価アニオンとアニオン系界面活
性剤から解離した一価アニオンをドーパントとして含む
ポリピロールからなる導電層は、化学重合を用いて形成
される製造方法が好適である。
性剤から解離した一価アニオンをドーパントとして含む
ポリピロールからなる導電層は、化学重合を用いて形成
される製造方法が好適である。
【0021】更に、化学重合は、水とアルコールを含む
媒体中で行なわれる製造方法が好適である。
媒体中で行なわれる製造方法が好適である。
【0022】以上の構成により、高容量達成率でかつ耐
熱耐湿性の高い固体電解コンデンサを容易に得ること、
及び小型大容量で高容量達成率かつまた耐熱耐湿性の高
いフィルムコンデンサを簡便に得ることができる。
熱耐湿性の高い固体電解コンデンサを容易に得ること、
及び小型大容量で高容量達成率かつまた耐熱耐湿性の高
いフィルムコンデンサを簡便に得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、対向し
て設けられた一対の電極と、前記電極間に設けられた誘
電体層と、前記電極の少なくとも一方において、ピロー
ルまたはその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニ
オン及びアニオン系界面活性剤から解離した一価アニオ
ンをドーパントとして含む導電性高分子層とを有するコ
ンデンサである。
て設けられた一対の電極と、前記電極間に設けられた誘
電体層と、前記電極の少なくとも一方において、ピロー
ルまたはその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニ
オン及びアニオン系界面活性剤から解離した一価アニオ
ンをドーパントとして含む導電性高分子層とを有するコ
ンデンサである。
【0024】このように誘電体が弁金属の酸化皮膜で構
成されるコンデンサでは、ポリピロールは真の陰極を兼
ねた電解質として機能し、一方それが高分子薄膜で構成
されるコンデンサでは、単純な電極として機能する。
成されるコンデンサでは、ポリピロールは真の陰極を兼
ねた電解質として機能し、一方それが高分子薄膜で構成
されるコンデンサでは、単純な電極として機能する。
【0025】さらに、導電性高分子層に多価アニオン及
び一価アニオンをドーパントとして含むのは、例えば界
面活性剤としてアニオン系のものを使用した場合、それ
から解離した一価アニオンが、例えば酸化剤として使用
された遷移金属多価酸塩の多価アニオンと競争的に、重
合されたポリピロール中に取り込まれたためである。
び一価アニオンをドーパントとして含むのは、例えば界
面活性剤としてアニオン系のものを使用した場合、それ
から解離した一価アニオンが、例えば酸化剤として使用
された遷移金属多価酸塩の多価アニオンと競争的に、重
合されたポリピロール中に取り込まれたためである。
【0026】また、多価アニオンは、酸化剤として作用
する遷移金属の多価酸塩から供給され、例えば、遷移金
属として鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウ
ム(IV)、ルテニウム(III)及びマンガン(VII)等を
用いることができる。
する遷移金属の多価酸塩から供給され、例えば、遷移金
属として鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウ
ム(IV)、ルテニウム(III)及びマンガン(VII)等を
用いることができる。
【0027】そして、多価酸としては、硫酸、燐酸、過
マンガン酸、クロム酸、重クロム酸等を用いることがで
きる。
マンガン酸、クロム酸、重クロム酸等を用いることがで
きる。
【0028】ここで、請求項2記載のように、 多価ア
ニオンが硫酸基であることが好適である。
ニオンが硫酸基であることが好適である。
【0029】また、請求項3記載のように、一価アニオ
ンがスルフォン酸基であることが好適であり、更には、
芳香族スルフォン酸基であることが好適である。
ンがスルフォン酸基であることが好適であり、更には、
芳香族スルフォン酸基であることが好適である。
【0030】
【0031】また、請求項4記載のように、誘電体層
が、電極の一方を構成する弁金属の酸化物であってもよ
い。
が、電極の一方を構成する弁金属の酸化物であってもよ
い。
【0032】この場合、請求項5記載のように、弁金属
が、アルミニウムまたはタンタルであることが好適であ
る。
が、アルミニウムまたはタンタルであることが好適であ
る。
【0033】また、請求項6記載のように、誘電体層
が、高分子膜であってもよく、この場合、請求項7記載
のように、高分子膜がポリイミド膜であることが好適で
ある。
が、高分子膜であってもよく、この場合、請求項7記載
のように、高分子膜がポリイミド膜であることが好適で
ある。
【0034】また、請求項8記載のように、さらに、誘
電体と導電性高分子層の間に二酸化マンガン層を設けた
構成であってもよい。
電体と導電性高分子層の間に二酸化マンガン層を設けた
構成であってもよい。
【0035】そして、以上の構成により、高容量達成率
でかつ耐熱耐湿性の高いコンデンサが得られる。
でかつ耐熱耐湿性の高いコンデンサが得られる。
【0036】一方、具体的なコンデンサの製造方法とし
ては、請求項9記載のように、対向した一対の電極を配
置する工程と、前記電極間に誘電体層を形成する誘電体
層形成工程と、前記電極の少なくとも一方において、ピ
ロールまたはその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価
アニオン及びアニオン系界面活性剤である一価アニオン
をドーパントとして含む導電性高分子層とを有するコン
デンサの導電性高分子層を、化学重合により形成する化
学重合工程を有するコンデンサの製造方法である。
ては、請求項9記載のように、対向した一対の電極を配
置する工程と、前記電極間に誘電体層を形成する誘電体
層形成工程と、前記電極の少なくとも一方において、ピ
ロールまたはその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価
アニオン及びアニオン系界面活性剤である一価アニオン
をドーパントとして含む導電性高分子層とを有するコン
デンサの導電性高分子層を、化学重合により形成する化
学重合工程を有するコンデンサの製造方法である。
【0037】このように、ポリピロールは、室温の溶液
中で化学重合によって形成するため、熱による誘電体層
の損傷を防止する。
中で化学重合によって形成するため、熱による誘電体層
の損傷を防止する。
【0038】そして、誘電体層が、弁金属の酸化皮膜で
構成される場合に対しては、従来の熱分解によるマンガ
ン酸化物層形成に際して、繰り返して行う熱分解の処理
毎に必要とされていた修復化成処理を省略しても、低漏
れ電流の固体電解コンデンサが容易に得られる。
構成される場合に対しては、従来の熱分解によるマンガ
ン酸化物層形成に際して、繰り返して行う熱分解の処理
毎に必要とされていた修復化成処理を省略しても、低漏
れ電流の固体電解コンデンサが容易に得られる。
【0039】また、基本的には同様であるが他の具体的
なコンデンサの製造方法としては、請求項10記載のよ
うに、対向した一対の電極を配置する工程と、前記電極
間に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、前記電極
の少なくとも一方において、ピロールまたはその誘導体
を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及びアニオン系
界面活性剤である一価アニオンをドーパントとして含む
導電性高分子層とを有するコンデンサの導電性高分子層
を、水とアルコールを含む媒体中で化学重合により形成
する化学重合工程を有するコンデンサの製造方法であ
る。
なコンデンサの製造方法としては、請求項10記載のよ
うに、対向した一対の電極を配置する工程と、前記電極
間に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、前記電極
の少なくとも一方において、ピロールまたはその誘導体
を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及びアニオン系
界面活性剤である一価アニオンをドーパントとして含む
導電性高分子層とを有するコンデンサの導電性高分子層
を、水とアルコールを含む媒体中で化学重合により形成
する化学重合工程を有するコンデンサの製造方法であ
る。
【0040】このように、重合媒体にアルコールが含有
されていると、酸化剤として作用する遷移金属多価酸塩
の遷移金属カチオンとアニオン系界面活性剤のアニオン
から成る水不溶性の塩が生成した場合であっても、これ
を溶解させることが可能となり、沈殿を生じさせること
もなく重合溶液相を均一に保つことになる。
されていると、酸化剤として作用する遷移金属多価酸塩
の遷移金属カチオンとアニオン系界面活性剤のアニオン
から成る水不溶性の塩が生成した場合であっても、これ
を溶解させることが可能となり、沈殿を生じさせること
もなく重合溶液相を均一に保つことになる。
【0041】これにより、不溶解成分が誘電体皮膜を有
する電極表面のエッチングあるいは焼結体細孔を閉塞す
ることによる導電性高分子の被覆率の低下を防止する。
する電極表面のエッチングあるいは焼結体細孔を閉塞す
ることによる導電性高分子の被覆率の低下を防止する。
【0042】また、アルコールの添加量に依存してポリ
ピロールの重合反応速度を小さくコントロールすること
もできる。
ピロールの重合反応速度を小さくコントロールすること
もできる。
【0043】よって、導電性高分子層が電極表面層近傍
で主体的に確実に形成され、エッチングピットあるいは
焼結体細孔の深部において形成されにくいという、水系
媒体中で問題であった被覆の不均一性を改善することが
できる。
で主体的に確実に形成され、エッチングピットあるいは
焼結体細孔の深部において形成されにくいという、水系
