JP4895172B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性重合体を固体電解質層として用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
固体電解コンデンサの基本素子は、図9に示すように、一般にエッチング処理された比表面積の大きな金属箔からなる陽極基体(1)に誘電体の酸化皮膜層(2)を形成し、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)(4)を形成し、そして望ましくはさらに導電ペーストなどの導電体層(5)を形成して作製される。次いで、このような素子を単独で、あるいは積層してリード線(6,7)を接合し、全体をエポキシ樹脂等の封止樹脂(8)で完全に封止して固体電解コンデンサ(9)部品として幅広く電気製品に使用している。
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、小型で大容量のコンデンサ、高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されている。最近では、電子伝導性を有する導電性重合体を固体電解質として用いることが提案されている。
一般的に、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成する手法として電解酸化重合法及び化学酸化重合法が知られている。化学酸化重合法は、反応の制御あるいは重合膜形態の制御が難しいが、固体電解質の形成が容易で、短時間に大量生産が可能であるため種々の方法が提案されている。例えば、陽極基体をモノマーを含む溶液に浸漬する工程と酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を交互に繰り返すことにより層状構造を有する固体電解質を形成する方法が開示されている(特許文献1:特許第3187380号公報)。この方法によれば、膜厚が0.01〜5μmの層状構造の固体電解質層を形成することによって、高容量、低インピーダンス、かつ耐熱性に優れた固体電解コンデンサを製造することができるが、それらの特性を発現するためにはコンデンサ素子の細孔内及び外表面を完全に覆うために厚く固体電解質膜を形成する必要があり、コンデンサ素子を複数積層する積層型コンデンサ用の素子として利用するために固体電解質層全体の一層の薄膜化が求められている。
コンデンサ素子の細孔内及び外表面に固体電解質を均一に形成するために種々の技術が開示されている。たとえば、導電性重合体を形成する過程で、陽極体に付着させる酸化剤の、陽極体の外表面における付着量の分布状態を制御することによって導電性重合体の厚さを制御する方法が開示されている(特許文献2:特開2003-188052号公報)。また、外周面、とりわけコーナー部への重合膜形成が重要であることが開示されている(特許文献3:特開2001-143968号公報)。
一方、電極箔のバリを除去することより固体電解コンデンサのショート不良率を低減できることが開示されている(特許文献4:特開平1-251605号公報および特許文献5:特開2004-296611号公報)。特許文献4におけるバリとは、切断時に発生する電極箔の外側に発生する部分とされており、プレスにより電極箔の切断端部が楔型、凸状、略半楕円、略R状、斜面の何れかの組み合わせとする方法が開示されている。プレスによる成型は、電極箔に存在する多孔質層を破壊することになり信頼性が低下する。また、プレスした後のバリの状態や電極箔の側面の微細構造、バリが電極箔に発生する由来等に関する明確な記載はない。一方、特許文献5では、予め切り込みを入れた弁金属箔を化成処理したのち物理的に切断することにより弁金属箔のバリ発生を防止している。本方法は、バリ発生の防止には有効であるが、切断後の切り口には新たな金属表面が発生する。このため本弁金属箔は、そのままではコンデンサの電極としては使用できず、煩雑な化成処理を再び繰り返す必要があり経済的な方法ではない。
特許第3187380号公報 特開2003−188052号公報 特開2001−143968号公報 特開平1−251605号公報 特開2004−296611号公報
所定の容量の固体電解コンデンサとするためには、通常コンデンサ素子を複数個積層して陽極端子に陽極リード線を接続し、導電性重合体を含む導電体層に陰極リード線を接続し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で封止して作製されるが、固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子の陰極部分で導電性重合体の重合条件をコントロ−ルして導電性重合体を厚くする必要がある。コンデンサ素子の陰極部分の導電性重合体の重合条件を綿密にコントロールしなければ、導電性重合体の厚さが不均一になり導電性重合体の薄い部分ができ、ペーストなどが誘電体酸化皮膜層と直接接触しやすくなり、漏れ電流の上昇につながるからである。また、所定の大きさの固体電解コンデンサチップに積層できるコンデンサ素子の枚数は素子の厚さによって制限されるため、固体電解コンデンサチップの容量を大きくすることができなかった。特に、コンデンサ素子において表面積の小さな側面部及び端面の稜辺(エッジ)部においては導電性重合体の付着厚さが不均一となり易く、導電性重合体の薄い部分で積層されたコンデンサ素子とコンデンサ素子が直接接触しやすくなり漏れ電流の上昇が起きやすいという問題があった。
従って、本発明の課題は、上記の問題点を解決し、短絡不良を増加させること無く素子形状のバラツキを少なく、かつ薄いコンデンサ素子を安定して作製し、固体電解コンデンサチップ内のコンデンサ素子の積層枚数を増やして高容量化を可能とし、さらに等価直列抵抗のバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサ素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、稜辺の少なくとも一部を面取りした陽極基体を用いることにより、引き続く誘電体皮膜上にモノマーを酸化剤により重合させて固体電解質層を形成する過程において、弁作用金属のコーナー部及び側面部への重合膜形成が均一に進むことを見出した。すなわち、陽極基体のコーナー部の角度を90°超とすることにより当該コーナー部分への重合膜形成が均一に進むことを見出し本発明に至った。
さらに、面取りを施した陽極基体の微細孔を有しない弁金属層が切断刃に追随して引き伸ばされて形成される切断表面の短軸方向に対して斜めもしくは平行に溝を含む構造とすることにより溶液を保持する能力のない当該部分表面への吸液を助け重合膜形成を容易かつ均一にする効果があることを見出した。
かくして得られる固体電解コンデンサは、誘電体皮膜上に形成される固体電解質の密着性が向上し、高容量で、誘電損失(tanδ)、漏れ電流、不良率が小さくなることを確認した。さらに、上記の特性に優れた固体電解コンデンサ素子を複数枚積層することによりコンデンサの小型・高容量化ができることを確認した。
すなわち、本発明は以下に示す固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ用陽極基体及び固体電解コンデンサの製造方法に関する。
すなわち、本発明は以下に示す稜辺の少なくとも一部を面取りした陽極基体を含む固体電解コンデンサ、その固体電解コンデンサで用いる、面取りが施されている固体電解コンデンサ用陽極基体、その固体電解コンデンサ用陽極基体上に誘電体皮膜と固体電解質層を設けるか、または予め誘電体皮膜を設けた固体電解コンデンサ用陽極基体上に固体電解質層を設ける固体電解コンデンサの製造方法、その製造方法で製造された固体電解コンデンサに関する。
1.稜辺の少なくとも一部を面取りした陽極基体を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ。
