JP5269725B2 - 液中電位計測方法 - Google Patents

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本発明は、液体中に存在する物体の表面における電位、及び当該表面の近傍における液体の電位を計測する技術に関する。
例えば、めっきの厚さを制御するためにめっき溶液中に添加剤を加える場合や、ある種の電池やキャパシタのように液体中に電極がある場合は、液体中に存在する物質(固体)の表面電位状態に影響された液体側の電位構造をミクロスケールで計測し、評価したいという要請がある。例えば、めっきにおける添加剤の作用を評価する場合には、溶媒に前記添加剤が加えられた液体中に存在するめっき対象物の表面電位状態に影響された液体側の電位構造を計測する。また、電池の電解質と電極との関係を評価したい場合には、前記電解質に相当する液体中に存在する電極の表面電位状態に影響された液体側の電位構造を計測する。さらに、顔料等の分散性を評価するような場合には、分散剤等を添加した液体中に存在する顔料の表面電位状態に影響された液体側の電位構造を計測する。
液体中に存在する物質表面の電位状態を計測する手法としては、例えば、電気化学的手法や光散乱・流動による動的手法(例えば、ゼータ電位計測等)がある。これらの手法で得られる電位状態は表面全体で平均化されたものであるとともに、完全な平面モデル又は球面モデルを仮定したものである。このため、上述した手法により、液体中に存在する物質の表面及び表面近傍における電位状態を、ミクロスケールで計測することは困難である。
また、特許文献1には、試料の表面形状を計測し、その表面形状における電位ポテンシャルを計測する走査型プローブ顕微鏡が開示されている。この走査型プローブ顕微鏡は、探針に電位を印加し、探針に電位が印加されたことによる周波数のシフト量を検出し、この検出された周波数シフト量を積分した信号と所定の周波数との交番電位信号とを重畳した信号を探針に印加する電位信号とする。このとき、検出された周波数が0となるようにサーボ制御することにより、探針における電位ポテンシャルを得るものである。
特開2005−283538号公報(0017、0063)
ところで、特許文献1に開示された技術は、空気中や真空中に配置された試料の電位を計測するものであり、液体中に置かれた試料やその表面近傍に存在する液体の電位を計測するものではない。また、特許文献1に開示された技術は、試料表面を検出する際、探針が試料表面に触れない領域での原子間力によるカンチレバーの振動の変化を利用しているため、試料表面の位置を正確に捉えていない状態で試料表面の電位を計測している。このため、特許文献1に開示された技術では、試料表面の電位の計測精度が低下するおそれがある。
また、特許文献1に開示された技術は、探針に働く原子間力あるいは静電気力によるカンチレバーの振動の変化を、その振動の周波数シフト量を用いて検出している。しかし、液体中におけるカンチレバーの振動の共振Q値は、大気中や真空中のそれと比べ著しく低下するため、液体中におけるカンチレバーの振動の周波数シフト量を検出することは困難である。
さらに、特許文献1に開示された技術は、試料表面を検出した後、カンチレバーに取り付けられた探針を所定量だけ遠ざけた後、試料に接触しない範囲内で試料へ近づく方向に向かって所定量を所定ステップ移動させ、それぞれのステップで電位を計測している。しかし、この手法では、探針に電位を印加することによって探針が帯電することが避けられない。また、探針の走査に用いる素子の熱ドリフトにより、探針位置のずれが発生するおそれがあり、電位の計測精度の低下を招くおそれがある。
このように、特許文献1に開示された技術は、液体中に存在する物質の表面電位、及び前記物質の表面電位状態に影響された液体側の電位構造を、ミクロスケールで計測することについては改善の余地がある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体中に置かれた物質の表面電位、及び表面電位状態に影響された液体側の電位構造を、ミクロスケールで計測できる液中電位計測方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る液中電位計測方法は、液体中に計測対象を保持した状態で、自由端側に探針を有するカンチレバーを第1周波数で振動させるとともに、前記探針に、直流電位及び前記第1周波数とは異なる第2周波数の交流電位を重畳して印加する電位印加手順と、前記探針が前記計測対象に接触していない状態で前記第1周波数の振動振幅を検出し、その後、前記第1周波数の振動振幅を検出しつつ前記探針を前記計測対象へ接近させ、前記第1周波数の振動振幅を所定の一定値に保つように前記探針と前記計測対象との距離を制御して、前記第1周波数の振動振幅が前記所定の一定値に保たれたときに前記探針と前記計測対象とが接触したと判定する接触判定手順と、前記探針と前記計測対象とが接触したと判定された状態で、前記第2周波数の振動成分が0になるように前記直流電位を制御して、前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位を前記計測対象の表面における電位として求める表面電位測定手順と、前記探針を前記計測対象から離れた位置に移動させる探針移動手順と、前記探針が前記計測対象から離れたその位置において、前記第2周波数の振動成分が0になるように前記直流電位を制御して、前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位を求め、その電位をその離れた位置における液体中の電位とする液中電位測定手順と、を含むことを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記液中電位計測方法において、前記探針が前記計測対象から離れた位置において前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位と、前記探針と前記計測対象とが接触したと判定された状態で前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位との差を、前記探針が前記計測対象から離れた位置における前記液体中の電位とすることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記液中電位計測方法において、前記液体中において2点以上の電位を計測する場合、前記電位印加手順と、前記接触判定手順と、前記表面電位測定手順と、前記探針移動手順と、前記液中電位測定手順とを繰り返し、前記液体中における2点以上の電位の計測結果から、前記液体中の電位と、当該電位の位置との関係を求め、前記関係の一次関数部分と、前記関係の指数関数部分と、前記一次関数部分及び前記指数関数部分の接続部と、のうちの少なくとも一つを用いて、前記液体中の電荷固定層の厚さと、前記液体中の電荷拡散層の実効厚さと、対イオンの符号と、電荷固定層と電荷拡散層との境界に存在する対イオンの過不足と、のうちの少なくとも一つを求めることが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る液中電位計測装置は、液体中に配置される計測対象を前記液体とともに保持する液体保持手段と、カンチレバーの自由端側に設けられる探針と、前記カンチレバーを第1周波数で振動させる振動付与手段と、直流電位と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の交流電位とを重畳して前記探針に印加する電位印加手段と、前記探針と前記計測対象との少なくとも一方を、前記探針と前記計測対象とが離れる方向又は接近する方向に移動させる移動手段と、前記カンチレバーの変位を検出する検出する変位検出手段と、前記変位検出手段が検出した前記カンチレバーの変位情報から、前記第1周波数の振動成分を検出する第1振動検出手段と、前記変位検出手段が検出した前記カンチレバーの変位情報から、前記第2周波数の振動成分を検出する第2振動検出手段と、前記第1周波数検出手段によって検出された前記第1周波数の振動振幅を所定の一定値に保つように前記探針と前記計測対象との距離を制御する位置制御手段と、前記第2周波数検出手段によって検出された前記第2周波数の振動成分が0になるように前記直流電位を制御する電位制御手段と、前記探針と前記計測対象との距離を表す情報に基づいて前記計測対象の表面を検出する表面検出手段と、前記直流電位に基づいて前記計測対象の表面における電位及び前記液体中の電位を求める電位計測手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
本発明は、液体中に置かれた物質の表面電位、及び表面電位状態に影響された液体側の電位構造を、ミクロスケールで計測できる。
図1は、本実施形態に係る液中電位計測装置の構成図である。 図2は、本実施形態に係る液中電位計測方法の手順を示すフローチャートである。 図3−1は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。 図3−2は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。 図3−3は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。 図3−4は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。 図3−5は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。 図4−1は、カンチレバーを振動させるために発振器から振動子へ出力される加振信号の時間変化を示す図である。 図4−2は、探針に印加される電位の時間変化を示す図である。 図4−3は、変位検出装置によって検出されたカンチレバーの変位を示す電位信号を示す図である。 図5−1は、探針と計測対象との接触を判定する手法の説明図である。 図5−2は、探針と計測対象との接触を判定する手法の説明図である。 図5−3は、探針と計測対象との接触を判定する手法の説明図である。 図6−1は、探針に印加する直流電位を調整する手法の説明図である。 図6−2は、探針に印加する直流電位を調整する手法の説明図である。 図6−3は、探針に印加する直流電位を調整する手法の説明図である。 図7−1は、計測された電位差と液中計測位置情報との関係を示す図である。 図7−2は、計測された電位差と液中計測位置情報との関係を示す図である。 図7−3は、計測された電位差と液中計測位置情報との関係を示す図である。 図8−1は、計測対象表面及び液体中の電荷分布を示す模式図である。 図8−2は、計測対象表面及び液体中の電荷分布を示す模式図である。 図8−3は、計測対象表面及び液体中の電荷分布を示す模式図である。 図9−1は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。 図9−2は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。 図9−3は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。 図9−4は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。 図9−5は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る液中電位計測装置の構成図である。まず、図1を用いて、本実施形態に係る液中電位計測装置を説明する。図1に示す液中電位計測装置1は、液体中に存在する物体(計測対象)SAの表面における電位及び前記物体の表面近傍に存在する液体の電位を計測するものである。液中電位計測装置1は、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Prove Microscope)の一種であり、カンチレバー4の自由端側に設けた探針5を計測対象SAの表面をなぞるように動かして、計測対象SAの表面の電位やその近傍に存在する液体LIの電位を計測したり、計測対象SAの表面状態を検出したりする。
液中電位計測装置1は、計測装置本体100と計測制御装置50とを含んで構成される。また、計測装置本体100は、信号検出装置101と、動作制御・情報検出系統102とで構成される。計測装置本体100を構成する信号検出装置101は、ステージ2と、液体保持手段である液体容器3と、カンチレバー4と、探針5と、振動付与手段である振動子6と、移動手段であるXYZ走査装置8とを含んで構成される。
ステージ2は、平板状の部材であって平面部を有し、電位や表面を計測する対象である計測対象SAを前記平面部に載置する。液体容器3は、ステージ2に取り付けられて、ステージ2と液体容器3とで形成される空間内に液体LIを保持する。また、液体容器3の前記空間内には、探針5を有するカンチレバー4が少なくとも配置される。カンチレバー4と対向する液体容器3の部分(天井部)には、開口部7oが設けられる。この開口部7oには、光を透過する光透過窓7が設けられる。
カンチレバー4は、XYZ走査装置8及び振動子6に一端部が固定されており、固定されていない端部が自由端となる。カンチレバー4の自由端には、探針5が取り付けられる。カンチレバー4は、弾性体で構成される。カンチレバー4は、例えば、シリコンや、シリコンにシリコン窒化膜やシリコン酸化膜等が形成されることにより構成される。本実施形態では、カンチレバー4をシリコンで構成する。
探針5は、XYZ走査装置8がカンチレバー4をX方向やY方向に走査させることにより、計測対象SAの表面の計測対象領域を走査することができる。探針5は、少なくとも一部が導電材料(例えば、白金スパッタ膜等)で構成されて、後述するAC電位生成装置21及びDC電位生成装置22で生成され、加算演算器23で加算された電位が印加される。このような構成により、探針5は、計測対象SAとの間で原子間力及び静電気力を受ける。探針5は、計測対象SAの表面形状や位置を検出するとともに、計測対象SAの表面や表面近傍の液体中の電位を計測するものである。本実施形態では、一つの探針5及びカンチレバー4で位置及び電位を計測するので、これらの計測精度を向上させることができる。
振動子6は、圧電素子(例えば、ピエゾ素子)で構成される。そして、振動子6は、カンチレバー4に周期的に変化する力を与えて、カンチレバー4を所定の周波数で振動させるものである。これによって、カンチレバー4の自由端に取り付けられた探針5は、カンチレバー4が振動する周波数で振動する。
XYZ走査装置8は、圧電素子(例えば、ピエゾ素子)で構成される。本実施形態において、XYZ走査装置8は、例えば、伸縮方向が互いに直交する3個の圧電素子により構成され、それぞれの圧電素子が伸縮することにより、カンチレバー4をX方向、Y方向、Z方向に移動させる。ここで、Z方向は、ステージ2の平面部と直交する方向であり、X方向及びY方向はそれぞれZ方向に直交する。そして、X方向とY方向とは互いに直交する。XYZ走査装置8を構成する圧電素子のうち、カンチレバー4をZ方向に移動させるものが、移動手段に相当する。すなわち、移動手段は、カンチレバー4をZ方向と平行な方向に移動させることにより、探針5を、計測対象SAから離れる方向又は計測対象SAに接近する方向に移動させる。
なお、本実施形態では、移動手段であるXYZ走査装置8によって探針5を移動させるが、移動手段は探針5を移動させるものには限られない。例えば、計測対象SAを載置するステージ2を探針5から離れる方向又は探針5に接近する方向へ移動させてもよい。すなわち、本実施形態に係る移動手段は、探針5と計測対象SAとの少なくとも一方(両方でもよい)を、探針5と計測対象SAとが離れる方向又は接近する方向に移動させるものであればよい。
次に、動作制御・情報検出系統102について説明する。動作制御・情報検出系統102は、発光素子9、受光素子10、変位検出装置11、第1ロックイン増幅器12、第1振動検出器13、発振器14、第1FB回路15、Z走査駆動装置16、X走査駆動装置17、Y走査駆動装置18、第2ロックイン増幅器19、第2振動検出器20、AC電位生成装置21、DC電位生成装置22、加算演算器23、第2FB回路24を含んで構成される。これらの構成要素により、動作制御・情報検出系統102は、カンチレバー4の位置やXYZ走査装置8の動作を制御したり、カンチレバー4の変位を検出したりする機能を有する。
発振器14は、カンチレバー4を振動させる振動子6に、所定周波数(第1周波数)の加振信号を与えることにより、振動子6を第1周波数で振動させる。これによって、カンチレバー4は、第1周波数で振動する。第1周波数は、例えば、カンチレバー4の共振周波数近傍の周波数(fr)である。Z走査駆動装置16、X走査駆動装置17、Y走査駆動装置18は、それぞれXYZ走査装置8を構成するそれぞれの圧電素子を動作させて、カンチレバー4をX方向、Y方向、Z方向へ移動させる。
発光素子9及び受光素子10及び変位検出装置11は、光てこを利用してカンチレバー4の変位(探針5の変位に相当する)を検出する変位検出手段である。発光素子9は、例えば、レーザー発光素子であり、カンチレバー4に向かって光(レーザー光)LLを照射する。この光LLは、光透過窓7を通ってカンチレバー4に照射され、カンチレバー4で反射して受光素子10へ入射する。光透過窓7を液体容器3に設けることで、液体容器3内のカンチレバー4に光LLを照射し、その反射光を受光素子10で受けることができる。
本実施形態において、受光素子10は、例えば、4分割フォトダイオードであり、4個の受光部10a、10b、10c、10dを有する。カンチレバー4が静止しているときに、カンチレバー4で反射された光LLは、受光素子10の中心に照射されるように構成される。このとき、4個の受光部10a、10b、10c、10dそれぞれには、光LLの照射スポットLSの1/4が照射される。
カンチレバー4が振動すると、カンチレバー4が周期的に変形する。この変形により、カンチレバー4によって反射された光LLの角度が変わり、受光素子10に照射される照射スポットLSの位置が変化する。すると、それぞれの受光部10a、10b、10c、10dの光起電力に差が生じる。この光起電力の差は、カンチレバー4の変形によって変化する照射スポットLSの位置と相関があるので、前記光起電力の差に基づいて、カンチレバー4の変形に起因する変位を求めることができる。変位検出装置11は、受光素子10から出力される信号、すなわち、前記光起電力に対応する信号を取得し、カンチレバー4の変位に対応する信号(カンチレバー4の変位情報)を出力する。ここで、変位検出手段は、上述した光てこを利用したものに限定されるものではない。例えば、カメラ等の撮像手段により、カンチレバー4や探針5を撮像し、その出力を画像処理することにより、カンチレバー4や探針5の変位を検出してもよい。
第1ロックイン増幅器12及び第1振動検出器13は、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報から、第1周波数の振動成分(より具体的には振動振幅)を検出する第1振動検出手段として機能する。第1ロックイン増幅器12は、発振器14が発生する加振信号を参照信号として取得するとともに、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報を取得する。第1ロックイン増幅器12は、カンチレバー4の変位情報から、参照信号と等しい周波数の振動成分を検出して、第1振動検出器13へ出力する。これによって、第1振動検出器13は、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報から、参照信号、すなわち加振信号の周波数(すなわち第1周波数)と等しい周波数の振動成分を検出する。
第1FB(フィードバック)回路15は、位置制御手段であり、第1振動検出器13によって検出された振動成分(第1周波数の振動成分)を取得する。そして、第1FB回路15は、第1周波数の振動成分の振動振幅を所定の一定値に保つようにZ走査駆動装置16を介してXYZ走査装置8を動作させて、探針5と計測対象SAとの距離を制御する。すなわち、第1FB回路15は、第1振動検出器13によって検出された振動成分の振動振幅と所定の一定値との偏差が0になるように、探針5と計測対象SAとの距離をフィードバック制御する。
AC電位生成装置21は、カンチレバー4を振動させるための加振信号の周波数(第1周波数fr)とは異なる第2周波数(fe)の交流電位を生成する。また、DC電位生成装置22は、所定の大きさの直流電位を生成する。加算演算器23は、AC電位生成装置21で生成された交流電位とDC電位生成装置22で生成された直流電位とを加算して、探針5に印加する。このように、AC電位生成装置21及びDC電位生成装置22及び加算演算器23は、電位印加手段として機能する。
第2ロックイン増幅器19及び第2振動検出器20は、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報から、第2周波数の振動成分(より具体的には振動振幅)を検出する第2振動検出手段として機能する。第2ロックイン増幅器19は、AC電位生成装置21が生成する交流電位の信号を参照信号として取得するとともに、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報を取得する。第2ロックイン増幅器19は、カンチレバー4の変位情報から、参照信号と等しい周波数、すなわち、第2周波数の振動成分を検出して、第2振動検出器20へ出力する。これによって、第2振動検出器20は、変位検出装置11が検出したカンチレバー4の変位情報から、参照信号、すなわちAC電位生成装置21が生成する交流電位の周波数(第2周波数)と等しい周波数の振動成分を検出する。
第2FB(フィードバック)回路24は、電位制御手段であり、第2振動検出器20によって検出された振動成分(第2周波数の振動成分)を取得する。そして、第2FB回路24は、その振動成分が0になるように、より具体的には、振動振幅が0になるように、DC電位生成装置22が生成する直流電位を制御(フィードバック制御)する。
次に、計測制御装置50について説明する。計測制御装置50は、処理部51と、記憶部52と、入出力部(I/O)53と、描画装置54と、入力装置55とを備える。処理部51と記憶部52とは、入出力部53を介して接続され、相互に情報をやり取りできるように構成される。また、描画装置54と入力装置55とは、入出力部53に接続されている。これによって、描画装置54は入出力部53を介して処理部51からの制御信号等を取得し、また、入力装置55は、入出力部53を介して処理部51に対する指令等を入力する。
処理部51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成される。記憶部52は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の一次記憶装置や、磁気ディスクやフラッシュメモリ等の二次記憶装置で構成される。記憶部52は、本実施形態に係る液中電位計測方法を実行するためのコンピュータプログラムを保存したり、本実施形態に係る液中電位計測方法により得られた計測結果(電位や表面形状)を保存したりする。
処理部51は、制御部51aと、表面検出部51bと、電位計測部51cと、位置情報取得部51dとを含んで構成される。処理部51は、記憶部52に保存されている本実施形態に係る液中電位計測方法を実行するためのコンピュータプログラムから、順次命令コードを読み込んで処理することにより、制御部51aと、表面検出部51bと、電位計測部51cと、位置情報取得部51dとの機能を実現する。
制御部51aは、計測装置本体100を構成する動作制御・情報検出系統102の所定の構成要素に、計測装置本体100を構成する信号検出装置101の所定の構成要素を動作させるための制御信号を出力する。これによって、制御部51aは、計測装置本体100を制御する。また、制御部51aは、描画装置54に対する描画を制御したり、入力装置55によって入力された指令に基づき、制御信号を生成したりする。
表面検出部51bは表面検出手段であり、探針5と計測対象SAとの距離を表す情報に基づき、探針5が計測対象SAの表面に接触したことを検出することにより、計測対象SAの表面を検出する。電位計測部51cは電位計測手段であり、DC電位生成装置22から出力される直流電位を取得し、これに基づいて計測対象SAの表面における電位や液中の電位を決定する。位置情報取得部51dは、Z走査駆動装置16からZ方向における探針5の位置情報を取得するとともに、位置情報を取得した位置で計測した電位と位置情報とを対応付けて記憶部52に保存する。
描画装置54は、計測装置本体100によって計測され、計測制御装置50で情報を処理されることによって得られた計測対象SAの表面電位や液中電位、あるいは計測対象SAの表面形状等を描画するものである。描画装置54は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置やプリンタやプロッタ等の画像出力装置を用いることができる。入力装置55は、計測装置本体100を動作させるための指令や、電位や形状を計測装置本体100に計測させるための指令を、処理部51に出力する。次に、本実施形態に係る液中電位計測方法の手順を説明する。
図2は、本実施形態に係る液中電位計測方法の手順を示すフローチャートである。図3−1〜図3−5は、本実施形態に係る液中電位計測方法の説明図である。図4−1は、カンチレバーを振動させるために発振器から振動子へ出力される加振信号の時間変化を示す図である。図4−2は、探針に印加される電位の時間変化を示す図である。図4−3は、変位検出装置によって検出されたカンチレバーの変位を示す電位信号を示す図である。図5−1〜図5−3は、探針と計測対象との接触を判定する手法の説明図である。図6−1〜図6−3は、探針に印加する直流電位を調整する手法の説明図である。図4−1〜図6−3の縦軸はいずれも電位、横軸はいずれも時間である。
本実施形態に係る液中電位計測方法は、図1に示す液中電位計測装置1により実現できる。計測を開始するにあたり、ステップS101において、まず、計測対象SAをステージ2にセットする。計測対象SAは、必要に応じて絶縁したり、電位を与えたりする。次に、ステップS102に進み、液体LIを液体容器3内に満たす。液体LIには、評価の目的に応じたものが用いられる。例えば、めっきにおける添加剤の作用を評価する場合には、溶媒に前記添加剤が加えられた液体が用いられ、電池の電解質と電極との関係を評価したい場合には、前記電解質に相当する液体が用いられる。また、顔料等の分散性を評価するような場合には、顔料を含む溶液に分散剤等を添加した液体が用いられる。
次に、ステップS103へ進み、探針5を計測対象SAの近傍に設置する。ここで、探針5及びカンチレバー4は、液体LIが満たされた液体容器3内に配置される。探針5の設置が完了したら、ステップS104へ進み、振動子6によってカンチレバー4を振動させる。ここで、ステップS104と、後述するステップS105との順序は問わず、いずれが先に実行されてもよいし、両方のステップが同時に実行されてもよい。
振動子6を用いてカンチレバー4を振動させるにあたっては、例えば、入力装置55が、カンチレバー4を振動させる指令(振動開始指令)を計測制御装置50へ出力する。すると、計測制御装置50の処理部51を構成する制御部51aは振動開始指令を取得して、第1周波数frの加振信号を振動子6に出力させる指令を発振器14に出力する。この指令を受けて、発振器14は、図4−1に示すように、第1周波数frの加振信号Grを振動子6に出力して、振動子6を第1周波数frで振動させる。これによって、カンチレバー4は、第1周波数frで振動し、探針5も、第1周波数frで振動する。なお、本実施形態において、第1周波数frは50kHzである。
加振信号Gr[V]は、式(1)のように表される。また、振動子6によって振動するカンチレバー4の変位量(機械振動変位量)Dr[nm]は、式(2)のように表される。ここで、Gr0は、発振器14が出力する加振信号(交流電圧)の振幅[V]であり、Ar1は、振動子6により液体中で振動するカンチレバー4の振幅[nm]である。
Gr=Gr0×sin(2×π×fr×t)・・(1)
Dr=Ar1×sin(2×π×fr×t)・・(2)
次に、ステップS105へ進み、探針5へ電位を印加する。ステップS104及びステップS105が、電位印加手順に相当する。探針5に電位を印加するにあたっては、例えば、入力装置55が、探針5に電位を印加する指令(電位印加開始指令)を計測制御装置50へ出力する。すると、制御部51aが電位印加開始指令を取得して、第2周波数feの交流電位を生成する指令をAC電位生成装置21に出力するとともに、直流電位を生成する指令をDC電位生成装置22へ出力する。この指令を受けて、図4−2に示すように、AC電位生成装置21は、第2周波数feの交流電位Va[V]を生成して加算演算器23へ出力し、また、DC電位生成装置22は、直流電位Vd[V]を生成して加算演算器23へ出力する。これによって、加算演算器23は、交流電位Vaと直流電位Vdとが加算(重畳)された電位(探針印加電位)Vp[V]を探針5へ印加する。交流電位Vaは式(3)で、探針印加電位Vpは式(4)のように表される。ここで、Va0は、AC電位生成装置21が生成する交流電位の振幅[V]である。なお、本実施形態において、第2周波数feは、17kHzである。
Va=Va0×sin(2×π×fe×t)・・(3)
Vp=Va0×sin(2×π×fe×t)+Vd・・(4)
探針印加電位Vpによるカンチレバー4の変位量(静電気力変位量)De[nm]は次のようになる。まず、探針印加電位Vpによってカンチレバー4に働く静電気力Fe[N]は、式(5)のように表される。ここで、Vsは、計測対象SAの表面又は探針5の近傍に存在する液体LIの電位[V]であり、Cは、探針5と、計測対象SAの表面又は探針5の近傍に存在する液体LIとの間の静電容量[F]である。
Fe=−1/2×(∂C/∂z)×(Vp−Vs)・・(5)
式(5)を三角関数の公式に則って変形すると、式(5)は、式(6)のように表される。
Fe=−1/2×(∂C/∂z)×[{(Vd−Vs)+(Va0)}+2×Va0×(Vd−Vs)×sin(2×π×fe×t)−1/2×(Va0)×cos(2×2×π×fe×t)]・・(6)
式(6)は、Fe0、Fe1、Fe2を用いて式(7)のように表される。ここで、Fe0は、式(6)の右辺第1項中における直流成分[N]、Fe1は、式(6)の右辺第2項におけるfe成分の振幅[N]、Fe2は、式(6)の右辺第3項における2×fe成分の振幅[N]である。
Fe=Fe0+Fe1×sin(2×π×fe×t)+Fe2×cos(2×2×π×fe×t)・・(7)
静電気力変位量Deは十分に小さいことから、静電気力Feによる静電気力変位量DeはFeに比例する(De∝Fe)というフックの法則が近似的に成立する。したがって、静電気力変位量Deは、式(8)のように表される。ここで、式(8)のAe0、Ae1、Ae2は、それぞれ式(7)のFe0、Fe1、Fe2に比例した静電気力による静電気力変位量Deの直流成分[nm]、fe成分の振幅[nm]、2×fe成分の振幅[nm]である。
De=Ae0+Ae1×sin(2×π×fe×t)+Ae2×cos(2×2×π×fe×t)・・(8)
カンチレバー4が振動子6によって振動させられ、かつ探針5に探針印加電位Vpが印加されたら、本実施形態において、制御部51aは、発光素子9から光LLをカンチレバー4に照射させるとともに、カンチレバー4で反射した光LLを受光素子10で受光させる。これによって、変位検出装置11は、カンチレバー4の変位(カンチレバー変位量)Dを検出する。
カンチレバー変位量D[nm]は、振動子6による機械振動変位量Drと、探針印加電位Vpに起因する静電気力による静電気力変位量Deとを重畳したものであり、式(9)のように表される。
D=Dr+De=Ar1×sin(2×π×fr×t)+Ae0+Ae1×sin(2×π×fe×t)+Ae2×cos(2×2×π×fe×t)・・(9)
ここで、光てこ方式を用いた変位検出手段(発光素子9及び受光素子10及び変位検出装置11)により、カンチレバー変位量Dの信号として変換され、出力される電気信号、すなわち、変位検出装置11から出力される信号をE[V]とする。Eはカンチレバー変位量Dに比例し(E∝D)、式(10)のように表される。ここで、Er1、Ee0、Ee1、Ee2は、それぞれ式(9)のAr1、Ae0、Ae1、Ae2に比例した、変位検出装置11から出力される信号のfr成分の振幅[V]、直流成分の振幅[V]、fe成分の振幅[V]、2×fe成分の振幅[V]である。なお、Erは、変位検出装置11から出力される信号Eのうち機械振動変位量Drに対応する信号[V]であり、Eeは、静電気力変位量Deに対応する信号[V]である。Erは式(11)で、Eeは式(12)である。信号E、Er、Eeは、図4−3に示すようになる。
E=Er+Ee=Er1×sin(2×π×fr×t)+Ee0+Ee1×sin(2×π×fe×t)+Ee2×cos(2×2×π×fe×t)・・(10)
Er=Er1×sin(2×π×fr×t)・・(11)
Ee=Ee0+Ee1×sin(2×π×fe×t)+Ee2×cos(2×2×π×fe×t)・・(12)
第1ロックイン増幅器12は、第1周波数frの振動成分を検出し、第1振動検出器13へ出力する。この出力信号は、式(11)のErである。第1振動検出器13は、第1ロックイン増幅器12から取得した信号から、第1周波数frの振動成分の振動振幅Ar1に対応した振動振幅Er1を第1FB回路15へ出力する。第2ロックイン増幅器19は、第2周波数feの振動成分を検出し、対応する信号を第2振動検出器20へ出力する。第2ロックイン増幅器19から出力される信号は、式(12)の第2項、すなわち、Ee1×sin(2×π×fe×t)である。第2振動検出器20は、第2ロックイン増幅器19から取得した信号から、第2周波数feの振動成分の振動振幅Ae1に対応した信号Ee1を電気信号として検出して第2FB回路24へ出力する。
カンチレバー4が第1周波数frで振動し、かつ探針5へ探針印加電位Vpが印加されたら、ステップS106へ進み、探針5を計測位置へ移動させる。探針5を計測対象SAの計測位置へ移動させるにあたっては、例えば、入力装置55が、探針5を計測対象SAの計測位置に移動させる指令(計測位置移動指令)を計測制御装置50へ出力する。すると、制御部51aは計測位置移動指令を取得して、探針5を現在の位置から計測位置まで移動させるために必要な方向及び距離を演算する。そして、制御部51aは、演算した方向に演算した距離だけ探針5を移動させるための指令を生成して、X走査駆動装置17とY走査駆動装置18との少なくとも一方へ出力する。これによって、X走査駆動装置17とY走査駆動装置18との少なくとも一方は、XYZ走査装置8を駆動して計測位置移動指令に対応した距離及び方向にカンチレバー4を移動させることにより、探針5を計測位置まで移動させる。
次に、ステップS107へ進み、制御部51aは、計測回数nを0に設定する。計測回数nは、同一の計測位置において計測対象SAの表面から離れた液中の電位を計測する回数であり、その値は1以上である。計測回数nは、予め一定の値を定めておいてもよいし、計測対象SAや液体LIの種類毎、あるいは計測位置毎に設定してもよい。計測回数nが0に設定されたら、ステップS108へ進む。
ステップS108においては、図3−1に示すように、探針5を計測対象SAに接近させて、計測対象SAの表面を検出する。この場合、探針5が計測対象SAに接触していない状態で第1周波数frの振動振幅を検出し、その後、第1周波数frの振動振幅を検出しつつ探針5を計測対象SAへ接近させながら、第1周波数frの振動振幅を所定の一定値に保つように探針5と計測対象SAとの距離を制御することにより、計測対象SAの表面を検出する。
探針5を計測対象SAへ接近させるため、制御部51aは、探針5を計測対象SAへ向かって移動させるための指令を生成して、Z走査駆動装置16へ出力する。これによって、Z走査駆動装置16は、XYZ走査装置8を駆動して計測対象SAへ向かってカンチレバー4を移動させることにより、探針5を計測対象SAに接近させる。ここで、制御部51aは、例えば、入力装置55への入力によって入力装置が生成した、探針5を計測対象SAへ接近させるための指令(探針接近指令)に基づいて探針5を計測対象SAへ接近させたり、ステップS107の終了をトリガーとして探針5を計測対象SAへ接近させたりする。
次に、ステップS109へ進み、探針5によって計測対象SAの表面を検出する。ステップS109が、接触判定手順に相当する。図3−2に示すように、探針5と計測対象SAとを接触させることにより、計測対象SAの表面が検出できる。まず、探針5が計測対象SAの表面から十分離れており、この場合、カンチレバー4は、計測対象SAに接触しないで振動している状態でZ方向に移動していてもよいし、Z方向に対しては静止していてもよい。結果として探針5と計測対象SAとの間に作用する原子間力が無視でき、その場合における第1周波数frの振動成分の振動振幅に対応する信号をEr10[V]とする。この場合、上述した式(11)において、Er1=Er10となり、式(11)は、Er=Er10×sin(2×π×fr×t)となる。Erの時間変化は、図5−1に示すようになる。第1振動検出器13は、探針5が計測対象SAに接触していない状態で第1周波数frの振動振幅Er1を検出する。そして、第1FB回路15は、第1振動検出器13から出力される第1周波数frの振動成分の振動振幅Er1に対応する電気信号を取得する。第1周波数frの振動振幅を第1振動検出器13が検出しつつ、かつ制御部51aが探針5を計測対象SAへ接近させている状態で、第1FB回路15は、第1周波数frの振動振幅を所定の一定値に保つように探針5と計測対象SAとの距離を制御する。
探針5と計測対象SAとが周期的に接触するまで接近すると、両者間に生じる原子間力により第1周波数frの振動成分の振動振幅Er1が、接触していない場合の振動振幅Er10に比べ減衰する。すなわち、探針5と計測対象SAとの間に原子間力が作用した場合のEr1=α×Er10<Er10となる。ここで、αは、探針5と計測対象SAとの周期的接触による第1周波数frの振動成分の振動振幅の減衰率であり、α<1である。
減衰率αが所定の値αc(本実施形態では0.8)を維持しているときにおいて、探針5と計測対象SAとは周期的に接触している。すなわち、探針5と計測対象SAとの距離Zは0となる。一方、図5−3は、減衰率αが所定の値αcよりも小さい場合(α1<αc、Er1=α1×Er10)である。この場合、第1周波数frの振動成分の振動振幅Er1が減衰し過ぎる結果、探針5と計測対象SAとが接近し過ぎている状態となる。
本実施形態において、第1FB回路15は、探針5が計測対象SAに接近する過程において、減衰率αが所定の値αcを維持するように、すなわち、第1周波数frの振動成分の振動振幅Er1を所定の一定値(αc×Er10)に保つように、探針5と計測対象SAとの距離Zを制御する。第1FB回路15は、α=αc、すなわち、Er1=αc×Er10となるように探針5と計測対象SAとの距離を制御する。このときのErの時間変化は、図5−2に示すようになる。
探針5と計測対象SAとが周期的に接触している場合の減衰率αの値は、例えば、実験やシミュレーション、あるいは理論値等を用いて予め決定しておく。実験による場合、例えば、探針をグランドに接続し、計測対象SAを所定の電位に帯電させた状態で、計測対象SAの電位を観測しながら探針5を計測対象SAに接近させる。そして、計測対象SAの電位とグランドの電位とが等しくなったときに探針5と計測対象SAとが接触したと判定し、そのときの減衰率αを前記所定の値、すなわち、探針5と計測対象SAとが周期的に接触したときにおける減衰率の値とする。
第1FB回路15は、第1振動検出器13から取得した振動振幅Er1と、αc×Er10との偏差ΔEr1[V]が0になるようにZ走査駆動装置16を介してXYZ走査装置8を動作させ、探針5と計測対象SAとの距離Zを制御する。この場合、Er1/Er10とαcとの偏差Δαが0になるようにしてもよい。偏差ΔEr1又は偏差Δαは、探針5と計測対象SAとの距離を表す情報になる。偏差ΔEr1又は偏差Δαが0になったとき、探針5と計測対象SAとが周期的に接触しているので、探針5によって計測対象SAの表面が検出されたと判断できる。
ステップS109において、計測制御装置50の表面検出部51bは、第1FB回路15から偏差ΔEr1又は偏差Δαの信号を取得し、偏差ΔEr1又は偏差Δαが0になったときに、探針5によって計測対象SAの表面が検出されたと判定し、その情報を位置情報取得部51dへ出力する。これによって、計測対象SAの表面が検出される。このように、表面検出部51bは、探針5と計測対象SAとの距離を表す情報に基づいて、計測対象SAの表面を検出する。計測制御装置50の位置情報取得部51dは、表面検出部51bから計測対象SAの表面が検出されたという情報を取得したら、そのときの探針5のZ方向における位置をZ走査駆動装置16から取得し、その位置を0、すなわち計測対象SAの表面として、その情報を記憶部52の所定の領域へ保存する。その後、位置情報取得部51dは、探針5の位置を記憶部52へ保存した旨の情報を、探針5の位置情報を格納した領域のアドレスとともに計測制御装置50の電位計測部51cへ出力する。
本実施形態では、計測対象SAの表面を検出する際、カンチレバー4の振動により探針5と計測対象SAとが周期的に接触する状態で、原子間力によるカンチレバー4の振動の変化を利用しており、探針5と計測対象SAとが接触することにより、計測対象SAの表面の位置を正確に捉えることができる。また、探針5に作用する原子間力によるカンチレバー4の振動の変化を、その振動の振動振幅が変化することを利用して検出するので、カンチレバー4の振動の共振Q値が低下する液体LI中でも、カンチレバー4の振動の変化を精度よく検出することができる。その結果、電位の計測精度を向上させることができる。
次に、ステップS110へ進み、探針5に印加する直流電位Vdから、その探針5の位置における電位を決定する。ステップS110が、表面電位測定手順に相当する。上述したように、第2振動検出器20は、第2ロックイン増幅器19から取得した信号から、第2周波数feの振動成分の振動振幅Ae1に対応した信号Ee1を検出して第2FB回路24へ出力する。式(6)〜式(9)より、第2振動検出器20が検出し、出力する信号Ee1は、(Vd−Vs)に比例(Ee1∝(Vd−Vs))していることが分かる。このことから、DC電位生成装置22が生成する直流電位Vdを調節することで、Ee1を調整することができる。Ee1を0にすることで、すなわち、Vd=Vsとすることで、式(12)の右辺第2項を0にすることができる。すなわち、第2周波数feの振動成分を0にすることができる。
図6−1は、Vd>Vsである場合に第2ロックイン増幅器19から出力される信号の時間変化であり、図6−3は、Vd<Vsである場合に第2ロックイン増幅器19から出力される信号の時間変化である。いずれの場合も、第2ロックイン増幅器19から出力される信号は、時間の経過とともに周期的に変化している。一方、図6−2は、Vd=Vsである場合に第2ロックイン増幅器19から出力される信号の時間変化である。Vd=Vsである場合には、第2ロックイン増幅器19から出力される信号は時間に関わらず0[V]で一定である。
Ee1=0となる直流電位Vd=Vd1z0[V]とすると、Ee1=Vd1z0−Vs=0となる。ここで、ステップS109で探針5により計測対象SAの表面を検出しているので、探針5は計測対象SAの表面に周期的に接触している。このため、Vsは計測対象SAの表面(Z=0)における電位(表面電位)V0(Z=0)[V]となる。すなわち、Vd1z0−V0(Z=0)=0なので、V0(Z=0)=Vd1z0となる。このように、Ee1=0になるように直流電位Vdを調整し、Ee1=0になったときの直流電位Vdが、探針5の位置における電位になる。これによって、探針5の位置の電位を計測できる。
ステップS110において、第2FB回路24は、信号Ee1を第2振動検出器20から取得し、これが0になるようにDC電位生成装置22が生成する直流電位Vdを制御する。すなわち、第2FB回路24は、第2振動検出器20によって検出された第2周波数feの振動成分が0になるように直流電位Vdを制御する。電位計測部51cは、例えば、位置情報取得部51dから出力された、探針5の位置を記憶部52へ保存した旨の情報をトリガーとして、Ee1=0、すなわち、第2振動検出器20が出力する信号(電位信号)Ee1が0になったときにDC電位生成装置22が生成する直流電位Vd(=Vd1z0)を、DC電位生成装置22から取得する。
なお、DC電位生成装置22が生成する直流電位Vdを電位計測部51cが取得するトリガーは、これに限定されるものではなく、例えば、入力装置55からの指令であってもよい。次に、電位計測部51cは、取得した直流電位Vdを、探針5の現在の位置における電位、この例では、表面電位V0(Z=0)として決定する。その後、電位計測部51cは、探針5の現在の位置を、位置情報取得部51dから出力されたアドレスから読み出し、決定した電位と関連付けて記憶部52の所定領域に保存する。本実施形態では、探針5に作用する静電気力によるカンチレバー4の振動の変化を、その振動の振動振幅変化により検出するので、カンチレバー4の振動の共振Q値が低下する液体LI中でも、カンチレバー4の振動の変化を精度よく検出することができる。
探針5の電位、すなわち、計測対象SAの表面あるいは探針5の近傍の液体LIの電位が決定されたら、ステップS111へ進む。ステップS111が、探針移動手順に相当する。ステップS111において、制御部51aは、図3−3に示すように、Z走査駆動装置16を介してXYZ走査装置8を駆動してカンチレバー4をZ方向に移動させることにより、探針5を計測対象SAの表面から所定距離ΔZn+1だけ移動させる。すなわち、探針5を計測対象SAの表面から所定距離ΔZn+1だけ離す。これによって、探針5を計測対象SAの表面から離れた位置に配置して、電位計測部51cは、その位置における液体LIの電位を計測する。なお、この段階において、n=0なので、所定距離はΔZ1[nm]である。ここで、Z方向への探針5の移動量は計測毎に任意に設定してもよいし、等しい移動量であってもよい。また、計測対象SAの表面に接触している探針5を計測対象SAから移動させる場合、制御部51aは、第1FB回路15による探針5と計測対象SAとの距離の制御を停止させる。
探針5を計測対象SAの表面から所定距離ΔZだけ移動させる場合、本実施形態では、Z方向、すなわち、図1に示すステージ2の平面部と直交する方向に探針5を移動させる。しかし、探針5の移動方向はこれに限定されるものではなく、ステージ2の平面部に対して所定の角度を持った方向を探針5の移動方向としてもよい。この場合、探針5の移動距離をL、探針5の移動方向と、ステージ2の平面部とのなす角度のうち小さい方をβとすると、計測対象SAの表面から探針5までの所定距離ΔZn+1は、L×sinβで求めることができる。
制御部51aは、探針5を計測対象SAの表面から所定距離ΔZ1だけ移動させたら、探針5の位置情報、すなわち、これから計測しようとする液体LIの電位の計測位置の情報を記憶部52の所定の領域へ保存する。その後、位置情報取得部51dは、探針5の位置を記憶部52へ保存した旨の情報を、探針5の位置情報を格納した領域のアドレスとともに計測制御装置50の電位計測部51cへ出力する。
探針5をZ方向に所定距離ΔZ1だけ移動させたらステップS112へ進み、探針5に印加する直流電位Vdから、その探針5の位置における電位を決定する。ステップS112が、液中電位測定手順に相当する。計測対象SAの表面から所定距離ΔZ1だけ離れた位置において、Ee1=0となる直流電位Vd=Vd1z1[V]とすると、Ee1=Vd1z1−Vs=0となる。したがって、Vsは計測対象SAの表面からΔZ1だけ離れた位置(Z=ΔZ1)における電位(液中電位)V1(Z=ΔZ1)[V]となる。すなわち、Vd1z1−V1(Z=ΔZ1)=0なので、V1(Z=ΔZ1)=Vd1z1となる。
ミクロスケールでの表面電位状態の計測方法として、電気化学AFM又は電気化学STMが挙げられる。しかし、これらは、探針と計測対象との間に電流を流すことによって進行する電気化学反応を介して電位を計測するので、電気化学反応により計測対象表面の真の電位状態が乱されることを避けることができない。また、探針と計測対象との間に電流を流さず、液体中に浸漬した探針と計測対象との間の電位差を測定することにより、液体中に置かれた計測対象の表面近傍の電位を計測すると、探針と計測対象との間に電位差が存在することになる。このため、液体分子、又は液体中に溶解した分子、原子、イオン等の粒子が探針又は試料表面に移動することで電気二重層が形成されるため、電気二重層内における電位差の影響を排除することができない。一方、本実施形態では、探針5の電位が周囲と等電位になるため、探針5の近傍に存在する液体LIの液体分極による電気二重層の影響を排除できる。これによって、本実施形態では、計測対象SAの表面電位や液中電位の計測精度が向上する。
ステップS112において、第2FB回路24は、信号Ee1を第2振動検出器20から取得し、これが0になるようにDC電位生成装置22が生成する直流電位Vdを制御する。すなわち、第2FB回路24は、第2振動検出器20によって検出された第2周波数feの振動成分が0になるように直流電位Vdを制御する。電位計測部51cは、探針5が計測対象SAの表面から所定距離ΔZ1だけ移動させられた旨の情報をトリガーとして、Ee1=0、すなわち、第2振動検出器20が出力する信号(電位信号)Ee1が0になったときにDC電位生成装置22が生成する直流電位Vd(=Vd1z1)を、DC電位生成装置22から取得する。なお、DC電位生成装置22が生成する直流電位Vdを電位計測部51cが取得するトリガーは、これに限定されるものではなく、例えば、入力装置55からの指令であってもよい。
次に、電位計測部51cは、取得した直流電位Vdを、探針5の現在の位置における電位、この例では、計測対象SAの表面からΔZ1離れた位置における液体LIの電位(液中電位)V1として決定する。その後、電位計測部51cは、探針5の現在の位置を、位置情報取得部51dから出力されたアドレスから読み出し、決定した電位と関連付けて記憶部52の所定領域に保存する。次に、ステップS113へ進み、電位計測部51cは、液中電位V1(Z=ΔZ1)及び表面電位V0(Z=0)を記憶部52から読み出すとともに、液中電位V1(Z=ΔZ1)と表面電位V0(Z=0)との電位差ΔV1[V](=V1(Z=ΔZ1)−V0(Z=0))を求め、記憶部52の所定領域に、Z方向において液中電位V1(Z=ΔZ1)を計測した位置の情報(液中計測位置情報)と関連付けて保存する。このように、本実施形態では、液中電位V1(Z=ΔZ1)と表面電位V0(Z=0)との電位差ΔV1を用いて電位構造等を評価するので、計測対象SAの表面電位の絶対値が変動するような場合であっても評価が可能である。なお、ステップS113の電位差ΔV1を求める手順は必ずしも必要ではなく、液中電位V1を用いて電位構造等を評価してもよい。
計測対象SAの表面からΔZ1離れた位置における液中電位V1(Z=ΔZ1)が計測されて、電位差ΔV1が求められたらステップS114へ進む。ステップS114において、制御部51aは、現在の計測回数nに1を加算して、新たな計測回数nとする。この場合、ステップS107でn=0に設定した状態なので、新たな計測回数nは1になる。次に、ステップS115へ進み、制御部51aは、現在の計測回数nが予め設定した所定の規定計測回数nfと等しいか否かを判定する。規定計測回数nfは、液体LI中の電位を計測する回数である。
ステップS115でNoと判定された場合、すなわち、制御部51aがn<nfであると判定した場合、ステップS108に戻り、ステップS114までの手順を実行して、Z方向における複数の異なる位置で液体LI中の電位を計測する。この場合、図3−4に示すように、ステップS108、ステップS109で、探針5を再び計測対象SAの表面に接触させて表面電位を計測してから、ステップS111で前回とは異なる位置に探針5を移動させる。このように、Z方向において前回とは異なる位置で液中の電位を計測する毎に、計測対象SAの表面に探針5を接触させることで、探針5自体の帯電を回避できる。その結果、表面電位や液中電位の計測精度が向上する。
本実施形態では、Z方向において前回とは異なる位置で液中の電位を計測する毎に、計測対象SAの表面に探針5を接触させることにより、計測対象SAの表面も液体LI中の電位を計測する度に検出する。これによって、Z方向における探針5の位置は、電位の計測の度に検出され、更新された計測対象SAの表面を基準として求められる。その結果、探針5の走査に用いるXYZ走査装置8に使用する圧電素子の熱ドリフトにより、探針5の位置のずれが発生したとしても、その影響を最小限に抑えて、電位の計測精度の低下を抑制できる。
ステップS110で表面電位V0(Z=0)を決定したらステップS111へ進み、制御部51aは、図3−5に示すように、Z走査駆動装置16を介してXYZ走査装置8を駆動してカンチレバー4をZ方向に移動させることにより、探針5を計測対象SAの表面から所定距離ΔZn+1だけ移動させる。この場合、前回のステップS114でn=1となっているので、所定距離はΔZ2となる。これによって、Z方向において、前回とは異なる位置で液体LI中の電位を計測することができる。
その後、ステップS112で計測対象SAの表面からΔZ2離れた位置で液体LI中の電位V2を計測し、電位差ΔV2[V](=V2(Z=ΔZ2)−V0(Z=0))を求める。そして、ステップS114に進み、制御部51aは、現在の計測回数nに1を加算して、新たな計測回数nとする。この場合、前回のステップS114でn=1に設定されているので、新たな計測回数nは2になる。そしてステップS115へ進み、制御部51aは、現在の計測回数nが予め設定した所定の規定計測回数nfと等しいか否かを判定し、n=nfになるまでステップS108〜ステップS115を繰り返す。
本実施形態では、上述したように、計測対象SAの表面を検出した後、計測対象SAの表面の電位を計測し、次に探針5を所定量だけ計測対象SAの表面から遠ざけた後、液体LI中における電位を計測し、直前の計測対象SAの表面における電位との差分を液体LI中における電位とする。これによって、探針5が計測対象SAに接触することにより探針5の帯電を回避できる。また、液中電位と計測対象SAの表面電位との差分による補正と、計測対象SAの表面の検出による探針5の位置の補正により、電位と探針5の位置とを精度よく計測し、制御できる。
ステップS115でYesと判定された場合、すなわち、制御部51aがn=nfであると判定した場合、ステップS116へ進む。ステップS116において、制御部51aは、計測対象SAの他の位置を計測するか否かを判定する。他の位置を計測しない場合(ステップS116、No)、電位の計測は終了し、ステップS117へ進む。他の位置を計測する場合(ステップS116、Yes)、ステップS106へ戻り、以降の手順を実行する。
他の位置を計測する場合、制御部51aは、電位を計測したそれぞれの位置における計測対象SAの位置情報、すなわち、XYZ走査装置8の変位量をZ走査駆動装置16、X走査駆動装置17、Y走査駆動装置18から取得し、計測した電位のデータと関連付けて記憶部52の所定領域に保存する。なお、Z方向の位置情報は、計測対象SAの表面におけるものである。複数の位置で電位を計測することにより、計測対象SAの位置情報を複数得ることができる。そして、複数の位置情報から、計測対象SAの表面形状を求めることができる。
図7−1〜図7−3は、計測された電位差と液中計測位置情報との関係を示す図である。図8−1〜図8−3は、計測対象表面及び液体中の電荷分布を示す模式図である。図8−1に示す電荷分布は、図7−1に示す電位差と液中計測位置情報との関係に対応し、図8−2に示す電荷分布は、図7−2に示す電位差と液中計測位置情報との関係に対応し、図8−3に示す電荷分布は、図7−3に示す電位差と液中計測位置情報との関係に対応する。図7−1〜図7−3、図8−1〜図8−3の横軸は、計測対象SAの表面からの距離であり、0が計測対象SAの表面である。また、図7−1〜図7−3の縦軸は、電位差である。
ステップS117において、制御部51aは、記憶部52に格納された電位差ΔV[V](ここでは、ΔV1、ΔV2、・・・ΔVnfの総称を意味する)と液中計測位置情報とを読み出し、電位差ΔVと液中計測位置情報との関係を図1に示す計測制御装置50の描画装置54へ描画させる。その結果は、例えば、図7−1〜図7−3に示すようになる。電位差ΔVと液中計測位置情報との関係が描画されたら、ステップS118へ進み、描画された結果に基づいて計測対象SAの表面及び液体LI中の電荷分布を評価する。表1には、評価の基準を示す。なお、液中電位Uや表面電位V0を用いて、計測対象SAの表面及び液体LI中の電荷分布を評価してもよい。この場合、制御部51aは、記憶部52に格納された液中電位U[V](ここでは、V1、V2、・・・Vnfの総称を意味する)と液中計測位置情報とを読み出し、液中電位Uと液中計測位置情報との関係を図1に示す計測制御装置50の描画装置54へ描画させる。
Figure 0005269725
図8−1〜図8−3に示すように、計測対象SAの表面から距離Zcまでは、電荷固定層(符号40)と呼ばれる層であり、距離Zcよりも大きい領域は、電荷拡散層(符号41)と呼ばれる層である。計測対象SAの表面には電荷(表面電荷)42が存在し、電荷固定層40と電荷拡散層41との境界には、表面電荷と対になるイオン(対イオン)43が存在する。対イオン43は、液体LI中のイオンであり、表面電荷42とは反対の電荷を持つ。また、図7−1〜図7−3に示すように、電荷固定層においては、電位は直線状、すなわち、計測対象表面からの距離の一次関数にしたがって変化し電荷拡散層においては、電位は計測対象表面からの距離の指数関数にしたがって変化する。
表1に示すように、本実施形態では、電位差ΔVと液中計測位置情報との関係の一次関数部分(以下、直線部分という)F1の傾き(図7−1のAで示す部分)、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部(図7−1のCで示す部分)の形状によって、対イオンの符号Sn、表面電荷に対する対イオンの過不足Bnを評価する。また、電荷固定層の厚さδFn[nm]及び電荷拡散層の実効厚さ(デバイ長)δDn[nm]を求める。電荷固定層の厚さδFnは、計測対象SAの表面から直線部分F1と指数関数部分F2との接続部(図7−1のCで示す部分)までの距離Zcである。電荷拡散層の実効厚さは、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部を基点として、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部における指数関数部分F2の漸近線と電位差ΔV1c[V]が、1/e(eは自然体数の底)になる位置までの距離である。ここで、直線部分F1とは、電位が計測対象表面からの距離の一次関数にしたがって変化する部分(図7−1の距離Zcまでの領域)であり、指数関数部分F2とは、電位が計測対象表面からの距離の指数関数にしたがって変化する部分である。なお、直線部分F1は、計測した液中電位の距離に対する変化が一次関数と見なせればよく、厳密な一次関数である必要はない。同様に、指数関数部分F2は、計測した液中電位の距離に対する変化が指数関数と見なせればよく、厳密な指数関数である必要はない。
例えば、図7−1に示す例は、直線部分F1の傾きが正であり、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部の形状は上に凸であって、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部は折れ線状となる。このため、その電荷分布は、図8−1に示すように、対イオン43の符号が正(すなわち表面電荷42は負)で、表面電荷42に対して対イオン43は過剰であると評価できる。また、図7−2に示す例は、直線部分F1の傾きが正であり、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部の形状は下に凸であって、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部は折れ線状となる。このため、その電荷分布は、図8−2に示すように、対イオン43の符号が正(すなわち表面電荷42は負)で、表面電荷42に対して対イオン43は不足していると評価できる。また、図7−3に示す例は、直線部分F1の傾きが正であり、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部は滑らかであると見なせる。このため、その電荷分布は、図8−3に示すように、対イオン43の符号が正(すなわち表面電荷42は負)で、表面電荷42に対して対イオン43は過不足なしであると評価できる。ここで、計測対象SAの複数の位置で電位を計測した場合、対イオンの符号Sn、表面電荷に対する対イオンの過不足B1、電荷固定層の厚さδFn、電荷拡散層の実効厚さ(デバイ長)δDnは、それぞれの位置に対して求める。
直線部分F1と指数関数部分F2との接続部が滑らかであるとは、接続部における指数関数部分F2の接線の傾きが直線部分F1の傾きに等しいか、あるいは直線部分F1の傾きに対して所定の範囲(例えば、直線部分F1の傾きの±5%)以内であることをいう。また、直線部分F1と指数関数部分F2との接続部が折れ線状であるとは、接続部における指数関数部分F2の接線の傾きが直線部分F1の傾きに対して前記所定の範囲を超えることをいう。
なお、計測対象SAの複数の位置で電位を計測した場合、複数の位置情報が得られる。このため、ステップS117において、制御部51aは、これらを用いて計測対象SAの表面形状を描画させてもよい。この場合、計測対象SAの表面形状を3次元で描画するとともに、計測対象SAの表面近傍における電位差ΔVを計測対象SAの表面形状に合わせて3次元(例えば、等電位差線等)で描画させる。また、制御部51aは、対イオンの符号Sn、表面電荷に対する対イオンの過不足Bn、電荷固定層の厚さδFn、電荷拡散層の実効厚さ(デバイ長)δDnについても、計測対象SAの表面形状に合わせて3次元で描画させてもよい。
このように、本実施形態に係る液中電位計測方法及び液中電位計測装置1は、液体LI中に設置された計測対象SAの表面電位状態に影響される、計測対象SAの表面近傍における液体LI中の電位の距離依存性、すなわち電位構造をミクロスケールで計測し、電荷分布を評価することができる。そして、本実施形態に係る液中電位計測方法及び液中電位計測装置1は、計測対象SAの表面に探針5が接触するので、計測対象SAの表面を確実に捉えることができる。また、カンチレバー4の振動の振動振幅を検出するので、液体LI中において原子間力や静電気力によるカンチレバー4の振動の変化を確実に検出できる。さらに、Z方向に複数電位を計測する場合は、計測毎に探針5を計測対象SAに接触させるので、探針5の帯電を回避できる。これらによって、本実施形態に係る液中電位計測方法及び液中電位計測装置1は、計測対象SAの表面近傍における液体LI中の電位の計測精度が向上するので、電位構造を高い精度で把握できる。なお、本実施形態に係る液中電位計測方法を実現する手法は上述したものに限定されるものではない。
(液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例)
図9−1〜図9−5は、本実施形態に係る液中電位計測装置を構成する装置本体の変形例を示す図である。図9−1に示す信号検出装置101aは、ステージ2に載置された計測対象SAと外部接地GNDとの間に、直流電位発生装置(DC)30を接続する。これによって、信号検出装置101aでは、直流電位発生装置30が、外部接地GNDを基準とした直流電位を、液体容器3内の計測対象SAに印加する。
図9−2に示す信号検出装置101bは、ステージ2に載置された計測対象SAと外部接地GNDとを絶縁する。絶縁の手法は、ステージ2及び液体容器3を絶縁体で構成する。図9−3に示す信号検出装置101cは、ステージ2に載置された計測対象SAと外部接地GNDとの間に、第1直流電位発生装置(DC1)31を接続する。また、液体LIを介して計測対象SAと対向する位置に電極33を配置して、計測対象SAと電極33との間に第2直流電位発生装置(DC2)32を接続する。これによって、信号検出装置101cは、第1直流電位発生装置31によって、外部接地GNDを基準とした直流電位を液体容器3内の計測対象SAに印加し、また、第2直流電位発生装置32によって電極33を基準とした直流電位を液体容器3内の計測対象SAに印加する。
図9−4に示す信号検出装置101dは、ステージ2に載置された計測対象SAと外部接地GNDとを絶縁する。そして、ステージ2に載置された計測対象SAと、液体LIを介して計測対象SAと対向する位置に配置される電極33との間に、直流電位発生装置(DC1)30を接続する。これによって、信号検出装置101dでは、直流電位発生装置30が、電極33を基準とした直流電位を、液体容器3内の計測対象SAに印加する。
ここで、図9−5に示す信号検出装置101eのように、図9−4に示す信号検出装置101dの電極33の代わりに、液体LIに接する面の全体あるいは一部に導電体34を設けることにより導電性を付与した光透過窓7eで構成する。光透過窓7eは、液体容器3に設けられる。導電体34は、例えば、光を透過し、かつ導電性を有するITO(Indium Tin Oxide)の薄膜で構成する。ITOの薄膜は、光透過窓7eの液体LIに接する面の全体あるいは一部に、物理蒸着により形成することができる。なお、図9−3に示す信号検出装置101cにおいて、電極33の代わりに、液体LIに接する面の少なくとも一部に導電体34を設けた光透過窓7eを用いてもよい。
以上のように、本発明に係る液中電位計測方法は、液体中に置かれた計測対象の表面の電位、及び計測対象の表面から離れた位置に存在する液体の電位を計測することに有用である。
1 液中電位計測装置
2 ステージ
3 液体容器
4 カンチレバー
5 探針
6 振動子
7、7e 光透過窓
8 XYZ走査装置
9 発光素子
10 受光素子
11 変位検出装置
12 第1ロックイン増幅器
13 第1振動検出器
14 発振器
15 第1FB回路
16 Z走査駆動装置
17 X走査駆動装置
18 Y走査駆動装置
19 第2ロックイン増幅器
20 第2振動検出器
21 AC電位生成装置
22 DC電位生成装置
23 加算演算器
24 第2FB回路
40 電荷固定層
41 電荷拡散層
42 表面電荷
43 対イオン
50 計測制御装置
51 処理部
51a 制御部
51b 表面検出部
51c 電位計測部
51d 位置情報取得部
52 記憶部
53 入出力部
54 描画装置
55 入力装置
100 計測装置本体
101、101a、101b、101c、101d、101e 信号検出装置
102 動作制御・情報検出系統

Claims (3)

  1. 液体中に計測対象を保持した状態で、自由端側に探針を有するカンチレバーを第1周波数で振動させるとともに、前記探針に、直流電位及び前記第1周波数とは異なる第2周波数の交流電位を重畳して印加する電位印加手順と、
    前記探針が前記計測対象に接触していない状態で前記第1周波数の振動振幅を検出し、その後、前記第1周波数の振動振幅を検出しつつ前記探針を前記計測対象へ接近させ、前記第1周波数の振動振幅を所定の一定値に保つように前記探針と前記計測対象との距離を制御して、前記第1周波数の振動振幅が前記所定の一定値に保たれたときに前記探針と前記計測対象とが接触したと判定する接触判定手順と、
    前記探針と前記計測対象とが接触したと判定された状態で、前記第2周波数の振動成分が0になるように前記直流電位を制御して、前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位を前記計測対象の表面における電位として求める表面電位測定手順と、
    前記探針を前記計測対象から離れた位置に移動させる探針移動手順と、
    前記探針が前記計測対象から離れたその位置において、前記第2周波数の振動成分が0になるように前記直流電位を制御して、前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位を求め、その電位をその離れた位置における液体中の電位とする液中電位測定手順と、
    を含むことを特徴とする液中電位計測方法。
  2. 前記探針が前記計測対象から離れた位置において前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位と、前記探針と前記計測対象とが接触したと判定された状態で前記第2周波数の振動成分が0になったときの前記直流電位との差を、前記探針が前記計測対象から離れた位置における前記液体中の電位とする請求項1に記載の液中電位計測方法。
  3. 前記液体中において2点以上の電位を計測する場合、前記電位印加手順と、前記接触判定手順と、前記表面電位測定手順と、前記探針移動手順と、前記液中電位測定手順とを繰り返し、
    前記液体中における2点以上の電位の計測結果から、前記液体中の電位と、当該電位の位置との関係を求め、
    前記関係の一次関数部分と、前記関係の指数関数部分と、前記一次関数部分及び前記指数関数部分の接続部と、のうちの少なくとも一つを用いて、前記液体中の電荷固定層の厚さと、前記液体中の電荷拡散層の実効厚さと、対イオンの符号と、電荷固定層と電荷拡散層との境界に存在する対イオンの過不足と、のうちの少なくとも一つを求める請求項1又は2に記載の液中電位計測方法。
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