JP2007227904A - エッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材 - Google Patents

エッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材 Download PDF

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哲弥 山越
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Abstract

【課題】より高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造するためのエッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材を提供する。
【解決手段】エッチング用として用いられるアルミニウム基材であって、
(1)アルミニウム箔表面上に、複数の柱状セルからなる多孔質酸化皮膜が形成されており、
(2)各柱状セルは、アルミニウム箔表面の上方に向かって伸びており、
(3)各柱状セルの断面の大きさが0.05μm以上5μm以下の範囲内にあり、
(4)各柱状セルは、少なくとも1つの孔を有し、
(5)前記孔は、柱状セルの長手方向に伸びている、
ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材。
【選択図】なし

Description

本発明は、エッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材に関する。特に、エッチング処理によりピット形成して表面積を増大させるためのエッチング用アルミニウム基材であって、そのエッチング用アルミニウム基材を直流エッチングした後、陽極酸化皮膜を形成して高い静電容量を得ることができる電解コンデンサ用アルミニウム電極材に関する。
なお、本明細書において、「%」及び「ppm」は、質量%及び質量ppmをそれぞれ意味する。
アルミニウムは、化学的あるいは電気化学的なエッチング処理によりエッチングピットを形成して表面積の増大が容易にでき、その表面に化成処理と呼称される陽極酸化処理を施すことにより、良質な陽極酸化皮膜が形成できる。しかも、この皮膜が誘電体となるところから、薄く圧延したアルミニウム箔をエッチング処理し、その表面に使用電圧に応じた種々の化成電圧で化成処理して陽極酸化皮膜を形成することにより、使用電圧に適合する各種のコンデンサが製造されている。
上記エッチング処理で形成するエッチングピットは、使用電圧に応じた化成電圧の高低に適した形状に穿孔される。
使用電圧の高い中高圧用のコンデンサに使用する場合は、化成電圧を高くして厚い化成皮膜を形成する必要があるので、厚い化成皮膜でエッチングピットが埋まらないように、エッチングピット形成は直流による電気化学的エッチング処理により行い、エッチングピット形状をトンネルタイプとする。
使用電圧の低い低圧用コンデンサに使用する場合は、付与する化成皮膜が中高圧用のように厚くないため、ピット形態は海綿状あるいはカリフラワー状と呼ばれる微細な凹凸であり、表面積の拡大率は中高圧用のトンネルピットより大きい。このようなピットは塩素イオンを含んだ水溶液中での交流エッチングにより得られる。
中高圧用のエッチングではエッチング処理を一次、二次の二段階で行い、一次エッチングでは直流を印加して細いトンネル状の初期ピットを形成し、次いで二次エッチングでは初期ピットの径を拡大している。
表面積を拡大するとコンデンサの静電容量を大きくできることから、一次エッチングで形成される初期ピットを数多く発生させることが必要である。しかも、二次エッチングで径を拡大させる時にエッチングピットが合体しないように、初期ピットは適当な数で均一に分散分布している必要がある。エッチングピットは、電気化学的な開始点を得て発生するものであるから、先ず初期ピットの開始点を適当数均一に分散分布させておかなければならない。
初期ピットの開始点として、箔表面にγ−Alを形成させる方法(例えば、特許文献1)、MgAlを酸化皮膜中に存在させる方法(例えば、特許文献2)、Alをアルミニウム箔中に存在させる方法(例えば、特許文献3)が提案されている。
しかしながら、これらの化合物はランダムに分散分布することから、化合物間距離を均一にすることは困難であり、表面積の拡大、すなわちコンデンサの静電容量の増大には限界がある。
また、初期ピットが同時に多数発生しすぎるとアルミニウム箔が全面溶解してしまい、トンネル状のエッチングピットを形成することが困難になる。この全面溶解を抑制する方法として、箔表面に陽極酸化皮膜を形成する方法(例えば、特許文献4)、陽極酸化皮膜を形成した後、バリヤー層を除去する方法(例えば、特許文献5)が開示されている。