2.陽極基体が平板状または箔状であり、少なくとも固体電解質層を設ける領域について、陽極基体の上面及び/または下面と側面及び/または端面との間の稜辺が面取りされている前記1に記載の固体電解コンデンサ。
3.面取り部位における陽極基体の上面及び/または下面と側面及び/または端面との間のコーナー部の角度が90°を超え180°未満である前記2に記載の固体電解コンデンサ。
4.陽極基体の側面及び/または端面の厚み方向の断面形状が、先端の角度が90°以上180°未満である楔型である前記3に記載の固体電解コンデンサ。
5.面取り後における陽極基体の上面と下面の幅及び/または長さが異なる前記1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
6.面取り後における陽極基体の側面及び/または端面の厚み方向の断面形状が、三角形以上の凸多角形であり、前記断面形状を構成するコーナー部の各内角が90°を超え180°未満である前記1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
7.陽極基体が、面取り処理を施した陽極基体に含まれる微細孔を有しない弁金属層が切断刃に追随して引き伸ばされて形成される切断表面の短軸方向に対して斜めもしくは平行な溝を含む陽極基体である前記1に記載の固体電解コンデンサ。
8.陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝の幅が0.1〜100μmである前記7に記載の固体電解コンデンサ。
9.陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝のピッチが0.1〜100μmである前記7に記載の固体電解コンデンサ。
10.陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝の深さが0.1〜10μmである前記7に記載の固体電解コンデンサ。
11.陽極基体が弁作用金属である前記1〜10のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
12.前記1〜11のいずれかに記載の固体電解コンデンサで用いる、面取りが施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極基体。
13.陽極基体の稜辺にカッターを斜めに当てて面取りを施してなる前記12に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
14.陽極基体の原板にスリッタを斜めに当てて上面と切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超える陽極基体の中間製品を形成し、次いで、この中間製品の下面側の稜辺にカッターを斜めに当てて前記スリッター切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超えるように切断を行なうことにより上下両稜辺の面取りが施された形状とした前記12に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
15.陽極基体の原板にスリッタを斜めに当てて下面と切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超える陽極基体の中間製品を形成し、次いで、この中間製品の上面側の稜辺にカッターを斜めに当てて前記スリッター切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超えるように切断を行なうことにより上下両稜辺の面取りが施された形状とした前記12に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
16.厚刃と薄刃の2枚の刃を合わせてなる複数の円盤状刃ユニットを微小な間隙を隔てて互い違いに配設することにより、一の円盤状刃ユニットの厚刃と他の円盤状刃ユニットの薄刃の間で切断を行ない得るようにしたスリッタを用い、陽極基体の原板を前記互い違いに配設した円盤状刃ユニット間に通して刃の切断方向に対して1〜15度傾いた方向に排出されるように前記間隙を調整して切断した前記12に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
17回転する弾力性のある支持基体の表面に存在する研磨材の表面に切断された陽極基体の側面表面を押し当てることにより面取りをした前記12に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
18.前記12〜17のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用陽極基体上に誘電体皮膜と固体電解質層を設けることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
19.前記12〜17のいずれかに記載の予め誘電体皮膜を設けた固体電解コンデンサ用陽極基体上に固体電解質層を設けることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
20.モノマーを含む溶液に浸漬後乾燥する工程(工程1)、酸化剤を含む溶液に浸漬後乾燥する工程(工程2)を含む方法により、誘電体皮膜層を有する弁作用金属に固体電解質層を設けることを特徴とする前記18または19に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
21.誘電体皮膜層を有する弁作用金属をモノマー化合物を含む溶液に浸漬後乾燥する工程1、酸化剤を含む溶液に浸漬後乾燥する工程2を複数回繰り返す方法により誘電体皮膜層を有する弁作用金属に固体電解質層を設けることを特徴とする前記20に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
22.酸化剤が過硫酸塩である前記20または前記21に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
23.酸化剤を含む溶液が有機微粒子を含む懸濁液である前記20または前記21に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
24.有機微粒子の平均粒子径(D50)が、0.1〜20μmの範囲である前記23に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
25.有機微粒子が脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、それらの塩、及びペプチド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記23または24に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
26.前記18〜25のいずれかに記載の製造方法で製造された固体電解コンデンサ。
本発明によれば、短絡不良が少なく、素子形状のバラツキが少なく、薄いコンデンサ素子を安定して作製でき、固体電解コンデンサチップ内のコンデンサ素子の積層枚数を増やして高容量化することが可能で、等価直列抵抗のバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサに適した固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の方法を説明する。
