以下、本発明の吸収性物品の実施の形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]本発明の吸収性物品の特徴:
まず、本発明の吸収性物品の特徴について、図1A〜図1Dに示す尿パッドを例として説明する。ここで、図1Aは、本発明の吸収性物品の一の実施形態である尿パッドをトップシート側から見た平面図であり、図1Bは、図1Aに示す尿パッドのA−A’断面を示す概略断面図である。また、図1Cは、図1Aに示す尿パッドの引張部材を、吸収性物品の幅方向外側に向けて引張った状態を示す平面図であり、図1Dは、図1Cに示す尿パッドのB−B’断面を示す概略断面図である。
図1A〜図1Dに示すように、本発明の吸収性物品1(尿パッド1A)は、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20と、撥水性シートからなり、少なくとも吸収体22の周縁近傍の少なくとも一部に配置された立体ギャザー26(26a,26b)と、を備えた吸収性物品1である。なお、図1A〜図1Dにおいては、吸収体22の両側に左右一対の立体ギャザー26a,26bが配置された場合の例を示している。
なお、「尿パッド」とは、インナーパッド、補助パッドとも称され、専ら尿吸収を目的とする吸収パッドである。この尿パッドは、下着の内面や使い捨ておむつのトップシートの表面に載置した状態で用いられる。尿パッドは、使い捨ておむつと同様に、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートとを備えるが、着用者の腰周りを被包する部分を持たない小型のパッド状に構成されることが一般的である。
そして、本発明の吸収性物品1は、一方の端部71x,71yが立体ギャザー26a,26bに固定され、且つ他方の端部71p,71qが吸収体22の周縁外方に延出された帯状又は紐状の引張部材71(71a,71b)を更に備え、図1C及び図1Dに示すように、この引張部材71a,71bは、他方の端部71p,71qが、吸収体22周縁外方から、バックシート18の外縁外方又はバックシート18の裏面側にまで更に延出されてなり、吸収性物品1を着用者に宛がった状態で、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qを引張可能に構成されている。なお、図1A〜図1Dにおいては、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、吸収体22の側縁外方から、バックシート18の側縁外方に延出された例を示している。
このように構成することによって、吸収性物品1を着用者に宛がった状態で、立体ギャザー26a,26bが有効に機能するように、立体ギャザー26a,26bの位置を調整することができ、吸収性物品1からの尿漏れを有効に防止することができる。具体的には、吸収性物品1を着用者に宛がった状態では立体ギャザー26a,26bが吸収体22上に押し潰されていたとしても、吸収性物品1の外側まで延出された引張部材71a,71bを引張ることによって、引張部材71a,71bの固定端(即ち、上記一方の端部71x,71y)が接続された立体ギャザー26a,26bを連動させて、吸収体22の左右に広げることができる。このように、本発明の吸収性物品1は、着用者に吸収性物品1を宛がった状態でも、立体ギャザー26a,26bの位置を簡単に調節することができ、立体ギャザー26a,26bの潰れによる尿漏れを有効に防止することができる。
なお、図1A〜図1Dに示す吸収性物品1(尿パッド1A)においては、吸収体22の両側に配置された立体ギャザー26a,26bのそれぞれに対して、引張部材71a,71bが接続された例を示しているが、例えば、吸収体の前後に配置される立体ギャザー、例えば、背モレギャザーや腹モレギャザー等に対しても、引張部材が接続されていてもよい。また、立体ギャザーが吸収体の両側に二対以上配置されている場合には、二対以上の立体ギャザーに、それぞれ引張部材が接続されていてもよい。即ち、本発明の吸収性物品においては、吸収体の周縁近傍に配置されたそれぞれの立体ギャザーに対して、上記した図1A〜図1Dに示すような引張部材71と同様に構成された引張部材をそれぞれ接続し、それぞれの立体ギャザーが有効に機能するように、種々の方向に対して引張部材を引張ることにより、各立体ギャザーの位置をそれぞれ調整することができるように構成されていてもよい。
なお、本発明の吸収性物品に用いられる引張部材は、その固定端となる一方の端部が、立体ギャザーの下端部(即ち、立体ギャザーの起立線)から上端部(即ち、立体ギャザーの先端)までの中央部分よりも上端部側に固定されていることが好ましい。このように構成することによって、引張部材を引張ることによって、立体ギャザーが連動して動き易くなり、立体ギャザーの先端側を良好に吸収体の周縁外方に向けて広げることができ、立体ギャザーの適正な配置位置となるように立体ギャザーの位置を良好に調整することができる。
また、本発明の吸収性物品は、図1A〜図1Dに示すように、吸収体22の周縁外方に配置された、輪状(ループ状)の被挿通部材72を更に備えたものであってもよい。このような被挿通部材72を配置することにより、立体ギャザー26a,26bに接続された引張部材71a,71bを、対応する側の被挿通部材72に挿通させて、吸収性物品1の外側に延出させることができる。
