JP4284921B2 - シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 - Google Patents
シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4284921B2 JP4284921B2 JP2002135026A JP2002135026A JP4284921B2 JP 4284921 B2 JP4284921 B2 JP 4284921B2 JP 2002135026 A JP2002135026 A JP 2002135026A JP 2002135026 A JP2002135026 A JP 2002135026A JP 4284921 B2 JP4284921 B2 JP 4284921B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- water
- sheet
- fat composition
- emulsified
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
- Grain Derivatives (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化剤及び増粘安定剤が無添加であるシート状油中水型乳化油脂組成物、並びにそれを用いて製造してなる層状膨化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
クロワッサン、デニッシュ、パイ等の層状膨化食品は、その独特な食感により、非常に人気の高い食品の一つである。これらの食品の製造には、ロールインマーガリン、あるいはパフペーストリーと呼ばれるシート状の油脂加工食品を用いて、生地と油脂を伸ばしては折りたたむ工程(ロールイン)を繰り返し、一般には128層あるいは256層または洋菓子分野においてはそれ以上に折り込まれた生地を焼成することで作製され、これにより軽いサックリとした食感が得られる。生地と油脂を折り込む際、油脂は生地と同様に良く伸びることが必要で、油脂が硬すぎると充分に伸びずに油脂が生地中に偏在し、生地同士が合一してしまい、最終的にきれいな層が得られず、食感の悪い製品となる。逆に油脂が軟らかすぎても、折りたたむ時に油脂が生地の間からはみ出してしまい、硬い場合と同様、充分に層が出る製品が得られず食感が悪くなってしまう。従って、この様な層状膨化食品を作製するための油脂は、生地と同様に伸びやすく腰のある物性が求められる。一般に層状膨化食品に用いられるシート状油脂加工食品は、求められる物性を満足させるべく、製造時の冷却捏和条件、配合等が種々検討され、良好な物性を持ったシート状油脂加工食品が製造されているが、伸びやすさと、腰の強い物性とは相反する性質であって、両者を満足する製品を得ることは極めて困難である。
【0003】
一方、最近では健康意識の高まりから食品添加物表示のない製品への関心が高くなっており、これらニーズを取り入れた製品が各種市場に出ているとともに、他社との差別化ポイントとして無添加を全面に出した製品の開発ニーズも高まっている。この様な状況下、食品添加物の中でも特に乳化剤を添加しない製品の要望が高くなってきており、非常に人気の高い食品の一つである層状膨化食品でも同様のニーズが出てきている。
【0004】
一般にこの層状膨化食品で使用されるシート状油脂加工食品の場合、基本的に主原料である油脂原料はその固体脂含量は高く、且つ製造時の冷却捏和条件も急冷のため素早い結晶化による乳化破壊を伴う。従って、安定した乳化状態を得るために従来から種々の乳化剤、場合によっては増粘安定剤が使用されている。
【0005】
しかし、従来の技術では、乳化剤、増粘安定剤を全く配合せずに乳化安定なロールインマーガリンなどの油脂組成物を連続的に製造しようとすると、油相と水相の分離が起こり、安定な乳化状態で製品化することは困難である。このような問題を解決するために種々の検討がなされてきている。例えば、HLB10〜18である乳蛋白を使用する方法(特開2000−279090)の試みがなされているが、特有の素材を使用するという制限があるとともに、加圧晶析に関することは記載されていない。また、油相成分と水相成分とを乳化後、該乳化液が分離するまでの時間より短い時間で、急冷可塑化する方法(特開平10−136874)が記載されているが、これもまた加圧晶析に関することは記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、食品添加物である乳化剤や増粘安定剤が無添加でも作業性、浮きがよく、食感が非常に良好なクロワッサン、デニッシュ等の層状膨化食品が得られるシート状油中水型乳化油脂組成物、並びにそれを用いて製造してなる層状膨化食品を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成する為に鋭意研究を重ねた結果、シート状油中水型乳化油脂組成物において加圧晶析技術を用いれば、その配合中に水分量が多く、且つ、乳化剤及び増粘安定剤が無添加でも作業性がよく、食感が非常に良好な層状膨化食品が得られる事を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第1は、シート状油中水型乳化油脂組成物を得るための加圧晶析時の加圧圧力が10〜150MPaの範囲であり、油中水型乳化油脂組成物全体中の水分量が10〜50重量%、油分量が90〜50重量%であり、且つ乳化剤及び増粘剤が無添加であることを特徴とするシート状油中水型乳化油脂組成物に関する。
