JP4075421B2 - 導電性組成物の製造方法およびコンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度と耐熱性の優れた導電性組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
また、上記導電性組成物を電極として用いた漏れ電流特性および耐熱性に優れたコンデンサに関する。
【0003】
【従来の技術】
一般的にポリアニリン、ポリピロールやポリチオフェンに代表される共役二重結合高分子を含む導電性組成物は、化学酸化重合及び電解重合で作製することができる。
【0004】
化学酸化重合では酸化剤アニオンが、また電解重合では支持電解質アニオンがそれぞれドーパントとして取り込まれて導電性を発現する。
【0005】
さらに化学酸化重合では、粉末状の導電性組成物が、また電解重合では、陽極上にフィルム状の導電性組成物が形成されることが知られている。
【0006】
上記導電性組成物は、固体電解コンデンサの陰極導電層に用いられている。
【0007】
この固体電解コンデンサは、導電性組成物の電気伝導度が、従来の金属酸化物等の陰極導電層よりも桁違いに大きいために、高周波特性の優れた固体電解コンデンサが実現できることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記共役二重結合高分子を含む導電性組成物は、取り込まれたドーパントによって電気伝導度や耐熱性などの特性が大きく変化する。
【0009】
特に、電解重合で得られる導電性組成物の場合は、電気伝導度や耐熱性などの特性に加えて機械的強度も影響されやすいという課題があった。
【0010】
上記耐熱性の改善に対しては、芳香族スルホン酸イオンのような崇高な分子構造を有するドーパントをドープすることにより、脱ドープが抑制されるため、耐熱性の向上を図ることができるとされている。この効果は、例えばナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸等の縮合芳香環を有するイオンは、ベンゼン環よりもさらに崇高な分子構造により、脱ドープが起こりにくいことから耐熱性がさらに高くなる。
【0011】
しかし、このような芳香族スルホン酸イオンがドープされた導電性組成物を電解重合で作製した場合でも、特に、共役二重結合高分子がポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと略す)に、芳香族スルホン酸イオンであるナフタレンスルホン酸イオンをドープした場合、非常にもろく電極から自立したフィルムを剥離することができないという課題を抱えている。
【0012】
このことは、フィルムでの導電性組成物の解析評価を困難にし、さらにコンデンサの電極に応用した場合には、機械的ストレスによりクラックなどの欠陥が発生しやすく、漏れ電流が大きくなる原因になっていた。
【0013】
一方、上記機械的強度の向上に対しては、ビスフェノール−Aとエピクロルヒドロンより合成されたポリヒドロキシポリエーテル(フェノキシ樹脂)に含まれる水酸基を一部硫酸エステル化した高分子ドーパントをドープしたPEDOTにすることにより、機械的強度の向上を図れることが報告されている(H.Yamato他著Synthetic Metals誌(エルゼビア1996年発行)83巻125〜130頁)。
【0014】
しかしながらこのような場合でも、上記高分子ドーパントがドープされたPEDOTは、高分子ドーパントの硫酸エステル基が高温、特に200℃以上の温度で熱分解しやすいために耐熱性が低いという課題を抱えている。
【0015】
また、上記高分子ドーパントが含まれた導電性組成物を陰極導電層に用いた固体電解コンデンサでは、実装時に250℃以上のハンダリフロー温度に暴露されると、等価直列抵抗(以下、ESRと略す)が大きくなるという現象が見られ、実用的に大きな課題を抱えていた。
