JP2007227508A - 熱電変換モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

熱電変換モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化かつ高性能化が可能な熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】多層回路基板の製造技術、特にビア導体の形成技術を用いて、複数の絶縁層2からなる積層体3の内部に、p型熱電半導体4およびn型熱電半導体5を形成する。対をなすp型熱電半導体4とn型熱電半導体5とは、pn間接続導体11によって互いに直列に電気的接続されて熱電変換素子対10を構成し、複数の熱電変換素子対10は、たとえば、直列配線導体12によって直列に接続される。熱電半導体4,5の各々は、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分21〜23および24〜26を有し、これら複数の部分は、積層体3の積層方向に分布する。
【選択図】図2

Description

この発明は、熱電変換モジュールおよびその製造方法に関するもので、特に、熱電変換モジュールの小型化および高性能化を図るための改良に関するものである。
この発明にとって興味ある従来技術として、たとえば、特開平8−153899号公報(特許文献1)に記載されたもの、および特開平8−222770号公報(特許文献2)に記載されたものがある。
特許文献1では、間隔をあけて複数の透孔が設けられた絶縁性型枠を備える熱電変換モジュールが記載されている。上記透孔には、p型またはn型化合物半導体素子が充填されるが、p型半導体化合物素子が充填された透孔とn型半導体化合物素子が充填された透孔とが交互に並ぶようにされる。また、型枠の上下面には、対をなすp型半導体化合物素子とn型半導体化合物素子とを電気的に直列に接続する電極が設けられる。特許文献1では、型枠の材料として、ガラスまたはセラミックが開示されている。
上記の特許文献1に記載された熱電変換モジュールでは、p型およびn型半導体化合物素子のそれぞれについて、1種類の半導体化合物材料を用いている。すなわち、1つの透孔には、1種類の半導体化合物材料が充填されているに過ぎない。したがって、性能指数がピークを示す温度が1つであるため、すなわち、変換ピークが1つであるため、熱電変換効率が比較的低い。
次に、特許文献2では、熱電変換モジュールの製造方法が記載されている。すなわち、板状のn型熱電半導体と絶縁体とを交互に積層し、これを積層面に直角に切断したn型積層体と、板状のp型熱電半導体と絶縁体とを交互に積層し、これを積層面に直角に切断したp型積層体とを作製し、これらn型積層体とp型積層体とを、絶縁体を挟みながら交互に積層し、さらに、隣り合うn型熱電半導体とp型熱電半導体とを直列に接続する配線導体を形成する、各工程を備える、熱電変換モジュールの製造方法が記載されている。上記絶縁体の材料として、特許文献2では、エポキシ樹脂が開示されている。
特許文献2に記載の製造方法では、n型積層体とp型積層体とを交互に積層する際、これら積層体の位置がずれやすく、そのため、熱電半導体と配線導体とが適正に電気的接続されないことがある。その結果、電気的不導通を招いたり、電気的短絡を招いたりすることがある。
特開平8−153899号公報 特開平8−222770号公報
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、熱電変換モジュールおよびその製造方法を提供しようとすることである。
上述した技術的課題を解決するため、この発明に係る熱電変換モジュールは、p型熱電半導体およびn型熱電半導体と、電気絶縁性を有する複数の絶縁層の積層構造を有する積層体とを備えている。
上記積層体には、p型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第1の収容穴、およびn型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第2の収容穴が設けられるとともに、1対のp型熱電半導体とn型熱電半導体とからなる熱電変換素子対を形成するように、対をなすp型熱電半導体とn型熱電半導体とを互いに直列に電気的接続するpn間接続導体が設けられる。
上記第1および第2の収容穴は、特定の複数の絶縁層を厚み方向にそれぞれ貫通しかつ連接するように設けられた、各々複数の第1および第2の貫通孔によってそれぞれ与えられる。
