JP2007221903A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】整流回路Aおよびインバータ回路Bにハーフブリッジ型電力変換器を用いた電力変換装置において、直流回路を構成する2直列平滑コンデンサ12、13に発生する電圧アンバランスを補償するチョッパ回路Cを、高速な制御系で構成する。
【解決手段】2直列平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを小さくするようにチョッパ回路Cの電流指令値を演算する電圧制御器35とパルス幅変調器39とをチョッパ回路Cに備え、一定のサンプリング間隔毎にチョッパ回路Cの電流指令値とチョッパ回路Cの電流検出値を比較し、誤差電流の正負極性に基づいて該極性を反転させるようにPWM信号を生成することにより、常にチョッパ回路Cの電流指令値とチョッパ回路Cの電流検出値が一致するようにIGBT23、24のオン・オフを決定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、交流電源の交流を整流回路で直流に変換し、さらにインバータ回路で交流に変換する電力変換装置に関し、特に、ハーフブリッジ型の電力変換器を採用し、直流回路が2直列の平滑コンデンサで構成される電力変換装置に関するものである。
整流回路やインバータ回路においてはフルブリッジ型の電力変換器が一般的であり、電源あるいは負荷の3相は全てIGBT等の半導体スイッチ素子に接続されている。これらの半導体スイッチ素子は高速でオン・オフ動作を行い、特定の電源電位に固定されることは無い。従って、回路内部の電位は大地電位に対して常に高周波で変化しており、コモンモードノイズの原因と成っている。回路内部の電位が高周波で変化する事を抑制する場合、ハーフブリッジ型の電力変換器の採用が有効である。ハーフブリッジ型の電力変換器は、直流回路が2直列の平滑コンデンサから成り、その平滑コンデンサの接続点に交流の1相が接続されている。直流の中性点電位が3相交流の内の1相の電位に固定されているため、回路内部の電位が大地に対して高周波で変化することは無く、コモンモードノイズの低減に効果がある。
しかし、整流回路やインバータ回路においてハーフブリッジ型の電力変換器を使用して、電源あるいは負荷の1相を直流中性点に接続する場合、直流中性点に接続した相の電流がハーフブリッジの正負平滑コンデンサに流れるため、正負平滑コンデンサの電圧アンバランスを生じるものである。このような正負平滑コンデンサの電圧アンバランスを解消する様に構成された従来の電力変換装置を以下に示す。
電力変換装置は、3相交流電源接続部と、正側平滑コンデンサと、負側平滑コンデンサと、スイッチ素子とダイオードとリアクトルとからなる第一相変換回路及びスイッチ素子とダイオードとリアクトルとからなる第三相変換回路と、中性相と第二相を接続した共通相と、正相と負相の間に接続した2直列スイッチ素子とダイオードと該スイッチ素子の中点と共通相の間に接続したリアクトルとからなる共通相変換回路とを備える。そして、正負平滑コンデンサの電圧アンバランスの原因となる直流中性点電流、あるいは正負平滑コンデンサの電圧差を検出して、共通相変換回路であるチョッパ回路で補償する。具体的には、正側平滑コンデンサおよび負側平滑コンデンサの電圧を電圧検出器でそれぞれ検出し、減算器で差を求め制御補償器を介して比較器へ入力する。比較器では、制御補償器の出力と3角波発生器の出力を比較してPWM信号を出力する。このPWM信号を入力とするIGBT駆動回路で主回路に設けた上記チョッパ回路のIGBTを交互にオン・オフする。これにより、正負平滑コンデンサの電圧に差があると、それを解消する方向に回路が動作する(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−224376号公報
このような電力変換装置では、正負平滑コンデンサの電圧アンバランスを解消するためのチョッパ回路のPWM信号を三角波比較法により生成している。このため、生成されたPWM信号は三角波の周期に同期し、三角波の周波数によりチョッパ回路の電流制御応答に制限を受ける。このチョッパ回路の電流制御応答が低い場合は、指令急変、負荷急変の過渡時において正負平滑コンデンサの電圧アンバランスを抑制する事ができないという問題点があった。同様に、チョッパ回路の動作を起動/停止する際に、起動から電圧アンバランス抑制に至るまでに時間がかかるという問題点があった。
