JP2007205850A - 電気化学測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解液中で電気化学反応を制御しながら、試料の反応過程を観察する装置であって、試料を電解液内に浸漬した状態で収容する溶液セルと、電解液に浸漬された状態で試料に対向配置されたカンチレバー3と、試料に電気的に接触する試料電極と、電解液内に浸漬された状態で配された参照電極8及び対極9と、参照電極の電位を基準として試料電極の電位を制御すると共に試料電極と対極との間に流れる電流を測定する電流測定手段とを備え、カンチレバーが、参照電極及び対極を備えており、探針3aの近傍に参照電極及び対極が配置されている電気化学測定装置を提供する。
【選択図】図3
Description
このECSTMは、試料、対極、参照電極及びプローブ先端を、少なくとも電解液中に配置し、試料に対してある電位を設定した後、プローブを走査させながら試料とプローブとの間に流れるトンネル電流を検出して、電気化学反応を観察する方法である。この、ECSTMによれば、電気化学反応による試料表面の変化を、その場で直ちに観察できることが可能であるため、広く研究、利用されている。
ECAFM80は、試料81を電解液Wに浸漬させた状態で収容する試料セル82と、電解液W中で試料81に対向配置されたカンチレバー83と、電解液W中に浸漬された状態で取り付けられた対極84及び参照電極85とを備えている。
試料セル82は、試料81が載置される試料セル下部82aと、該試料セル下部82aに組み合わされ、Oリング86を介して試料81を試料セル下部82aに押し付ける試料セル上部82bとで構成されている。
また、試料セル上部82bには、カンチレバー83を固定するカンチレバーホルダ87がOリング88を介して組み合わされている。そして、このカンチレバーホルダ87、試料セル上部82b及び試料81とで囲まれる空間に、電解液Wが満たされている。これにより、試料81及びカンチレバー83は、電解液Wに浸漬された状態となっている。
また、カンチレバー83は、バイポテンシオスタット89に電気的接続されたクリップ91によってカンチレバーホルダ87に固定されている。そのため、カンチレバー83は、バイポテンシオスタット89によって電位が制御される第2の作用電極として作用するようになっている。
更に、バイポテンシオスタット89には、電位をそれぞれ独立して制御可能な上記対極84及び参照電極85が電気的に接続されている。
即ち、第1の作用電極である試料81、第2の作用電極であるカンチレバー83、対極84及び参照電極85は、それぞれ単に電解液W内に浸漬されているだけの構成であり、互いの位置関係については、何ら考量されていない。そのため、以下に示す各種の不具合が生じていた。
更には、観察位置近傍で局所的に電気化学反応を行わせて、正確な表面形状観察を行うことができる電気化学測定装置を提供することである。
本発明の電気化学測定装置は、電解液中で電気化学反応を制御しながら、試料の反応過程を観察する電気化学測定装置であって、前記試料を電解液内に浸漬した状態で収容する溶液セルと、先端に探針を有するレバー部と、該レバー部の基端側を片持ち状に支持する支持部とを有し、前記電解液に浸漬された状態で前記試料に対向配置されたカンチレバーと、前記探針と前記試料とを、試料表面に平行な方向に相対的に走査させると共に、試料表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、前記レバー部の撓みを測定する変位測定手段と、該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記走査時に前記探針と前記試料表面との距離を、前記レバー部の撓みが一定となるように前記移動手段を制御すると共に、試料の表面形状データを取得する制御手段と、前記試料に電気的に接触する試料電極と、前記電解液内に浸漬された状態で配された参照電極及び対極と、前記参照電極の電位を基準として前記試料電極の電位を制御すると共に、試料電極と対極との間に流れる電流を測定する電流測定手段とを備え、前記カンチレバーが、前記参照電極及び前記対極を備えており、前記探針の近傍に参照電極及び対極が配置されていることを特徴とするものである。
そのため、従来とは異なり、試料表面をカンチレバーで走査する際の観察位置や試料の位置等に影響を受けることなく、試料上の観察位置の電位や電流密度を常に一定にすることができる。また、同様に参照電極の電位を基準として、観察位置における試料表面の電位を常に一定にすることができる。
また、試料電極は、探針よりも試料側に突出しているので、移動手段によりカンチレバーを試料に近づけた際に、試料電極が探針よりも先に試料に接触して導通をとることができる。この際、第2のレバー部の撓み状態を確認することで、試料電極が試料に接触したか否かを確実に判断することができる。従って、電流測定手段は、試料電極を介して試料の電位を確実に制御することができる。
このように動的な方法で試料表面の形状観察を行うことで、静的な方法に比べて測定結果の精度をより向上することができる。
