JP4348952B2 - 垂直磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関し、より詳細には、コンピュータの外部記憶装置を初めとする各種磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。
【0003】
垂直磁気記録媒体は、硬質磁性材料の磁気記録層と、この磁気記録層への記録に用いられる、磁気ヘッドが発生する磁束を集中させる役割を担う軟磁性材料で形成される裏打ち層を構成要素に含んでいる。このような構造の垂直磁気記録媒体において問題となるノイズのひとつであるスパイクノイズは、裏打ち層である軟磁性膜に形成された磁壁によるものであることが知られている。そのため垂直磁気記録方式を実現化させるためには、軟磁性裏打ち層の磁壁形成を阻止する必要がある。
【0004】
この軟磁性裏打ち層の磁壁の制御については、軟磁性裏打ち層の上層や下層に、Co合金等の強磁性層を形成してこれを所望の方向に磁化させるように着磁する方法や、反強磁性薄膜を形成し、交換結合を利用して磁化をピン止めする方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。さらに、軟磁性裏打ち層と非磁性層を多数回積層することにより磁壁の形成を抑制する方法等も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。これらの方法を用いることにより、軟磁性裏打ち層に起因のスパイクノイズを抑制することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−180834号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−214719号公報
【0007】
【非特許文献1】
IEEE Trams.Magn.,37,1586(2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような方法を用いることにより、軟磁性裏打ち層に起因のスパイクノイズを抑制することはできるが、その層構成はかなり複雑なものとなる。例えば、反強磁性層を用いて磁壁形成の阻止を行なう場合、反強磁性層を所望の結晶配向ならびに粒径に形成するために反強磁性層の下層に下地層を数層形成し、反強磁性層を成膜後に、さらに反強磁性結合磁界Hexを強めるためのエンハンス層等を用いる必要がある。
【0009】
更に、高いHexの導出を望む場合は、同一装置内にて基板加熱を行なう必要がある。このように形成した層構成の上に、さらに軟磁性裏打ち層と中間層と磁気記録層と保護層とを連続で形成しようとした場合、従来の量産用に用いられてきた成膜装置では層数が多すぎて、全てを連続成膜することは非常に困難である。
【0010】
軟磁性裏打ち層の上層や下層にCo合金等の強磁性層を形成し、これを所望の方向に磁化させるように着磁することにより磁壁の形成を抑制する方法や、軟磁性裏打ち層と非磁性層を多数回積層することにより磁壁の形成を抑制する方法等においても、反強磁性層を用いる場合と同様に層構成が複雑となり、従来の量産装置を用いて連続成膜を行なうことは非常に難しい。
【0011】
これに対し、従来の成膜装置2台を用いて成膜する方法や1台の成膜装置で、垂直磁気記録媒体を途中まで成膜後、一旦装置から取り出し、ターゲットを全部交換後、続きの成膜を行なう方法も考えられる。しかしながら、いずれの方法においても、連続成膜の途中で成膜装置から取り出すことにより、パーティクルが付着したり、また、全てを連続成膜できないことにより、所望の特性が得られないという問題が発生する。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来の成膜装置を用いても、垂直磁気記録媒体として十分に機能し、なおかつ生産性を有する垂直磁気記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、非磁性基体上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と中間層と磁気記録層と第一保護層及び液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層までを成膜後に一旦成膜装置から前記非磁性基板を大気中に取り出し、該非磁性基板の純水または有機溶剤による洗浄を行なった後に再び前記成膜装置内に導入して前記中間層からの成膜を行なう垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層を成膜後、前記成膜装置から取り出す前に、前記軟磁性裏打ち層の劣化を防ぐために連続して第二保護層を成膜することを特徴とする。