しかしながら、これらの陽極酸化皮膜は、全面溶解を抑制し、エッチングピットをランダムに分散分布させることはできるものの、エッチングピット間距離を均一にすることは困難であり、表面積の拡大、すなわちコンデンサの静電容量の増大には限界がある。
さらに、特許文献6には、アルミニウム箔表面上に形成された厚さ0.02μmから0.6μmの無孔性アルミニウム酸化皮膜の表面に微小凹部が一様に形成されたアルミニウム電解コンデンサ用電極箔が開示されている。
しかしながら、この方法では、陽極酸化皮膜を形成した後さらに微小凹部を形成する工程を要する上、コンデンサの静電容量も未だ十分なものではない。
特公昭58−34925号公報 特開平10−27732号公報 特開2003−229334号公報 特開昭55−127013号公報 特開平1−282813号公報 特開2003−272960号公報
従って、本発明の主な目的は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、より高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造するためのエッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアルミニウム箔基材が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、構造寸法の制御性に優れた特定のセルサイズを持つ多孔質酸化皮膜がエッチングピット間距離の均一な初期ピットの開始点になること及びその多孔質酸化皮膜が特定の表面形状を持つアルミニウム箔上に形成されるという知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記のエッチング用アルミニウム基材及びそれを用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極材に係る。
1. エッチング用として用いられるアルミニウム基材であって、
(1)アルミニウム箔層の表面上に、複数の柱状セルからなる多孔質酸化皮膜が形成されており、
(2)各柱状セルは、アルミニウム箔層の表面の上方に向かって伸びており、
(3)各柱状セルの断面の大きさが0.05μm以上5μm以下の範囲内にあり、
(4)各柱状セルは、少なくとも1つの孔を有し、
(5)前記孔は、柱状セルの長手方向に伸びている、
ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材。
2. 各柱状セルが有する前記孔は1つである、前記項1に記載のエッチング用アルミニウム基材。
3. 多孔質酸化皮膜の平均孔径が、0.03μm以上3μm以下である、前記項1又は2に記載のエッチング用アルミニウム基材。
4. 前記項1〜3のいずれかに記載のエッチング用アルミニウム基材を直流エッチングした後、陽極酸化処理することにより得られる、電解コンデンサ用アルミニウム電極材。5. アルミニウム箔を陽極酸化処理することによりエッチング用アルミニウム基材を製造する方法であって、
(1)アルミニウム箔として、平均表面粗度(Ra)が0.18μm以下であるアルミニウム箔を用い、
(2)前記アルミニウム箔を陽極酸化処理することにより、前記表面上に多孔質酸化皮膜を形成する工程を含む、
ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材の製造方法。
6. 前記アルミニウム箔が、アルミニウム純度99.9質量%以上であり、かつ、Fe+Si+Cuの合計量が0.1質量%以下である、前記項5に記載の製造方法。
本発明のエッチング用アルミニウム基材は、特定の柱状セルが複数形成されている構造をもつため、これをエッチングした場合にはより高い静電容量を発揮し得る電解コンデンサ用アルミニウム電極材を提供することが可能となる。
1.エッチング用アルミニウム基材
本発明のエッチング用アルミニウム基材は、エッチング用として用いられるアルミニウム基材であって、
(1)アルミニウム箔層の表面上に、複数の柱状セルからなる多孔質酸化皮膜が形成されており、
(2)各柱状セルは、アルミニウム箔層の表面の上方に向かって伸びており、
(3)各柱状セルの断面の大きさが0.05μm以上5μm以下の範囲内にあり、
(4)各柱状セルは、少なくとも1つの孔を有し、
(5)前記孔は、柱状セルの長手方向に伸びている、
ことを特徴とする。
本発明基材の構造について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明のエッチング用アルミニウム基材の断面構造の模式図である。図1の構造は、例えば走査型電子顕微鏡観察のような公知の方法で観察・特定することができる。アルミニウム箔層1上に柱状セル2が複数形成されている。この複数のセルにより多孔質酸化皮膜4が構成される。本発明では、その皮膜の厚みを酸化皮膜厚みという。本発明では、酸化皮膜厚みの平均値(平均厚み)は、用途等に応じて適宜設定できるが、通常は0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。平均厚みが0.5μm未満になると酸化皮膜の多孔質構造が確立できず、ピット開始点の制御に寄与しなくなるおそれがある。また、30μmを超えるとアルミニウム箔の金属部分が減少し、エッチング時に有効な拡面率を得ることができなくなることがある。