【0009】
本発明の第2は、生地に請求項1に記載のシート状油中水型乳化油脂組成物を使用し、製造してなる層状膨化食品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物に使用される油脂は、特に限定されず、従来マーガリンやショートニングに用いられる油脂であれば、いかなる油脂でも使用可能であり、例えば、亜麻仁油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃油、芥子油、向日葵油、綿実油、菜種油、大豆油、辛子油、カポック油、米糠油、胡麻油、落花生油、オリーブ油、椿油、茶油、ひまし油、椰子油、パーム油、パーム核油、葡萄油、カカオ脂、シア脂、コクム脂、ボルネオ脂等の植物油脂や、魚油、鯨油、牛脂、豚油、鶏油、卵黄油、羊油等の動物油脂から選ばれる1種または2種以上の油脂が挙げられ、また、これらの油脂をエステル交換したものや、硬化、分別したもの等、通常食用に供されるすべての油脂類を用いる事が可能である。
【0012】
使用する油脂の量は、本発明のように乳化剤及び増粘剤が無添加の配合においては、油中水型乳化油脂組成物全体中50〜90重量%であり、好ましくは、60〜90重量%であり、更に好ましくは、70〜85重量%である。油脂の量が50〜90重量%であると、本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物は安定的に連続生産でき、作業性も良好で、これを用いた層状膨化食品の食感も非常に良好となる為好ましい。
【0013】
またこの時使用される水分量は、本発明のように乳化剤及び増粘剤が無添加の配合においては、油中水型乳化油脂組成物全体中10〜50重量%であることが必要であり、好ましくは、10〜40重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。水分量が10〜50重量%であると、本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物は安定的に連続生産でき、作業性も良好で、これを用いた層状膨化食品の食感も非常に良好となる為好ましい。
【0014】
本発明の油中水型乳化油脂組成物には、その他必要に応じて乳製品、食塩、香料、着色料、酸化防止剤等を添加することができる。
【0015】
本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物は、保型性を付与出来るのであればどのような製造法で製造しても良いが、乳化剤及び増粘安定剤が無添加のシート状油中水型乳化油脂組成物を工業的に効率良く生産するためには、以下のような製造法に従うことが望ましい。まず所定の油脂を所定量調合したものを油相とし、それに所定量の水相を添加してから50℃〜70℃に加温、温調し、プロペラミキサーで撹拌混合して、融解したエマルションを得る。ここで本発明におけるエマルションとは、油相中に水相が粒子として分散して乳状をなすものをいう。これに所定の条件で加圧晶析を行ない、これをシート状に成型することで、乳化剤、増粘安定剤が無添加のシート状油中水型乳化油脂組成物を得る。本発明における加圧晶析とは、融解したエマルションを冷却晶析させるときに、強制的に加圧することをいう。ここで、加圧は冷却と同時に開始してもよいが、エマルションを予め結晶が析出しない程度に冷却した後に加圧して晶析を行ってもよく、後者の方が得られる結晶が微細となり、より好ましい物性となるだけではなく、加圧時間の短縮や晶析時間の短縮等の利点がある。通常、乳化剤及び増粘安定剤が無添加の油中水型乳化油脂組成物は乳化安定性が悪い為、マーガリン製造時の急冷可塑化によりシート化する際の保型性を得ることは困難であるが、一方融解したエマルションを加圧晶析することで得た油中水型乳化油脂組成物は、乳化剤や増粘安定剤が無添加でも安定的にシート状に成型出来る為好ましい。
【0016】
前記加圧晶析の方法は特に限定されないが、例えば具体的には上記のように加熱融解したエマルションを、静水圧容器に注入して加圧と冷却を行う。この静水圧容器は、加圧と冷却とを同時に行うことが出来るようになっているもので、静水圧容器内の内容物を加圧しながら、静水圧容器壁面部から内容物の冷却を行うことができる。加圧方式は、ピストン式、液圧式、空気圧式のいずれの方法でもよい。冷却方式は、冷媒式、空冷式いずれでもよい。加圧圧力、加圧時間、冷却媒体温度は、用いる食用油脂の原料組成や量等により最適値が異なるので一概に規定できないが、通常、加圧圧力は10〜150MPaが好ましく、更には20〜70MPaが好ましく、加圧時間は1〜60分が好ましく、更には2〜10分が好ましく、冷却媒体の温度は−30〜15℃の範囲で処理を行うのが好ましく、更には、−20〜−5℃が好ましい。上記加圧圧力が10MPa未満であると、加圧による晶析の促進や結晶の微細化が不十分であり、効果が少ない場合が多い。また、圧力が150MPaを越える高圧で処理をしても差し支えないが、晶析促進効果や結晶の微細化効果が少なくなっていき、必要以上の高圧での加圧は経済的にも、安全性の面からも好ましくない場合がある。また、加圧時間は加圧圧力、温度、油脂組成等との兼ね合いで決まるが、1分未満であると晶析が不十分な場合がある。一方、晶析が終了した後に更に加圧を続けても油脂物性等の品質の劣化はないが、更なる結晶の微細化効果は少ない場合がある。更に、冷却媒体の温度が15℃より高いと冷却速度が遅く、加圧の効果があっても晶析時間は長い場合がある。一方、冷却媒体の温度が−30℃より低い場合は冷却速度は速まるが、加圧による晶析促進効果や結晶の安定化、微細化効果の向上は少なくなり、経済面からも好ましくない場合がある。
