JP2004234746A - 垂直磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高記録密度の垂直磁気記録媒体であって、ロードアンロード(LUL)時の衝撃等による、クラッシュ障害が起こり難いものを、低コストで短時間に製造する方法を提供する。
【解決手段】ガラスディスクからなり平滑な表面を有する非磁性ディスク基板1をスパッタ装置内に設置し、クリプトンおよび/またはキセノン雰囲気下において、DCマグネトロンスパッタリング法にてCoTaZrの軟磁性層2を形成し、次に、アルゴン雰囲気下において、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Tiの非磁性下地層3、CoCrPtの垂直磁気記録層4、水素化炭素の保護層5を順次成膜し、最後に、パーフロロポリエーテルの潤滑層6をディップコート法により形成し、垂直磁気記録媒体を製造した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体の製造方法に関し、
より詳細には、垂直磁気記録方式HDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録ディスク等の垂直磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化社会は急激な高度化を続けており、HDD(ハードディスクドライブ)に代表される磁気記録装置では、例えば、磁気記録媒体である2.5インチ径磁気ディスクに対して、1枚辺り60Gバイトを超える情報記録容量が求められるようになってきた。
【0003】
磁気ディスクにおいて、これらの所要に応えるためには1平方インチ辺り100Gビット(100Gbit/inch)を越える情報記録密度を実現することが求められる。このような高記録密度で安定した記録再生を行なうには、磁気記録再生方式として垂直磁気記録方式を採用することが好ましいとされる。ところが、磁気ディスクを垂直磁気記録方式に対応させるためには、現在普及している面内磁気記録方式用の磁気ディスクとは大幅に異なる設計思想が要求される。
【0004】
垂直磁気記録媒体としては、例えば、特許文献1に示す技術が提案されている。特許文献1には、アルゴンガスを用いたスパッタリングにより、垂直磁気記録媒体を作成する旨、提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−12644号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
垂直磁気記録媒体にあっては、基板上に軟磁性層からなる磁性下地層と、硬磁性層からなる垂直磁気記録層とを設けた二層型垂直磁気記録媒体が、高記録密度領域において安定した記録再生を実現できるとされている。
【0007】
二層型垂直磁気記録媒体において、軟磁性層とは、軟磁性特性を示す磁性体(軟質磁性体)からなる層のことであり、硬磁性層とは、硬磁性特性を示す磁性体(硬質磁性体)からなる層のことである。そして、通常、硬磁性層が垂直磁気記録層となる。一方、軟磁性層は、二層型垂直磁気記録媒体に付属する磁気ヘッドが、硬磁性層からなる垂直磁気記録層へ信号記録することを助けている。
【0008】
そして、この二層型垂直磁気記録媒体において、高記録密度を達成すべく、磁気ヘッド−垂直磁気記録層−軟磁性層間に好適な磁気回路を形成しようとした場合、軟磁性層の膜厚を、十分に厚く形成する必要ある。一般的には、軟磁性層の膜厚を、概ね垂直磁気記録層の膜厚の10倍程度以上に形成する。この結果、軟磁性層を形成する必要の無い面内磁気記録媒体に比べて、軟磁性層の形成を必要とする垂直磁気記録媒体の製造コストが高くなってしまうという問題が発生した。このため、垂直磁気記録媒体は、高記録密度を実現できるにも拘わらず、市場化が阻害されている。
【0009】
さらに、上述した軟磁性層を構成する軟磁性体は、高透磁率磁性体であるため、軟磁性層をマグネトロンスパッタリング方式で形成しようとすると、成膜速度が遅くなってしまうという問題もある。すなわち、成膜速度が遅いため、所定の膜厚を有する軟磁性層を製造するためには長時間の成膜時間を必要とし、単位時間当たりの磁気記録媒体製造枚数が低下してしまうのである。この点からも、軟磁性層を形成する必要の無い面内磁気記録媒体に比べて、軟磁性層を形成する必要のある垂直磁気記録媒体の製造コストは、さらに高くなってしまうという問題が発生する。
【0010】
さらに加えて、垂直磁気記録媒体においては、上述したように軟磁性層の膜厚を厚くする必要があるのだが、この厚い膜厚のため、軟磁性層が基板から剥離し易いといった問題もある。特に、垂直磁気記録媒体が、ロードアンロード(以下、LULと記載する。)方式の磁気ディスクである場合、LUL時に、ヘッドから磁気記録媒体へ撃力が加わるので、軟磁性層が基板から剥離し、クラッシュ障害を引き起こし易いという問題もある。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するために成されたものであり、例えばLUL時において、クラッシュ障害などを起こすことのない、安定した品質を有する高記録密度用の垂直磁気記録媒体を、低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有する。
