JP2018009879A - 電極表面の観察装置ならびにそれを用いた観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気分解時の電極表面を直接観察できる装置と、その装置を用いた観察方法で、特に銅電解精製時におけるアノード表面の観察方法を提供する。【解決手段】 作用極支持体の略中央部に略埋没した作用極を備える作用極ユニットと、対極支持体表面の略中央部下方に配置された中央に空隙を有する対極を備える対極ユニットを、電解液が満たされる反応槽を有する電解液ユニットを介して、その作用極と対極が対向、且つ反応槽内の電解液に浸漬される位置で構成され、対極が配置される対極支持体への投影領域に前記対極ユニットの外側から光学観察の可能な観察窓を備え、その作用極表面を対極側から照射する光源に係る光の波長を、前記電解液の吸収スペクトルが示す吸光度の小さい領域の波長に調整して光学観察を行うことを特徴とする電極表面の観察装置。【選択図】図1

Description

本発明は、電気分解における電極表面の状態を観察できる装置とそれを用いた観察方法に関する。
電気分解法は、反応を生じさせようとする溶液(以下、反応溶液と称す)に陽極と陰極の2つの電極を接触させ、それらの電極間に電流を流すことで反応溶液を陽極表面と陰極表面でそれぞれ反応させる方法である。
陽極及び陰極で、それぞれ異なる反応を同時に実施できること、電流や電圧値を制御することで反応を比較的かつ厳密に管理できること、高温化学反応と比較して環境対応が容易となるといった特徴がある。
この電気分解法は、金属製錬や材料表面の処理分野において、工業的に広く用いられてきた。例えば、非鉄金属の金属製錬において、金、銀、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、コバルトといった金属では水系での電解製錬が行われ、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウムといった金属では溶融塩電解が行われてきた。まためっきや陽極酸化といった表面処理分野でも利用されている。
ところで、電気分解においては、電極表面での反応を解明することが大きな課題となっている。
具体的には、銅の電解製錬では、アンチモンやヒ素や鉛やビスマスなどの不純物や金や銀などの貴金属を含んだ粗銅を陽極(アノード)として電解し、陰極(カソード)上に銅のみを電析させて回収するが、不純物や電解液や電流密度や温度など様々な要因によってアノード側で電流が流れなくなる不働態化と呼ばれる現象が生じることがある。
この不動態化が生じると、銅の精製が進まず、操業の安定性や効率が阻害されるため、この不働態化の発生メカニズムに関して以前から様々な研究が進められてきた。しかしこれらの研究の多くは、電極表面の電位測定や生成物の化学組成や性状観察などを通じた間接的なもので、アノード表面での不働態化の発生をリアルタイムに観察したものではなく、目視観察が可能ならば不動態化の原因解明に大きく貢献できると考えられるが、実際に目視で観察することは困難だった。
これは、銅電解中の電極表面を観察しようとしても、電極は電解液という液体の中に浸漬されているために、その連続観察は難しい。さらに工業的な銅電解精製で用いられる電解液は、高濃度の硫酸銅を主成分とし多種多様な不純物も含まれる特徴があり、このような組成では、浴の吸光度が高くなっているため、一般的な白色光を用いて照明しても透過率が低くなり、その観察は困難になる。
このため、電極表面で生じる状況は、従来は電流や電位、電圧、抵抗等を測定したり、電解液の組成や物性を測定したりする間接的な方法で判断され、目視によって直接判断することはできなかった。
一方、直接目視で観察する表面観察手法は、表面の凹凸をμmオーダーまで観察することができ、電極表面生成物や電極そのものの特性を評価可能となる有益な手法であるが、電気分解前と電解分解が終わった後の電極表面を観察することしか行えず、電気分解を生じている最中の電極表面状態がどのようなものとなっているかは、電気分解後の状態から推察するしかできなかった。
そこで、このように、電気分解中でも電極表面を随時かつ高倍率に観察する手法の開発が望まれてきた。
この目的に対し、例えば特許文献1〜4に示す装置が提案されてきた。
