JP2007229987A - 感熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と中空ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層を有し、かつ該受容層に含まれるポリマーラテックスがガラス転移温度の異なる2種以上の染着性ポリマーからなることを特徴とする感熱転写受像シート。
【選択図】なし
Description
(1)支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と中空ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層を有し、かつ該受容層に含まれるポリマーラテックスがガラス転移温度の異なる2種以上の染着性ポリマーからなることを特徴とする感熱転写受像シート。
(2)受容層に含まれる前記2種以上のポリマーラテックスのうち、ガラス転移温度の最も低いもののガラス転移温度の範囲が0〜60℃、ガラス転移温度の最も高いもののガラス転移温度の範囲が60℃〜100℃であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記受容層に含まれる少なくとも2種以上のポリマーラテックスの加重平均ガラス転移が40℃〜70℃の範囲であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記ポリマーラテックスが塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む共重合体からなることを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記中空ポリマーを含む断熱層が中空ポリマー以外の有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記の受容層および/または断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記の水溶性ポリマーを含有する受容層および/または断熱層に、前記水溶性ポリマーを架橋することができる化合物を含有し、前記水溶性ポリマーの一部または全部が架橋されていることを特徴とする(6)に記載の感熱転写受像シート。
(8)ガラス転移温度の異なる2種以上の染着性ポリマーからなるポリマーラテックスを含有する少なくとも1種の受容層塗工液と、中空ポリマーを含有するが有機溶剤に耐性の無い樹脂(ただし前記中空ポリマーを除く)を含有しない少なくとも1種の断熱層塗工液とを、支持体上にこの順で同時重層塗布することによって、支持体上に少なくとも1層の受容層と少なくとも1層の断熱層を形成する工程を含むことを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
また、本発明の製造方法にしたがって同時重層塗布により感熱転写受像シートを製造すれば、さらに画像欠陥を少なくすることができる。
本発明の感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の受容層(染料の受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、受容層と断熱層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの下地層を有していてもよい。
受容層および断熱層は、本発明の製造方法にしたがって同時重層塗布により形成されることが好ましい。また、下地層を含む場合は、受容層、下地層および断熱層を同時重層塗布により形成することができる。
支持体の裏面側には、カール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明の受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。受容層は1層でも2層以上でもよい。また、受容層は後述する水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。
本発明の感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどのいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」;高分子刊行会発行(1978年);杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年);室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年);三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64−538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒子サイズは1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲である。
分散粒子の粒子サイズ分布に関しては特に制限は無く、広い粒子サイズ分布を持つものでも単分散の粒子サイズ分布を持つものでもよい。
ここで、加重平均ガラス転移温度とは、2種以上のポリマーラテックスを構成する個々のポリマーラテックスのガラス転移温度とこれらの個々のポリマーラテックスの質量(例えばブレンドする質量)を考慮して加重平均したガラス転移温度である。相分離している場合やコア−シェル構造を有する場合においても上記の範囲に入ることが好ましい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
上に挙げたもの以外のポリマーラテックスは、透明または半透明で、無色であることが好ましく、天然樹脂やポリマーおよびコポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリビニルピロリドン類、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸類、ポリメチルメタクリル酸類、ポリ塩化ビニル類、ポリメタクリル酸類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマールおよびポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類が挙げられる。バインダーは、水、有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本発明の感熱転写受像シートにおいては、塩化ビニルをモノマー単位として含む共重合体ラテックスが受容層中の全固形分に占める比率で50質量%以上であることが好ましい。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングルコール
前記重合開始剤の添加量としては、重合開始剤がモノマー総量に対して0.3質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.4質量%〜1.75質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜1.5質量%であることが特に好ましい。
前記重合乳化剤として、スルホン酸型アニオン界面活性剤がモノマー総量に対して0.1質量%〜10.0質量%使用されていることが好ましく、0.2質量%〜7.5質量%使用されていることがより好ましく、0.3質量%〜5.0質量%使用されていることが特に好ましい。
前記連鎖移動剤量は、モノマー総量に対して0.2質量%〜2.0質量%が好ましく、0.3質量%〜1.8質量%がより好ましく、0.4質量%〜1.6質量%が特に好ましい。
なお、本発明の受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
本発明においては、ゼラチンを用いることが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000〜1,000,000ものまで用いることができる。本発明に用いるゼラチンは、Cl-、SO4 2-等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいてもよい。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
ポリビニルアルコールの完全けん化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量%以上、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0CPS]、PVA−117H[PVA含有率93.5質量%、けん化度99.6±0.3モル%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)29.0±3.0CPS]、PVA−120[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)39.5±4.5CPS]、PVA−124[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)60.0±6.0CPS]、PVA−124H[PVA含有率93.5質量%、けん化度99.6±0.3モル%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)61.0±6.0CPS]、PVA−CS[PVA含有率94.0質量%、けん化度97.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)27.5±3.0CPS]、PVA−CST[PVA含有率94.0質量%、けん化度96.0±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)27.0±3.0CPS]、PVA−HC[PVA含有率90.0質量%、けん化度99.85モル%以上、酢酸ナトリウム含有率2.5質量%、揮発分8.5質量%、粘度(4質量%、20℃)25.0±3.5CPS](以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)などを挙げることができる。
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