媒体中で問題であった被覆の不均一性を改善することが
できる。
【0044】なお、水系媒体を用いた場合、この導電性
高分子の不均一性を防止するためには、モノマー及び酸
化剤濃度を下げて、導電性高分子層形成のための繰り返
し回数を多くすることが必要であったが、水とアルコー
ルの混合溶媒を用いることにより、濃度を高くしてもポ
リピロール生成の電極の部位による不均一性が回避でき
るため、少ない重合繰り返し回数で高容量達成率のコン
デンサを実現する。
高分子の不均一性を防止するためには、モノマー及び酸
化剤濃度を下げて、導電性高分子層形成のための繰り返
し回数を多くすることが必要であったが、水とアルコー
ルの混合溶媒を用いることにより、濃度を高くしてもポ
リピロール生成の電極の部位による不均一性が回避でき
るため、少ない重合繰り返し回数で高容量達成率のコン
デンサを実現する。
【0045】ここで、請求項11記載のように、アルコ
ールがメタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン
から選ばれる一種またはこれらの混合物であることが好
適である。
ールがメタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン
から選ばれる一種またはこれらの混合物であることが好
適である。
【0046】また、請求項12記載のように、化学重合
工程が、ピロールまたはその誘導体と硫酸第二鉄とアニ
オン系界面活性剤とを含む溶液を用いて導電性高分子層
を形成することが好適である。
工程が、ピロールまたはその誘導体と硫酸第二鉄とアニ
オン系界面活性剤とを含む溶液を用いて導電性高分子層
を形成することが好適である。
【0047】このように界面活性剤を重合溶液に含ませ
ることにより、エッチングまたは焼結により拡大された
表面の微細な細孔深部にまでポリピロール層を形成でき
るため、被覆率を高くすることができ、高容量のコンデ
ンサが実現される。
ることにより、エッチングまたは焼結により拡大された
表面の微細な細孔深部にまでポリピロール層を形成でき
るため、被覆率を高くすることができ、高容量のコンデ
ンサが実現される。
【0048】さらに、界面活性剤としてアニオン系のも
のを使用しているため、それから解離した一価アニオン
が、重合されたポリピロール中に酸化剤として使用され
た遷移金属多価酸塩の多価アニオンと競争的に取り込ま
れる。
のを使用しているため、それから解離した一価アニオン
が、重合されたポリピロール中に酸化剤として使用され
た遷移金属多価酸塩の多価アニオンと競争的に取り込ま
れる。
【0049】そして、アニオン系界面活性剤のアニオン
には、疎水性基が含まれておりイオンサイズが大きい
が、この大きなイオンサイズのドーパントのため、高温
あるいは高湿時の拡散による脱ドープが抑制され、その
結果、導電性の劣化の小さいポリピロールが形成される
ことになり、耐熱・耐湿性の優れたコンデンサが得られ
る。
には、疎水性基が含まれておりイオンサイズが大きい
が、この大きなイオンサイズのドーパントのため、高温
あるいは高湿時の拡散による脱ドープが抑制され、その
結果、導電性の劣化の小さいポリピロールが形成される
ことになり、耐熱・耐湿性の優れたコンデンサが得られ
る。
【0050】また、界面活性剤のアニオンは一価である
ため、酸化剤から生じる多価のアニオンより、ポリピロ
ールにドーパントとして取り込まれやすい。
ため、酸化剤から生じる多価のアニオンより、ポリピロ
ールにドーパントとして取り込まれやすい。
【0051】そのため、全ドーパントに対する一価アニ
オンの比率は、酸化剤濃度よりも界面活性剤濃度に強く
依存し、この濃度を変化させることにより、その比率を
調節することができる。
オンの比率は、酸化剤濃度よりも界面活性剤濃度に強く
依存し、この濃度を変化させることにより、その比率を
調節することができる。
【0052】なお、ポリピロールの電気伝導度及びその
安定性は、界面活性剤に基づく分子サイズの大きな一価
アニオンのドープ比率が高くなればなるほど向上する傾
向が見らる。
安定性は、界面活性剤に基づく分子サイズの大きな一価
アニオンのドープ比率が高くなればなるほど向上する傾
向が見らる。
【0053】したがって、遷移金属多価酸塩を用いて重
合したポリピロールを用いた場合や二酸化マンガンを用
いた場合に比較して、高周波特性及び損失特性の大幅に
改善されたコンデンサが容易に得られる。
合したポリピロールを用いた場合や二酸化マンガンを用
いた場合に比較して、高周波特性及び損失特性の大幅に
改善されたコンデンサが容易に得られる。
【0054】そして、請求項13に記載のように、スル
フォン酸基を有するアニオンを含むアニオン系界面活性
剤を用いることが好適であり、更には、芳香族スルフォ
ン酸基であることが好適である。
フォン酸基を有するアニオンを含むアニオン系界面活性
剤を用いることが好適であり、更には、芳香族スルフォ
ン酸基であることが好適である。
【0055】また、請求項14記載のように、誘電体形
成工程が、弁金属の陽極酸化により誘電体を形成するも
のであってもよい。
成工程が、弁金属の陽極酸化により誘電体を形成するも
のであってもよい。
【0056】この場合、請求項15記載のように、電極
の一方を構成する弁金属がアルミニウムまたはタンタル
であってもよい。
の一方を構成する弁金属がアルミニウムまたはタンタル
であってもよい。
【0057】または、請求項16記載のように、誘電体
形成工程が、高分子薄膜を用いて誘電体を形成するもの
でもよい。
形成工程が、高分子薄膜を用いて誘電体を形成するもの
でもよい。
【0058】この場合は、請求項17記載のように、高
分子がポリイミドであることが好適である。
分子がポリイミドであることが好適である。
【0059】そして、請求項18記載のように、化学重
合工程で、さらにフェノ−ルまたはその誘導体を含む溶
液を用いて化学重合をしてもよい。
合工程で、さらにフェノ−ルまたはその誘導体を含む溶
液を用いて化学重合をしてもよい。
【0060】このように、フェノールまたはその誘導体
の添加により、得られたポリピロールの電気伝導度及び
その安定性が、より向上する。
の添加により、得られたポリピロールの電気伝導度及び
その安定性が、より向上する。
【0061】これは、フェノール系化合物は、ポリピロ
ール中にはドーパントとして組み込まれないが、規則性
の高い、したがって共役長の発達したポリピロールを生
成させるためと考えられるが、その結果、フェノール系
の誘導体を添加した重合系から得られたポリピロールを
用いたコンデンサの初期特性及び安定性はさらに向上す
る。
ール中にはドーパントとして組み込まれないが、規則性
の高い、したがって共役長の発達したポリピロールを生
成させるためと考えられるが、その結果、フェノール系
の誘導体を添加した重合系から得られたポリピロールを
用いたコンデンサの初期特性及び安定性はさらに向上す
る。
【0062】ここで、請求項19に記載のように、フェ
ノ−ル誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、
ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノール若しくはア
セトフェノ−ル、またはそれらの組合せであることが好
適である。
ノ−ル誘導体がニトロフェノール、シアノフェノール、
ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェノール若しくはア
セトフェノ−ル、またはそれらの組合せであることが好
適である。
【0063】そして、請求項20に記載のように、さら
に、誘電体と導電性高分子層との間に二酸化マンガン層
を熱分解により形成する二酸化マンガン層形成工程を有
するものであってもよい。
に、誘電体と導電性高分子層との間に二酸化マンガン層
を熱分解により形成する二酸化マンガン層形成工程を有
するものであってもよい。
【0064】このように、誘電体とポリピロールまたは
その誘導体からから合成される導電性高分子の界面に、
薄い二酸化マンガンを介在させることにより、それが有
する比較的低い電気伝導度のために、印加電圧とともに
増加する漏れ電流の増加率を低減する。
その誘導体からから合成される導電性高分子の界面に、
薄い二酸化マンガンを介在させることにより、それが有
する比較的低い電気伝導度のために、印加電圧とともに
増加する漏れ電流の増加率を低減する。
【0065】そして、請求項21に記載のように、二酸
化マンガン層形成工程が、過マンガン酸塩の還元により
二酸化マンガン層を形成してもよい。
化マンガン層形成工程が、過マンガン酸塩の還元により
二酸化マンガン層を形成してもよい。
【0066】以下、本発明の各実施の形態について、図
面を参照しながら詳細に説明をする。
面を参照しながら詳細に説明をする。
【0067】(実施の形態1)本実施の形態において
は、まず、2×1.4×0.9mmのタンタル焼結体
を、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用
い、約90℃で40V印加して陽極酸化により酸化皮膜
誘電体層を形成した。
は、まず、2×1.4×0.9mmのタンタル焼結体
を、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用
い、約90℃で40V印加して陽極酸化により酸化皮膜
誘電体層を形成した。
【0068】この構成をコンデンサと見立て、化成液中
の容量を測定したところ、17μFであった。
の容量を測定したところ、17μFであった。
【0069】さらに、この構成を用いて、ピロールモノ
マー0.75mol/lと界面活性剤アルキルナフタレ
ンスルフォン酸ナトリウム(平均分子量338)を0.
75重量%からなるモノマー水溶液に浸漬後、硫酸第二
鉄0.75mol/lと前記界面活性剤を0.75重量
%過含む酸化剤溶液に浸漬した。
マー0.75mol/lと界面活性剤アルキルナフタレ
ンスルフォン酸ナトリウム(平均分子量338)を0.