これにより、引張部材71a,71bの遊動や着用者に引っ掛かることを有効に防止することができ、立体ギャザー26a,26bに接続された引張部材71a,71bが邪魔にならず、簡便に吸収性物品1を装着することができる。また、引張部材71a,71bを輪状の被挿通部材72に挿通させることによって、引張部材71a,71bを引張ったとしても、引張部材71a,71bと着用者の肌との間に被挿通部材72が配置されることとなり、着用者の肌(皮膚)がこすれたり、傷つけられる等のスキントラブルの発生を抑制することができる。
なお、本発明の吸収性物品が背モレギャザーや腹モレギャザー等の立体ギャザーを備えており、それらの背モレギャザー等に対して引張部材(例えば、他の引張部材)が配置されている場合には、それぞれの立体ギャザーを有効に機能させ得る方向(例えば、吸収体の長手方向端部の外方)に上記した他の引張部材を延出させ、更に、その他の引張部材を延出させた方向における吸収体の外方(即ち、吸収体の長手方向端部の外方)に、輪状(ループ状)の別の被挿通部材(即ち、上記他の引張部材用の他の被挿通部材)を更に配置してもよい。
上記した輪状(ループ状)の被挿通部材は、例えば、織布、不織布、ウレタン、フィルム等を用いて形成することができる。中でも、ポリプロピレンン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることが好ましい。不織布の種類に関しても特に制限はなく、エアスルー、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
また、被挿通部材の大きさについては、引張部材の挿通部の幅よりも幅広で、引張部材を挿通させることが可能なものであればよい。例えば、引張部材の幅よりも、被挿通部材による空間の大きさ(幅)が、+5〜+30mm程度太いことが好ましい。また、被挿通部材の長さ、及び配置位置は、吸収体の周縁外方における吸収性物品上に引張部材が存在する部分に配置されていればよいが、引張部材の自由端側の出口が、吸収体の周縁から吸収性物品の外縁までの中間位置よりも、より吸収性物品の周縁寄りの位置に配置されていることが好ましい。
また、図2に示すように、本発明の吸収性物品1(尿パッド1B)が被挿通部材72を更に備えたものの場合には、立体ギャザー26a,26bに接続された引張部材71a,71bの他方の端部71p,71q(即ち、引張部材の自由端)側が、被挿通部材72の孔(即ち、挿通部分)よりも幅広に構成された、引き込まれ防止部74を有することが好ましい。図2においては、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71q側が、被挿通部材72の孔よりも幅広に構成され、上記引き込まれ防止部74を形成した例を示している。
このように構成することによって、引張部材71a,71bが吸収性物品1の内側に引き込まれてしまうことを有効に防止することができる。なお、引き込まれ防止部74の形状については特に制限はなく、例えば、図2に示すように、引張部材71a,71bの自由端側全体を幅広に構成してもよいし、例えば、図示は省略するが、引張部材の自由端側の一部を幅広に構成してもよい。
ここで、図2は、本発明の吸収性物品の他の実施形態である尿パッドをトップシート側から見た平面図である。なお、図2において、図1Aに示す吸収性物品1の各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
また、例えば、図3A及び図3Bに示すように、本発明の吸収性物品1(尿パッド1C)においては、引張部材71a,71bが、他方の端部71p,71qを引張った状態で固定するための止着部73を有していてもよい。このように構成することによって、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qを引張った後に、引張部材71a,71bを固定して、引張部材71a,71bが吸収性物品1の内側に引き込まれてしまうことを有効に防止することができるとともに、引張部材71a,71bの遊動を有効に防止することができる。
ここで、図3A及び図3Bは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す断面図である。なお、図3A及び図3Bに示す断面は、図1Bに示す断面と同じ位置における断面を示すものである。また、図3Aは、引張部材を引張る前の状態を示し、図3Bは、引張部材を引張った後の状態を示している。図3A及び図3Bにおいて、図1Bに示す吸収性物品1の各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
このような止着部73としては、例えば、粘着剤により固定を行う粘着ファスナーや、吸収性物品の表面や裏面に対して機械的な結合を行うことが可能なメカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることができる。
なお、上記した止着部は、吸収性物品の肌面側に止め付けるだけでなく、例えば、バックシート側に止め付ける(即ち、吸収性物品から延出された引張部材をバックシート側に折り返して止め付ける)ものであってもよいし、また、アウター物品の肌側に止め付ける(即ち、パンツ型おむつ、テープ型おむつ、おむつカバー、或いは下着等に止め付ける)ものであってもよい。