特許文献1は、活性化層を備えた実質的に平らな電気化学処理用電極の非活性表面領域を検出するために視認検査する方法で、アノード及びカソードとを備えた電解槽ならびに検査すべき電極のための支持体とで構成され、電解槽に該検査すべき電極の表面を観察するための領域が設けられていることを特徴とする。また、光源が槽の内側で支持体と電解槽のカソードとの間に配設されており、支持体とアノードとの間の間隔が支持体とカソードとの間の間隔よりも小さく、透明領域がカソードと支持体の間にある平らな槽領域であり、透明領域と検査されるべき電極の表面とが20〜80゜の角度を成す、等の特徴がある。
また、特許文献2には、電解液中で電気化学反応を制御しながら、試料の反応過程を観察する電気化学測定装置が示されている。
この装置は、試料を電解液内に浸漬した状態で収容する溶液セルと先端に探針を有するレバー部と、そのレバー部の基端側を片持ち状に支持する支持部とを有し、電解液に浸漬された状態で試料に対向配置されたカンチレバーと、探針と試料とを試料表面に平行な方向に相対的に走査させると共に試料表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、レバー部の撓みを測定する変位測定手段と、変位測定手段による測定結果に基づいて走査時に探針と試料表面との距離をレバー部の撓みが一定となるように移動手段を制御すると共に試料の表面形状データを取得する制御手段と、試料に電気的に接触する試料電極と、電解液内に浸漬された状態で配された参照電極及び対極と、参照電極の電位を基準として試料電極の電位を制御すると共に試料電極と対極との間に流れる電流を測定する電流測定手段とを備え、カンチレバーは参照電極及び対極を備えており、探針の近傍には参照電極及び対極が配置されていることを特徴とする電気化学測定装置である。
また、特許文献3には、実際の製品とほぼ同様な構造を有するリチウムイオン電池の内部構造を正極板及び負極板の延在方向と平行な方向から経時的に顕微鏡観察できる観察用セルが示されている。この観察用セルは、正極板、負極板、及び正極板と負極板との間に配置したセパレータとを有し、電解液が含浸された試験用のリチウムイオン電池を整列保持する保持工具と、保持工具を収納支持するセル本体と、透明板を含む観察窓が形成され、そのセル本体と密封係合するフランジとを有する。保持工具は、保持されるリチウムイオン電池に形成された端面エリアが透明板とほぼ平行になるようにセル本体内に支持され、試験用のリチウムイオン電池に形成された端面エリアに、そのフランジに設けた観察窓を介して顕微鏡から出射した照明光が入射するように構成するものである。
また、特許文献4には、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極を、ラマン分光法によって評価するための測定セルが示されている。
電極を収容する外部に対して密閉される収容部と、その収容部に配置された電極表面上でラマン散乱光を発生させるために、電極に向かって励起光を透過させる観察窓と、集電体と、その集電体と外部機器とを電気的に接続する接続端子とを備え、その電極には、活物質層が露出している断面であって、励起光が照射される断面が形成されており、その断面は、電極をイオンビームによって切断することによって形成されており、観察窓は、断面と密着するものであることを特徴とする測定セルである。
しかしながらこれらの装置を用いて銅の電解精製などが行われる際の電極状態、特にアノード表面での不働態化が発生した際の状態を観察することは、電解条件等の差の影響が大きく、困難だった。
特開平2−179898号公報 特開2007−205850号公報 特開2014−32745号公報 特開2015−99762号公報
本発明は、電気分解時の電極表面を直接観察できる装置と、その装置を用いた観察方法で、特に銅電解精製時におけるアノード表面の観察方法を提供するものである。
上記の課題を解決する本発明の第1の発明は、作用極支持体と作用極支持体の略中央部に略半没した作用極を備える作用極ユニットと、対極支持体と対極支持体表面の略中央部下方に配置された中央に空隙を有する対極を備える対極ユニットが、電解液が満たされる反応槽を形成する空間部を有する電解液ユニットを介して、作用極と対極が対向且つ反応槽内の電解液に浸漬される位置に配置されるように構成され、その対極に備わる空隙の対極支持体への投影領域に、対極ユニットの外側から光学観察の可能な観察窓を備え、その作用極表面を対極側から照射する光源に係る光の波長を、電解液の吸収スペクトルが示す吸光度の小さい領域の波長に調整して光学観察を行うことを特徴とする電極表面の観察装置である。
