JP2007095229A - 垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の成膜装置を用いても、垂直磁気記録媒体として十分に機能し、かつ高い生産性を有する垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】垂直磁気記録媒体10の製造方法であって、基板12を準備する準備工程と、成膜装置に基板12を設置して、軟磁性層16と、キャップ層18とを連続的に成膜する第1の成膜工程と、成膜装置から基板を取り出す取り出し工程と、垂直磁気記録層24を成膜するための成膜装置に基板12を設置して、シード層20と、下地層22と、垂直磁気記録層24とを連続的に成膜する第2の成膜工程とを備え、キャップ層18及びシード層20は、単体のTa(タンタル)で形成されたTa層であり、シード層20の膜厚は、2nm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体に関する。
近年、磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。また、垂直磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体は、2層媒体と呼ばれ、硬質磁性材料の垂直磁気記録層と、軟磁性層(軟磁性裏打ち層)の二つの磁性層を構成要素として有する。このうち、長手磁気記録方式用の面内媒体では用いられていない軟磁性層は、垂直磁気記録用ヘッドの書き込み磁界を収束させることによって書き込みを助ける役割を有する。そのため、軟磁性層は、より高密度で書き込みを行うためにも、垂直磁気記録媒体では必須である。
このような2層媒体と呼ばれる構成においては、軟磁性層と垂直磁気記録層の間の中間層の膜厚が重要である。すなわち、この中間層の膜厚が薄いほど、2層間の距離が近くなるため、書き込みが容易になる。また、より高密度での書き込みが可能になる。但し、中間層の膜厚がが薄くなるにつれて、上部の垂直磁気記録層の垂直配向が乱れやすくなる。これは、垂直磁気記録層の垂直配向が、垂直磁気記録層の下地層の配向の乱れと連動しているためである。そのため、従来、下地層の下にシード層等を形成する方法が知られている。シード層等を用いることによって、下地層が薄い場合であっても、垂直磁気記録層について十分な特性を得ることができる。
ここで、このような2層媒体と呼ばれる垂直磁気記録媒体においては、軟磁性層起因によるスパイクノイズを抑えるため、軟磁性層自体、複数の層からなる複雑な構造をとらざるを得ない。その結果、近年、垂直磁気記録媒体のトータルの層数が増え、面内媒体等で用いられているような成膜装置一台ではチヤンバー数が不足する事態となってきた。
そこで、従来、成膜装置を2台使用して垂直磁気記録媒体の製造を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの方法においては、例えば、1台目の成膜装置では主に軟磁性層を成膜し、2台目の成膜装置では垂直磁気記録層、保護層等を成膜する。このように従来の成膜装置を流用することは、製造コストの面において高いメリットがある。しかし、これらの方法では、成膜対象の基板を連続成膜の途中で成膜装置から取り出すこととなる。そのため、基板の成膜面にパーティクルが付着するおそれがある。また、全てを連続成膜できないことにより、所望の特性が得られないという問題が生じうる。
このような問題点に対する対策として、特許文献1、2に開示されている方法では、2台目の成膜装置に基板を投入する直前に洗浄を行ってパーティクルを取リ除く方法、軟磁性層上にアモルファスカーボン等の保誰層を設ける方法等が提案されている。また、軟磁性層上の保護層と2台目の成膜装置にて成膜する最初の層(シード層)とを同じ材料で形成すること等が提案されている。
特開2004−227740号公報 特開2004−227618号公報
ところが、本願発明者らが研究を進めるうち、従来の方法では更なる高密度化へ向けて、所望の特性が得られないことがわかってきた。例えば、基板を成膜装置から取り出して大気暴露する前後の層、すなわち、1台目の成膜装置による最後の成膜層(キャップ層)と、2台目の成膜装置による最初の成膜層(シード層)の材料が同じ場合、合金系の材料を用いると、所望の特性を得られない場合があることがわかった。
メカニズムを考察した結果、その理由としては、膜界面での相互拡散が発生しており、合金系では混ざり方が不均一になってしまうことが考えられる。また、混ざり方が不均一になると、キャップ層とシード層との間に、両者が混ざった組成の部分が生じることから、性質の異なる層(変質層)が増えたような状況になり、上層の結晶配向性が劣化してしまう。例えば、シード層の上にRu(ルテニウム)の下地層を形成する場合、Ruの結晶配向性が劣化する。そのため、Ruの結晶配向性を所望の特性にするためには、必要なシード層膜厚が増加してしまう。