【0015】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記洗浄後に成膜装置に導入後、前記中間層を成膜する前にシード層を成膜することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
図1は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の一参考例を説明するための断面模式図で、図中符号1は非磁性基体、2は軟磁性裏打ち層、5は中間層、6は磁気記録層、7は第一保護層、8は液体潤滑剤層を示している。この垂直磁気記録媒体は、非磁性基体1上に少なくとも、軟磁性裏打ち層2と中間層5と磁気記録層6と第一保護層7とが順に形成された構造を有しており、さらに第一保護層7の上に液体潤滑剤層8が形成されている。
【0018】
図2は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の実施形態を説明するための断面模式図で、図中符号3は第二保護層を示している。なお、図1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。この垂直磁気記録媒体は、非磁性基体1上に少なくとも、軟磁性裏打ち層2と第二保護層3と中間層5と磁気記録層6と第一保護層7とが順に形成された構造を有しており、さらに第一保護層7の上に液体潤滑剤層8が形成されている。
【0019】
図3は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の参考例を説明するための断面模式図で、図中符号4はシード層を示している。なお、図1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。この垂直磁気記録媒体は、非磁性基体1上に少なくとも、軟磁性裏打ち層2とシード層4と中間層5と磁気記録層6と第一保護層7とが順に形成された構造を有しており、さらに第一保護層7の上に液体潤滑剤層8が形成されている。
【0020】
図4は、本発明に係る垂直磁気記録媒体のさらに他の実施形態を説明するための断面模式図である。なお、図1〜図3と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。この垂直磁気記録媒体は、非磁性基体1上に少なくとも、軟磁性裏打ち層2と第二保護層3とシード層4と中間層5と磁気記録層6と第一保護層7とが順に形成された構造を有しており、さらに第一保護層7の上に液体潤滑剤層8が形成されている。
【0021】
本発明において、非磁性基体1としては、通常の磁気記録媒体用に用いられる、NiPメッキを施したAl合金や強化ガラス、結晶化ガラス等を用いることができる。
【0022】
また、軟磁性裏打ち層2としては、NiFe系合金、センダスト(FeSiAl)合金、飽和磁束密度の大きなFeCo合金等を用いることができるが、非晶質のCo合金、例えば、CoNbZr,CoTaZrなどを用いることにより良好な電磁変換特性を得ることができる。軟磁性裏打ち層2の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が変化するが、10nm以上300nm以下であることが、生産性との兼ね合いから望ましい。
【0023】
軟磁性裏打ち層2の磁壁の形成を抑制するためには、軟磁性裏打ち層2の下層にCo合金等の強磁性層を形成し、これを所望の方向に磁化させるように着磁する方法や、反強磁性薄膜を形成し、交換結合を利用して磁化をピン止めする方法、軟磁性裏打ち層と非磁性層を多数回積層することにより磁壁の形成を抑制する方法等が挙げられる。
【0024】
磁壁制御層として、非磁性基体1の半径方向に磁化を配向させたCo合金等の硬質磁性膜を用いる場合には、その下地層としてCr合金等を用いることが望ましい。さらにその下地層の微細構造を制御するために複数層の下地層を設けてもよい。
【0025】
磁壁制御層として、Mnを含む合金系からなる反強磁性膜を用いることもできる。下地層としては、面心立方構造を有する単金属あるいは合金等を用いることが望ましい。さらにその下地層の微細構造を制御するためにさらに複数の下地層を設けることも大きなHexを導出するために有効である。磁壁制御の目的で軟磁性裏打ち層と非磁性層を多数回積層する場合には、例えば、非磁性層としてC,Siなどを用いることができる。
【0026】
また、第二保護層3は、軟磁性裏打ち層2の成膜後、成膜装置から非磁性基体1を取り出す際、軟磁性裏打ち層2の表面が酸化してしまうことを防ぐために用いられる。第二保護層3として用いることができる材料としては、Ta,Ti,Zr,W等の単金属や、TiCr,TaW等の合金が挙げられるが、これに限定されない。第二保護層3の膜厚としては、軟磁性裏打ち層2の酸化を防ぐのに必要最小限の膜厚とすることが望ましい。厚すぎる場合には、信号の書込み能力を低下させてしまう原因となる。
【0027】