【0013】
(構成1)
基板上に軟磁性層と垂直磁気記録層とを備える垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを含む雰囲気の下で、マグネトロンスパッタリングにより、前記軟磁性層を製造することを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法である。
【0014】
(構成2)
構成1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
前記アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスとは、キセノンおよび/またはクリプトンを含むものであることを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法である。
【0015】
マグネトロンスパッタリングを用いて軟磁性層を製造する際、アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを雰囲気として用いることで、当該軟磁性層の成膜速度が高く保たれ、所望の膜厚を有する軟磁性層を、短時間、低コストで製造することができ、さらに、当該軟磁性層の基板に対する膜付着力が高まり、例えばLUL時における、クラッシュ障害の発生を回避することが可能となった。
【0016】
(構成3)
構成1または2に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
アルゴン雰囲気の下で、マグネトロンスパッタリングにより、前記垂直磁気記録層を製造することを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法である。
【0017】
垂直磁気記録層は軟磁性材料ではないので、低コストであるアルゴンの雰囲気下においても比較的早い速度で成膜することができることから、アルゴン雰囲気の下で垂直磁気記録層を製造することで、垂直磁気記録媒体の製造コストを下げることができる。
【0018】
(構成4)
構成1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
前記基板と前記軟磁性層との間に、Tiを含む付着層を設けたことを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法である。
【0019】
基板と軟磁性層との間に、Tiを含む付着層を設けることにより、基板と軟磁性層との間の付着力を向上させ、例えばLUL時における、クラッシュ障害の発生を回避することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の一例である垂直磁気記録ディスク10の模式的な断面図である。
図1に示すように、垂直磁気記録ディスク10は、基板1の上に軟磁性層2、非磁性下地層3、垂直磁気記録層4、炭素保護層5および潤滑層6を有している。
【0021】
本発明において、基板1は非磁性のガラスであることが好ましい。基板用のガラスとしては、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ソーダタイムガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。また、アモルファスガラス、結晶化ガラスを、用いることができる。後述する、軟磁性層2をアモルファスとする場合にあっては、基板1もアモルファスガラスとすることが好ましい。さらに、化学強化したガラスを用いると、剛性を上げることができ、好ましい。
【0022】
基板1において、主表面の表面粗さはRmaxで6nm以下、Raで0.6nm以下であると好ましい。このような平滑表面とすることにより、後述する垂直磁気記録層4−軟磁性層2間の間隙を一定にすることができるので、ヘッド(図示していない)−垂直磁気記録層4−軟磁性層2間に好適な磁気回路を形成することができる。
【0023】
基板1上には、軟磁性層2が設けられる。
基板1上に軟磁性層2を設けるにあたり、マグネトロンスパッタリングが用いられる。そして、マグネトロンスパッタリングの際の雰囲気として、キセノンを含む雰囲気、さらに好ましくはキセノンを主体とする雰囲気を用いることが好適である。但し、本発明の作用を失わない範囲内で、アルゴンなどの希ガスを含ませることができる。尚、軟磁性層2の特性を向上させる、等の目的のために適宜、酸素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスなどを添加することができる。
【0024】
また、マグネトロンスパッタリングの雰囲気として、クリプトンを含む雰囲気も好適に用いることができる。この場合も、クリプトンを主体とする雰囲気であることがさらに好ましい。但し、本発明の作用を失わない範囲内でアルゴンなどの希ガスを含ませることができる。尚、軟磁性層2の特性を向上させる目的などのために適宜、酸素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスなどを添加することができる。