本実施形態の電気化学測定装置1は、電解液W中で電気化学反応を制御しながら、試料Sの反応過程を観察する装置(電気化学ECAFM)である。
また、液槽2の底板には、導電性材料で板状に形成された第1の作用電極7が埋め込まれている。この第1の作用電極7は、試料Sの下面に隠れるサイズに形成されており、上面が露出して電解液Wに直接触れないようになっている。また、第1の作用電極7は、バイポテンシオスタット11に対して電気的に接続されており、任意に電位が制御されるようになっている。つまり、第1の作用電極7を介して試料Sの電位を制御できるようになっている。
また、本実施形態のカンチレバー3は、探針3aと共に参照電極8及び対極9をレバー部21の先端に備えている。これにより参照電極8及び対極9が、探針3aの近傍に配置されている。
また、この導電性膜24上には、外部接続端子25、参照電極8及び対極9を除く領域において、さらにSiO2からなる絶縁膜26が被膜されている。これにより、外部接続端子25、参照電極8及び対極9を除く部分が、電解液Wに直接触れないようになっている。
レーザ受光部33は、例えば、フォトディテクタであり、レーザ光Lの入射位置に基づいて、レバー部21の撓み変化を検出している。そして、レーザ受光部33は、検出したレバー部21の撓み変化をDIF信号としてプリアンプ34に出力している。
即ち、これら光透過部31、レーザ光源32、レーザ受光部33は、上記変位測定手段5を構成している。
これら制御部38及びAFM測定系37は、上記制御手段6を構成している。なお、制御手段6は、後述する構成品を含め全ての構成品を総合的に制御する機能を有している。
なお、電気化学測定系39は、測定した電流値を制御部38に出力する。そして、制御部38は、送られた電流値から電気化学反応測定結果として、図示しないモニタ等に出力している。
まず、電解液Wが貯留された液槽2内に試料Sをセットした後、レーザ光源32及びレーザ受光部33の位置を調整する。即ち、レーザ光源32から照射したレーザ光Lが、光透過部31を通過してカンチレバー3の反射面で反射し、再度光透過部31を通ってレーザ受光部33に確実に入射するように位置調整を行う。
一方、この電気化学反応と同時に、移動手段4により探針3aと試料SとをXY方向に走査させて、探針3aで電気化学反応が起きている試料表面S1上の走査を行う。即ち、レバー部21の撓みが一定となるようにフィードバック制御した状態で、走査を行う。この際、電気化学反応に起因した試料表面S1の凹凸に応じて、レバー部21が撓もうとするので、レーザ受光部33に入射するレーザ光L(反射面で反射したレーザ光)の振幅が異なる。
Z電圧フィードバック回路36は、直流変換されたDIF信号が常に一定となるように(つまり、レバー部21の撓みが一定となるように)、試料駆動部13によりXYZステージ12をZ方向に微小移動させて、フィードバック制御を行う。これにより、上述したように試料表面S1と探針3aとの距離を、レバー部21の撓みが一定となるように制御しながら走査することができる。また、制御部38は、Z電圧フィードバック回路36により上下させる信号に基づいて、試料Sの表面形状データを取得することができる。その結果、電気化学反応により、Cu等が析出した試料表面S1の形状観察を行える。
そして、試料Sの表面形状データと、電流測定手段10で測定された測定結果とにより、両者を相関付けることができ、電気化学反応による試料Sの反応過程を観察することができる。
そのため、従来とは異なり、試料表面S1をカンチレバー3で走査する際の観察位置や試料Sの位置等に影響を受けることなく、試料S上の観察位置の電位や電流密度を常に一定にすることができる。また、同様に参照電極8の電位を基準として、観察位置における試料表面S1の電位を常に一定にすることができる。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、第1の作用電極7、参照電極8及び対極9の電位を制御しながら、電気化学反応を行う3電極方式であったが、第2実施形態の電気化学測定装置40は、探針3aがバイポテンシオスタット11に電気的に接続されており、第1の作用電極7に加え、探針3aの電位も制御しながら4電極方式で電気化学反応を制御する点である。
なお、図6では、絶縁膜23、26の図示を省略している。
このように、探針3aの電位を制御することで、試料表面S1の形状をより高精度に観察したり、より多角的な観察を行うことができる。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、第1の作用電極7が試料Sの下に隠れるように筐体15に設けられていたのに対し、第3実施形態の電気化学測定装置は、カンチレバーと第1の作用電極とが一体的に構成されている点である。