75重量%からなるモノマー水溶液に浸漬後、硫酸第二
鉄0.75mol/lと前記界面活性剤を0.75重量
%過含む酸化剤溶液に浸漬した。
【0070】この処理を繰り返し、2価の硫酸イオンと
1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがドー
プされたポリピロールからなる導電層を形成した。
1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがドー
プされたポリピロールからなる導電層を形成した。
【0071】ここで、図1は、アルキルナフタレンスル
フォン酸ナトリウムの添加量を変化させた場合に得られ
るポリピロールの収量と電気伝導度の変化を示す。
フォン酸ナトリウムの添加量を変化させた場合に得られ
るポリピロールの収量と電気伝導度の変化を示す。
【0072】図1に示すように、界面活性剤を全く添加
しないものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロ
ールの収量及び電気伝導度が増加することから、1価の
アルキルナフタレンスルフォン酸イオンがドープされて
いることがわかる。
しないものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロ
ールの収量及び電気伝導度が増加することから、1価の
アルキルナフタレンスルフォン酸イオンがドープされて
いることがわかる。
【0073】なお、元素分析からも、この重合生成物中
に実質的に鉄が含まれていないこと、さらに硫黄/窒素
比率が重量増加とともに増加することが確認された。
に実質的に鉄が含まれていないこと、さらに硫黄/窒素
比率が重量増加とともに増加することが確認された。
【0074】また、界面活性剤中の1価のスルフォン酸
イオンが2価の硫酸イオンと競合して、ドーパントとし
て取り込まれており、それぞれのドープ比率は、全体の
ドープ率は重合条件によって変化しないという前提下で
元素分析から求められた硫黄/窒素比率から算出するこ
とが可能であるが、コンデンサ試作に用いられた組成で
重合した場合のドーパントの硫酸イオン対アルキルナフ
タレンスルフォン酸イオンのモル比は1:4.2であっ
た。
イオンが2価の硫酸イオンと競合して、ドーパントとし
て取り込まれており、それぞれのドープ比率は、全体の
ドープ率は重合条件によって変化しないという前提下で
元素分析から求められた硫黄/窒素比率から算出するこ
とが可能であるが、コンデンサ試作に用いられた組成で
重合した場合のドーパントの硫酸イオン対アルキルナフ
タレンスルフォン酸イオンのモル比は1:4.2であっ
た。
【0075】そしてこのようにポリピロールが形成され
たタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で陰
極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付け、
合計で10個のコンデンサ素子を得た。
たタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で陰
極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付け、
合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0076】さらに、その素子をエポキシ樹脂を用いて
外装して、さらに125℃で13Vを印加したエージン
グ処理を行い、コンデンサを完成させた。
外装して、さらに125℃で13Vを印加したエージン
グ処理を行い、コンデンサを完成させた。
【0077】これら10個の素子について、1kHzに
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印
加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数
を測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印
加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数
を測定し、それらの平均値を以下の(表1)に示した。
【0078】
【表1】 (比較例1)次に、比較のため、比較例1としてアルキ
ルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを添加しなかった
以外、実施の形態1と同様の条件で10個のコンデンサ
を完成させた。
ルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを添加しなかった
以外、実施の形態1と同様の条件で10個のコンデンサ
を完成させた。
【0079】これら10個の素子について、1kHzに
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0080】(実施の形態2)本実施の形態では、実施
の形態1において、アルキルナフタレンスルフォン酸ナ
トリウムに代えてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリ
ウムを用いた以外は、実施の形態1と同様にして構成さ
れた10個のコンデンサ素子を完成させ、1kHzにお
ける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピ
ーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印加
して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数を
測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示した。
の形態1において、アルキルナフタレンスルフォン酸ナ
トリウムに代えてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリ
ウムを用いた以外は、実施の形態1と同様にして構成さ
れた10個のコンデンサ素子を完成させ、1kHzにお
ける容量、損失係数、及び400kHzにおけるインピ
ーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印加
して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数を
測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示した。
【0081】(表1)より理解されるように、本実施の
形態においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液中に
添加することにより、焼結体中への浸透性が向上し、さ
らにその1価のアニオン、ドデシルベンゼンスルフォン
酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされた
ポリピロールからなる導電層が形成される。
形態においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液中に
添加することにより、焼結体中への浸透性が向上し、さ
らにその1価のアニオン、ドデシルベンゼンスルフォン
酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされた
ポリピロールからなる導電層が形成される。
【0082】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0083】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0084】(実施の形態3)本実施の形態では、実施
の形態1のタンタル焼結体に代えて下記のエッチドアル
ミニウム箔電極を用いた以外、実施の形態1と同様の条
件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性評価を
行い、その結果を前述の(表1)に示した。
の形態1のタンタル焼結体に代えて下記のエッチドアル
ミニウム箔電極を用いた以外、実施の形態1と同様の条
件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性評価を
行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0085】具体的なアルミニウム電極箔の作製法は次
の通りである。まず4×10mm2のアルミニウムエッ
チド箔を、3mmと6mmの部分に仕切るように、両面
に渡って、幅1mmのポリイミドテープ7を貼付ける。
の通りである。まず4×10mm2のアルミニウムエッ
チド箔を、3mmと6mmの部分に仕切るように、両面
に渡って、幅1mmのポリイミドテープ7を貼付ける。
【0086】次に、アルミニウムエッチド箔1の4×3
mmの部分の陽極リードを取り付け、アルミニウムエッ
チド箔の4×6mmの部分を、3%アジピン酸アンモニ
ウム水溶液を用い、約70℃で50V印加して陽極酸化
により酸化皮膜誘電体層を形成した。
mmの部分の陽極リードを取り付け、アルミニウムエッ
チド箔の4×6mmの部分を、3%アジピン酸アンモニ
ウム水溶液を用い、約70℃で50V印加して陽極酸化
により酸化皮膜誘電体層を形成した。
【0087】この構成をコンデンサと見立て、化成液中
の容量を測定したところ、4.7μFであった。
の容量を測定したところ、4.7μFであった。
【0088】(表1)から明らかなように本実施の形態
においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液中に添加
することにより、焼結体中への浸透性が向上し、さらに
その1価のアニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされたポリ
ピロールからなる導電層が形成される。
においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液中に添加
することにより、焼結体中への浸透性が向上し、さらに
その1価のアニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされたポリ
ピロールからなる導電層が形成される。
【0089】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0090】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0091】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態3の構成において、20mmx20mmのアルミ
ニウム平滑箔に、酸化皮膜誘電体を形成するのではな
く、スピンコートにより、厚さ0.5μmのポリイミド
薄膜からなるポリイミド誘電体層を形成した電極を用い
た以外、実施の形態3と実質的に同様の条件で、計10
個のコンデンサを作製した。
の形態3の構成において、20mmx20mmのアルミ
ニウム平滑箔に、酸化皮膜誘電体を形成するのではな
く、スピンコートにより、厚さ0.5μmのポリイミド
薄膜からなるポリイミド誘電体層を形成した電極を用い
た以外、実施の形態3と実質的に同様の条件で、計10
個のコンデンサを作製した。
【0092】これらについて実施の形態3と同様の評価
を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
を行い、その結果を前述の(表1)に示した。
【0093】この(表1)から理解されるように、本実
施の形態においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液
中に添加することにより、その1価のアニオン、アルキ
ルナフタレンスルフォン酸イオンが2価の硫酸イオンを
一部置換した形でドープされたポリピロールからなる導
電層を形成する。
施の形態においても、アニオン系界面活性剤を重合溶液
中に添加することにより、その1価のアニオン、アルキ
ルナフタレンスルフォン酸イオンが2価の硫酸イオンを
一部置換した形でドープされたポリピロールからなる導
電層を形成する。
【0094】そして、このポリピロールの電気伝導度が
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きい。
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きい。
【0095】これらにより、低損失及び高周波インピー
ダンス特性の優れたコンデンサ素子を得ることができ
る。
ダンス特性の優れたコンデンサ素子を得ることができ
る。
【0096】(実施の形態5)本実施の形態では、実施
の形態1の構成において、モノマー溶液にさらに0.1
mol/lのp−ニトロフェノールを添加した以外は、
実施の形態1と同様にして10個のコンデンサ素子を完
成させた。
の形態1の構成において、モノマー溶液にさらに0.1
mol/lのp−ニトロフェノールを添加した以外は、
実施の形態1と同様にして10個のコンデンサ素子を完
成させた。
【0097】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表1)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表1)に示した。
【0098】ここで、図2は実施の形態1の組成に、さ
らにp−ニトロフェノールを添加した時の、アルキルナ
フタレンスルフォン酸ナトリウム添加量に対する電気伝
導度と収量の関係を示す。
らにp−ニトロフェノールを添加した時の、アルキルナ
フタレンスルフォン酸ナトリウム添加量に対する電気伝