また、図1A〜図1Dに示す吸収性物品1においては、引張部材71a,71bが、吸収性物品の長手方向(即ち、一方の端縁から他方の端縁に向かう方向)における一方の端縁側に片寄った位置に配置された例を示しているが、立体ギャザーを吸収体の周縁外方に向けて広げることができるように、引張部材が立体ギャザーに接続されていれば、引張部材の接続位置については特に制限はない。
例えば、図1A〜図1Dに示す吸収性物品1においては、引張部材71a,71bが、着用者の背側寄りに配置された場合の例を示しているが、例えば、引張部材が、着用者の腹側寄りの部位にて立体ギャザーとを接続され、その側縁側に向けて引張部材が延出されていてもよい。
例えば、図4Aは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である吸収性物品(尿パッド)をトップシート側から見た平面図である。図4Aに示す吸収性物品1(尿パッド1D)は、吸収体22の着用者の背側に相当する幅が広くなるように構成された羽子板型の吸収性物品であり、引張部材71a,71bが、立体ギャザー26a,26bの背側寄りの部位に接続された例を示している。このような吸収性物品1(尿パッド1D)は、着用者の背側寄りの立体ギャザー26a,26bを、吸収体22の左右に良好に広げることができるため、例えば、女性用の吸収性物品として良好に用いることができる。
一方、例えば、腹側における吸収力をより必要とする、男性用の吸収性物品として用いる場合には、図4Aの吸収性物品1を上下逆さ(即ち、図4Aに示す吸収性物品の紙面における上下を逆さ)にして使用することによって、引張部材71a,71bが、立体ギャザー26a,26bの腹側寄りの部位に接続された吸収性物品1として用いることができる。このように構成することによって、男性器のある前側(腹側)の立体ギャザーをより広く広げることが可能となる。
このように、本発明の吸収性物品は、吸収性物品を使用する着用者の性別や、吸収性物品の使用状況に応じて、引張部材の立体ギャザーに対する接続位置を適宜決定することができる。なお、上記説明においては、羽子板型の吸収性物品を例として説明したが、図1Aに示すような矩形の吸収性物品や、使い捨ておむつについても同様である。
なお、図4Aに示す羽子板型の吸収性物品1においては、幅の狭い側にフィットギャザー37(37a,37b)を配置してもよい。このように構成することによって、着用者に対するフィット性を向上させることができる。
また、図4B〜図4Dに示す吸収性物品1(尿パッド1E)は、これまでにも説明したような背モレギャザー28を配置し、この背モレギャザー28に引張部材76を配置した例を示している。ここで、符号38は、背モレギャザー28用の背モレギャザー伸縮材(背モレギャザー伸縮材38)を示し、符号77は、背モレギャザー28に接続された引張部材76の止着部(止着部77)を示す。なお、図4Bは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である尿パッドをトップシート側から見た平面図であり、図4Cは、図4Bに示す尿パッドのC−C’断面を示す概略断面図であり、図4Dは、図4Cに示す尿パッドにおいて、背モレギャザーに接続された引張部材を引張った状態を示す概略断面図である。
また、本発明の吸収性物品においては、例えば、これまでに説明した引張部材の他方の端部が、吸収性物品の一部に仮止めされていてもよい。ここで、図5A及び図5Bは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す断面図である。なお、図5A及び図5Bに示す断面は、図1Bに示す断面と同じ位置における断面を示すものである。また、図5Aは、引張部材を引張る前の状態を示し、図5Bは、引張部材を引張った後の状態を示している。図5A及び図5Bにおいて、図1Bに示す吸収性物品の各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
図5Aに示す吸収性物品1(尿パッド1F)おいては、立体ギャザー26a,26bがZ折りギャザーとして形成され、引張部材71a,71bの一方の端部71x,71yを、立体ギャザー26a,26bのZ折りの折れ曲がり部位の近傍(即ち、吸収体22の左右側縁に張り出した折れ曲がり部位の近傍)に固定し、他方の端部71p,71qを、立体ギャザー26a,26bの一部に仮止めした例を示している。引張部材71a,71bを使用する際には、立体ギャザー26a,26bから引張部材71a,71bを引き剥がし、図5Bに示すように、引張部材71a,71bを吸収体22の左右に引張って、立体ギャザー26a,26bを有効に機能するように、立体ギャザー26a,26bの位置を調整する。ここで、符号75は、引張部材の仮止め部75を示す。
また、これまでに説明した本発明の吸収性物品においては、吸収性物品の内側面上を沿うようにして引張部材が延出され、吸収性物品の側縁から引張部材が更に外側に延出された場合の例を示しているが、例えば、図6A及び図6Bに示すように、立体ギャザー26a,26bと接続された引張部材71a,71bが、トップシート18及びバックシート20の吸収体20の側縁外方に形成された貫通孔78を貫通して、バックシート20の裏面側にまで延出されるように構成されたものであってもよい。
