従来のパンツ型使い捨ておむつは、パンツ本体と吸収体とが一体化されているため、着用者が失禁などで吸収体を汚してしまった場合、パンツ本体を含めて全体を廃棄する必要があった。このため、使用者側における経済的な負担が著しく嵩んでしまう欠点を有する。
洗濯を行うことにより反復使用できるようにした失禁パンツは、このような経済的な負担を軽減できるものの、吸収体を構成する部分が布帛を主体としているため、使い捨ておむつで用いられる吸収体の如き充分な吸収力を持っていない。このため、軽失禁には対応できても、通常の排尿や排便などには対応できないという問題がある。
パンツ本体の内側に吸収パッドを交換可能に装着できるようにしたものは、上述した失禁パンツほどではないけれども、パンツ本体を繰り返し使用できる点で先のパンツ型使い捨ておむつよりも使用者側の経済的負担を軽減することが可能である。しかも、吸収パッドの能力によっては通常の漏れや排便などにも対応させることができる。しかしながら、吸収パッドを交換する場合、特に寝たきり状態の病人などにおいては、その腰の部分をベッドから浮かせ、この状態にてパンツ本体をずり下ろして吸収パッドを交換した後、再びパンツ本体を正規の位置まで引き上げる必要があり、この作業のために介護者に多大な肉体的負担を強いる欠点があった。このような不具合は、寝たきり状態の病人などの介護を対象とした場合、先の失禁パンツやパンツ型使い捨ておむつも同様に生ずる。しかも、パンツ本体を着用者の正規の位置まで引き上げる際に、吸収パッドの位置がずれたり、折れ曲がってしまうおそれもあった。
[発明の目的]
本発明の目的は、着用状態にあるパンツ本体に対して吸収パッドを容易かつ迅速に交換し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明の他の目的は、このような吸収性物品を構成するパンツ本体を提供することにある。
本発明の第1の形態は、ウエスト周り開口部,一対の脚周り開口部,液通過部を有するパンツ本体と、このパンツ本体の外側から交換可能に接合されて前記液通過部を覆う吸収パッドと、この吸収パッドの少なくとも前後両端部を前記パンツ本体に対して交換可能に接合するための接合手段とを具え、前記液通過部が尿通過用の前部開口および便通過用の後部開口を有することを特徴とする吸収性物品にある。
本発明の第1の形態による吸収性物品において、液通過部の前部開口および後部開口に近接して配される弾性部材をさらに具えることができる。
ウエスト周り開口部の開口端に沿って伸長状態で配され、ウエスト周りギャザーを形成するための弾性部材と、脚周り開口部の開口端に沿って伸長状態で配され、脚周りギャザーを形成するための弾性部材とをさらに具えたものであってよい。この場合、脚周りギャザーを形成するための弾性部材の一部を前部開口および後部開口に近接して配することができる。
吸収パッドは、少なくともその長手方向両端部において、パンツ本体に分離可能な接合手段を有することができる。
パンツ本体が液透過性のメインシートと、液通過部の周囲の少なくとも吸収パッドが重ね合わされるメインシートの部分に一体的に接合される液不透過性または撥液性のカバーシートとを有するものであってよい。
吸収パッドが液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配される吸収体とを有するものであってよい。この場合、表面シートに重ねて配され、液通過部と対応した形状の開口が形成された液不透過性または撥液性のカバーシートをさらに有することができる。また、この吸収パッドは、表面シートの左右両側縁に沿って配される一対のギャザーシートと、この一対のギャザーシートの自由端縁側に伸長状態で配されてそれぞれ立体ギャザーを形成するための弾性部材とをさらに有することができる。
本発明の第2の形態は、ウエスト周り開口部と、一対の脚周り開口部と、外側から交換可能に接合される吸収パッドによって覆われる液通過部とを具え、前記液通過部が尿通過用の前部開口と便通過用の後部開口とを有することを特徴とするパンツ本体にある。
本発明の第2の形態によるパンツ本体において、前部開口および後部開口に近接して配される弾性部材をさらに具えることができる。
本発明によると、パンツ本体のウエスト周り開口部が着用者のウエストを囲むと共に一対の脚周り開口部が着用者の脚の付け根部分を囲むようにパンツ本体が着用される。しかる後、パンツ本体の液通過部を覆うように接合手段を介して吸収パッドをパンツ本体の適切な位置に装着するが、パンツ本体を着用する時点でパンツ本体に吸収パッドを装着しておくことも可能である。吸収性物品の着用者の排泄物は、パンツ本体の液通過部から吸収パッドに吸収保持される。吸収パッドの交換を行う必要が生じた場合には、排泄物を保持している吸収パッドをパンツ本体を着用した状態で接合手段を介してパンツ本体から取り外し、新たな吸収パッドをパンツ本体の液通過部を覆うように接合手段を介して再びパンツ本体の適切な位置に装着する。
本発明におけるパンツ本体は、綿,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンなどの単繊維、またはポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロンなどを2種類以上組み合わせた複合繊維などを用い、親水性または疎水性の不織布,織布などで構成することができるが、このようなものに限定されるわけではなく、パンツ本体に対する要求に応じて最適なものを採用すればよい。パンツ本体の着用感を向上させるため、パンツ本体を前身頃や後身頃などの複数の部分に分け、これらを相互に縫い合わせたり、接着剤やヒートシールなどを用いて相互に接合し、立体的に形成することが望ましい。
パンツ本体に対して吸収パッドを交換可能に接合するための接合手段として、ボタンやホックなどの他に面ファスナや粘着テープなどを用いることが可能である。
吸収パッドは、少なくともその長手方向両端部において、前記パンツ本体に分離可能な接合手段を有するものであってよい。
