JP2007234198A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2007234198A
JP2007234198A JP2006058223A JP2006058223A JP2007234198A JP 2007234198 A JP2007234198 A JP 2007234198A JP 2006058223 A JP2006058223 A JP 2006058223A JP 2006058223 A JP2006058223 A JP 2006058223A JP 2007234198 A JP2007234198 A JP 2007234198A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
recording medium
magnetic recording
underlayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006058223A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Moroishi
圭二 諸石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Hoya Magnetics Singapore Pte Ltd
Original Assignee
Hoya Corp
Hoya Magnetics Singapore Pte Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp, Hoya Magnetics Singapore Pte Ltd filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2006058223A priority Critical patent/JP2007234198A/ja
Publication of JP2007234198A publication Critical patent/JP2007234198A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

【課題】安定化層の粒成長を抑制するためにCoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有させることを可能にすることによって、低い媒体ノイズと小さな磁化遷移幅を示す磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】主表面上にテクスチャを形成したガラス基板1上に、少なくとも下地層3と、第1の磁性層4aと、非磁性層4bと、第2の磁性層4cとを備える磁気記録媒体10であって、基板円周方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrcとし、基板半径方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrrとしたとき、これらの比OR=Mrc/Mrrが1.5以上であって、かつ前記非磁性層4bよりも基板側の前記第1の磁性層4aは、CoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)などの磁気記録媒体装置に搭載される磁気記録媒体に関する。
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。HDD等に搭載される磁気記録媒体では、高容量化の要請により120ギガビット/inch以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
HDD(ハードディスクドライブ)の高記録密度化を達成するためには、媒体ノイズの低減、即ちSN比が優れていることが不可欠である。これまでの媒体ノイズの低減は、日々進歩する磁気ヘッドの出力特性の改善を助けとし、グレインサイズの微細化や結晶配向の制御等によって媒体ノイズを低下させることによって、磁気特性の向上が図られてきた。このグレインの微細化や磁化遷移幅(PW)を小さくするために、高記録密度化に伴って磁性層の膜厚が薄くなる傾向にある。
しかし、このような高記録密度化においては、磁気記録媒体上に記録した信号が時間の経過と共に減衰する、いわゆる熱揺らぎ現象と呼ばれる障害が発生する場合があることが知られている。この熱揺らぎ障害の原因は、このような高記録密度を達成できるように磁性層の磁性グレインを微細化した結果として、記録信号の磁化が熱磁気余効(熱揺らぎ磁気余効)を起こし易くなったためであると考えられている。この熱揺らぎ障害を解決するために、さまざまな膜構成が提案されている。その一つとして最近注目される技術として、AFC(Anti-Ferro-Coupled-Film:反強磁性結合膜)構造がある(特開2001−56923号公報参照)。これは、磁気記録媒体に交換層構造を導入することで、書き込まれたビットの熱安定性を向上させようとする技術である。即ち、基板上に、Ru等からなる非磁性層により上下に分断された多層構造を有する磁気記録層を形成したものであるが、特に非磁性層の下層の磁性層(安定化層)は非常に膜厚が薄いものとなっている。
ところで、一般に磁性層材料としては、CoCr合金が主として用いられている。特にAFC構造では、非磁性層によって分断された2つの磁性層の間で結晶磁気異方性の差が大きいことが望まれる為に、安定化層(基板側の磁性層)は白金族を含まないCoCr合金が主として用いられている。
また磁性層の結晶配向は、結晶の磁化容易軸(Co合金の場合はC軸)がディスク面に対して略平行に、かつディスクの円周方向に配向していることが好ましい。従来では、例えばCrW合金膜を下地層として磁性層の直下に成膜し、結晶配向等の制御が行なわれていた。
特開2001−56924号公報
従来は、磁性層の膜厚が厚く、グレインや配向性が不揃いな初期成長膜の磁性層全体の膜厚に対する比率が小さかったため、上述のCrW合金膜を下地層として成膜することで、磁性層の配向性を十分に制御することができた。しかし本発明者の研究によると、AFC構造における安定化層のように非常に膜厚の薄い場合は殆ど初期成長膜で構成されているため、上述のCrW合金膜を下地層として設けても磁性層の配向性を十分に制御することができないことが判明した。
また安定化層を構成するCoCr合金は、磁性を有する組成範囲ではCoとCrは固溶体を形成するため、グレインの粒成長が起こりやすく、十分に微細化することが難しかったため、媒体ノイズを十分に下げることができないという問題があった。一方、グレインの粒成長を抑制し、微細化を行なうために、微細孤立化促進材料として例えばTa等の元素を添加したCoCrTa合金がこれまでも一般的に使用されていた。
しかし本発明者の研究によると、媒体ノイズを低減させる為にCoCr磁性層中にTa等の元素を添加した場合、前述のCrW合金膜の下地層を設けていても磁性材料(特にCo)の磁化容易軸がディスク面と垂直な方向に向きやすくなり、配向性を制御することが困難であることが判明した。また、このことによって、AFC構造を有する磁性層の場合には、交換結合を示さなくなり、結果として磁気特性が向上しないことも判明した。従って、AFC構造の膜では、CoCrTa合金を使用することができなかった。即ち、従来の改善技術では、高記録密度化に伴って磁性層の膜厚を薄くした場合、媒体ノイズを低減させて、磁気特性を向上することが困難であった。
本発明は、安定化層の粒成長を抑制するためにCoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有させることを可能にすることによって、低い媒体ノイズと小さな磁化遷移幅を示す磁気記録媒体を提供することを目的とする。
磁性層の配向を制御し、媒体ノイズを低減させるために本発明者は様々な角度から研究を行なった。その結果、基板円周方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrcとし、基板半径方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrrとしたとき、これらの比OR=Mrc/Mrrが1.5以上を示す媒体に対しては、CoCr合金にTa等の微細孤立化促進材料を含有させても、CoのC軸(磁化容易軸)の配向性を制御することが可能であることを見出した。これによりグレインの粗大化を抑制し、低い媒体ノイズと小さな磁化遷移幅を示す磁気記録媒体を得ることができるようになることから、以下の構成を有する発明を完成させるに至った。
本発明に係る磁気記録媒体の代表的な構成は、主表面上にテクスチャを形成したガラス基板上に、少なくとも下地層と、第1の磁性層と、非磁性層と、第2の磁性層とを備える磁気記録媒体であって、基板円周方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrcとし、基板半径方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrrとしたとき、これらの比OR=Mrc/Mrrが1.5以上であって、かつ前記非磁性層よりも基板側の前記第1の磁性層は、CoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有したことを特徴とする。
本発明者の考察によれば、微細孤立化促進材料を含有したCoCr合金のC軸は本来ディスクの垂直方向に向きやすい為に通常の方法では配向性を制御することが難しかったが、ORを1.5以上に高めることによってC軸をディスクの面内且つ円周方向に配向させることができ、微細孤立化促進材料を含有した粒成長の小さなCoCr合金を使用可能にしたと考えられる。
ガラス基板としては、アモルファスガラス基板、結晶化ガラス基板などを用いることができる。特にアモルファスガラス基板を用いることが好ましい。ガラスの組成としては、アルミノシリケートガラスが特に好ましい。またガラス基板表面には、テクスチャ(ディスクの円周方向に沿う略規則的な筋溝)が形成されていることが好ましい。
前記微細孤立化促進材料は、Ta、Nb、Cu、Mn、B、Zrのうち1つまたは複数を選択することができる。
前記微細孤立化促進材料をAとすると、前記第1の磁性層の組成をCo(100−x−y)−Cr(x)−A(y)と表したときに、x=5〜25(at%)、y=1〜7(at%)の範囲で好適に用いることができる。なお、at%は原子%である。
前記非磁性層は、RuもしくはRuを含む合金を好適に用いることができる。
前記下地層は複数の層からなり、基板側に形成されたCrMnからなる層と、表層側に形成されたCrMoまたはCrMoTiからなる層を備えることが好ましい。下地層は体心立方構造であることが好ましい。Crを含有した下地層を用いると、磁性層の磁化容易軸をディスク面内に配向させることができる。
前記下地層よりガラス基板側に形成した非晶質下地層を備えることが好ましい。なお、本発明においては、非晶質下地層と、体心立方構造の下地層とは接して形成することが好ましい。
前記非晶質下地層は、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層、CrTi系非晶質層から選択することができる。非晶質下地層は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。またこれらの非晶質下地層は、2酸化炭素、1酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。これらのガスを含有させると、ORを向上させることができる。
なお、本発明において非晶質とは、例えば、XRD(x線回折法)等を用いて分析したときに、明瞭なピークが観察されない状態のことを言う。別の側面から言えば、非晶質とは結晶が長距離秩序を有しない状態を言う。更に言えば、非晶質とは結晶が短距離秩序を有していても良い状態を言う。
本発明によれば、OR=Mrc/Mrrが1.5を超える磁気異方性を有する磁気記録媒体を得ることができ、CoCr合金にTa等の微細孤立化促進材料を含有させても、CoのC軸の配向性を制御することが可能となる。磁気異方性は大きければ大きいほど好ましいが、取り分けORが1.5以上、好ましくは1.7以上とする磁気記録媒体が好ましい。
本発明によれば、大きな磁気異方性によって、AFC構造の安定化層においてCoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有させても、CoのC軸の配向性を好適に制御することができる。これにより、ガラス基板を用いて、媒体ノイズの低減化による高いS/N比と、小さな磁化遷移幅による高密度記録を達成することができる。
本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。図1は本実施形態に係る磁気記録媒体の構成を説明する図、図2は評価の結果を説明する図である。
図1に示す磁気記録媒体10は、ガラス基板1上に、非晶質下地層2、体心立方晶の下地層3、磁性層4、保護層5、潤滑層6を順次接して成膜した磁気記録媒体である。下地層3は、基板側に形成された第1の下地層3aと、表層側に形成された第2の下地層3bが接して形成されている。磁性層4は、基板側から第1の磁性層4a、非磁性層4b、第2の磁性層4cが接して形成されている。
ガラス基板1上には、アモルファスガラス1aの主表面上に円周状のテクスチャ1bが形成されており、第1の磁性層4aの磁化容易軸をディスクの円周方向に優先配向させる機能を備える。このような優先配向を付与することにより、磁気記録媒体のディスク円周方向の保磁力がディスク半径方向の保磁力よりも大きい、磁気特性の異方性を備えた磁気記録媒体が得られる。
ガラス基板1としては、アモルファスガラスの他、結晶化ガラス等があるが、特にアモルファスガラスは非晶質で表面平滑性が高いので本発明には好適である。ガラス基板1の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス等が挙げられる。中でも、アルミノシリケートガラスは、高精度に平滑な表面を得ることができ、また化学強化により高い剛性を得ることができるので、本発明に好適である。ガラス基板1の厚さは、特に制約は無いが、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。
テクスチャ1bは、磁性層に磁気異方性を誘導する形状であれば特に限定されない。例えば、円周状テクスチャ、らせん状テクスチャ、クロステクスチャなどを挙げることができる。特に円周状テクスチャであれば、テクスチャの方向が磁気記録媒体上を浮上飛行する磁気ヘッドの走行方向に類似するので、本発明の作用を好ましく得ることができる。テクスチャの表面粗さに関しては、Rmaxで6nm以下、Raで0.6nm以下であることが好ましい。このような平滑な表面粗さの場合、磁気記録媒体の高記録密度化に資することができる。なお、ここで表面粗さRmaxとは、日本工業規格(JIS)B0601に定める最大高さ、Raとは、同じく日本工業規格(JIS)B0601に定める算術平均粗さのことである。
非晶質下地層2は、ガラス基板1のテクスチャ1bに接して形成され、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている(微細化促進層)。非晶質下地層2は、ガラス基板1がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファスの合金膜とすることが好ましい。非晶質下地層2としては、例えばCoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層、CrTi系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。
非晶質下地層2は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの非晶質下地層2は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。これらのガスを含有させると、後述するORを向上させることができる。
下地層3は体心立方構造(bcc構造)の非磁性の合金層であり、この上に成膜される第1の磁性層4aに含まれる六方細密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスクの面内に略平行に配向させる機能を備える(配向制御層)。第1の下地層3aは、CrMnから構成することができる。第2の下地層3bは、CrMoまたはCrMoTiから構成することができる。Crを含有した下地層を用いると、磁性層の磁化容易軸をディスク面内に配向させることができる。
上記のような非晶質下地層2、第1の下地層3a、および第2の下地層3bを構成することにより、基板円周方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrcとし、基板半径方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrrとしたとき、これらの比OR=Mrc/Mrrを1.5以上とすることができる。
第1の下地層3aおよび第2の下地層3bの成膜方法としては、スパッタリング成膜が好適である。また、第2の下地層3bの膜厚は適宜設定することができ特に制約はないが、通常は50Å〜200Å程度の範囲内とするのが適当である。
磁性層4は、非磁性層4bを介して、第1の磁性層4aと第2の磁性層4cが反平行に交換結合するAFC(Anti-Ferro-Coupled-Film:反強磁性結合膜)構造の磁性層である。
第1の磁性層4aは、六方細密充填構造(hcp構造)の合金層からなる強磁性層である。本発明において第1の磁性層4aは、CoCr合金に微細孤立化促進材料を含有していることを特徴とする。微細孤立化促進材料としてはTa(タンタル)、Nb(ニオブ)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、B(硼素)、Zr(ジルコニウム)のうち1つまたは複数を選択することができ、第1の磁性層4aとしては例えばCoCrTa、CoCrTaCu、CoCrTaMn、CoCrCuのような組成とすることができる。これにより、グレインサイズを微細化することができ、低い媒体ノイズを得ることができる。
ここで、上記したように、テクスチャ1bは第1の磁性層4aの磁化容易軸をディスクの円周方向に優先配向させる機能を有している。また、磁性層4の直下である第2の下地層3bにCrを含有した下地層を用いることによっても、磁化容易軸の配向性を制御することができる。しかし、CoCr合金に媒体ノイズを改善するためにTa等の元素を加えた場合、該磁性層の磁化容易軸がディスク面と垂直な方向に向きやすくなるために、これらのテクスチャやCrによる制御のみでは所望の配向性を得ることができない。
しかし本発明では、非晶質下地層2をCoWまたはCrWとし、第1の下地層3aをCrMnとしたことにより、OR=Mrc/Mrrが1.5を超える磁気異方性を有する磁気記録媒体を得ることができる。これにより、CoCr合金にTa等の微細孤立化促進材料を含有させても、Coの磁化容易軸がディスク面に対して略平行となる好適な配向性を得ることができる。これにより、配向性が高く、かつ粒成長の小さなCoCr合金を使用することが可能になり、媒体ノイズの低減化による高いS/N比と、小さな磁化遷移幅による高密度記録を達成することができる。なお、磁気異方性は大きければ大きいほど好ましいが、ORが1.5以上、さらには1.7以上とする磁気記録媒体が好ましい。ORの値は、上記の層構造に加え、スパッタリングする際のガス(雰囲気)の種類および濃度、または表面層を暴露するガスの種類および濃度で調節することができる。
第1の磁性層4a中に含まれる微細孤立化促進材料の含有量は、該合金層のグレインサイズを微細化して媒体ノイズの低減を図る観点から、微細孤立化促進材料をAとすると、前記第1の磁性層の組成をCo(100−x−y)−Cr(x)−A(y)と表したときに、x=5〜25(at%)、y=1〜7(at%)の範囲が適当である。Crが5%未満ではSN比が低下するおそれがあり、25%より多いと非磁性となってしまうからである。また微細孤立化促進材料が1%未満ではSN比が低下するおそれがあり、7%より多いとORが低下するおそれがあるからである。
なお、第1の磁性層4aの膜厚は適宜設定することができるが、通常は10Å〜50Å程度の範囲内とするのが好ましい。
非磁性層4bは、六方細密充填構造(hcp構造)の金属層からなり、上記第1の磁性層4a、第2の磁性層4cと協働して、AFC構造を構成している。この非磁性層4bにより、上記第1の磁性層4aの磁化と第2の磁性層4cの磁化とが、互いに反平行となる結合(交換結合)が誘導される。非磁性層4bの材料はRu又はRu系合金非磁性材料とするのが好適である。非磁性層4bの膜厚は適宜設定することができるが、好ましい交換結合を誘導する観点から、例えば5Å〜10Åの範囲とするのが好ましい。
第2の磁性層4cは、六方細密充填構造(hcp構造)の合金層からなる強磁性層である。第2の磁性層4cの材料はCo系合金強磁性材料、具体的にはCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金等を好適に用いることができる。これらの材料は高い磁気異方性定数を得ることができ、また必要に応じてこれらのCo系合金にBを含有させることでS/N比を更に向上させることができるため、高記録密度化に特に好適である。第2の磁性層4cの膜厚は適宜設定することができるが、例えば50Å〜300Åの範囲とするのが好ましい。
本実施形態にかかる磁気記録媒体10では、情報記録は主としてこの第2の磁性層4cの磁化反転パターンとして記録される。ここで上記したように第1の磁性層4aのC軸がディスク面に対して略平行となるように配向されているため、第1の磁性層4aの磁化と第2の磁性層4cの磁化とが互いに反平行となる好ましい交換結合を誘導することができ、磁気特性も向上できる。
保護層5としては、炭素系保護層が好適であり、特にアモルファス炭素からなるダイヤモンドライク保護層が好ましい。また、潤滑層6としては、例えばパーフルオロポリエーテル化合物が好適である。
上記各層を成膜する方法については、公知の技術を用いることができ、非晶質下地層2から第2の磁性層4cまでは、例えばスパッタリング法(DCマグネトロンスパッタ、RFスパッタ等)、プラズマCVD法等を採用できる。保護層5は、特にプラズマCVD法により成膜するのが好ましい。潤滑層6の形成は、ディップ法、スプレイ法、スピンコート法等、公知の方法を用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例は発明の理解を容易とすることを目的としており、寸法や各種条件の数値などは例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
{実施例1}
本実施例の磁気記録媒体は、化学強化されたアモルファスのアルミノシリケートガラスからなるガラス基板の主表面に、テープ研磨によりテクスチャを形成し、その上に磁性層等を成膜することにより得られる磁気記録媒体である。具体的には、以下の(1)ガラス基板製造工程、(2)テクスチャ加工工程、及び(3)成膜工程を経て本実施例の磁気記録媒体10(図1)を製造した。
(1)ガラス基板製造工程
ガラス基板1は、アモルファスのアルミノシリケートガラスを溶融し、ダイレクトプレスにより得たガラスディスクに対して、形状加工、研削、研磨し、Rmaxで4.5nm、Raで0.44nmの鏡面状態のガラスディスクを得た。このガラスディスクに化学強化を施して、ガラス基板1を得た。得られたガラス基板1は、外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmの2.5インチ型磁気記録媒体用基板である。なお、本実施例におけるアルミノシリケートガラスはSiO:63.6重量%、A1:14.2重量%、NaO:10.4重量%.LiO:5.4重量%、ZrO:6.0重量%、Sb:0.4重量%の組成を有するアルミノシリケートガラスである。
(2)テクスチャ加工工程
上記で得られたガラス基板1の主表面に、枚葉型テープ式テクスチャ装置とダイヤモンドスラリーを用いて、主表面上に円周状のテクスチャを形成した。テープ式テクスチャ装置は、樹脂テープを押し付けた状態で、ガラス基板とテープとを相対的に移動させることによりガラス基板の主表面上にテクスチャを形成する装置である。
得られたガラス基板1の主表面の微細モホロジーをAFM(原子間力顕微鏡)を用いて観察した。5μm平方の領域を観察したところ、規則的な筋溝からなるテクスチャが、ディスクの円周方向に沿って配列していることを確認した。表面粗さは、Rmaxで4.8nm、Raで0.42nmという平滑な表面であった。なお、表面粗さはAFMの観察形状を基に日本工業規格(JIS B0601)に従って算出した。
(3)成膜工程
次に、枚葉静止対向成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング方式により、上記ガラス基板1上に、順次、シード層2から第2の磁性層4cまでの成膜を行った。なお、特に言及する以外はArガス雰囲気中で順次成膜を行なった。
非晶質下地層2は、CoW(Co:50at%、W:50at%)からなる非晶質合金層であり、膜厚が100ÅになるようにAr+3%CO2ガス雰囲気中で成膜した。
体心立方晶の第1の下地層3aは、CrMn(Cr:80at%、Mn:20at%)からなり、膜厚が100Åとなるように成膜した。休心立方晶の第2の下地層3bはCrMo(Cr:80at%、Mo:20at%)からなり、膜厚が100Åとなるように成膜した。スパッタリング雰囲気は、アルゴンガスに二酸化炭素(CO2)ガスを混合した雰囲気とし、アルゴンガスに対する二酸化炭素ガスの混合比は1.0体積%とした。このとき、成膜されるディスクの温度は275℃とし、成膜速度は70Å/秒、成膜時の真空度は8μバール〜10μバールとなるように調整した。
これらの層により、磁性層4の磁化容易軸がディスク面内に配向するよう制御され、且つ粒の粗大化を防ぐことができる。
第1の磁性層4aは、CoCrTa(Co:80at%、Cr:15at%、Ta:5at%)のhcp結晶構造を備える強磁性合金層であり、膜厚が30Åとなるよう成膜した。非磁性層4bは、hcp結晶構造を備えるRu金属層であり、反強磁性型交換結合を誘導できるように、膜厚が7Åとなるように成膜した。第2の磁性層4cは、磁気記録の主体となるよう形成された磁性層であり、CoCrPtB(Co:62at%、Cr:16at%、Pt:12at%、B:10at%)のhcp結晶構造を備える強磁性合金層であり、膜厚が200Åとなるように成膜した。磁性層4全体としての膜厚は、237Åである。
次に、上記第2の磁性層4c上に保護層8の成膜を行なった。保護層5は、水素化炭素からなる保護層であり、膜厚が30Åとなるように、Arと水素の混合雰囲気で成膜した。保護層5は、磁気ヘッドの衝撃から磁性層を保護するための層である。以上の成膜を終えた磁気記録媒体10の表面に、PFPE(パーフルオロポリエーテル)からなる高分子化合物をディップ法で塗布した。膜厚は10Åである、この潤滑層6は、磁気ヘッドの衝撃を緩和するための層である。
得られた本実施例の磁気記録媒体10の第1の磁性層4aと第2の磁性層4cの結晶配向性をXRD(X線回折法)を用いて調べたところ、C軸がディスク面に略平行に配向していることを確認した。六方細密充填構造の(110)面がディスク面に略平行に配向していた。六方細密充填構造のコバルト合金強磁性体の磁化容易軸はC軸に平行であるので、磁気記録媒体全体としての磁化容易軸はディスク面に略平行となっていることを確認した。
(評価)
次に、磁気記録媒体10の電磁変換特性(R/W特性)を評価した。評価方法は以下の通りである。図2は、評価の結果を説明する図である。
磁気記録媒体の媒体ノイズNを、記録密度(1F)700kFciでキャリア信号を記録した後、DC〜1Fの1.2倍周波数までの媒体積分ノイズとして求めた。再生出力Sは12F記録密度の信号の再生出力を用いた。記録再生に用いた磁気ヘッドの浮上量は12nm、再生素子はGMR型素子である。本実施例の磁気記録媒体10の評価を行ったところ、そのS/N比は、図2に示すように20.4dBであった。またこのときのORは1.8であった。
さらに、磁気記録媒体10の信頼性を調査するため、LUL(ロードアンロード)方式HDD
(ハードディスクドライブ)を用いて、LUL(ロードアンロード)耐久性試験を行なった。通常、LUL(ロードアンロード)方式用磁気記録媒体の場合、連続して40万回以上のLUL回数に耐久することが求められる。試験の結果、本実施例の磁気記録媒体10は60万回のLULを故障無く耐久できた。試験後にHDDから磁気記録媒体10を取り出して観察したところ膜剥がれなどの異常は観察されなかった。
(比較例1)
次に、比較例1の磁気記録媒体を製造した。比較例1では、実施例1の非晶質下地層材料をAlRuからなる結晶質の下地材料とした以外は、実施例1と同様の製造方法による同様の磁気記録媒体である。
比較例1の磁気記録媒体による結果は、図2に示すようにS/N比が16.4と大幅に低下し、またORも1.3と低下している。比較例1の構成では、ORが低いために第1の磁性層4aの配向性が不十分となり、S/N比が低下してしまったものと考えられる。
(比較例2)
次に、比較例2の磁気記録媒体を製造した。比較例2では、第1の磁性層4aとしてCo80Cr15Taの代わりにCo80Cr20を使用した(付記数字はat%)。それ以外は実施例1と同様の製造方法による同様の磁気記録媒体である。
比較例2の磁気記録媒体による結果は、図2に示すようにORは1.8と実施例1と同様に高い異方性を示しているが、S/N比が18.3と低下してしまっている。これはTa等の微細孤立化促進材料を含んでいないことから第1の磁性層4aのグレインサイズの微細化が進まなかったためと考えられる。
上記説明した如く、本発明によれば、大きな磁気異方性によって、AFC構造の安定化層においてCoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有させても、CoのC軸の配向性を好適に制御することができる。これにより、ガラス基板を用いて、媒体ノイズの低減化による高いS/N比と、小さな磁化遷移幅による高密度記録を達成することができる。
本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)などの磁気記録媒体装置に搭載される磁気記録媒体として利用することができる。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の構成を説明する図である。 実施例および比較例の評価の結果を説明する図である。
符号の説明
1 …ガラス基板
1a …アモルファスガラス
1b …テクスチャ
2 …非晶質下地層
3 …下地層
3a …第1の下地層
3b …第2の下地層
4 …磁性層
4a …第1の磁性層
4b …非磁性層
4c …第2の磁性層
5 …保護層
6 …潤滑層
10 …磁気記録媒体

Claims (8)

  1. 主表面上にテクスチャを形成したガラス基板上に、少なくとも下地層と、第1の磁性層と、非磁性層と、第2の磁性層とを備える磁気記録媒体であって、
    基板円周方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrcとし、基板半径方向に磁場を印加して測定した残留磁化をMrrとしたとき、これらの比OR=Mrc/Mrrが1.5以上であって、
    かつ前記非磁性層よりも基板側の前記第1の磁性層は、CoCr系合金に微細孤立化促進材料を含有したことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記微細孤立化促進材料は、Ta、Nb、Cu、Mn、B、Zrのうち1つまたは複数が選択されることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 前記微細孤立化促進材料をAとすると、前記第1の磁性層の組成をCo(100−x−y)−Cr(x)−A(y)と表したときに、x=5〜25(at%)、y=1〜7(at%)であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記非磁性層は、RuもしくはRuを含む合金からなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 前記下地層は複数の層からなり、基板側に形成されたCrMnからなる層と、表層側に形成されたCrMoまたはCrMoTiからなる層を備えることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 前記下地層は体心立方構造であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  7. 前記下地層よりガラス基板側に形成した非晶質下地層を備えることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  8. 前記非晶質下地層は、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層、CrTi系非晶質層から選択されることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。

JP2006058223A 2006-03-03 2006-03-03 磁気記録媒体 Pending JP2007234198A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006058223A JP2007234198A (ja) 2006-03-03 2006-03-03 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006058223A JP2007234198A (ja) 2006-03-03 2006-03-03 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007234198A true JP2007234198A (ja) 2007-09-13

Family

ID=38554620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006058223A Pending JP2007234198A (ja) 2006-03-03 2006-03-03 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007234198A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007272949A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Hoya Corp 磁気ディスク

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004247010A (ja) * 2003-02-17 2004-09-02 Hoya Corp 磁気ディスク
JP2005196874A (ja) * 2004-01-07 2005-07-21 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2007048397A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Showa Denko Kk 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004247010A (ja) * 2003-02-17 2004-09-02 Hoya Corp 磁気ディスク
JP2005196874A (ja) * 2004-01-07 2005-07-21 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2007048397A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Showa Denko Kk 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007272949A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Hoya Corp 磁気ディスク

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8057926B2 (en) Perpendicular magnetic recording medium
US6916558B2 (en) Magnetic disk using a glass substrate
WO2009119709A1 (ja) 垂直磁気記録媒体および垂直磁気記録媒体の製造方法
JP2011253597A (ja) 垂直磁気記録媒体及びその製造方法
JP2011248969A (ja) 垂直磁気ディスク
JP2012009086A (ja) 垂直磁気記録媒体及びその製造方法
JP2009238298A (ja) 垂直磁気記録媒体および垂直磁気記録媒体の製造方法
JP2010272182A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法
WO2007129687A1 (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP2006155861A (ja) 垂直磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録再生装置
WO2010035810A1 (ja) 垂直磁気記録媒体および垂直磁気記録媒体の製造方法
JP5775720B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置
JPWO2009014205A1 (ja) 垂直磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JP2010092525A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2007073136A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
JP2007234198A (ja) 磁気記録媒体
JP5105594B2 (ja) 垂直磁気記録媒体
JP4637785B2 (ja) 磁気記録媒体並びに磁気記録再生装置
JP4368700B2 (ja) 磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスク
JP4681262B2 (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法及び垂直磁気記録媒体の製造システム
JP2004014014A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP2001160214A (ja) 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置
JP2004234746A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法
JP4944471B2 (ja) 磁気ディスク及びその製造方法
JP5594716B2 (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20090209

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100426

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100921

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20100927

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110412