また、本発明の第2の発明は、第1の発明における電解液が、銅を含有する硫酸酸性溶液である場合、光源から照射される光の波長が、460〜490nmであることを特徴とする電極表面の観察装置である。
また、本発明の第3の発明は、第1および第2の発明に記載の観察装置を用い、電気分解時の電流、電位もしくは電圧をモニタリングすると共に、そのモニタリングと同期して顕微鏡の観察像を観測する電極表面の観察方法である。
本発明を用いることで、電気分解時の電極表面を鮮明に観察でき、なおかつ電流や電位もしくは電圧との相関を確認することができる。
本発明に係る観察装置の電解セル構造を示す分解図である。 図2は図1の電解セルを組立てた際の断面模式図で、(a)は図1のa−a’線断面図、(b)は観察窓32の断面図、(c)は作用電極2の一例を示す断面図、(d)は連結支持治具60を示すである。 実施例1の方法で観察した、電極表面の観察像である。 比較例1の方法で観察した、電極表面の観察像である。 硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液の吸収スペクトルを示す図である。 実施例2および比較例2の結果に基づく、電圧と電流との関係を示す図である。 実施例2の結果に基づく、不動態化前の電極表面観察像である。 実施例2の結果に基づく、不動態化進行中の電極表面観察像である。
銅など金属の電解精製が行われる際のアノード表面の状態を観察しようとする際は、電解液の状態を考慮して、光の透過率を高める工夫が必要とされていた。
それに対して、本発明では、観察セルの構造と、観察する光源の波長を特定範囲に制御することで課題を解決した。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
[電解セルの作製]
電解セルは、例えばアクリル樹脂やポリエーテルエーテルケトンのような加工性、耐薬品性、耐熱性等に優れた材料を使用して作製するのが良い。
電解セルの形態は、電解液の漏洩を考慮すると一体型のセルが良いが、メンテナンス性や種々の電解液への対応などを考慮するとセパレート式とすることで、各部品の交換を容易なものとし、電解液の漏洩に対しては、各部間には例えばシリコンゴム、ニトリルゴム、テフロン(登録商標)のような耐薬品性、耐熱性等に優れた材質のパッキンやO(オー)リングを挟み、電解液が漏洩しない構造とした。
各種顕微鏡や目視などでの光学観察する観察窓には、例えば石英ガラスのような透明度の高く、薄くても強度のある材料を使用することが視認性を高める点で好ましく、また、反応溶液や電解反応により白濁などによる透明度の低下を生じにくい材料であることも望まれる。
図1、2に本発明の具体例の一例を示す。図1は本発明に係る電解セルの一例の構造を示す分解図で、図2は図1の電解セルを組み立てた際の断面模式図で、(a)は図1のa−a’線断面、(b)は観察窓32の断面、(c)は電極(作用極)2の断面、(d)は連結支持治具を示す断面である。
図1に示すように、4分割のセパレート式電解セル1は、上方から上々部ユニット20、対極ユニット30(上部ユニットとも称す)、電解液ユニット40(中部ユニットとも称す)、作用極ユニット50(下部ユニットとも称す)の4体の分割ユニットで構成され、各分割ユニットが備えている位置決めと結合の役割を担う組立穴29、39、49、59に、連結支持治具60(図2(d)参照)を通して、組み立て、固定されている。
なお、位置決めと結合の役割を担うものであれば、その形態に制約はない。図2(d)に連結支持治具60の構成を示すが、61は位置決め連結軸、62は締め付けナットである。
また、各ユニット間の結合面には、パッキン11を備えて反応液の漏洩を防止する構造となっている。
次に各ユニットの詳細を説明する。
<上々部ユニット>
この上々部ユニット20は、下部の構成ユニットの保護及び光学観察のためプラットホームなどの役割を持ち、下部ユニットの作用極ユニット50と合わせて電解セル1(図2参照)の筐体の役目を果たすものである。ユニット本体21の中央付近に光を通過させ、観察するための観察穴22が設けられている。この観察穴22から、対極ユニット30に設けられた観察部、観察窓32を通して電極表面を観察する。
<作用極ユニット>
下部ユニットである作用極ユニット50は、電解セル1(図2参照)の筐体の一部を構成するものであると共に、観察に供せられる電極(作用極)2を電解セルに設置する取付部52を、作用極支持体51に備えている。この取付部52は、電極2を電解セルに組み入れた際に光源(図示せず)からの光に照らされる位置で、且つ上々部ユニット20の観察穴22を通して観察可能な位置に固定できるように設定可能な形態で適宜設けられる。