【0016】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するもので、高い耐熱性と機械的強度を併せ持つ導電性の高い導電性組成物およびその製造方法を提供するとともに、上記導電性組成物を用いて耐熱性に優れ、漏れ電流およびESRの小さいコンデンサおよびその製造方法を提供することを目的としたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから合成されるフェノキシ樹脂を硫酸エステル化して得られる、(化1)で示される高分子アニオンの高分子電解質と芳香族スルホン酸イオンからなる低分子アニオンの低分子電解質と共役二重結合高分子モノマーを有機溶媒に分散する工程と、上記高分子電解質と低分子電解質の濃度比を1:9ないし9:1にして上記有機溶媒に分散された共役二重結合高分子モノマーを電解重合する工程とを備え、上記(化1)で示される高分子アニオンの硫酸エステル化率n/(m+n)が0.1〜0.9の範囲とした製造方法とするものであり、高い導電性を有し、機械的強度ならびに耐熱性に優れた導電性組成物を得ることができるという作用を有する。
【0018】
【化2】
【0019】
なお、有機溶媒は、高分子アニオンの高分子電解質と低分子アニオンの低分子電解質と共役二重結合高分子モノマーを溶解できるものであればどのようなものでも使用可能であり、例えばポリカーボネート等が使用でき、さらに水を添加して用いることもできる。
【0021】
なお、上記高分子アニオンの硫酸エステル化率は残余の水酸基を定量することはできるが、硫酸エステル化率が0.1より低い場合には実質的に導電性組成物は得られない。また、化学平衡論的に硫酸エステル化率が0.9を超えるものは得られない。
【0022】
請求項2に記載の発明は芳香族スルホン酸イオンがナフタレンスルホン酸イオンまたはアントラキノンスルホン酸イオンである製造方法とするものであり、機械的強度を維持して耐熱性に優れた導電性組成物を得ることができるという作用を有する。
【0023】
請求項3に記載の発明は、特に、共役二重結合高分子モノマーがエチレンジオキシチオフェンである製造方法とするものであり、高い導電性の導電性組成物を得ることができるという作用を有する。
【0024】
請求項4に記載の発明は、誘電体と上記誘電体を介して一対の電極を備え、上記一対の電極の少なくとも一方に、請求項1に記載の導電性組成物の製造方法により導電性組成物を形成したコンデンサとするものであり、耐熱性が高く、漏れ電流特性およびESR特性に優れるという作用を有する。
【0025】
請求項5に記載の発明は、特に、誘電体が弁金属の陽極酸化皮膜であるコンデンサであり、また、請求項6に記載の発明は、上記弁金属がアルミニウム、タンタル、ニオブから選ばれたものとするものである。
【0026】
なお、弁金属は、エッチングまたは焼結により、その表面積の拡大がなされたものを使用するのが最適である。
【0027】
また、上記電解重合により導電性組成物を形成する場合には、誘電体表面に導電性のプレコート層を設ける必要があるが、可溶性または分散性の導電性高分子と有機溶媒との混合物を塗布後、有機溶媒を除去することにより設けることができる。
【0028】
また、導電性組成物を形成する前に、化学重合により導電性組成物を形成するかまたは金属酸化物半導体層を形成して、導電性プレコート層として用いることもできる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、特に本発明の請求項1〜4に記載の発明について説明する。
【0030】
高分子電解質として、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから合成されるフェノキシ樹脂(東都化成(株)製の商品名「フェノトートYP−50」)を用い、これを公知の方法(米国特許No.5061401号公報)で硫酸エステル化してテトラブチルアンモニウム塩を得た。この高分子電解質の残余の水酸基の分析から求めた硫酸エステル化率は0.73であった。この高分子電解質0.65gと低分子電解質としてトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム1gを有機溶媒であるプロピレンカーボネート50gと水を0.5gからなる溶媒に溶解し、さらにエチレンジオキシチオフェン(EDOT)を1.42g溶解させて重合溶液を作製した。
【0031】
上記高分子電解質の濃度(繰り返し単位基準)と低分子電解質の濃度はそれぞれ0.025mol/lに相当する。
【0032】
次に、陽極として20mm×30mmのステンレス箔の長手方向の一端にリードを取り付け、深さ20mmまで上記重合溶液に浸漬し、その陽極を取り囲むように離隔して円筒状ステンレスメッシュの陰極を設け、直流電圧4Vを40分間印加して陽極表面に黒色の電解重合膜を形成した。
【0033】
この電解重合膜をエタノールと水で洗浄した後、水でリフトオフして陽極から上記薄膜を剥離し、室温で乾燥させて導電性組成物を得た。
【0034】
(比較例1)
上記実施の形態1において、高分子電解質と低分子電解質を混合して用いる代わりに高分子電解質の濃度0.05mol/lのものを用いた以外は実施の形態1と同様にして導電性組成物を得た。
【0035】
(比較例2)
上記実施の形態1において、高分子電解質と低分子電解質を混合して用いる代わりに、低分子電解質の濃度0.05mol/lのものを用いた以外は実施の形態1と同様にして導電性組成物を得た。
【0036】
この導電性組成物は、陽極表面に黒色の電解重合膜が形成されたが、非常にもろく、陽極から薄膜上に剥離することはできなかった。
【0037】
上記実施の形態1、比較例1および比較例2の導電性組成物について、その機械的強度(180度折り曲げ試験)、耐熱性試験(初期および260℃窒素中で10分加熱後の電気伝導度を4端子法で測定)を行った。その結果を(表1)に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(表1)から明らかなように、機械的強度は、比較例2の導電性組成物はもろいものであったが、実施の形態1および比較例1の導電性組成物は180度折り曲げても破壊せず、元の状態に戻ることが確認された。
【0040】
また、耐熱性試験においては、比較例1の導電性組成物は実施の形態1の導電性組成物に比べて、260℃加熱後の電気伝導度の低下が大きいことが分かる。
【0041】
したがって、上記実施の形態1の導電性組成物は優れた機械的強度と高い耐熱性を兼ね備えていることが判る。これは、硫酸エステル基を含む高分子アニオンと芳香族スルホン酸イオンを含む低分子アニオンの両者がドープされており、前者により強靭な機械的強度が付与され、さらに後者により高い耐熱性が付与されたための効果である。
【0042】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0043】
上記実施の形態1において、高分子電解質の硫酸エステル化率を、(a)0.098、(b)0.21、(c)0.43および(d)0.91とそれぞれ変化させた以外は実施の形態1と同様にして導電性組成物を得た。
【0044】
この導電性組成物はすべて陽極から剥離することができ、180度折り曲げによっても破壊しなかった。
【0045】
また、耐熱性を評価するため、初期および260℃の窒素中で10分間保持した後の電気伝導度の測定を行い、それらの結果を(表1)に示した。
【0046】
上記実施の形態2の導電性組成物は、優れた機械的強度と高い耐熱性を兼ね備えていることが判る。
【0047】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0048】
上記実施の形態1において、低分子電解質トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムを用いる代わりにアントラキノン−2、6−ジスルホン酸2ナトリウムを0.013mol/l用いた以外は実施の形態1と同様にして導電性組成物を得た。
【0049】
この導電性組成物はすべて陽極から剥離することができ、180度折り曲げによっても破壊しなかった。
【0050】
また、上記導電性組成物について、実施の形態1と同様にして電気伝導度の評価を行い、その結果を(表1)に示した。
【0051】
上記実施の形態3の導電性組成物は、優れた機械的強度と高い耐熱性を兼ね備えていることが判る。
【0052】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、特に請求項1に記載の発明について説明する。
【0053】
上記実施の形態1において、高分子電解質と低分子電解質の総濃度を0.05mol/lと一定に保ち、両者の比率を(a)1:9、(b)2.5:7.5、(c)7.5:2.5および(d)9:1とそれぞれ変化させた以外は実施の形態1と同様にして電解重合により導電性組成物を得た。
【0054】
この導電性組成物はすべて陽極から剥離することができ、180度折り曲げによっても破壊しなかった。
【0055】
また、上記導電性組成物について、実施の形態1と同様にして電気伝導度の評価を行い、その結果を(表1)に示した。
【0056】
上記実施の形態4の導電性組成物は、優れた機械的強度と高い耐熱性を兼ね備えていることが判る。
【0057】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、特に請求項5〜7に記載の発明について説明する。
【0058】
図1(a)は、実施の形態5のコンデンサ素子の外観図を示し、同図(b)はコンデンサ素子を用いたコンデンサの断面図を示す。
【0059】
上記コンデンサ素子は、縦8mm×横3.3mmのアルミニウムエッチド箔1を、縦方向に4mmの部分と3mmの部分に仕切るように、画面に渡って幅1mmのポリイミド粘着テープ2を貼り付けた。
【0060】
次に、アルミニウムエッチド箔1の縦方向3mmの部分に陽極リード6を取り付け、縦方向4mmの部分を70℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液を用い、3Vの定電圧を印加し、陽極酸化によりバリア型の陽極酸化皮膜3を形成した。その後、脱イオン水を用いて洗浄し、105℃で乾燥を行った。
【0061】
このときの陽極酸化皮膜3の容量を化成液中で測定したところ、20μFであった。
【0062】
次に、アルミニウムエッチド箔1の縦方向4mmの部分を30%硫酸マンガン水溶液に浸漬後、250℃に加熱して硫酸マンガンを熱分解し、陽極酸化皮膜3の表面に二酸化マンガン層(図示せず)を形成した。
【0063】
次に、ステンレス製の重合開始電極をポリイミド粘着テープ2に接触させ、上記実施の形態1で用いた重合溶液に浸漬して、別途重合溶液内に離隔して設けた陰極との間に4Vの直流電圧を印加して電解重合を行った。
【0064】
その後、縦方向4mmの部分が導電性組成物4で覆われたコンデンサ素子を洗浄乾燥後、カーボン層と銀ペイント層からなる集電体層5を形成するとともに、陰極リード7を取り付けた。
【0065】
さらにエポキシ樹脂を用いて外装(図示せず)後エージング処理を行い、10個のコンデンサを作製した。
【0066】
(比較例3)
上記実施の形態5において、重合溶液を(a)上記比較例1で用いた重合溶液と同じ材料、組成の重合溶液を用いた、(b)上記比較例2で用いた重合溶液と同じ材料、組成の重合溶液を用いた以外は上記実施の形態5と同様にして10個のコンデンサを作製した。
【0067】
上記実施の形態5および比較例3のコンデンサについて、1kHzの容量、損失係数、2Vの電圧を2分間印加した後の漏れ電流および400kHzの等価直列抵抗をそれぞれ測定した。また、260℃の恒温器に10分保持した後、上記特性を測定した。それらの平均値を以下の(表2)に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
(表2)から明らかなように、比較例3(a)で得られたコンデンサの導電性組成物には、硫酸エステル化された高分子アニオンのみドーパントとして含まれているため、恒温加熱処理後の劣化が大きく、これに起因してコンデンサの損失係数と等価直列抵抗が大きくなっている。
【0070】
一方、比較例3(b)で得られたコンデンサの導電性組成物は均質なフィルム状になっていないために、集電体層が陽極と接触して漏れ電流が大きくなっていることが分かる。
【0071】
これに対して、実施の形態5のコンデンサでは、高分子アニオンと低分子アニオンからなる複合ドーパントがドープされた導電性組成物が用いられており、機械的に強靭な薄膜状でかつ耐熱性にも優れているために、漏れ電流特性ならびに耐熱性に優れたコンデンサが得られることが判明した。
【0072】
(実施の形態6)
まず、1.3×2.1×1.6mmのタンタル線陽極リード付きタンタル焼結体からなる電極に対して、燐酸5mlを1000mlの水に溶解した溶液を用い、約90℃で18Vを印加して、陽極酸化により陽極酸化皮膜を形成した。
【0073】
その後、脱イオン水を用いて洗浄し、105℃で乾燥を行った。
【0074】
このときの陽極酸化皮膜の容量を化成液中で測定したところ、121μFであった。
【0075】
次に、この焼結体をエチレンジオキシチオフェン:p−トルエンスルホン酸第2鉄:n−ブタノール:水=1:8:10:10(重量比)からなる溶液に浸漬後、80℃で1時間加熱して、ポリエチレンジオキシチオフェン層を焼結体内部に形成させ、その後エタノールで洗浄した。この操作を数回繰り返して行った。
【0076】
次に、ステンレス製の重合開始電極を焼結体に接触させ、上記実施の形態1に記載したものと同じ材料組成を含む重合溶液に浸漬して、別途系内に離隔して設けた陰極との間に4Vの直流電圧を印加し、焼結体全面が導電性組成物で覆われるまで電解重合を行った。
【0077】
その後、上記実施の形態5と同様にして10個のコンデンサを作製した。
【0078】
(比較例4)
上記実施の形態6において、重合溶液を(a)比較例1で用いた重合溶液と同じ材料、組成の重合溶液を用いた、(b)比較例2で用いた重合溶液と同じ材料、組成の重合溶液を用いた以外は実施の形態6と同様にして10個のコンデンサを作製した。
【0079】
上記実施の形態6および比較例4のコンデンサについて、上記実施の形態5と同様の評価を行った。それらの平均値を(表2)に示した。
【0080】
この(表2)からも判るように、比較例4(a)で得られたコンデンサの導電性組成物は、硫酸エステル化された高分子アニオンのみドーパントとして含まれているため、高温加熱処理後の劣化が大きく、これに起因してコンデンサの損失係数と等価直列抵抗が大きくなっている。
【0081】
一方、比較例4(b)で得られたコンデンサの導電性組成物は、導電性組成物の機械的強度が低いためにクラックを生じ、集電体層が陽極と接触して漏れ電流が大きくなっているものと考えられる。
【0082】
これに対して、実施の形態6のコンデンサは漏れ電流が小さく、さらに耐熱性にも優れていることが示され、高分子アニオンと低分子アニオンとをドーパントとして含む導電性組成物を陰極導電層に用いる本発明の効果が明らかである。
【0083】
なお、本発明の実施の形態では、アルミニウムおよびタンタルを陽極に用い、陰極導電層に導電性組成物を用いた場合についてのみ述べたが、ニオブなど他の弁金属を用いたコンデンサの陰極導電層に用いることもでき、また誘電体が例えば高分子フィルムで構成されたフィルムコンデンサにも適用することもできる。
【0084】
また、低分子アニオンとしてナフタレンスルホン酸イオンがアルキル化されたものを用いた場合についてのみ述べたが、アルキル基のないものを用いることもでき、アントラキノンスルホン酸イオンについても、ジスルホン酸イオン以外にモノスルホン酸イオンを用いても同様の効果が得られ、本発明は低分子アニオンのスルホン化数に限定されない。
【0085】
また、有機溶媒にプロピレンカーボネートと水を用いる場合についてのみ述べたが、高分子電解質および低分子電解質および共役二重結合高分子モノマーを実質的に溶解する溶媒であれば他の溶媒を用いてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高分子アニオンと低分子アニオンをドーパントとして含む共役二重結合高分子からなるものであり、高い導電性を有し、機械的強度ならびに耐熱性に優れた導電性組成物を得ることができる。
【0087】
また、誘電体と上記誘電体を介して一対の電極を備え、上記一対の電極の少なくとも一方に、上記導電性組成物を用いたコンデンサとすることにより、耐熱性が高く、漏れ電流特性およびESR特性に優れたものを得ることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施の形態5におけるコンデンサ素子の外観を示す正面図
(b)同コンデンサ素子を用いたコンデンサの断面図
【符号の説明】
1 アルミニウムエッチド箔
2 ポリイミド粘着テープ
3 陽極酸化皮膜
4 導電性組成物
5 集電体層
6 陽極リード
7 陰極リード
Claims (6)
- 芳香族スルホン酸イオンがナフタレンスルホン酸イオンまたはアントラキノンスルホン酸イオンである請求項1に記載の導電性組成物の製造方法。
- 共役二重結合高分子モノマーがエチレンジオキシチオフェンである請求項1に記載の導電性組成物の製造方法。
- 誘電体と上記誘電体を介して一対の電極を備え、上記一対の電極の少なくとも一方に、請求項1に記載の導電性組成物の製造方法により導電性組成物を形成したコンデンサ。
- 誘電体が弁金属の陽極酸化皮膜である請求項4に記載のコンデンサ。
- 弁金属がアルミニウム、タンタル、ニオブから選ばれる請求項5に記載のコンデンサ。
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