本発明においては、固体電解コンデンサに用いる陽極基体が、その厚み方向の断面形状において90°以下であるコーナー部分を有しないか、90°以下であるコーナー部領域が低減されているものである。すなわち、図1において破線で示すように、従来の固体電解コンデンサ用陽極基体では、その厚み方向の断面形状のコーナー部が実質的に直角であるが、本発明では図1実線に示すように稜辺に沿って面取りした形状とする。この結果、陽極基体のコーナー部分aまたはbの角度は90°を超え180°未満となる。なお、本明細書及びこれに添付する特許請求の範囲において、「面取りした陽極基体」は、「面取り」操作を行なって得られ得る形状を有すればよく、実際に「面取り」操作を行なって得られる「陽極基体」のみならず、何らかの成形方法でそのような「面取り」後の形状を実現した陽極基体を含む。
面取りは、陽極基体の全稜辺について行なってもよいが、上面と側面(端面)との間のコーナー部分(図1のA1)のみについて行なってもよく、下面と側面(端面)との間のコーナー部分(図1のA2)のみについて行なってもよい。また、陽極基体の上下面と側面との間のコーナー部分のみについて行なってもよいし、陽極基体の上下面と端面との間のコーナー部分のみについて行なってもよい。また、これらの部分の一部についてのみ行なってもよい。ここで、「側面」とは、陽極基体の長辺(後述する固体電解コンデンサの製造プロセスにおいて液面に垂直な辺)に沿った面であり、「端面」とは、陽極基体の短辺(後述する固体電解コンデンサの製造プロセスにおいて浸漬時に液面に水平で浸漬される側の辺)に沿った面である。
好ましくは固体電解質層を形成する領域全体にわたって稜辺の面取りを行なう。
本発明において面取りにより実現される断面形状は様々である。典型的には陽極基板の厚み方向の断面形状が楔型となるように面取りを行ない、楔型形状を構成する3箇所のコーナー部の1箇所のコーナー部の角度が90°以上180°未満であり、それ以外の2箇所のコーナー部の角度が90°を越え180°未満である陽極基板を含む。また、例えば、図1に示すように厚み方向の断面形状が三角形abcであるように面取りを行なうことができるが、図2に示すように厚み方向の断面形状が台型abP(p1,p2)であるように面取りを行なってもよい。この場合、面Pは面取り前の側面(または端面)を残したものでもよいし、一度、図1のように三角形abcにした後にその先端部cをさらに面取りしたものでもよい。
また、三角形abc形状(図3;図1において斜線部分を除いたもの)の場合、その先端部cの角度cは90°以上180°未満が好ましく、90°超180°未満がより好ましい。また、図2、3において角度a、bは異なっていてもよいし同一でもよい。この楔型形状を構成するコーナー部の角度aと角度bがおのおの90°を越え180°未満であるのが好ましい。さらに、楔型形状を構成するコーナー部の角度a、角度bがおのおの90°を越え180°未満であって、角度cが90°以上180°未満であるのが好ましい。
図1〜3においては、上面のコーナー部aの頂点から下面に対し垂直に下ろした垂線が下面のコーナー部bと交わってもよいが、上面のコーナー部aの頂点から下面に対し垂直に下ろした垂線が下面のコーナー部dと交わることのない場合(図4においてx>0)も本発明に含まれる。また、上面のコーナー部aの頂点から下面に対し垂直に下ろした垂線がコーナー部fと交わることなく、y>0となる場合(図5)も本発明に含まれる。このようにして形成された断面形状は三角形以上の凸多角形を含み、前記断面形状を構成するコーナー部の各角度は好ましくは90°以上180°未満である(但し、凸多角形が四角形でコーナー部の角度がすべて90°の場合を除く。)。
なお、図4の場合、図示する面取り処理を施した切断表面部分が上記の意味で「側面」である場合は陽極基体の下面の幅が上面の幅よりも片側でxだけ長い(図示していないもう一方の側面についても同じ面取りを行なってもよく、この場合には下面の幅は上面の幅よりも合計で2xだけ長い。)。図4に示す前記部分が、上記の意味で「端面」である場合は陽極基体の下面の長さが上面の長さよりもxだけ長い。また、図4の場合、楔型形状を構成するコーナー部の角度a、角度eがおのおの90°を越え180°未満であって、角度dが90°以上180°未満、x>0であることが好ましい。
図5の場合、図示する部分が上記の意味で「側面」である場合は陽極基体の下面の幅が上面の幅よりも片側でyだけ短い(図示していないもう一方の側面についても同じ面取りを行なってもよく、この場合には下面の幅は上面の幅よりも合計で2yだけ短い。)。また、図5に示す部分が、上記の意味で「端面」である場合は陽極基体の下面の長さが上面の長さよりもyだけ短い。また、図5の場合、楔型形状を構成するコーナー部の角度a、角度fがおのおの90°を越え180°未満であって、角度gが90°以上180°未満、y>0であることが好ましい。
また、図2において図1の角cをさらに面取りしているように、角a、b、c、d、e、f、gのいずれかをさらに面取りしてもよく、そのような面取りにより生じた角をさらに面取りすることも可能である。しかし、通常、陽極基体は数十〜数百μm程度の厚さであるため、図1〜5の形状が現実的である。
また、面取りの形態は、各稜辺について異なっていてもよいし同一でもよい。
一般に、微細孔を有する多孔質体は、その表面に存在する孔にモノマー溶液および酸化剤溶液を当該表面に浸漬や噴霧等の方法で付着または吸液させ、その状態を維持することによって化学酸化重合を生起させて重合膜が形成される。しかしながら、微細孔を有しない弁金属層は、表面に浸漬や噴霧等の方法で付着させたモノマー溶液および酸化剤溶液が、その表面がスムーズ(滑らか)であるために局部的に凝集し、凝集した溶液が雫となって流れ落ちるために保持されず、効率的な化学酸化重合が進行していないことを発見した。本発明において形成される切断表面の溝は、微細孔を有しない弁金属層のスムーズな表面を粗面化することで、モノマー溶液および酸化剤溶液の当該表面における溶液保持能力を向上させることにより、従来困難であった、微細孔を有しない弁金属表面やコーナー部分への重合膜形成を、効率的に進めるために有効であることを見出した。なお、本発明において形成される切断表面には、その切断表面を有する微細孔を有しない弁金属延伸層の切断表面が含まれる。
すなわち、本発明の微細孔を有する弁金属層と微細孔を有しない弁金属層とを含む金属基板を斜め切断した陽極其体に含まれる微細孔を有しない弁金属層は、切断の際に切断刃に引き摺られ、追随して引き伸ばされて形成される切断表面に溝を含んでいることが好ましく、切断表面の短軸方向に対して斜めもしくは平行な溝を含むことがより好ましい。より具体的には、切断表面の短軸方向に対して、好ましくは0度以上〜80度以下、より好ましくは0度以上〜45度以下、特に好ましくは0度以上〜30度以下の範囲で斜めもしくは平行な溝である。この斜めもしくは平行な溝が切断表面の短軸方向に対して80度を越える場合は、もはや溶液を保持する能力が低下し好ましくない。
本発明において形成される切断表面の溝の幅は、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。溝の幅が1000μmを越えると幅が広くなりすぎてもはや溶液の保持能力は期待できなくなるので好ましくない。溝の幅が0.1μm未満の場合は、表面がスムーズな表面と実質的に同等となってしまい好ましくない。
本発明において形成される切断表面の溝のピッチは、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。溝のピッチが1000μmを越えると溝と溝の間隔が広くなりすぎて、溝の数が増えるにつれて増大する溶液保持の相乗効果が期待できなくなるので好ましくない。溝のピッチが0.1μm未満の場合は表面がスムーズな表面と実質的に同等となってしまい好ましくない。
本発明において形成される切断表面の溝の深さは、陽極基体の厚さにより異なるためいちがいには規定できないが、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。なお、この溝の深さは、陽極基体の厚みの1〜10%の範囲が好ましい。
