JP5480054B2 - 電力変換器制御装置とその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数個の電力スイッチング素子を用いて構成される電力変換器制御装置に関する。
交流電動機(電動機)を用いる場合、負荷の用途、状況によって、交流電源としては任意の出力振幅電圧と周波数で駆動できることが望ましいことがある。このとき、電力会社から供給される一般的な3相交流電源は周波数と出力電圧が一定であるため、前記の用途にはそのままでは使用できない。
任意の出力振幅電圧と周波数を持つ3相交流電力を得るために、前記した通常の3相交流電力を一度、直流電力に変換し、この直流電力を電源として、任意の振幅、周波数を持つ3相交流に再度、変換する方法がある。
このような方式の電力変換器制御装置として、通常の3相交流電力を直流電力に変換するためにパルス幅変調方式のコンバータを用い、これによって得られる直流電力を任意の出力振幅電圧と周波数を持つ3相交流電圧指令(以下、交流電圧指令)と等価な交流電力(電圧)に変換するために、パルス幅変調方式のインバータを用いるものがある。
このようなインバータとコンバータを用いた従来の電力変換器制御装置においては、電動機が停止中であっても、直流電圧指令は同一値の直流電圧の指令を出力しており、コンバータは高圧の直流電圧をインバータに加え続け、インバータは電動機に運転中と同じ電流値の励磁電流を流し続ける手法をとっている。
また、特許文献1は電動機が停止中においても運転時と同じ電流値の励磁電流を電動機に流す技術を開示している。
特開平1−110081号公報
しかしながら、特許文献1を含む従来技術には以下の問題点がある。
まず、前記したようにインバータは電動機の回転速度が0になっても励磁電流を流し続けるため、インバータおよび電動機において不必要な電力が消費される。
また、電動機が回転中、停止中に関わらず、コンバータは高圧の直流電圧を加え続け、インバータの直流電圧は常に高圧である。
したがって、これまでのインバータ、コンバータ設備では、電動機が停止中であってもコンバータは高圧の直流電圧を加え続け、インバータは電動機に電流を流しつづけるため、インバータやコンバータで不必要な電力が消費されてしまう。そのため、電動機の停止時間が長い電力変換器制御装置では、その分の不必要な消費電力が大きくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、電動機停止中における消費電力量が少なく、省エネルギー効果がある電力変換器制御装置を提供することである。
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、本発明の電力変換器制御装置は、交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流機能と、直流電力を交流電力に変換する回生機能とを有するコンバータと、前記直流電力を任意の振幅、周波数の交流電圧指令と等価な電圧に変換する交流電力生成機能と、交流電力を直流電力に変換する回生機能を有するインバータと、を備えた電力変換装置において、さらに、前記コンバータを制御するコンバータ用のパルス幅変調制御回路と、前記インバータを制御するインバータ用のパルス幅変調制御回路と、前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に前記コンバータの出力する直流電圧を指令する直流電圧指令回路と、前記インバータ用のパルス幅変調制御回路に前記インバータの出力する励磁電流を指令する励磁電流指令回路と、前記インバータから電動機に供給された電流から、トルク電流と励磁電流という直交する2つのベクトル成分に分解して抽出する3相/2相変換器と、前記電動機の回転停止を検出する回転停止検出器と、を備え、前記電動機の回転が停止していた場合には前記回転停止検出器によって前記直流電圧指令回路の直流電圧指令値と前記励磁電流指令回路の励磁電流指令値とを変え、前記コンバータの出力する直流電圧と、前記インバータの出力する励磁電流と、を低下させることを特徴とする
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
かかる構成により、
本発明では、電動機の回転が停止している時に、コンバータから出力される直流電圧とインバータから出力される励磁電流を小さくなるよう制御することで、通常運転に支障なく電動機が停止中に消費するエネルギーを減少させることができる。
本発明によれば、電動機停止中における消費電力量が少なく、省エネルギー効果がある電力変換器制御装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態であって、2レベル方式のインバータに適用した回路図である。 本発明の第1の実施形態における回転停止検出器の詳細な論理を示した図である。 本発明の第1の実施形態における直流電圧指令と励磁電流指令の運転停止を含む期間のタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態における直流電圧指令と励磁電流指令の低速運転を含む期間のタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態における直流電圧指令と励磁電流指令の反転運転を含む期間のタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態におけるインバータとインバータ用パルス幅変調制御回路の構成を示す回路図である。 本発明の第1の実施形態における2レベル方式パルス幅変調の動作を示すタイムチャートである。 本発明の第2の実施形態であって、3レベル方式のインバータに適用した回路図である。 本発明の第2の実施形態におけるインバータとインバータ用パルス幅変調制御回路の構成を示す回路図である。 本発明の第2の実施形態における3レベル方式パルス幅変調の動作を示すタイムチャートである。 従来の技術を2レベル方式のインバータに適用した回路図である。 従来の技術を3レベル方式のインバータに適用した回路図である。 従来の技術における直流電圧指令と励磁電流指令の運転停止を含む期間のタイムチャートである。 電力スイッチング素子の動作と損失区間を説明するタイムチャートである。
本発明の実施形態を次に説明する。実施形態の全体的な構成や、実施形態を構成する個々の要素や動作について、順に述べる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の電力変換器制御装置の第1の実施形態の構成を示す回路図である。なお、2レベル方式のインバータを用いた構成の回路となっている。
図1の回路、機能を説明するにあたって、2レベル方式のインバータを用いた後記する従来の電力変換器制御装置の回路構成を示す図11と、共通する回路構成を説明し、その後、第1の実施形態である図1の独自の回路構成について説明する。
<共通する回路構成>
共通する回路構成における交流電源、コンバータ、インバータ、平滑コンデンサの構成と機能について説明する。
<交流電源、コンバータ、平滑コンデンサ、インバータ>
図1において、交流電源1は3相交流電力を供給し、コンバータ5に入力する。コンバータ5は3相交流電力を直流電力に変換して平滑コンデンサ10に直流電力を供給する整流機能と、回生時には平滑コンデンサ10の直流電力を交流電力に変換して交流電源1に戻す回生機能とを有している。なお、コンバータ5の内部の具体的な回路構成と動作については後記する。
コンバータ5の直流側(平滑コンデンサ10側)は、それぞれ正側直流母線P、負側直流母線Nに接続されている。コンバータ5は、平滑コンデンサ10と平滑コンデンサ11のそれぞれの端子間に接続されている。平滑コンデンサ10、11はコンバータ5から出力された電圧波形を平滑にするとともに電荷を保持する。平滑コンデンサ10、11のそれぞれの端子間の直流電圧はともに電圧値Eとなっている。ただし、電圧値Eを中心としてリップルはある程度含まれる。平滑コンデンサ10、11はインバータ6の直流電源となる。