【0017】
尚、加圧処理は一度のみでも十分な効果が見られるが、晶析が不十分である場合等、必要によっては同様の処理を繰り返し行うことで更に効果が得られる。また工業的に本発明の加圧晶析を行う場合は、静水圧容器の代わりに、耐圧構造を有するエクストルーダーや耐圧冷却ユニット等を利用して、加圧と冷却を同時に行うように工夫することも出来る。
【0018】
上記のように晶析した油脂組成物は更に捏和を行う。ここで捏和とは油脂組成物を機械的に練ることを意味する。また、晶析と捏和を同時に行ってもよい。晶析が終了した油脂組成物は、捏和後必要に応じてレスティングチューブ等の熟成ユニットで、更なる結晶の安定化を図ることが望ましい。
【0019】
本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物は、このようにして晶析および捏和を行った油中水型乳化油脂組成物をシート状に成型することにより得ることが出来る。シート状に成型する方法に特に限定はなく、一般的に使用される方法を用いることが出来る。即ち、前記油中水型乳化油脂組成物をシート状に成型するには、晶析、捏和を行った油中水型乳化油脂組成物を麺棒等を用いて厚さ5〜15mm程度に引き伸ばすことでシート状油中水型乳化油脂組成物が得られる。また、工業的な連続生産においては、晶析、捏和を行った油脂組成物を、通常、開口部が、高さ5〜15mm程度、幅200〜250mm程度の成型ノズルを用いて連続的に押し出し、押し出された帯状の油脂組成物を、一定時間または一定長さごとにカッター等により切断することで、シート状油中水型乳化油脂組成物を得ることが出来る。
【0020】
上記のようにして得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を、折り込み用油脂として使用することが出来る。本発明でいう層状膨化食品とは、クロワッサン、デニッシュ、デニッシュブレッド、パイ、クローネ等用の生地に油脂を折り込んで作られることを特徴とする、いわゆるペーストリー類とよばれる食品をいう。これらは、例えば次のようにして作られる。
【0021】
まず、上記のようにして得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を所定の温度で一晩温調する。一方、従来法に基づいて別に準備したクロワッサン等用の生地を、所定時間のフロアータイムを経た後、冷蔵庫等において所定温度で保管し、それから取り出して所定温度になった時点で、前記のシート状油中水型乳化油脂組成物を所定量ロールインし、任意の回数折り返す。そして所定の温度で、所定の時間保存した後、シーターで延ばしてから、任意に成型し、ホイロにて発酵後、焼成してクロワッサンなど層状膨化食品を得る。
【0022】
本発明のシート状油中水型乳化油脂組成物をロールイン用油脂として用いることで、食品添加物である乳化剤や増粘安定剤が無添加であっても、作業性、浮きがよく、食感が非常に良好な、層状膨化食品を製造することが出来る。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらにより何ら限定を受けるものではない。尚、以下の記載において、特にことわらない限り、「部」、「%」は全て「重量部」、「重量%」を表す。
【0024】
(実施例1)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油83.5部の油相を作製した。この油相に対し、水16.5部を添加し、約60℃に温度を調節し、プロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、図1に示すような、乳化槽1、ピストンポンプ2、3台の冷却捏和装置(A1ユニット3、A2ユニット5及びA3ユニット6)及びレスティングチューブ(Rユニット9)を備えるシステムにおいて、A2ユニット5出口圧力をギアポンプ4及び7により50MPaにコントロールし、加圧時間が5分、冷却媒体の温度が−20℃で処理し、高さ10mm、幅230mmの長方形成型ノズルを通し、連続的に長さ230mmで切断し、シート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、通常のロールインマーガリンと同様、乳化安定性の良いしっかりとした物性を示していた。
【0025】
(実施例2)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油65部の油相を作製した。この油相に対し、水35部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステム、条件、サイズで、シート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、通常のロールインマーガリンと同様、乳化安定性の良いしっかりとした物性を示していた。
【0026】