吸収パッドの表面シートは、裏面シートと同じか、それよりも大きな寸法を有することができ、単一のシートで構成してもよいが、単一のシートに限定されず、吸収体の上面とその左右両側縁部とを別々のシートで覆うなど、複数枚のシートを接合することで構成してもよい。複数枚のシートで表面シートを構成する際、各シートは別の素材を使っても良いが、同一の素材でも良い。この表面シートは、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンなどの単繊維、またはポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロンなどを2種類以上組み合わせた複合繊維などを用い、親水性または疎水性の不織布,織布,多孔性プラスチックフィルムなどで構成することができる。特に、ポリエステル/ポリエステル,ポリエステル/ポリエチレン,ポリプロピレン/ポリエチレンの複合繊維が強度の面から好ましいけれども、これらに限定されるわけではなく、表面シートに対する要求に応じて最適なものを採用すればよい。
吸収パッドの吸収体は、綿状パルプ,高吸収性ポリマー(以後省略してSAPという),親水性シートなどで構成されるが、特に制限を受けるものではなく、従来の使いすておむつその他の吸収性物品に通常使用される公知の吸収体であってよい。すなわち、綿状パルプやレーヨンなどの吸収性繊維からなる単層または多層のマットを親水性シートで覆い、SAPを各マット中に均一に混合または各マット間に層状に介在させたものであってよい。あるいは、綿状パルプに対して3〜60重量%の熱融着性物質を混合して熱圧着してもよいし、SAPのみを親水性シートで囲繞したものであってもよい。
上述した親水性シートとしては、ティシュ,吸収紙,親水性不織布などを採用することができる。
綿状パルプは、化学パルプシートや機械パルプシートを粉砕機で解繊することにより得られる5mm以下の繊維長のものが用いられる。パルプ原料としては、針葉樹に限らず、広葉樹,わら,竹およびケナフなども利用可能であり、古紙パルプを使用してもよい。この綿状パルプの使用量は、目的とする吸収パッドの吸収特性に応じて単独で用いるか、複数積層して用いるか、他の吸収体を併用するかなどによって異なるが、一般的には50〜400g/m2に設定される。
SAPは、自重の20倍以上の尿や体液などの水分を吸収するものであり、デンプン系,セルロース系,合成ポリマー系のものを挙げることができる。すなわち、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体,デンプン−アクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化物,デンプン−メタクリル酸メチルグラフト共重合体のケン化物,デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物,デンプン−アクリルアミドグラフト共重合体のケン化物,アクリル酸(塩)重合体,アクリル酸で架橋されたポリエチレンオキシド,ナトリウムカルボキシメチルセルローズの架橋物,ポリビニールアルコール−無水マレイン酸反応物の架橋物などであり、特にポリアクリル酸ナトリウム系のものが吸収性能の点から最も好ましい。SAPの分布量は、乾燥した綿状パルプ100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは15〜300重量部であり、これを綿状パルプに実質的に均一に分布させる。SAPが尿や体液などを吸収して膨潤した場合、その粒子相互の干渉が最小に止められ、連続的に接触して透過障壁を形成することが少なく、尿や体液を3次元方向に透過して吸収することが望ましい。
着用時における吸収パッドに対する違和感を改善するため、吸収体を圧縮して嵩密度を高めることが有効である。具体的には、外周面が平滑なロールなどにより、吸収体の密度がその全体に亙って実質的に均一となるように連続する面状に圧縮してもよいし、外周面に凹凸が形成されたロールなどにより、吸収体にその嵩密度が部分的に異なるエンボス加工を施し、尿や体液などを縦方向や斜め方向に導くように圧縮成形することも有効である。このエンボス加工を行う場合、圧縮部分と非圧縮部分とが連続または不連続の何れであってもよい。
吸収体の形状は液通過部の輪郭形状に対応させてもよいが、必ずしも対応させる必要はなく、矩形でも砂時計型でもよく、従来の使いすておむつや、その他の吸収性物品において通常使用される公知の形状の何れでもよく、特に制限されるものではない。
吸収パッドの表面シートに重ねて液不透過性または撥液性のカバーシートを配設した場合、表面シート自体に液体の拡散性を持たせるようにしてもよい。あるいは、表面シートに面する吸収体の表層側の少なくとも一部に拡散層としての拡散シートを介在させることも有効である。着用者の体型や着用状態などによって表面シートと吸収体との間にトラップ用の充分な空隙を形成することが困難な場合でも、この拡散シートを介して尿や体液などを吸収体側へ迅速に導くことができるため、吸収体による吸収速度を低下させることなく、尿や体液などの漏れを防ぐことが可能となる。拡散シートは、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,レーヨン,パルプまたはこれらの複合繊維などを用い、親水性かつ液透過性の不織布,織布,多孔性プラスチック,綿状パルプなどで構成され、表面シートと吸収体との間または吸収体の表面に接着剤などを用いて固定されるが、特にこれらに限定されるものではない。
吸収パッドの裏面シートは、ポリエチレンなどの液不透過性フィルムまたは液不透過性フィルムと不織布との貼り合わせ材や、液不透過性フィルムと織布との貼り合わせ材などで構成することができる。
