JP2007231467A - シート状物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ポリウレタン水分散液を用いた、外観、風合い、物性に優れたシートの製造方法に関するものである。
【解決手段】シート状物の製造方法であって、次の(1)〜(3)の工程をこの順番で経ることを特徴とするシート状物の製造方法である。
(1)有機溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質の組み合わせからなる極細繊維発生型繊維を用いてシートを作成する工程。
(2)ポリウレタン分子構造内にシロキサン結合の架橋構造を有する自己乳化型ポリウレタン水分散液を15重量%以上45重量%以下の濃度でシートに含浸して、該自己乳化型ポリウレタンを付与する工程。
(3)シートを有機溶剤で処理して、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を発現せしめる工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン水分散液を用いた、外観、風合い、物性に優れたシート状物の製造方法に関するものである。
主として極細繊維とポリウレタンからなるシート状物は天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。とりわけポリエステル系極細繊維を用いたシート状物は耐光性に優れるため、衣料や椅子張り、自動車内装材用途等にその使用が年々広がってきた。
かかるシート状物を製造するにあたっては、不織布にポリウレタンの有機溶剤溶液を含浸せしめた後、該繊維シート状物をポリウレタンの非溶媒である水または有機溶剤溶液中に浸漬してポリウレタンを湿式凝固せしめる方法が一般的に採用されている。かかる有機溶剤としてはN,N’−ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶剤が用いられる。
しかし、前述のようなポリウレタンに使用されているN,N’−ジメチルホルムアミド等の有機溶剤は人体や環境への有害性が高いことから、近年、シート状物の製造に際しては、従来の有機溶剤タイプのポリウレタンに代えて水中にポリウレタンを分散させたポリウレタン水分散液を用いる方法が検討されている。
ポリウレタン水分散液とは、従来の有機溶剤にポリウレタンを溶解している液とは異なり、ポリウレタンを水中に分散させてエマルジョンとしたものであるため、有機溶剤を含有しないものである。
しかし、ポリウレタン水分散液を用いてシート状物を製造する場合、ポリウレタン水分散液をシートに含浸して乾燥するが、乾燥する際に水の蒸発にともなってポリウレタンが表面に移行する、いわゆるマイグレーション現象が発生するため、シート表面にポリウレタンが局在化し、品位、風合いが低下して実用に耐えうるシート状物を得ることは困難であった。
この問題を解決し、柔軟な風合いのシート状物を得るために、マイグレーション現象を防止する手段が検討されている。
例えば、特許文献1では、ポリウレタン水分散液に無機塩類を添加することで感熱ゲル化性を付与している。感熱ゲル化性によって乾燥時にポリウレタンがシート表面に移行する前にゲル化させて、マイグレーションを抑制し、風合い柔軟化を行っている。しかしながら、この方法ではポリウレタン水分散液の安定性に不安があるため、生産性に課題がある。
他に柔軟な風合いのシート状物を得る方法として、極細繊維発生型繊維からなる不織布に、有機溶剤タイプのポリウレタンを含浸後、有機溶剤を用いて極細繊維発生型繊維の海成分を抽出する方法が知られている。この方法を用いることで得られるシートは、極細繊維とポリウレタンが接着しておらず、非常に柔軟な風合いになる。しかしながら、ポリウレタン水分散液のポリウレタンは有機溶剤に溶解しているポリウレタンに比べ、ポリウレタン分子同士の絡まりが弱い為、極細繊維発生型繊維の極細繊維を有機溶剤にて発現する工程において脱落しやすく、得られるシートは、物性が低いものとなる。
この問題に対し、ポリウレタンの脱落を抑制する検討がされている。
例えば、特許文献2ではポリウレタンの組成を規定することで、耐有機溶剤性を向上させているが、ポリオールはポリエーテルであるポリテトラメチレングリコールを用いており、光劣化は避けられず、実使用に不安が残る。
また、特許文献3では耐溶剤性を向上させる為、三官能グリコール、三官能アミン等を反応させる手法が記載されている。しかしながらこの手法は、耐溶剤性は向上するものの、ポリウレタン自体が硬くなってしまい、得られたシートの風合いも硬くなる方向である。
また該発明では、感熱ゲル化性を有するポリウレタン水分散液を用いているが、ポリウレタンに感熱ゲル化性を付与するために界面活性剤を使用しているため、界面活性剤のブリードによるベトツキが発生しやすく、そのためポリウレタン含浸後に洗浄工程を必要とする課題がある。
すなわち、これまでポリウレタン水分散液を用いて、外観、風合い、物性に優れたシート状物を得る方法は得られていないのが現状である。
特開平6−316877号公報 特開平9−132876号公報 特開2001−81676号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、有機溶剤を含有しないポリウレタン水分散液を用いて、外観、風合い、物性に優れたシート状物の製造方法を提供せんとするものである。
上記課題を解決するため、本願発明は主として以下の構成を有する。
次の(1)〜(3)の工程をこの順番で経ることを特徴とするシート状物の製造方法である。
(1)有機溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発生型繊維を用いて不織布を作成する工程。