本発明において形成される切断表面の溝は、円盤状刃ユニットの刃表面切断に使用する円盤状刃ユニットに所望の微小な溝を形成することによって形成することができる。さらに円盤状刃ユニットの刃表面に微細な粉体を付着させることによっても形成させることができる。本発明の陽極基体の製造で使用される刃の溝は、外周部表面もしくは外周部表面と円盤平面とのなす稜辺部分に形成させることが好ましい。
本発明の陽極基体の製造で使用される刃の溝の幅は、0.1〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10μmである。
本発明の陽極基体の製造で使用される刃の溝のピッチは、0.1〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10μmである。
本発明の陽極基体の製造で使用される刃の溝の深さは、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜1μmの範囲がより好ましい。なお、溝の深さは、陽極基体の厚みの0.01〜5%の範囲が好ましい。
さらに、陽極基体の切断表面の溝は、円盤刃ユニットの刃表面に微細な粉体を付着させることによっても形成させることができる。本発明において使用される粉体として、より具体的には、陽極基体を構成する素材と同一素材であることが好ましく、その酸化物もしくは窒化物がより好ましい。アルミニウムを基材とする場合には、酸化アルミニウム(アルミナ)もしくは、表面に酸化皮膜を有するアルミニウム粉末を例として挙げることができる。タンタル・ニオブ等の場合には、酸化タンタル、酸化ニオブ等を例として挙げることができる。
なお微細な粉末を円盤状刃ユニットの刃表面に付着させ切断する場合は、粉末が凝集し二次粒子を形成するために使用する粉末径よりも部分的に溝のサイズが大きくなる場合があるが本発明においては特に問題なく使用できる。
本発明において使用される粉末は、その二次粒子のサイズあるいは一次粒子のサイズが、0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.01〜1μmの範囲がより好ましい。
上記のような陽極基体は、例えば、陽極基体の稜辺にカッターを斜めに当てて面取りを施すことにより製造できる。陽極基体の上下から同時にカッターを押し当てて上下の各稜辺を同時に面取りしてもよい。
また、側面については、陽極基体の原板にスリッタを斜めに当てて上面と切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超える陽極基体の中間製品を形成し、次いで、この中間製品の下面側の稜辺にカッターを斜めに当てて前記スリッタ切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超えるように切断を行なうことにより面取り形状を実現してもよく、その反対(下面側からスリッタで切断を行なってから上面側の面取り処理を行なう。)でもよい。また、厚刃と薄刃の2枚の刃を合わせてなる複数の円盤状刃ユニットを微小な間隙を隔てて互い違いに配設することにより、一の円盤状刃ユニットの厚刃と他の円盤状刃ユニットの薄刃の間で切断を行ない得るようにしたスリッタを用い、陽極基体の原板を前記互い違いに配設した円盤状刃ユニット間に通して刃の切断方向に対して1〜15度傾いた方向に排出されるように前記間隙を調整して切断してもよい。
一方、本発明の楔形形状を有する陽極基体は、一旦切断された側面をリボン状もしくは一定量巻き取られたフープ状で当該側面を研磨して製造することができる。より詳しくは、弾力性のある支持基体の表面に存在する研磨材に切断された化成箔の側面表面を押し当てることにより面取りして製造できる。多孔質で微細孔を有する弁金属層で挟み込まれた微細孔を有しない弁金属層を有する陽極基体は、微細孔を有する弁金属層が微細孔を有しない弁金属層よりも脆くその強度が低いことから研磨材に押し当てると微細孔を有する弁金属層が選択的に研磨され本発明の楔形形状の側面を形成することができることを見出した。面取りは、弾力性のある支持基板の表面に存在する研磨材を使用することがより好ましい。すなわち、弾力性のある支持基板を用いた場合、より強度の高い微細孔を有しない弁金属層を頂点にして支持基板が撓ることでその両面に存在する微細孔を有する弁金属層が優先して研磨される。弾力性のない支持基体の表面に存在する研磨材に切断された化成箔の側面表面を押し当てると微細孔を有しない弁金属層が引き伸ばされ好ましくない。
なかでも、フープ状に巻き取られた陽極基体を研磨する場合、使用される研磨材は、120番から2400番が好ましく、320番から500番がより好ましい。研磨は、シングルアクションとダブルアクションによるグラインダー等の回転する基体に存在する研磨材を用いた研磨により製造できるが、ダブルアクションによる研磨がより好ましい。ダブルアクションによる研磨は、フープ材の巻きずれのある部分を解消するために全体を削り込んでいっても微細孔を有しない弁金属層が引き伸ばされることなく均一に研磨することができることから特に好ましい。
微細孔を有しない弁金属層の表面への溝形成は、側面部分の研磨と同時に実施する方法が効率的で好ましい。しかしながら、側面部分の研磨によって所望の溝が形成されない場合にあっては、別途溝加工のための研磨を実施することも可能である。特に研磨に要する時間を短縮するには、研磨表面への溝加工と区分して実施するほうが効率的な場合がある。より具体的には、フープ材の巻きずれが大きく多量の研削加工を要する場合には別途溝加工のための研磨をする方法が好んで選択される。
本発明に使用する基体は、表面に誘電体皮膜を有する。これは、通常、弁作用を有する金属の多孔質成形体を化成処理すること等により形成される。
本発明に使用できる弁作用を有する金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの金属単体、またはこれらの合金である。また多孔質の形態については、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体の形態であればいずれでもよい。
陽極基体としては、これら金属の多孔質焼結体、エッチング等で表面処理された板(リボン、箔等を含む。)等が使用できるが、好ましくは平板状、箔状のものである。
さらに、この金属多孔体の表面に誘電体酸化皮膜を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、アルミニウム箔を使用する場合には、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩などを含む水溶液中で陽極酸化して酸化皮膜を形成することができる。また、タンタル粉末の焼結体を使用する場合には、リン酸水溶液中で陽極酸化して、焼結体に酸化皮膜を形成することができる。
例えば、弁作用金属箔の厚さは、使用目的によって異なるが、厚みが約40〜300μmの箔が使用される。薄型の固体電解コンデンサとするためには、例えばアルミニウム箔では、80〜250μmのものを使用し、固体電解コンデンサを設けた素子の最大高さを250μm以下となるようにすることが好ましい。金属箔の大きさ及び形状も用途により異なるが、平板状素子単位として幅約1〜50mm、長さ約1〜50mmの矩形のものが好ましく、より好ましくは幅約2〜15mm、長さ約2〜25mmである。
化成に用いる化成液、化成電圧等の化成条件は、製造される固体電解コンデンサに必要な容量、耐電圧等に応じて、予め実験により確認し適当な値に設定する。なお、化成処理に際しては、化成液が固体電解コンデンサの陽極となる部分に滲み上がるのを防止し、かつ後工程で形成される固体電解質(4)(陰極部分)との絶縁を確実とするために一般的にマスキング(3)が設けられる(図9参照)。