また、シード層4は、中間層5の配向ならびに結晶性を制御するために用いられる。全層を連続成膜する場合には、特に必要とされないが、軟磁性裏打ち層2あるいは第二保護層3を成膜後に、一旦非磁性基体1を成膜装置から出してしまうと最表面に酸素等が付着するため、中間層5の結晶成長性が悪くなることがある。そのためシード層4を用いることにより、この中間層5の劣化を防ぐことができる。シード層4として用いることができる材料としては、第二保護層3として用いることができる材料と同じ種類のものである。第二保護層3とシード層4を同時に用いる場合には、同じ材料を用いることが望ましい。シード層4の膜厚は、中間層5の結晶成長を制御するのに必要最小限の膜厚とすることが望ましい。厚すぎる場合には、第二保護層3の場合と同様に、信号の書込み能力を低下させてしまう原因となる。
【0028】
また、中間層5は、磁気記録層6の結晶配向性、結晶粒径及び粒界偏析を好適に制御するために用いられる。材料としては、面心立方(fcc)構造あるいは六方最密充填(hcp)構造を有する単金属膜あるいは合金膜が好ましく、Ti,Ru,Pd,Ptやそれらを含む合金膜が挙げられるが、それらに限定されない。中間層5の膜厚としては、磁気記録層6の構造制御を行なうのに必要最小限の膜厚とすることが、記録の面からは必要である。
【0029】
また、磁気記録層6としては、CoCrPt系合金膜、結晶粒界にSiO等の非磁性酸化物や窒化物を有するグラニュラー膜、さらにはCo/Pd等の積層膜、希土類−遷移金属合金非晶質膜、FePt規則合金膜等を用いることができる。
【0030】
また、第一保護層7は、従来から使用されている保護膜を用いることができる。例えば、カーボンを主体とする保護膜を用いることができる。第一保護層7の膜厚等の条件は、通常の磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
【0031】
また、液体潤滑剤層8も従来から使用されている材料を用いることができる。例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。液体潤滑剤層8の膜厚等の条件は、通常の磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
【0032】
本発明では、軟磁性裏打ち層2を成膜後あるいは第二保護層3を成膜後、非磁性基体1は一旦成膜装置から取り出される。この時、装置から取り出すことにより、軟磁性裏打ち層2あるいは第二保護層3の表面にパーティクル等が付着することがある。このパーティクルが付着したままその後の成膜を行なった場合、完成した垂直磁気記録媒体の信頼性に大きな影響を及ぼす可能性がある。そこで、表面に付着したパーティクル等を除去するために、非磁性基体の洗浄を行なうことが非常に重要な工程となる。
【0033】
この洗浄方法は、通常、磁気記録媒体の成膜前に行われているものをそのまま用いることができる。ただし、通常の成膜前の洗浄工程では、酸やアルカリ等の洗剤や溶剤が使われる場合があるが、本工程では既に一部薄膜の成膜が行なわれているため、これらの洗剤や溶剤を使うことは好ましくない。本工程では、純水や有機溶剤等を用いることが好ましい。更に、ウレタン等のパットを用いて表面を物理的に擦り洗いすることは表面付着物を除去するためには有効である。ただし、この場合にも、洗剤等は用いずに純水のみとする必要がある。
【0034】
以下に本発明の参考例としての実施例1および3を含む実施例について説明するが、以下の実施例は、本発明の好適に説明する代表例に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。
【0035】
[実施例1]
非磁性基体1として表面にテクスチャー加工を施したNiP付Al合金基板を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、Taターゲットを用いて下地Ta層を5nm、NiFeCrターゲットを用いて下地NiFeCr層を5nm、IrMnターゲットを用いて磁壁制御層としてIrMn反強磁性層を5nm成膜後、連続してCoZrNbターゲットを用いてCoZrNb軟磁性裏打ち層を200nm成膜し、一旦成膜装置から取り出した。取り出した非磁性基体を、成膜前の洗浄と同様にして中間洗浄を行なった。
【0036】
ただし、この洗浄で用いたのは純水と有機溶剤のみである。その後、所望のターゲットに全て交換を済ませた成膜装置に、中間洗浄済み非磁性基体を導入し、Ruターゲットを用いてRu中間層を20nm成膜、CoCrPt−SiOターゲットを用いてCoCrPt−SiO磁気記録層を、20nm成膜を行なった。最後にカーボンからなる第一保護層7を5nm成膜後、真空装置から取り出した。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層2nmをディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0037】