アルミニウム箔層は、限定的ではないが、後記の製造方法で説明するアルミニウム箔を用いて形成することが望ましい。アルミニウム箔の厚みは、一般的には50〜200μmの範囲内で適宜設定すれば良い。
各柱状セル2は、アルミニウム箔層1の表面の上方(ほぼ垂直方向)に向かって伸びている。各柱状セル2は、少なくとも1つ(通常は1つ)の孔3を有している。この孔3は、柱状セル2の長手方向に伸びており、図1のようにトンネル状に形成されている。
孔3は、アルミニウム箔層1まで貫通していても良いし、貫通していなくても良い。図1のように、貫通しない場合は、孔の先端とアルミニウム箔層表面との距離が障壁層6として存在することになる。孔の平均孔径は、0.03μm以上3μm以下であることが好ましく、0.05μm以上3μm以下であることがより好ましい。平均孔径が0.03μm未満になると、エッチング工程において孔を介して浸透するエッチング液が不十分で、良好な表面積の拡大が得られなくなる場合がある。また、3μmを超えると、一つの孔に複数のエッチングピットが形成され、それらが結合して表面積が効果的に増大せず、高い静電容量を得ることができないおそれがある。
各柱状セルの断面の大きさ(セル径)5の平均は、一般に0.05μm以上5μm以下(好ましくは0.1μm以上1μm以下、より好ましくは0.2μm以上1μm以下)の範囲内にある。すなわち、セル径が小さすぎるもの又は大きすぎるものが存在せず、比較的均一に揃っていることが特徴である。セル径の平均が0.05μm未満では、エッチング時に隣接するピットが結合するおそれがある。また、5μmを超えると、ピット密度が小さくなりすぎるため、表面積が効果的に増大せず、高い静電容量を得ることができなくなる。本発明では、上記範囲外のセルが存在しないことが望ましいが、本発明の効果が大きく妨げられない範囲内で、上記範囲外のセルが少量存在していても良い。
2.エッチング用アルミニウム基材の製造方法
本発明のエッチング用アルミニウム基材の製造方法は、上記のような構造が得られる限り、特に制限されない。例えば、アルミニウム箔を陽極酸化処理することによりエッチング用アルミニウム基材を製造する方法であって、
(1)アルミニウム箔として、平均表面粗度(Ra)が0.18μm以下である表面をいずれか一方に有するアルミニウム箔を用い、
(2)前記アルミニウム箔を陽極酸化処理することにより、前記表面上に多孔質酸化皮膜を形成する工程を含む、
ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材の製造方法によって、本発明のエッチング用アルミニウム基材を好適に得ることができる。
(アルミニウム箔)
出発原料として用いられるアルミニウム箔の組成は特に制限されないが、好ましくはFe+Si+Cuの合計量が0.1%以下、より好ましくは0.050%以下、最も好ましくは0.030%以下である。Fe+Si+Cuが0.1%を超えると、エッチング後に形成される化成皮膜の健全さが損なわれ漏れ電流が大きくなるおそれがある。
このようなアルミニウム箔としては、例えば1)化成電圧200V程度以上で処理するような中高圧コンデンサ用アルミニウム箔の場合は、好ましくはSi5〜100ppm、Fe5〜100ppm、Cu20〜200ppmを含有するアルミニウム、2)JISH 2111に記載される方法に準じて測定されるAl純度99.9%以上のアルミニウムのほか、3)前記1)又は2)のアルミニウムにさらにPb、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti、V、Ga、Ni、B等の少なくとも1種の元素を任意に選択して含有させたアルミニウム合金等でも良い。
アルミニウム箔自体は、公知の方法に従って製造されるものを使用することができる。例えば、上記所定の組成を有する溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を450〜660℃で均質化処理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施すことにより得ることができる。また、冷間圧延の途中で、150〜400℃で中間焼鈍をしても良く、得られたアルミニウム箔を300〜650℃で焼鈍をして軟質箔又は極軟質箔としても良い。
アルミニウム箔の厚みは限定的ではないが、一般的に50〜200μmとすることが好ましい。同じ表面積であっても箔厚が大きくなると、アルミニウム箔単位重量あたりの静電容量は低くなることがある。200μmを超える箔厚は、最近の電解コンデンサ小型化の要求に反するものである。一方、箔厚が50μm未満では、エッチング後の強度が使用に耐えないまでに低下するおそれがある。