吸収パッドに配されるギャザーシートは、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンなどの単繊維またはポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロンなどを2種類以上組み合わせた複合繊維などを用い、親水性または疎水性の不織布,織布,多孔性プラスチックフィルムなどで構成される。特に、ポリエステル/ポリエステル,ポリエステル/ポリエチレン,ポリプロピレン/ポリエチレンの複合繊維が強度の面から好ましいけれども、ギャザーシートの構成として、これらに制限されるものではない。
表面シートまたは裏面シートをそれらの左右両側縁部から延在させることによって、ギャザーシートを形成することも可能であるが、上述した拡散シートや、これらに対して独立したシートを表面シートや裏面シートに貼り合わせることによって形成することも可能である。
ウエスト周りギャザーを形成するための弾性部材や、脚周りギャザーを形成するための弾性部材、あるいは立体ギャザーを形成するための弾性部材は、何れも天然ゴム,合成ゴム,ウレタンなどを用い、糸状,ひも状,ネット状,テープ状に形成したものをホットメルト,澱粉系またはCMC(カルボキシメチルセルロース)などの水溶性の糊あるいは高流動性接着剤,熱,超音波などを用いてそれぞれ伸長状態で接合する。
本発明の吸収性物品によると、パンツ本体に液通過部を形成し、この液通過部を覆う吸収パッドをパンツ本体の外側から接合手段を介して交換可能に接合するようにしたので、パンツ本体を着用したまま必要に応じてその外側から極めて容易かつ適切な位置に吸収パッドのみを素早く交換することができると共に、パンツ本体を繰り返し使用することによって、その経済的負担を軽減させることが可能である。しかも、吸収パッドの交換時にパンツ本体を脱ぐ必要がないので、特に介護用の吸収性物品として着用者の身体的負担や羞恥心をより軽減することができる。さらに、液通過部が尿通過用の前部開口と、便通過用の後部開口とを有するので、尿と便とを分けて尿などを迅速に吸収パッド側に導いて吸収させることができ、便などの処理も可能となる。
ウエスト周りギャザーを形成するための弾性部材をパンツ本体のウエスト周り開口部の開口端に沿って伸長状態で配する一方、脚周りギャザーを形成するための弾性部材を脚周り開口部の開口端に沿って伸長状態で配した場合には、パンツ本体の着用感を向上させることができる。
吸収パッドの少なくとも長手方向両端部にパンツ本体に分離可能な接合手段を設けた場合には、吸収パッドの着脱を容易に行うことができる。
パンツ本体が液透過性のメインシートと、液通過部の周囲の少なくとも吸収パッドが重ね合わされるメインシートの部分に一体的に接合される液不透過性または撥液性のカバーシートとを有する場合には、液通過部の周囲のパンツ本体と接する着用者の皮膚の部分を乾燥状態に保って不快感をより軽減させることができる。
吸収パッドが液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配される吸収体とを有する場合には、表面シートによって着用者の皮膚に吸収体が直接触れることなく、しかも裏面シートによって漏れを確実に防ぐことができる。
吸収パッドが表面シートの左右両側縁に沿って配される一対のギャザーシートと、この一対のギャザーシートの自由端縁側に伸長状態で配されてそれぞれ立体ギャザーを形成するための弾性部材とをさらに有する場合には、吸収パッドの左右両側縁からの漏れを防ぐことができる。
本発明のパンツ本体によると、ウエスト周り開口部と、一対の脚周り開口部と、外側から交換可能に接合される吸収パッドによって覆われる液通過部とを具えたので、パンツ本体を着用したまま必要に応じてその外側から極めて容易かつ適切な位置に吸収パッドのみを素早く交換することができ、パンツ本体を繰り返し使用することによって、その経済的負担を軽減させることが可能である。しかも、吸収パッドの交換時にパンツ本体を脱ぐ必要がないので、特に介護用の吸収性物品として着用者の身体的負担や羞恥心をより軽減することができる。さらに、液通過部が尿通過用の前部開口と、便通過用の後部開口とを有するので、尿と便とを分けて尿などを迅速に吸収パッド側に導いて吸収させることができ、便などの処理も可能となる。
本発明による吸収性物品の実施例について、その参考例と共に図1〜図29を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限らず、これらをさらに組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の任意の技術にも当然応用することができる。
図1は、失禁パンツとしての参考例における吸収性物品の吸収パッド11とパンツ本体12とを分離した状態を示す斜視図である。また、図2は、その吸収パッド11の一部切り欠き展開図である。図1および図2において、吸収パッド11は、液透過性の表面シート13と液不透過性の裏面シート14との間に吸収体15を配置し、吸収体15の側縁から延出するシート部分でサイドフラップ16を形成しており、前身頃部11Fおよび後身頃部11Rの長手方向両端に位置する部分にパンツ本体12との接合手段17を有している。パンツ本体12は、後身頃部12R,股間部12Cおよび前身頃部12Fを有し、股間部12Cには、液透過シート18(図中、斜線で示す領域)が配置されており、後身頃部12Rおよび前身頃部12Fには吸収パッド11との接合手段19が設けられている。
ウエスト周り開口部12Wと一対の脚周り開口部12Lとを有するパンツ本体12は、着用時には接合手段17,19により吸収パッド11と一体化しており、トイレなどで排尿したいときは、通常のパンツと同じ様に吸収パッド11ごと着脱が可能である。このため、非常にフィット性に優れ、違和感なく装着が可能である。また、失禁が生じたときは、パンツ本体12を脱ぐことなく、外側に配置された吸収パッド11のみを外し、新規の吸収パッド11を配置するだけなので、非常に簡便であるだけではなく、下半身を露出させる必要がないため、羞恥心を軽減することができる。