そして、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の少なくとも一方は、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有し、これら複数の部分は、積層体の積層方向に分布していることを特徴としている。
この発明に係る熱電変換モジュールにおいて、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の双方が、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有していることが好ましい。
また、積層体には、複数の熱電変換素子対が設けられていることが好ましい。この場合、積層体には、複数の熱電変換素子対を直列に接続するための直列配線導体が設けられたり、複数の熱電変換素子対を並列に接続するための並列配線導体が設けられたりする。
この発明は、また、p型熱電半導体およびn型熱電半導体と、電気絶縁性を有する複数の絶縁層の積層構造を有する積層体とを備え、積層体には、p型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第1の収容穴、およびn型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第2の収容穴が設けられるとともに、1対のp型熱電半導体とn型熱電半導体とからなる熱電変換素子対を形成するように、対をなすp型熱電半導体とn型熱電半導体とを互いに直列に電気的接続するpn間接続導体が設けられ、第1および第2の収容穴が、特定の複数の絶縁層を厚み方向にそれぞれ貫通しかつ連接するように設けられた複数の第1および第2の貫通孔によってそれぞれ与えられている、熱電変換モジュールを製造する方法にも向けられる。
この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法は、前記絶縁層となるべき複数の絶縁性シートを準備する工程と、前記p型熱電半導体のためのp型熱電半導体材料および前記n型熱電半導体のためのn型熱電半導体材料を準備する、半導体材料準備工程と、特定の絶縁性シートに前記第1および第2の貫通孔を設ける工程と、第1の貫通孔および第2の貫通孔に、それぞれ、p型熱電半導体材料およびn型熱電半導体材料を充填する、充填工程と、特定の絶縁性シート上に前記pn間接続導体を形成する工程と、前記積層体を得るように、複数の絶縁性シートを積層する、積層工程とを備えることを特徴としている。
この発明に係る製造方法によって製造される熱電変換モジュールは、前述したような、この発明に係る熱電変換モジュールには限定されない。すなわち、前述した「p型熱電半導体およびn型熱電半導体の少なくとも一方は、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有し、これら複数の部分は、積層体の積層方向に分布している」という構成を備えない熱電変換モジュールの製造に対しても、この発明に係る製造方法を適用することができる。しかしながら、この発明に係る製造方法は、前述した、この発明に係る熱電変換モジュールの製造において特に有利に適用される。
したがって、好ましい実施態様では、上記半導体材料準備工程は、p型熱電半導体材料およびn型熱電半導体材料の少なくとも一方について、性能指数のピーク温度が互いに異なる熱電半導体のための複数種類の熱電半導体材料を用意する工程を備え、上記充填工程は、複数種類の熱電半導体材料の各々について、別の絶縁性シートの貫通孔に熱電半導体材料を充填する工程を備え、上記積層工程は、貫通孔に異なる種類の熱電半導体材料が充填された複数種類の絶縁性シートを同じ積層体内で混ぜて積層する工程を備えている。
熱電変換モジュールが、積層体に、複数の熱電変換素子対を備え、かつ複数の熱電変換素子対を直列に接続するための直列配線導体が設けられているものである場合には、特定の絶縁性シート上に直列配線導体を形成する工程がさらに実施される。
また、熱電変換モジュールが、積層体に、複数の熱電変換素子対を備え、かつ複数の熱電変換素子対を並列に接続するための並列配線導体が設けられているものである場合、特定の絶縁性シート上に並列配線導体を形成する工程がさらに実施される。