本発明に用いるエッチング用アルミニウム基材は、構造寸法の制御性に優れた特定のセルサイズを持つ多孔質酸化皮膜をアルミニウム箔表面上に形成させるために、アルミニウム箔表面が平滑化されていることが必要である。アルミニウム箔表面の平均粗度(Ra)は0.18μm以下、好ましくは0.10μm以下、さらに好ましくは0.08μm以下、最も好ましくは0.05μm以下である。アルミニウム箔表面の平均粗度の下限値は、製造可能であれば特に限定されないが、一般に0.01μm程度である。
アルミニウム箔表面の平均粗度を上記範囲内にする方法は特に限定されず、電解研磨又は化学研磨等による表面溶解、圧延ロール粗度の調整等により適宜行うことができる。
(陽極酸化処理による多孔質酸化皮膜の形成)
上記のようなアルミニウム箔を陽極酸化処理することにより、前記アルミニウム箔表面上に多孔質酸化皮膜を形成する。
陽極酸化処理の方法は、セル径の平均を上記範囲内に制御することができれば特に限定されない。
例えば、リン酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸等の少なくとも1種を含む酸性電解液中にアルミニウム箔を浸漬しながら定電圧化成を行うことにより実施することができる。なお、酸性電解液として一般に用いられる硫酸又は蓚酸は、単独で用いると各セル径が小さくなる傾向にある。また、多孔質酸化皮膜の平均孔径は、酸性電解溶液の種類、濃度、電解条件等によって制御することができる。
酸性電解液の濃度は、特に限定されないが、通常は0.05〜10モル/L、好ましくは0.1〜5モル/Lとなるように設定すれば良い。溶媒は、一般的には水を使用すれば良い。また、多孔質酸化皮膜の平均孔径は、電解質の種類、濃度、電解条件によって制御することができる。酸性電解液の温度は、通常5〜30℃の範囲内とすることが好ましい。酸性電解液中での処理時間は、5〜100分程度とすれば良い。
定電圧化成電圧は、多孔質酸化皮膜の所望のセル径の平均に応じて適宜設定すれば良く、通常100V以上の範囲(好ましくは100〜300V)とすれば良い。
本発明では、必要に応じて、陽極酸化処理中又は陽極酸化処理の後、エッチングに先立って多孔質酸化皮膜の孔底部とアルミニウム箔層表面との間に形成された障壁層を除去する工程又は障壁層を薄くする工程を実施しても良い。例えば、多孔質酸化皮膜を形成させる工程において、定電圧化成を行った後の処理電圧を5V/秒以下の速度で徐々に降下させる方法が挙げられる。このように電圧を降下させると、電流は即座には流れず、一定の時間が経過した後、徐々に流れはじめ、さらにしばらくして定常状態になる。この現象を回復現象と呼ぶが、回復現象時に障壁層が溶解されることが確認されている。静電容量の増大を図るためには、障壁層の厚さは0.1μm以下、特に0.01μm以下であることが好ましい。
本発明では、必要に応じて、陽極酸化処理中又は陽極酸化処理の後、エッチングに先立って多孔質酸化皮膜の孔径を拡大調整する工程を実施しても良い。例えば、リン酸、硫酸等の酸性溶液中に陽極酸化処理後のアルミニウム箔を浸漬することで孔径の拡大を実施することができる。酸性溶液の濃度は、特に限定されないが、通常は0.05〜10モル/L、好ましくは0.1〜5モル/Lとなるように設定すれば良い。溶媒は、一般的には水を使用すれば良い。多孔質酸化皮膜の平均孔径は、酸の種類、濃度、浸漬条件によって制御することができる。酸化溶液の温度は、通常20〜60℃の範囲内とすることが好ましい。酸性溶液中での処理時間は、5〜120分程度とすれば良い。
3.電解コンデンサ用アルミニウム電極材
本発明は、本発明のエッチング用アルミニウム基材を直流エッチングした後、陽極酸化処理することにより得られる、電解コンデンサ用アルミニウム電極材を包含する。
(直流エッチング)
直流エッチングは、一次エッチング及び二次エッチングの2段階で実施することが望ましい。
一次エッチング
直流一次エッチング処理で使用する電解液は限定的でなく、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等を含有する酸水溶液等の公知の電解液を使用することができる。
電解液の濃度は特に限定されない。例えば、塩酸及び硫酸の混合液として、塩酸濃度0.1〜3モル/L、硫酸濃度0.1〜5モル/Lの範囲内で適宜設定すれば良い。電解液の温度は、特に制限されないが、好ましい液温度は60〜95℃である。液温度が高くなれば反応が促進されて好ましいが、高温になり過ぎると反応が速すぎて箔表面の溶解が激しく均一な初期トンネルピットを形成し難くなる。処理時間は、電解液の濃度、処理温度等にもよるが、通常は2〜4分程度とすることが好ましい。
電気量は制限されないが、15〜30クローン/cm程度とすることが好ましい。
また、電流密度は、一般的に100〜300mA/cm程度とすることが好ましい。