導度と収量の関係を示す。
【0099】この時の電気伝導度は、p−ニトロフェノ
ール無添加の場合に比較して明らかに大きい。
ール無添加の場合に比較して明らかに大きい。
【0100】なお、元素分析からp−ニトロフェノール
添加による得られたポリピロールの組成の変化は見られ
ず、ドーパントとして取り込まれていないことが分かっ
た。
添加による得られたポリピロールの組成の変化は見られ
ず、ドーパントとして取り込まれていないことが分かっ
た。
【0101】(表1)から理解されるように、本実施例
によるコンデンサは、アニオン系界面活性剤とp−ニト
ロフェノールを重合溶液中に添加することにより、焼結
体中への浸透性が向上し、さらにその1価のアニオンが
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ、電気
伝導度の一層向上したポリピロールからなる導電層が形
成される。
によるコンデンサは、アニオン系界面活性剤とp−ニト
ロフェノールを重合溶液中に添加することにより、焼結
体中への浸透性が向上し、さらにその1価のアニオンが
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ、電気
伝導度の一層向上したポリピロールからなる導電層が形
成される。
【0102】そして、このポリピロールの電気伝導度が
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きく、さらに
熱安定性も高い。
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きく、さらに
熱安定性も高い。
【0103】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
【0104】(実施の形態6)本実施の形態において
は、実施の形態5のp−ニトロフェノールに代えて、p
−シアノフェノール(A)、m−ヒドロキシ安息香酸
(B)、m−ヒドロキシフェノール(C)、アセトフェ
ノール(D)を添加した以外は、実施の形態5と同様に
して10個のコンデンサを完成させた。
は、実施の形態5のp−ニトロフェノールに代えて、p
−シアノフェノール(A)、m−ヒドロキシ安息香酸
(B)、m−ヒドロキシフェノール(C)、アセトフェ
ノール(D)を添加した以外は、実施の形態5と同様に
して10個のコンデンサを完成させた。
【0105】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表1)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表1)に示した。
【0106】(表1)から理解されるように、本実施の
形態によるコンデンサは、アニオン系界面活性剤とフェ
ノール誘導体を重合溶液中に添加することにより、焼結
体中への浸透性が向上し、さらにその1価のアニオンが
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ、電気
伝導度の一層向上したポリピロールからなる導電層が形
成される。
形態によるコンデンサは、アニオン系界面活性剤とフェ
ノール誘導体を重合溶液中に添加することにより、焼結
体中への浸透性が向上し、さらにその1価のアニオンが
2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ、電気
伝導度の一層向上したポリピロールからなる導電層が形
成される。
【0107】そして、このポリピロールの電気伝導度が
硫酸イオン等のみがドープされた場合より大きく、さら
に熱安定性も高い。
硫酸イオン等のみがドープされた場合より大きく、さら
に熱安定性も高い。
【0108】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
【0109】(実施の形態7)本実施の形態において
は、実施の形態1において、硫酸第二鉄に代えて同濃度
の硫酸第二銅を用いた以外は、実施の形態1と同様にし
て構成された10個のコンデンサ素子を完成させ、1k
Hzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけ
るインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10
Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損
失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示
した。
は、実施の形態1において、硫酸第二鉄に代えて同濃度
の硫酸第二銅を用いた以外は、実施の形態1と同様にし
て構成された10個のコンデンサ素子を完成させ、1k
Hzにおける容量、損失係数、及び400kHzにおけ
るインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10
Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損
失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示
した。
【0110】以上のように、本実施の形態においても、
アニオン系界面活性剤を重合溶液中に添加することによ
り、焼結体中への浸透性が向上し、さらにその1価のア
ニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が2価の硫酸イ
オンを一部置換した形でドープされたポリピロールから
なる導電層が形成される。
アニオン系界面活性剤を重合溶液中に添加することによ
り、焼結体中への浸透性が向上し、さらにその1価のア
ニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が2価の硫酸イ
オンを一部置換した形でドープされたポリピロールから
なる導電層が形成される。
【0111】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0112】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0113】(実施の形態8)本実施の形態において
は、実施の形態1において、陽極酸化後にタンタル焼結
体電極を30%の硝酸マンガン水溶液に浸し、250℃
で熱分解して二酸化マンガン層形成した以外、実施の形
態1と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
は、実施の形態1において、陽極酸化後にタンタル焼結
体電極を30%の硝酸マンガン水溶液に浸し、250℃
で熱分解して二酸化マンガン層形成した以外、実施の形
態1と同様にして10個のコンデンサを完成させた。
【0114】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それ
らの平均値を前述の(表1)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それ
らの平均値を前述の(表1)に示した。
【0115】また、定格電圧の10Vを印加した場合の
漏れ電流は2.8nAであった。一方実施の形態1で得
られた同条件におけるコンデンサの漏れ電流は3.1n
Aであり、両者ほぼ同等の極めて低い漏れ電流特性を示
した。
漏れ電流は2.8nAであった。一方実施の形態1で得
られた同条件におけるコンデンサの漏れ電流は3.1n
Aであり、両者ほぼ同等の極めて低い漏れ電流特性を示
した。
【0116】さらに両者の印加電圧を1Vから16Vま
で変化させて漏れ電流をそれぞれ測定したところ、いず
れも漏れ電流の対数値は印加電圧の2分の1乗に比例す
ることが示された。
で変化させて漏れ電流をそれぞれ測定したところ、いず
れも漏れ電流の対数値は印加電圧の2分の1乗に比例す
ることが示された。
【0117】ただし、前者の方が、その勾配につき、
0.93と後者の1.13より小さくなる傾向が示され
た。
0.93と後者の1.13より小さくなる傾向が示され
た。
【0118】これは、電気伝導度の比較的低い二酸化マ
ンガン層を介在させたための効果で、高電圧された時の
ショート抑制が期待できる。
ンガン層を介在させたための効果で、高電圧された時の
ショート抑制が期待できる。
【0119】一方(表1)から明らかなように、二酸化
マンガン層を介在させることによる損失係数の増加は極
めて軽微である。
マンガン層を介在させることによる損失係数の増加は極
めて軽微である。
【0120】これは形成された二酸化マンガン層の厚さ
が極めて薄いたことによると考えられる。
が極めて薄いたことによると考えられる。
【0121】(実施の形態9)本実施の形態では、実施
の形態3において電極箔の陽極酸化皮膜形成後、過マン
ガン酸ナトリウム12%水溶液を用いて、ピロールモノ
マーとアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを含
む溶液中で還元二酸化マンガンを形成した以外、実施の
形態3と同様にしてコンデンサを作製した。
の形態3において電極箔の陽極酸化皮膜形成後、過マン
ガン酸ナトリウム12%水溶液を用いて、ピロールモノ
マーとアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを含
む溶液中で還元二酸化マンガンを形成した以外、実施の
形態3と同様にしてコンデンサを作製した。
【0122】この場合も、実施の形態8と同様に、漏れ
電流の印加電圧に対する増加率が、ポリピロール層単独
の場合より低減する傾向が認められた。
電流の印加電圧に対する増加率が、ポリピロール層単独
の場合より低減する傾向が認められた。
【0123】(実施の形態10)本実施の形態において
は、まず、2×1.4×0.9mmのタンタル焼結体
を、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用
い、約90℃で40V印加して陽極酸化により酸化皮膜
誘電体層を形成した。
は、まず、2×1.4×0.9mmのタンタル焼結体
を、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用
い、約90℃で40V印加して陽極酸化により酸化皮膜
誘電体層を形成した。
【0124】この構成をコンデンサと見立て、化成液中
の容量を測定したところ、17μFであった。
の容量を測定したところ、17μFであった。
【0125】さらに、この構成を用いて、ピロールモノ
マー5gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォン酸
ナトリウム(平均分子量338)を1.6gと水90g
とエタノール10gからなるモノマー溶液に浸漬後、硫
酸第二鉄水和物(水分量74%)7.9gと前記界面活
性剤1.6gと水90gとエタノール10gからなる酸
化剤溶液に浸漬した。
マー5gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォン酸
ナトリウム(平均分子量338)を1.6gと水90g
とエタノール10gからなるモノマー溶液に浸漬後、硫
酸第二鉄水和物(水分量74%)7.9gと前記界面活
性剤1.6gと水90gとエタノール10gからなる酸
化剤溶液に浸漬した。
【0126】この処理を繰り返し、2価の硫酸イオンと
1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがドー
プされたポリピロールからなる導電層を形成した。
1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがドー
プされたポリピロールからなる導電層を形成した。
【0127】導電層形成に要した繰り返し回数は15回
であった。ここで、図3は、本実施の形態の水とエタノ
ールから成る溶媒全体に対するエタノールの添加濃度を
変化させた場合に、25℃で15分間重合して得られる
ポリピロールの収量と電気伝導度の変化を示す。
であった。ここで、図3は、本実施の形態の水とエタノ
ールから成る溶媒全体に対するエタノールの添加濃度を
変化させた場合に、25℃で15分間重合して得られる
ポリピロールの収量と電気伝導度の変化を示す。
【0128】図3に示すように、エタノールの添加濃度
界に依存してポリピロールの収率が減少していることが
明らかである。その一方で電気伝導度の変化がほとんど
ないことも示される。
界に依存してポリピロールの収率が減少していることが
明らかである。その一方で電気伝導度の変化がほとんど
ないことも示される。
【0129】図4は、エタノール含有濃度10%の水と
エタノールから成る25℃の媒体中で、アルキルナフタ
レンスルフォン酸ナトリウムの添加量を変化させ、1時
間重合した場合に得られるポリピロールの収量と電気伝
導度の変化を示す。
エタノールから成る25℃の媒体中で、アルキルナフタ
レンスルフォン酸ナトリウムの添加量を変化させ、1時
間重合した場合に得られるポリピロールの収量と電気伝
導度の変化を示す。
【0130】図4に示すように、界面活性剤を全く添加
しないものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロ
ールの収量及び電気伝導度が増加することから、1価の
アルキルナフタレンスルフォン酸イオンがドープされて
いることが理解される。
しないものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロ
ールの収量及び電気伝導度が増加することから、1価の
アルキルナフタレンスルフォン酸イオンがドープされて
いることが理解される。
【0131】図5は、アルキルナフタレンスルフォン酸
ナトリウム添加の有無が、ポリピロールを125℃空気
中で保持した場合の電気伝導度の安定性に及ぼす影響を
