JP2009040903A - イソチアナフテン構造含有高分子及びその製造方法、並びに電荷輸送材料及び有機電子デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
また、本質的な導電性高分子の開発を目指して分子設計された物質として、ポリイソチアナフテン(PITN)が知られている。ポリイソチアナフテンの特徴として、(1)π電子共役系の酸化ドーピングにより、深青色(中性状態)〜半透明(酸化状態)間の可逆的エレクトロクロミズムの発現をすること、(2)バンドギャップが低く(約1.0eV)半導体として適していることが挙げられ、物理、化学両面から実用化が望まれてきた(非特許文献2参照)。
即ち、本発明は、イソチアナフテンを含有する高分子が、p型の有機半導体材料となり得る、新規な高分子及びその製造方法を提供することを、その目的の一つとする。
また、本発明は、該高分子を有してなる電荷輸送材料を提供することを、その目的の一つとする。
更に、本発明は、該電荷輸送材料を用いた有機デバイスを提供することを、その目的の一つとする。
そのため、1,3−ジチエニルイソチアナフテンと、溶解性の高いユニットとの鈴木カップリングによる共重合を行うことで、目的とするポリマーを合成し、塗布成膜可能なπ共役高分子型有機半導体材料を得た。
また、本発明のイソチアナフテン構造含有高分子の製造方法によれば、上述の本発明のイソチアナフテン構造含有高分子を効率的に製造することができる。
本発明のイソチアナフテン構造含有高分子は、下記式(1)で表わされる構造(イソチアナフテン含有構造)を繰り返し単位として含有することを特徴とする化合物(以下、適宜「本発明の高分子」という場合がある。)である。
例えば、一種類の式(1)の繰り返し単位を有してなる単独重合体であってもよく、二種類以上の式(1)の繰り返し単位を有してなる共重合体であってもよく、更には、一種類又は二種類以上の式(1)の繰り返し単位と、一種類又は二種類以上のその他の繰り返し単位とを有してなる共重合体であってもよい。
但し、本発明の高分子の少なくとも一部において、式(1)及び式(2)の繰り返し単位が交互に存在することが好ましく、具体的には、以下式(3)の繰り返し単位を含有することが好ましい。これは、イソチアナフテン骨格の持つ電子供与性と電子吸引性が分子間に働き、分子間がスタッキングを起こして配向しやすくなるという理由からである。
一般に、電荷輸送材料中のキャリアの高い移動度を有するためには、固体状態で隣り合う分子間が良好に重なりあう事が望ましい。これは、キャリア、すなわち電子あるいは正孔が分子間を伝達して行く際に、π電子軌道間の相互作用が重要であるためである。
そのためには、本発明のイソチアナフテン構造含有高分子の平面性は、高いものが望ましい。平面性の尺度としては、分子平面からの各原子のずれを参考にすることができる。分子平面は、すべての原子の中心からの距離の2乗の和が最少になるような平面として定義できる。この平面からの各原子の中心までの距離が4Å以内であれば、高い平面性を有し、移動度が高くなる条件を満たす事ができる。
本発明の高分子の構造は、核磁気共鳴(以下「NMR」と略す。)スペクトル、赤外(以下「IR」と略す。)スペクトル、元素分析法、質量分析法(以下「MS」と略す。)等の方法で分析し、同定することが可能である。
具体例としては、Polymer Journal、Vol. 32、No. 11、2000年、p.991〜994に記載のポリ−ニトロピリジンでの測定と同様の方法で行なうことができる。
本発明の高分子の分子量としては、特に制限はなく、その用途に応じて適切な範囲となるように選択すればよい。
例えば、本発明の高分子を、後述する有機電子デバイス等の電荷輸送層として使用する場合には、通常はこれを成膜するために、高分子を溶媒に溶解して塗布する方法を行うが、その際に、高分子の分子量が高いほど、成膜後の膜強度や均一性に優れた膜を得ることができる。
その一方で、高分子の分子量が高過ぎると、溶媒に溶け難くなったりする可能性がある。従って、本発明の高分子の分子量は、その加工性、用途等によって最適値が異なり、それぞれに使い分けることが好ましい。一般的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略す。)による分子量測定で得られる重量平均分子量が、通常300以上、中でも1000以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常10万以下である。
ポリチオフェンの構成単位としては、下記式の芳香族型(a)とキノイド型(b)という結合状態が異なる二つの化学構造が考えられる。両者のエネルギー状態は等しくなく、中性状態では(a)の構造が優先していると考えられている。
本発明のイソチアナフテン構造含有高分子を製造する方法は、特に制限されない。通常は、上記式(1)の繰り返し単位に対応する一種又は二種以上のモノマーを、必要に応じてその他の一種又は二種以上のモノマーとともに、金属錯体の存在下で重合又は共重合させる方法により、製造することができる。
以下、この製造方法(以下、「本発明の高分子の製造方法」という場合がある。)について説明する。
上述したように、イソチアナフテンは、反応性が高く不安定であり取り扱いが困難な化合物である。そこで、イソチアナフテンの1位及び3位に置換基を導入することでイソチアナフテンを安定化した、イソチアナフテン構造化合物を用いることが好ましい。該置換基としては、上述した分子の平面性の観点から、チオフェンである。
まず初めに0.5当量のジアルキル金属(上記スキーム中、「R2M」と記す。)と2−ブロモ安息香酸(上記スキーム中、「a」と記す。)とを反応させるとbが得られる。次にbと、
とを反応さえることで、金属−ハロゲン交換反応が起こりcが得られる。−20℃以下の低温においては、cは安定なアート錯体を経由して、c、d、e、f、g間の様な平衡が存在していると推測される。