二次エッチング
二次エッチング処理による初期トンネルピット径の拡大処理は、直流電解処理、化学処理又はその両者を併用して、一次エッチングで形成した初期ピットの径を拡大して表面積を増大させる。
二次エッチング処理の条件は、限定されないが、例えば電解液としては塩酸に少量の硫酸、燐酸、蓚酸等を加えた酸水溶液あるいは硝酸を加えた酸水溶液が好ましい。電解液の温度は限定されないが、特に60〜95℃の範囲に設定することが好ましい。
電流密度は、一般的には20〜200mA/cmが好ましい。処理時間は、トンネルピットの孔径の寸法にもよるが、通常は2〜20分程度が適当である。
(陽極酸化処理による陽極酸化皮膜の形成)
エッチング処理によりピットを形成して表面積を増大させたアルミニウム基材に、このアルミニウム基材を陽極とした化成処理を施し、陽極酸化皮膜を形成する。
化成処理は、公知の条件で行えば良い。例えば、電解液として硼酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、有機酸アンモニウム等の緩衝溶液を用い、コンデンサの用途によって約200V以上の電圧を一段又は多段階で印加して化成皮膜(すなわち、誘電体皮膜)を形成する。
本発明では、必要に応じて、一次エッチング処理後二次エッチング処理に先立って、又は二次エッチング処理後化成処理に先立って、アルミニウム基材の表面調整等のために、酸又はアルカリ液による処理を行って多孔質酸化皮膜を除去しても良い。この処理は、例えば処理液として0.05〜1モル/リットルのリン酸−クロム酸混合液又は苛性ソーダ水溶液を用い、温度は40〜80℃で処理することにより実施できる。
以上、本発明を中高圧電解コンデンサ用アルミニウム電極材に限って説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、低圧用箔についても適用できる。
以下に従来例、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。ただし、本発明の範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、従来例、実施例及び比較例で得られた試料(アルミニウム基材又はアルミニウム箔)の物性は、それぞれ以下のようにして測定した。
静電容量
静電容量は、得られた試料を次に示す条件でエッチング処理し、ホウ酸水溶液(65g/L)中で400Vの化成処理を施した後、ホウ酸アンモニウム水溶液(8g/L)にて測定した。
<エッチング処理条件>
・一次エッチング
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:1モル/L、硫酸濃度:3モル/L、80℃)
電解:DC200mA/cm×2分
・二次エッチング
エッチング液:塩酸及び蓚酸の混合液(塩酸濃度:2モル/L、蓚酸濃度:0.01モル/L、80℃)
電解:DC50mA/cm×9分
アルミニウム箔の平均表面粗度(Ra)
JIS B 0651に従い、アルミニウム箔表面の圧延直角方向の中心線平均粗さを接触式表面粗度計((株)東京精密製 製品名「SURFCOM1400D-12」)を用いて測定し、平均粗度(Ra)とした。
多孔質酸化皮膜のセル径の平均
図1に示すアルミニウム基材試料の多孔質酸化皮膜を6容量%リン酸−2容量%クロム酸混液水溶液で溶解した後、アルミニウムに残ったセル径に対応する凹凸(特に、図1アルミニウム箔層1と多孔質酸化皮膜4との境界部における凹凸)を測定した。具体的には、セルが100〜10000個程度含まれる走査型電子顕微鏡写真を撮影し、横断法により100個分の平均値をセル径の平均とした。
多孔質酸化皮膜の平均厚み
アルミニウム基材試料を厚み方向に切断し、図1に示す多孔質酸化皮膜の厚みを測定した。具体的には、アルミニウム基材試料断面の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、任意のセル10個の多孔質酸化皮膜の厚みを測定し、平均厚みを算出した。
多孔質酸化皮膜の平均孔径
平均孔径は、セル径の平均及びポアフィリング法により測定した空孔率を用いて、下記の式1により求めた。
平均孔径 = 空孔率1/2 × セル径の平均 (式1)
なお、上記空孔率は、多孔質酸化皮膜を形成した試料を、20℃の0.5モル/Lホウ酸−0.05モル/Lホウ酸ナトリウム混合水溶液中、電流密度5A/mで再陽極酸化を行った際の電圧上昇勾配(m)から、式2により求めた。ここで、mは、アルミニウム箔に対して同条件で陽極酸化処理を行った際の電圧上昇勾配である。これらの電圧上昇勾配の概念図を図2に示す。
空孔率α=(TAl・β)/(1−To・β) (式2)
β=m/m
=0.20V/s
Al=0.40(Al3+の輸率)
To=0.60(O2−の輸率)
(従来例1)