比較したものである。
ナトリウム添加の有無が、ポリピロールを125℃空気
中で保持した場合の電気伝導度の安定性に及ぼす影響を
比較したものである。
【0132】図5に示すように、界面活性剤を添加しな
いものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロール
の電気伝導度が安定性が飛躍的に向上することことが理
解できる。
いものに対して、界面活性剤の添加によりポリピロール
の電気伝導度が安定性が飛躍的に向上することことが理
解できる。
【0133】なお、元素分析からも、この重合生成物中
に実質的に鉄が含まれていないこと、さらに硫黄/窒素
比率が重量増加とともに増加することが確認された。
に実質的に鉄が含まれていないこと、さらに硫黄/窒素
比率が重量増加とともに増加することが確認された。
【0134】そして、このようにポリピロールが形成さ
れたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で
陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付
け、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
れたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で
陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付
け、合計で10個のコンデンサ素子を得た。
【0135】さらに、その素子をエポキシ樹脂を用いて
外装して、さらに125℃で13Vを印加したエージン
グ処理を行い、コンデンサを完成させた。
外装して、さらに125℃で13Vを印加したエージン
グ処理を行い、コンデンサを完成させた。
【0136】これら10個の素子について、1kHzに
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印
加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数
を測定し、それらの平均値を以下の(表2)に示した。
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、さらに125℃で10Vを印
加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及び損失係数
を測定し、それらの平均値を以下の(表2)に示した。
【0137】
【表2】 (比較例2)次に、比較のため、比較例2としてエタノ
ール添加に代えて全量水媒体を用いた以外、実施の形態
1と同様の条件で10個のコンデンサを完成させた。ポ
リピロール導電層形成に要した繰り返し処理回数は11
回であった。
ール添加に代えて全量水媒体を用いた以外、実施の形態
1と同様の条件で10個のコンデンサを完成させた。ポ
リピロール導電層形成に要した繰り返し処理回数は11
回であった。
【0138】これら10個の素子について、1kHzに
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
【0139】(比較例3)さらに、比較のため、比較例
3としてアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを
添加しなかった以外、実施の形態1と同様の条件で10
個のコンデンサを完成させた。
3としてアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウムを
添加しなかった以外、実施の形態1と同様の条件で10
個のコンデンサを完成させた。
【0140】これら10個の素子について、1kHzに
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
おける容量、損失係数、及び400kHzにおけるイン
ピーダンスを各々測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
【0141】(表2)より理解されるように、実施の形
態10において、エタノールを重合溶液媒体中に添加す
ることにより、重合速度が適度に遅延され、さらにスル
フォン酸系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向
上するため、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部
においてもポリピロール層の形成が容易になり、さらに
そこでは1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォ
ン酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ
たポリピロールからなる導電層が形成される。
態10において、エタノールを重合溶液媒体中に添加す
ることにより、重合速度が適度に遅延され、さらにスル
フォン酸系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向
上するため、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部
においてもポリピロール層の形成が容易になり、さらに
そこでは1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォ
ン酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ
たポリピロールからなる導電層が形成される。
【0142】このため高容量達成率のコンデンサが得ら
れる。更に、図4及び図5より、実施の形態1のポリピ
ロールの電気伝導度及びその熱安定性が硫酸イオンのみ
がドープされた場合より大きいことも理解できる。
れる。更に、図4及び図5より、実施の形態1のポリピ
ロールの電気伝導度及びその熱安定性が硫酸イオンのみ
がドープされた場合より大きいことも理解できる。
【0143】このため、低損失で高周波インピーダンス
特性に優れ、さらに耐熱性の面でも優れたコンデンサを
得ることができる。
特性に優れ、さらに耐熱性の面でも優れたコンデンサを
得ることができる。
【0144】なお、水のみを媒体とした場合には、酸化
剤が充分に細孔深部まで浸透する前に重合反応が進むた
めに、容量達成率の高いコンデンサを得ることができな
いと考えられる。
剤が充分に細孔深部まで浸透する前に重合反応が進むた
めに、容量達成率の高いコンデンサを得ることができな
いと考えられる。
【0145】これを回避するために、ピロールモノマー
及び酸化剤の濃度を半減させると、でポリピロール層形
成のために必要な重合繰り返し回数が2倍から3倍と大
幅に増加するが、本実施の形態ではこのような事態は招
かない。
及び酸化剤の濃度を半減させると、でポリピロール層形
成のために必要な重合繰り返し回数が2倍から3倍と大
幅に増加するが、本実施の形態ではこのような事態は招
かない。
【0146】(実施の形態11)本実施の形態では、実
施の形態10において、エタノールに代えてメタノール
(A)、n−プロパノール(B)、エチレングリコール
(C)、プロピレングリコール(D)、グリセリン
(E)を用いた以外は、実施の形態10と同様にして構
成されたそれそれ10個のコンデンサ素子を完成させ、
1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzに
おけるインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で
10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及
び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表2)
に示した。
施の形態10において、エタノールに代えてメタノール
(A)、n−プロパノール(B)、エチレングリコール
(C)、プロピレングリコール(D)、グリセリン
(E)を用いた以外は、実施の形態10と同様にして構
成されたそれそれ10個のコンデンサ素子を完成させ、
1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzに
おけるインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で
10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及
び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表2)
に示した。
【0147】(表2)より理解されるように、本実施の
形態においても、メタノール、nープロパノール、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリンを
それぞれ重合媒体に添加することにより重合速度が適度
に遅延され、さらにスルフォン酸系界面活性剤の作用で
焼結体中への浸透性が向上するため、エッチングピット
あるいは焼結体細孔深部においてもポリピロール層の形
成が容易になり、さらにそこでは1価のアニオン、アル
キルナフタレンスルフォン酸が2価の硫酸イオンを一部
置換した形でドープされたポリピロールからなる導電層
が形成される。
形態においても、メタノール、nープロパノール、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリンを
それぞれ重合媒体に添加することにより重合速度が適度
に遅延され、さらにスルフォン酸系界面活性剤の作用で
焼結体中への浸透性が向上するため、エッチングピット
あるいは焼結体細孔深部においてもポリピロール層の形
成が容易になり、さらにそこでは1価のアニオン、アル
キルナフタレンスルフォン酸が2価の硫酸イオンを一部
置換した形でドープされたポリピロールからなる導電層
が形成される。
【0148】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0149】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0150】(実施の形態12)本実施の形態では、実
施の形態10において、アルキルナフタレンスルフォン
酸ナトリウムに代えて、ドデシルベンゼンスルフォン酸
ナトリウムを1.7g用いた以外は、実施の形態10と
同様にして構成された10個のコンデンサ素子を完成さ
せ、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kH
zにおけるインピーダンスを各々測定し、さらに125
℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化
率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
施の形態10において、アルキルナフタレンスルフォン
酸ナトリウムに代えて、ドデシルベンゼンスルフォン酸
ナトリウムを1.7g用いた以外は、実施の形態10と
同様にして構成された10個のコンデンサ素子を完成さ
せ、1kHzにおける容量、損失係数、及び400kH
zにおけるインピーダンスを各々測定し、さらに125
℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化
率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表
2)に示した。
【0151】(表2)より理解されるように、本実施の
形態においても、エタノールをそれぞれ重合媒体に添加
することにより、重合反応速度が抑制されるともに、界
面活性剤ドデシルベンゼンスルフォンナトリウムの作用
で、焼結体中への浸透性が向上し、さらにその1価のア
ニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が2価の硫酸イ
オンを一部置換した形でドープされたポリピロールから
なる導電層が形成される。
形態においても、エタノールをそれぞれ重合媒体に添加
することにより、重合反応速度が抑制されるともに、界
面活性剤ドデシルベンゼンスルフォンナトリウムの作用
で、焼結体中への浸透性が向上し、さらにその1価のア
ニオン、ドデシルベンゼンスルフォン酸が2価の硫酸イ
オンを一部置換した形でドープされたポリピロールから
なる導電層が形成される。
【0152】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0153】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0154】(実施の形態13)本実施の形態では、実
施の形態10のタンタル焼結体に代えて下記のエッチド
アルミニウム箔電極を用いた以外、実施の形態10と同
様の条件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性
評価を行い、その結果を前述の(表2)に示した。
施の形態10のタンタル焼結体に代えて下記のエッチド
アルミニウム箔電極を用いた以外、実施の形態10と同
様の条件で10個のコンデンサを完成させ、同様の特性
評価を行い、その結果を前述の(表2)に示した。
【0155】具体的なアルミニウム電極箔の作製法は次
の通りである。まず、4×10mmのアルミニウムエッ
チド箔を、3mmと6mmの部分に仕切るように、両面
に渡って、幅1mmのポリイミドテープを貼付ける。
の通りである。まず、4×10mmのアルミニウムエッ
チド箔を、3mmと6mmの部分に仕切るように、両面
に渡って、幅1mmのポリイミドテープを貼付ける。
【0156】次に、アルミニウムエッチド箔の4×3m