このように、本発明の吸収性物品に用いられる引張部材は、上記したような貫通孔78を貫通して吸収性物品1の裏側にまで延出されたものであってもよい。このような吸収性物品1(尿パッド1G)であっても、これまでに説明した、例えば、図1Aに示す吸収性物品1と同様の効果を得ることができる。ここで、図6Aは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である尿パッドをトップシート側から見た平面図であり、図6Bは、図6Aに示す吸収性物品のD−D’断面を示す概略断面図である。
[2]使い捨ておむつ:
次に、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態として、テープ型使い捨ておむつ及びパンツ型使い捨ておむつの例により具体的に説明する。
[2−1]定義等:
「パンツ型使い捨ておむつ」とは、例えば、図7A及び図7Bに示す吸収性物品1(パンツ型使い捨ておむつ1H)のように、シート材によって構成され、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成されたパンツ型を呈する外装シート16と、吸収体22が内包されたパッド状を呈し、外装シート16の内面側に固定された吸収性本体14と、を備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
パンツ型使い捨ておむつ1Hにおいては、外装シート16は、シート材が、内面に配置されるインナーシート16aと外面に配置されるアウターシート16bとが貼り合わされて構成され、外装シート16のウエスト周り部分には、外装シート16の層間に(この例では、インナーシート16aとアウターシート16bとの層間に)、伸張状態のウエスト周り伸縮材42が固定され、外装シート16の腹周り部分には、インナーシート16aとアウターシート16bとの層間に、伸張状態の腹周り伸縮材44が固定されている。吸収性本体14は、吸収体22、トップシート18及びバックシート20が一体的なパッド状に構成されている。
また、「テープ型使い捨ておむつ」とは、図8に示す吸収性物品1(テープ型使い捨ておむつ1I)のように、吸収体22と、トップシート18と、バックシート20とを備え、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置された、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ11を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
「前身頃」とは、図7A及び図8に示す吸収性物品1のように、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分(図中、符号2)、「股下部」とは、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の股下を覆う部分(図中、符号4)、「後身頃」とは、着用者に吸収性物品を装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする(図中、符号6)。
[2−2]パンツ型使い捨ておむつ:
まず、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態として、パンツ型使い捨ておむつの例について説明する。図7Aは、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図であり、図7Bは、図7Aに示すパンツ型使い捨ておむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す平面図である。
図7A及び図7Bに示す吸収性物品1(パンツ型使い捨ておむつ1H)は、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20とを備えている。また、前身頃2と後身頃6の対応する側縁2a,6a(2b,6b)どうしを接合することによって、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成されている。なお、図7Aにおける符号9は、前身頃2と後身頃6の対応する側縁2a,6a(2b,6b)どうしの接合部(接合部9)を示す。
このパンツ型使い捨ておむつ1Hは、一方の端部71x,71yが吸収体22の周縁近傍の少なくとも一部に配置された(図7A及び図7Bにおいては、吸収体の両側に配置された左右一対の)立体ギャザー26a,26bに固定され、且つ他方の端部71p,71qが吸収体22(具体的には、吸収性本体14)の周縁外方に延出された帯状又は紐状の少なくとも引張部材71(71a,71b)を更に備え、この引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、吸収体22の周縁外方から、バックシート20の外縁外方又はバックシート20の裏面側にまで更に延出されている。なお、図7Aに示すパンツ型使い捨ておむつ1Hにおいては、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、外装シート16に形成された貫通孔79を貫通しておむつの外側にまで延出されている。