(2)分子構造内にシロキサン結合の架橋構造を有する自己乳化型ポリウレタン水分散液を15重量%以上45重量%以下の濃度として不織布に含浸して、該自己乳化型ポリウレタンを付与する工程。
(3)不織布を有機溶剤で処理して、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を発現せしめる工程。
本発明によれば、有機溶剤を含有しないポリウレタン水分散液を用いて、外観、風合い、物性に優れたシート状物の製造方法を得ることができる。
本発明のシート状物の製造方法は、次の(1)〜(3)の工程をこの順番で経ることを特徴とするシート状物の製造方法である。
(1)有機溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発生型繊維を用いて不織布を作成する工程。
(2)分子構造内にシロキサン結合の架橋構造を有する自己乳化型ポリウレタン水分散液を15重量%以上45重量%以下の濃度として不織布に含浸して、該自己乳化型ポリウレタンを付与する工程。
(3)不織布を有機溶剤で処理して、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を発現せしめる工程。
工程(1)〜(3)の順に実施することで、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維は実質的に接着していない構造を形成し、自己乳化型ポリウレタンが極細繊維の繊維交絡点の動きを拘束しないため、非常に柔軟なシート状物を得ることができる。
ここでいう実質的に接着していないとは、シート状物の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率3000倍で観察した際に、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維の間に空隙が存在することを確認できることをいう。または、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維は部分的に接している部分があってもよいが、シート状物の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率3000倍でランダムに10カ所以上観察した際に、その半分以上の部位において、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維の間に空隙が存在することを確認できることをいう。
まず、工程(1)について説明する。
本発明において、不織布を構成する極細繊維は、有機溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発生型繊維を用いることが重要である。極細繊維発生型繊維をあらかじめ絡合した後に、有機溶剤で処理し、繊維の極細化を行うことによって、極細繊維が絡合してなるシート状物を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、有機溶剤に対する溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分・島成分とし、海成分を有機溶剤を用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、該2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面を放射状または多層状に交互に配置し、有機溶剤処理により剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、基材の柔軟性や風合いの観点からも好ましい。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海・島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海・島の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましい。
海島型複合繊維の島成分すなわち、本発明の製造方法における不織布を構成する極細繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのポリエステル、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種合成繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性、染色性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維を用いることが好ましい。
不織布は異なる素材の極細繊維が混合されて構成されていてもよく、また不織布の内部に、強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入しても良い。
不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度としては、不織布の柔軟性や立毛品位の観点から0.001dtex以上0.5dtex以下であることが重要である。好ましくは0.3dtex以下、より好ましくは0.2dtex以下である。一方、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、さばけ易さの観点からは、0.005dtex以上であることが好ましく、より好ましくは0.01dtex以上である。