この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法において、絶縁性シートは、セラミックグリーンシートであることが好ましい。この場合、前記積層工程の後、積層体を焼成する工程がさらに実施される。
この発明に係る熱電変換モジュールによれば、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の少なくとも一方が、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有し、これら複数の部分が、積層体の積層方向に分布しているので、いわゆるカスケード構造を実現でき、特定の温度領域にわたって熱電変換効率を高めることができる。
上述のように、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有する構成が、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の双方について採用されていると、熱電変換効率をより高めることができる。
積層体に複数の熱電変換素子対が設けられている場合には、これら複数の熱電変換素子対を、積層体に設けられる配線導体によって任意に電気的に接続することができ、比較的高い自由度をもって、熱電変換モジュールの設計を行なうことができ、その結果、種々の特性を有する熱電変換モジュールを実現することが容易になる。たとえば、熱電変換モジュールが発電装置として用いられる場合、積層体に、複数の熱電変換素子対を直列に接続するための直列配線導体が設けられていると、高い電圧を得ることができる。他方、複数の熱電変換素子対を並列に接続するための並列配線導体が設けられていると、大きな電流を許容することができる。
次に、この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法は、多層回路基板の製造方法と実質的同様の基本的工程を備えている。すなわち、熱電変換モジュールに備える積層体が多層回路基板に対応し、熱電半導体がビア導体に対応し、pn間接続導体あるいは直列および並列配線導体が積層体を構成する複数の絶縁層間に形成される導体膜に対応している。
したがって、この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法によれば、積層体に、高い配置密度をもってビア導体に対応する熱電半導体を設けることができ、熱電変換モジュールの小型化および高性能化を容易に図ることができる。
また、多層回路基板の場合と同様、配線導体の設計の自由度が比較的高く、また、熱電変換素子の配置についても設計の自由度が高いため、要望される特性を満足する熱電変換モジュールを容易に提供することができる。
また、この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法によれば、絶縁性シートに貫通孔を設け、貫通孔に熱電半導体材料を充填し、複数の絶縁性シートを積層することによって、熱電半導体の形態を得るようにしているので、ある熱電半導体と他の熱電半導体との間での位置ずれが生じにくい。したがって、得られた熱電変換モジュールにおいて、電気的不導通や電気的短絡を生じにくくすることができる。
熱電半導体が、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有し、これら複数の部分が積層体の積層方向に分布している、熱電変換モジュールの製造に対して、この発明に係る製造方法が適用される場合には、複数種類の熱電半導体材料を用意し、複数種類の熱電半導体材料の各々について、別の絶縁性シートの貫通孔に熱電半導体材料を充填する工程を実施し、貫通孔に異なる種類の熱電半導体材料が充填された複数種類の絶縁性シートを同じ積層体内で混ぜて積層するようにすれば、上述したような構造の熱電変換モジュールを容易に製造することができる。
この発明に係る熱電変換モジュールの製造方法において、絶縁性シートがセラミックグリーンシートであり、積層工程の後、積層体を焼成する工程がさらに実施される場合には、従来からすでに確立している多層セラミック配線基板の製造方法と実質的に同様の工程を採用しながら、熱電変換モジュールを製造することができる。したがって、製造設備の共通化などにより、熱電変換モジュールの製造コストの低減を期待することができる。