【0025】
例えば、キセノンおよび/またはクリプトン等の、アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを含む雰囲気下で、マグネトロンスパッタリングを用いて、軟磁性層2を形成することにより、高い成膜速度を保ちながら、基板1上に軟磁性層2を形成することができる。この結果、短時間に、低コストで、所望の膜厚を有する軟磁性層2を製造することができる。
【0026】
さらに好ましいことに、アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを含む雰囲気下で、マグネトロンスパッタリングを用いて、軟磁性層2を形成することで、軟磁性層2の膜応力が緩和され、軟磁性層2から基板1への膜付着力が増加した結果、LUL時の衝撃等、に対し耐久性の高い垂直磁気記録ディスク10を得ることができた。
【0027】
上述の効果は、以下のようして得られたものであると考察される。
すなわち、第1に、アルゴンに比べて原子半径の大きな希ガス、例えば、クリプトンやキセノンやラドンを含む雰囲気下では、マグネトロンスパッタリング時に、アルゴンよりも大きなイオン半径を有するイオンにより、スパッタリングが行なわれるので、単位時間当たりに、大量の成膜物質がスパッタリングターゲット等から基板1上へ堆積するため、高い成膜速度が得られると考えられる。
第2に、軟磁性層2の成膜直後に、アルゴンに比べて原子半径の大きな希ガス元素が膜中に残留するので、形成後の軟磁性層2の膜応力が緩和されるものと考えられる。
【0028】
尚、軟磁性層2を設けるにあたり、マグネトロンスパッタとして、DCマグネトロンスパッタリングを用いることが好ましい。DCマグネトロンスパッタリングであれば、均質かつ高い平滑性を有する膜表面が得られるからである。
【0029】
軟磁性層2の材料は、特に限定されず、公知の軟磁性材料を用いることができる。但し、基板1への膜付着力の観点からは、膜応力の小さなアモルファス軟磁性層とすることが好ましい。例えば、CoTaZr系軟磁性層、FeTaC系軟磁性層などが好ましい。さらに、軟磁性層2の膜厚は30nm〜1000nmが好ましく、さらに好ましくは、50nm〜300nmである。膜厚が、30nm以上、さらに好ましくは50nmあるとヘッド−垂直磁気記録層4−軟磁性層2間に高記録密度に適した磁気回路が形成され、1000nm以下、さらに好ましくは300nm以下であると、軟磁性層2の成膜時間が短くて済み、生産性を上げることができる。
【0030】
一方、基板1と軟磁性層2との間に、付着層(図示していない)を形成することも好ましい構成である。付着層を形成することにより、基板1と軟磁性層2との間の付着性を向上させることができるので、軟磁性層2が基板1から剥離するのを防止することができる。この結果、LUL時の衝撃等に対し耐久性の高い垂直磁気記録ディスク10を得ることができる。付着層の材料としては、例えばTi含有材料を用いることができる。実用上の観点からは付着層の膜厚は、1nm〜50nmとすることが好ましい。
【0031】
軟磁性層2と垂直磁気記録層4との間に、垂直磁気記録層4の結晶性や配向性を向上させる目的で、非磁性下地層3を形成することが好ましい。非磁性下地層3としては、例えば、Ti系下地層、NiTa系下地層等が挙げられる。これらの非磁性下地層3は、垂直磁気記録層4の垂直配向性を高めるとともに、垂直磁気記録層4のグレインを、均一に微細化するので、垂直磁気記録ディスク10の高記録密度化に資することができる。
【0032】
非磁性下地層3の形成にあっては、マグネトロンスパッタリングにより、アルゴンを含む雰囲気下、さらに好ましくはアルゴン雰囲気で形成することが好適である。
非磁性下地層3は、軟磁性材料ではないので、アルゴン雰囲気下においても比較的早い速度で成膜することができる。そして、非磁性下地層3は、軟磁性層2に比べて膜厚は小さい場合が多いので、アルゴン雰囲気を用いても、比較的短時間に製造することができるからである。
さらに、アルゴンは、希ガスの中でも低コストで、比較的容易に入手することができるので、低コストをもって非磁性下地層3を設けることができ、垂直磁気記録ディスク10の製造コストを下げることができるからである。尚、非磁性下地層3の特性を向上させる目的などのために適宜、酸素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスなどを添加することができる。
【0033】
軟磁性層2上、または間に非磁性下地層3を挟んで、垂直磁気記録層4が設けられる。
垂直磁気記録層4は軟磁性材料ではなく、その膜厚も軟磁性層4と比べて小さい場合が多いので、上述した非磁性下地層3と同様の理由により、マグネトロンスパッタリングにより、アルゴンを含む雰囲気下、さらに好ましくはアルゴン雰囲気で形成することが好適である。尚、垂直磁気記録層4の特性を向上させる目的などのために適宜、酸素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスなどを添加することができる。
【0034】