本発明のパンツ型使い捨ておむつ1Hは、おむつを着用者に宛がった状態、より具体的には、パンツ型使い捨ておむつ1Hを着用した状態で、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qを引張可能に構成されているため、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qを引張ることによって、立体ギャザー26a,26bの位置を調整することができ、パンツ型使い捨ておむつ1Hの脚周り開口部12a,12b等からの尿漏れを有効に防止することができる。なお、このような使い捨ておむつに用いられる引張部材については、上述した尿パッドに用いられる引張部材と同様に構成されたものを好適に用いることができる。
図7A及び図7Bに示すパンツ型使い捨ておむつ1Hにおいては、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、おむつの前身頃2側に形成された上記貫通孔79を貫通しておむつの外側にまで延出されているため、着用者自身が簡単に引張部材71a,71bを引張ることができる。
図7Bに示すパンツ型使い捨ておむつ1Hにおいては、引張部材71a,71bの一方の端部71x,71yが、それぞれ3つに枝分かれして立体ギャザー26a,26bに接続された場合の例を示しているが、例えば、立体ギャザー26a,26bとそれぞれ1箇所で接続されていてもよい。
また、図示は省略するが、例えば、それぞれの立体ギャザーに対して複数の引張部材を接続し、それらの引張部材によって、複数の箇所で立体ギャザーを吸収体の外側に向けて引張るように構成されていてもよい。なお、1つの立体ギャザーに対して複数の引張部材を接続する場合には、1つの立体ギャザーに接続された各引張部材の他方の端部側(自由端側)をまとめて一度に引張ることができるように構成されていてもよいし、それぞれの引張部材を個々に引張ることができるように構成されていてもよい。また、一対の立体ギャザーに接続された各引張部材が、一体的に連動するように構成されていてもよい。
[2−3]テープ型使い捨ておむつ:
次に、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態として、テープ型使い捨ておむつの例について説明する。図8は、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態のテープ型使い捨ておむつを示す一部切り欠き断面図であり、テープ型使い捨ておむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。
図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iは、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成され、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20と、撥水性シートからなり、吸収体22の周縁近傍の少なくとも一部に配置された立体ギャザー26(26a,26b)と、後身頃6の左右の側縁6a,6bから延出された少なくとも一対の止着テープ11と、を備えたテープ型使い捨ておむつ1Iである。このテープ型使い捨ておむつ1Iは、後身頃6の各側縁6a,6bから延出された止着テープ11を前身頃2に配置されたフロントパッチ13に止め付けることによっておむつを着用することができる。なお、図8においては、吸収体22の両側に、左右一対の立体ギャザー26a,26bが配置された場合の例を示している。
そして、この図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iは、これまでに説明した吸収性物品と同様に、一方の端部71x,71yが上記立体ギャザー26a,26bに固定され、且つ他方の端部71p,71qが吸収体22の周縁外方(側縁外方)に延出された帯状又は紐状の引張部材71(71a,71b)を更に備え、この引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、吸収体22の周縁外方から、バックシート20の外縁外方又はバックシート20の裏面側にまで更に延出されている。なお、図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iにおいては、引張部材71a,71bの他方の端部71p,71qが、トップシート18及びバックシート20を貫通するように形成された貫通孔79を貫通しておむつの外側(裏面側)にまで延出されている。
このように構成された本発明のテープ型使い捨ておむつ1Iにおいても、引張部材71a,71bを引張ることによって、立体ギャザー26a,26bの位置を良好に調整することができ、尿等の漏れを立体ギャザー26a,26bによって有効に防止することができる。なお、テープ型使い捨ておむつ1Iにおける引張部材71a,71bの構成についても、上述したパンツ型使い捨ておむつと同様に、立体ギャザーとの接続位置や数等を使用目的等に応じて適宜決定することができる。