(実施例3)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油50部の油相を作製した。この油相に対し、水50部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステム、条件、サイズで、シート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、通常のロールインマーガリンと同様、乳化安定性の良いしっかりとした物性を示していた。
【0027】
(比較例1)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油83.5部の油相を作製した。この油相に対し、水16.5部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステムにおいて、特にギアポンプによる加圧操作を行わずに、常法に従い、A2ユニット5出口圧力を5MPaにてシート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、一部離水が見られボソボソとした外観であった。
【0028】
(比較例2)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油65部の油相を作製した。この油相に対し、水35部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステムにおいて、特にギアポンプによる加圧操作を行わずに、常法に従い、A2ユニット5出口圧力を5MPaにてシート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、一部離水が見られボソボソとした外観であった。
【0029】
(比較例3)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油82.9部に、グリセリン脂肪酸エステル0.3部、大豆レシチン0.3部を添加した油相を作製した。この油相に対し、水16.5部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステムにおいて、特にギアポンプによる加圧操作を行わずに、常法に従い、A2ユニット5出口圧力を5MPaにてシート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
【0030】
(比較例4)
硬化コーン油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油82.5部に、グリセリン脂肪酸エステル0.4部、大豆レシチン0.4部を添加した油相を作製した。この油相に対し、水16.5部に増粘安定剤としてキサンタンガム0.2部を添加した水相を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステム、条件、サイズで、シート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
【0031】
(比較例5)
硬化コーン油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油40.0部の油相を作製した。この油相に対し、水60部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステム、条件、サイズで、シート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、一部離水が見られボソボソとした外観であった。
【0032】
(比較例6)
硬化大豆油(mp40℃)50%、精製ラード(mp31℃)20%、ナタネ白絞油30%からなる調合油50.0部の油相を作製した。この油相に対し、水50部を添加し、約60℃に温度を調節し、実施例1と同じプロペラミキサーにて攪拌混合し、エマルションを作製した。その後、実施例1と同様のシステムにおいて、特にギアポンプによる加圧操作を行わずに、常法に従い、A2ユニット5出口圧力を5MPaにてシート状油中水型乳化油脂組成物を製造した。
得られたシート状油中水型乳化油脂組成物は、一部離水が見られボソボソとした外観であった。
【0033】
(実施例4〜6,比較例7〜12) クロワッサンの製造
実施例1〜3、及び比較例1〜6で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用し、以下の配合、製法でクロワッサンを作製した。
【0034】
生地配合
小麦粉(強力):700g
小麦粉(薄力):300g
上白糖 : 80g
食塩 : 20g
脱脂粉乳 : 20g
マーガリン : 50g
イースト : 50g
卵 : 50g
水 :500g
上記配合の原料をボールに入れ、ビーターを用いタテ型ミキサーにて低速、中速にて各原料が均一に混合されるまで混捏、生地を作製した。その時の捏ね上げ温度は25〜26℃になるように調整した。フロアータイム30分の後、−5℃の冷蔵庫に保存した。この生地を冷蔵庫から取り出して生地温度が0℃になった時点で、予め20℃に一晩温調されたシート状油中水型乳化油脂組成物(実施例1〜4、比較例1〜3)を各500gロールインした。ロールインは四つ折り一回、三つ折2回行った。−5℃で一晩保存した後、シーターにて延ばした生地を底辺12.5cm、高さ15cmの二等辺三角形にカットし、丸めて成型し、35℃、湿度70%のホイロにて醗酵後、上火230℃、下火210℃のオーブンにて18分間焼成を行った。