この反応においては、カルボニル基を酸性プロトンからアルキル金属によって保護することができると推測される。これにより、PDG基によるプロトン化を防ぎ、−20℃以下の比較的温和な条件下で、金属−ハロゲン交換反応を行うことができると考えられる。
まず初めに、3−チエニルフタライドのカルボニル炭素を、求核試薬として働くグリニャール試薬で攻撃させて開環する。続く塩化アンモニウムによる処理により、プロトン化され、ケト−アルコール中間体(上記スキーム中では、「h」で表わす。)が生成する。これにローソン試薬を作用させ、1,3−ジチエニルイソチアナフテンを得ることができる。
1,3−ジチエニル−イソチアナフテンは、有機溶媒に不溶不融である。従って、各種構造解析や物性測定の検討のためには、有機溶媒への溶解性の向上が望まれる。斯かる方法としては、1,3−チエニル−イソチアナフテンの2つのチオフェンにハロゲンを導入し、以下式(2)で表わされる化合物にすることが好ましい。
以下のスキームは、1,3−ジチエニルイソチアナフテンにハロゲン基の一つであるブロモ基を導入して、1,3−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)イソチアナフテンを得るまでの反応機構の一部を示したものである。
遮光下、−20℃以下の低温で、1,3−ジチエニルイソチアナフテンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(以下、「DMF溶液」と略す。)と、2当量のN−ブロモスクシンイミド(以下、「NBS」と略す。)とを混合することで、1,3−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)イソチアナフテンを合成することができる。
イソチアナフテン構造含有高分子の製造方法は、公知の何れの方法を用いることができる。
通常は、反応容器中において、イソチアナフテン構造含有化合物(モノマー体)を溶媒に溶解又は分散させ、さらに触媒を混合して重合反応を開始する。
以下、これらの方法について、さらに詳述する。
イソチアナフテン構造含有高分子の原料(モノマー体)としては、上記式(2)の化合物のうち一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いる。二種以上を併用する場合、その比率は特に制限されず、目的とする高分子の構造に応じて適宜調整すればよい。
ここでいう「2つ以上のハロゲン原子を有する芳香族系化合物」とは、芳香環における任意の位置の2つ以上の水素がハロゲン原子に置換されたものであれば、その種類に特に制限はなく、目的とする繰り返し単位の構造に応じて適切なものを選択すればよい。
具体例としては、p−ジブロモベンゼン、2,5−ジブロモチオフェン、2,5−ジブロモピリジン、2,6−ジブロモピリジン等が挙げられる。
触媒としては、本発明のイソチアナフテン構造含有高分子が製造できれば特に制限はないが、通常、金属錯体が用いられる。
溶媒としては、イソチアナフテン構造含有化合物(モノマー体)を好適に溶解又は分散させることができ、且つ、モノマー体や高分子との間に重合反応を阻害するような副反応を生じないものであれば、その種類は特に制限されない。
具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエンなどが挙げられる。なお、溶媒は一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせで混合して用いてもよい。
重合の方法は特に制限されないが、通常は、反応容器中において、イソチアナフテン構造含有化合物(モノマー体)を溶媒に溶解又は分散させ、さらに触媒を混合して反応を開始する。
本発明の電荷輸送材料は、上に説明した本発明の高分子を少なくとも含有することを特徴とする。本発明の高分子のうち、何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせで含有していてもよい。また、本発明の高分子のみからなるものであってもよいが、その他の成分(例えば、その他の高分子やモノマー体、各種の添加剤等)を含有していてもよい。
本発明の電荷輸送材料と併用可能な他の電荷輸送材料としては、トリスアルミニウムキノリノール(以下、「Alq3」と略す。)等のキノリノール誘導体金属錯体;オキサジアジン誘導体、トリアジン誘導体等の既知の電荷輸送材料;等が挙げられるが、これらに限定されることはなく、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の電荷輸送材料を併用することができる。
本発明の有機電子デバイスは、上述した本発明の電荷輸送材料を含有することを特徴とする。本発明の電荷輸送材料を適用可能なものであれば、有機電子デバイスの種類に特に制限はない。具体例としては、発光素子、スイッチング素子、光電変換素子、光電導性を利用した光センサー、太陽電池等が挙げられる。
本発明の有機電子デバイスの例として、スイッチング素子の一種である電界効果トランジスタ(FET)を挙げて説明する。
図1〜3はそれぞれ、本発明の有機電子デバイスの一種である電界効果トランジスタ(以下「本発明の電界効果トランジスタ」あるいは「本発明のFET」と略する場合がある。)の構成例を模式的に示す断面図である。
本発明の電界効果トランジスタの基本的な構造は、図1〜3に示すように、支持基板1上に、絶縁体層3と、この絶縁体層3により隔離されたゲート電極2及び電荷輸送性層4と、この電荷輸送性層4に接するように設けられたソース電極5及びドレイン電極6とを有するものである(各図で同じ部品には同じ符号を付してある。)。各層が積層される順番は特に制限されず、図1〜3の何れの順序で積層されていてもよい。更には、本発明の電界効果トランジスタは何ら図1〜3に示す構造の電界効果トランジスタに限定されず、図1〜3に示される層以外の層が形成されていてもよい。
成膜対象となる基板の材料は、電界効果トランジスタ及びその上に作製される表示素子、表示パネル等を支持できるものであれば、その種類は特に制限されない。