[3]吸収性物品の構成部材:
次に、本発明の吸収性物品を構成する各構成部材について説明する。
[3−1]:引張部材:
本発明の吸収性物品に用いられる引張部材は、その一方の端部が立体ギャザーに接続(固定)されて、引張部材の他方の端部を引張ることによって、立体ギャザーが有効に機能するように立体ギャザーの位置を調整するための、帯状又は紐状の部材である。
このような引張部材としては、例えば、織布、不織布、フィルム、ウレタンフォーム、スポンジ等を挙げることができる。中でもポリプロピレンン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。
[3−2]立体ギャザー:
本発明の吸収性物品に用いられる立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、図1A〜図1Dに示すように、撥水性シート32(32a,32b)の層間に立体ギャザー伸縮材36(36a,36b)を挟み込んで固定し、その立体ギャザー伸縮材36a,36bの収縮力によってギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、立体ギャザー用の撥水性シートを別途付設してもよいし、おむつを構成するシート材の一部によって形成してもよい。例えば、図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iは、サイドシート19を構成する撥水性シート32の一部によって立体ギャザー26a,26bを形成した例である。このような撥水性シートは、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
立体ギャザーはおむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図1A〜図1Dに示す吸収性物品1は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例であり、図5A及び図5Bに示す吸収性物品1は、立体ギャザー26(26a,26b)をZ折りギャザーとした例である。なお、図5A及び図5Bに示すように、立体ギャザー26(26a,26b)がZ折りギャザーである場合には、立体ギャザー26a,26bのZ折りの折れ曲がり部位の近傍(即ち、吸収体22の左右側縁に張り出した折れ曲がり部位の近傍)に引張部材71a,71bの一方の端部71x,71yを固定することによって、立体ギャザー26a,26bを良好に左右に広げることができる。
また、例えば、図1A及び図1Cに示すように、立体ギャザー26a,26bがより広く左右に広がるように、立体ギャザー26a,26bの端部の接合部分27については、立体ギャザーの起立線側の接合部分27bよりも、立体ギャザーの先端側の接合部分27aの接合代が短くなるように構成されていてもよい。
[3−3]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュペーパー、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、アセテート又はこれらの複合繊維の他、パルプ等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。
吸収体は、その全体が親水性シートによって被包されていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
[3−4]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側(裏面側)に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
[3−5]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の肌から遠い側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分にバックシートが配置されていることが好ましい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートの外表面側にカバーシートを貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−5]止着テープ:
本発明の吸収性物品が、図8に示すようなテープ型使い捨ておむつ1Iの場合には、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置された、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ11を備えている。
止着テープのファスニング部材としては、粘着剤により固定を行う粘着ファスナーであってもよいが、機械的な結合により固定を行うメカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは、止着力が高いことに加え、複数回の脱着を行っても止着力が低下することがないという利点がある。