なお、不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は、シート状物(もしくは不織布)表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して素材ポリマーの比重から繊度に換算し、さらに平均値を計算することで算出される。
不織布を構成する極細繊維の繊度の均一性に関しては、繊維束内の繊度CVが10%以下であることが好ましい。ここで繊度CVとは、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内平均繊度で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど均一であることを示すものである。繊度CVを10%以下とすることで、シート状物表面の立毛の外観が優美で、また染色も均質で良好なものとすることができる。
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形、十字型などの異形断面のものを採用してもよい。なお、異形断面の場合の繊度CVは異形断面の外周円を元に算出する。
得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。所定長にカットせず長繊維不織布としても良いが、風合いや品位を重視する場合には、所定長にカットし、短繊維不織布とした方が好ましい。同様に風合いや品位を重視する場合は、短繊維の繊維長は絡合による耐摩耗性を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
捲縮加工やカット加工は公知の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等によりウエブとし、次いで繊維を絡合して不織布とする。
繊維を絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチ等の公知の方法を用いることができる。
得られた前記不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチーム処理によって収縮処理を施してもよい。
次に、工程(2)について説明する。
本発明における工程(2)では、工程(1)で得た不織布に、ポリウレタンの分子構造内部にシラノール基を有する自己乳化型ポリウレタン水分散液を含浸し、不織布に自己乳化型ポリウレタンを付与する。
自己乳化型ポリウレタン水分散液とは、界面活性剤等の乳化剤を用いなくても安定に水分散しているポリウレタン水分散液のことであり、自己乳化型ポリウレタン分子構造内に親水性の、いわゆる内部乳化剤を有するものである。
なお、自己乳化型ポリウレタンは、通常、水に分散した状態で取り扱われ、メーカーからもこの状態で入手できるが、これは一旦乾燥すると再度水に分散させることが不可能となるためである。
界面活性剤等の乳化剤を含有する強制乳化型のポリウレタン水分散液を用いた場合、得られたシート状物の表面は乳化剤に起因するベトツキ等が発生するため、洗浄工程が必要となり、加工工程が増加してコストアップに繋がる。さらには、強制乳化型のポリウレタン水分散液では、乳化剤の存在により、皮膜化したポリウレタン膜の耐水性が低下するため、ポリウレタンを含有するシート状物の染色において、ポリウレタンの染色液への脱落が発生するため、好ましくない。
内部乳化剤は、4級アミン塩等のカチオン系、ポリエチレングリコール等のノニオン系、スルホン酸塩、カルボン酸塩等のアニオン系のいずれでもよいが、カチオン系内部乳化剤は、黄変等の耐光性に劣るため、ノニオン系、またはアニオン系であることが好ましい。
アニオン系内部乳化剤の中和剤としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。これらは単独、または2種以上の混合物として使用する。
本発明に使用する自己乳化型ポリウレタンは、内部乳化剤以外にポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤、内部架橋剤を適宜反応させた構造を有するものを用いることができる。
ポリオールとしては、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。中でも耐加水分解性の観点から、ポリカーボネート系ジオール、ポリエーテル系ジオールを用いることが好ましく、さらに耐光性、耐熱性といった観点から、ポリカーボネート系ジオールがより好ましい。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれでも良い。
ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系が挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系が好ましい。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、メチレンビスアニリン等のアミン系、エチレングリコール等のジオール系、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
内部架橋剤とは、自己乳化型ポリウレタン分子の一部として自己乳化型ポリウレタンを合成する際にあらかじめ分子構造内に導入しておく架橋反応可能な官能基を有する化合物のことであり、本発明では、シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入するために用いる化合物のことである。シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入することで、不織布の内部空間に存在する自己乳化型ポリウレタンはシロキサン結合による架橋構造を有することになり、自己乳化型ポリウレタンの耐加水分解性等の耐久性を飛躍的に向上することができる。
シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入するために用いる化合物とは、1分子内に少なくとも1個のイソシアネート基と反応可能な活性水素基と加水分解性ケイ素基とを含有する化合物のことである。
加水分解性ケイ素基とは、水分により加水分解を受ける加水分解性基がケイ素原子に結合している基のことをいい、加水分解性基の具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等の一般に使用されている基が挙げられる。中でも、加水分解性が低く、比較的取扱が容易なアルコキシ基が好ましい。加水分解性基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合しているが、加水分解性シリル基の反応性、耐水性等から、2〜3個結合しているものが好ましい。
イソシアネート基と反応可能な活性水素基とは、メルカプト基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
活性水素基としてメルカプト基を有し、加水分解性基としてアルコキシ基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物は、例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、活性水素基としてアミノ基を有し、加水分解性基としてアルコキシ基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物は、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン等が挙げられる。中でも耐候性、耐加水分解性の観点から、自己乳化型ポリウレタン分子の中間部分に加水分解性ケイ素基を導入することが好ましく、さらに2個以上の活性水素基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物が好ましい。
前記加水分解性ケイ素基含有化合物が導入された自己乳化型ポリウレタンは、不織布の内部空間に存在した状態でシロキサン結合による架橋構造を含有する。
シロキサン結合に起因するシリコン原子の含有量はポリウレタン重量に対して0重量%よりも多く、0.8重量%以下であることが好ましい。シロキサン結合による架橋構造は多いほど自己乳化型ポリウレタンの耐加水分解性等の耐久性は向上するが、多すぎると自己乳化型ポリウレタンの柔軟性は低下する。
なお、シロキサン結合に起因するシリコン原子の含有量は、ポリウレタンのNMRによる測定において、シロキサン結合に起因するピークとポリウレタンのウレタン結合に起因するピークの面積を比較することで、算出できる。
本発明において、自己乳化型ポリウレタンは単独で用いても複数種を併用してもよく、また、他のポリマー等を併用してもよい。
他のポリマーとしては、例えば、アクリル系やシリコーン系等の水分散性や水溶性のポリマーが挙げられる。
自己乳化型ポリウレタンの軟化点は、100℃以上250℃以下であることが好ましい。ポリウレタンの軟化点は、ポリオール、イソシアネートの組み合わせや架橋量等を調整することにより制御することができるので、ポリウレタンを製造するにあたってポリオール、イソシアネートの組み合わせや架橋量等を調整して軟化点を100℃以上250℃以下の範囲とすればよい。軟化点がこの範囲であることで、染色工程で自己乳化型ポリウレタンの脱落を抑制でき、柔軟でありながら、充実感のあるシート状物を得ることができる。
なお、軟化点は次の方法で測定したものをいう。すなわち、自己乳化型ポリウレタン水分散液を50℃で乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムを1cm×5cm(幅×長さ)にカットし、乾燥機内に吊し、フィルム下部に10gのおもりを取り付けた状態で5℃/minで加熱し、おもりの位置がスタート位置から3cm下がった時の温度を軟化点とする。
また、自己乳化型ポリウレタンは、有機溶剤中浸漬20℃、1時間処理後の重量減少率が0重量%以上3重量%以下であることが好ましい。本発明のシート状物は、前述した製造方法により得られるため、有機溶剤への溶解、脱落による自己乳化型ポリウレタンの重量減少は少ない方が好ましいため、重量減少率はより好ましくは0重量%以上2重量%以下である。
なお、有機溶剤処理での重量減少率は、次のようにして算出した。ポリウレタン水分散液をタテ10cm×ヨコ10cmのセルロース製不織布に含浸し、120℃30分乾燥することで、不織布重量に対して75重量%のポリウレタンを付与したシートを得る。次に、得られたシートを有機溶剤中に浸漬して20℃、1時間処理後の重量を測定し、浸漬処理前の重量と比較して重量減少率を算出した。
自己乳化型ポリウレタン水分散液を前記不織布に付与するにあたっては、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸、または付与し乾熱凝固する方法、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸後、湿熱凝固して加熱乾燥する方法、およびその組み合わせがあるが、特に限定することはない。
なお、乾燥温度は低すぎると乾燥時間が長時間となり、高すぎると自己乳化型ポリウレタンの熱劣化の原因となる可能性があることから、80℃以上180℃以下が好ましい。より好ましくは90℃以上160℃以下である。