[実施例2]
実施例1において、軟磁性裏打ち層を成膜後、装置から取り出す前に、連続してTi第二保護層3を5nm成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0038】
[実施例3]
実施例1において、中間洗浄済み非磁性基体を成膜装置内に導入し、まず、Tiターゲットを用いてTiシード層を成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0039】
[実施例4]
実施例1において、軟磁性裏打ち層を成膜後、装置から取り出す前に、連続してTi第二保護層3を5nm成膜し、中間洗浄後を行ない、再び成膜装置内に導入し、まずTiターゲットを用いてTiシード層を成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0040】
[比較例1]
非磁性基体1として表面にテクスチャー加工を施したNiP付Al合金基板を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、磁壁制御層を成膜すること無く、非磁性基体1上に直接、CoZrNbターゲットを用いてCoZrNb軟磁性裏打ち層を200nm成膜後、成膜装置から取り出すことなく連続して、Ruターゲットを用いてRu中間層を20nm成膜、CoCrPt−SiOターゲットを用いてCoCrPt−SiO磁気記録層を、20nm成膜を行なった。最後にカーボンからなる第一保護層7を5nm成膜後、真空装置から取り出した。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層2nmをディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0041】
[比較例2]
実施例1において、軟磁性裏打ち層を200nm成膜後に成膜装置から取り出した後、洗浄をせずに成膜装置に導入した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0042】
[比較例3]
実施例1において、軟磁性裏打ち層を100nm成膜、一旦成膜装置から取り出した後に中間洗浄を行ない再び成膜装置内に導入し、まず初めに、軟磁性裏打ち層を100nm成膜し、連続してRu中間層を成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0043】
[比較例4]
実施例1において、反強磁性膜を成膜後、一旦成膜装置から取り出した後に中間洗浄を行ない再び成膜装置内に導入し、まず初めに、軟磁性裏打ち層を200nm成膜し、連続してRu中間層を成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0044】
[比較例5]
実施例1において、軟磁性裏打ち層を200nm成膜し、連続してRu中間層を成膜し、一旦成膜装置から取り出した後に中間洗浄を行ない再び成膜装置内に導入し、まず初めに、磁気記録層を成膜した以外は、実施例1に示した方法と同様にして垂直磁気記録媒体を作製した。
【0045】
磁気特性は、Kerr効果測定装置を用いて測定した。完成した垂直磁気記録媒体の表面に付着しているパーティクルは、光学式の表面観察装置にてパーティクルの個数を測定した。垂直磁気記録媒体の電磁変換特性は、スピンスタンドテスターを用いSPT/GMRヘッドにより測定を行なった。スパイクノイズの測定は、イレイズ状態での1周分の出力の平均値に対して、150%を超える出力を有するものの個数にて判断した。
【0046】
本発明の実施例を説明するために、実施例ならびに比較例において作製した垂直磁気記録媒体の保磁力Hc、パーティクル数、線記録密度4000kFCIでのSNR(電磁変換特性の信号とノイズの強度比)、ならびにスパイクノイズの個数を以下の表1にまとめた。
【0047】
【表1】
Figure 0004348952
【0048】
Hcは、比較例5以外は何れも5200Oe前後の良好な値が得られている。しかしながら、比較例5に示すように、中間層と磁気記録層を分けて成膜を行なった場合、磁気記録層の結晶成長が悪くなるために特性が悪化してしまう。したがって、中間層と磁気記録層は連続して成膜を行なう必要があることがわかる。
【0049】
パーティクル数は、実施例に示した何れの方法を用いた場合にも、3個以内の、非常に少ない結果となった。しかしながら、比較例2に示したように中間洗浄を行なわない場合、パーティクル数は53個となり実用上問題となるレベルである。実施例3〜5の方法に示したように、成膜を一旦中断する場所を変更した場合においても、中間洗浄を導入することによりパーティクル数を低減できることがわかる。このように、成膜の途中で一旦装置から取り出した場合、パーティクルを低減するためには中間洗浄を行なうことが非常に有用であることがわかる。
【0050】