図1に示す例では、テフロン(登録商標)製のパッキン2bで反応液の漏洩防止された、樹脂に埋めこまれて電極面のみが表出した電極本体2aからなる電極(作用極)2を嵌めこむ形の円形穴として取付部52が設けられている。
ここで、観察に供する電極(作用極)2は、図2(c)に断面が示されるように、電極面2s以外の部分を樹脂2cに埋め込み、電極面2s以外の部分が反応に寄与しないものとするのが望ましい。さらに電極を埋め込んだ樹脂の形状は、取付部52の形態に合わせて適宜、型通りのものとし、セルに対して付け替え可能なものとする。その際には、反応槽内の液体が漏洩しないように、テフロン(登録商標)製等の耐薬品性や耐漏洩性が持続する材料を用いたパッキン2bなどを用いて漏洩防止が施される。2dはリード線である。
<電解液ユニット>
この中部ユニットである電解液ユニット40は、その上に設置される対極ユニット30と共に電解セル1の中枢部を形成するもので、対象とする反応液を貯留する反応槽A(図2(a)参照)を、上下に位置する対極ユニット30と引用極ユニット50とで構成する。図1ではユニット本体41をリング形態とし、その空間部42を反応槽の一部としている。この電解液ユニット40には、反応槽Aに反応液を送液、排液する液導入口43、液排出口43が備えられている。これらの入出口を設けることで反応液の循環、交換、排出などが可能であるが、バッチで観察するようなケースに使用する場合では、排出口の必要性はないが、液導入時の空気抜きとしての役割を果たしている。
<対極ユニット>
この上部ユニットである対極ユニット30では、観察対象の電極2の対極3を備えると同時に、電極2の表面を観察するための観察窓32を備える電解セル1の中枢を担うユニットである。
対極3は、対極支持体31の電解液ユニット40側の面に設置する。その中央部に空隙を有する形状の電極で、図1に示すようなリング状電極が望ましいが、中央部は電極2を観察できるような形態、材料で構成されていれば良く、通常、板状の電極材料の中央を貫通した穴、電極材料をリング状やC型に形成したもの、若しくは空隙内を透明材料で充填して中央部を構成したものなども利用可能である。
対極支持体31の対極3の空隙の投影領域には、外部から作用極(電極)2の表面を観察するための観察窓32が設けられている。この観察窓32は、ユニットを貫通した観察穴32a、その観察穴32aを塞ぐ形で設置された、より大径の透明板32b、電解液の漏洩を防止するためにユニット面と透明版32b間にも設けられるパッキン(Oリング等)32cで構成されている。なお、この観測窓32の配置場所は、対極3を通して作用極2の電極表面2sが観察可能な位置に設けられるもので、通常、作用極2、対極3、観察窓32、観察穴22は同一視線軸(図2の「一点鎖線」)上に、配置されていることが望ましい。
[光源の選択]
顕微鏡と観察用電極(作用極で、図2の符号2参照)との間に電解液を挟んだ状態での観察になり、その電解液は着色している場合が多いため、様々な波長の光が集まった白色光では透過し難く、観察には不向きである。そこで、電解液の吸収スペクトルに見合った波長の光源を選択する。
例えば、銅電解精製の電解液においては、不純物である硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液の吸収スペクトル(図5参照)を考慮し、波長が約460nm〜490nmの青色LEDを光源に用いると良い。
[観察方法]
電気分解時の電極表面状態の観察は、顕微鏡で表面状態の変化を観察しながら、電流や、電位もしくは電圧を同時にモニタリングし、電極表面状態との相関を確認することで、より多くの知見が得られるものとした。なお、観察は図2(a)の白抜き矢印方向から行われる。
以下、本発明の実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<青色LEDを光源に用いた陽極表面の観察>
アクリル板やパッキン部材を図1に示すように加工し、電解セルの構成部品を作製した。
次に、作製した図1に示す構成部品の各ユニットを組立てて、電極観察用の電解セルを作製し、各電極を取り付けて電気分解および表面観察が可能な状態とした。
観察する電極の作用極(陽極)2には「銅」を使用し、対向する電極の対極(陰極)3には白金を銅でコーティングしたものを使用した。
