JP2007209253A - 油脂組成物の製造方法及びそれを用いて製造してなる油脂組成物。 - Google Patents

油脂組成物の製造方法及びそれを用いて製造してなる油脂組成物。 Download PDF

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【課題】 本発明は、製菓・製パンにおいて、焼成前は硬くて、作業性が良く、焼成後は軟らかくなる油脂組成物で、且つ、焼成後に得られたパン・菓子の食感がサックリとして良好である油脂組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 20℃のSFC(固体脂含量)が30〜70%の固体油脂と0℃のSFC(固体脂含量)が0〜5%の液体油脂を含有する油脂組成物の製造方法において、先に20℃のSFCが30〜70%の固体油脂を晶析し、その後で0℃のSFCが0〜5%の液体油脂を混合することを特徴とする油脂組成物の製造方法により得られた油脂組成物を用いて菓子・パンを製造すること。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、油脂組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、先に結晶量の多い固体油脂を晶析し、その後に液体油脂を混合することにより油脂組成物を製造する方法、並びにそれを用いて製造してなる油脂組成物に関する。
従来より、練り込み用油脂組成物としては、マーガリン、ショートニング、バターなどの油脂組成物が用いられているが、練り込み用油脂組成物に求められる主要な特性は菓子の作業性が良好であるとともに、口溶けも良くなり、軽いサックリとした良好な食感を含むことである。
一般的に製菓・製パン時に融点の高い油脂を使用すると、生地の軟化及びべたつきを防止して作業性を向上させるが、生地のまとまりが悪くなり、生地が成型しにくくなる。且つ、でき上がった製品の口溶け等の食感は悪いものとなり、商品性は低下する。逆に融点の低い油脂を使用すると、口溶けが良く、軽いサックリとした食感の良いものなるが、生地を成型する際に軟化及びべたつきが生じ作業性が大きく低下する。従って、この様な製菓・製パン用の油脂は、焼成前は硬くて結晶構造がしっかりしていて、生地全体の保形性が良好で作業性が良く、焼成後は軟らかくなるといった特性を持ち、食した時には体温で速やかに融ける練り込み用油脂組成物の開発が求められていた。
一般に、マーガリン、ショートニング等の油脂加工食品の製造工程は、融解状態の油脂あるいはエマルションを冷却捏和することにより、油脂を晶析させ、練り込み用の製品を得るのが通常である。これより、求められる物性を満足させるべく、製造時の冷却捏和条件等も様々検討され、良好な物性を持った練り込み用油脂組成物が製造されているが、上記のように焼成前は硬く、焼成後は軟らかい物性とは相反する性質であって、完全に両者を満足する製品を得ることは極めて困難である。従って、これらの製造工程を経ても、作業効率や食感の向上には限界がある。そこで、前記と同一工程で、更に作業性や食感を向上させる手法として、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤やワックス(キャンデリワックス、カルナワックス、ホホバワックス、ライスワックス、みつろう、木ロウなど)などを原料の油脂ベースに添加する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、これらの高融点添加物が含まれていると、作業効率は良くなるが、食感が悪くなるとともに、風味も油脂本来のものでなくなるために好ましくない。また、乳化剤などの添加物は、製品単価が高く、原料のコスト高の原因となる。さらに、近年の消費者の健康食品を嗜好する傾向からも、これらの添加物の使用は敬遠されている。
口溶けを向上させる手法としては、トリラウリン、トリミリスチン、液状油との混合利用や、ラウリン系油脂の分画軟質油の利用など、短鎖長脂肪酸をもつトリグリセライドの利用や、パーム軟質油の異性化水添油を分別したものの利用などが挙げられるが(特許文献2、3)、ラウリン系油脂を利用する方法では、ラウリン系油脂など炭素原子数14以下の短鎖トリグリセリドは加水分解を起こしやすく、使用が難しい問題がある。また、分画、水添等を行う方法では、製造工程が多工程にわたり、コスト高になるという問題点がある。
また、晶析した油脂組成物と温調した油脂組成物を混合した食品として、油中水型のエマルジョンを急冷可塑化した後に、10〜23℃で温調したバターを混合した油脂加工食品があるが(特許文献4)、これはバター風味を効果的に維持発現し得る油脂加工食品であって、焼成前の作業性と焼成後の食感改良を同時に達成することに関しては記載も示唆もない。しかも、バターは0℃のSFCが0〜5%の液体油脂ではない。