実施例1に示す方法においても、SNRは比較例1に示した連続成膜品と同等の値が得られている。実施例2に示すように、軟磁性裏打ち層を成膜後に第二保護層3を成膜することにより、SNRはわずかながら向上する。実施例3に示すように、中間層成膜前にシード層を成膜することもSNRを増加させる効果がある。さらに、実施例4に示したように、第二保護層3とシード層を両方用いることにより、SNRは実施例1の場合に比較して0.5dB向上する。しかしながら、比較例5に示したように、成膜を一旦中断する場所を中間層と磁気記録層の間とした場合、SNRは極端に劣化する。これは上述した通り、磁気特性が劣化したためである。
【0051】
最後にスパイクノイズに関してみてみる。磁壁制御層が無い比較例1では、スパイクノイズが多発している。これに対し、実施例1〜4においてはスパイクノイズは完全に抑制されていることがわかる。実施例3では、軟磁性裏打ち層の成膜途中で成膜装置から取り出しているが、その場合、下層と上層の軟磁性裏打ち層が磁気的に結合しなくなってしまうため、完全にはスパイクノイズを抑制することができない。更に、実施例4では、反強磁性膜と軟磁性裏打ち層が反強磁性結合しないため、スパイクノイズの抑制効果がなくなってしまう。
【0052】
以上のことより、成膜を一旦中断して成膜装置から非磁性基体を取り出す場合、軟磁性裏打ち層と中間層の間で取り出すことが重要であり、再び装置内に導入する前には途中洗浄を行なうことが必要である。更に、装置から取り出す前に第二保護層3、再び装置内に導入した場合にはまずシード層を成膜することが、より良好な特性を得るためには有効であることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、非磁性基体上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と中間層と磁気記録層と第一保護層及び液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体において、軟磁性裏打ち層までを成膜後に一旦成膜装置から非磁性基板を取り出し、この非磁性基板の洗浄を行なった後に再び成膜装置内に導入して中間層からの成膜を行なうようにしたので、現状の成膜装置を用いて、高信頼を有し、かつ電磁変換特性に優れた垂直磁気記録媒体を作製することができる。
【0054】
また、軟磁性裏打ち層を成膜後、成膜装置から取り出す前に、軟磁性裏打ち層の劣化を防ぐために連続して第二保護層を成膜する、あるいは中間洗浄後に成膜装置に導入後、中間層を成膜する前にシード層を成膜するようにし、さらにはその両方を組み合わせることにより、さらに優れた電磁変換特性を実現することができる。上述した何れの方法を用いて垂直磁気記録媒体を作製する場合においても、既存の成膜装置をそのまま使用することができるため、新たな設備投資を行なう必要がなく、さらに今後の垂直磁気記録媒体の大量生産に非常に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る垂直磁気記録媒体の一参考例を説明するための断面模式図である。
【図2】本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の実施形態を説明するための断面模式図である。
【図3】本発明に係る垂直磁気記録媒体の他の参考例を説明するための断面模式図である。
【図4】本発明に係る垂直磁気記録媒体のさらに他の実施形態を説明するための断面模式図である。
【符号の説明】
1 非磁性基体
2 軟磁性裏打ち層
3 第二保護層
4 シード層
5 中間層
6 磁気記録層
7 第一保護層
8 液体潤滑剤層

Claims (2)

  1. 非磁性基体上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と中間層と磁気記録層と第一保護層及び液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性裏打ち層までを成膜後に一旦成膜装置から前記非磁性基板を大気中に取り出し、該非磁性基板の純水または有機溶剤による洗浄を行なった後に再び前記成膜装置内に導入して中間層からの成膜を行なう垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性裏打ち層を成膜後、前記成膜装置から取り出す前に、前記軟磁性裏打ち層の劣化を防ぐために連続して第二保護層を成膜することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記洗浄後に成膜装置に導入後、前記中間層を成膜する前にシード層を成膜することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
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