図1ないし図8は、この発明の第1の実施形態による熱電変換モジュール1を説明するためのものである。ここで、図1は、熱電変換モジュール1の外観を示す平面図であり、図2は、図1の線S2−S2に沿う断面図である。図3〜図8は、それぞれ、図2の線S3〜線S8に沿う切断面を示す平面図である。
熱電変換モジュール1は、電気絶縁性を有する複数の絶縁層2の積層構造を有する積層体3を備えている。絶縁層2は、たとえば、BaO−Al−SiO系セラミック材料やZnO−MgO−Al−SiO系ガラス材料などのアルミナを主成分とする材料から構成される。熱電変換モジュール1は、積層体3の内部に配置される各々複数のp型熱電半導体4およびn型熱電半導体5を備えている。p型熱電半導体4は、たとえばクロメルから構成され、n型熱電半導体5は、たとえばコンスタンタンから構成される。p型熱電半導体4とn型熱電半導体5とは、図2および図5〜図7に示されているように、縦方向および横方向の各々に関して交互に配置されている。
積層体3には、p型熱電半導体4を収容する複数の第1の収容穴6、およびn型熱電半導体5を収容する複数の第2の収容穴7が設けられている。これら第1および第2の収容穴6および7は、特定の複数の絶縁層2を厚み方向にそれぞれ貫通しかつ連接するように設けられた、各々複数の第1および第2の貫通孔8および9によってそれぞれ与えられる。
積層体3には、1対のp型熱電半導体4とn型熱電半導体5とからなる熱電変換素子対10を形成するように、対をなすp型熱電半導体4とn型熱電半導体5とを互いに直列に電気的接続するpn間接続導体11が設けられている。pn間接続導体11は、図2および図8に示されるように、積層体3の最も外側に位置する絶縁層2の外方に向く面上に形成されている。
この実施形態では、複数の熱電変換素子対10は、直列に接続され、高い出力電圧が得られるように構成されている。そのため、積層体3には、複数の熱電変換素子対10を直列に順次接続するための直列配線導体12が設けられている。直列配線導体12は、図2および図4に示されているように、積層体3の最も外側に位置する絶縁層2の外方に向く面上に形成されている。
熱電変換モジュール1は、積層体3を挟むように配置される1対の外層13および14を備えている。外層13および14は、熱電半導体4および5の熱接点および冷接点に接触するもので、電気絶縁性を有しかつ熱伝導性が比較的良好な材料から構成されることが好ましい。外層13および14は、たとえば、絶縁層2と同じ材料から構成される。
熱電変換モジュール1は、直列接続された複数の熱電変換素子対10を電気的に外部へ引出すための引出し導体膜15および16、引出しビア導体17および18ならびに端子電極19および20を備えている。引出し導体膜15および16は、図2および図8に示されるように、pn間接続導体11と同様、積層体3の最も外側に位置する絶縁層2の外方に向く面上に形成されている。引出しビア導体17および18は、それぞれ、その一方端が引出し導体膜15および16に電気的に接続されながら、積層体3および一方の外層13を厚み方向に貫通するように設けられ、外層13の外方に向く面上に形成された端子電極19および20に電気的に接続される。
これら引出し導体膜15および16、引出しビア導体17および18ならびに端子電極19および20、さらには前述したpn間接続導体11および直列配線導体12は、たとえばCuを導電成分とする導電材料から構成される。
以上のような熱電変換モジュール1において、p型熱電半導体4およびn型熱電半導体5は、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有している。より具体的には、p型熱電半導体4は、ピーク温度が比較的低い低ピーク温度部分21、中程度の中ピーク温度部分22および比較的高い高ピーク温度部分23を有している。他方、n型熱電半導体5は、ピーク温度が比較的低い低ピーク温度部分24、中程度の中ピーク温度部分25および比較的高い高ピーク温度部分26を有している。低ピーク温度部分21および24が、図5に示すように、図2の切断面S5上に表われ、中ピーク温度部分22および25が、図6に示すように、図2の切断面S6上に表われ、高ピーク温度部分23および26が、図7に示すように、図2の切断面S7上に表われていることからわかるように、これら複数の部分21〜23ならびに24〜26は、積層体3の積層方向に分布している。
なお、低ピーク温度部分21および24、中ピーク温度部分22および25、ならびに高ピーク温度部分23および26の配置順序、厚み(積層方向での寸法)等については、任意に変更することができる。