マスキング材としては一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶あるいは膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などが使用できるが、材料には制限されない。具体例としてはポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、低分子量ポリイミド及びそれらの誘導体及びその前駆体などが挙げられ、特に低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂及びそれらの前駆体が好ましい。
本発明は、弁作用金属多孔体基板を酸化剤溶液に浸漬した後乾燥して、酸化剤溶液濃度を基板上で徐々に高める工程を含む有機重合体モノマーの化学酸化重合を基本とする。本発明の化学酸化重合法では、モノマーを陽極基体の微細孔を有する誘電体皮膜上に付着させ、導電性重合体のドーパントとなり得る化合物の存在下、酸化的重合を生起させ、生じた重合体組成物を該固体電解質として誘電体表面上に形成させる。
本発明の方法によって形成される導電性重合体の固体電解質層は、フィブリル構造あるいはラメラ(薄い層状)構造をなしており、このような構造では広範囲に亘る重合体鎖間の重なりがある。本発明では、固体電解質層の全体の厚さを約10〜約100μmの範囲にし、重合体の層状構造の空間を0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜2μmの範囲にし、重合膜全体に占める固体電解質の各層間の空間占有率を0.1〜20%の範囲にすることによって、重合体鎖間の電子ホッピングが容易となり電気伝導度が向上し、低インピーダンス等の特性の向上することを見出した。
以下、本発明における微細孔を有する弁作用金属表面に形成された誘電体皮膜上に固体電解質層を形成する方法について順を追って説明する。
本発明におけるモノマーを含む溶液に浸漬後乾燥する第1処理工程は、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを供給するために実施される。さらに、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを均一に付着させるためにモノマー含有液を含浸後、一定の時間空気中で放置し溶媒を気化させる。この条件は溶媒の種類によって変わるが、概ね0℃以上から溶媒の沸点までの温度で行う。放置時間は、溶媒の種類によって変わるが、概ね5秒〜15分、例えばアルコール系溶媒では、5分以内でよい。この放置時間を設けることによりモノマーが誘電体表面上に均一に付着し、さらに次工程の酸化剤含有液への浸漬時の汚れを少なくすることができる。
モノマーの供給は、モノマーを含有する溶液に用いられる溶剤の種類、モノマー含有液の濃度、溶液温度、浸漬時間等によって制御することができる。
第1処理工程で適用される浸漬時間は、含有液中のモノマー成分が金属箔基板の誘電体表面上に付着するに十分な時間以上15分未満の時間、好ましくは0.1秒〜10分、より好ましくは1秒〜7分とする。
また、浸漬温度は、−10〜60℃が好ましく、0〜40℃が特に好ましい。−10℃未満では、溶剤が揮発するのに時間がかかり反応時間が長くなることから好ましくなく、60℃を超えると、溶剤及びモノマーの揮発を無視することができず濃度管理が困難になる。
モノマー含有液の濃度は特に限定されず、任意の濃度のものを用いることができるが、弁作用金属の微細孔内への含浸性が優れた3〜70質量%が好ましく、より好ましくは25〜45質量%で使用される。
第1処理工程で使用される溶液の溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
本発明においてモノマーは、酸化剤含有液への浸漬及び一定の温度範囲において所定時間空気中で保持する第2処理工程により酸化重合されるが、重合膜の形態をより緻密にするためには、空気中で保持する酸化重合を主とする方法が好ましい。空気中で保持する温度は、モノマーの種類により異なるが、例えばピロールでは5℃以下でよく、チオフェン系では約30〜60℃を必要とする。
重合時間は浸漬時のモノマーの付着量による。付着量はモノマー及び酸化剤含有液の濃度や粘度等で変わるので一概に規定できないが、一般に1回の付着量を少なくすると重合時間を短くすることができ、また1回の付着量を多くするとより長い重合時間が必要となる。本発明の方法では、一回の重合時間は10秒〜30分、好ましくは3〜15分とする。
第2処理工程として適用される浸漬時間は、酸化剤成分が金属箔基板の誘電体表面上に付着するに十分な時間以上15分未満の時間、好ましくは0.1秒〜10分、より好ましくは1秒〜7分とする。
第2処理工程において用いられる酸化剤としては、水溶液系の酸化剤と有機溶剤系の酸化剤が挙げられる。本発明で好ましく使用される水溶液系の酸化剤としては、ペルオキソ二硫酸及びそのNa塩、K塩、NH4塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)等が挙げられる。また、有機溶剤系の酸化剤としては、有機スルホン酸の第二鉄塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等が挙げられる。
本発明の第2処理工程において用いられる溶液の溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、水、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
なお、酸化剤溶液の濃度は5〜50質量%が好ましく、また酸化剤溶液の温度は−15〜60℃が好ましい。
第2処理工程では、有機微粒子を含む懸濁液がより好ましく用いられる。有機微粒子は、誘電体表面上または重合体組成物上に残存することによって、細孔内を重合膜で充填された平滑な重合膜表面への酸化剤及びモノマーの供給を助けるため有効である。特に、可溶性の有機微粒子を使用することによって固体電解質層を形成した後、可溶性の有機微粒子を溶解除去することができ、コンデンサ素子の信頼性を高めることができる。
有機微粒子を溶解除去する過程で用いられる溶剤としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が用いられるが、水またはアルコール類、もしくはそれらの混合溶剤が好ましく、酸化剤をも溶解させる溶剤であれば、酸化剤の除去と同時に実施できることからより好ましい。
なお、強酸の使用によって除去可能な可溶性の無機微粒子は、弁作用金属表面の誘電体皮膜をも溶解、もしくは腐食させる等のダメージを与えることから好ましくない。
可溶性の有機微粒子としては、平均粒子径(D50)が0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましい。可溶性の有機微粒子の平均粒子径(D50)が、20μmを超えると重合膜に形成される間隙が大きくなるため好ましくなく、0.1μm未満では、付着液の増量効果はなくなり水と同等になる。
可溶性の有機微粒子の具体例としては、脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、ペプチド化合物、または/及びその塩等が挙げられ、芳香族スルホン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、ペプチド化合物が好ましく用いられる。
芳香族スルホン酸化合物としてより具体的には、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸及び/またはその塩、芳香族カルボン酸化合物としてより具体的には、安息香酸、トルエンカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、アントラキノンカルボン酸または/及びその塩、ペプチド化合物としてより具体的には、サーファクチン、アイチュリン、プリパスタチン、セラウエッチン等を挙げることができる。