また、チョッパ回路のIGBTの動作遅れや短絡防止時間等によりチョッパ回路自身が発生する誤差成分は、チョッパ回路の電流制御によりフィードバック的に低減されるため、電流制御応答が低いと誤差成分が充分に低減されないという問題点があった。
さらには、チョッパ回路の電流制御応答を高くするためには、三角波の周波数を高くする必要があり、チョッパ回路の損失が大きくなるという問題点もあった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、直流回路が2直列の平滑コンデンサから成り、その平滑コンデンサの接続点に交流の1相が接続されたハーフブリッジ型の電力変換器を用いた電力変換装置において、2直列の平滑コンデンサの電圧アンバランスを解消するために設けたチョッパ回路を、高速かつ低損失な制御系を構成して制御することを目的とする。
この発明による電力変換装置は、交流電源からの交流を正相、中性相および負相を有する3線直流に変換する第1の電力変換器と、3相交流を出力する第2の電力変換器と、第3の電力変換器と、第3の電力変換器に流れる電流を制御する電流制御器とを備える。上記第1の電力変換器は、3線直流における正相と負相との間に接続された第1のハーフブリッジ型変換回路、該3線直流の正相と中性相との間に接続された正側平滑コンデンサ、および該正側平滑コンデンサに直列接続されて上記3線直流の中性相と負相との間に接続された負側平滑コンデンサを有し、交流電源からの交流を上記3線直流に変換する。上記第2の電力変換器は、上記3線直流の正相および負相との間に接続された2個の第2のハーフブリッジ型変換回路を有して該2個の第2のハーフブリッジ型変換回路の2直列スイッチ素子の接続点をそれぞれ第1相、第2相の出力、上記3線直流の中性相を第3相の出力として、上記3線直流を3相交流に変換する。第3の電力変換器は、上記3線直流の正相と負相との間に接続した2直列スイッチ素子、該各スイッチ素子にそれぞれ逆並列接続されたダイオード、および上記2直列スイッチ素子の接続点と上記正側、負側平滑コンデンサの接続点との間に接続されたリアクトルを有する。上記電流制御器は、上記第3の電力変換器の上記リアクトルに流れる電流を検出する電流検出手段を有して、該検出電流が電流指令に追従するようにPWM信号を生成して上記2直列スイッチ素子を制御する。そして、該電流制御器は、所定のサンプリング周期毎に、上記電流検出手段による上記検出電流と上記電流指令との差である誤差電流を導出し、所定の制御遅れ時間後における上記第3の電力変換器の2直列スイッチ素子のPWM信号を、上記誤差電流が正極性ならば正側スイッチ素子オンかつ負側スイッチ素子オフ、上記誤差電流が負極性ならば負側スイッチ素子オンかつ正側スイッチ素子オフとするものである。
この発明による電力変換装置は、直列接続された正負平滑コンデンサの電圧アンバランスを解消するための第3の電力変換器の2直列スイッチ素子を、所定のサンプリング周期毎に検出電流と電流指令との差である誤差電流を検出し、該誤差電流の極性に基づいて該極性を反転させるようにPWM信号を生成して制御する。このため、常に検出電流と電流指令とが一致するように第3の電力変換器の2直列スイッチ素子のオン・オフが決定され、第3の電力変換器を高速な制御系にて構成する事ができる。また、高速で電流制御応答が高いため、第3の電力変換器の動作を起動/停止する際に、起動から電圧アンバランス抑制が高速で実施できる。また、電流制御応答を高くするために従来のように三角波の周波数を高くする必要がないため、第3の電力変換器の制御は、高速で低損失な制御系となる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置を図について説明する。
図1はこの実施の形態1による電力変換装置を交流電動機の制御装置について示した回路図である。
図に示すように、主回路は、3相交流電源1の交流を直流に変換する第1の電力変換器としての整流回路Aと、その直流を交流に変換して3相交流電動機22に印加する第2の電力変換器としてのインバータ回路Bと、正負の平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを解消する第3の電力変換器としてのチョッパ回路Cから成る。3相交流電源1は、リアクトル2、3を介して整流回路Aに接続されている。