自己乳化型ポリウレタン水分散液の濃度(自己乳化型ポリウレタン水分散液に対する自己乳化型ポリウレタンの含有量)は、自己乳化型ポリウレタン水分散液の貯蔵安定性と、不織布へ含浸し、乾燥する際のマイグレーション現象抑制の観点から、15重量%以上45重量%以下であることが重要である。
本発明に使用する自己乳化型ポリウレタン水分散液には、貯蔵安定性や製膜性向上のために水溶性有機溶剤を水分散液に対して0重量%以上40重量%以下含有していてもよいが、凝固時に有機溶剤が自己乳化型ポリウレタン内に残留する可能性があり、最終製品まで有機溶剤が残留する事が懸念されるため、好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは有機溶剤を含有しないことである。
自己乳化型ポリウレタン水分散液を付与するにあたっては、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤等を添加して用いることができる。
本発明の製造方法により得られるシート状物においては、不織布の島成分に対する自己乳化型ポリウレタンの含有量は20重量%以上200重量%以下であることが好ましい。20重量%以上とすることで、シート強度を得て、かつ繊維の脱落を防ぐことができ、200重量%以下とすることで、風合いが必要以上に硬くなるのを防ぎ、目的とする良好な立毛品位を得ることができる。より好ましくは30重量%以上180重量%以下である。
次に、工程(3)について説明する。
本発明における工程(3)では、工程(2)で自己乳化型ポリウレタンを付与した不織布を有機溶剤で処理して、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を発現させる。極細繊維発生型繊維が海島型複合繊維の場合、海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸などを用いることができる。
海成分を溶解する溶剤としては、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができ、特に溶解性の強いハロゲン系有機溶剤が好ましい。海成分は、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって除去することができる。
本発明において、工程(1)〜(3)を経て得られたシート状物は、少なくとも片面に極細繊維の立毛を有している立毛調のシート状物としてもよい。
シート状物表面に立毛を形成するための起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい。
また、シート状物は、起毛処理を行う前に、シート厚み方向に半裁、ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
本発明の製造方法で得られるシート状物は、染色されたものでもよい。染色方法は、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。液流染色機は、公知の液流染色機を使用することができる。
染色温度は高すぎると自己乳化型ポリウレタンが劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により変更するのがよく、一般に80℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上130℃以下がより好ましい。
染料は特に限定はなく不織布を構成する極細繊維にあわせて選択すればよいが、例えばポリエステル系極細繊維であれば分散染料、ポリアミド系極細繊維であれば酸性染料や含金染料といった染料を用いることができる。
分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色の均一性や再現性をアップする目的で染色時に染色助剤を使用することは好ましい。さらにシリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤等の仕上げ剤処理を施してもよく、仕上げ処理は染色後でも、染色と同浴でもよい。
本発明の製造方法により得られるシート状物は、家具、椅子、壁材や、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、鞄、ベルト、財布等、及びそれらの一部に使用した衣料用資材、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等として好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)平均単繊維繊度
不織布、またはシート状物表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して繊維の素材ポリマーの比重(ポリエチレンテレフタレートは1.18g/cm、6−ナイロンは1.14g/cm)から繊度に換算し、さらに100本の平均値を計算することで算出した。
(2)繊度CV
不織布、またはシート状物の内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍で観察し、その写真から、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、繊維径から各単繊維の繊度に換算して、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内平均繊度で割った値を百分率(%)で表した。5つの束状繊維について、同様の測定を行い、平均値を繊度CVとした。