本発明の方法では、形成される導電性重合体組成物を湿度、熱、応力等に耐性を有する厚さにするために含浸回数を制御する必要がある。
本発明による固体電解質の好ましい形成工程の1つは、第1処理工程、第2処理工程の工程を1サイクルとして繰り返す方法である。前記サイクルは、1つの陽極基体に対して3回以上、好ましくは8〜30回繰り返すことによって、所望の固体電解質層を形成することができる。なお、第1処理工程と第2処理工程は逆順に行っても良い。
本発明によれば、後述の実施例に示すように、誘電体酸化皮膜を有するアルミニウム箔を、例えば3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液に含浸し、これを風乾してIPAを殆ど除去した後、約20質量%の酸化剤(過硫酸アンモニウム)水溶液に含浸後、40℃程度で10分間加熱することで、また、本工程を繰り返し実施することでポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の重合体を得ることができる。
本発明に用いられる固体電解質を形成する導電性重合体はπ電子共役構造を有する有機重合体モノマーの重合体であり、重合度2以上2000以下、より好ましくは3以上1000以下、さらに好ましくは5以上200以下である。具体例としては、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
チオフェン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えばSynthetic Metals誌, 1986年, 15巻, 169頁)で準備できる。
多環状スルフィド骨格を有するモノマーの具体例としては、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができる。これらは公知の方法、例えば特開平8-3156号公報記載の方法により準備することができる。
また、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体なども使用できる。
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物も使用でき、例えば、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができる。
ピロール骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
フラン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
アニリン骨格を有するモノマーとしては、例えば、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,3−ブチレンアニリン、2,3−メチレンジオキシアニリン、2,3−エチレンジオキシアニリン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
これらの中でも、チオフェン骨格または多環状スルフィド骨格を有する化合物が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)、1,3−ジヒドロイソチアナフテンが特に好ましい。
上記化合物群から選ばれる化合物の重合条件等には特に制限はなく、簡単な実験により予め好ましい条件を確認した上で容易に実施することができる。
また、上記モノマー群から選ばれる化合物を併用し、共重合体として固体電解質を形成させても良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡単なテストにより確認できる。
例えば、EDTモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化皮膜層に塗布して形成する方法等が利用できる(特許第3040113号公報、米国特許第6229689号公報)。
本発明において好ましく使用される3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)は、上記の一価アルコールによく溶けるが、水とはなじみが良くないため高濃度の酸化剤水溶液と接触させたときには、EDTはその界面において重合が良好に進行して、フィブリル構造あるいはラメラ(薄い層状)構造の導電性重合体固体電解質層が形成される。
本発明の製造方法においては固体電解質形成後の洗浄用溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸;該有機酸の酸無水物(例、無水酢酸等)または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、水、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
このようにして製造された固体電解質の電気伝導度は、約0.1〜約200S/cmの範囲であるが、好ましくは約1〜約150S/cm、さらに好ましくは約10〜約100S/cmの範囲である。
こうして形成された導電性重合体組成物層の上に、陰極リード端子との電気的接触を良くするために導電体層を設けることが好ましい。導電体層は例えば導電ペースト、メッキや蒸着、導電樹脂フィルムの貼付等により形成される。
本発明では、導電体層を形成した後に圧縮することもできる。例えば弾性体を含む導電体層の場合には圧縮により塑性変形してさらに薄くさせることができ、かつ導電体層表面を平滑化させる効果もある。
かくして得られる固体電解コンデンサ素子は、図10に示すように、通常、それを複数個積層し陽極端子に陽極リード線(6)を接続して、固体電解質層(4)上の導電体層(図示せず)には陰極リード線(7)を接続し、さらに全体に例えば樹脂モールド(8)、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途の固体電解コンデンサ(9)製品とする。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。なお、以下の実験で用いたアルミニウム化成箔は、厚刃と薄刃の2枚の刃を合わせてなる複数の円盤状刃ユニットを微小な間隙を隔てて互い違いに配設することにより、一の円盤状刃ユニットの厚刃と他の円盤状刃ユニットの薄刃の間で切断を行ない得るようにしたスリッタを用い、陽極基体の原板を前記互い違いに配設した円盤状刃ユニット間に通して刃の切断方向に対して1〜15度傾いた方向に排出されるように前記間隙を調整して切断した。
実施例1:
図3に準じた楔型形状を有し、厚み方向の断面形状における3箇所のコーナー部の角度aが165度、角度bが120度、角度cが90度であるアルミニウム化成箔(厚み100μm)を使用した。なお、この化成箔は前記スリッタで排出角度が5度となるように前記間隙を調整することにより調製した。断面形状の拡大写真を図6に示す。また、切断表面の拡大写真を図13に示す。このアルミニウム化成箔を短軸方向3mm×長軸方向10mmに切り出し、長軸方向を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmのポリイミド溶液を周状に塗布、乾燥させマスキングを作成した。この化成箔の3mm×4mmの部分を、10質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液で4Vの電圧を印加して切り口部分に化成し、誘電体酸化皮膜を形成した。次に、このアルミニウム箔の3mm×4mmの部分を、3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させた2.0mol/Lのイソプロピルアルコール(IPA)溶液に5秒間含浸し、これを室温で5分間乾燥し、2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(D50=11μm;シスメックス(株)製マスターサイザーを用いて測定。)が0.07質量%となるように調整した1.5mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液に5秒間浸漬した。続いてこのアルミニウム箔を40℃の大気中で10分間放置して酸化的重合を行った。さらにこの浸漬工程及び重合工程を全体で20回となるようにして、導電性重合体の固体電解質層をアルミニウム箔の外表面に形成した。最終的に生成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を50℃温水中で洗浄し、その後100℃で30分乾燥を行い、固体電解質層を形成した。