インバータ6は平滑コンデンサ10、11の間に保持された直流電力を交流電力に変換する変換器能(インバータ機能)を有している。インバータ6の交流電力の出力は、交流電動機7に接続され、交流電力を供給して交流電動機7を駆動制御する。また、インバータ6は交流電動機7の回生時には交流電動機7の交流の回生電力を直流電力に変換して平滑コンデンサ10、11に供給する回生機能も有している。
なお、インバータ6の内部の具体的な回路構成と動作については後記する。
また、以上に述べたコンバータ5とインバータ6のそれぞれの機能と、「コンバータ」、「インバータ」の基本的な意味による呼称の仕方とは必ずしも相応しくない点もあるが、この分野における慣例にしたがって、前記のように表記する。
また、コンバータ5とインバータ6は離れた位置に設置されることもあり、このとき平滑コンデンサ10はコンバータ5の出力する直流電圧のリップルを除去(平滑)することと、回生時における直流電圧の保持を主たる役目とする。また、平滑コンデンサ11はインバータ6に供給する直流電圧を保持することと、回生時におけるインバータ6の出力する直流電圧のリップルを除去(平滑)することを主たる役目とする。
<コンバータ(2レベル)の制御関連>
図1において、コンバータ5の制御関連の回路を説明する。
加算器2aは、コンバータ5の出力電圧を指令する回転時の直流電圧指令設定器(図1においては「直流電圧指令」と表記)1aの出力である直流電圧指令と、平滑コンデンサ10における直流電圧を検出する電圧検出器8aの出力との偏差を求め、結果を出力する。(なお、図1においては、直流電圧指令設定器1aと加算器2aの間に切換えスイッチ31と回転停止時直流電圧指令30があるが、これらは本実施形態における追加要素であるので後記する。)
このとき、回転時の直流電圧指令設定器1aは、交流電動機7が所望の回転動作を生み出すときに対応した平滑コンデンサ10の直流電圧値である直流電圧Erに設定されている。
電圧制御演算器(AVR_C)3aは、加算器2aの出力に基づき、電流制御演算器(ACR_C)5aに対する電流指令信号を加算器4aに出力する。
加算器4aは、電圧制御演算器(AVR_C)3aの出力と、交流電源1が供給する交流電流を検出する電流検出器7aとの出力の偏差を求め、その結果を出力する。
電流制御演算器(ACR_C)5aは、加算器4aの出力に基づき、パルス幅変調回路(PWM_C)6aへ指令信号を出力する。なお、この指令信号は電動機7を駆動運転する場合にはコンバータ5の出力する直流電圧を指定する指令信号であるが、信号波形自体は図7の交流電圧指令Vu*のように交流波形である。
パルス幅変調回路(PWM_C)6aは、電流制御演算器(ACR_C)5aからの指令信号に基づき、コンバータ5をパルス幅変調方式によって制御する。
以上により、直流電圧指令設定器1aに設定されたコンバータ5の所定の直流電圧に実際の直流電圧が一致するように制御する。
なお、コンバータ5におけるパルス幅変調方式による制御については後記する。
<インバータ(2レベル)の制御関連>
次にインバータ6の制御関連の回路を説明する。
加算器2bは、交流電動機7の速度を指令する速度指令設定器(図1においては速度指令と表記)1bの出力と、交流電動機7の速度を検出する速度検出器8により検出される速度FBとの偏差を求める。
速度制御演算器(ASR_I)3bは、加算器2bの出力に基づき、電流制御演算器(ACR_I)5bに対するトルク電流指令の信号を出力する。
3相/2相変換器25は、交流電動機7の交流電流を検出する電流検出器7bの出力電流を3相から2相に変換して得られるトルク電流FBと励磁電流FBを出力する。
加算器4bは、速度制御演算器(ASR_I)3bの出力と、前記した3相/2相変換器25より出力されるトルク電流FBとの偏差を求める。
加算器4cは、回転時の励磁電流指令設定器(図1においては「励磁電流指令」と表記)20の出力と、前記した3相/2相変換器25より出力される励磁電流FBとの偏差を求める。
電流制御演算器(ACR_I)5bは、加算器4bと加算器4cの出力に基づき、パルス幅変調回路(PWM_I)6bへ交流電圧指令信号を出力する。
パルス幅変調回路(PWM_I)6bは、電流制御演算器(ACR_I)5bからの交流電圧指令の信号に基づき、インバータ6をパルス幅変調方式によって制御する。(なお、図1においては、励磁電流指令設定器20と加算器4cの間に切換えスイッチ34と回転停止時の励磁電流指令設定器(図1では「回転停止時励磁電流指令」と表記)33、および回転停止検出器32があるが、これらは本実施形態における追加要素であるので、後記する。)
図6において、インバータ6の内部の具体的な回路構成と、パルス幅変調回路6bについて述べる。まずインバータ6の回路構成について説明する。
<インバータ(2レベル)の回路構成>
インバータの回路構成を、図6を参照して説明する。図6において、破線6に囲まれた内部に示した構成がインバータ6の回路構成である。
電力スイッチング素子QPu、QNu、QPv、QNv、QPw、QNwはIGBT(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。電力スイッチング素子QPu、QPv、QPwのコレクタは正側直流母線Pに接続されている。電力スイッチング素子QNu、QNv、QNwのエミッタは負側直流母線Nに接続されている。
電力スイッチング素子QPuのエミッタと電力スイッチング素子QNuのコレクタは互いに接続されてインバータ出力(U相)61となり、電力スイッチング素子QPvのエミッタと電力スイッチング素子QNvのコレクタは互いに接続されてインバータ出力(V相)62となり、電力スイッチング素子QPwのエミッタと電力スイッチング素子QNwのコレクタは互いに接続されてインバータ出力(W相)63となり、これらのU相、V相、W相の組み合わせによって、3相の交流電力出力となっている。
また、電力スイッチング素子QPu、QNu、QPv、QNv、QPw、QNwのそれぞれのエミッタ−コレクタ間にはそれぞれDFPu、DFNu、DFPv、DFNv、DFPw、DFNwのダイオードが接続されている。これらのダイオードは回生動作時の電流経路を確保するためのフライホイルダイオードである。
これらの電力スイッチング素子QPu、QNu、QPv、QNv、QPw、QNwのそれぞれのゲートにはパルス幅変調回路6bの制御信号が入力してインバータ6としての動作が行われる。
次に、これらの制御を行うパルス幅変調回路6bについて説明する。
<インバータ(2レベル)のパルス幅変調回路>
パルス幅変調回路6bを、図6を参照して説明する。図6は、図1のインバータ6のパルス幅変調回路6bとその周辺回路を抜き出して示したものである。U相、V相、W相とも同一の構成であるため、以下、U相についてのみ説明する。
電流制御演算器(ACR_I)5b(図1)の交流電圧指令は3相交流の信号で構成されている。図6において、U相の交流電圧指令である交流電圧指令Vu*は、比較器Cmp1の非反転入力端子に入力される。
搬送波発生器G1は、上ピーク+1、下ピーク−1をとる三角波を発生する。この三角波は、Er/2を乗算する乗算回路M1を経て、Er/2の振幅を有する三角波の搬送波Cr1となり比較器Cmp1の反転入力端子に入力される。
比較器Cmp1は、交流電圧指令Vu*と搬送波Cr1の時間的に変化するそれぞれの振幅の大小関係を比較し、比較結果に応じて「1」、「0」の2値信号を出力するように構成されている。
なお、前記したように交流電圧指令Vu*は正弦波形であり、搬送波Cr1は三角波であるので、図7にみられるように、交流電圧指令Vu*が正電圧であって、搬送波Cr1の電圧より高い領域では比較器Cmp1の出力は「1」を出力するとともに、この期間が長いほど、つまり交流電圧指令Vu*の正の電圧が搬送波Cr1の電圧に比較して、より高いほど「1」の時間帯である幅が長くなる。これは三角波が正の区間において、電圧が低い領域の区間が長く、電圧が高い領域の区間では幅が狭いという三角波の波形の性質からよるものである。