【0035】
クロワッサンの製品評価は表1に示す項目で行った。評価は、5人の訓練されたパネラーにより、5段階評価(5:非常に良好、4:良好、3:普通、2:やや劣る、1:非常に劣る)で行い、その平均点を各々の点数とした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用した実施例4〜6のクロワッサンは、比較例1〜6で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用した比較例7〜12のクロワッサンと比べて食感、浮きの点で同等もしくは良好であり、乳化剤及び増粘安定剤を含有しなくても満足できるレベルであることが示された。
【0038】
(実施例7〜9,比較例13〜18) パイの製造
実施例1〜3、及び比較例1〜6で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用し、以下の配合、製法でパイを作製した。
【0039】
生地配合
小麦粉(強力):500g
小麦粉(薄力):500g
食塩 : 15g
油脂 : 50g
水 :580g
上記配合で、カントーミキサーにて低速2分、高速5分でパイ生地を作製した(捏ね上げ温度:20℃)。その後、粉500g分に分割し丸めて、アルミ製の天板にのせ、ナイロン袋をかぶせて−5℃で一晩冷却した。室温20℃にて、温調されたパイ生地を取り出し、麺棒にて30センチ四方に延ばし、その上に予め20℃に一晩温調されたシート状油中水型乳化油脂組成物(実施例1〜4、比較例1〜6)を各800g乗せた。生地の四方を合わせてシート状油中水型乳化油脂組成物を包み込み、シーターにて延ばした後、四つ折、三つ折を行った。−3℃にて1時間温調した後、同様に四つ折り、三つ折りを繰り返す。更に−3℃で2時間温調した後、生地をシーターで延ばし、直径9センチと5センチの円形抜き型を用いてドーナッツ型に成型した。250℃のオーブンにて15分焼成を行い、パイを得た。
【0040】
パイの製品評価は表2に示す項目で行った。評価は、5人の訓練されたパネラーにより、5段階評価(5:非常に良好、4:良好、3:普通、2:やや劣る、1:非常に劣る)で行い、その平均点を各々の点数とした。
【0041】
【表2】
【0042】
表2から明らかなように、実施例1〜3で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用した実施例7〜9のパイは、比較例1〜6で得られたシート状油中水型乳化油脂組成物を使用した比較例13〜18のパイと比べて食感、浮きの点で同等もしくは良好であり、乳化剤及び増粘安定剤を含有しなくても満足できるレベルであることが示された。
【0043】
【発明の効果】
以上の如く本発明品を折り込み用油脂として使用した時、従来の油脂を使用した場合と比べ、作業性、浮き、食感の点で同等もしくは良好なクロワッサン、デニッシュ、パイ等の層状膨化食品が得られるシート状油中水型乳化油脂組成物を提供することができた。また、本発明では、乳化剤及び増粘安定剤を全く含有しなくても、安定的にシート状油中水型乳化油脂組成物を製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1〜3、及び比較例1〜6に係るシート状油中水型乳化油脂組成物の製造工程を示す工程説明図である。
【符号の説明】
1:乳化槽、2:ピストンポンプ、3:冷却捏和装置(A1ユニット)、4,7:ギアポンプ、5:冷却捏和装置(A2ユニット)、6:冷却捏和装置(A3ユニット)、8:配管、9:レスティングチューブ(Rユニット)。
Claims (2)
- シート状油中水型乳化油脂組成物を得るための加圧晶析時の加圧圧力が10〜150MPaの範囲であり、油中水型乳化油脂組成物全体中の水分量が10〜50重量%、油分が90〜50重量%であり、且つ乳化剤及び増粘剤が無添加であることを特徴とするシート状油中水型乳化油脂組成物。
- 生地に請求項1に記載のシート状油中水型乳化油脂組成物を使用し、製造してなる層状膨化食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002135026A JP4284921B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002135026A JP4284921B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003325103A JP2003325103A (ja) | 2003-11-18 |
JP4284921B2 true JP4284921B2 (ja) | 2009-06-24 |
Family
ID=29697456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002135026A Expired - Fee Related JP4284921B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4284921B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4539389B2 (ja) * | 2005-03-18 | 2010-09-08 | 株式会社カネカ | 油中水型乳化油脂組成物及びその製造方法 |