受容層に含まれる前記水溶性ポリマーは、その一部または全部が架橋剤により架橋されていることが好ましい。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤が添加してもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
また、受容層には、画像形成時にインクシートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが好ましく用いられるが、中でもビニル変性シリコーンオイルとハイドロジェン変性シリコーンオイルとの反応物がよい。離型剤の添加量は、受容ポリマーに対して0.2〜30質量部が好ましい。
断熱層は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、支持体として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でもよい。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれかまたはそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
受容層と断熱層との間には下地層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号明細書、特許第2925244号明細書などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては、例えばコート紙やラミネート紙を挙げることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックスまたは高分子材料を片面または両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂またはポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムまたは高分子シート、またはフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これらのシートまたはフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシートまたはフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
以下において、本発明の感熱転写受像シートの製造方法について説明する。
本発明の感熱転写受像シートは、各層をロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で塗布し、これを乾燥させることで作製することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、受容層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することでも形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されているように各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明では米国特許第2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートを用いた画像形成方法において、熱転写画像形成の際に、上述した本発明の感熱転写受像シートと併せて使用されるインクシートは、支持体上に拡散転写染料を含む色素層を有するものであり、任意のインクシートを使用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することができる。
また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部およびアスペンからなるLBKP50質量部を、それぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解してパルプスラリーを調製した。
乳化分散物を以下の手順で調製した。下記の化合物A−6を高沸点溶媒(下記のSolv-1)42g および酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機 (ディゾルバー) で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aを調製した。ここで、化合物A−6の添加量は乳化物A中に30mmolとなるようにした。
試料101〜106については、支持体上に下から順に下塗層1、下塗層2、受容層の3層が形成されるように、各層の塗工液を同時重層塗布した。同時重層塗布に際しては、下塗層1および下塗層2の塗布量が11ml/m2、受容層の塗布量が18ml/m2となるように調節した。また、試料107〜112については、支持体上に下から順に下塗層1、下塗層2、断熱層、受容層の4層が形成されるように、各層の塗工液を同時重層塗布した。断熱層の塗布量は45ml/m2となるように調節し、その他の層は試料101〜106と同じ塗布量になるように調節した。以下に各塗工液の組成を示す。
ゼラチンの3%水溶液にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1%加え、
NaOHでpHを8に調節した水溶液
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(日本エイアンドエル(株)社製 SR103)
PVA 6% 水溶液 40質量部
NaOH pHを8に調節する量
中空ポリマーラテックス 60質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055)
10%ゼラチン水溶液 20質量部
上記乳化物A 20質量部
NaOH pHを8に調節する量
表1に示した種類のポリマーラテックス 70質量部
10%ゼラチン水溶液 10質量部
上記乳化物A 10質量部
マイクロクリスタリンワックス 5質量部
(日本製蝋(株)製 EMUSTAR−42X)
水 5質量部
NaOH pHを8に調節する量
(インクシートの作製)
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を支持体として用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー塗工液、マゼンタ塗工液、シアン塗工液を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
<イエロー塗工液>
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
<マゼンタ塗工液>
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
<シアン塗工液>
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
上記インクシートおよび上記試料101〜112の受像シートを、日本電産コパル社製昇華型プリンターDPB1500(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで最低濃度から最高濃度までの全域のグレーの階調を得られる設定で、画像を出力した。このとき、Lサイズプリント1枚を出力するのに13秒を要した。
(1)Dmax評価
上記の条件で得られた黒画像のVisual濃度をPhotographic Densitometer(X-Rite incorporated社製)で測定した。
上記の条件での画像プリント時におけるインクシートとの熱融着度合いを以下の基準で評価した。
○: 熱融着なし
△: 部分的に熱融着あり
×: 全面に熱融着あり
実施例1の試料101〜112を、それぞれソニー株式会社製昇華型プリンターUP−DR150(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで最低濃度から最高濃度までの全域のグレーの階調を得られる設定で画像を出力した。このとき、Lサイズプリント1枚を出力するのに8.5秒を要した。
試験例と同じ方法で評価したところ、実施例1の結果と同様に本発明の試料110〜112は比較例の試料101〜109に比べて著しく高いDmaxを達成することができ、また画像欠陥のない高品位な画像を形成することができた。
Claims (8)
- 支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と中空ポリマーを含有する少なくとも1層の断熱層を有し、かつ該受容層に含まれるポリマーラテックスがガラス転移温度の異なる2種以上の染着性ポリマーからなることを特徴とする感熱転写受像シート。
- 受容層に含まれる前記2種以上のポリマーラテックスのうち、ガラス転移温度の最も低いもののガラス転移温度の範囲が0〜60℃、ガラス転移温度の最も高いもののガラス転移温度の範囲が60℃〜100℃であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 前記受容層に含まれる少なくとも2種以上のポリマーラテックスの加重平均ガラス転移温度が40℃〜70℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
- 前記ポリマーラテックスが塩化ビニルから得られる繰り返し単位を含む共重合体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
- 前記中空ポリマーを含む断熱層が中空ポリマー以外の有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記の受容層および/または断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
- 前記の水溶性ポリマーを含有する受容層および/または断熱層に、前記水溶性ポリマーを架橋することができる化合物を含有し、前記水溶性ポリマーの一部または全部が架橋されていることを特徴とする請求項6に記載の感熱転写受像シート。
- ガラス転移温度の異なる2種以上の染着性ポリマーからなるポリマーラテックスを含有する少なくとも1種の受容層塗工液と、中空ポリマーを含有するが有機溶剤に耐性の無い樹脂 (ただし前記中空ポリマーを除く)を含有しない少なくとも1種の断熱層塗工液とを、支持体上にこの順で同時重層塗布することによって、支持体上に少なくとも1層の受容層と少なくとも1層の断熱層を形成する工程を含むことを特徴とする感熱転写受像シートの製造方法。
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