ここで、軟磁性層を有する2層媒体の垂直磁気記録媒体において、軟磁性層と垂直磁気記層の間の中間層の膜厚を減らしつつ、下地層のRu等の結晶配向性を良好に保つことは、前述のように特性向上のために非常に重要なポイントである。そのため、キャップ層とシード層を単に同じ材料で形成するのみならず、相互拡散が発生しても組成が変わらないように設計するのが肝要である。
この観点から、本願発明者らは、相互拡散が発生しても組成が変わらないように、単体の材料でキャップ層及びシード層を形成することを検討した。そして、単体の中でも上層の下地層におけるRu等や、更に上層の垂直磁気記録層のCo等の結晶配向性の観点から、適・不適があることを見出した。例えば、本願発明者らは、現時点において、キャップ層及びシード層をTa(タンタル)で形成することが好ましいことを見出した。尚、詳しいメカニズムについては解析中であるが、Taは高融点であり、体心立方(bcc)構造であることが関係している可能性がある。そのため、例えば、Taよりも高融点であり、かつ体心立方構造の単体金属でキャップ層及びシード層を形成することも好ましいと考えられる。
また、本願発明者らは、キャップ層及びシード層をTaで形成した構成について更に研究を進めた。その結果、キャップ層及びシード層をTaで形成する場合にも、これらの層の膜厚等の条件によっては、上層の下地層や垂直磁気記録層の結晶配向性を十分に高められない場合があることを見出した。垂直磁気記録層等の結晶配向性の悪化は、例えば、再生出力の低下や媒体ノイズの増加の原因となる。尚、垂直磁気記録層の結晶配向性は、例えば、垂直磁気記録層の磁性の配向分散(配向のバラツキ)が大きくなることにより悪化する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば従来の成膜装置を用いても垂直磁気記録媒体として十分に機能し、なおかつ高い生産性を有する垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体を提供することにある。
本願発明者らは、上述の課題を解決すべ<研究を進めた結果、以下の構成を用いれば、所望の特性が得られることを見出した。
(構成1)軟磁性層及び垂直磁気記録層を備える垂直磁気記録媒体の製造方法であって、基板を準備する準備工程と、成膜装置に基板を設置して、軟磁性層と、軟磁性層を覆うキャップ層とを連続的に成膜する第1の成膜工程と、成膜装置から基板を取り出す取り出し工程と、垂直磁気記録層を成膜するための成膜装置に基板を設置して、上層の結晶配向性及び結晶成長性を制御するためのシード層と、垂直磁気記録層の結晶配向性、結晶粒径、及び粒界偏析を制御するための下地層と、垂直磁気記録層とを連続的に成膜する第2の成膜工程とを備え、キャップ層及びシード層は、単体のTa(タンタル)で形成されたTa層であり、シード層の膜厚は、2nm以上である。キャップ層の膜厚は、例えば2nm以下である。
このようにすれば、下地層及び垂直磁気記録層の結晶配向性を十分に高めることができる。また、例えばキャップ層及びシード層を他の材料で形成した場合等と比べ、薄いシード層を用い、軟磁性層と垂直磁気記録層の間の中間層の膜厚を小さくした場合であっても、良好な結晶配向性、及び良好なSNR(信号とノイズの強度比)特性が得られる。
また、軟磁性層の膜厚(総膜厚)は、例えば100nm以下(例えば20〜100nm)、より好ましくは80nm以下(例えば30〜80nm)、更に好ましくは60nm以下(例えば、40〜60nm)である。このようにすれば、垂直磁気記録媒体の再生特性を適切に高めることができる。
ここで、軟磁性層の膜厚を薄くした場合には、表面状態の影響が大きくなる。そのため、例えば、キャップ層及びシード層を合金系の材料で形成したとすると、相互拡散によって両層の間に生じる変質層の影響が大きくなる。また、このように膜厚の薄い軟磁性層を用いた場合、成膜熱が低下するため、表面酸化の度合いも減少し、表面酸化以外の要因の影響が大きくなる。そのため、このような変質層の影響は、大気中への暴露によってキャップ層表面が酸化されることの影響よりも大きいと考えられる。しかし、構成1のようにすれば、キャップ層及びシード層を共に単体のTaで形成することで、相互拡散により変質層が生じるのを適切に防ぐことができる。そのため、軟磁性層を薄くした場合であっても、下地層及び垂直磁気記録層の結晶配向性を十分に高めることができる。