(3)シロキサン結合の確認
ポリウレタンのNMRによる測定において、シロキサン結合に起因するピークとポリウレタンのウレタン結合に起因するピークの面積を比較してシロキサン結合の有無、及びシロキサン結合に起因するシリコン原子の含有量を算出した。
(4)ポリウレタンの軟化点
ポリウレタン水分散液を50℃60分で乾燥後、120℃5分で熱処理して得られる厚さ100μmのフィルムを1cm×5cm(幅×長さ)にカットし、乾燥機内に吊した。フィルム下部に10gのおもりを取り付けた状態で5℃/minで加熱し、おもりの位置がスタート位置から3cm下がった時の温度を軟化点とした。
(5)ポリウレタンの耐溶剤性
ポリウレタン水分散液をタテ10cm×ヨコ10cmのセルロース製不織布に含浸し、120℃30分乾燥することで、不織布重量に対して75重量%のポリウレタンを付与したシートを得る。次に、得られたシートをトリクロロエチレン中に浸漬して20℃、1時間処理後の重量を測定し、浸漬処理前の重量と比較して重量減少率を算出した。
(6)外観品位
シート状物の表面品位は目視と官能評価にて下記のように評価した。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:立毛長・繊維の分散状態共に良好である。
△:立毛長は良好であるが、繊維の分散は不良である。
×:立毛がほとんど無く不良である。
(7)ピリング評価
シート状物のピリング評価は、マーチンデール摩耗試験機として、James H.Heal&Co.製のModel 406を、標準摩擦布として同社のABRASTIVE CLOTH SM25を用い、12kPa相当の荷重をかけ、摩耗回数20,000回の条件で摩擦させた後の試料の外観を目視で観察し、評価した。評価基準は試料の外観が摩擦前と全く変化が無かったものを5級、毛玉が多数発生したものを1級とし、その間を0.5級ずつ区切った。また、本発明における合格レベルは4級以上とした。
(8)風合い
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、下記の評価を触感で判別を行い、最も多かった評価を風合いとした。本発明の良好なレベルは「○」とした。
○:非常に柔軟であり、かつ適度な反発感がある。
△:柔軟であるが、反発感がない。
×:硬い。
[化学物質の表記]
各実施例・比較例で用いた化学物質の略号の意味は以下の通りである。
C5C6PC:ペンタメチレンカーボネートジオールとヘキサメチレンカーボネートジオールの共重合ポリカーボネート
3MPC:ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)
PHC:ポリヘキサメチレンカーボネート
PTMG:ポリテトラメチレングリコール
H12MDI:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
TDI:トリレンジイソシアネート
PET:ポリエチレンテレフタレート
Ny6:6−ナイロン
[ポリウレタン種]
実施例、比較例で用いたポリウレタン水分散液の組成は下記の通りである。
(1)自己乳化型ポリウレタン水分散液I(PUI)
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:H12MDI
ポリオール :C5C6PC
内部乳化剤 :側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
B.Si含有量:0.4%
C.軟化点:220℃
D.耐溶剤性:0.5%。
(2)自己乳化型ポリウレタン水分散液II(PUII)
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:HDI
ポリオール :3MPC
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
B.Si含有量:0.2%
C.軟化点:200℃
D.耐溶剤性:1%。
(3)自己乳化型ポリウレタン水分散液III(PUIII)
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:HDI
ポリオール :C5C6PC
内部乳化剤 :側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
B.Si含有量:0.2%
C.軟化点:210℃
D.耐溶剤性:3%。
(4)自己乳化型ポリウレタン水分散液IV(PUIV)
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:HDI
ポリオール :3MPC
内部乳化剤 :側鎖にポリエチレングリコールを有するジオール化合物
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
B.Si含有量:0%
C.軟化点:85℃
D.耐溶剤性:45%。
(5)強制乳化型ポリウレタン水分散液V(PUV)
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:TDI
ポリオール :PHC、PTMG
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン
内部架橋剤 :なし
B.Si含有量:0%
C.軟化点:180℃
D.耐溶剤性:4%。
[実施例1]
海成分としてポリスチレン、島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、島数16島の海島型複合用口金を用いて、海成分57重量%、島成分43重量%の複合比率にて複合繊度3.8dの海島型複合繊維を紡糸した後、延伸、捲縮加工、51mmにカットして不織布の原綿を得た。得られた原綿を、クロスラッパーを用いてウエブとし、ニードルパンチ処理により目付530g/mの不織布とした。