mの部分の陽極リードを取り付け、アルミニウムエッチ
ド箔の4×6mmの部分を、3%アジピン酸アンモニウ
ム水溶液を用い、約70℃で50V印加して陽極酸化に
より酸化皮膜誘電体層を形成した。
mの部分の陽極リードを取り付け、アルミニウムエッチ
ド箔の4×6mmの部分を、3%アジピン酸アンモニウ
ム水溶液を用い、約70℃で50V印加して陽極酸化に
より酸化皮膜誘電体層を形成した。
【0157】この構成をコンデンサと見立て、化成液中
の容量を測定したところ、4.7μFであった。
の容量を測定したところ、4.7μFであった。
【0158】(表2)より理解されるように、本実施の
形態においても、アルコールを重合媒体に添加すること
により重合速度が適度に遅延され、さらにスルフォン酸
系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向上するた
め、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部において
もポリピロール層の形成が容易になり、さらにそこでは
1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン酸が2
価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされたポリピ
ロールからなる導電層が形成される。
形態においても、アルコールを重合媒体に添加すること
により重合速度が適度に遅延され、さらにスルフォン酸
系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向上するた
め、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部において
もポリピロール層の形成が容易になり、さらにそこでは
1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン酸が2
価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされたポリピ
ロールからなる導電層が形成される。
【0159】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0160】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0161】(実施の形態14)本実施の形態では、実
施の形態13の構成において、20mm×20mmのア
ルミニウム平滑箔に、酸化皮膜誘電体を形成するのでは
なく、スピンコートにより、厚さ0.5μmのポリイミ
ド薄膜からなるポリイミド誘電体層を形成した電極を用
いた以外、実施の形態13と実質的に同様の条件で、計
10個のコンデンサを作製した。
施の形態13の構成において、20mm×20mmのア
ルミニウム平滑箔に、酸化皮膜誘電体を形成するのでは
なく、スピンコートにより、厚さ0.5μmのポリイミ
ド薄膜からなるポリイミド誘電体層を形成した電極を用
いた以外、実施の形態13と実質的に同様の条件で、計
10個のコンデンサを作製した。
【0162】これらについて実施の形態13と同様の評
価を行い、その結果を前述の(表2)に示した。
価を行い、その結果を前述の(表2)に示した。
【0163】この(表2)から理解されるように、本実
施の形態においても、アルコールを重合媒体に添加する
ことにより重合速度が適度に遅延され、さらにアニオン
系界面活性剤を重合溶液中に添加することにより、その
1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン酸イオ
ンが2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされた
ポリピロールからなる導電層を形成する。
施の形態においても、アルコールを重合媒体に添加する
ことにより重合速度が適度に遅延され、さらにアニオン
系界面活性剤を重合溶液中に添加することにより、その
1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン酸イオ
ンが2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされた
ポリピロールからなる導電層を形成する。
【0164】そして、このポリピロールの電気伝導度が
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きい。
硫酸イオンのみがドープされた場合より大きい。
【0165】これらにより、低損失及び高周波インピー
ダンス特性の優れたコンデンサ素子を得ることができ
る。
ダンス特性の優れたコンデンサ素子を得ることができ
る。
【0166】(実施の形態15)本実施の形態では、実
施の形態10の構成において、モノマー溶液にさらに
0.1mol/lのp−ニトロフェノールを添加した以
外は、実施の形態10と同様にして10個のコンデンサ
素子を完成させた。
施の形態10の構成において、モノマー溶液にさらに
0.1mol/lのp−ニトロフェノールを添加した以
外は、実施の形態10と同様にして10個のコンデンサ
素子を完成させた。
【0167】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表2)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表2)に示した。
【0168】(表2)より理解されるように、本実施例
においても、アルコールを重合媒体に添加することによ
り、重合反応速度が抑制されるともに、スルフォン酸系
界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向上し、さら
にその1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン
酸アニオンが2価の硫酸イオンを一部置換した形でドー
プされ、p−ニトロフェノールの作用で電気伝導度及び
その安定性の一層向上したポリピロールからなる導電層
が形成される。
においても、アルコールを重合媒体に添加することによ
り、重合反応速度が抑制されるともに、スルフォン酸系
界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向上し、さら
にその1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォン
酸アニオンが2価の硫酸イオンを一部置換した形でドー
プされ、p−ニトロフェノールの作用で電気伝導度及び
その安定性の一層向上したポリピロールからなる導電層
が形成される。
【0169】そして、このポリピロールの電気伝導度
が、硫酸イオン及びアルキルナフタレンスルフォン酸ア
ニオンのみが存在する場合より大きく、さらに熱安定性
も高い。
が、硫酸イオン及びアルキルナフタレンスルフォン酸ア
ニオンのみが存在する場合より大きく、さらに熱安定性
も高い。
【0170】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
【0171】(実施の形態16)本実施の形態において
は、実施の形態15のp−ニトロフェノールに代えて、
m−ニトロフェノール(A)、p−シアノフェノール
(B)、m−ヒドロキシ安息香酸(C)、m−ヒドロキ
シフェノール(D)、アセトフェノール(E)を添加し
た以外は、実施の形態15と同様にして10個のコンデ
ンサを完成させた。
は、実施の形態15のp−ニトロフェノールに代えて、
m−ニトロフェノール(A)、p−シアノフェノール
(B)、m−ヒドロキシ安息香酸(C)、m−ヒドロキ
シフェノール(D)、アセトフェノール(E)を添加し
た以外は、実施の形態15と同様にして10個のコンデ
ンサを完成させた。
【0172】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表2)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、さら
に125℃で10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の
容量変化率及び損失係数を測定し、それらの平均値を前
述の(表2)に示した。
【0173】(表2)から理解されるように、本実施の
形態によるコンデンサは、アルコールを重合媒体に添加
することにより重合速度が適度に遅延され、さらにスル
フォン酸系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向
上するため、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部
においてもポリピロール層の形成が容易になり、さらに
そこでは1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォ
ン酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ
たポリピロールからなる導電層が形成される。
形態によるコンデンサは、アルコールを重合媒体に添加
することにより重合速度が適度に遅延され、さらにスル
フォン酸系界面活性剤の作用で焼結体中への浸透性が向
上するため、エッチングピットあるいは焼結体細孔深部
においてもポリピロール層の形成が容易になり、さらに
そこでは1価のアニオン、アルキルナフタレンスルフォ
ン酸が2価の硫酸イオンを一部置換した形でドープされ
たポリピロールからなる導電層が形成される。
【0174】そして、このポリピロールの電気伝導度が
硫酸イオン等のみがドープされた場合より大きく、さら
に熱安定性も高い。
硫酸イオン等のみがドープされた場合より大きく、さら
に熱安定性も高い。
【0175】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
周波インピーダンス特性の優れ、耐熱性の高いコンデン
サ素子を得ることができる。
【0176】(実施の形態17)本実施の形態において
は、実施の形態10において、硫酸第二鉄に代えて同濃
度の硫酸第二銅を用いた以外は、実施の形態10と同様
にして構成された10個のコンデンサ素子を完成させ、
1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzに
おけるインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で
10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及
び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表2)
に示した。
は、実施の形態10において、硫酸第二鉄に代えて同濃
度の硫酸第二銅を用いた以外は、実施の形態10と同様
にして構成された10個のコンデンサ素子を完成させ、
1kHzにおける容量、損失係数、及び400kHzに
おけるインピーダンスを各々測定し、さらに125℃で
10Vを印加して行った負荷耐熱試験後の容量変化率及
び損失係数を測定し、それらの平均値を前述の(表2)
に示した。
【0177】以上のように、本実施の形態においても、
アルコールを重合媒体に添加することにより重合速度が
適度に遅延され、さらにスルフォン酸系界面活性剤の作
用で焼結体中への浸透性が向上するため、エッチングピ
ットあるいは焼結体細孔深部においてもポリピロール層
の形成が容易になり、さらにそこでは1価のアニオン、
アルキルナフタレンスルフォン酸が2価の硫酸イオンを
一部置換した形でドープされたポリピロールからなる導
電層が形成される。
アルコールを重合媒体に添加することにより重合速度が
適度に遅延され、さらにスルフォン酸系界面活性剤の作
用で焼結体中への浸透性が向上するため、エッチングピ
ットあるいは焼結体細孔深部においてもポリピロール層
の形成が容易になり、さらにそこでは1価のアニオン、
アルキルナフタレンスルフォン酸が2価の硫酸イオンを
一部置換した形でドープされたポリピロールからなる導
電層が形成される。
【0178】そして、このポリピロールの電気伝導度及
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
びその熱安定性が硫酸イオンのみがドープされた場合よ
り大きい。
【0179】これらにより高容量達成率、低損失及び高
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
周波インピーダンス特性に優れ、さらに耐熱性の高いコ
ンデンサを得ることができる。
【0180】(実施の形態18)本実施の形態において
は、実施の形態10において、陽極酸化後にタンタル焼
結体電極を30%の硝酸マンガン水溶液に浸し、250
℃で熱分解して二酸化マンガン層形成した以外、実施の
形態10と同様にして10個のコンデンサを完成させ
た。
は、実施の形態10において、陽極酸化後にタンタル焼
結体電極を30%の硝酸マンガン水溶液に浸し、250
℃で熱分解して二酸化マンガン層形成した以外、実施の
形態10と同様にして10個のコンデンサを完成させ
た。
【0181】1kHzにおける容量、損失係数、及び4
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それ
らの平均値を前述の(表2)に示した。
00kHzにおけるインピーダンスを各々測定し、それ
らの平均値を前述の(表2)に示した。
【0182】また、定格電圧の10Vを印加した場合の
漏れ電流は2.5nAであった。一方、実施の形態10
で得られた同条件におけるコンデンサの漏れ電流は2.
9nAであり、両者ほぼ同等の極めて低い漏れ電流特性
を示した。
漏れ電流は2.5nAであった。一方、実施の形態10
で得られた同条件におけるコンデンサの漏れ電流は2.