特開平8−187051号公報 特公昭48−32164号公報 特公昭57−30458号公報 特公昭59−130135号公報
本発明は、製菓・製パンにおいて、焼成前は硬くて作業性が良く、焼成後は軟らかくなる油脂組成物で、且つ、焼成後に得られたパン・菓子の食感がサックリとして良好である油脂組成物及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、先に固体油脂を晶析し、その後で液体油脂を混合することにより得られる油脂組成物は、焼成前は硬くて、製菓・製パン時の作業性が良く、焼成後は軟らかくなるため、軽くサックリとした良好な食感であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、20℃のSFC(固体脂含量)が30〜70%の固体油脂と0℃のSFC(固体脂含量)が0〜5%の液体油脂を含有する油脂組成物の製造方法において、先に20℃のSFCが30〜70%の固体油脂を晶析し、その後で0℃のSFCが0〜5%の液体油脂を混合することを特徴とする油脂組成物の製造方法に関する。好ましい実施態様は、晶析後の固体油脂と液体油脂との混合時における液体油脂の温度が0℃〜15℃の範囲である上記記載の油脂組成物の製造方法に関する。より好ましくは、冷却しながら固体油脂と液体油脂を混合することを特徴とする上記記載の油脂組成物の製造方法に関する。本発明の第2は、上記記載の方法を用いて製造してなる油脂組成物に関する。
本発明の油脂組成物は、製菓・製パンにおいて、焼成前は硬く、焼成後は軟らかいため、焼成前は作業性が良く、且つ焼成後に得られたパン・菓子は、軽くてサックリとした食感を向上することができ、製菓・製パンの用途において非常に有用である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の油脂組成物は、固体油脂と液体油脂のみからなる組成物、或いは、前記固体油脂と液体油脂に乳化剤を加えた油相と、主に水を含んでなる水相からなる油中水型乳化物である。本発明の油脂組成物には、必要に応じて、通常、油脂加工食品に添加される、呈味成分、香料、栄養成分、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤などを含有していてもよい。
本発明で用いられる固体油脂や液体油脂の種類は、通常の油脂加工食品に用いられる食用油脂であれば特に限定されないが、例えば動物油、植物油、乳脂などの天然油、及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油、ランダムウムエス油などが挙げられ、それらを少なくとも1種使用できる。ただし、以下のような油脂を用いる必要がある。
本発明の固体油脂としては、SFC(固体脂含量)が、20℃で30〜70%であることが好ましく、より好ましくは10℃で40〜80%且つ20℃で30〜65%且つ30℃で15〜55%、更に好ましくは10℃で40〜70且つ20℃で30〜60且つ30℃で15〜40%である。本発明の液体油脂としては、0℃で0〜5%であることが好ましい。上記範囲のSFCの油脂を用いれば、本発明の油脂組成物は、菓子・パン生地作製時において、焼成前は硬い油脂で作業性が良く、焼成後は軟らかくなる油脂で、菓子・パン等の最終製品において良好な食感を得ることができ、所望の効果を発現できる。
前記SFCは次のようにして測定する。即ち、油脂を60℃で30分間保持して完全に融解し、0℃で30分間保持して固化させる。さらに25℃で30分間保持し、その後0℃で30分間保持する。これをSFCの各測定温度(10℃、20℃、30℃)で30分間保持した後、SFCを測定する。用いる装置としては、Minispec(Burker社製)が例示できる。
本発明の呈味成分とは、例えば食塩、牛乳、酵素処理バター、発酵バター、発酵乳などが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。本発明の香料とは、例えばバターフレーバーやバニラ系香料などが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。本発明の栄養成分とは、例えばビタミンA、ビタミンDなどが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。本発明の乳化剤とは、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。本発明の増粘剤とは、例えばペクチンなどが挙げられる。本発明の酸化防止剤とは、例えばBHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、天然トコフェロールミックスなどが挙げられ、それらの内少なくとも1種を用いることができる。