上述のように、熱電半導体4および5が性能指数のピーク温度の互いに異なる部分21〜23および24〜26を有するカスケード構造によれば、熱電変換モジュール1を、特定の温度領域にわたって熱電変換効率の高いものとすることができる。
次に、熱電変換モジュール1の好ましい製造方法について説明する。
まず、絶縁層2となるべき複数の絶縁性シートが準備される。絶縁性シートとしては、好ましくは、たとえばBaO−Al−SiO系セラミック材料を含む複数のセラミックグリーンシートが準備される。次いで、特定のセラミックグリーンシートには、前述した第1および第2の貫通孔8および9が、たとえばレーザを用いて設けられる。また、上述した絶縁層2となるべき絶縁性シートと同様の組成をもって、外層13および14の各々となるべき絶縁性シートも用意される。
他方、p型熱電半導体4のためのp型熱電半導体材料およびn型熱電半導体5のためのn型熱電半導体材料が準備される。p型熱電半導体材料としては、たとえば、クロメル粉末に有機ビヒクルを加えてペースト化したものが準備される。n型熱電半導体材料としては、たとえば、コンスタンタン粉末に有機ビヒクルを加えてペースト化したものが準備される。なお、p型熱電半導体材料としては、前述した低ピーク温度部分21、中ピーク温度部分22および高ピーク温度部分23にそれぞれ対応して、性能指数のピーク温度が互いに異なる3種類のp型熱電半導体材料が準備され、n型熱電半導体材料としては、前述した低ピーク温度部分24、中ピーク温度部分25および高ピーク温度部分26にそれぞれ対応して、性能指数のピーク温度が互いに異なる3種類のn型熱電半導体材料が準備される。
次に、第1の貫通孔8および第2の貫通孔9に、それぞれ、p型熱電半導体材料およびn型熱電半導体材料が充填される。この充填工程では、たとえば、第2の貫通孔9をマスキングしながら、第1の貫通孔8にp型熱電半導体材料を充填し、次いで、第1の貫通孔8をマスキングしながら、第2の貫通孔9にn型熱電半導体材料を充填することが行なわれる。この場合、スクリーン印刷を適用すれば、熱電半導体材料を充填すべき貫通孔以外の貫通孔はマスキングされた状態となっているので、特別にマスキングするためのマスキング部材およびマスキング工程が不要であるので好ましい。充填工程では、前述した低ピーク温度部分21および24、中ピーク温度部分22および25ならびに高ピーク温度部分23および26の各々に対応して、3種類の熱電半導体材料の各々について、別の絶縁性シートの貫通孔8および9に対応の熱電半導体材料を充填する工程が実施される。
他方、前述した引出しビア導体17および18を形成するため、絶縁性シートに貫通孔が設けられ、各貫通孔に、たとえばCuを含む導電性ペーストが充填される。
次に、特定の絶縁性シート上に、前述したpn間接続導体11ならびに引出し導体膜15および16が形成され、また、他の特定の絶縁性シート上に前述した直列配線導体12が形成される。これらpn間接続導体11、直列配線導体12ならびに引出し導体膜15および16の形成には、たとえば、Cuを含む導電性ペーストのスクリーン印刷が適用される。
また、さらに他の絶縁性シートに、引出しビア導体17および18の各一部ならびに端子電極19および20が形成される。なお、端子電極19および20については、後述する焼成工程の後に形成するようにしてもよい。
次に、積層体3を得るように、絶縁層2となるべき複数の絶縁性シートが積層されるとともに、外層13および14となるべき絶縁性シートが積層され、圧着され、必要に応じてカットされ、次いで、焼成される。この焼成の結果、絶縁性シートが焼結した絶縁層2ならびに外層13および14となり、同時に、p型熱電半導体材料およびn型熱電半導体材料がそれぞれ焼結したp型熱電半導体4およびn型熱電半導体5となり、さらに、pn間接続導体11、直列配線導体12、引出し導体膜15および16ならびに引出しビア導体17および18においても焼結した状態となり、熱電変換モジュール1が完成される。
上述の積層工程では、貫通孔8および9に異なる種類の熱電半導体材料が充填された3種類の絶縁性シートを同じ積層体3内で混ぜて積層することが行なわれ、その結果、積層体3には、図2に示すようなカスケード構造が実現される。