一般に使用されている使い捨てパンツ型おむつは、失禁により吸収パッド11の部分が汚れてしまったとき、腹側部および背側部の両側部に形成された接合部を外して簡単に取り外しできるが、新規の使い捨てパンツ型おむつを装着するためには、ズボンなども一度脱いでから新たに装着するという手間が必要であった。また、このように吸収パッド11のみではなく、パンツ本体12も廃棄してしまうため、コストも高く、経済的負担も大きかった。使い捨てパンツ型おむつの内側に配置した尿パッドを交換する場合であっても、自身でパンツの着脱が可能な着用者にとっては、パンツを下ろして下半身を露出させて尿パッドを交換するという行為は、羞恥心を助長させるものであった。また、内側に配置した尿パッドが、着用者が使い捨てパンツ型おむつを引き上げる際に折れ曲がってしまい、液不透過性の裏面シートが着用者の肌面にきて、排尿時に尿を吸収できずに漏れてしまうという問題もあった。
本参考例では、吸収パッド11とパンツ本体12の両方に接合手段17,19を有しているが、両者が結合することができれば良く、接合手段17,19の一方のみ配置するだけでも良い。一例を示すと、パンツ本体12のシートがコットンや毛羽立ちの良い不織布で構成されており、吸収パッド11の接合手段17が面ファスナのフック材で構成されている場合、パンツ本体12には特に接合手段19を設ける必要はない。また、これらの素材がパンツ本体12と吸収パッド11で逆に配置されていても問題はない。吸収パッド11にのみ接合手段17が設けられており、パンツ本体12のどこにでも結合できる場合は、接合手段19を定めることなく、簡単に両者を一体化することができ、非常に簡便である。逆に、パンツ本体12にのみ接合手段19を設けており、吸収パッド11に接合手段17を設けない場合は、排尿後に毎回廃棄する吸収パッド11に余分な部材を配置する必要がないため、安価に製造が可能になり、経済的負担を軽減できる。
本参考例における吸収パッド11の結合位置は、前身頃部12Fおよび後身頃部12Rであるが、前身頃部12Fおよび股間部12Cでも良い。夜間なども使用する場合は、仰向け状態における着用者の臀部での吸収も目的として後身頃部12Rまで吸収パッド11を配置する必要はあるが、日中のみであれば前身頃部12Fと股間部12Cのみでも良い。前身頃部12Fと股間部12Cのみの場合は、吸収パッド11も長手方向に短くなり、安価に製造できる。また、着用者が取り替える場合も、吸収パッド11装着時に後身頃部12Rまで手をまわす必要がなく、装脱着がさらに簡便になる。
パンツ本体12の股間部12Cに、液透過シート18を別途配置する場合は、吸収パッド11と同等の長さでも良いが、着用者の排尿部位だけに配置しても良い。好ましくは、着用者の排尿時の姿勢などによる排泄物の流れに対しても対応できるように、吸収パッド11と同等の長さを有している。また、少なくとも液透過シート18は、吸収パッド11の表面シート13よりもシート自身の水分保持量が少なく、サラット感が良い。
図2において、吸収パッド11は液透過性の表面シート13と液不透過性の裏面シート14との間に砂時計型の吸収体15が配置され、吸収体15の側縁から延出したシート部分でサイドフラップ16を形成している。吸収パッド11は、後身頃部11R、股間部11Cおよび前身頃部11Fを有し、後身頃部11Rおよび前身頃部11Fには、吸収パッド11の長手方向両端部の位置に、着用時に後身頃部11Rと前身頃部11Fをパンツ本体12に接合させるように、表面シート13側に接合手段17が設けられている。
パンツ本体12の股間部12Cに対応する吸収パッド11の股間部11Cの幅寸法は、パンツ本体12の股間部12Cと同じ幅であっても良いが、異なっていても良い。同じ幅である場合は、装着時の股間部におけるごわつきもなく、フィット感が良い。吸収パッド11の幅がパンツ本体12よりも広い場合、股間部12Cにおいてパンツ本体12と吸収パッド11の間に空隙が形成され、吸収パッド11を薄型化した場合でも、この空隙が尿の一時保持領域となって漏れを防止し、好適に使用できる。
吸収パッド11の両側部に長手方向に沿って、脚周り弾性部材や立体ギャザーを配置しても良い。脚周り弾性部材は、吸収パッド11の股間部11Cの領域にある表面シート13と裏面シート14との間に配置される。
立体ギャザーは内倒しでも良いが、外倒しや立体ギャザーの一部で折り返しのあるC折りやZ折りなどの立体ギャザーを配置しても良い。配置する際に一対である必要はなく、これらを適宜組み合わせて、複数組の立体ギャザーを配置しても良い。また、立体ギャザーを形成する弾性部材も1本でも良いが、複数本配置しても良い。立体ギャザーの基端部を吸収体15の幅方向外側に設置しても良いが、吸収体15の上や脚周り弾性部材の上でも良く、特に限定されない。
立体ギャザーの高さは、5mm以上100mm以下である。5mm未満では吸収パッド11上に排泄物が滞留した場合、十分な堰とはなり得ない。100mmを越えると、股間部12Cで吸収パッド11の上面を覆ってしまい、却って漏れの原因になることや、立体ギャザーが吸収パッド11の外側に延出してこれが吸収パッド11の外側への尿の流路となり、漏れの原因になることがある。
吸収体15は、砂時計型である必要はなく、矩形やT字型であっても良い。吸収パッド11をパンツ本体12の前身頃部12Fから股間部12Cに亙ってのみ配置する場合は、股間でのフィット感を向上させるため、T字型であることが好ましいが、特に限定されない。
図3〜図5は、図2とは異なる実施例の図であり、吸収パッド11の接合手段17の配置を示している。図3の実施例では、接合手段17が吸収パッド11の周囲に亙って配置されている。この場合、吸収パッド11とパンツ本体12との間に隙間が生じることがなく、漏れ防止効果が高い。図4に示した実施例は、接合手段17が吸収パッド11の長手方向両端部と両端付近の両側部にコの字状に配置されている。この場合は、吸収パッド11の股間部11Cに脚周り弾性部材と立体ギャザーを配置した場合など、吸収パッド11側にギャザーが寄って、パンツ本体12とぴったりと貼り合わせることが難しい場合や、脚周りの動きによって吸収パッド11の動きを制限したくない場合などに適している。図5に示した実施例は、接合手段17が吸収パッド11の長手方向両端部の一部分にのみ配置されている。この場合、接合手段17の配置面積が小さくなるため、安価に製造でき、経済性が高い。