また、構成1のようにした場合、取り出し工程と第2の成膜工程との間の期間を長く確保できる。この場合、垂直磁気記録媒体の製造方法は、取り出し工程と第2の成膜工程との間に保管工程を更に備えてもよい。このようにすれば、例えば垂直磁気記録媒体を大量生産する場合に、工程のスケジューリングの自由度を高めることができる。尚、垂直磁気記録媒体のSNR(信号とノイズの強度比)は時間と共に低下する。そのため、保管工程は、基板を、例えば1ヶ月以内(例えば1〜30日程度)の期間、より好ましくは1週間以内(例えば1〜7日程度)の期間保管するのが望ましい。
(構成2)取り出し工程と第2の成膜工程との間に、イソプロピルアルコールを用いた超音波洗浄、及びイソプロピルアルコールを用いた蒸気洗浄を行う洗浄工程を更に備える。このようにすれば、成膜装置から取り出した基板にパーティクル等が付着したとしても、当該パーティクル等を適切に除去できる。
(構成3)シード層の膜厚は、7nm以上であり、下地層はRu層であり、下地層におけるRu結晶の(002)面の結晶配向性が、Δθ50で3.5°以下である。このようにすれば、下地層及び垂直磁気記録層の結晶配向性を更に適切に高めることができる。
(構成4)構成1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。このように構成すれば、構成1〜3と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、例えば従来の成膜装置を用いても、垂直磁気記録媒体として十分に機能し、かつ高い生産性を有する垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る垂直磁気記録媒体10の一実施形態を説明するための断面模式図である。垂直磁気記録媒体10は、基板12上に、付着層14(密着層)、軟磁性層16、キャップ層18、シード層20、下地層22(中間層)、垂直磁気記録層24、磁気的結合層26、保護層28、及び潤滑層30を順次形成して成る構成を有する。基板12としては、各種公知の垂直磁気記録媒体用に用いられる基板を用いることができる。このような基板としては、例えば、NiPメッキを施したAl合金、強化ガラス、又は結晶化ガラス等が挙げられる。付着層14は、軟磁性層16と基板12との密着性を高めるための層である。付着層14としては、例えばCrTi層、Cr層、Ti層等を用いることができる。
軟磁性層16としては、NiFe系合金、センダスト(FeSiAl)合金、飽和磁束密度の大きなFeCo合金等の層を用いることができる。また、軟磁性層16の材料として、非晶質のCo合金、例えば、CoNbZr、CoTaZr等を用いることによリ、良好な電磁変換特性を得ることができる。軟磁性層16の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が変化するが、例えば10nm以上200nm以下であることが、生産性との兼ね合いから望ましい。
軟磁性層16の磁壁の形成を抑制するためには、軟磁性層16の下層にCo合金等の強磁性層を形成し、これを所望の方向に磁化させるように着磁する方法や、反強磁性薄膜を形成し、交換結合を利用して磁化をピン止めする方法、軟磁性材料の層と非磁性層とを多数回積層することにより磁壁の形成を抑制する方法等を用いることができる。磁壁制御の目的で軟磁性材料の層と非磁性層とを多数回積層する場合、非磁性層の材料としては、例えばRu等を用いることができる。
キャップ層18は、軟磁性層16のキャップ層であり、Ta(タンタル)で形成される。キャップ層18は、軟磁性層16の成膜後、成膜装置から基抜を取り出す際、軟磁性層16の保護のために設けられる。キャップ層18の膜厚は、軟磁性層16の酸化を防ぐのに必要最小限の膜厚とすることが望ましい。厚すぎる場合には、信号の書込み能力を低下させてしまう原因となる。キャップ層18の膜厚は、例えば10nm以下、より好ましくは1〜7nm、更に好ましくは2〜5nmである。
シード層20は、下地層22の結晶配向性及び結晶成長性を制御するための層であり、キャップ層18と同じ材料のTaで形成される。シード層20の膜厚は、下地層22の結晶成長を制御するのに必要最小限の膜厚とすることが望ましい。厚すぎる場合には、キャップ層18の場合と同様に、信号の書き込み能力を低下させてしまう原因となる。
但し、シード層20の成膜前に透明基板12を成膜装置から一旦取り出す場合、シード層20の膜厚が不十分であると、下地層22等の結晶配向性を適切に制御できない。そのため、シード層20の膜厚は、例えば2〜15nm、より好ましくは3〜10nm、更に好ましくは5〜7nmである。
尚、垂直磁気記録媒体10の全層を連続成膜する場合には、シード層20が特に必要ない場合もある。しかし、軟磁性層16のキャップ層18を成膜後に、一旦基板12を成膜装置から出す場合、下地層22の結晶成長性等が悪くなることがある。これに対し、シード層20を用いることにより、このような下地層22の劣化を防ぐことができる。