図1ないし図8に示した第1の実施形態による熱電変換モジュール1について、p型熱電半導体4の材料としてクロメルを用い、n型熱電半導体5の材料としてコンスタンタンを用い、積層体3の焼成前の厚みを300μmとし、収容穴6および7の直径を200μmとし、熱電半導体4および5の配列ピッチを400μmとし、1cmあたり228個の熱電変換素子対10を設けたものを試料とし、熱電半導体4および5の一方端側をヒータで加熱し、他方端側をファンによって空冷することによって、1対の絶縁板13および14間に250Kの温度差を与えたとき、1.4W/cmの出力が得られた。
図9ないし図18は、この発明の第2の実施形態による熱電変換モジュール31を説明するためのものである。ここで、図9は、熱電変換モジュール31の外観を示す平面図であり、図10は、図9の線S11−S11に沿う断面図である。図11〜図18は、それぞれ、図10の線S12〜線S19に沿う切断面を示す平面図である。図9ないし図18において、図1ないし図8に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態による熱電変換モジュール31は、簡単に言えば、複数の熱電変換素子対10が並列に接続されていることを特徴としている。そのため、図12ないし図14に示すような並列配線導体32〜37が積層体3に設けられている。図12には、絶縁層2に沿って設けられる並列配線導体としての並列配線導体膜32および33が示され、図13には、絶縁層2の厚み方向に貫通するように設けられる並列配線導体としての並列配線ビア導体34および35が示され、図14には、絶縁層2に沿って設けられる並列配線導体としての並列配線導体膜36および37が示されている。
図15〜図17と図18とを対比すればわかるように、前述の第1の実施形態の場合と同様、対をなすp型熱電半導体4とn型熱電半導体5とは、pn間接続導体11によって互いに直列に電気的に接続され、それによって、熱電変換素子対10が構成されている。
図14と図15〜図17とを対比すればわかるように、複数の熱電変換素子対10の各端部は、図15〜図17において縦方向に並ぶものの間で、並列配線導体膜36および37によって並列にそれぞれ接続されている。ここで、熱電変換素子対10の一方端部に接続される並列配線導体膜36と他方端部に接続される並列配線導体膜37とは交互に配置されている。
図12〜図14を参照すればわかるように、一方のグループの並列配線導体膜36は、並列配線ビア導体34を介して並列配線導体膜32に接続され、他方のグループの並列配線導体膜37は、並列配線ビア導体35を介して並列配線導体膜33に接続されている。
また、図11に示すように、外層13には、引出しビア導体38および39が厚み方向に貫通するように設けられ、その外方に向く面上には、端子電極40および41が設けられている。したがって、図9、図11および図12を参照すればわかるように、端子電極40は、引出しビア導体38を介して並列配線導体膜32に接続され、端子電極41は、引出しビア導体39を介して並列配線導体膜33に接続される。
このようにして、1対の端子電極40および41の間で、複数の熱電変換素子対10が並列に接続された、熱電変換モジュール31が構成される。
このような熱電変換モジュール31は、並列配線導体としての並列配線導体膜32および33、並列配線ビア導体34および35ならびに並列配線導体膜36および37を、特定の絶縁性シート上に形成する工程を備えることを除いて、前述した熱電変換モジュール1と実質的に同様の製造方法を適用して製造することができる。
図19は、この発明の第3の実施形態による熱電変換モジュール51を示す、図2または図10に相当する断面図である。図19において、図2または図10に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
第3の実施形態による熱電変換モジュール51は、簡単に言えば、複数の熱電変換素子対10が直列に接続されている、図2に示した熱電変換モジュール1を複数個組み合わせて、それらを並列に接続した構造を有している。
より具体的には、図2の熱電変換モジュール1に相当する複数の構造物の各々に備える引出しビア導体17および18(引出しビア導体17については、図19に図示されない。)が互いに電気的に接続され、それによって、図2の熱電変換モジュール1に相当する複数の構造物が並列に電気的接続されている。
なお、図19に示した熱電変換モジュール51は、図2の熱電変換モジュール1に相当する構造物を2個備えるものであったが、必要に応じて、3個以上の構造物を備えるように変更されてもよい。
以上、この発明に係る熱電変換モジュールを、図示した実施形態に関連して説明したが、その他種々の変形例が可能である。
たとえば、熱電変換モジュールが複数の熱電変換素子対を備える場合、これら熱電変換素子対の接続態様については、図示したもの以外にも種々のものがある。また、熱電変換素子対の数についても、任意に変更することができ、たとえ1個の熱電変換素子対のみを備える場合であっても、この発明を適用することができる。
また、図示の実施形態では、p型熱電半導体4およびn型熱電半導体5の双方が、性能指数のピーク温度が互いに異なる3つの部分を有していたが、性能指数のピーク温度が互いに異なる部分の数は任意に変更することができる。また、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有しているのは、p型熱電半導体およびn型熱電半導体のいずれか一方のみであってもよい。
また、図示の実施形態では、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分が、p型熱電半導体4とn型熱電半導体5とで互いに同じ分布態様をもって配置されている。言い換えると、積層体3内の1つの絶縁層2について見れば、p型熱電半導体4およびn型熱電半導体5の各々について、性能指数のピーク温度が互いに同じものが複数の貫通孔8および9の各々に充填されている。しかしながら、p型熱電半導体およびn型熱電半導体の少なくとも一方については、1つの絶縁層に設けられる複数の貫通孔に、性能指数のピーク温度が互いに異なるものがそれぞれ充填されてもよい。
また、熱電変換モジュールにおいて、温度差による熱応力を緩和するため、熱電半導体および/または絶縁層に関して、その材料自身を変えたり、熱膨張率が互いに異なる材料からそれぞれなる複数の部分を組み合わせたりするといった工夫が図られてもよい。たとえば、絶縁層は、セラミックやガラスに限らず、樹脂などから構成されてもよい。
この発明の第1の実施形態による熱電変換モジュール1の外観を示す平面図である。 図1の線S2−S2に沿う断面図である。 図2の線S3に沿う切断面を示す平面図である。 図2の線S4に沿う切断面を示す平面図である。 図2の線S5に沿う切断面を示す平面図である。 図2の線S6に沿う切断面を示す平面図である。 図2の線S7に沿う切断面を示す平面図である。 図2の線S8に沿う切断面を示す平面図である。 この発明の第2の実施形態による熱電変換モジュール31の外観を示す平面図である。 図9の線S11−S11に沿う断面図である。 図10の線S12に切断面を示す平面図である。 図10の線S13に切断面を示す平面図である。 図10の線S14に切断面を示す平面図である。 図10の線S15に切断面を示す平面図である。 図10の線S16に切断面を示す平面図である。 図10の線S17に切断面を示す平面図である。 図10の線S18に切断面を示す平面図である。 図10の線S19に切断面を示す平面図である。 この発明の第3の実施形態による熱電変換モジュール51を示す、図2または図10に相当する断面図である。
符号の説明
1,31,51 熱電変換モジュール
2 絶縁層
3 積層体
4 p型熱電半導体
5 n型熱電半導体
6 第1の収容穴
7 第2の収容穴
8 第1の貫通孔
9 第2の貫通孔
10 熱電変換素子対
11 pn間接続導体
12 直列配線導体
13,14 外層
15,16 引出し導体膜
17,18,38,39 引出しビア導体
19,20,40,41 端子電極
21,24 低ピーク温度部分
22,25 中ピーク温度部分
23,26 高ピーク温度部分
32,33,36,37 並列配線導体膜
34,35 並列配線ビア導体

Claims (10)

  1. p型熱電半導体およびn型熱電半導体と、
    電気絶縁性を有する複数の絶縁層の積層構造を有する積層体と
    を備え、
    前記積層体には、前記p型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第1の収容穴、および前記n型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第2の収容穴が設けられるとともに、1対の前記p型熱電半導体と前記n型熱電半導体とからなる熱電変換素子対を形成するように、対をなす前記p型熱電半導体と前記n型熱電半導体とを互いに直列に電気的接続するpn間接続導体が設けられ、
    前記第1および第2の収容穴は、特定の複数の前記絶縁層を厚み方向にそれぞれ貫通しかつ連接するように設けられた、各々複数の第1および第2の貫通孔によってそれぞれ与えられ、