また、交流電圧指令Vu*が負電圧であって、搬送波Cr1の電圧より低い領域では比較器Cmp1の出力は「0」を出力するとともに、この期間が長いほど、つまり交流電圧指令Vu*の負の電圧が搬送波Cr1の電圧に比較して、より低いほど「0」の時間帯である幅が長くなる。これは三角波が負の区間において、電圧の絶対値が低い領域の区間が長く、電圧の絶対値が高い領域の区間では幅が狭いという三角波の波形の性質からよるものである。
以上から、交流電圧指令Vu*を図7でみられるような三角波の搬送波Cr1と比較することによって、交流電圧指令Vu*の時間変化する振幅は「1」と「0」のデジタル信号に、かつ、それぞれ時間の幅を持った信号に変換される。つまりパルス幅変調される。
図6において、比較器Cmp1の出力信号は、ゲートアンプGA1uと、NOT回路Not1を経てゲートアンプGA2uにそれぞれ入力される。ゲートアンプGA1u、GA2uは、下記条件に基づき、電力スイッチング素子QPu、QNuを駆動するスイッチングパルス信号を出力する。
[1]ゲートアンプ入力信号=「1」 ならば オンパルス(ONパルス)
[2]ゲートアンプ入力信号=「0」 ならば オフパルス(OFFパルス)
なお、ゲートアンプGA1uとゲートアンプGA2uを用いるのは、それぞれ電力スイッチング素子QPuと電力スイッチング素子QNuを駆動するのに充分な駆動能力を確保するためである。
また、NOT回路Not1を用いるのは電力スイッチング素子QPuと電力スイッチング素子QNuのオン・オフ(ON/OFF)は互いに逆の関係にあるからである。
また、電力スイッチング素子QPvと電力スイッチング素子QNvを駆動制御する交流電圧指令Vv*を受けた別のパルス幅変調回路6bがあり、また、電力スイッチング素子QPwと電力スイッチング素子QNwを駆動制御する交流電圧指令Vw*を受けた別のパルス幅変調回路6bがある。これらについては前述したことと、ほぼ同様であるので説明は省略する。
<インバータ(2レベル)の出力波形>
図6に示したインバータ6がパルス幅変調回路6bによって制御され、生成されるインバータ6の出力波形を図7に示す。また、その過程における搬送波Cr1、交流電圧指令Vu*、ゲートアンプ出力信号G1u、G2u(電力スイッチング素子QPu、QNuスイッチングパルス)とインバータ出力電圧との関係を図7に示す。ただし、図7はU相のみについて示している。
交流電圧指令Vu*は三角波の搬送波Cr1と比較される。前記したように搬送波Cr1の三角波の性質により、交流電圧指令Vu*の振幅波形は幅を有した「1」と「0」のデジタル信号にパルス幅変調される。
このパルス幅変調された信号がゲートアンプ出力信号G1u、G2uを通過した後の出力信号が図7のG1u、G2uで示した波形である。
ゲートアンプ出力信号G1u、G2uによって駆動制御されたインバータ6の電力スイッチング素子QPu、QNuによるU相のインバータ出力電圧が図7のインバータ出力電圧(U相)の波形である。
なお、三角波の搬送波Cr1の振幅はEr/2(+Er/2〜−Er/2)であるので、振幅がEr/2未満の交流電圧指令Vu*をパルス幅変調できる。
また、ゲートアンプ出力信号G1u、G2uの出力電圧の電圧値を表記していないのはインバータ6の電力スイッチング素子QPu、QNuを駆動制御できる出力電圧が必要かつ充分であって、状況により電圧値が変わるからである。
また、インバータ出力電圧(U相)の出力波形はインバータ6の電源となる平滑コンデンサ11の端子間でもある正側直流母線Pと負側直流母線Nの+E/2と−E/2の間の電位で出力される。
<コンバータ(2レベル)の回路構成>
コンバータ5(図1)の回路構成は図6で示したインバータ6と同じ回路構成である。異なるのは入力と出力の関係であって、交流電源1(図1)からの3相交流電力が、図6のインバータ出力U相、V相、W相に入力し、出力として正側直流母線P、負側直流母線Nから直流電力が出力することである。
この構成によって、電力スイッチング素子QPu、QNu、QPv、QNv、QPw、QNwをパルス幅変調回路(PWM_C)6aで制御することにより、交流電源1(図1)からの3相交流電力を平滑コンデンサ10の両端である正側直流母線P、負側直流母線Nに直流電力を供給する整流動作をする。
<コンバータ(2レベル)のパルス幅変調回路の回路構成>
コンバータ5(図1)のパルス幅変調回路(PWM_C)6aはインバータ6のパルス幅変調回路(PWM_I)6bと内部の回路構成は同一であり、図6の破線6の内部に示した回路構成である。ただし、図6における交流電圧指令Vu*が電流制御演算器(ACR_I)5bから電流制御演算器(ACR_C)5aに変わる。インバータ6とコンバータ5(図1)とにおいて、それぞれの電流制御演算器(ACR_I)5bと電流制御演算器(ACR_C)5aとの信号において正負の差はあって、それが機能、動作の相違となって現れる。それ以外は同一であるので説明は省略する。
<回生動作(2レベル)>
交流電動機7が回生運転をする際の回路動作について、図1を用いて説明する。交流電動機7が回生運転をすると交流の回生電力が発生する。この交流の回生電力は電流検出器7bによって検出され、3相/2相変換器と電流制御演算器(ACR_I)5bを通って、トルク電流FBが変化し、加算器4bにおける偏差が変化することによって、電流制御演算器(ACR_I)5bで判定され、さらにパルス幅変調回路(PWM_I)6bに伝わることによって、インバータ6に作用を及ぼす。この結果、インバータ6が回生機能を発揮して直流電力を平滑コンデンサ11の両端に発生する。
なお、このときのインバータ6の構成は前記した図6の通りであって、IGBTであるQPu、QPv、QPw、およびQNu、QNv、QNwのゲート端子をパルス幅変調回路6bで前記した同様の方法で制御するとインバータ出力電圧U相、V相、W相から入力した3相交流電力は平滑コンデンサ11の正側直流母線P、負側直流母線Nの間に直流電力を発生する。
このため、平滑コンデンサ11の電圧が上昇し、両端子間でErを越える。すると、平滑コンデンサ10の電圧も同様に上昇し、回転時の直流電圧指令設定器1aの出力と、平滑コンデンサ10の電圧を検出する電圧検出器8aの出力の偏差がマイナス値となる。そのため、電圧制御演算器(AVR_C)3aの出力もマイナス値となり、電流制御演算器(ACR_C)5aに対する電流指令信号はマイナス値となる。よって、コンバータ5は、交流電源1へ電流を流すように制御され、交流電動機7の回生電力は、インバータ6−平滑コンデンサ11−平滑コンデンサ10−コンバータ5を経由して交流電源1へ回生される。
<実施形態独自の回路構成>
図1における図11にはない本実施形態の独自の回路構成について、以下に述べる。
図1にはあって図11にはない回路構成は、回転停止検出器32と回転停止時直流電圧指令設定器(回転停止時直流電圧指令)30と、回転停止検出器32で電動機7の停止を検出した時に、通常の直流電圧指令設定器(直流電圧指令)1aから回転停止時直流電圧指令設定器(回転停止時直流電圧指令)30へ変更する切替スイッチ31を追加した点と、回転停止時励磁電流指令設定器(回転停止時励磁電流指令)33、励磁電流指令切替スイッチ34を追加した点である。
なお、回転停止時直流電圧指令設定器30と、回転停止時励磁電流指令設定器33については図1では、それぞれ、回転停止時直流電圧指令30、回転停止時励磁電流指令33と表記している。
<回転停止検出器>
回転停止検出器32(図1)は、速度指令A条件生成手段(図1では「A」と表記)35と停止判定B条件生成手段(図1では「B」と表記)36と、によって制御される。
速度指令A条件生成手段36と停止判定B条件生成手段35の具体的な論理条件(ロジック)は図2に示している。図2において、図2(a)は回転停止検出器32の回路構成を示し、図2(b)は速度指令A条件生成手段36の具体的な論理条件(ロジック)を示し、図2(c)は停止判定B条件生成手段35の具体的な論理条件(ロジック)を示している。