9nAであり、両者ほぼ同等の極めて低い漏れ電流特性
を示した。
【0183】さらに両者の印加電圧を1Vから16Vま
で変化させて漏れ電流をそれぞれ測定したところ、いず
れも漏れ電流の対数値は印加電圧の2分の1乗に比例す
ることが示された。
で変化させて漏れ電流をそれぞれ測定したところ、いず
れも漏れ電流の対数値は印加電圧の2分の1乗に比例す
ることが示された。
【0184】ただし、前者の方が、その勾配につき、
0.95と後者の1.14より小さくなる傾向が示され
た。
0.95と後者の1.14より小さくなる傾向が示され
た。
【0185】これは電気伝導度の比較的低い二酸化マン
ガン層を介在させたための効果で、高電圧された時のシ
ョート抑制が期待できる。
ガン層を介在させたための効果で、高電圧された時のシ
ョート抑制が期待できる。
【0186】一方(表2)から明らかなように、二酸化
マンガン層を介在させることによる損失係数の増加は極
めて軽微である。
マンガン層を介在させることによる損失係数の増加は極
めて軽微である。
【0187】これは形成された二酸化マンガン層の厚さ
が極めて薄いたことによると考えられる。
が極めて薄いたことによると考えられる。
【0188】(実施の形態19)本実施の形態では、実
施の形態13において電極箔の陽極酸化皮膜形成後、過
マンガン酸ナトリウム12%水溶液を用いて、ピロール
モノマーとアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
を含む溶液中で還元二酸化マンガンを形成した以外、実
施例3と同様にしてコンデンサを作製した。
施の形態13において電極箔の陽極酸化皮膜形成後、過
マンガン酸ナトリウム12%水溶液を用いて、ピロール
モノマーとアルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
を含む溶液中で還元二酸化マンガンを形成した以外、実
施例3と同様にしてコンデンサを作製した。
【0189】この場合も、実施の形態18と同様に、漏
れ電流の印加電圧に対する増加率が、ポリピロール層単
独の場合より低減する傾向が認められた。
れ電流の印加電圧に対する増加率が、ポリピロール層単
独の場合より低減する傾向が認められた。
【0190】なお、以上の実施の形態1から19では、
界面活性剤として芳香族スルフォン酸ナトリウムを用い
た場合について述べたが、その他のスルフォン酸系界面
活性剤を用いてもよく、またスルフォン酸系以外の1価
アニオンを含む他のアニオン系界面活性剤を用いること
もできる。
界面活性剤として芳香族スルフォン酸ナトリウムを用い
た場合について述べたが、その他のスルフォン酸系界面
活性剤を用いてもよく、またスルフォン酸系以外の1価
アニオンを含む他のアニオン系界面活性剤を用いること
もできる。
【0191】また、実施の形態1から19では、アルコ
ール濃度が10%の場合についてのみ述べたが、実質的
にコンデンサ特性に大きな差が生じない限りこれより高
濃度または低濃度の媒体で重合することもできる。
ール濃度が10%の場合についてのみ述べたが、実質的
にコンデンサ特性に大きな差が生じない限りこれより高
濃度または低濃度の媒体で重合することもできる。
【0192】ただし、アルコール濃度が極めて低い場合
は反応速度が水媒体を用いた場合と差がなくなり、一方
必要以上に高濃度にすることは重合反応に長時間を用
し、また経済的にも望ましくはない。
は反応速度が水媒体を用いた場合と差がなくなり、一方
必要以上に高濃度にすることは重合反応に長時間を用
し、また経済的にも望ましくはない。
【0193】また、実施の形態1から19では、多価ア
ニオンとして硫酸イオンについてのみ述べたが、その他
の多価アニオンがドープされるように、硫酸塩以外の遷
移金属多価酸塩を用いることもできる。
ニオンとして硫酸イオンについてのみ述べたが、その他
の多価アニオンがドープされるように、硫酸塩以外の遷
移金属多価酸塩を用いることもできる。
【0194】また、実施の形態1から19では、遷移金
属として鉄(III)と銅(II)を用いた場合についての
み述べたが、その他のピロールを酸化することができる
酸化還元電位を有する遷移金属をまた同様に用いること
ができ、本発明はその種類に限定されない。
属として鉄(III)と銅(II)を用いた場合についての
み述べたが、その他のピロールを酸化することができる
酸化還元電位を有する遷移金属をまた同様に用いること
ができ、本発明はその種類に限定されない。
【0195】また、実施の形態1から19では、重合可
能なモノマーとしてピロールを用いた場合についてのみ
述べたが、置換基を有するその誘導体を用いることもで
きる。
能なモノマーとしてピロールを用いた場合についてのみ
述べたが、置換基を有するその誘導体を用いることもで
きる。
【0196】また、実施例1から3、5から7、10か
ら13、及び15から17では、弁金属がアルミニウム
とタンタルの場合についてのみ述べたが、その他ジルコ
ニウム、ニオブ、ハフニウム及びチタンさらにはそれら
のの金属間化合物等も使用可能である。
ら13、及び15から17では、弁金属がアルミニウム
とタンタルの場合についてのみ述べたが、その他ジルコ
ニウム、ニオブ、ハフニウム及びチタンさらにはそれら
のの金属間化合物等も使用可能である。
【0197】また、実施の形態4及び14では、誘電体
となる高分子として、ポリイミドを用いる場合について
述べたが、薄膜を形成できる高分子材料であればポリイ
ミド以外のものを用いることもでき、本発明はその種類
に限定されない。
となる高分子として、ポリイミドを用いる場合について
述べたが、薄膜を形成できる高分子材料であればポリイ
ミド以外のものを用いることもでき、本発明はその種類
に限定されない。
【0198】そして、実施の形態4及び14では、アル
ミニウム平滑箔にスピンコートで誘電体となるポリイミ
ド膜を形成する場合について述べたが、エッチドアルミ
ニウム箔表面に例えば電着で設けたポリイミドフィルム
を誘電体としたフィルムコンデンサの一方の電極として
も適用することができ、本発明はその形成方法に限定さ
れない限定されない。
ミニウム平滑箔にスピンコートで誘電体となるポリイミ
ド膜を形成する場合について述べたが、エッチドアルミ
ニウム箔表面に例えば電着で設けたポリイミドフィルム
を誘電体としたフィルムコンデンサの一方の電極として
も適用することができ、本発明はその形成方法に限定さ
れない限定されない。
【0199】
【発明の効果】以上のように、コンデンサに係る本発明
は、多価アニオンと一価アニオンをドーパントとして含
むピロール系高分子からなる導電層を用いて、コンデン
サの対向して設けられた少なくても一方の電極を構成す
ることによって、分子サイズの大きなドーパントを導入
することにより、ポリマーの電気伝導度及び熱安定性が
向上するため、損失係数及びインピーダンス特性の優れ
たコンデンサが得られ、また耐熱性も向上するという特
有の効果を奏するものである。
は、多価アニオンと一価アニオンをドーパントとして含
むピロール系高分子からなる導電層を用いて、コンデン
サの対向して設けられた少なくても一方の電極を構成す
ることによって、分子サイズの大きなドーパントを導入
することにより、ポリマーの電気伝導度及び熱安定性が
向上するため、損失係数及びインピーダンス特性の優れ
たコンデンサが得られ、また耐熱性も向上するという特
有の効果を奏するものである。
【0200】さらに、アニオン界面活性剤を用いれば、
その作用により浸透性が向上し、容量達成率を向上する
ことができる。
その作用により浸透性が向上し、容量達成率を向上する
ことができる。
【0201】さらにまた、誘電体と導電性高分子間に二
酸化マンガン層を介在させることにより、損失係数を小
さく保ちつつ、漏れ電流特性をも向上することができ
る。
酸化マンガン層を介在させることにより、損失係数を小
さく保ちつつ、漏れ電流特性をも向上することができ
る。
【0202】そして、本発明のコンデンサの製造方法
は、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単位とし、か
つ多価アニオン及び一価アニオンをドーパントとして含
む導電性高分子層とを有するコンデンサの導電性高分子
層を、化学重合により形成する化学重合工程を有するコ
ンデンサの製造方法であり、ポリピロールは、室温の溶
液中で化学重合によって形成されるため、熱による誘電
体層の損傷を防止する。
は、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単位とし、か
つ多価アニオン及び一価アニオンをドーパントとして含
む導電性高分子層とを有するコンデンサの導電性高分子
層を、化学重合により形成する化学重合工程を有するコ
ンデンサの製造方法であり、ポリピロールは、室温の溶
液中で化学重合によって形成されるため、熱による誘電
体層の損傷を防止する。
【0203】そして、誘電体層が、弁金属の酸化皮膜で
構成される場合に対しては、従来の熱分解によるマンガ
ン酸化物層形成に際して、繰り返して行う熱分解の処理
毎に必要とされていた修復化成処理を省略しても、低漏
れ電流の固体電解コンデンサが容易に得られる。
構成される場合に対しては、従来の熱分解によるマンガ
ン酸化物層形成に際して、繰り返して行う熱分解の処理
毎に必要とされていた修復化成処理を省略しても、低漏
れ電流の固体電解コンデンサが容易に得られる。
【0204】そして、さらなるコンデンサの製造方法に
係る本発明は、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単
位として含む導電性高分子層を、好適にはアニオン系界
面活性剤を含む、水とアルコールの混合媒体中で遷移金
属の多価酸塩を酸化剤として、化学重合により形成する
化学重合工程を有するもので、アルコールの添加により
重合速度が適度に遅延されるため、エッチングピットあ
るいは焼結体細孔深部へのポリピロール層の形成が容易
になり、少ない重合繰り返し回数で容量達成率の高いコ
ンデンサが得られる。
係る本発明は、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単
位として含む導電性高分子層を、好適にはアニオン系界
面活性剤を含む、水とアルコールの混合媒体中で遷移金
属の多価酸塩を酸化剤として、化学重合により形成する
化学重合工程を有するもので、アルコールの添加により
重合速度が適度に遅延されるため、エッチングピットあ
るいは焼結体細孔深部へのポリピロール層の形成が容易
になり、少ない重合繰り返し回数で容量達成率の高いコ
ンデンサが得られる。
【0205】また、界面活性剤の作用により浸透性が向
上し、容量達成率が向上し、かつ分子サイズの大きなド
ーパントを導入することにより、ポリマーの電気伝導度
及び熱安定性が向上するため、損失係数及びインピーダ
ンス特性の優れたコンデンサが得られ、また同時に耐熱
性も向上するという特有の効果を奏する。
上し、容量達成率が向上し、かつ分子サイズの大きなド
ーパントを導入することにより、ポリマーの電気伝導度
及び熱安定性が向上するため、損失係数及びインピーダ
ンス特性の優れたコンデンサが得られ、また同時に耐熱
性も向上するという特有の効果を奏する。
【0206】さらに、フェノールまたはフェノール誘導
体を添加することにより、ポリピロールの電気伝導度及
び熱安定性をより向上させることができ、損失係数及び
インピーダンス特性を一層向上させ、耐熱性もより優れ
たコンデンサが実現できる。
体を添加することにより、ポリピロールの電気伝導度及
び熱安定性をより向上させることができ、損失係数及び
インピーダンス特性を一層向上させ、耐熱性もより優れ
たコンデンサが実現できる。
【0207】さらにまた、誘電体と導電性高分子間に二