これら接合手段17は、これらの例に限定されず、図2の実施例や図4,図5に示された実施例などを適宜組み合わせても良い。また、パンツ本体12の接合手段19も、吸収パッド11の接合手段17の配置位置に合わせて適宜変更が可能である。
また、接合手段19をパンツ本体12にのみ配置する場合、これら吸収パッド11の配置位置の参考例に倣って各種配置する方法があり、特に限定されない。
図6は、図1のパンツ本体12の一例を示す展開図である。これは布製のショーツの例であり、図6において、パンツ本体12は前身頃部12Fと股間部12Cと後身頃部12Rとを有し、股間部12Cには液透過性が高く水分保持力の低い液透過シート18(図中、斜線で示す領域)が配置されており、前身頃部12Fと後身頃部12Rとには吸湿性があり、伸縮性のあるメインシート20が別途配置されている。この後身頃部12Rの左右のサイドフラップ16′を接合してベルト状にし、その下部に前身頃部12Fの端部を重ね合わせて縫製することにより、パンツ本体12が形成される。本参考例では、図6における後身頃部12Rの左右のサイドフラップ16′の両側領域が、パンツ本体12の前身頃部12Fの一部を形成することになる。
パンツ本体12のウエスト周りや脚周りにフィット性を高めるため、別途弾性部材を配置しても良い。
液透過性が高く水分保持力の低い素材にてパンツ本体12全体を形成した場合、股間部12Cと前身頃部12Fおよび後身頃部12Rのシートを別体にする必要はなく、同一でも良い。
図7は、図6とは別の参考例を示し、図1のパンツ本体12の展開図である。図7において、パンツ本体12の幅方向中央領域(図中、斜線で示す領域)に長手方向全長に亙って液透過シート18が配置されており、股間領域において液透過シート18の両側部に脚周りギャザー21G(図1参照)を形成するための脚周り弾性部材21が配置されている。また、長手方向両端部にウエスト周りギャザー22G(図1参照)を形成するためのウエスト周り弾性部材22が配置されている。パンツ本体12のサイドフラップ16′には、伸縮性を有するサイドシート23が配置されており、これはメインシート20と同じものであってよい。これら前身頃部12Fおよび後身頃部12Rのサイドフラップ16′を貼り合わることにより、パンツ本体12が形成される。
図8は、図6,図7とは別の参考例を示し、図1のパンツ本体12の展開図である。図8において、パンツ本体12の長手方向中央領域(図中、斜線で示す領域)に液透過シート18が配置されており、股間部12Cにおいて後身頃部12Rおよび前身頃部12Fから湾曲して配置された脚周り弾性部材21により脚周りギャザーが形成される。また、長手方向両端部にウエスト周り弾性部材22が配置されている。これら前身頃部12Fおよび後身頃部12Rのサイドフラップ16′を貼り合せることにより、パンツ本体12が形成される。
脚周り弾性部材21は、必ずしも股間部12Cで交差する必要はない。また、配置しない構成とすることもできる。
パンツ本体12の構成方法は、これら図6〜図8に限定されない。形として、パンツの形状を保っていれば良く、好ましくは、股間部12Cの領域に液通過部としての液透過シート18が配置され、吸収パッド11との結合手段19を有するものである。
上述した参考例では吸収性物品として失禁パンツを意図しているが、パンツ本体12の前身頃部12Fの下部から股間部12Cを通って後身頃部12Rの下部に至る細長い股間開口部を形成した場合には、排便用にも対応させることができる。
このような吸収性物品の別な参考例における外観を分解状態で図9に示し、その主要部の中央縦断面形状を図10に示し、そのパンツ本体の部分を展開して図11に示すが、先の参考例と同一機能の要素にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略する。
図9において、吸収パッド11は、液透過性の表面シート13と液不透過性の裏面シート14との間に吸収体15を配置し、吸収体15の側縁から延出したシート部分にてサイドフラップ16を形成しており、吸収パッド11の長手方向両端の部分にパンツ本体12との接合手段17を有している。パンツ本体12は、後身頃部12R,股間部12Cおよび前身頃部12Fを具え、股間部12Cには股間開口部24が形成され、後身頃部12Rおよび前身頃部12Fには吸収パッド11との接合手段19が設けられている。
この吸収性物品の着用時には、吸収パッド11とパンツ本体12とが接合手段17,19により一体化しており、トイレなどで排尿したいときは、通常のパンツと同じ様に吸収パッド11毎着脱が可能である。このため、非常にフィット性に優れ、違和感なく装着が可能である。また、失禁が生じたときは、パンツ本体12を脱ぐことなく、外側に配置された吸収パッド11のみを外し、新規の吸収パッド11を配置するだけなので、非常に簡便である。
一般に使用されている使い捨てパンツ型おむつは、失禁により吸収性本体部分が汚れてしまったとき、腹側部と背側部の接合部を外して簡単に脱着できるが、新規の使い捨てパンツ型おむつを装着するためには、ズボンなども一度脱いでから新たに装着するという手間が必要であった。また、このように吸収パッドのみならず、パンツ本体12の部分も廃棄してしまうため、コストも高く、経済的負担も大きかった。使い捨てパンツ型おむつの内側に配置した尿パッドを交換する場合であっても、内側に配置した尿パッドが、着用者が使い捨てパンツ型おむつを引き上げる際に折れ曲がってしまい、液不透過性の裏面シートが着用者の肌面にきて、排尿時に尿を吸収できずに漏れてしまうという問題もあった。