図2(b)において速度指令A条件36では速度指令値1bが「0」の時、「1」を出力し、「0」ではない場合には「0」を出力することを示している。(基準の0と速度指令値1bとを比較し、一致したとき「1」、不一致のとき「0」を出力する。)
また、図2(c)において停止判定B条件35では速度FB8の絶対値が停止判定速度「SP_0」未満だった時「1」を出力する。
図2(a)の回転停止検出器32はAND回路37で構成されているので、2つの入力が共に「1」だったとき、「1」を出力する。つまり、速度指令A条件36では速度指令値1bが「0」の時、かつ速度FB8の絶対値が停止判定速度「SP_0」未満だった時に「1」を出力する。そしてAND回路37の出力がある時間以上「1」だった時、遅延手段(TD)38から励磁電流指令切替スイッチ34に信号を出力し、励磁電流指令値を、励磁電流指令設定器20からの励磁電流指令から、回転停止時励磁電流指令設定器33からの回転停止時励磁電流指令に切り替える。
回転停止検出器32において、電動機の停止検出に速度FB8と速度指令1bの両方を用いた理由、および速度FB8の停止検出速度を「SP_0」にした理由などを、本発明適用後の速度指令1b、速度FB8、直流電圧指令、励磁電流指令のタイムチャートを示した図3から図5を用いて各使用例を挙げながら説明する。
<停止と再加速の場合の停止検出、速度指令>
図3は電動機7(図1)を減速停止後に再加速した場合のタイムチャートである。速度指令1bが0になった後も、実際の電動機7の回転速度は即座に0にすることはできない。そのため、停止検出には速度FB8を見る必要がある。また停止中の速度FB8は、外乱等の影響により振動し、0を示さない可能性があるため、停止中の速度と判定するための閾値SP_0を用いる。停止検出は、速度指令1bが「0」、速度FB8がSP_0以下になるのを検出し一定時間TD経った後としている。
また運転再開時には、即座に直流電圧と励磁電流を上昇させ運転を開始させる必要があるため、速度指令1bの変更と共に停止検出を解除し、回転停止時直流電圧指令30と回転停止時励磁電流指令33を、通常時の直流電圧指令1aと励磁電流指令20に値を切り替える。
<低速運転の場合の停止検出、速度指令>
図4は電動機7が低速運転している時のタイムチャートである。電動機を低速で運転したい時も、速度指令が0ではないため、速度FB8がSP_0以下の範囲内であっても停止検出せずに運転を継続することができる。
<逆転の場合の停止検出、速度指令>
図5は電動機7の回転を正転から逆転させた時のタイムチャートである。速度FB8が図のようにSP_0の区間をまたいでいるが、速度指令1bが「0」ではないため、停止検出はされない。
<電力変換制御回路、直流電圧指令回路、励磁電流指令回路>
なお、以上の第1の実施形態において、3相/2相変換器25によって、交流電動機7に供給された電流から、トルク電流と励磁電流という直交するベクトル成分を変換し、この情報を活用しながら、回転停止検出器32、回転停止時直流電圧指令設定器30、電圧制御演算器3a、電流制御演算器5a、パルス幅変調回路6aを用いて、交流電動機7の回転停止時におけるコンバータ5の出力する直流電圧を低下する制御をする。また、前記した3相/2相変換器25と回転停止検出器32を用い、さらに回転停止時励磁電流指令設定器33、速度制御演算器3b、電流制御演算器5b、パルス幅変調回路6bを用いて、交流電動機7の回転停止時におけるインバータ6の出力する励磁電流を低下する制御をする。
したがって、前記した、回転停止検出器32、回転停止時直流電圧指令設定器30、電圧制御演算器3a、電流制御演算器5a、パルス幅変調回路6a、回転停止時励磁電流指令設定器33、速度制御演算器3b、電流制御演算器5b、パルス幅変調回路6bを備えた回路構成をひとつの電力変換制御回路とすれば、該電力変換制御回路は3相/2相変換器25のベクトル成分を参照しながら、交流電動機7の回転が停止していた場合には、コンバータ5の出力する直流電圧と、インバータ6の出力する励磁電流を低下させて、低消費電力とする機能を有する。
また、前記電力変換制御回路は様々な回路から構成されている。したがって、個々の回路の具体的な構成の方法は各種ある。また、構成する各回路の機能の組み合わせ方も様々にある。
また、前記した回転停止時直流電圧指令設定器30と直流電圧指令設定器1aとを併せて直流電圧指令を出力する直流電圧指令回路とみなすことができる。さらには前記した回転停止時直流電圧指令設定器30と直流電圧指令設定器1aと電圧制御演算器3aと電流制御演算器5aと、を併せてパルス幅変調回路6aに直流電圧指令を出力する直流電圧指令回路とみなすこともできる。
なお、直流電圧指令回路は直流電圧指令を出力するが、パルス幅変調回路6aに入力する信号波形は図7の交流電圧指令Vu*に示すように交流波形である。
また、前記した回転停止時励磁電流指令設定器33と励磁電流指令設定器20とを併せて励磁電流指令を出力する励磁電流指令回路とみなすことができる。さらには前記した回転停止時励磁電流指令設定器33と励磁電流指令設定器20と電流制御演算器5bと、を併せてパルス幅変調回路6bに励磁電流指令を出力する励磁電流指令回路とみなすこともできる。
<比較回路例と比較特性例>
図11と図12は従来の電力変換器制御装置の構成を示す回路図である。図11は2レベル方式のインバータを用いた回路構成であり、図12は後記する本発明の第2の実施形態で用いる3レベル方式のインバータを用いた回路構成である。図11の回路構成と回路要素の各機能は本発明の第1の実施形態の回路構成の<共通する回路構成>で既に述べた通りである。また、図12は図11の回路を3レベル方式のインバータを用いた回路構成に転換したものである。
従来の電力変換器制御装置である図11や図12の回路図では電動機が停止中であっても、直流電圧指令1a(図11、図12)は同一値の直流電圧の指令を出力しており、コンバータ(5(図11、13(図12)))は高圧の直流電圧をインバータ(6(図11)、14(図12))に加え続け、インバータは電動機に運転中と同じ電流値の励磁電流を流し続ける手法をとっている。
図11、図12に示した回路の制御方法における電動機の運転状況と、インバータ6に加える直流電圧と、電動機7に流す励磁電流とを図13に示している。
図13において、速度FB8に示したように、電動機回転速度は減速後に0になる。しかし、その間も直流電圧指令1aと励磁電流指令20は、電動機回転時と同様の値のままである。
したがって、電動機の停止区間においてもコンバータ5、13で直流電力を生成し、インバータ6の電源となる直流電圧は電動機の回転時と同じ直流電圧であることを示している。また、電動機の停止区間においても、電動機の回転時と同じ電流値の励磁電流を電動機7に流していることを示している。
なお、これらの従来の方法において、電動機の回転時と同じ電流値の励磁電流を流すのは電動機の停止時には回転動作の原動力であるトルク電流は不要となるので0とすることができるが、回転磁界を生成する励磁電流は電動機の停止時においても必要であることに起因する。
以上から、電動機の停止時においてもインバータ6、14は動作するとともに、電動機に電流を供給する。
図11、図12に示した回路におけるインバータ6、14における電力スイッチング素子(IGBT)に加わるエミッタ−コレクタ間電圧VCEとコレクタ電流Iの関係を図14に示す。
一般的にインバータ6、14の直流電源の直流電圧が大きいほどVCEは大きく、交流電動機への印加電流(トルク電流、励磁電流)が大きいほどIは大きくなる。図14のVCEとIが共に0でない区間では、VCEとIの積がスイッチング損失として、また電力スイッチング素子がONでコレクタ電流Iが流れる区間では、導通時の素子抵抗とIの積が導通損失として電力が消費される。この時の素子損失とは、次の式(式1)で表される。
素子損失=導通損失+スイッチング損失 ・・・ (式1)
(第2の実施形態)
図8は、本発明の電力変換器制御装置の第2の実施形態の構成を示す回路図である。なお、直流電力の母線がP、N、Cの3線からなる3レベル方式のインバータを用いた構成の回路となっている。