    前記p型熱電半導体および前記n型熱電半導体の少なくとも一方は、性能指数のピーク温度が互いに異なる複数の部分を有し、前記複数の部分は、前記積層体の積層方向に分布している、
    熱電変換モジュール。
  2. 前記p型熱電半導体および前記n型熱電半導体の双方が、性能指数のピーク温度が互いに異なる前記複数の部分を有している、請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 前記積層体には、複数の前記熱電変換素子対が設けられている、請求項1または2に記載の熱電変換モジュール。
  4. 前記積層体には、複数の前記熱電変換素子対を直列に接続するための直列配線導体が設けられている、請求項3に記載の熱電変換モジュール。
  5. 前記積層体には、複数の前記熱電変換素子対を並列に接続するための並列配線導体が設けられている、請求項3または4に記載の熱電変換モジュール。
  6. p型熱電半導体およびn型熱電半導体と、
    電気絶縁性を有する複数の絶縁層の積層構造を有する積層体と
    を備え、
    前記積層体には、前記p型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第1の収容穴、および前記n型熱電半導体を収容する少なくとも1つの第2の収容穴が設けられるとともに、1対の前記p型熱電半導体と前記n型熱電半導体とからなる熱電変換素子対を形成するように、対をなす前記p型熱電半導体と前記n型熱電半導体とを互いに直列に電気的接続するpn間接続導体が設けられ、
    前記第1および第2の収容穴が、特定の複数の前記絶縁層を厚み方向にそれぞれ貫通しかつ連接するように設けられた複数の第1および第2の貫通孔によってそれぞれ与えられている、
    熱電変換モジュールを製造する方法であって、
    前記絶縁層となるべき複数の絶縁性シートを準備する工程と、
    前記p型熱電半導体のためのp型熱電半導体材料および前記n型熱電半導体のためのn型熱電半導体材料を準備する、半導体材料準備工程と、
    特定の前記絶縁性シートに前記第1および第2の貫通孔を設ける工程と、
    前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に、それぞれ、前記p型熱電半導体材料および前記n型熱電半導体材料を充填する、充填工程と、
    特定の前記絶縁性シート上に前記pn間接続導体を形成する工程と、
    前記積層体を得るように、複数の前記絶縁性シートを積層する、積層工程と
    を備える、熱電変換モジュールの製造方法。
  7. 前記半導体材料準備工程は、前記p型熱電半導体材料および前記n型熱電半導体材料の少なくとも一方について、性能指数のピーク温度が互いに異なる熱電半導体のための複数種類の熱電半導体材料を用意する工程を備え、
    前記充填工程は、複数種類の前記熱電半導体材料の各々について、別の前記絶縁性シートの前記貫通孔に前記熱電半導体材料充填する工程を備え、
    前記積層工程は、前記貫通孔に異なる種類の前記熱電半導体材料が充填された複数種類の前記絶縁性シートを同じ前記積層体内で混ぜて積層する工程を備える、
    請求項6に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
  8. 前記熱電変換モジュールは、前記積層体に、複数の前記熱電変換素子対を備え、かつ複数の前記熱電変換素子対を直列に接続するための直列配線導体が設けられているものであり、特定の前記絶縁性シート上に前記直列配線導体を形成する工程をさらに備える、請求項6または7に記載の熱電変換モジュールの製造方法。
  9. 前記熱電変換モジュールは、前記積層体に、複数の前記熱電変換素子対を備え、かつ複数の前記熱電変換素子対を並列に接続するための並列配線導体が設けられているものであり、特定の前記絶縁性シート上に前記並列配線導体を形成する工程をさらに備える、請求項6ないし8のいずれかに記載の熱電変換モジュールの製造方法。
  10. 前記絶縁性シートは、セラミックグリーンシートであり、前記積層工程の後、前記積層体を焼成する工程をさらに備える、請求項6ないし9のいずれかに記載の熱電変換モジュールの製造方法。
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