本参考例では、吸収パッド11およびパンツ本体12の両方に接合手段17,19を有しているが、両者が結合することができれば良く、接合手段17,19の何れか一方のみを配置するだけでも良い。例えば、パンツ本体12シートがコットンや毛羽立ちの良い不織布で構成され、吸収パッド11の接合手段17が面ファスナのフック材で構成されている場合、パンツ本体12には特に接合手段19を設ける必要はない。また、これらの素材がパンツ本体12と吸収パッド11とで逆に配置されていても問題はない。吸収パッド11にのみ接合手段17が設けられ、パンツ本体12のどこにでも結合できる場合は、接合手段19を定めることなく、簡単に両者を一体化することができ、非常に簡便である。逆に、パンツ本体12にのみ接合手段19を設け、吸収パッド11に接合手段17を設けない場合は、排尿後に毎回廃棄する吸収パッド11に余分な部材を配置する必要がないため、安価に製造が可能になり、経済的負担を軽減できる。
本参考例におけるパンツ本体12は、図9〜図11に示すように、股間開口部24がパンツ本体12の股間部12Cに1箇所形成されている。この股間開口部24は少なくとも排尿位置と排便位置とを含む大きさであり、男性と女性で位置や大きさを異なるものにしても良いし、両方をカバーし得る位置や大きさのものでも良い。好ましくは、多少のずれに対しても、排尿位置や排便位置が股間開口部24に入るように大きめに設定する方が良い。本参考例では、排尿位置と排便位置の両方をカバーし得る股間開口部24によって、いずれの排泄に対しても、対応可能である。
図12〜図14は、パンツ本体12に形成される開口部の異なる例をそれぞれ示すパンツ本体12の展開図である。
図12は、パンツ本体12の股間部12Cの排尿位置に前部開口部25が形成された参考例を示している。この前部開口部25は少なくとも排尿位置を含む大きさであり、男性と女性で位置や大きさを分けても良いし、両方をカバーし得る位置や大きさのものでも良い。男性用の場合、陰茎部のみを通す大きさでも良いし、睾丸までを通す大きさであっても良い。好ましくは、陰茎部のみを通す大きさである。また、開口部25をスリット状にして、このスリットに着用者の陰茎部を挟むようにして使用する構造としても良い。睾丸をパンツ本体12内に収めることで、睾丸が尿などによって汚れることがなく、カブレなどを防止できる。本参考例では,排便はトイレで可能であるが、排尿のみ漏れが生じる場合などに対応が可能である。
図13は、パンツ本体12の股間部12Cの排便位置に後部開口部26を1箇所形成した参考例を示している。後部開口部26は少なくとも排便位置を含む大きさである。本参考例では、手術などにより、尿道が腸に繋がってしまい、肛門からのみ漏れが生じる場合や、薬の服用などにより、急激な便意により排便のみトイレに間に合わない場合などに、対応が可能である。
図14は、パンツ本体12の股間部12Cに前部開口部25と後部開口部26とを形成した実施例を示している。これら2つの開口部25,26は少なくとも排尿位置と排便位置に対応して形成され、排尿位置にある前部開口部25は、男性と女性で位置や大きさを分けても良いし、両方をカバーし得る位置や大きさのものでも良い。また、これら2つの開口部25,26は同じ大きさでも良いが、異なる大きさであっても良い。本実施例では、排尿位置と排便位置の両方に2つの開口部25,26を形成したことで、いずれの排泄に対しても対応可能である。
図15〜図18は、パンツ本体12に吸収パッド11を配置した状態の展開平面図である。
図15は、吸収パッド11を前身頃部12Fから後身頃部12Rにかけて配置した実施例を示しており、上述したすべての参考例および実施例に対して有効である。つまり、排尿位置に対応して前部開口部25のみ形成した場合や、排便位置に対応して後部開口部26のみを形成した場合であっても、吸収パッド11を前身頃部12Fから後身頃部12R全体に亙って配置することで、排泄物が流れた場合でも容易に吸収ができ、また、排便などの場合はパンツ本体12と吸収パッド11との間に大きな空隙を形成してこれを収容することができるため、漏れ防止効果も高くなる。
図16は、吸収パッド11を前身頃部12Fから股間部12Cにかけて配置した参考例である。失禁パンツの場合、吸収パッド11を前身頃部12Fから股間部12Cにのみに配置することで、吸収パッド11が長手方向に短くなり、安価に製造することができる。また、着用者も吸収パッド11装着時に後身頃部12Rまで手をまわす必要もなく、装脱着がさらに簡便になる。
図17は、吸収パッド11を股間部12Cから後身頃部12Rにかけて配置した参考例である。排便用に応じて後部開口部26のみ形成した場合、吸収パッド11を股間部12Cから後身頃部12Rにのみ配置することで、吸収パッド11が長手方向に短くなり、安価に製造することができる。また、この場合、便専用の吸収パッド11とすることができる。便専用の吸収パッド11は、尿吸収の必要がないため、ごく少量の吸収体15を配置だけでよく、非常に安価に製造できる。吸収体15を完全になくした吸収パッド11とすることも可能である。
図18は、排尿位置と排便位置とにそれぞれ吸収パッド11を配置した実施例を示している。2つの吸収パッド11は同じ物でも良いが、異なる構成のものでも良い。2つの吸収パッド11を配置する場合、排尿で濡れる部分が前身頃部12Fから股間部12Cのみになるため、臀部が濡れることなく、褥瘡予防に効果がある。また、便が排尿部位まで広がらないため、排尿部位からの感染の予防にもなる。さらに、便で汚れる部分が排便部分の後部開口部26近傍だけになるため、皮膚の清浄などが簡便である。
図19〜図22は、吸収パッド11の接合手段17の配置状態をそれぞれ表す平面図である。
図19に示す実施例では、接合手段17は吸収パッド11の周囲に亙って配置されている。この場合、吸収パッド11とパンツ本体12との間に隙間が生じることがなく、漏れ防止効果が高い。