また、図1との相違点は、前記した直流母線が正側直流母線P、負側直流母線N、中性線(中性点)Cとなった点と3レベル方式のインバータ14となった点以外に、3レベル方式のコンバータ13である点、平滑コンデンサがP−C間に接続される平滑コンデンサ10a、11a、C−N間に接続される平滑コンデンサ10b、11bである点、パルス幅変調回路が3レベル方式パルス幅変調回路6c、6dである点である。このとき、平滑コンデンサ11aは正側直流母線Pと中性線(中性点)Cの間に接続され、電圧値Epに充電されており、平滑コンデンサ11bは負側直流母線Nと中性線(中性点)Cの間に接続され、電圧値Enに充電されている。
それ以外については、図8は図1と回路構成、動作、制御関係は図1の説明と同様であり、適宜、説明を省略する。以下では、図8と図1で異なる、3レベルのインバータの構成と、それによるパルス幅変調回路について説明する。
<3レベルのインバータの回路構成>
3レベルのインバータ14の回路構成を、図9を参照して説明する。3レベルのインバータ14の回路を構成する際には、前記したように正側直流母線Pと負側直流母線Nの他に中性線Cが用いられる。この中性線Cは電位的には正側直流母線Pと負側直流母線Nのそれぞれのほぼ中間にあたる電位であって中性点の役割を果たす。そして平滑コンデンサ11aが正側直流母線Pと中性線Cとの間に備えられる。また、平滑コンデンサ11bが中性線Cと負側直流母線Nとの間に備えられる。なお、正側直流母線Pと中性線Cとの間の平滑コンデンサ11aの両端の直流電圧をEpと表記する。中性線Cと負側直流母線Nとの間の平滑コンデンサ11bの両端の直流電圧をEnと表記する。
図9において、破線14に囲まれた内部に示した構成がインバータ14の回路構成である。
電力スイッチング素子QPu、QPCu、QNu、QNCu、QPv、QPCv、QNv、QNCv、QPw、QPCw、QNw、QNCwはIGBTで構成されている。
電力スイッチング素子QPu、QPv、QPwのコレクタは、正側直流母線Pに接続されている。電力スイッチング素子QPCu、QPCv、QPCwのコレクタは、それぞれ電力スイッチング素子QPu、QPv、QPwのエミッタに接続されている。電力スイッチング素子QNu、QNv、QNwのエミッタは、負側直流母線Nに接続されている。電力スイッチング素子QNCu、QNCv、QNCwのエミッタは、それぞれ電力スイッチング素子QNu、QNv、QNwのコレクタに接続されている。
電力スイッチング素子QPCuのエミッタと電力スイッチング素子QNCuのコレクタは、互いに接続されてインバータ出力(U相)141となり、電力スイッチング素子QPCvのエミッタと電力スイッチング素子QNCvのコレクタは互いに接続されてインバータ出力(V相)142となり、電力スイッチング素子QPCwのエミッタと電力スイッチング素子QNCwのコレクタは互いに接続されてインバータ出力(W相)143となり、3相の交流電力出力となっている。
ダイオードDCPuのアノードは中性線Cに接続され、カソードは電力スイッチング素子QPuと電力スイッチング素子QPCuの接続点144に接続されている。
ダイオードDCPvのアノードは中性線Cに接続され、カソードは電力スイッチング素子QPvと電力スイッチング素子QPCvの接続点145に接続されている。
ダイオードDCPwのアノードは中性線Cに接続され、カソードは電力スイッチング素子QPwと電力スイッチング素子QPCwの接続点146に接続されている。
ダイオードDCNuのカソードは中性線Cに接続され、アノードは電力スイッチング素子QNuと電力スイッチング素子QNCuの接続点147に接続されている。
ダイオードDCNvのカソードは中性線Cに接続され、アノードは電力スイッチング素子QNvと電力スイッチング素子QNCvの接続点148に接続されている。
ダイオードDCNwのカソードは中性線Cに接続され、アノードは電力スイッチング素子QNwと電力スイッチング素子QNCwの接続点149に接続されている。
なお、ダイオードDCPu、DCNu、DCPv、DCNv、DCPw、DCNwはインバータ出力電圧が0のときの電流経路を確保するためのクランプダイオードである。
また、電力スイッチング素子QPu、QPCu、QNu、QNCu、QPv、QPCv、QNv、QNCv、QPw、QPCw、QNw、QNCwのそれぞれのエミッタ−コレクタ間にはそれぞれDFPu、DFPCu、DFNu、DFNCu、DFPv、DFPCv、DFNv、DFNCv、DFPw、DFPCw、DFNw、DFNCwのダイオードが接続されている。これらのダイオードは回生動作時の電流経路を確保するためのフライホイルダイオードである。
これらの電力スイッチング素子QPu、QPCu、QNu、QNCu、QPv、QPCv、QNv、QNCv、QPw、QPCw、QNw、QNCwのそれぞれのゲートにはパルス幅変調回路6dの制御信号が入力してインバータ14としての動作が行われる。
次に、これらの制御を行うパルス幅変調回路6dについて説明する。
<3レベルのインバータのパルス幅変調回路>
図9は、図8のインバータ14のパルス幅変調回路6dとその周辺回路を抜き出して示したものである。U相、V相、W相とも同一の構成であるため、以下、U相についてのみ説明する。
図9において、バイアス回路B1は、入力に直流バイアスEr/2を加算する加算器2fより構成される。
交流電圧指令Vu*は交流電圧指令Vu*Pと交流電圧指令Vu*Nに分岐される。分岐された交流電圧指令Vu*Pは比較器Cmp1に入力され、搬送波Cr31と振幅の大小関係が比較される。このとき、搬送波Cr31は、上ピーク+Er/2、下ピーク0のため、比較器Cmp1が「1」、「0」の2値信号を出力するのは、交流電圧指令Vu*Pが正値をとる区間のみとなる。
比較器Cmp1の出力は、ゲートアンプGA1u、NOT回路Not1を経てGA2uに入力される。ゲートアンプGA1u、GA2uは、電力スイッチング素子QPu、QNCuを駆動するスイッチングパルス信号を出力する。
次に、バイアス回路B1と比較器Cmp2の動作について説明する。
分岐された交流電圧指令Vu*Nは、加算器2fにより、Er/2の直流バイアスが加算され、交流電圧指令Vu*NBとなる。交流電圧指令Vu*NBは、比較器Cmp2に入力され、搬送波Cr31と振幅の大小関係が比較される。
このとき、交流電圧指令Vu*NBは、交流電圧指令Vu*Nが+Er/2直流バイアスされた信号なので、比較器Cmp2が「1」、「0」の2値信号を出力するのは、交流電圧指令Vu*N(交流電圧指令Vu*P)が負値をとる区間のみとなる。
比較器Cmp2の出力信号は、ゲートアンプGA3uと、NOT回路Not2を経てゲートアンプGA4uに入力される。ゲートアンプGA3u、GA4uは、電力スイッチング素子QPCu、QNuを駆動するスイッチングパルス信号を出力する。この構成をとる理由は次の図10の波形の説明とともに述べる。
<3レベルのインバータの出力波形>
図9に示したインバータ14と、パルス幅変調回路6dとによって、インバータの出力波形を図10に示す。また、搬送波Cr31、交流電圧指令Vu*P、+Er/2バイアスされた交流電圧指令Vu*NB(=加算器2f出力)、ゲートアンプ出力信号G1u、G2u、G3u、G4u(電力スイッチング素子QPu、QNCu、QPCu、QNuスイッチングパルス)とインバータ出力電圧(U相)との関係を図10に示す。
図10において、交流電圧指令Vu*の交流振幅を三角波の搬送波Cr31を用いて、デジタル信号のパルス幅変調をすることは図7と同じである。ただし、インバータ出力において、電力スイッチング素子を正電位側(正側直流母線P側)はQPuとQPCu、負電位側(負側直流母線N側)はQNuとQNCuというようにそれぞれ直接の2段の構成としている。したがって、QPuとQNuの1段ずつの構成の図7とは異なる制御をする必要がある。
また、図10、図9における三角波の搬送波Cr31は0と+Er/2間での波形に対して、図7、図6における三角波の搬送波Cr1は−Er/2と+Er/2間での波形であることが異なる。