酸化マンガン層を介在させることにより、損失係数を小
さく保ちつつ、漏れ電流特性も向上するという特有の効
果を奏する。
酸化マンガン層を介在させることにより、損失係数を小
さく保ちつつ、漏れ電流特性も向上するという特有の効
果を奏する。
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるポリピロー
ルの界面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の関係図
ルの界面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の関係図
【図2】同第1の実施の形態におけるポリピロールの界
面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の他の関係図
面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の他の関係図
【図3】同第10の実施の形態におけるポリピロールの
エタノール添加量と電気伝導度及び収量の関係図
エタノール添加量と電気伝導度及び収量の関係図
【図4】同第10の実施の形態におけるポリピロールの
界面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の関係図
界面活性剤添加量と電気伝導度及び収量の関係図
【図5】同第10の実施の形態におけるポリピロールの
界面活性剤添加の有無と電気伝導度の安定性の関係図
界面活性剤添加の有無と電気伝導度の安定性の関係図
フロントページの続き (72)発明者 松家 安恵 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番 1号 松下技研株式会社内 (72)発明者 島田 博司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 林 千春 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−166681(JP,A) 特開 平6−252003(JP,A) 特開 平6−124858(JP,A) 特開 平7−82375(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/028
Claims (21)
- 【請求項1】 対向して設けられた一対の電極と、前記
電極間に設けられた誘電体層と、前記電極の少なくとも
一方において、ピロールまたはその誘導体を繰り返し単
位とし、かつ多価アニオン及びアニオン系界面活性剤か
ら解離した一価アニオンをドーパントとして含む導電性
高分子層とを有するコンデンサ。 - 【請求項2】 多価アニオンが硫酸基である請求項1記
載のコンデンサ。 - 【請求項3】 一価アニオンがスルフォン酸基である請
求項1又は2記載のコンデンサ。 - 【請求項4】 誘電体層が、電極の一方を構成する弁金
属の酸化物である請求項1から3のいずれかに記載のコ
ンデンサ。 - 【請求項5】 弁金属が、アルミニウムまたはタンタル
である請求項4記載のコンデンサ。 - 【請求項6】 誘電体層が、高分子膜である請求項1か
ら3のいずれかに記載のコンデンサ。 - 【請求項7】 高分子膜がポリイミド膜である請求項6
記載のコンデンサ。 - 【請求項8】 さらに、誘電体と導電性高分子層の間に
二酸化マンガン層を設けた請求項1から7のいずれかに
記載のコンデンサ。 - 【請求項9】 対向した一対の電極を配置する工程と、
前記電極間に誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、
前記電極の少なくとも一方において、ピロールまたはそ
の誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及びア
ニオン系界面活性剤である一価アニオンをドーパントと
して含む導電性高分子層とを有するコンデンサの導電性
高分子層を、化学重合により形成する化学重合工程を有
するコンデンサの製造方法。 - 【請求項10】 対向した一対の電極を配置する工程
と、前記電極間に誘電体層を形成する誘電体層形成工程
と、前記電極の少なくとも一方において、ピロールまた
はその誘導体を繰り返し単位とし、かつ多価アニオン及
びアニオン系界面活性剤である一価アニオンをドーパン
トとして含む導電性高分子層とを有するコンデンサの導
電性高分子層を、水とアルコールを含む媒体中で化学重
合により形成する化学重合工程を有するコンデンサの製
造方法。 - 【請求項11】 アルコールがメタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコール、プロピレング
リコールまたはグリセリンから選ばれる一種またはこれ
らの混合物である請求項10記載のコンデンサの製造方
法 - 【請求項12】 化学重合工程が、ピロールまたはその
誘導体と硫酸第二鉄とアニオン系界面活性剤とを含む溶
液を用いて導電性高分子層を形成する請求項9から11
のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。 - 【請求項13】 スルフォン酸基を有するアニオンを含
むアニオン系界面活性剤を用いる請求項9から12のい
ずれかに記載のコンデンサの製造方法。 - 【請求項14】 誘電体形成工程が、弁金属の陽極酸化
により誘電体を形成する請求項9から13のいずれかに
記載のコンデンサの製造方法。 - 【請求項15】 電極の一方を構成する弁金属がアルミ
ニウムまたはタンタルである請求項14記載のコンデン
サの製造方法。 - 【請求項16】 誘電体形成工程が、高分子薄膜を用い
て誘電体を形成する請求項9から13のいずれかに記載
のコンデンサの製造方法。 - 【請求項17】 高分子がポリイミドである請求項16
記載のコンデンサの製造方法。 - 【請求項18】 化学重合工程で、さらにフェノ−ルま
たはその誘導体を含む溶液を用いて化学重合をする請求
項9から17のいずれかに記載コンデンサの製造方法。 - 【請求項19】 フェノ−ル誘導体がニトロフェノー
ル、シアノフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキ
シフェノール若しくはアセトフェノ−ル、またはそれら
の組合せである請求項18記載のコンデンサの製造方
法。 - 【請求項20】 さらに、誘電体と導電性高分子層との
間に二酸化マンガン層を熱分解により形成する二酸化マ
ンガン層形成工程を有する請求項9から19のいずれか
に記載のコンデンサの製造方法。 - 【請求項21】 二酸化マンガン層形成工程が、過マン
ガン酸塩の還元により二酸化マンガン層を形成する請求
項20記載のコンデンサの製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08232096A JP3223790B2 (ja) | 1995-06-26 | 1996-04-04 | コンデンサ及びその製造方法 |
US08/840,445 US5812367A (en) | 1996-04-04 | 1997-04-01 | Solid electrolytic capacitors comprising a conductive layer made of a polymer of pyrrole or its derivative |
EP97302334A EP0803886B1 (en) | 1996-04-04 | 1997-04-04 | Solid electrolytic capacitors comprising a conductive layer made of a polymer of pyrrole or its derivative and method for making the same |
DE69722849T DE69722849T2 (de) | 1996-04-04 | 1997-04-04 | Festelektrolytkondensatoren mit aus einem Polymer von Pyrrol oder seinem Derivat bestehender leitfähiger Schicht und Herstellungsverfahren |
US09/148,321 US6206937B1 (en) | 1996-04-04 | 1998-09-04 | Solid electrolytic capacitors comprising a conductive layer made of a polymer of pyrrole or its derivative and method for making the same |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15897195 | 1995-06-26 | ||
JP7-158971 | 1995-06-26 | ||
JP08232096A JP3223790B2 (ja) | 1995-06-26 | 1996-04-04 | コンデンサ及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0974050A JPH0974050A (ja) | 1997-03-18 |
JP3223790B2 true JP3223790B2 (ja) | 2001-10-29 |
Family
ID=26423342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08232096A Expired - Fee Related JP3223790B2 (ja) | 1995-06-26 | 1996-04-04 | コンデンサ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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---|---|---|---|---|
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JP4036985B2 (ja) | 1998-10-26 | 2008-01-23 | 三洋電機株式会社 | 固体電解コンデンサ |
WO2000030133A1 (fr) * | 1998-11-16 | 2000-05-25 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Condensateur electrolytique plein |
JP3548035B2 (ja) * | 1999-02-03 | 2004-07-28 | 三洋電機株式会社 | 電解コンデンサの製造方法 |
WO2001036382A1 (fr) * | 1999-11-16 | 2001-05-25 | Mitsui Chemicals, Inc. | Procede de fabrication d'un derive d'acide benzenesulfonique, dopant, materiau polymere conducteur et condensateur electrolytique solide |
-
1996
- 1996-04-04 JP JP08232096A patent/JP3223790B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0974050A (ja) | 1997-03-18 |
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