アルミニウム溶湯(Pb:0.08ppm、Si:15ppm、Fe:15ppm、Cu:50ppm、残部:Al及び不可避不純物)を半連続鋳造して、厚さ530mmの鋳塊を得た。この鋳塊を600℃で10時間かけて均質化処理をした後、鋳塊温度520℃で熱間圧延を開始し、厚さ6mmの熱間圧延板とした。次いで、冷間圧延を実施して100μmの箔とし、アルゴンガス雰囲気中540℃で10時間焼鈍することによりアルミニウム箔試料を作製した。
(従来例2〜3)
冷間圧延ロールの粗度を変更した以外は従来例1と同様にしてアルミニウム箔試料を作製した。
(実施例1)
従来例1で得られたアルミニウム箔を0.6モル/Lのリン酸電解液中で150Vの定電圧化成を行い、アルミニウム箔表面に多孔質酸化皮膜を形成することによりアルミニウム基材試料を作製した。
(実施例2)
2.0モル/Lのクエン酸電解液中で240Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(実施例3)
4.0モル/Lのマロン酸電解液中で120Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(実施例4)
0.3モル/Lの硫酸及び2.0モル/Lのマロン酸混合電解液中で120Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(実施例5)
冷間圧延ロールの粗度を変更して得られたアルミニウム箔を用い、0.8モル/Lのクエン酸電解液中で250Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(比較例1)
0.3モル/Lの硫酸電解液中で25Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(比較例2)
15Vの定電圧化成を行った以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(比較例3)
従来例2で得られたアルミニウム箔を用いた以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(比較例4)
従来例3で得られたアルミニウム箔を用いた以外は実施例1と同様にしてアルミニウム基材試料を作製した。
(試験例1)
従来例、実施例及び比較例で得られた試料について、前記の測定方法に従って、アルミニウム箔の平均粗度(Ra)、多孔質酸化皮膜のセル径の平均、平均厚み、平均孔径及び静電容量を測定した。なお、静電容量は、従来例1の測定値を100とした。
Figure 2007227904
表1の結果からも明らかなように、実施例1〜5は、従来例又は比較例に比して高い静電容量を達成できることがわかる。
なお、比較例3〜4は、多孔質酸化皮膜の平均厚みを測定するためにアルミニウム基材試料断面の走査型電子顕微鏡写真を撮影したところ、各セルの断面形状は六角柱状のような整った形ではなく、セルの伸びている向きも一定でなかった。
本発明のエッチング用アルミニウム基材の断面構造の模式図である。 電圧上昇勾配(m)及び電圧上昇勾配(m)を示す図である。

Claims (6)

  1. エッチング用として用いられるアルミニウム基材であって、
    (1)アルミニウム箔層の表面上に、複数の柱状セルからなる多孔質酸化皮膜が形成されており、
    (2)各柱状セルは、アルミニウム箔層の表面の上方に向かって伸びており、
    (3)各柱状セルの断面の大きさの平均が0.05μm以上5μm以下の範囲内にあり、
    (4)各柱状セルは、少なくとも1つの孔を有し、
    (5)前記孔は、柱状セルの長手方向に伸びている、
    ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材。
  2. 各柱状セルが有する前記孔は1つである、請求項1に記載のエッチング用アルミニウム基材。
  3. 多孔質酸化皮膜の平均孔径が、0.03μm以上3μm以下である、請求項1又は2に記載のエッチング用アルミニウム基材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング用アルミニウム基材を直流エッチングした後、陽極酸化処理することにより得られる、電解コンデンサ用アルミニウム電極材。
  5. アルミニウム箔を陽極酸化処理することによりエッチング用アルミニウム基材を製造する方法であって、
    (1)アルミニウム箔として、平均表面粗度(Ra)が0.18μm以下であるアルミニウム箔を用い、
    (2)前記アルミニウム箔を陽極酸化処理することにより、前記表面上に多孔質酸化皮膜を形成する工程を含む、
    ことを特徴とするエッチング用アルミニウム基材の製造方法。
  6. 前記アルミニウム箔が、アルミニウム純度99.9質量%以上であり、かつ、Fe+Si+Cuの合計量が0.1質量%以下である、請求項5に記載の製造方法。
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