図9、図10において、交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)が正の電圧のとき、電力スイッチング素子QPuは正の電位(+Ep)を供給してパルス幅変調を行うように、交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)と三角波の搬送波Cr31を比較した比較器Cmp1の出力を増幅したゲートアンプGA1uの出力をゲートに入力している。
また、比較器Cmp2には交流電圧指令Vu*を分岐したVu*Nに加算器2fで+Er/2バイアスされた交流電圧指令Vu*NBを入力しているので、三角波の搬送波Cr31と比較しても常に「1」が出力され、ゲートアンプGA3uの出力波形G3uは常にON(オン)信号であり、NOT回路Not2を通り、その反転信号となったゲートアンプGA4uの出力波形G4uは常にOFF(オフ)信号が出力されている。
したがって、電力スイッチング素子QPCuは常にONであり、電力スイッチング素子QNuは常にOFFである。また、電力スイッチング素子QNCuは比較器Cmp1の反転出力を増幅したゲートアンプGA2uの出力で制御されている(図10)。
このとき、前記したように電力スイッチング素子QNuは常にOFFであるので、電力スイッチング素子QNCuがONしても負側直流母線Nの電位(−En)が直接インバータ出力(U相)141に伝わることはないが、電力スイッチング素子QNCuがONすることによってクランプダイオードであるダイオードDCNuを経由してインバータ出力電圧を0(中性線Cの電位)とする役目をする。
以上から、交流電圧指令Vu*が正の区間におけるインバータ出力電圧(U相)141のパルス幅変調の信号が図10のように得られる。
また、交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)が負の区間では、電力スイッチング素子QNuは負の電位(−En)を供給してパルス幅変調を行うように、交流電圧指令Vu*NBと三角波の搬送波Cr31を比較した比較器Cmp2の出力を増幅したゲートアンプGA4uの出力をゲートに入力している。なお、このとき負の区間の波形が反映されるように交流電圧指令Vu*を分岐した交流電圧指令Vu*Nに加算器2fで+Er/2だけバイアスされた交流電圧指令Vu*NBを比較器Cmp2に入力し、それをNot2で反転したゲートアンプGA4uの出力波形G4uを電力スイッチング素子QNuのゲート入力に用いている。
また、比較器Cmp1においては交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)が負の区間では、三角波の搬送波Cr31との比較においては常に「0」が出力され、ゲートアンプGA1uの出力波形G1uは常にOFF信号であり、その反転信号であるゲートアンプGA2uの出力波形G2uは常にON信号が出力されている。
したがって、電力スイッチング素子QPuは常にOFFであり、電力スイッチング素子QNCuは常にONである。電力スイッチング素子QNCuはこの区間では常にONであるので、前記した電力スイッチング素子QNuのパルス幅変調の波形がインバータ出力(U相)141に伝わる。
また、電力スイッチング素子QNuのゲート入力のG4uとは反転した信号のG3uをゲート入力とする電力スイッチング素子QPCuはパルス幅変調の波形で制御されているが、前記したように、電力スイッチング素子QPuはこの区間では常にOFFであるので、電力スイッチング素子QPCuがONしても正側直流母線Pの電位(+Ep)が直接インバータ出力(U相)141に伝わることはない。ただし、電力スイッチング素子QPCuがONすることによってクランプダイオードであるダイオードDCPuを経由してインバータ出力電圧を0(中性線Cの電位)とする役目をする。
以上から、交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)が負の区間のパルス幅変調の信号が図10のように得られる。
したがって、交流電圧指令Vu*(交流電圧指令Vu*P)の全区間のパルス幅変調の信号が図10のように得られる。
以上、この3レベル(+Ep、0、−En)のインバータ方式は2レベル(+E/2、−E/2)の方式に比較するとより3電位による細密な制御ができるので、交流電動機に与える衝撃が少なく、交流電動機の耐久性と信頼性を高める効果がある。
<3レベルのコンバータの構成>
3レベルのコンバータ13の回路構成は図10で示した3レベルのインバータ14と同じ構成である。異なるのは入力と出力の関係であって、交流電源1(図8)からの3相交流が、図9のインバータ出力U相、V相、W相に入力し、出力として正側直流母線P、負側直流母線N、中性線Cから直流電力が出力することである。
この構成によって、電力スイッチング素子QPu、QPCu、QNu、QNCu、QPv、QPCv、QNv、QNCv、QPw、QPCw、QNw、QNCwをパルス幅変調回路(PWM−C)6dで制御することにより、交流電源1(図8)からの3相交流電力を平滑コンデンサ10a、10bの端子である正側直流母線P、負側直流母線N、中性線Cに直流電力を供給する整流動作をする。
<3レベルのコンバータのパルス幅変調回路の構成>
3レベルのコンバータ13(図8)のパルス幅変調回路(PWM_C)6cはインバータ14のパルス幅変調回路(PWM_I)6dと内部の構成は同一であり、図9の破線6dの内部に示した回路構成である。ただし、図9における交流電圧指令Vu*が電流制御演算器(ACR_I)5bから電流制御演算器(ACR_C)5aに変わる。インバータ14とコンバータ13(図8)とにおいて、それぞれの電流制御演算器(ACR_I)5bと電流制御演算器(ACR_C)5aとの信号において正負の差はあって、それが機能、動作の相違となって現れる。それ以外は同一であるので説明は省略する。
<3レベルでの回生動作>
交流電動機7が回生運転をする際の回路動作については、2レベルの場合については前記した通りである。コンバータとインバータが3レベルでも2レベルでも回生動作の基本的な原理は変わらない。ただし、3レベルと2レベルではコンバータとインバータと平滑コンデンサの構成が異なる。コンバータとインバータと平滑コンデンサの構成については前記した通りであるので、3レベルとしての回生動作の詳細な説明は省略する。
以上、図8に示した第2の実施形態は図1に示した第1の実施形態のコンバータとインバータと平滑コンデンサの構成が異なるのみであり、2レベルから3レベルに拡張したものである。
以上、本実施形態は、交流電源の交流電圧を直流電圧(直流電源)に変換するパルス幅変調方式のコンバータと、この直流電圧を任意の振幅、周波数の交流電圧指令と等価な電圧に変換するパルス幅変調方式のインバータと、このインバータから電動機に供給された電流を検出し、その電流をトルク電流と励磁電流という直交する2つのベクトル成分に分解し個別に制御することで、このインバータから電動機に供給する電流を制御するロジックを有する電力変換装置の制御回路において、交流電動機の回転速度を検出し、停止していた場合には自動的にこの前記制御回路が判断し、前記コンバータの直流電圧と、前記インバータの励磁電流を小さくし、インバータ、コンバータ、電動機の待機電力を抑制する機能を備えたものである。
このような構成により、従来の技術で問題となった、電動機停止中も供給され続けるコンバータの直流電圧とインバータの励磁電流により不必要な電力を消費するというインバータの問題点を、電動機の回転停止検出器と、通常運転時と回転停止時で直流電圧指令と励磁電流指令を切り替える制御を追加することで解決できる。
この結果、電動機の回転が停止している時に、コンバータから出力される直流電圧とインバータから出力される励磁電流を小さくなるように制御することで、通常運転に支障なく電動機が停止中に消費するエネルギーを減少させることができる。
なお、このとき、素子損失は以下の式のように改善される。
素子損失=従来時導通損失×電流低減率+従来時スイッチング損失×電流低減率×電圧低減率 ・・・ (式2)
ここで、電流低減率は(式3)で表される。
電流低減率=(回転停止時励磁電流指令33/励磁電流指令20) ・・・ (式3)
また、電圧低減率は(式4)で表される。
電圧低減率=(回転停止時直流電圧指令30/直流電圧指令1a) ・・・ (式4)
本実施形態における素子損失を表した(式2)と従来例の素子損失を表した(式1)とを比較すると、本実施形態を用いることによって、消費するエネルギーを減少させることができることが解る。
また、実装化の際には、回転停止検出及び、直流電圧指令、励磁電流指令やその切り替えは制御装置のソフトウエア上のみの変更で構築することも可能であるため、実質的には、部品追加によるコストアップなしで問題点の解決が可能である。
また、実施形態では、搬送波発生器が1個しか必要とならないため、駆動する素子数に合わせて比較器を増設することで、2レベル、3レベル方式のインバータに適用することが可能である。
また、以上においては、電力変換器制御装置の構成のみではなく、電力変換器の制御方法についても示している。
1 交流電源
1a 直流電圧指令設定器、直流電圧指令
1b 速度指令設定器、速度指令、速度指令値
2a、2b、4a、4b、2f 加算器
3a 電圧制御演算器、AVR_C
3b 速度制御演算器、ASR_I
5a、5b 電流制御演算器、ACR_C、ACR_I
5、13 コンバータ
6、14 インバータ
6a、6b、6c、6d パルス幅変調回路
7 電動機、交流電動機、ACM
7a、7b 電流検出器
8 速度検出器、速度FB
8a 電圧検出器
10、10a、10b、11、11a、11b 平滑コンデンサ
20 励磁電流指令設定値、励磁電流指令
25 3相/2相変換器
30 回転停止時直流電圧指令設定器、回転停止時直流電圧指令
31、34 切替スイッチ
32 回転停止検出器
33 回転停止時励磁電流指令設定値、回転停止時励磁電流指令
35 速度指令A条件生成手段
36 停止判定B条件生成手段
37 AND回路
38 遅延手段、TD
61、62、63、64 インバータ出力
141、142、143 インバータ出力
144、145、146 電力スイッチング素子の接続点
B1 バイアス回路
C 中性線、中性点
Cr1、Cr31 搬送波
Cmp1、Cmp2 比較器
DFPu、DFPCu、DFNCu、DFNu U相のフライホイルダイオード
DFPv、DFPCv、DFNCv、DFNv V相のフライホイルダイオード
DFPw、DFPCw、DFNCw、DFNw W相のフライホイルダイオード
DCPu、DCNuはU相のクランプダイオード
DCPv、DCNvはV相のクランプダイオード
DCPw、DCNwはW相のクランプダイオード
E、Ep、En 直流電圧値
Er 所望の直流電圧値
G1、G31 搬送波発生器
GA1u〜GA4u U相のゲートアンプ
G1u〜G4u U相のスイッチングパルス
G** スイッチングパルス
コレクタ電流
M1、M3 乗算回路
Not1、Not2 NOT回路
N 負側直流母線
P 正側直流母線
QPu、QPCu、QNCu、QNu U相の電力スイッチング素子
QPv、QPCv、QNCv、QNv V相の電力スイッチング素子
QPw、QPCw、QNCw、QNw W相の電力スイッチング素子
Q** 電力スイッチング素子
CE 電力スイッチング素子のエミッタ-コレクタ間電圧
Vu* U相交流電圧指令
Vv* V相交流電圧指令
Vw* W相交流電圧指令
Vu*P、Vu*N 分岐されたU相交流電圧指令
Vv*P、Vv*N 分岐されたV相交流電圧指令
Vw*P、Vw*N 分岐されたW相交流電圧指令
Vu*NB、Vv*NB、Vw*NB バイアスされた交流電圧指令

Claims (7)

  1. 交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流機能と、直流電力を交流電力に変換する回生機能とを有するコンバータと、
    前記直流電力を任意の振幅、周波数の交流電圧指令と等価な電圧に変換する交流電力生成機能と、交流電力を直流電力に変換する回生機能を有するインバータと、を備えた電力変換装置において、
    さらに、
    前記コンバータを制御するコンバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記インバータを制御するインバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に前記コンバータの出力する直流電圧を指令する直流電圧指令回路と、
    前記インバータ用のパルス幅変調制御回路に前記インバータの出力する励磁電流を指令する励磁電流指令回路と、
    前記インバータから電動機に供給された電流から、トルク電流と励磁電流という直交する2つのベクトル成分に分解して抽出する3相/2相変換器と、
    前記電動機の回転停止を検出する回転停止検出器と、
    を備え、
    前記電動機の回転が停止していた場合には前記回転停止検出器によって前記直流電圧指令回路の直流電圧指令値と前記励磁電流指令回路の励磁電流指令値とを変え、前記コンバータの出力する直流電圧と、前記インバータの出力する励磁電流と、を低下させることを特徴とする電力変換器制御装置。
  2. 交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流機能と、直流電力を交流電力に変換する回生機能とを有するコンバータと、
    前記コンバータの出力した直流電力を任意の振幅、周波数の交流電力に変換する交流電力生成機能と、交流電力を直流電力に変換する回生機能とを有するインバータと、
    前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサと、
    を備え、交流電動機を駆動制御する電力変換装置において、
    さらに、
    前記コンバータを制御するコンバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記コンバータの前記交流電動機の回転時における出力電圧を決定する直流電圧指令設定器と、
    前記コンバータの回転停止時における出力電圧を決定する回転停止時直流電圧指令設定器と、
    前記直流電圧指令設定器または前記回転停止時直流電圧指令設定器の出力と、前記コンバータの出力電圧との偏差に基づき電流指令信号を出力する電圧制御演算器と、
    前記電圧制御演算器の出力する電流指令信号と、前記交流電源の交流電力の電流の偏差に基づき交流電圧指令信号を前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に出力する電流制御演算器と、
    前記インバータを制御するインバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記インバータの出力によって駆動される前記交流電動機の回転時における速度を指令する速度指令設定器と、
    前記速度指令設定器の出力と、前記交流電動機の速度との偏差に基づきトルク電流指令信号を出力する速度制御演算器と、
    前記交流電動機に流れる電流からトルク電流と励磁電流の直交する2つのベクトル成分に変換する3相/2相変換器と、
    前記交流電動機の回転停止を検出する回転停止検出器と、
    前記インバータの前記交流電動機の回転時における励磁電流を決定する励磁電流指令を出力する励磁電流指令設定器と、
    前記インバータの前記交流電動機の回転停止時における励磁電流を決定する回転停止時励磁電流指令を出力する回転停止時励磁電流指令設定器と、
    前記3相/2相変換器のトルク電流と前記速度制御演算器のトルク電流指令信号との偏差と、前記3相/2相変換器の励磁電流と前記励磁電流指令または前記回転停止時励磁電流指令との偏差に基づき交流電圧指令信号を前記インバータ用のパルス幅変調制御回路に出力する電流制御演算器と、
    を備え、