本発明による具体的な油脂組成物の製造方法の一例を示す。まず、固体油脂を、油脂が完全に溶解する温度(通常は65℃程度)で融解させる。次に、前記融解した油脂を冷却捏和することにより油脂を晶析させ、融点の高い、硬い固体油脂を得る。前記固体油脂に液体油脂を混合することにより、油脂組成物を得ることができる。液体油脂は、固体油脂に混合する際、該固体油脂を溶かさないよう冷却されていることが好ましい。より好ましくは、混合時の液体油脂の温度を0℃〜15℃の範囲にすることである。さらに好ましくは、冷却しながら固体油脂と液体油脂を混合し、混合時の冷却温度は−20℃〜10℃にすることが好ましい。前記固体油脂が混合する際に溶けると、得られる油脂組成物は軟らかくなり、製菓・製パン時の作業性に悪い影響を及ぼす場合がある。混合する装置としては、モンドミキサー、捏和機、スタティックミキサー等挙げられるが、いずれの方式でも良い。また、混合する際しては、バッチ式でも連続式であってもかまわない。混合する際の混合速度、混合時間および冷却用媒体の温度は、用いる固体油脂の原料、固体脂量、融点等により最適値が違うし、また、混合する液体油脂の原料、混合量も違うので、一概には規定できないが、前記固体油脂が溶けないように混合を行うことができれば、どのような条件でもよい。
なお、前記融解した油脂の冷却捏和において、加圧晶析することが好ましい。加圧晶析することで、結晶量が増加し、油脂結晶が非常に安定化されるため、液油と混合する際に、固体油脂が溶解しにくくなる。加えて、加圧晶析した油脂結晶は微細化され、製菓・製パン時に用いれば、さらに良好な食感を得ることができる。これより、先に固体油脂を加圧晶析し、後に固体油脂を混合することで提供される油脂組成物を製菓・製パン時に用いれば、上記製造方法で得た油脂組成物よりもさらに作業性が良く、良好な食感の向上の両方を同時に達成できる。
また、本発明でいう晶析とは結晶化のことであり、融解状態であった油脂が固体脂へ変化していくことである。更に、本発明でいう捏和とは、油脂組成物を機械的に掻き回して練ることを意味する。
本発明により工業的に食用加工油脂等の油脂組成物を製造する方法としては、先に硬い結晶を得るために、公知の密閉型連続式掻き取りチューブ冷却機(Aユニット)を必要に応じて複数用いる。その後の工程に、例えば、公知の密閉型連続式掻き取りチューブ冷却機(Aユニット)を必要に応じて他の入り口から液体油脂をピストンポンプ等で混合量を調節して送り込み、混合できる等の冷却捏和装置を用い、連続的にマーガリン、ショートニング等の油脂組成物を生産することが望ましい。
例えば、図1に複数の冷却捏和装置(A1ユニット~A3ユニット)3~5および混合装置(Xユニット)8を配管9で接続することで設けた製造工程である。この図1に示す工程による油脂組成物の製造においては、予め融解した食用油脂またはそのエマルション等の油脂原料を、ピストンポンプ2によりA1ユニット3、A2ユニット4、A3ユニット5に順次送り、ここで冷却し、油脂を晶析させる。その後、タンク6で予め冷却された液体油脂をピストンポンプ7により混合量を調整し、Xユニット8で固体油脂と液体油脂を冷却させながら混合を行い、製品とする。なお、前記冷却捏和装置(A1~A3)3~5による晶析が不十分な場合、また、前記混合装置(Xユニット)8による混合が不十分な場合には、更にA3ユニット以下の冷却捏和装置、Xユニット以下の混合装置を増設してもよい。
また、加圧晶析する場合は、特に限定はないが、具体的には上記のような油脂又はその乳化物を加熱融解し、例えば、静水圧容器に注入して加圧と冷却を行う。この静水圧容器は、加圧と冷却とが同時に行えるようになっているもので、静水圧容器内の内容物を加圧しながら、静水圧容器壁面部から内容物の冷却を行うことができる。加圧方式はピストン式、液圧式、空気圧式のいずれの方式でもよい。また、冷却方式は、冷媒式、空冷式の何れでもよい。加圧圧力、加圧時間、冷却媒体温度は用いる食用油脂の原料組成や量などにより最適値が異なるので一概に規定できないが、通常、加圧圧力は10〜150MPa、加圧時間は1〜60分、更に冷却媒体温度は−30〜15℃の範囲で処理を行うのが好ましい。加圧圧力は20〜150MPa加圧時間は10〜60分がより好ましく、冷却媒体温度は−30〜5℃がより好ましい。上記加圧圧力が10MPa未満であると、加圧による晶析の促進や結晶の微細化が不十分な場合がある。また、圧力が150MPaを越える高圧で処理をしても差し支えないが、晶析促進効果や結晶の微細化効果が少なく、必要以上の高圧での加圧は、経済的にも安全性の面からも好ましくない場合がある。加圧時間は加圧圧力、温度、油脂組成などとの兼ね合いで決まるが、1分未満であると晶析が不十分な場合がある。