図20は、接合手段17が吸収パッド11の長手方向両端部に鍵の手状に配置された実施例を示している。この場合、吸収パッド11の股間部11Cに脚周り弾性部材を配置した場合など、吸収パッド11側にギャザーが寄って、パンツ本体12とぴったりと貼り合わせることが難しい場合や、脚周りの動きによって吸収パッド11の動きを制限したくない場合などに適している。
図21は、接合手段17が吸収パッド11の長手方向両端部にのみ配置された実施例を示す。この場合、接合手段17の配置面積が小さくなるため、安価に製造でき、経済性が高い。
図22は、接合手段17が吸収パッド11の長手方向両端部の一部にのみ配置した実施例を示している。この場合、接合手段17の配置面積がさらに小さくなるため、安価に製造でき、経済性が高く、また、着用者の動きによるウエスト周りのパンツ本体12の伸縮を妨げることなく追従することが可能になる。
図20〜図22に示された実施例を適宜組み合わせ、これらの接合手段17の配置を設定することも可能である。また、パンツ本体12の接合手段19も、吸収パッド11の接合手段17の配置位置に合わせて適宜変更が可能である。
また、一方の接合手段19をパンツ本体12に配置する場合、これら吸収パッド11の配置位置に応じて各種配置する方法があり、特に限定されない。
図23は、図9のパンツ本体12の他の展開図である。図23において、パンツ本体12は前身頃部12Fと股間部12Cと後身頃部12Rとを有し、股間部12Cには股間開口部24が形成され、全体がメインシート20で構成されている。このメインシート20は伸縮性があり、好ましくは吸湿性がある。後身頃部12Rの左右のサイドフラップ16′の両側部を接合してベルト状にし、その下部に前身頃部12Fの端部を接合することにより、パンツ本体12が形成される。
パンツ本体12のウエスト周りや脚周りにフィット性を高めるために別途弾性部材を配置しても良い。股間開口部24の周辺の一部もしくは全周に亙って弾性部材を配置しても良い。
パンツ本体12を単一のメインシート20のみで構成する必要はなく、複数の異なる性質を持ったシートをつなぎ合わせたり、重ね合わせてパンツ本体を形成することができる。
図24は、図23とは別の参考例を示し、図9のパンツ本体12の展開状態を表す。図24において、パンツ本体12の股間部12Cの排尿位置に前部開口部25が配置されており、股間部12Cの左右両側縁部に沿って脚周り弾性部材21が配置されている。また、長手方向両側部にウエスト周り弾性部材22が配置されている。これら前身頃部12Fおよび後身頃部12Rのサイドフラップ16′が貼り合わされることにより、パンツ本体12形成される。
前部開口部25の周囲の一部または全周に亙って弾性部材を配置しても良い。また、パンツ本体12のうち、サイドフラップ16′の部分をメインシート20とは異なる伸縮性を有するシートで形成することも可能である。
図25は、本発明の実施例を示し、図9のパンツ本体12の展開形状を表す。図25において、パンツ本体12の股間部12Cの排尿位置と排便位置とにそれぞれ前部開口部25と後部開口部26とが配置されており、股間部12Cにおいて後身頃部12Rおよび前身頃部12Fから湾曲して配置された脚周り弾性部材21により脚周りギャザーが形成される。また、長手方向両端部にウエスト周り弾性部材22が配置されている。これら前身頃部12Fおよび後身頃部12Rのサイドフラップ16′を相互に貼り合わせることにより、パンツ本体12が形成される。
脚周り弾性部材21は、必ずしも股間部12Cで交差する必要はない。また、特に配置されなくとも良い。これら2つの開口部25,26の周辺の一部または全周に亙って弾性部材を配置しても良い。
パンツ本体12を単一のメインシート20のみで構成する必要はなく、複数の異なる性質を持ったシートをつなぎ合わせたり、重ね合わせてパンツ本体12を形成することができる。
パンツ本体12の構成は、図11〜図14および図23〜図25に示した参考例や実施例に限定されない。形として、パンツの形状を保っていれば良く、開口部24〜26うちの少なくとも1つを有していればよい。また、パンツ本体12の形成方法および開口部24〜26の位置や大きさ,個数などは特に限定されず、何れの組み合わせでも良い。
本実施例における吸収パッド11の平面形状を図26に一部破断して示し、そのXXVII−XXVII矢視断面構造を図27に示す。すなわち、本実施例における吸収パッド11は、液不透過性の表面シート13と、液不透過性の裏面シート14と、これら両シート13,14の間に配される吸収体15と、表面シート13および裏面シート14の左右両側端縁部にそれぞれ接合され、表面シート13の上面を覆って配置され、かつ股間部11Cの位置に開口34を形成した撥水性のカバーシート28と、吸収パッド11の長手方向両端部に位置し、カバーシート28の上面に設けられた一対の接合手段17とを有する。本実施例では、カバーシート28に形成された開口34の長手方向両側縁部に沿って弾性部材31が伸長状態で配置され、立体ギャザー30が形成されている。本実施例では吸収体15と表面シート13との間に吸収体15の表面を覆う拡散シート32が介装され、吸収体15はこの拡散シート32の左右両側端縁部と共にティシュ33によって包まれた状態となっている。この拡散シート32は、尿などの液体を吸収体15の表面全域に迅速に拡散させるための機能を有する。本実施例における吸収パッド11は、その長手方向両端部における幅寸法を同じに設定しているが、股間部12Cに沿うように任意の形状に設定することができる。
本実施例では、カバーシート28の表面にパンツ本体12の股間開口部24に対応した形状の開口34を形成しており、このカバーシート28の開口34と股間開口部24とが連通状態となるように吸収パッド11をパンツ本体12に装着した場合、尿が吸収パッド11のカバーシート28の開口34から表面シート13を通過して拡散シート32へと導かれるため、パンツ本体12の外面が尿によって濡れるのを抑制することができる。このような観点から、カバーシート28の開口34をパンツ本体12の股間開口部24よりも小さめに設定することが有効である。また、吸収パッド11と重なり合うパンツ本体12の前身頃部12Fおよび股間部12Cの部分に液透過性を持たせることができ、股間開口部24以外からも尿を吸収パッド11側に迅速に導くことが可能となる。