JP4459134B2 (ja) * | 2005-08-29 | 2010-04-28 | 株式会社カネカ | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法 |
JP2010220579A (ja) * | 2009-03-25 | 2010-10-07 | Kaneka Corp | 可塑性油中水型乳化油脂組成物 |
-
2002
- 2002-05-10 JP JP2002135026A patent/JP4284921B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003325103A (ja) | 2003-11-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2013512693A (ja) | 高ジグリセリド構造性組成物ならびにこれを用いる製品および方法 | |
US5034240A (en) | Process for the production of roll-in fat containing solid component | |
CN104159451A (zh) | 卷入人造奶油 | |
JP2007060913A (ja) | シート状油中水型乳化油脂組成物及びそれを用いた層状膨化食品 | |
JP6831791B2 (ja) | ロールインマーガリン | |
JP4459134B2 (ja) | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法 | |
JP6450081B2 (ja) | 含糖ロールインマーガリン | |
TWI432143B (zh) | 層狀小麥粉膨脹食品用可塑性油中水型乳化物 | |
JP4284921B2 (ja) | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 | |
JP2001262181A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP7019242B2 (ja) | イーストパイ | |
JP6879001B2 (ja) | ロールイン油中水型乳化組成物 | |
JP2017018018A (ja) | 可塑性油脂組成物及び該可塑性油脂組成物を使用してなる練りパイ生地 | |
JPWO2010107021A1 (ja) | ビスケット生地の製造方法及びビスケット | |
JP2010063366A (ja) | 高水分シート状油中水型乳化油脂組成物 | |
JP5119883B2 (ja) | 油中水型乳化物 | |
JPH0987657A (ja) | デキストリン含有乳化油脂組成物 | |
JP2019076072A (ja) | ペストリー練り込み用油脂組成物及びこれを用いたペストリー製品並びにペストリー製品の改良方法 | |
JP6852766B2 (ja) | パン類の製造方法 | |
JP4075272B2 (ja) | シート状油脂加工食品及びそれを用いた層状小麦粉膨化食品 | |
JP4130524B2 (ja) | シート状油脂加工食品およびその製造方法並びにそれを用いた層状小麦粉膨化食品 | |
JP2001045970A (ja) | 折り込み用油脂組成物 | |
JP3007562B2 (ja) | パン生地およびパンの製造法 | |
JP2003134999A (ja) | シート状油中水型乳化油脂組成物およびその製造法並びにそれを用いた層状膨化食品 | |
JP2007259759A (ja) | パン類の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050329 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071018 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071030 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20071112 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071220 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080701 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090303 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090316 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4284921 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130403 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140403 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |