JP2007217199A - 単結晶の製造方法および単結晶製造装置 - Google Patents

単結晶の製造方法および単結晶製造装置 Download PDF

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満 石井
Tadanori Asai
宰里 浅井
Masayuki Kawamura
正之 河村
Takayuki Kito
孝幸 鬼頭
Tomohiro Adachi
智宏 安達
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Abstract

【課題】縦型ブリッジマン法による単結晶の結晶成長において、結晶径が大きく、かつ、結晶長が長い高品質の単結晶を、効率よく製造する。
【解決手段】縦型ブリッジマン法により単結晶を製造する単結晶製造装置において、原料を配置した筒状の炉芯管と、上記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における上記炉芯管内の温度を制御して上記炉芯管内の上記原料を熔解する熔解手段と、上記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における上記炉芯管内の温度を制御して上記炉芯管内における上記原料の結晶化後に該結晶を凝固点よりも低い温度で保持する均熱手段とを有し、上記熔解手段と上記均熱手段とを所定の間隙を有するようにして分離して配置し、上記炉芯管の外周面において上記熔解手段と上記均熱手段とにより被覆されていない領域を形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、単結晶の製造方法および単結晶製造装置に関し、さらに詳細には、縦型ブリッジマン法を用いてLi単結晶などのような各種の単結晶を製造するための単結晶の製造方法および単結晶製造装置に関する。
特に、本発明は、表面弾性波素子や非線形光学素子さらには中性子検出用シンチレータなどに応用することが可能なLi単結晶やLi単結晶に少量の不純物を添加した単結晶を製造する際に用いて好適なものである。
従来より、単結晶としては、SiをはじめとしてGaAsなどの半導体単結晶が各種の電子デバイスに応用されてきている。
また、酸化物単結晶としては、LiTaO単結晶やNdを含むYAlO12単結晶が知られており、それぞれ表面弾性波素子やレーザ素子として応用されている。
また、上記したこれらの単結晶を工業的に製造するには、一般には引き上げ法が用いられているが、Li単結晶(以下、「LBO結晶」と適宜に称する。)やPbWO単結晶、さらにはCaF単結晶などの一部の単結晶は、引き上げ法によるほか、ブリッジマン法によっても製造されている。

ところで、中性子散乱実験などに用いる中性子検出器であるシンチレーション検出器におけるシンチレータたる中性子シンチレータとして、LBO単結晶を用いる場合がある。
こうした中性子シンチレータとして用いるLBO単結晶は、その製造過程において、結晶中のひび割れであるクラックが発生することが無く、また、結晶中に気泡や析出物などの欠陥を含まない高品質な結晶として製造する必要がある。
また、中性子シンチレータとして用いるのに適している大口径のLBO結晶を製造するためには、結晶の成長速度を早くするとともに、効率よく製造することが重要であることも指摘されていた。

ここで、結晶を育成する際において、結晶内の欠陥発生を防止するためには、結晶成長速度をある程度抑制する必要がある。
例えば、直径がφ3インチのLBO単結晶を結晶成長させる場合に、引き上げ法によれば0.6mm/hの結晶成長速度で結晶を成長させることが可能であるが(非特許文献1を参照する。)、引き上げ法を用いた結晶成長は結晶成長中の温度変動が大きいため、クラックが発生しやすいという問題点があった。
また、引き上げ法においては、結晶を成長させる際にその直径を自動的に制御する必要があるため、大型の単結晶を作ることが難しいという問題点があった。

一方、ブリッジマン法による単結晶の製造に関しては、その製造装置の構成は比較的単純なため安価に構築でき、さらに、縦型ブリッジマン法では成長した結晶がるつぼと同じ断面形状と大きさを備えるようになるため、容易に大型で結晶長が長い単結晶を製造することができる。
また、ブリッジマン法は、結晶成長中は温度変動が小さいために、結晶中に発生する気泡などの欠陥が少なく、また、クラックが発生し難いという優れた特性がある。
従って、ブリッジマン法を用いれば、大型で高品質の単結晶を得ることができるので、引き上げ法とともに多用されている。

しかしながら、ブリッジマン法による単結晶の製造は、引き上げ法による単結晶の製造と比較すると、結晶の成長中の温度勾配が小さいために組成的過冷却がおこりやすく、結晶中に欠陥が発生しやすいという問題点があった。
そこで、ブリッジマン法による単結晶の製造においては、欠陥発生を防止するために結晶成長速度を小さくするという方法がとられており、例えば、直径がφ3インチのLBO単結晶の育成では、0.3mm/h程度という結晶成長速度が採用されている(非特許文献2を参照する。)。
ところが、このブリッジマン法における0.3mm/h程度という結晶成長速度は、引き上げ法における0.6mm/hと比較すると2倍程度遅いものであり、結晶成長に長時間を要するようになるという新たな問題点を招来するものであった。

また、こうした単結晶の成長過程では、結晶口径が大きくなったり結晶長が長くなったりすると、欠陥がさらに発生しやすくなるため、大型高品質結晶の育成では成長速度をさらに遅くすることが必要であり、高品質の結晶を効率よく製造するための新たな技術の開発は実用的見地から鑑みると極めて重要であることが指摘されていた。

さらに、本願発明者は、これまでに行われてきたブリッジマン法による結晶成長法を詳細に検討し、以下に説明するようにその問題点を明らかにした。
ここで、図1および図2には、従来の技術による2種類の単結晶製造装置の概略断面説明図がそれぞれ示されている。
まず、図1(a)は、従来から採用されてきたブリッジマン法による結晶成長法を実施するための単結晶製造装置を、文献(非特許文献3および非特許文献4)を参考にして図示したものである。
即ち、図1(a)に示した単結晶製造装置10は、電気炉12とるつぼ14とから構成されている。
電気炉12は、中心部に炉芯管16を有しその周囲を囲むように厚い壁を有するような円筒形状体を備えている。そして、電気炉12の側面と炉芯管16との間には、断熱材が充填されている。
また、電気炉12の上端部は閉塞されているが、その下端部は開放されており、さらに炉芯管16の内側面中央部には、炉芯管16内部で上部熔解室18と下部均熱室20とに仕切る断熱材22が配設されている。上部熔解室18の側面には上部熔解室18を取り囲むようにして巻かれたコイル状の上部ヒーター24を有し、また下部均熱室20の側面には下部均熱室20を取り囲むようにして巻かれたコイル状の下部ヒーター26を有している。なお、上部ヒーター24は、下部ヒーター26よりも巻回密度が高くなるように巻かれている。
一方、るつぼ14は、円筒形状の本体部14aと、本体部14aの下端部に配設された円錐形状部14bと、円錐形状部14bの先端に配設された細い管である先端部14cとを備えており、炉芯管16中に配設されている。そして、るつぼ14の先端部14cには、種結晶が充填されており、さらにるつぼ14には多結晶原料が充填されている。
なお、符号14dは、先端部14cに接続されたるつぼ14を支えるためのるつぼ支持棒14dであり、このるつぼ支持棒14dは、単結晶製造装置10内においてるつぼ14を上下方向に移動可能とするモーター(図示せず。)に接続されている。

以上の構成において、単結晶製造装置10を用いてブリッジマン法により単結晶を結晶成長させる際の動作について説明すると、はじめに、単結晶製造装置10の上部熔解室18内の温度を材料の融点(Tm)よりも高く設定し、一方、下部均熱室20内の温度は、材料の融点よりも低く設定する。これにより、上部熔解室18と下部均熱室20との間に温度差を持たせるように維持する。このときの炉芯管16内の温度分布が、図1(b)に示されている。
また、温度勾配を大きくするためには、上部ヒーター24の出力電力を大きくし、一方、下部ヒーター26の出力電力を小さくすると、上部熔解室18と下部均熱室20との温度差をさらに大きくすることができる。
次に、るつぼ14の先端部14cが上部熔解室18に達する位置まで、るつぼ14を上方向へ上昇させる。先端部14c内部の種結晶の上部1/2が熔解し、るつぼ14内が平衡状態になるまでそのままの状態で保持し(例えば、数時間保持する。)、その後、るつぼ14をゆっくりと下方向へ下降させる。
このようにした結果、るつぼ14中に充填させた原料は、先端部14cの種結晶から成長し、円錐形状部14bと本体部14aにまで及んで、大型の単結晶を成長させることができる。
上記のようにして成長する単結晶の品質と成長速度は、結晶が固化する固体と液体との界面(固/液界面)の温度勾配(dT/dZ)が密接に関連し、一般には温度勾配を大きくすることが望ましい。大きい温度勾配は、上部ヒーター24の巻回回数の密度を高くしたり、あるいは、上部ヒーター24へ供給する電力を大きくしたり、あるいは、上部熔解室18と下部均熱室20との境界を断熱材22で区切ったり、あるいは、断熱材22にNiやPtなどの金属反射板を設けるなどして実現すればよい。さらに、上部熔解室18と下部均熱室20との設定温度を温度差が大きくなるようしても、大きい温度勾配を作ることができる。
単結晶製造装置10を用いてブリッジマン法により単結晶を結晶成長させる際には、上記したような大きい温度勾配を得るための手法を適宜に用いて、結晶中の欠陥を少なくし、かつ、成長速度を大きくして結晶を製造することができるようにしている。

ところが、大きい温度勾配を作り出すためには、炉芯管16内に設けた断熱材22や金属反射板のつばの長さを長くする必要がある。その結果、炉芯管16内の空間が広くなり、装置が大型化するという問題点があった。
さらに最適な温度勾配を作り出すためには、各種の形状の断熱材を用いた実験が必要であり、断熱材を用いて大きい温度勾配を作り出すにはその応用には限界があった。

次に、図2(a)は、従来から採用されてきたブリッジマン法による結晶成長法を実施するための他の単結晶製造装置を、文献(非特許文献5)を参考にして図示したものである。
この図2(a)に示す単結晶製造装置30は、ブリッジマン法によって長いBiGe12単結晶を製造するものであり、単結晶製造装置10と同様に、装置内部に円筒形状の炉芯管32を有し、この炉芯管32の上端部と下端部とは開放されており、上端部から熱電対34が挿入されている。
また、炉芯管32の外側面は断熱材で覆われ、炉芯管32外周面には、高さ方向に対して均等な間隔で設置面に対して平行に配置されるとともにそれぞれが独立して存在するような11本のヒーター36が配設されている。
一方、炉芯管32の内部には、るつぼ38が設置されている。るつぼ38は、下方に向かうにつれて徐々に内径が小さくなるような円錐形状をしており、るつぼ38の先端38cには種結晶が充填され、るつぼ38の中央部38bには多結晶原料が充填され、るつぼ38の本体部38aにも多結晶原料が充填される。このようなるつぼ38が、るつぼ支持台38dに固定され、炉芯管32の中心に配置されている。

以上の構成において、単結晶製造装置30を用いてブリッジマン法により単結晶を結晶成長させる際の動作について説明すると、はじめに、図2(b)に示すような温度勾配を持つように炉芯管32内の温度を設定する。炉芯管32内部の高さ方向の温度は、各ヒーター36に加える電力によって定められているため、各ヒーター36の電力を調節することで、炉芯管32内の温度を図2(b)に示すような温度分布に設定することができる。
図2(b)の温度分布の状態を維持すると、るつぼ38内部では先端部38cの種結晶の一部および先端部38cさらに本体部38a中の多結晶原料が熔解し始める。その後に、上方に位置するヒーター36(例えば、ヒーター番号6乃至ヒーター番号11のヒータ−36である。)の温度を低下させるため、上部ヒーター36の電力を順次減少させていく。
以上の操作により、るつぼ38の先端部38cが有する種結晶が熔解したあとに、上方に向かって結晶が成長してその結晶は中央部に及ぶようになる。
つまり、図2(a)に示した単結晶製造装置30では、るつぼ38の上下方向への移動は行わずに固定したまま、ヒーター36の出力電力を調節することにより結晶を成長させていく方法を採用している。
この単結晶製造装置30による手法では、るつぼ38を移動することなくヒーター36に加える電力を制御するだけで結晶成長ができる一方で、作り出す温度勾配が小さくなり、高品質の単結晶を効率よく早い速度で成長させることができないという問題点があった。

R. Komatsu et al., Jpn. J. Appl. Phys.33(1994)5533−5535 J. Xu et al., J. Crystal Growth. 264(2004)260−265 大浦政弘:結晶工学ハンドブック、結晶工学ハンドブック編集員会編、p.862.昭和51年9月、共立出版社 J. Xu et al., J. Crystal Growth,264(2004)260−265. F. Allegretti et al. J. Crystal Growth,94(1989)373−380.
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縦型ブリッジマン法による単結晶の結晶成長において、結晶径が大きく、かつ、結晶長が長い高品質の単結晶を、効率よく製造するための単結晶の製造方法および単結晶製造装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明による単結晶の製造方法および単結晶製造装置は、縦型ブリッジマン法により単結晶を成長させるものであり、単結晶製造装置内において、るつぼ中の原料を熔解するための熔解部と結晶化後均熱化するための均熱部とを個別に設け、熔解部と均熱部との間を分離して間隙を設けるようにして、その間隙から内部の熱を放熱できるようにしたものである。また、この間隙の幅は、調節可能であるようにしてもよい。
また、本発明による単結晶の製造方法および単結晶製造装置は、熔解部および均熱部の温度を独立に設定できるヒーターを設けるようにしたものである。
従って、本発明によれば、単結晶の製造装置内の炉芯管内部の温度勾配を大きくすることが可能であり、クラックや気泡といった欠陥の少ない大型の単結晶を製造することができるようになる。

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、結晶化中は固体と液体との界面近傍の温度勾配を大きくし、結晶化が完了した後は結晶内の温度分布を均一にした状態に保った後に冷却するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、縦型ブリッジマン法により単結晶を製造する単結晶製造装置において、原料を配置した筒状の炉芯管と、上記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における上記炉芯管内の温度を制御して上記炉芯管内の上記原料を熔解する熔解手段と、上記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における上記炉芯管内の温度を制御して上記炉芯管内における上記原料の結晶化後に該結晶を凝固点よりも低い温度で保持する均熱手段とを有し、上記熔解手段と上記均熱手段とを所定の間隙を有するようにして分離して配置し、上記炉芯管の外周面において上記熔解手段と上記均熱手段とにより被覆されていない領域を形成したものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、さらに、上記所定の間隙を可変する可変手段を有するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項2または3のいずれか1項に記載の発明において、さらに、上記熔解手段による上記炉芯管内の温度の制御と上記均熱手段による上記炉芯管内の温度の制御とは互いに独立制御可能であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記熔解手段により制御された上記炉芯管内の最高温度は、上記原料の融点よりも少なくとも70℃以上高温であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項2、3、4または5のいずれか1項に記載の発明において、上記熔解手段は、上記原料が熔解されて結晶化する際の固体と液体との界面近傍の温度勾配が15℃/cm以上となるように温度制御し、上記均熱手段は、上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を上記原料の融点よりも低い温度に制御するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明を用いた縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、結晶成長が完了した後に、上記熔解手段によって上記熔解手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を降下し、上記均熱手段によって上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を結晶の融点よりも低い温度で24時間以上保持した後に、上記均熱手段によって上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を室温まで冷却するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、本発明のうち請求項3に記載の発明を用いた縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、上記熔解手段により上記原料を熔解して結晶化した後に、上記熔解手段によって上記熔解手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を降下させながら、上記均熱手段によって上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を上昇させ、上記可変手段により上記熔解手段と上記均熱手段との間の上記間隙をなくした後に、上記均熱手段によって上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を結晶の融点よりも低い温度で24時間以上保持してから、上記均熱手段によって上記均熱手段により被覆された領域における上記炉芯管内の温度を室温まで冷却するようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、縦型ブリッジマン法による単結晶の結晶成長において、結晶径が大きく、かつ、結晶長が長い高品質の単結晶を、効率よく製造することができるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による単結晶の製造方法および単結晶製造装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。

図3には、本発明の実施の形態の一例による単結晶製造装置の概略構成断面説明図が示されている。
この単結晶製造装置100は、内部の雰囲気を空気とし、空気下で結晶成長を行うことができるようになっている。
そして、この単結晶製造装置100は、内径がφ148mmであり、厚さが6mmであり、長さが1250mmのアルミナ製の円筒形状体であって、上端部が閉塞されかつ下端部が開放された炉芯管102を備えている。そして、この炉芯管102の外周面は保温材で覆われており、上部に熔解部104が配設されるとともに、下部に均熱部106が配設されている。
ここで、熔解部104は、炉芯管102の外周面に配置されて熔解部104が位置する炉芯管102の温度を制御する温度制御手段としてのヒーター108、110および断熱材104a、104bを有しており、これらが炉芯管102の外周面に固定して設置されている。
より詳細には、ヒーター108は、Ni−Cr線をコイル形状に巻回して構成されており、当該コイル形状は、内径がφ200mmであり、軸方向長さが250mmに設定されている。
一方、ヒーター110は、Fe−Cr−Al線をコイル形状に巻回して構成されており、当該コイル形状は、内径がφ200mmであり、軸方向長さが125mmに設定されている。
なお、ヒーター110はヒーター108と比べると、炉芯管102への巻回回数が多くなるように設定されている。
そして、ヒーター108の軸方向長さ方向の中心位置に熱電対TC1が差し込まれており、また、ヒーター110の軸方向長さ方向の中心位置に熱電対TC2が差し込まれている。
また、熔解部104の上端部には断熱材104a(厚さは、例えば、50mmである。)が配設されており、熔解部104の下端部には断熱材104b(厚さは、例えば、50mmである。)が配設されている。
なお、上記したヒーター108は、断熱材104aにその上端部が当接するとともに、その下端部がヒーター110の上端部に隣接するように配置されている。一方、ヒーター110は、ヒーター108の下端部にその上端部が隣接するとともに、その下端部が熔解部104の下端部の断熱材104bに当接するように配置されている。

一方、均熱部106は、熔解部104の下方において、熔解部104の下端部から軸方向長さHの間隙114を設けて炉芯管102の外周面に設置されている。
均熱部106は、上端部に断熱材106a(厚さは、例えば、40mmである。)と下端部に断熱材106bとを有している。そして、上端部の断熱材106aおよび下端部の断熱材106bとに両端部がそれぞれ当接するように、均熱部106が位置する炉芯管102の温度を制御する温度制御手段としてのヒーター112が、炉芯管102の外周面に沿って巻回されて配設されている。
ヒーター112は、Ni−Cr線をコイル形状に巻回して構成されており、当該コイル形状は、内径がφ200mmであり、軸方向長さが250mmに設定されている。このヒーター112の軸方向長さ方向の中心位置には、熱電対TC3が差し込まれている。
さらに均熱部106は、間隙114の長さH(H≧0)を任意に調節可能であるように、均熱部106を軸方向(上下方向)へ移動する駆動手段(図示せず。)を備えている。
なお、間隙114は、その上部は、例えば、厚さ50mmの断熱材104bにより遮断され、下部は、例えば、厚さ40mmの断熱材106aにより遮断されているが、炉芯管102との間は、半径方向に5mmの隙間を作り、均熱部106の移動を可能にしている。

また、炉芯管102内部には、図4に示したるつぼ120が配置されている。るつぼ120は、内部が二重構造の円筒形状体であり、白金よりなる内筒120a(内径104mm)およびアルミナよりなる外筒120bとから構成されている。
内筒120aは、直径がφ108mm、軸方向長さが500mm、厚さが0.15mmであるような円筒状形状を備えているが、その上端部は開放されている一方で、下端部は閉塞されている。
この内筒120aを覆うようにして、内径がφ110mmの外筒120bが配置され、内筒120aを支持している。
また、外筒120bの上端部も開放されており、下端部には下方に凸であるような形状を有するるつぼ台120cがはめ込まれており、るつぼ台120cの凸部にはるつぼ支持管120dが接続され固定されている。
るつぼ120は、内筒120aの内部における下部120aaに、成長軸を〈110〉とする厚さ30mmの種結晶を充填しており、また、内筒120aの中央部120abに、種結晶よりも小さい直径の2.2kgの多結晶LBOを結晶原料として充填している。2.2kgの原料を含むるつぼ120を用いると、結晶成長後には、結晶長が100mmの単結晶を得ることができる。図4に示されている符号Aは、原料を2.2kg充填して製造した結晶長が100mmの結晶の上端の位置を示している。
また、内筒120aの中央部120abに、種結晶よりも小さい直径の4.4kgの多結晶LBOを多結晶原料として充填した場合には、結晶成長後の結晶長が200mmの単結晶を得ることができる。図4に示されている符号Bは、原料を4.4kg充填して製造した結晶長が200mmLの単結晶の上端の位置を示している。
なお、単結晶製造装置100内に設置するるつぼ120については、結晶成長後における所望の結晶長に適合したものを適宜選択することとする。

以上の構成において、単結晶製造装置100を用いて縦型ブリッジマン法により単結晶を結晶成長させる際の動作について説明する。
ここで、本願発明者は、単結晶製造装置100において、炉芯管102内にるつぼ120を設置しない状態で、炉芯管102内の縦方向(上下方向)の温度分布を測定した。測定した温度分布から、温度勾配を大きくなるような炉芯管102内の温度および間隙114の長さHの違いによる影響を調査した。以下に、その手順について説明することとする。
はじめに、熔解部104と均熱部106との間隙114を30mmに設定する。次いで、単結晶製造装置100内のヒーター108、110、112の温度設定を行う。ヒーター108、110、112の温度設定は、ヒーター108、110、112がそれぞれ有する熱電対TC1、TC2、TC3を用いて行った。

即ち、熱電対TC3の温度Tbを850℃に固定し、炉芯管102上部(熔解部104)の最高温度Tmaxを980℃、1000℃、1020℃のいずれかになるように、ヒーター108、110の電力を調整した。この場合、熔解部104の最高温度Tmaxが980℃のとき、TC1およびTC2はそれぞれ1025℃および1010℃とし、、同様に熔解部104の最高温度Tmaxを1000℃にするためにはTC1およびTC2はそれぞれ1060℃および1065℃とし、熔解部104の最高温度Tmaxを1020℃にするためには同様に1075℃および1090℃であった。

次に、炉芯管102の軸中心Oの温度を、縦方向に10mm〜30mmごとに測定していく。特に、測定した温度が、LBO単結晶の融点(Tm=917℃)付近であった場合には、その箇所の前後100mmについては10mm刻みで測定することとする。
以上の方法によって得られた温度分布をまとめ、温度勾配を求めた。図3(b)には、温度分布をまとめたグラフがしめされている。なお、温度勾配はLBO単結晶の融点を含む20mmの間を10mmごとに測定し、その間の温度を比例配分し、LBO結晶の融点以上の温度が測定された位置で10mm間の温度を求めて勾配とした。
図3(b)に示した温度分布の特長は、熱電対TC2に関連する設定温度Tmaxが高くなるとLBO結晶の融点近傍の温度勾配が大きくなり、また温度Tmaxが低くなると均熱部に低下部が見られる。この低下部は、凝固点よりも低い位置で、温度分布が間隙114にあたる部分で一度降下した後再び高くなるものであり、所謂、中だるみ現象を示すものである。

次に、上記と同様の方法において、間隙114の長さHを30mmまたは50mmとし、また、熔解部104の最高温度Tmaxを980℃または1000℃とし、また、均熱部106の温度Tbを650℃から850℃という条件にし、温度分布を求めて温度勾配とした。LBO単結晶の融点Tmにおける温度勾配が、図5(a)に示されている。
均熱部106の温度Tbが上記の設定範囲内では、温度勾配dT/dZの変化が13〜14.5℃/cmと少なかった。また、間隙114の長さHが30mmおよび50mmにおいては、均熱部106の温度Tbによる影響は少なく、温度勾配dT/dZはほぼ等しい。他方、熔解部104の温度Tmaxに対しては、温度勾配dT/dZが強く依存するようである。
例えば、間隙114の長さHが50mm、熔解部104の温度Tmaxが1000℃であった場合、温度勾配は約19℃/cmと大きく、熔解部104の温度Tmaxが上昇したことに影響を受けて温度勾配が増加していることがわかる。
そこで、熔解部104の温度Tmaxと温度勾配dT/dZの関係を図5(b)に示した。図5(b)において、縦軸の温度勾配dT/dZは横軸の熔解部温度Tmaxを大にすると著しく大きくなり、温度勾配を高くするには熔解部104の温度Tmaxを増加させる必要があることがわかる。即ち、効率的な結晶成長を行うには、熔解部104の温度Tmaxを大きくすることが重要であることを示唆している。

また、間隙114の長さHが50mmと30mmとの場合を比較すると、前者の方が大きな温度勾配dT/dZを示すが、その影響は大きくはない。
ところが、間隙114の長さHを15mmと小さくすると温度勾配は15℃/cmになり、また間隙114の長さHを5mmとさらに小さくすると、温度勾配dT/dZは7℃/cmと小さくなるという結果が得られた。
例えば、図6(b)に示した参考例では、本発明による単結晶の製造装置100を用いて単結晶を製造した例であるが、参考例1および参考例2は、間隙114の長さHを15mmにした場合の結果であり、製造した単結晶にはクラックおよび気泡の欠陥が生じている。
反対に、間隙114の長さHを大きく50mm以上にすると、温度勾配dT/dZは大きくなるが、所謂、中だるみ現象が起こった。このような場合、長い結晶を成長させる場合ではクラックが発生する可能性があり、好ましくない。従って、間隙114は実験的に決定することが必要であるが、その最適値は炉芯管102の直径の10〜30%である値が最適であった。

ところで、LBO単結晶の結晶成長では、温度勾配が大きい状態で成長させた場合、結晶中に欠陥が発生せず、比較的早い速度で結晶を製造できる。他方、温度勾配が小さい場合でも成長速度を大幅に小さくすると欠陥が発生しない。しかしながら、成長速度を大幅に小さくする場合は効率的ではない。
結晶成長において重要な点は、結晶成長が完了した後の冷却中にクラックが発生することがないようにすることである。クラックは、一般に冷却速度が速いときや結晶各部の温度差があるときにひずみが大きくなり、最終的にクラックとなる。とりわけLBO単結晶の場合には、熱膨張係数に結晶軸の異方性があるために温度の均一性が特に求められる。
上記において説明したように、大きい温度勾配の結晶成長炉では、結晶成長が完了した後の冷却中もまた温度勾配が大きい。その結果、結晶成長が完了すると結晶を均熱化させることが必要である。具体的には、結晶化が完了した直後の温度を均熱炉と同じ温度Tbにまで降下させる。この場合、Tbの温度は、結晶の融点Tm以下の少なくとも120℃以内に保持して、均熱化とともにアニールしてひずみを除いた後冷却することが望ましい。

こうした検討結果を踏まえ、図6(a)に示した6つの実施例について実験を行い、各条件で結晶成長させた。
各実施例で、熔解部104の最高温度Tmaxを980℃、1000℃、1020℃のいずれかとし、均熱部106の温度Tbを750℃、850℃のいずれかとし、間隙114の長さHは30mm、50mmのいずれかとし、るつぼ120の引下げ速度は0.4mm/h、0.6mm/h、0.8mm/hとし、結晶長は100mm、200mmのいずれかとした。
例えば、実施例1では、図3に示した単結晶製造装置100の熔解部104の最高温度Tmaxを1020℃、均熱部106の温度Tbを850℃、間隙114の長さHを30mm、るつぼ120の引下げ速度を0.8mm/hとし、結晶長を200mmとした。

以上の構成において、結晶成長のための動作について、例として実施例1の条件を用いてその動作について説明することとする。
はじめに、単結晶の製造装置100の間隙114の長さHを30mmに合わせる。次に、熔解部104の最高温度Tmaxが1020℃になるように設定し、均熱部106の温度を850℃に設定する。
また、るつぼ120は、多結晶LBO4.4kgを充填し、るつぼ120を単結晶製造装置100内に挿入する。
るつぼ120の下部120aaに充填されている種結晶が1/2融解するように、熔解部104までるつぼ120を上昇させる。
12時間経過後、次にるつぼ120を0.8mm/hの速度で降下させ、均熱部106へ移動させる。

結晶成長が完了した後は、るつぼ120に設置した熱電対(図示せず。)の温度が結晶の上下方向の上部、中部、下部のそれぞれで少なくとも5℃以内になるように保持した後に、200℃までは10℃/h、それ以下では5℃/hで冷却した。
こうした手順により、気泡やクラックなどの欠陥を含まない結晶長が200mmの結晶を得ることができる。
実施例5および実施例6においては、上記の実施例1で行ったものと同様の操作を行い、結晶化が終了した後に、単結晶製造装置100の間隙114の長さHを0mmとし、単結晶製造装置100内で24時間850℃という条件でアニールを行った。
図6(a)には、本発明の実施の形態による単結晶製造装置100を用いてLBO単結晶を製造した場合の条件がまとめて示されている。実施例1乃至実施例6のすべての場合において、100mmもしくは200mmの結晶長を持ち、欠陥のないLBO結晶を製造することができた。

図6(b)には、参考例を示した。この表に示した8つの例は、本発明による単結晶製造装置100を用いたが、完成したLBO単結晶には気泡やクラックなどの欠陥が含まれていたものである。
成長した結晶に現れる欠陥には二種類あった。第一は気泡であり、気泡は直径がφ0.5mm以下で長さが3mm以下の小さいパイプ状であり、これらが纏まって成長軸と直角、即ち、固/液界面に平行な円盤状でたて断面はすじとなって現れた。
このすじは規則正しい、即ち、周期的ではないが、成長時間に対して不連続的に現れる。また結晶の長さに対しては、成長初期に多く、末期になると少ない。
結晶成長条件との関連では、間隙114の長さHが短い参考例1および参考例2の結晶でこのようなすじが見られた。
また、熔解部104と均熱部106との温度差が小さい参考例3および参考例4および参考例8の結晶でも見られた。いずれの場合も、融点における温度勾配が小さいときに発生している。
従って、この種の欠陥を低減するためには、間隙114の長さHが30mm以上か、熔解部104の温度Tmaxが少なくとも980℃以上が必要である。
結晶に発生する第二の欠陥はクラックであるが、クラックは二種類存在した。即ち、第1のクラックは、結晶の下部から成長軸とほぼ平行な〈001〉に沿って発生するクラックであり、第2のクラックは、結晶のトップ表面の中心部から周辺に向かって斜めに発生するクラックである。
上記のうちの第1のクラックの発生は、均熱ゾーンの温度が低い750℃以下の状態で結晶成長させた参考例5乃至参考例8に発生するが、温度が高い時には発生しない。
これに対して、上記のうちの第2のクラックの発生は、発生場所が限定されて結晶全体に及ぶことが少ないが、Tmaxが高いときおよび長い結晶を作成した参考例1および参考例2の結晶に発生するようであった。
上記の実験ではすべて結晶成長が完了した後、熔解部104の温度を均熱部106の温度と同じに保った後、200℃に降下するまでは10℃/hの速度で、さらにそれ以下では5℃/hの速度で冷却した。しかし、参考例5乃至参考例8で示したようにクラックが発生した。

そこで、結晶成長が完了した後、熔解部104の温度を850℃に保持した後、結晶を上昇させて24時間温度を保持してアニール処理し、その後室温に冷却した。その結果は、実施例5および6に示したように、結晶にはクラックが発生しなかった。
参考例6および参考例7においては、結晶化終了後アニール処理を行っていないため、完成した結晶の中央部にはどちらもクラックが発生したが、参考例6および参考例7と同じ条件で行った図6(a)の実施例5および実施例6では、結晶成長終了後アニール処理を行ったため、クラックは見られなかった。

以上において説明したように、熔解部と均熱部を上下に分離して間隙を設けた縦型ブリッジマン炉を用いたLBO結晶成長において、
1)熔解部の温度が1000℃以上で、
2)間隙は結晶成長炉の炉芯管直径の10〜30%であり、
3)均熱部の温度が850℃よりも低い温度で結晶成長を行うことにより、
従来の約2倍の0.8mm/hの早い速度で気泡などの欠陥がない高品質のLBO結晶が得られた。さらに、クラックは均熱部850℃以上の温度でアニール処理することによりその発生を防止できた。
そして、結晶成長中の固/液界面の温度勾配を大きくすることで、結晶中に発生する気泡などの欠陥がない高品質の結晶を出来るだけ早い成長速度で効率よく製造できるようになる。本発明による単結晶製造装置100では、均熱部は上下に移動が可能であり、均熱部の温度と位置を設定することによって任意の温度勾配を簡単容易に設定が可能であるため、高品質の結晶を効率よく製造することができる。
また、クラックが発生し易い結晶材料では、結晶成長が完了した後に結晶を直接室温まで降下させることなく、高い温度で保持してアニール処理することや、アニール処理後は結晶内の温度分布をできるだけ均一にして室温にまで降下させることで、結晶内のクラックの発生を防止することができるのである。

上記した本発明は、熔解部と均熱部を分離して放熱のための長さを任意に変えることが可能な間隙を設けることにより、大きい温度勾配を持つ縦型ブリッジマン炉が実現でき、成長速度が0.8mm/hの早い速度で欠陥がないLBO結晶を成長させることができ、工業的価値が大きい。さらにまた、結晶成長完了のあとは、熔解部と均熱部の温度を等しくして冷却することにより、結晶に発生するクラックを防止でき、LBO単結晶の製造方法として産業上の利用価値が大である。本発明により得られた結晶は、表面弾性波素子やレーザ用波長変換素子として応用が可能である。さらにまた本発明による結晶成長炉はLBO結晶に限定するだけでなく、その他の単結晶の製造にも適応できることが明らかになり、汎用性がある装置として利用することができる。

また、本願発明者は、上記した本発明による縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法および単結晶製造装置を、LBO結晶以外のその他の単結晶の製造に適用した。
以下にその詳細を説明するが、取り上げた単結晶材料のいずれもが単結晶製造装置100で利用でき、いずれも欠陥がない高品質の単結晶を製造することができた。
即ち、上記した実施の形態においては、LBO単結晶の製造を行ったが、同様の方法でPbWO(PWO)単結晶を製造することができた。
ここで、PWO結晶は融点が1123℃であり、LBO単結晶よりも融点は約200℃高く、結晶にはクラックが発生し易い。従って、結晶成長条件は、上記したLBO結晶と類似の条件で、融点Tm=1200℃とし、均熱部の温度Tbを950℃とし、間隙の長さHを30mmとした。そして直径がφ30mm、結晶長が200mmの結晶を3mm/hの速度で育成し、欠陥がない結晶が得られた。
PWO結晶では、冷却中にクラックが発生しやすかったが、結晶化の後ただちに室温に降下せず、連続して950℃で24時間保持することによるアニール処理によりこれを防止できた。
また、LBO単結晶の製造と同様の方法で、BiSi12(BSO)単結晶を製造することができた。
BSO結晶は融点が1030℃であり、LBO単結晶よりも約100℃高い。従って、結晶成長条件は先のLBO単結晶のときよりも、すべて100℃高い温度設定で、間隙の長さHは30mmで成長実験を行った。その結果、直径がφ30mm、長さ200mmLの結晶を4mm/hの速度で育成し、欠陥がない結晶が得られる。
BSO結晶では、析出物による欠陥が発生しやすく原料の組成管理を行うことにより、高品質の結晶を作成することができた。

なお、上記した実施の形態においては、熔解部104に対して均熱部106を移動自在に構成したが、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、熔解部104と均熱部106との間の間隙の長さHを可変することができればよいので、熔解部104と均熱部106とは両者が相対的に移動して間隙の長さHを可変することができれるように構成すればよい。従って、均熱部106に対して熔解部104を移動自在に構成してもよいし、均熱部106と熔解部104との両者を移動自在に構成するようにしてもよい。
また、上記した実施の形態においては、炉芯管102を円筒形状に構成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、角筒形状などの各種の筒形形状を備えるように構成してもよい。
本発明は、LBO結晶、PWO結晶あるいはBSO結晶などのような各種の単結晶を製造する際に利用される。
図1は、従来の単結晶製造装置の説明図であり、(a)は、従来から行われている縦型ブリッジマン法による単結晶製造装置の断面説明図である。(b)は、単結晶製造装置内の中心縦方向の温度分布を概念図で示している。 図2は、従来の単結晶製造装置の説明図であり、(a)は、従来から行われている縦型ブリッジマン法による単結晶製造装置の断面説明図である。(b)は、単結晶製造装置内の中心縦方向の温度分布を概念図で示している。 図3は、本発明による単結晶製造装置の説明図であり、(a)は、本発明による単結晶製造装置の断面説明図である。(b)は、単結晶製造装置内の中心縦方向の温度分布で、均熱部の温度Tbが850℃で、熔解部の温度Tmaxが980〜1,020℃の時の温度分布を示したものである。 図4は、本発明による単結晶製造装置に載置するるつぼの断面説明図である。 図5(a)は、本発明による単結晶製造装置において、熔解部を各種の温度に設定したとき、均熱部の温度TbとLBO単結晶の融点(917℃)における温度勾配を実測した結果を示しており、図5(b)は、本発明による単結晶製造装置において、熔解部の温度を変えたとき、LBO単結晶の融点における温度勾配との関係を示す。 図6(a)は、本発明による単結晶製造方法および単結晶製造装置において実施した実施例1乃至6の結果を表に示したものであり、図6(b)は、本発明による単結晶製造方法および単結晶製造装置における参考例1乃至6の結果を表に示したものである。
符号の説明
10、30、100 単結晶製造装置
12 電気炉
14、38 るつぼ
16、32 炉芯管
18 上部熔解室
20 下部均熱室
22 断熱材
24 上部ヒーター
26 下部ヒーター
34 熱電対
36、108、110、112 ヒーター
104 熔解部
106 均熱部
114 間隙
TC1、TC2、TC3 熱電対

Claims (8)

  1. 縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、
    結晶化中は固体と液体との界面近傍の温度勾配を大きくし、
    結晶化が完了した後は結晶内の温度分布を均一にした状態に保った後に冷却する
    ことを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 縦型ブリッジマン法により単結晶を製造する単結晶製造装置において、
    原料を配置した筒状の炉芯管と、
    前記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における前記炉芯管内の温度を制御して前記炉芯管内の前記原料を熔解する熔解手段と、
    前記炉芯管の外周側を被覆するように配置されるとともに、該被覆された領域における前記炉芯管内の温度を制御して前記炉芯管内における前記原料の結晶化後に該結晶を凝固点よりも低い温度で保持する均熱手段と
    を有し、
    前記熔解手段と前記均熱手段とを所定の間隙を有するようにして分離して配置し、前記炉芯管の外周面において前記熔解手段と前記均熱手段とにより被覆されていない領域を形成した
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
  3. 請求項2に記載の単結晶製造装置において、さらに、
    前記所定の間隙を可変する可変手段を
    有することを特徴とする単結晶製造装置。
  4. 請求項2または3のいずれか1項に記載の単結晶製造装置において、さらに、
    前記熔解手段による前記炉芯管内の温度の制御と前記均熱手段による前記炉芯管内の温度の制御とは互いに独立制御可能である
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
  5. 請求項2、3または4のいずれか1項に記載の単結晶製造装置において、
    前記熔解手段により制御された前記炉芯管内の最高温度は、前記原料の融点よりも少なくとも70℃以上高温である
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
  6. 請求項2、3、4または5のいずれか1項に記載の単結晶製造装置において、
    前記熔解手段は、前記原料が熔解されて結晶化する際の固体と液体との界面近傍の温度勾配が15℃/cm以上となるように温度制御し、
    前記均熱手段は、前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を前記原料の融点よりも低い温度に制御する
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
  7. 請求項2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の単結晶製造装置を用いた縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、
    結晶成長が完了した後に、前記熔解手段によって前記熔解手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を降下し、
    前記均熱手段によって前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を結晶の融点よりも低い温度で24時間以上保持した後に、前記均熱手段によって前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を室温まで冷却する
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
  8. 請求項3に記載の単結晶製造装置を用いた縦型ブリッジマン法による単結晶の製造方法において、
    前記熔解手段により前記原料を熔解して結晶化した後に、前記熔解手段によって前記熔解手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を降下させながら、前記均熱手段によって前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を上昇させ、
    前記可変手段により前記熔解手段と前記均熱手段との間の前記間隙をなくした後に、前記均熱手段によって前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を結晶の融点よりも低い温度で24時間以上保持してから、前記均熱手段によって前記均熱手段により被覆された領域における前記炉芯管内の温度を室温まで冷却する
    ことを特徴とする単結晶製造装置。
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