第2のレバー部51は、例えば、レバー部21と同じ厚みで同じ長さだけ突出するように形成されている。ピエゾ抵抗素子52は、SOI基板にイオン注入法や拡散法等により不純物が注入されて形成されたものであり、第2のレバー部51の撓みに応じて抵抗値が変化するようになっている。また、このピエゾ抵抗素子52は、図示しない配線を介して制御部38に電気的に接続されていると共に、バイアス電圧が印加されるようになっている。そして、ピエゾ抵抗素子52は、第2のレバー部51の撓み量に応じてレベル変化する電気的信号を出力信号として制御部38に出力する。これにより、制御部38は、第2のレバー部51の撓み具合を判断できるようになっている。
第4実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、第1の作用電極7が試料Sの下に隠れるように筐体15に設けられていたのに対し、第4実施形態の電気化学測定装置は、カンチレバーと第1の作用電極とが一体的に構成されている点である。
なお、探針3aの電位制御を行わない場合には、探針3aと試料Sと接触させて、3点電極方式により試料Sの観察を行うことも可能である。
即ち、この場合には、図10に示すように、カンチレバーホルダ30と土台22との間に、レバー部21を試料表面S1に垂直なZ方向に向けて、所定の周波数で振動させる加振源(加振手段)70を設ければ良い。また、変位測定手段5は、反射面で反射したレーザ光Lの入射位置から、レバー部21の振動状態の測定を行う。そして、制御部38が、変位測定手段5で測定された測定結果に基づいて、走査時に探針3aと試料Sとの距離を、レバー部21の振動状態が一定となるように、即ち、振動振幅が一定となるように移動手段4を制御するように構成すれば良い。
このように、動的な方法で試料Sの形状観察を行うことで、静的な方法に比べて測定結果の精度をより向上することができる。
S1 試料表面
W 電解液
1、40 電気化学測定装置
2 液槽(溶液セル)
3、41、50、60 カンチレバー
3a 探針
4 移動手段
5 変位測定手段
6 制御手段
7、53 第1の作用電極(試料電極)
8 参照電極
9 対極
10 電流測定手段
21 レバー部
22 土台(支持部)
51 第2のレバー部
52 ピエゾ抵抗素子(撓み測定部)
70 加振源(加振手段)
Claims (5)
- 電解液中で電気化学反応を制御しながら、試料の反応過程を観察する電気化学測定装置であって、
前記試料を電解液内に浸漬した状態で収容する溶液セルと、
先端に探針を有するレバー部と、該レバー部の基端側を片持ち状に支持する支持部とを有し、前記電解液に浸漬された状態で前記試料に対向配置されたカンチレバーと、
前記探針と前記試料とを、試料表面に平行な方向に相対的に走査させると共に、試料表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記レバー部の撓みを測定する変位測定手段と、
該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記走査時に前記探針と前記試料表面との距離を、前記レバー部の撓みが一定となるように前記移動手段を制御すると共に、試料の表面形状データを取得する制御手段と、
前記試料に電気的に接触する試料電極と、
前記電解液内に浸漬された状態で配された参照電極及び対極と、
前記参照電極の電位を基準として前記試料電極の電位を制御すると共に、試料電極と対極との間に流れる電流を測定する電流測定手段とを備え、
前記カンチレバーが、前記参照電極及び前記対極を備えており、前記探針の近傍に参照電極及び対極が配置されていることを特徴とする電気化学測定装置。 - 請求項1に記載の電気化学測定装置において、
前記カンチレバーは、前記レバー部と平行になるように基端側が前記支持部に片持ち状に支持された第2のレバー部と、該第2のレバー部の撓みを測定する撓み測定部とを備え、
前記試料電極が、前記探針よりも前記試料側に突出した状態で、前記第2のレバー部の先端に設けられていることを特徴とする電気化学測定装置。 - 請求項2又は3に記載の電気化学測定装置において、
前記探針は、前記電流測定手段に対して電気的に接続されていると共に、前記参照電極の電位を基準として、前記試料電極とは別個に電位が制御可能とされていることを特徴とする電気化学測定装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学測定装置において、
前記参照電極及び前記対極は、前記探針と共に前記レバー部の先端に設けられていることを特徴とする電気化学測定装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学測定装置において、
前記レバー部を前記試料表面に垂直な方向に向けて、所定の周波数で振動させる加振手段を備え、
前記変位測定手段が、前記レバー部の振動状態を測定し、
前記制御手段が、前記変位測定手段による測定結果に基づいて、前記走査時に前記探針と前記試料との距離を、前記カンチレバーの振動状態が一定となるように前記移動手段を制御することを特徴とする電気化学測定装置。
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