具体例としては、ガラス等の無機基板やポリマーからなるプラスチック基板が挙げられる。中でも好ましくは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ビニル系ポリマー、ポリパラバン酸、ポリシルセスキオキサン、及びシロキサンよりなる群から選択されるプラスチック基板が好適である。
更に、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル類やポリカーボネート等の汎用樹脂が強度やコストの点から好ましく、また、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリパラバン酸等の縮合系高分子や、熱処理などにより不溶化が行なえるポリビニルフェノール等の架橋体が耐熱性や耐溶剤性の点から好ましい。
電荷輸送材料を成膜する方法に制限はなく、公知の方法を用いて成膜することができる。例えば、電荷輸送材料を有機溶媒に溶解させた溶液を用いた塗布プロセスは、簡便に多層構造素子を作製する場合に好適である。
塗布の方法は、上記の方法のうち1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
電荷輸送膜の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。
先に例示した電界効果トランジスタの場合、素子の特性は必要な膜厚以上であれば膜厚には依存しない。膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多い。従って、好ましい膜厚は、通常1nm以上、好ましくは10nm以上である。また、通常10μm以下、好ましくは500nm以下である。また、本発明の電荷輸送材料は単独で用いてもよいし、他の材料との混合で用いてもよいし、更には他の層との積層構造で用いることもできる。
作製された電荷輸送膜は、後処理により特性を改良することが可能である。例えば、加熱処理により、成膜時に生じた膜中の歪みを緩和することができ、特性の向上や安定化を図ることができる。更に、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や液体に曝すことにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。これにより、例えば膜中のキャリア密度の増加あるいは減少を行なうことができる。
有機電子デバイスを作製する際の電極や配線には、例えば、金、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、等の導電性高分子;上記の材料に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等がドーピングされた材料;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体、及びそれらがドーピングされた材料;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、及び金属粒子を分散した導電性の複合材料;等の、導電性を有する材料が用いられる。
形成した電荷輸送膜や電極、配線等の表面には、外気の影響を最小限にするために、保護膜を形成することができる。これには、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等のポリマー膜、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。
ポリマー膜の形成方法としては、ポリマー溶液を塗布、乾燥する方法や、モノマー体を塗布あるいは蒸着して重合する方法等が挙げられる。更には、架橋処理を施したり、多層膜を形成したりすることも可能である。無機物の膜の形成には、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
本発明の有機電子デバイスは、その種類に応じて任意の用途に用いることができる。例えば、本発明の電荷輸送材料を用いた電界効果トランジスタは、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することができる。
これは、ゲートに印加される電圧で、ソースとドレインとの間の電流をスイッチング出来ることを利用するものである。これにより、ある表示素子に電圧を印加あるいは電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断する事により、高速、高コントラストな表示を行なうことができる。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
を入れ、40mlの脱水テトラヒドロフラン(以下、「脱水THF」と略す。)に溶解させた。溶液を−20℃まで冷却した後、
を1時間かけて滴下し、その温度で1時間攪拌した。反応溶液を−20℃に保ったまま、脱水THF10mlに溶解させた2−Thiophenecarboxyaldehyde(5.5ml, 58.8mmol)を30分かけて滴下し、その温度を保ちながら1時間攪拌した。反応終了後、この反応溶液に塩酸50ml(4M)をゆっくり加え、室温で一晩攪拌した。その後、酢酸エチル40mlを加え、数分攪拌した。反応溶液をエーテルにより抽出し、得られた有機相を水、5%炭酸水素ナトリウム、水、飽和食塩水の順番で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:3を展開溶媒に用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、3−thienylphthalide(9.36g, 43.3mmol;収率82%)を得た。
FAB−MS:Calcd for C16H10S3 298.45, Found 298.