断面形状の顕微鏡観察によるコーナー部分の固体電解質層の膜厚は、角a部分では17μm、角b部分では15μm、角c部分では15μmと均一であった。
次に、固体電解質層を形成した3mm×4mmの部分を、15質量%アジピン酸アンモニウム溶液中に浸漬し、固体電解質層を形成していない部分の弁作用金属箔に陽極の接点を設けて3.8Vの電圧を印加し、再化成を行った。
次に、図10に示すように上記アルミニウム箔の導電性重合体組成物層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを付けて上記アルミニウム箔を4枚積層し、陰極リード端子を接続した。また、導電性重合体組成物層の形成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接続した。さらに、この積層素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定格電圧(2V)を印加して2時間エージングを行い、合計30個のコンデンサを完成させた。
これら30個の積層コンデンサ素子について、初期特性として120Hzにおける容量と損失係数(tanδ×100(%))、等価直列抵抗(ESR)、それに漏れ電流を測定した。なお、漏れ電流は定格電圧を印加して1分後に測定した。表1にこれらの測定値の平均値と、0.002CV以上の漏れ電流を不良品としたときの不良率を示した。ここで、漏れ電流の平均値は不良品を除いて計算した値である。
実施例2:
楔形である厚み方向の断面形状における3箇所のコーナー部の角度aが175°、角度bが120度、角度cが90度であるアルミニウム化成箔(厚み100μm)を使用した。断面形状の拡大写真を図7に示す。なお、この化成箔は前記スリッタで排出角度が7度となるように前期間隙を調整することにより調製した。このアルミニウム化成箔を使用すること以外には実施例1と同様にして固体電解質を形成した。
断面形状の顕微鏡観察によるコーナー部分の固体電解質層の膜厚は、角a部分では、15μm、角b部分では12μm、角c部分では12μmと均一であった。
次に、再化成、カーボンペーストと銀ペーストの塗布、積層、陰極リード端子の接続、エポキシ樹脂で封止、エージング操作は実施例1と同様に行い、合計30個のコンデンサを完成させた。得られた積層コンデンサ素子について実施例1と同様に行った特性評価の結果を表1に示す。
実施例3:
楔形である厚み方向の断面形状における3箇所のコーナー部の角度aが105°、角度bが135度、角度cが105度であるアルミニウム化成箔(厚み100μm)を使用した。断面形状の拡大写真を図11に示す。本アルミニウム化成箔は、ウレタン樹脂支持体の表面に500番の研磨材を貼付したダブルアクションタイプのグラインダーにて15分間研磨することによって製造した。このアルミニウム化成箔を使用すること以外には実施例1と同様にして固体電解質を形成した。
断面形状の顕微鏡観察によるコーナー部分の固体電解質層の膜厚は、角a部分では、16μm、角b部分では14μm、角c部分では16μmと均一であった。
次に、再化成、カーボンペーストと銀ペーストの塗布、積層、陰極リード端子の接続、エポキシ樹脂で封止、エージング操作は実施例1と同様に行い、合計30個のコンデンサを完成させた。得られた積層コンデンサ素子について実施例1と同様に行った特性評価の結果を表1に示す。
実施例4:
図2に準じた楔形形状を有し、厚み方向の断面形状における4箇所のコーナー部の角度aが105°、角度bが105度、角度p1が165度、角度p2が165度であるアルミニウム化成箔(厚み100μm)を使用した。断面形状の拡大写真を図12に示す。また、切断表面の拡大写真を図14に示す。本アルミニウム化成箔は、ウレタン樹脂支持体の表面に320番の研磨材を貼付したダブルアクションタイプのグラインダーにて15分間研磨したのち、耐水性研磨紙500番にて短軸方向に対して45°斜め方向に2分間研磨することによって製造した。このアルミニウム化成箔を使用すること以外には実施例1と同様にして固体電解質を形成した。
断面形状の顕微鏡観察によるコーナー部分の固体電解質層の膜厚は、角a部分では、15μm、角b部分では14μm、角p1部分では15μm、角p2部分では16μmと均一であった。
次に、再化成、カーボンペーストと銀ペーストの塗布、積層、陰極リード端子の接続、エポキシ樹脂で封止、エージング操作は実施例1と同様に行い、合計30個のコンデンサを完成させた。得られた積層コンデンサ素子について実施例1と同様に行った特性評価の結果を表1に示す。
比較例1:
刀型である厚み方向の断面形状における2箇所のコーナー部の角度がそれぞれ70度、110度であるアルミニウム化成箔(厚み100μm)を使用した。断面形状の拡大写真を図8に示す。このアルミニウム化成箔を使用すること以外には実施例1と同様にして固体電解質を形成した。断面形状の顕微鏡観察によるコーナー部分の固体電解質層の膜厚は、3μmと15μmであり、鋭角なコーナー部(角度70度のコーナー部)の重合膜が薄かった。次に、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させ、得られた積層コンデンサ素子について実施例1と同様に行った特性評価の結果を表1に示す。
Figure 0004895172
本発明の一実施態様による固体電解コンデンサ用陽極基体の構造(実線)を従来例(破線)と対比して示す部分的な断面図。 本発明の別の実施態様による固体電解コンデンサ用陽極基体の構造(実線)を従来例(破線)と対比して示す部分的な断面図。 本発明の一実施態様による固体電解コンデンサ用陽極基体の構造を示す部分的な断面図。 本発明のさらに別の実施態様による固体電解コンデンサ用陽極基体の構造を示す部分的な断面図。 本発明のさらに別の実施態様による固体電解コンデンサ用陽極基体の構造を示す部分的な断面図。 実施例1で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の厚さ方向の断面写真(500倍;図中、明色部分がアルミ二ウム箔の未化成部分であり、暗色部分が化成部分である)。 実施例2で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の厚さ方向の断面写真(500倍;図中、明色部分がアルミ二ウム箔の未化成部分であり、暗色部分が化成部分である)。 比較例1で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の厚さ方向の断面写真(500倍;図中、明色部分がアルミ二ウム箔の未化成部分であり、暗色部分が化成部分である)。 コンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサの一例を示す断面図。 コンデンサ素子を積層して得られた固体電解コンデンサの一例を示す断面図。 実施例3で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の厚さ方向の断面写真(500倍;図中、明色部分が多孔質を有しない弁金属層であり、暗色部分が多孔質層部分である)。 実施例4で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の厚さ方向の断面写真(500倍;図中、明色部分が多孔質を有しない弁金属層であり、暗色部分が多孔質層部分である)。 実施例1で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の切断表面写真(500倍;図中、明色部分が多孔質を有しない弁金属層であり、暗色部分が多孔質層部分である)。 実施例4で使用したアルミニウム化成箔(陽極基体)の切断表面写真(500倍;図中、明色部分が多孔質を有しない弁金属層であり、暗色部分が多孔質層部分である)。
符号の説明
1 陽極基体
2 誘電体(酸化皮膜)層
3 マスキング
4 半導体(固体電解質)層
5 導電体層
6,7 リード線
8 封止樹脂
9 固体電解コンデンサ

Claims (22)

  1. 稜辺の少なくとも一部を面取りした陽極基体を含み、前記陽極基体が平板状または箔状であり、少なくとも固体電解質層を設ける領域について、陽極基体の上面及び/または下面と側面及び/または端面との間の稜辺が面取りされており、前記面取り部位における陽極基体の上面及び/または下面と側面及び/または端面との間のコーナー部の角度が90°を超え180°未満であり、陽極基体の側面及び/または端面の厚み方向の断面形状が、先端の角度が90°以上180°未満である楔型であり、面取り処理を施した微細孔を有しない陽極基体の弁金属層が切断刃に追随して引き伸ばされて形成される切断表面の短軸方向に対して斜めもしくは平行な溝を含む陽極基体であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝の幅が0.1〜100μmである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝のピッチが0.1〜100μmである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 陽極基体が含む斜めもしくは平行な溝の深さが0.1〜10μmである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 面取り後における陽極基体の上面と下面の幅及び/または長さが異なる請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  6. 面取り後における陽極基体の側面及び/または端面の厚み方向の断面形状が、三角形以上の凸多角形であり、前記断面形状を構成するコーナー部の各内角が90°を超え180°未満である請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  7. 陽極基体が弁作用金属である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の、稜辺の少なくとも一部が面取りを施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極基体。
  9. 陽極基体の稜辺にカッターを斜めに当てて面取りを施してなる請求項8に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
  10. 陽極基体の原板にスリッタを斜めに当てて上面と切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超える陽極基体の中間製品を形成し、次いで、この中間製品の下面側の稜辺にカッターを斜めに当てて前記スリッター切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超えるように切断を行なうことにより上下両稜辺の面取りが施されている請求項8に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
  11. 陽極基体の原板にスリッタを斜めに当てて下面と切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超える陽極基体の中間製品を形成し、次いで、この中間製品の上面側の稜辺にカッターを斜めに当てて前記スリッター切断面との間の稜辺内部の角度が90°を超えるように切断を行なうことにより上下両稜辺の面取りが施されている請求項8に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
  12. 厚刃と薄刃の2枚の刃を合わせてなる複数の円盤状刃ユニットを微小な間隙を隔てて互い違いに配設することにより、円盤状刃ユニットの一方の厚刃と他方の薄刃の間で切断を行なうスリッタを用い、陽極基体の原板を前記互い違いに配設した円盤状刃ユニット間に通して刃の切断方向に対して1〜15度傾いた方向に排出されるように前記間隙を調整し切断した請求項8に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
  13. 回転する弾力性のある支持基体の表面に存在する研磨材の表面に切断された陽極基体の側面表面を押し当てることにより面取りが施されている請求項8に記載の固体電解コンデンサ用陽極基体。
  14. 請求項8〜13のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用陽極基体上に誘電体皮膜と固体電解質層を設けることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 予め誘電体皮膜を設けた請求項8〜13のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用陽極基体上に固体電解質層を設けることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  16. モノマーを含む溶液に浸漬後乾燥する工程(工程1)、酸化剤を含む溶液に浸漬後乾燥する工程(工程2)を含む方法により、誘電体皮膜層を有する弁作用金属に固体電解質層を設けることを特徴とする請求項14または15に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  17. モノマー化合物を含む溶液に浸漬後乾燥する工程1、酸化剤を含む溶液に浸漬後乾燥する工程2を複数回繰り返す方法により誘電体皮膜層を有する弁作用金属に固体電解質層を設ける請求項20に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  18. 酸化剤が過硫酸塩である請求項16または17に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  19. 酸化剤を含む溶液が有機微粒子を含む懸濁液である請求項16または17に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  20. 有機微粒子の平均粒子径(D50)が、0.1〜20μmの範囲である請求項19に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  21. 有機微粒子が脂肪族スルホン酸化合物、芳香族スルホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、芳香族カルボン酸化合物、それらの塩、及びペプチド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項19または20に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  22. 請求項14〜21のいずれかに記載の製造方法で製造された固体電解コンデンサ。
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