この不織布を90℃の湯中で2分間処理して収縮させ、100℃5分で乾燥した。次いで、自己乳化型ポリウレタン水分散液I(PUI)を固形分濃度30重量%で含浸し、乾燥温度125℃で10分間熱風乾燥する事で、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が85重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを抽出除去し、乾燥を行って、脱海シートを得た。脱海シート表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、平均単繊維繊度は0.04dtex、繊度CVは7.4%であることを確認した。
そして、脱海シートを厚さ方向に半裁し、半裁面と反対となる面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位、ピリング評価、風合いは良好であった。
[実施例2]
自己乳化型ポリウレタン水分散液II(PUII)を固形分濃度20重量%で含浸した以外は、実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が60重量%のシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、ピリング評価、風合いは良好であった。
[実施例3]
島成分にNy6を用い、かつ自己乳化型ポリウレタン水分散液III(PUIII)を固形分濃度40重量%で含浸した以外は実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が100重量%のシート状物を得た。平均単繊維繊度は0.05dtex、繊度CVは7.5%であった。得られたシート状物の外観品位、ピリング評価、風合いは良好であった。
[実施例4]
海成分をポリエチレンとし、トルエン中にて抽出除去した以外は実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が80重量%のシート状物を得た。得られたシート状物の外観品位、ピリング評価、風合いは良好であった。
[比較例1]
自己乳化型ポリウレタン水分散液IV(PUIV)を固形分濃度30重量%で含浸した以外は、実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が80重量%のシート状物を得た。得られたシート状物は、風合いが良好なものの、外観品位は立毛が長く毛布状となり不良、ピリング評価は1級であった。
[比較例2]
実施例1において、ポリウレタンを付与する前の不織布をトリクロロエチレン中で海島型繊維の海成分を除去した脱海不織布を作製し、その後、自己乳化型ポリウレタン水分散液I(PUI)を固形分濃度30重量%で含浸し、乾燥温度125℃で10分熱風乾燥することで、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が85重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た以外は実施例1と同様に処理を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物のピリング評価は4.5級であったが、非常に硬い風合いとなり、立毛がほとんどない外観品位不良であった。
[比較例3]
自己乳化型ポリウレタン水分散液I(PUI)を固形分濃度10重量%で含浸した以外は、実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が15重量%のシート状物を得た。得られたシート状物は、風合いが良好なものの、外観品位は荒れており不良、ピリング評価は1級であった。
[比較例4]
強制乳化型ポリウレタン水分散液I(PUV)を固形分濃度30重量%で含浸した以外は、実施例1と同様の処理を行い、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が75重量%のシート状物を得た。得られたシート状物は、ピリング評価は4.5級であったものの、風合いは硬く、外観品位は立毛が殆ど無い状態であった。
Figure 2007231467

Claims (3)

  1. 次の(1)〜(3)の工程をこの順番で経ることを特徴とするシート状物の製造方法。
    (1)有機溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発生型繊維を用いて不織布を作成する工程。
    (2)分子構造内にシラノール基を有する自己乳化型ポリウレタン水分散液を15重量%以上45重量%以下の濃度として不織布に含浸、固化して、該自己乳化型ポリウレタンを付与する工程。
    (3)不織布を有機溶剤で処理して、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を発現せしめる工程。
  2. 前記自己乳化型ポリウレタン水分散液中に含有する有機溶剤の量がポリウレタン水分散液重量に対して1重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシート状物の製造方法。
  3. 前記極細繊維発生型繊維が海島型複合繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物の製造方法。
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