垂直磁気記録層4の材料として、公知の硬磁性材料を用いることができ、例えば、CoPt系垂直磁気記録層やCoCr系垂直磁気記録層、CoCrPt系垂直磁気記録層などを挙げることができる。そして、垂直磁気記録層4の膜厚は、実用上の範囲内で適宜調整すればよいが、例えば、10nm〜30nmの範囲内であれば実用上、好適に用いることができる。
【0035】
垂直磁気記録層4上に、保護層5が設けられる。
保護層5は、LUL時の磁気ヘッドからの衝撃等に対して、垂直磁気記録層4を防護するために設けられ、炭素保護層等を好適に用いることができる。
保護層5の形成にあたっては、例えば、カーボンターゲットを用い、アルゴンに水素を20%含有させた混合ガス雰囲気下で、マグネトロンスパッタリングにより好適に製造することができる。この構成を採ると、高い膜硬度を有する水素化炭素からなる保護層5を得ることができ、好ましい。保護層5の膜厚は、5nm程度が好ましい。
【0036】
保護層5上に、潤滑層6が設けられる。
潤滑層6には、パーフロロポリエーテル(以下、PFPEと記載する。)等が好適に用いられる。潤滑層6は、例えば、ディップコート法により、膜厚1nm程度に形成されて製造される。
以上の工程により、垂直磁気記録ディスク10が製造される。
【0037】
尚、垂直磁気記録ディスク10の製造においては、軟磁性層2の形成には、厚い膜の形成に適した成膜装置、例えばインライン式成膜装置を用い、垂直磁気記録層4の形成には、精密な成膜に適した成膜装置、例えば枚葉式成膜装置、或いは静止対向成膜装置を用いて成膜を行なうことが好ましい。成膜装置を適宜に使い分けることにより、垂直磁気記録ディスク10の製造コストを抑制することが可能となる。
【0038】
垂直磁気記録ディスク10は、軟磁性層2等の基板1に対する膜付着力が高いものであるので、LUL方式のHDDに搭載されるLUL方式用垂直磁気記録ディスクとして好適であるが、勿論CSS(Contact Start Stop)方式用垂直磁気記録ディスクとして用いることもできる。
【0039】
さらに、ここ迄、垂直磁気記録媒体の一例として垂直磁気記録ディスク10を採り上げ、軟磁性層、垂直磁気記録層、等の構造、製造方法について説明してきたが、当該構造、製造方法は、垂直磁気記録ディスク以外の垂直磁気記録媒体へも、勿論適用することができる。
【0040】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
(基板の調製)
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成した。このガラスディスクへ、研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなり平滑な表面を有する、非磁性ディスク基板を得た。
このディスク基板の主表面の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、Rmaxが4.8nm、Raが0.42nmという平滑な表面形状であった。なお、Rmax及びRaは、日本工業規格(JIS)に従う。
【0041】
(軟磁性膜の形成)
得られたディスク基板上を、真空引き行なったインライン式成膜装置内へ設置し、クリプトン(Kr)雰囲気下、DCマグネトロンスパッタリング法にて、軟磁性層を形成した。このとき、軟磁性層が、CoTaZr(Co:88at%、Ta:7at%、Zr:5at%)層のアモルファスとなるように、軟磁性体のCoTaZrターゲットを用いて成膜し、膜厚は300nmとした。
【0042】
(非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層の形成)
次に、軟磁性層が形成されたディスク基板上を、真空引きを行なった枚葉式成膜装置へ設置し、アルゴン雰囲気下、DCマグネトロンスパッタリング法にて、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層を順次成膜した。
まず、アルゴン雰囲気下、Tiターゲットを用い、hcp結晶構造のTiからなる非磁性下地層を、20nm形成した。
次に、アルゴン雰囲気下、hcp結晶構造のCoCrPt合金からなる硬磁性体のターゲットを用い、垂直磁気記録層を、25nm形成した。得られた垂直磁気記録層の組成は、Co:70at%、Cr:17at%、Pt:13at%である。
さらに、アルゴンに水素を20%含有させた混合ガス雰囲気下、カーボンターゲットを用い、水素化炭素からなる保護層を形成した。保護層を、水素化炭素とすることで、膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対して垂直磁気記録層を防護することができる。膜厚は5nmである。
この後、PFPEからなる潤滑層をディップコート法により形成した。潤滑層6の膜厚は1nmである。
【0043】
以上の製造工程により、垂直磁気記録ディスクが得られた。
軟磁性層の形成に要した時間及び、1000枚の垂直磁気記録ディスクを製造するのに要する時間を図2に示す。
【0044】
得られた垂直磁気記録ディスクの垂直磁気記録層の配向性を、X線回折法にて分析したところ、ディスク面に対して垂直方向に配向していた。