晶析が終了しても更に加圧を続けても油脂物性などの品質の劣化はないが、更なる効果は少なく、実際には60分を越えて加圧を続けても効果が頭打ちになる場合がある。更に、冷却媒体の温度が15℃より高いと冷却速度が遅く、加圧の効果があっても晶析時間は長く大きな効果は得られ難い場合がある。一方、冷却媒体の温度が−30℃より低い場合は冷却速度は速まるが、加圧による晶析促進効果や結晶の微細化効果は少なくなり、経済面からも好ましくない場合がある。尚、加圧処理は1度でも十分な効果が見られるが、晶析が不十分である場合など、必要によっては同様の処理を繰り返し行うことで更に効果が得られる。また工業的に本発明の加圧晶析を行う場合には、静水圧容器の代わりに、耐圧構造を有するエクストルーダーや耐圧冷却ユニットなどを利用して、加圧と冷却を同時に、或いは連続的に行うように工夫することができる。
上記のように加圧晶析した油脂組成物は必要に応じて更に捏和を行ってもよい。この捏和を密閉型連続掻き取りチューブ式冷却機などを用いて、加圧晶析と同時に行ってもよいし、コンプレクターなどの混合押し出し機を用いて、加圧晶析後に行ってもよい。また、更に必要に応じて捏和時に窒素ガスを混合封入してもよい。
本発明の製造方法により得られた油脂組成物は、製菓・製パン用に好適に用いられ、パン・菓子生地への練り混み用としてより好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<生地状態評価>
実施例・比較例において、ミキシング時の生地状態、成型時の生地状態をそれぞれ目視と触感により、以下の評価基準に従い、5点満点で評価した。5:べたつきがなく、まとまりが非常によい、4:べたつきが少なく、まとまりがよい、3:べたつきが少なく、まとまり難い、2:べたつきが多く、まとまり難い、1:べたつきが多く、非常にまとまり難い。
<作業性評価>
作業性は、生地状態も考慮して、作業のしやすさの観点から5点満点で総合評価した。その際の評価基準は以下の通りであり、実施例5及び実施例9を3とした。5点:非常によい、4点:良好、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い。
<食感評価>
実施例・比較例において、ラングドシャクッキー及びパウンドケーキの食感をよく訓練された10人のパネラーにより5点満点で官能評価し、その平均を評価値とした。食感は硬さ、サクサク感、口の中でのこなれを総合的に評価した。その際の食感評価基準は以下の通りである。5点:サクサクし、こなれが非常によい、4点:サクサクし、こなれが良好、3点:サクサクし、こなれが適度、2点:ボソボソし、こなれが悪い、1点:ぼそぼそし、こなれが非常に悪い。
<口溶け評価>
実施例・比較例において、ラングドシャクッキー及びパウンドケーキの口溶け感をよく訓練された10人のパネラーにより5点満点で官能評価し、その平均を評価値とした。口溶けは口の中でのねちゃつき(粘性)、口の中での残りを総合的に評価した。その際の口溶け感の評価基準は以下の通りである。5点:ねちゃつきが少なく、ほとんど残らない、4点:ねちゃつきが少なく、あまり残らない、3点:少しねちゃつきがあり、あまり残らない、2点:ねちゃつきがあり、残る、1点:非常にねちゃつきがあり、非常に残る。
(実施例1) 油脂組成物1の作製
精製パーム油(上昇融点:35℃、SFC:45%(10℃),21%(20℃),12%(30℃))30部、パーム硬化油(上昇融点:42℃、SFC:63%(10℃),47%(20℃),31%(30℃))30部からなる混合油を65℃で融解し、また、液体油脂である精製コーン油(SFC:0.8%(0℃))40部を25℃に温度を調節しておいた。図1に示すようなシステムにおいて、A1ユニット3、A2ユニット4、A3ユニット5により混合油を晶析し、Xユニットに送ると同時に、25℃に温度を調節した液体油脂をXユニットに送り、固体油脂と混合した。表1に示す運転条件により油脂組成物1を得た。
Figure 2007209253
(実施例2) 油脂組成物2の作製
精製コーン油の温度調節を5℃にした以外は実施例1と同様にして、表1に示す運転条件により油脂組成物2を得た。
(実施例3) 油脂組成物3の作製
図1に示すようなシステムにおいて、Xユニットを−10℃で冷却しながら固体油脂と液体油脂を混合した以外は実施例1と同様にして、表1に示す運転条件により油脂組成物3を製造した。
(実施例4) 油脂組成物4の作製
精製コーン油を5℃に温調した以外は実施例3と同様にして、表1に示す運転条件により油脂組成物4を得た。
(比較例1) 油脂組成物5の作製
精製パーム油(上昇融点:35℃、SFC:45%(10℃),21%(20℃),12%(30℃))30部、パーム硬化油(上昇融点:42℃、SFC:63%(10℃),47%(20℃),31%(30℃))30部、液体油脂である精製コーン油(SFC:0.8%(0℃))40部からなる混合油を65℃に融解して、A1ユニット3、A2ユニット4、A3ユニット5により混合油を冷却捏和し、晶析を行い、表1に示す運転条件により油脂組成物5を得た。