下地層22は、垂直磁気記録層24の結晶配向性、結晶粒径、及び粒界偏析を好適に制御するための層である。下地層22の材料としては、面心立方(fcc)構造又は六法最密充填(hcp)構造を有する単金属膜又は合金膜が好ましい。このような膜としては、例えばTi、Ru、Pd、Ptの膜やそれらを含む合金膜が挙げられるが、それらに限定されない。下地層22の膜厚としては、垂直磁気記録層24の構造制御を行なうのに必要最小限の膜厚とすることが、記録の面からは好ましい。下地層22の膜厚は、例えば10〜40nm、より好ましくは15〜35nm、更に好ましくは20〜30nmである。
垂直磁気記録層24は、硬質磁性材料で形成された強磁性層である。垂直磁気記録層24としては、磁性粒の細かなグラニュラ膜、例えばCoCrPt系合金膜、結晶粒界にSiO等の非磁性酸化物や窒化物を有するグラニュラー膜、Co/Pd等の積層膜、希土類−遷移金属合金非晶質膜、FePt規則合金膜等を用いることができる。垂直磁気記録層24の膜厚は、例えば5〜20nm、より好ましくは8〜18nm、更に好ましくは10〜15nmである。
磁気的結合層26は、垂直磁気記録層24と共にCGC構造を構成する層であり、交換相互作用により垂直磁気記録層24と磁気的結合する。磁気的結合層26の膜厚は、例えば1〜10nm、より好ましくは2〜7nm、更に好ましくは3〜6nmである。尚、垂直磁気記録層24及び磁気的結合層26としては、各種公知のCGC構造を用いることができる。CGC構造を用いることにより、例えば、軟磁性層16の熱安定性を高めることができる。
保護層28及び潤滑層30は、各種公知の垂直磁気記録媒体で用いられている保護層及び潤滑層と同一又は同様の層である。保護層28としては、例えば、カーボンを主体とする保護膜を用いることができる。潤滑層30としては、例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。また、保護層28及び潤滑層30の膜厚等の条件は、各種公知の垂直磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
続いて、垂直磁気記録媒体10の製造方法の一例について説明する。垂直磁気記録媒体10を製造工程においては、最初に、基板を準備し(準備工程)、スパッタリング装置等の成膜装置を用いて、付着層14、軟磁性層16、及びキャップ層18を基板12上に連続して成膜する(第1の成膜工程)。そして、基板12を一旦成膜装置から取り出し(取り出し工程)、洗浄(洗浄工程)後、次の成膜装置に基板12を設置する。そして、その成膜装置を用いて、シード層20、下地層22、垂直磁気記録層24、磁気的結合層26、及び保護層28を連続して成膜する(第2の成膜工程)。また、保護層28上に潤滑層30を成膜する。尚、下地層22以降を成膜する成膜装置は、付着層14、軟磁性層16、及びキャップ層18を成膜する成膜装置と同じ装置であってもよい。この場合、例えば、シード層20を成膜する前に、スパッタリング装置で用いられるターゲット等の交換を行う。
ここで、キャップ層18の成膜後、基板12を成膜装置から取り出すことにより、キャップ層18の表面にパーティクル等が付着するおそれがある。このパーティクルが付着したままその後の成膜を行なった場合、完成した垂直磁気記録媒体10の信頼性に大きな影響を及ぼす可能性がある。そのため、表面に付着したパーティクル等を除去するために、基板12の洗浄(中間洗浄)を行なう洗浄工程が非常に重要な工程となる。洗浄工程には、例えば、垂直磁気記録媒体の各層の成膜前に行われている各種公知の洗浄方法と同一又は同様の洗浄方法を用いることができる。
尚、垂直磁気記録媒体の各層の成膜前の洗浄方法では、酸やアルカリ等の洗剤や溶剤が使われる場合がある。しかし、中間洗浄を行う洗浄工程においては、既に一部の膜の成膜が行なわれているため、これらの洗剤や溶剤を使うことは好ましくない。そのため、この洗浄工程では、純水や有機溶剤等を用いることが好ましい。更に、ウレタン等のパットを用いて表面を物理的に擦り洗いすることは表面付着物を除去するためには有効である。但し、この場合にも、洗剤等は用いずに純水等のみとする必要がある。
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例は、本発明の好適に説明する代表例に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。
(実施例1)