吸収パッド11の股間部11Cの幅をパンツ本体12の股間部12Cと同じ幅に設定しても良いが、異なっていても良い。同じ幅である場合は、装着時の股間部のごわつきもなく、フィット感が良い。吸収パッド11の幅がパンツ本体12の股間部12Cよりも広い場合、股間部12Cにおいてパンツ本体12と吸収パッド11との間に空隙が形成され、吸収パッド11を薄型化した場合でも、この空隙によって尿などを一時的に保持することができるため、漏れを防止して好適に使用することができる。
吸収パッド11の長手方向に沿う両側部に、脚周り弾性部材を配置しても良い。脚周り弾性部材は、吸収パッド11の股間部11Cに位置するカバーシート28と裏面シート14との間に配置される。脚周り弾性部材は平行に配置されても良いが、曲線状でも良く、ハの字型に配置されても良い。
立体ギャザー30は、カバーシート28の他に、帯状のギャザーシートを吸収パッド11の長手方向に配置して形成しても良い。この場合、立体ギャザー30は内倒しでも良いが、外倒しや立体ギャザー30の一部で折り返しのあるC折りやZ折りなどの立体ギャザー30を配置しても良い。配置する際に一対である必要はなく、これらを適宜組み合わせて、複数組の立体ギャザーを配置しても良い。また、立体ギャザー30を構成する弾性部材31も1本でも良いが、複数本配置しても良い。立体ギャザー30の基端部を吸収体15の外側に設置しても良いが、吸収体15上や、脚周り弾性部材上でも良く、特に限定されない。
立体ギャザーの高さは、5mm以上100mm以下である。5mm未満では吸収パッド11の上に排泄物が滞留した場合、充分な高さの堰とはなり得ない。逆に100mmを越えると、股間部12C分で吸収パッド11の上面を覆ってしまい、却って漏れの原因になることや、立体ギャザー30が吸収パッド11の外側に延出して外部への尿などの流路となり、漏れの原因になることがある。
吸収体15は、砂時計型である必要はなく、矩形やT字型であっても良い。吸収パッド11をパンツ本体12の前身頃部12Fから股間部12Cに亙ってのみ配置する場合は、股間部12Cでのフィット感を向上させるために、T字型であることが好ましいが、特に限定されない。
吸収パッド11は、図示のように、長手方向両端部のそれぞれの幅が同じでも良いが、異なっていても良い。排尿位置や排便位置のみに配置する場合は、前身頃部12Fや後身頃部12Rに当たる端部の幅が股間部12Cに当たる端部の幅よりも広く形成されていても良い。また、排尿位置や排便位置のみに配置する吸収パッド11の場合は、脚周り弾性部材をパンツ本体12の脚周り開口部12Lに一致するように吸収パッド11の一方の長手方向端縁側に寄った形で配置しても良い。
図28は、吸収パッド11の他の実施例の断面構造を表し、液透過性の表面シート13と液不透過性の裏面シート14との間に拡散シート32とティシュ33とで包まれた吸収体15が配置され、吸収体15の両側部にはカバーシート28が配置されている。このカバーシート28は親水性でも良いが、好ましくは撥水性である。本実施例では、表面シート13の幅方向両側にカバーシート28を配置しているが、カバーシート28をなくして全体を液透過性の表面シート13で覆うようにしてもよい。
図29は、パンツ本体12に別体でカバーシート36を配置した実施例の展開形状を示している。図29において、前部開口部25および後部開口部26を有するパンツ本体12の外面排便側に、開口35を有するカバーシート36を配置し、そのさらに外側に吸収パッド11を2個配置するようにしている。カバーシート36の開口35がパンツ本体12の後部開口部26と合致するように、カバーシート36がパンツ本体12に接合される。この配置によって、パンツ本体12の開口部25,26を介して排泄された排泄物が吸収パッド11の表面で広がり、着用者の姿勢によって吸収パッド11がパンツ本体12に押し付けられた場合であっても、カバーシート36によってパンツ本体12の外側が覆われた状態となっているため、パンツ本体12の外側部を汚すことなく使用できる。
カバーシート36は粘着剤や機械的接合など、周知の接合手段によって、一部もしくは全面がパンツ本体12の外側に接合されている。このカバーシート36は、パンツ本体12を汚さない大きさがあれば良く、大きさは特に限定されないが、吸収パッド11のパンツ本体12との重なり部分よりも大きいことが好ましい。カバーシート36を配置する場合、吸収パッド11は、パンツ本体12に接合されたカバーシート36に対して接合される構造であってよい。
カバーシート36に形成されている開口部35は、パンツ本体12の後部開口部26と同じ大きさでも良いが、異なっていても良い。パンツ本体12の後部開口部26がカバーシート36の開口部35よりも大きいことが好ましい。この場合は、パンツ本体12を汚すことなく使用可能である。また、開口部35の周囲に弾性部材を配置しても良い。
カバーシート36は、吸収パッド11の表面シート13で用いられる親水性の材料でも良いが、撥水性または液不透過性の材料であることが好ましい。
本実施例では、カバーシート36を排便側にのみ配置しているが、排尿側にも配置することが可能である。この場合、2つの開口部35を形成した1枚のカバーシート36を配置しても良いが、それぞれ開口部35が1つずつ形成された2枚のカバーシート36を配置することも可能である。排尿側と排便側とで別体のカバーシート36を配置した場合、一方のみが汚れた時に汚れたカバーシート36のみを交換できるので、経済的である。
さらに本実施例では、2つの開口部25,26を有するパンツ本体12と2つの吸収パッド11を配置する場合を示しているが、吸収パッド11の数や大きさおよび配置位置は特に限定されない。