(比較例2) 油脂組成物6の作製
比較例1と同様の配合の混合油100部にソルビタン脂肪酸エステルを0.5部及びモノグリセリン脂肪酸エステルを0.5部添加した以外は比較例1と同様にして、表1に示す運転条件により油脂組成物6を得た。
(実施例4〜8、比較例3〜4) ラングドシャクッキーの作製
原料及びその基本配合は表2に従い、以下の方法に従ってラングドシャクッキーを作製した。油脂組成物1〜6、上白糖、全卵及び薄力粉をホバートミキサーに順次加えながら、撹拌混合して生地を作製し、得られた生地を成型し、180℃のオーブンで10分間焼成することでラングドシャクッキーを得た。得られたラングドシャクッキーの評価は、ミキシング時の生地状態、成型時の生地状態、作業性及び焼成したラングドシャクッキーの食感および口溶けについて評価し、評価結果は表3に示した。
Figure 2007209253
Figure 2007209253
表3から明らかなように、実施例1〜4で得られた油脂組成物を使用した実施例5〜8のラングドシャクッキーは比較例3〜4で得られた油脂組成物を使用したラングドシャクッキーと比べて製菓時の生地状態、作業性及び焼成後の食感や口溶けを改良する効果が大きいことが示された。実施例5よりも実施例6、7の方が好ましく、実施例8はさらに好ましかった。比較例3は食感に関しては実施例5と同じ評価であったが、作業性、口溶けは悪かった。ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加した比較例4は、生地状態、作業性は向上しているが、食感及び口溶けは悪かった。さらに風味も悪くなり好ましくなかった。
(実施例9〜12、比較例5〜6) パウンドケーキの作製
原料及びその基本配合は表4に従い、以下の方法に従ってパウンドケーキを作製した。油脂組成物1〜6、上白糖、全卵及び薄力粉をホバートミキサーに順次加えながら撹拌混合して生地を作製し、得られた生地をパウンド型に入れ、180℃のオーブンで25〜26分間焼成することでパウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキの評価は、ミキシング時の生地状態、成型時の生地状態、作業性及び焼成したパウンドケーキの食感及び口溶けについて評価し、評価結果は、表5に示した。
Figure 2007209253
Figure 2007209253
表5から明らかなように、実施例1〜4で得られた油脂組成物を使用した実施例9〜12のパウンドケーキは比較例5〜6のパウンドケーキと比べて製菓時の生地状態、作業性及び焼成後の食感や口溶けを改良する効果が大きいことが示された。実施例9よりも実施例10、11の方が好ましく、実施例12はさらに好ましかった。比較例5は食感及び口溶けに関しては実施例9と同じ評価であったが、作業性は悪かった。ソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリン脂肪酸エステルを添加した比較例2は、生地状態、作業性は向上しているが、食感及び口溶けは悪かった。さらに風味も悪くなり好ましくなかった。
本発明に係る油脂組成物の製造方法の工業的製造工程の1例を示す工程説明図である。
符号の説明
1:乳化槽、2:ピストンポンプ、3:冷却捏和装置(A1ユニット)、4:冷却捏和装置(A2ユニット)、5:冷却捏和装置(A3ユニット)、6:乳化槽、7:ピストンポンプ、8混合装置(Xユニット)、9:配管。

Claims (4)

  1. 20℃のSFC(固体脂含量)が30〜70%の固体油脂と0℃のSFC(固体脂含量)が0〜5%の液体油脂を含有する油脂組成物の製造方法において、先に20℃のSFCが30〜70%の固体油脂を晶析し、その後で0℃のSFCが0〜5%の液体油脂を混合することを特徴とする油脂組成物の製造方法。
  2. 晶析後の固体油脂と液体油脂との混合時における液体油脂の温度が0℃〜15℃の範囲である請求項1記載の油脂組成物の製造方法。
  3. 冷却しながら固体油脂と液体油脂を混合することを特徴とする請求項1又は2記載の油脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の方法を用いて製造してなる油脂組成物。
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JP2010106170A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Adeka Corp 可塑性油脂組成物の製造方法

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