基板12として、非磁性基体であるアルミノシリケート系アモルファス強化ガラス基板を用い、これを洗浄後、成膜装置内に導入した。成膜装置としては、公知のスパッタリング装置を用いた。そして、付着層14としてCrTi層を10nm成膜後、軟磁性層16を成膜した。軟磁性層16としては、CoTaZr層を50nm、Ru層1nm、CoTaZr層を50nm成膜した。更に、キャップ層18としてTa層を2nm成膜後、一旦成膜装置から取り出した。取り出した基板12に対し、中間洗浄として、イソプロピルアルコールを用いた超音波洗浄(IPA−US)、及びイソプロピルアルコールを用いた蒸気洗浄(IPA−Vaper)を行なった。
その後、以降の膜を成膜するためのターゲットに全て交換を済ませた成膜装置に、中間洗浄済み基板12を導入し、シード層20としてTa層を3nm、下地層22としてRu層を25nm、垂直磁気記録層24としてCoCrPt−SiO層を14nm成膜した。また、磁気的結合層26として、Pd層を1nm、CoB層を1.5nm成膜した。そして、最後に、保護層28としてカーボン層を5nm成膜した。そして、保護層28の成膜後、成膜装置から基板12を取り出した。その後、潤滑層30として、パーフルオロポリエーテルからなる液体層を1nm、ディップ法により成膜し、実施例1に係る垂直磁気記録媒体10を作製した。
(比較例1)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前にキャップ層を成膜しなかったこと以外は実施例1に示した方法と同様にして、比較例1に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例2)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてNiTa層のキャップ層を成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして比較例2に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例3)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてRu層のキャップ層を成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして比較例3に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例4)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてC(カーボン)層のキャップ層を成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして比較例4に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例5)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてTi層のキャップ層を成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして比較例5に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(比較例6)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてPd層のキャップ層を成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして比較例6に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
X線評価装置を用い、実施例1及び比較例1〜6における下地層及び垂直磁気記録層の結晶配向性を測定した。また、スピンスタンドテスターを用い、SPT/GMRヘッドにより、実施例1及び比較例1〜6に係る垂直磁気記録媒体の電磁変換特性を測定した。
表1は、実施例1及び比較例1〜6の結晶配向性と、電磁変換特性とを示す。下地層の結晶配向性としては、Ru結晶の(002)面のΔθ50を測定した。垂直磁気記録層の結晶配向性としては、Co結晶の(002)面のΔθ50を測定した。Δθ50は、X線回折装置を用いたロッキングカーブ法により測定した。また、電磁変換特性としては、SNR(信号とノイズの強度比)を測定した。
シード層としてTa層を用いた実施例1及び比較例1〜6の中では、シード層材料と同じ組成のTa層をキャップ層に用いた実施例1の場合に、最も良好な結晶配向性とSNRが得られた。尚、Δθ50は、結晶子の配向のばらつきの大きさを表す配向分散(c軸分散角)であり、小さいほど配向性が優れていることを示す。
(比較例7、8)