例えば、図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iは、ファスニング部材として、メカニカルファスナー46を用いた例である。止着テープ11の先端近傍には、フック材46aが付設される一方、前身頃2には、ループ材46bからなるフロントパッチ13が付設されており、フロントパッチ13に対して、止着テープ11を止め付けることが可能なように構成されている。
止着テープの数は特に限定されず、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
[3−6]各種伸縮材:
本発明の吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、脚周り伸縮材、ウエスト周り伸縮材、腹周り伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
この脚周り伸縮材は、立体ギャザーの起立線より外側の部分に配置されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
例えば、図8に示すテープ型使い捨ておむつ1Iは、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置し、また、脚周り開口部に沿って脚周り伸縮材40を配置した例である。なお、帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成することができる。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
なお、パンツ型使い捨ておむつにあっては、外装シートのウエスト周り部分に、その外装シートの層間に伸張状態のウエスト周り伸縮材が固定されることが一般的である。「外装シートの層間」とは、図7A及び図7Bに示すような、インナーシート16aとアウターシート16bとの貼り合わせ部分の層間に、ウエスト周り伸縮材42が固定されたものに限定されない。例えば、インナーシート又はアウターシートの折り返し部分の層間等に、ウエスト周り伸縮材が固定されたものも含まれる。
本発明の吸収性物品がパンツ型使い捨ておむつである場合は、図7A及び図7Bに示すように、腹周り伸縮材44を配置することも好ましい。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴムの弾性糸からなる糸ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[4]適用対象:
なお、本発明の吸収性物品は、既に説明したような、尿パッド、テープ型使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつの他、吸収体の両側に立体ギャザーが配置されたものであれば、種々の吸収性物品に適用することができる。
[5]吸収性物品の製造方法:
以下、本発明の吸収性物品の製造方法を、図1Aに示す尿パッド1Aを製造する場合の例で説明する。
本発明の吸収性物品1(尿パッド1A)の製造方法は、まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22を載置し、更にその表面にトップシート18の材料となるシート材(トップシート材)を載置する。
この際、トップシート材は、センターシートに相当するトップシート材と、サイドシートに相当するトップシート材の2種類が使用される。サイドシートに相当するシート材には折り返し部分を設けることによって、立体ギャザー26(26a,26b)が形成されている。また、吸収体22の側縁外方には、図1Aに示すように、輪状(ループ状)の被挿通部材72を配置してもよい。
次に、形成した立体ギャザー26a,26bのそれぞれに、帯状又は紐状の引張部材71(71a,71b)を接続する。立体ギャザー26a,26bに接続した引張部材71a,71bは、吸収体22の側縁外方に配置した被挿通部材72を挿通させて、吸収性物品1の側縁外方まで延出させる。このようにして、本発明の吸収性物品が連続的に配置された吸収性物品連続体を形成する。
最後に、得られた吸収性物品連続体を個々の吸収性物品(尿パッド)に切断することにより、吸収性物品1としての尿パッド1Aを製造する。
なお、本発明の吸収性物品の製造方法については、上述した方法に限定されることはなく、例えば、図6Aに示すように、吸収体22の側縁外方に貫通孔78を形成し、引張部材71a,71bを、吸収性物品1の外側面から貫通孔78を通過させ、その引張部材71a,71bを立体ギャザー26a,26bに固定してもよい。
また、吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつやテープ型使い捨ておむつを製造する場合には、従来公知の方法にしたがっておむつの連続体を製造する工程において、形成した立体ギャザー26a,26bのそれぞれに、帯状又は紐状の引張部材71(71a,71b)を接続することによって、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつを製造することができる。
また、前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、テープ型おむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。