以下の手順に従って、下記式に表わされる、1,3−Bis(5−bromo−2−thienyl)isothianaphteneを合成した。
を得た。
を得た。
<酸化還元電位測定>
実施例2の高分子のフィルム状態での酸化還元電位は、サイクリックボルタモンメトリー測定(以下、「CV測定」ということがある。)によって測定した。結果を図4に示す。該測定には、北斗電工製HSV−100を使用した。
また、公知のポリイソチアナフテンやポリジチエニルイソチアナフテンと比較して、実施例2のポリマーは酸化電位がかなり低くなっていることがわかった(A. J. Heeger, J. Chem. Phys. 1985, 82, 5717.を参照。)。これはポリマー中の電子供与性のアルコキシベンゼンユニットが寄与しているものと推測される。低い酸化電位を有することからp型半導体として機能するものと思量される。
実施例2の高分子のMALDI−TOF−MS法による分子量の測定を行なった。マトリックスにDithranolを用いて、1mlの1,2−ジクロロベンゼンに10mgのDithranolを溶かし、これをマトリックス溶液とした。次に1mlの1,2−ジクロロベンゼンに1mgのPDITN−Pを溶かしこれをポリマー溶液とした。ポリマー溶液:マトリックス溶液=1μl:4μlの比率で混ぜ、MALDIを測定した。測定には、島津製作所製Shimadzu/Kratos:AXIMA−CFR−plusを使用した。
An = (740×n) + end groups (80 + 127), n = 1,2,3…
Bn = (740×n) + end groups (524 + 127), n = 1,2,3…
Cn = (740×n) + end groups (80 + 376), n = 1,2,3
実施例2の固体状態での秩序構造を調べるため、粉末X線回折とフィルムのX線回折を測定(以下、「XRD測定」という場合がある。)した。測定には、理学電機製RINT2100を使用した。
に長鎖ドデシロキシ基によって隔てられたポリマー主鎖間の鎖間距離に相当するピークが観測され、
にはポリマー同士のπ−πスタックに由来するものと考えられるピークが確認された(図6(a)参照)。
一方フィルムでは、粉末XRDの時と同様に
にポリマー主鎖間の鎖間距離に相当するピークが観測されたが、粉末の時よりも
が長く、またピークは非常にシャープであり、強度にも大きな違いが見られた。しかし、粉末XRDでみられた様な広角側のπ−πスタックに由来するピークはほとんど観測されなかった(図6(b)参照)。
このことから、白金基板上のキャスト膜が高い秩序構造をもって配向していると思量される。
またアルコキシベンゼン間の距離は約15.7Åであり、炭素鎖のヴァンデルワールス半径を考慮してもその距離は15.7−(1.7×2)=12.3Åであり、もう一方のポリマー主鎖のアルコキシ鎖(1.7×2 = 3.4 Å)が入り込むには十分な距離であると思量される。
厚さ300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上に、フォトリソグラフィーで長さ(L)10μm、幅(W)500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。また、この電極と異なる位置の酸化膜をフッ酸/フッ化アンムニウム液でエッチングし、むき出しになったSi部分に金を蒸着し、これをシリコン基板(ゲート電極)に電圧を印加するための電極とした。
このようにして得られた移動度は、1.8×10-3cm2/V・s、Vtは10V、オンオフ比は3.3×104であった。
本発明のイソチアナフテン構造含有高分子は、電子吸引性に優れており、p型有機半導体としての性質を有する。従って、本発明のイソチアナフテン構造含有高分子は、電荷輸送材料として、有機電子デバイスなど各種の用途に好適に用いることができ、極めて有用である。
2 ゲート電極
3 絶縁体層
4 電荷輸送性層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
Claims (8)
- 請求項1又は請求項3に記載のイソチアナフテン構造含有高分子を含有する
ことを特徴とする、電荷輸送材料。 - 請求項4記載の電荷輸送材料を含有する
ことを特徴とする、有機電子デバイス。 - スイッチング素子である
ことを特徴とする、請求項5記載の有機電子デバイス。 - 光電変換素子である
ことを特徴とする、請求項5記載の有機電子デバイス。 - 太陽電池である
ことを特徴とする、請求項5記載の有機電子デバイス。
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