さらに、垂直磁気記録ディスクの磁気特性(保磁力)、および、軟磁性層の磁気特性(保磁力、飽和磁束密度)をVSM(振動試料型磁化測定装置)で評価した。結果を図2に示す。
【0045】
次に、垂直磁気記録ディスクの電磁変換特性を測定した。結果は図2に掲げる。尚、電磁変換特性は以下のようにして測定した。
R/Wアナライザー(GUZIK)と、記録側がSPT素子、再生側がGMR素子を備える垂直磁気記録方式用磁気ヘッドとを用いて、780kfciの記録密度で測定した。このとき、磁気ヘッドの浮上量は12nmであった。
【0046】
さらに、垂直磁気記録ディスクの耐久性を試験した。耐久試験は、LUL方式のHDDへ、浮上量が12nmの磁気ヘッドと垂直磁気記録ディスクとを搭載し、連続してLUL動作をさせた。その結果、45万回のLUL時の衝撃に耐久し、クラッシュ障害を起こさないことが判明した。
【0047】
(実施例2)
軟磁性層を形成する際の雰囲気を、クリプトン(Kr)からキセノン(Xe)へ代替した以外は、実施例1と同様にして、垂直磁気記録ディスクを製造した。
1000枚の垂直磁気記録ディスクの製造に要した時間、製造された垂直磁気記録ディスクの、磁気特性(保磁力)および軟磁性層の磁気特性(保磁力、飽和磁束密度)の評価結果を図2に示す。
さらに、実施例1と同様に、垂直磁気記録ディスクの耐久性を試験したところ、50万回のLUL時の衝撃に耐久し、クラッシュ障害を起こさないことが判明した。
【0048】
(比較例1)
軟磁性層を形成する際の雰囲気を、クリプトン(Kr)からアルゴン(Ar)へ代替した以外は、実施例1と同様にして、垂直磁気記録ディスクを製造した。
垂直磁気記録ディスクの製造に要した時間、製造された垂直磁気記録ディスクにおける、磁気特性(保磁力)および軟磁性層の磁気特性(保磁力、飽和磁束密度)の評価結果を図2に示す。
さらに、実施例1と同様に、垂直磁気記録ディスクの耐久性を試験したところ、30万回のLUL時の衝撃に耐久することが判明した。
【0049】
実施例1、2及び比較例1の結果を対比すると、軟磁性層を形成する際の雰囲気を、アルゴンから、より原子半径の大きな希ガスへ代替することにより、製造される垂直磁気記録ディスクの磁気特性や電磁変換特性を低下させることなく、製造時間の大幅な短縮が得られ、さらにLUL時の衝撃等への耐久性が向上することが判明した。
【0050】
(実施例3)
基板と軟磁性層との間に、付着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、垂直磁気記録ディスクを製造した。
尚、当該付着層は、アルゴン雰囲気下、Tiターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングにより、Ti層を25nm形成した。
製造された垂直磁気記録ディスクにおける、磁気特性および軟磁性層の磁気特性の評価結果は実施例1と同等であったが、基板と軟磁性層との付着力が向上し、50万回のLUL時の衝撃に耐久した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、基板上に軟磁性層と垂直磁気記録層とを備える垂直磁気記録媒体の製造において、アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを含む雰囲気の下で、マグネトロンスパッタリングにより前記軟磁性層を製造することで、当該軟磁性層の成膜速度が高く保たれ、所望の膜厚を有する軟磁性層を短時間、低コストで製造することができ、さらに、当該軟磁性層の基板に対する膜付着力が高まり、例えばLUL時の衝撃等による、クラッシュ障害の発生を回避することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、垂直磁気記録ディスクの模式的な縦断面図である。
【図2】本発明に係る、垂直磁気記録ディスクの実施例および比較例の特性一覧表である。
【符号の説明】
1.基板
2.軟磁性層
3.非磁性下地層
4.垂直磁気記録層
5.保護層
6.潤滑層
10.垂直磁気記録ディスク

Claims (4)

  1. 基板上に軟磁性層と垂直磁気記録層とを備える垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスを含む雰囲気の下で、マグネトロンスパッタリングにより、前記軟磁性層を製造することを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記アルゴンよりも原子半径の大きな希ガスとは、キセノンおよび/またはクリプトンを含むものであることを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    アルゴン雰囲気の下で、マグネトロンスパッタリングにより、前記垂直磁気記録層を製造することを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記基板と前記軟磁性層との間に、Tiを含む付着層を設けたことを特徴とする、垂直磁気記録媒体の製造方法。
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