軟磁性層を成膜後、装置から取り出す前にキャップ層を成膜せず、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した後にTa層に代えてNiTa層のシード層を3nm成膜した以外は実施例1に示した方法と同様にして、比較例7に係る垂直磁気記録媒体を作製した。また、磁性層を成膜後、装置から取り出す前に、Ta層に代えてNiTa層のキャップ層を2nm成膜し、中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した後に、Ta層に代えてNiTa層のシード層を3nm成膜した以外は実施例1に示した方法と同様にして、比較例8に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
表2は、比較例7、8の結晶配向性を示す。結晶配向性としては、下地層のRu結晶の(002)面のΔθ50を測定した。Ta層でキャップ層18及びシード層20を成膜した実施例1と比べ、比較例7、8では結晶配向性が劣化していることが確認できた。
(比較例9)
中間洗浄後、再び成膜装置内に導入した後にシード層を成膜しなかったこと以外は実施例1に示した方法と同様にして、比較例9に係る垂直磁気記録媒体を作製した。
(実施例2〜4)
シード層20の膜厚を2nm、7nm、10nmとしたこと以外は実施例1に示した方法と同様にして、実施例2〜4に係る垂直磁気記録媒体10を作製した。
表3は、比較例9及び実施例2〜4の結晶配向性を示す。結晶配向性としては、下地層のRu結晶の(002)面のΔθ50を測定した。Ta層でキャップ層18及びシード層20を成膜した実施例2〜4において、実施例1と同様に、良好な結晶配向性が得られた。
以上のように、垂直磁気記録媒体10において、軟磁性層16を成膜後、成膜装置から取り出す前に、軟磁性層16の劣化を防ぐために連続してキャップ層18を成膜し、中間洗浄後に成膜装置に導入後、下地層22を成膜する前にシード層20を成膜するようにし、かつキャップ層18及びシード層20に同じ単体のTa膜を用いることによリ、優れた結晶配向性及び電磁変換特性を実現することができることが確認できた。このような垂直磁気記録媒体を製造するためには、既存の成膜装置をそのまま使用することができるため、新たな設備投資を行なう必要がなくなる。そのため、今後の垂直磁気記録媒体の大量生産に非常に適している。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明は、例えば垂直磁気記録媒体の製造方法、及び垂直磁気記録媒体に好適に利用できる。
本発明に係る垂直磁気記録媒体10の一実施形態を説明するための断面模式図である。
符号の説明
10・・・垂直磁気記録媒体、12・・・基板、14・・・付着層、16・・・軟磁性層、18・・・キャップ層、20・・・シード層、22・・・下地層、24・・・垂直磁気記録層、26・・・磁気的結合層、28・・・保護層、30・・・潤滑層

Claims (4)

  1. 軟磁性層及び垂直磁気記録層を備える垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    基板を準備する準備工程と、
    成膜装置に前記基板を設置して、前記軟磁性層と、前記軟磁性層を覆うキャップ層とを連続的に成膜する第1の成膜工程と、
    前記成膜装置から前記基板を取り出す取り出し工程と、
    前記垂直磁気記録層を成膜するための成膜装置に前記基板を設置して、上層の結晶配向性及び結晶成長性を制御するためのシード層と、前記垂直磁気記録層の結晶配向性、結晶粒径、及び粒界偏析を制御するための下地層と、前記垂直磁気記録層とを連続的に成膜する第2の成膜工程と
    を備え、
    前記キャップ層及び前記シード層は、単体のTaで形成されたTa層であり、
    前記シード層の膜厚は、2nm以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記取り出し工程と前記第2の成膜工程との間に、イソプロピルアルコールを用いた超音波洗浄、及びイソプロピルアルコールを用いた蒸気洗浄を行う洗浄工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記シード層の膜厚は、7nm以上であり、
    前記下地層はRu層であり、
    前記下地層におけるRu結晶の(002)面の結晶配向性が、Δθ50で3.5°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法により製造されたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
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