    前記交流電動機の回転時には前記直流電圧指令設定器と前記コンバータの出力電圧との偏差に基づき前記電圧制御演算器は電流指令信号を出力し、該電流指令信号と前記交流電源の交流電力の電流の偏差に基づき前記電流制御演算器は交流電圧指令信号を前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に出力し、該コンバータ用のパルス幅変調制御回路は前記コンバータを整流器として動作させて前記交流電源の交流電力を前記直流電圧指令設定器で設定した直流電力に変換し、
    前記インバータは前記速度指令設定器の出力に基づく速度で前記交流電動機が動作すべく、前記3相/2相変換器と前記速度制御演算器と前記励磁電流指令と前記電流制御演算器と前記インバータ用のパルス幅変調制御回路によって、前記コンバータの出力した直流電力を任意の振幅、周波数の交流電力に変換し、
    前記交流電動機の回転停止時には前記回転停止検出器によって回転停止を検出し、この回転停止の信号により回転停止時直流電圧指令と回転停止時励磁電流指令が出され、前記回転停止時直流電圧指令によって、前記電圧制御演算器と前記電流制御演算器と前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路を経て、前記コンバータの出力電圧が低下するとともに、また前記回転停止時励磁電流指令によって、前記3相/2相変換器が検出した励磁電流値を参照しながら前記電流制御演算器と前記インバータ用のパルス幅変調制御回路を経て、前記インバータの励磁電流が低下し、これらによって消費電流が低下することを特徴とする電力変換器制御装置。
  3. 前記インバータは、2レベルのインバータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換器制御装置。
  4. 前記インバータは、3レベルのインバータであることを特徴とする請求項1乃至請求項のひとつの請求項に記載の電力変換器制御装置。
  5. 前記コンバータと前記インバータはともにパルス幅変調方式によって制御されることを特徴とする請求項に記載の電力変換器制御方法。
  6. 交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流機能と、直流電力を交流電力に変換する回生機能とを有するコンバータと、
    前記直流電力を任意の振幅、周波数の交流電圧指令と等価な電圧に変換する交流電力生成機能と、交流電力を直流電力に変換する回生機能を有するインバータと、を備えた電力変換装置において、
    さらに、
    前記コンバータを制御するコンバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記インバータを制御するインバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に前記コンバータの出力する直流電圧を指令する直流電圧指令回路と、
    前記インバータ用のパルス幅変調制御回路に前記インバータの出力する励磁電流を指令する励磁電流指令回路と、
    前記インバータから電動機に供給された電流から、トルク電流と励磁電流という直交する2つのベクトル成分に分解して抽出する3相/2相変換器と、
    前記電動機の回転停止を検出する回転停止検出器と、
    を備え、
    前記電動機の回転が停止していた場合には前記回転停止検出器によって前記直流電圧指令回路の直流電圧指令値と前記励磁電流指令回路の励磁電流指令値とを変え、前記コンバータの出力する直流電圧と、前記インバータの出力する励磁電流と、を低下させることを特徴とする電力変換器制御方法。
  7. 交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流機能と、直流電力を交流電力に変換する回生機能とを有するコンバータと、
    前記コンバータの出力した直流電力を任意の振幅、周波数の交流電力に変換する交流電力生成機能と、交流電力を直流電力に変換する回生機能とを有するインバータと、
    前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサと、
    を備え、交流電動機を駆動制御する電力変換装置において、
    さらに、
    前記コンバータを制御するコンバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記コンバータの前記交流電動機の回転時における出力電圧を決定する直流電圧指令設定器と、
    前記コンバータの回転停止時における出力電圧を決定する回転停止時直流電圧指令設定器と、
    前記直流電圧指令設定器または前記回転停止時直流電圧指令設定器の出力と、前記コンバータの出力電圧との偏差に基づき電流指令信号を出力する電圧制御演算器と、
    前記電圧制御演算器の出力する電流指令信号と、前記交流電源の交流電力の電流の偏差に基づき交流電圧指令信号を前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に出力する電流制御演算器と、
    前記インバータを制御するインバータ用のパルス幅変調制御回路と、
    前記インバータの出力によって駆動される前記交流電動機の回転時における速度を指令する速度指令設定器と、
    前記速度指令設定器の出力と、前記交流電動機の速度との偏差に基づきトルク電流指令信号を出力する速度制御演算器と、
    前記交流電動機に流れる電流からトルク電流と励磁電流の直交する2つのベクトル成分に変換する3相/2相変換器と、
    前記交流電動機の回転停止を検出する回転停止検出器と、
    前記インバータの前記交流電動機の回転時における励磁電流を決定する励磁電流指令を出力する励磁電流指令設定器と、
    前記インバータの前記交流電動機の回転停止時における励磁電流を決定する回転停止時励磁電流指令を出力する回転停止時励磁電流指令設定器と、
    前記3相/2相変換器のトルク電流と前記速度制御演算器のトルク電流指令信号との偏差と、前記3相/2相変換器の励磁電流と前記励磁電流指令または前記回転停止時励磁電流指令との偏差に基づき交流電圧指令信号を前記インバータ用のパルス幅変調制御回路に出力する電流制御演算器と、
    を備え、
    前記交流電動機の回転時には前記直流電圧指令設定器と前記コンバータの出力電圧との偏差に基づき前記電圧制御演算器は電流指令信号を出力し、該電流指令信号と前記交流電源の交流電力の電流の偏差に基づき前記電流制御演算器は交流電圧指令信号を前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路に出力し、該コンバータ用のパルス幅変調制御回路は前記コンバータを整流器として動作させて前記交流電源の交流電力を前記直流電圧指令設定器で設定した直流電力に変換し、
    前記インバータは前記速度指令設定器の出力に基づく速度で前記交流電動機が動作すべく、前記3相/2相変換器と前記速度制御演算器と前記励磁電流指令と前記電流制御演算器と前記インバータ用のパルス幅変調制御回路によって、前記コンバータの出力した直流電力を任意の振幅、周波数の交流電力に変換し、
    前記交流電動機の回転停止時には前記回転停止検出器によって回転停止を検出し、この回転停止の信号により回転停止時直流電圧指令と回転停止時励磁電流指令が出され、前記回転停止時直流電圧指令によって、前記電圧制御演算器と前記電流制御演算器と前記コンバータ用のパルス幅変調制御回路を経て、前記コンバータの出力電圧が低下するとともに、また前記回転停止時励磁電流指令によって、前記3相/2相変換器が検出した励磁電流値を参照しながら前記電流制御演算器と前記インバータ用のパルス幅変調制御回路を経て、前記インバータの励磁電流が低下し、これらによって消費電流が低下することを特徴とする電力変換器制御方法。
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