整流回路Aは、直列接続されたIGBT4、5および各IGBT4、5に逆並列接続されたダイオード6、7で構成されるハーフブリッジ型変換回路(第1のハーフブリッジ型変換回路)から成る相と、直列接続されたIGBT8、9および各IGBT8、9に逆並列接続されたダイオード10、11で構成されるハーフブリッジ型変換回路(第1のハーフブリッジ型変換回路)から成る相と、直列接続された正側平滑コンデンサ12および負側平滑コンデンサ13とから成る。2直列スイッチング素子となるIGBT4、5およびIGBT8、9は、3線直流の正相、負相となる正側平滑コンデンサ12の正極端子、負側平滑コンデンサ13の負極端子の間に接続されている。そして、3相交流電源1の1相がリアクトル2を介してIGBT4、5の接続点に接続され、他の1相がリアクトル3を介してIGBT8、9の接続点に接続され、残りの1相が正負平滑コンデンサ12、13の接続点に接続されている。
なお、正負平滑コンデンサ12、13は、整流回路Aおよびインバータ回路Bが共用して用いる直流回路であり、便宜上、図ではいずれにも含まれない図示となっている。
インバータ回路Bは、直列接続されたIGBT14、15および各IGBT14、15に逆並列接続されたダイオード16、17で構成されるハーフブリッジ型変換回路(第2のハーフブリッジ型変換回路)から成る相と、直列接続されたIGBT18、19および各IGBT18、19に逆並列接続されたダイオード20、21で構成されるハーフブリッジ型変換回路(第2のハーフブリッジ型変換回路)から成る相と、直列接続された正負平滑コンデンサ12、13とから成る。2直列スイッチ素子となるIGBT14、15およびIGBT18、19は、直列接続された正負平滑コンデンサ12、13の正負端子間に接続されている。そして、IGBT14、15の接続点と、IGBT18、19の接続点と、正負平滑コンデンサ12、13の接続点とが、3相交流電動機22に接続されている。
また、直列接続されたIGBT23、24と、各IGBT23、24に逆並列接続されたダイオード25、26と、リアクトル27とによりチョッパ回路Cが構成されている。2直列スイッチ素子となるIGBT23、24は、直列接続された正負平滑コンデンサ12、13の正負端子間に接続されている。IGBT23、24の接続点と正負平滑コンデンサ12、13の接続点は、リアクトル27を介して接続されている。
以上のように構成される主回路は、制御回路により、整流回路A、インバータ回路Bおよびチョッパ回路Cが備えるIGBT4、5、8、9、14、15、18、19、23、24のオン・オフを制御して、三相交流電源1の電力を3相交流電動機22に供給する。整流回路AのIGBT4、5、8、9、インバータ回路BのIGBT14、15、18、19の制御については、一般的なハーフブリッジ型電力変換器の制御方式が適用できるため表記および説明を省略し、チョッパ回路CのIGBT23、24の制御についてのみ説明する。また、整流回路Aまたはインバータ回路Bにおいて、以下に述べるチョッパ回路Cと同様の制御方式を適用しても良い。
図1に示すように、正側平滑コンデンサ12および負側平滑コンデンサ13の電圧を電圧検出器28、29でそれぞれ検出し、この電圧差を減算器30で求め、電圧制御器35によりリアクトル27に流す電流の指令値ich_refが生成される。また、リアクトル27を流れる電流は電流検出器36で検出される。電圧制御器35の出力であるリアクトル27に流す電流の指令値ich_refは、電流検出器36の出力である検出電流値ich_fbと、減算器37で演算され、減算結果である誤差電流がパルス幅変調器39に入力される。パルス幅変調器39は、パルス発生器38が発生するサンプリング周期毎に、誤差電流の正負をもとにPWM信号を生成して出力する。このPWM信号を入力とするIGBT駆動回路34が、IGBT23、24をオン・オフする。これにより、電流検出器36で検出された電流値ich_fbと指令値ich_refに差があると、それを減少させる方向に回路がフィードバック動作する。なお、PWM信号の生成についての詳細は後述する。
次に、図1に示した交流電動機の制御装置の動作について、図2に基づいて以下に説明する。
図2(a)、図2(b)は、図1で示したインバータ回路Bと3相交流電動機22とを抜き出した部分回路図である。図に示すように、正負平滑コンデンサ12、13の接続点は3相交流電動機22の1相に直接接続され、正負平滑コンデンサ12、13の接続点には3相交流電動機22の相電流ivが流れ込む。一般的なインバータ回路Bの場合、3相交流電動機22の相電流は正弦波電流となり、電流極性はその半周期毎に正負が反転する。例えば負の半周期における動作を考える場合、3相交流電動機22の相電流ivは、図2(a)のように正側平滑コンデンサ12を放電するか、図2(b)のように負側平滑コンデンサ13を充電するか、もしくは両者の合成となる。いずれの場合においても、正側平滑コンデンサ12の電圧の方が負側平滑コンデンサ13の電圧よりも低くなる方向に作用する。従って、3相交流電動機22の相電流が大きくなるほど、また、周波数が低くなるほど、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスは大きくなる。
なお、電流極性が正の場合は、正側平滑コンデンサ12の電圧の方が負側平滑コンデンサ13の電圧よりも高くなる方向に作用する。
図2(c)は、図2(a)、図2(b)で示した回路にチョッパ回路Cを追加したものである。チョッパ回路Cは、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを解消するために設けられた回路であり、図に示すように、3相交流電動機22の相電流ivを、正負平滑コンデンサ12、13では無く、チョッパ回路Cのリアクトル27に流すようにIGBT23、24をオン・オフ制御する。
以上の説明は、3相交流電動機22からインバータ回路Bへの電流について行ったが、3相交流電源1から整流回路Aへの電流についても同様で、正負平滑コンデンサ12、13の接続点に流れ込む3相交流電源1の相電流をチョッパ回路Cのリアクトル27に流すように制御する。
なお、交流電動機の制御装置の場合、整流回路Aの周波数は50Hzまたは60Hzであるのに対して、インバータ回路Bの周波数は0〜120Hz程度の範囲で可変周波数駆動される。従って、インバータ回路Bの方が正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスに対する影響が大きい。
このような正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスの解消のためのチョッパ回路Cの制御は、上述したように、正負平滑コンデンサ12、13の電圧差を検出して、電圧制御器35によりリアクトル27に流す電流の電流指令値ich_refを生成し、検出電流値ich_fbと電流指令値ich_refとに差があると、それを減少させる方向にフィードバック動作させるものである。
ここで電圧制御器35は、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを入力とし、チョッパ回路Cのリアクトル27に流す電流の指令値ich_refを出力とするものであり、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを零とするためのフィードバック制御に使用される。図3に、PI制御器で構成された電圧制御器35の例を示す。減算器30の出力である正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスは、減算器35aで目標値ゼロと演算される。減算器35aの出力はゲインKpの増幅器35bとゲインKiの積分器35cに入力される。増幅器35bと積分器35cはPI制御器の構成要素であり、加算器35dにより加算されてリアクトル27に流す電流の指令値ich_refが得られる。PI制御器自体は一般的な物であるため動作の説明は省略する。なお、これと同等の機能を有する別の方法で電圧制御器を構成しても良い。
次に、PWM信号を生成するパルス幅変調器39の動作について、図4に基づいて以下に説明する。
上述したように、電流指令値ich_refと検出電流値ich_fbとの減算結果である誤差電流がパルス幅変調器39に入力され、パルス幅変調器39は、パルス発生器38が発生するサンプリング周期毎に、誤差電流の極性に基づいてPWM信号を生成して出力する。以下の説明では、リアクトル27を流れる電流ichの極性は、図1の矢印で示した方向を正としている。
図4に示すように、パルス発生器38が発生するサンプリング周期Ts毎に、リアクトル27に流す電流の指令値ich_refと、リアクトル27に流れている電流の検出値ich_fbはサンプリングされる。
時刻tnにおいて、指令値がich_ref(tn)、検出値がich_fb(tn)とすれば、誤差電流ich_err(tn)=ich_fb(tn)−ich_ref(tn)となる。この誤差電流の極性(正負)を基にチョッパ回路Cの正側IGBT23および負側IGBT24に対するPWM信号を次式のように生成する。
ich_err(tn)>0 :正側IGBT23オン、負側IGBT24オフ
ich_err(tn)≦0 :正側IGBT23オフ、負側IGBT24オン 式1
このPWM信号は、所定の制御遅れ時間Tc後に動作に反映される。なお、Tcは制御回路の動作速度により決定され、サンプリング周期ごとのタイミングからPWM信号によりIGBT23、24がオン・オフするまでの遅れ時間であり、Tc<Tsであることが望ましい。この場合、時刻tnでは、前回の出力も今回の出力も正側IGBT23オン、負側IGBT24オフであるため、時刻tn+TcにおいてPWM信号の変化は無い。正側IGBT23オン、負側IGBT24オフの時には、リアクトル27の電流は正側平滑コンデンサ12に流れ込むため、リアクトルをL、正側平滑コンデンサの電圧をVdc1とすると、リアクトル27に流れる電流は次式の傾きdidt1で減少する。
didt1=−Vdc1/L 式2
これは、このチョッパ回路Cで得られる最大の負の傾きであり、電流指令値ich_refと電流検出値ich_fbとの誤差電流ich_errは急速に減少する。
時刻tn+1において、図示の通りich_fb(tn+1)>ich_ref(tn+1)とすれば、再び誤差電流ich_err(tn+1)>0となり、継続して正側IGBT23オン、負側IGBT24オフのPWM信号が生成されて、所定の制御遅れ時間Tc後に動作に反映される。前回の出力も今回の出力も正側IGBT23オン、負側IGBT24オフであるため、時刻(tn+1)+TcにおいてPWM信号の変化は無く、このチョッパ回路Cで得られる最大の傾きで、指令値ich_refと検出値ich_fbとの誤差電流ich_errは減少する。
時刻tn+2において、図示の通りich_fb(tn+2)<ich_ref(tn+2)となるとすると、誤差電流ich_err(tn+1)<0となり、前回と反転した正側IGBT23オフ、負側IGBT24オンのPWM信号が生成されて、所定の制御遅れ時間Tc後に動作に反映される。このため、時刻(tn+2)+TcにおいてPWM信号が反転している。正側IGBT23オフ、負側IGBT24オンの時には、リアクトル27の電流は負側平滑コンデンサ13から流れ出すため、リアクトルをL、正側平滑コンデンサの電圧をVdc2とすると、リアクトル27に流れる電流は次式の傾きdidt2で増加する。
didt2=Vdc2/L 式3
これは、このチョッパ回路Cで得られる最大の正の傾きであり、電流指令値ich_refと電流検出値ich_fbとの差、即ち誤差電流ich_errの大きさは急速に減少する。以後、以上の動作を繰り返す。
以上の説明から明らかなように、パルス幅変調器39の動作により、電流指令値ich_refと電流検出値ich_fbとの誤差が大きい時には、チョッパ回路Cで得られる最大の傾きを継続して電流指令値ich_refと電流検出値ich_fbとの誤差が減少させられ、電流指令値ich_refと電流検出値ich_fbとの誤差が小さい時には、誤差電流の傾きを正負で案分して誤差電流の大きさを小さく維持し、即ち、電流検出値ich_fbが電流指令値ich_ref近傍に維持される。
ここで、PWM信号は、2つのIGBT23、24の内、誤差電流の正負を反転させる方向のIGBTをオンするように選択する。これにより、電流検出器36で検出された電流検出値ich_fbと電流指令値ich_refとに差があると、それを減少させる方向に回路がフィードバック動作する。
このように、一定のサンプリング間隔毎にチョッパ回路Cの電流指令値とチョッパ回路Cの電流検出値を比較してPWM信号を生成することにより、常にチョッパ回路Cの電流指令値とチョッパ回路Cの電流検出値が一致するようにIGBT23、24のオン・オフが決定される。このため、三角波比較法のように三角波の周波数によって電流制御応答に制限を受けることはなく、損失を抑制して高速なチョッパ制御系を構成する事ができる。
なお、上記実施の形態では、正負の平滑コンデンサ12、13の電圧差を直接検出して、チョッパ回路Cにより電圧アンバランスを解消する形態を示したが、例えば図2(c)で示した三相交流電動機22の相電流ivを検出して、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスの原因となる直流中性点電流を検出し、この電流を強制的にチョッパ回路Cのリアクトル27に流すようにしても良い。この場合、直流中性点電流に基づいて電流指令値を生成し、チョッパ回路Cの動作は上記実施の形態と同様であり、高速なチョッパ制御系を構成する事ができる。
実施の形態2.
上記各実施の形態における交流電動機の制御装置において、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスを解消するチョッパ回路Cの動作を停止させる手段を設けた場合を図5に基づいて以下に示す。
図に示すように、チョッパ回路CのIGBT23、24を駆動するIGBT駆動回路34には、チョッパ回路Cの動作を停止させるゲートオフ回路41の出力が接続されており、ゲートオフ回路41の入力には電圧判定器40の出力が接続されている。電圧判定器40には、正負平滑コンデンサ12、13の電圧差ΔVが入力され、電圧判定器40内部に設定された所定値v1と比較される。正負平滑コンデンサ12、13の電圧差ΔVが所定値v1以下の場合、電圧判定器40はチョッパ回路Cを停止する信号をゲートオフ回路41に出力し、ゲートオフ回路41によりIGBT駆動回路34が停止させられることで、チョッパ回路Cでは双方のIGBT23、24がオフ状態を保持して動作を停止する。
正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスは、整流回路Aやインバータ回路Bの相電流、出力周波数等により、その度合いは変化するものであり、設計的に許容できる範囲が存在する。
この実施の形態では、正負平滑コンデンサ12、13の電圧差ΔVが所定値以下の時にはチョッパ回路Cの動作を停止する手段を設けたため、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスが大きくなる時のみチョッパ回路Cを動作させる。そして、それ以外の時にはチョッパ回路Cの動作を停止させることで、チョッパ回路Cが発生する損失を低減する事ができる。
また、上記実施の形態1と同様に、一定のサンプリング間隔毎にチョッパ回路Cの電流指令値と電流検出値とを比較してPWM信号を生成することにより高速なチョッパ制御系を構成しているため、チョッパ回路Cを停止して電流指令値と電流検出値とに誤差を生じても、再びチョッパ回路Cを起動すれば短時間に誤差を無くすことが出来る。このため、上記のようなチョッパ回路Cの起動/停止動作を適用することが容易となる。
なお、上述したように、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスは、インバータ回路Cの出力周波数が低くなるほど大きくなる。このため、チョッパ回路Cの動作を停止する手段は、周波数判定器を備えて、インバータ回路Bの出力周波数を検出し予め設定された所定値以上の場合にチョッパ回路Cを停止する信号を出力させるようにしても良い。
上記実施の形態1、2では、この発明による電力変換装置として交流電動機の制御装置を示した。交流電動機の制御装置では、インバータ回路Bの周波数は0〜120Hz程度の範囲で可変周波数駆動されるため正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスに対する影響が大きい。このため、高速なチョッパ制御系を構成できるこの発明は、交流電動機の制御装置に対し特に有効なものであるが、正負平滑コンデンサ12、13の電圧アンバランスが生じるものであればこれに限るものではない。
この発明の実施の形態1による交流電動機の制御装置を示す回路図である。 この発明の実施の形態1による交流電動機の制御装置の動作説明図である。 この発明の実施の形態1による交流電動機の制御装置の電流制御器を示す回路図である。 この発明の実施の形態1による交流電動機の制御装置におけるPWM信号を生成するパルス幅変調器の動作を示す図である。 この発明の実施の形態2による交流電動機の制御装置を示す回路図である。
符号の説明
1 3相交流電源、2,3 リアクトル、
4〜7,8〜11 第1のハーフブリッジ型変換回路、12 正側平滑コンデンサ、
13 負側平滑コンデンサ、
14〜17,18〜21 第2のハーフブリッジ型変換回路、22 3相交流電動機、
23,24 IGBT(スイッチ素子)、25,26 ダイオード、27 リアクトル、
28,29 電圧検出器、30 減算器、34 IGBT駆動回路、35 電圧制御器、
36 電流検出器、37 減算器、38 パルス発生器、39 パルス幅変調器、
40 電圧判定器、41 ゲートオフ回路、A 第1の電力変換器としての整流回路、
B 第2の電力変換器としてのインバータ回路、
C 第3の電力変換器としてのチョッパ回路、Ts サンプリング周期、
Tc 制御遅れ時間。

Claims (6)

  1. 正相、中性相および負相を有する3線直流における正相と負相との間に接続した2直列スイッチ素子、該各スイッチ素子にそれぞれ逆並列接続されたダイオードからなる第1のハーフブリッジ型変換回路、該3線直流の正相と中性相との間に接続された正側平滑コンデンサ、および該正側平滑コンデンサに直列接続されて上記3線直流の中性相と負相との間に接続された負側平滑コンデンサを有し、交流電源からの交流を上記3線直流に変換する第1の電力変換器と、
    上記3線直流の正相および負相との間に接続した2直列スイッチ素子、該各スイッチ素子にそれぞれ逆並列接続されたダイオードからなる2個の第2のハーフブリッジ型変換回路を有して、該2個の第2のハーフブリッジ型変換回路の2直列スイッチ素子の接続点をそれぞれ第1相、第2相の出力、上記3線直流の中性相を第3相の出力として、上記3線直流を3相交流に変換する第2の電力変換器と、
    上記3線直流の正相と負相との間に接続した2直列スイッチ素子、該各スイッチ素子にそれぞれ逆並列接続されたダイオード、および上記2直列スイッチ素子の接続点と上記正側、負側平滑コンデンサの接続点との間に接続されたリアクトルを有した第3の電力変換器と、
    上記第3の電力変換器の上記リアクトルに流れる電流を検出する電流検出手段を有して、該検出電流が電流指令に追従するようにPWM信号を生成して上記2直列スイッチ素子を制御する電流制御器とを備え、
    上記電流制御器は、所定のサンプリング周期毎に、上記電流検出手段による上記検出電流と上記電流指令との差である誤差電流を導出し、所定の制御遅れ時間後における上記第3の電力変換器の2直列スイッチ素子のPWM信号を、上記誤差電流が正極性ならば正側スイッチ素子オンかつ負側スイッチ素子オフ、上記誤差電流が負極性ならば負側スイッチ素子オンかつ正側スイッチ素子オフとすることを特徴とする電力変換装置。
  2. 上記所定のサンプリング周期毎のタイミングから上記PWM信号による上記2直列スイッチ素子の動作までの制御遅れ時間は、上記サンプリング周期よりも短いことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 上記正側平滑コンデンサと上記負側平滑コンデンサとの電圧差を検出し、該検出された電圧差を小さくするように上記電流指令を演算することを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
  4. 上記第3の電力変換器の2直列スイッチ素子の双方をオフするゲートオフ手段を備え、上記正側平滑コンデンサと上記負側平滑コンデンサとの電圧差を検出し、該検出された電圧差が所定値以下の時、上記ゲートオフ手段により上記2直列スイッチ素子の双方をオフすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. 上記第3の電力変換器の2直列スイッチ素子の双方をオフするゲートオフ手段を備え、上記第2の電力変換器の出力周波数が所定値以上の時、上記ゲートオフ手段により上記2直列スイッチ素子の双方をオフすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
  6. 上記第2の電力変換器の3相交流出力を3相交流電動機に接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力変換装置。
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