電気分解装置には北斗電工株式会社製の「HZ-3000型」を使用し、観察に用いた顕微鏡には、精密ウェーブ株式会社製の光学顕微鏡に、株式会社ディテクト製の顕微鏡画像記録装置「HAS−L2型」を接続して観察に使用した。
電解液は、硫酸銅五水和物と硫酸ニッケル七水和物の試薬、純度98重量%の硫酸および純水を用いて、銅濃度が50g/L、ニッケル濃度が15g/L、遊離硫酸濃度が200g/Lの成分組成とした電解液を作製して用いた。
次に、作製した電解液を、FisherScientific社製の「ペリスタポンプ」を用い、液導入口43から電解セル1の反応槽A内に送液し、反応槽A内を電解液で満たした。なお、送液に使用しない液導入口43及び液排出口43は止め栓していた。
光源に、Schott Moritex社製の「MLEP−A070W1LR」及びM「CEP−CB8−070−3(青色LED)」を使用し、陽極表面を観察した。
その表面観察像を図3に示す。図3からは、鮮明な表面像が得られていることが分かる。
(比較例1)
<白色光源を使用した陽極表面の観察>
実施例1の光源を白色光源(Schott Moritex社製の「Megalight100型」)に変更して同様の操作を実施して陽極表面を観察した。
図4に比較例1における表面観察像を示す。青色LED光源を使用した図3にくらべて白色光源を使用した図4では鮮明な表面像が得られ難いことが分かる。
<銅電解精製における陽極表面状態の観察>
実施例1で用いた電解セルを用い、電解液に硫酸銅五水和物、硫酸ニッケル七水和物、98%硫酸及び純水を用いて、銅濃度50g/L、ニッケル濃度15g/L、硫酸濃度200g/Lの成分組成の電解液を用い、FisherScientific社製の「ペリスタポンプ」にて、作製した電解液を電解セルに、毎分8mLの流量で送液した。
光源に、Schott Moritex社製の「MLEP−A070W1LR」及び「MCEP−CB8−070−3(青色LED)」を使用し、ウォーターバスやラバーヒーターを用いて、電解セル内部の電解液温度を60℃に調整し、電極間の電圧を0Vから、毎秒1mVの速度で0.6Vまで付加し、電流及び陽極表面状態の変化を観察した。
(比較例2)
<硫酸を浴とした銅の電気分解における陽極表面状態の観察>
実施例2の電解液を、銅やニッケルを含有しない濃度200g/Lの硫酸に変更して同様の操作を実施した。
図6に、実施例2および比較例2における電圧と電流の関係を示す。また、図7に、実施例2における不動態化前の観察像を、図8に、実施例2における不動態化進行中の観察像を示す。
図6に示される実施例2におけるグラフを見ると、電圧の上昇に伴い、電流が上昇していくが、ある電圧を境に電流が急降下しているのが分かる。これは陽極表面の不動態化によるものである。
また、図7、8より、不動態化前、不動態化進行中で、そのそれぞれにおいて、はっきりとした違いの分かる観察像が得られた。
1 電解セル
2 電極(作用極)
2a 電極本体
2b パッキン
2c 樹脂
2s 電極面
2d リード線
2s 電極表面
3 電極(対極)
11 パッキン
20 上々部ユニット
21 ユニット本体
22 観察穴
29、39、49、59 組み立て穴
30 上部ユニット(対極ユニット)
31 対極支持体
32 観察窓(符号32a〜32cを含む)
32a 観察穴
32b 透明版
32c パッキン(Oリング等)
40 中部ユニット(電解液ユニット)
41 ユニット本体
42 空間部
43 液導入口、液排出口
50 下部ユニット(作用極ユニット)
51 作用極支持体
52 取付部
60 連結支持治具
61 位置決め連結軸
62 締め付けナット
A 反応槽

Claims (3)

  1. 作用極支持体と前記作用極支持体の略中央部に略半没した作用極を備える作用極ユニットと、
    対極支持体と前記対極支持体表面の略中央部下方に配置された中央に空隙を有する対極を備える対極ユニットが、
    電解液が満たされる反応槽を形成する空間部を有する電解液ユニットを介して、前記作用極と対極が対向且つ前記反応槽内の電解液に浸漬される位置に配置されるように構成され、
    前記対極に備わる空隙の前記対極支持体への投影領域に、前記対極ユニットの外側から光学観察の可能な観察窓を備え、
    前記作用極表面を前記対極側から照射する光源に係る光の波長を、前記電解液の吸収スペクトルが示す吸光度の小さい領域の波長に調整して前記光学観察を行うことを特徴とする電極表面の観察装置。
  2. 前記電解液が、銅を含有する硫酸酸性溶液である場合、前記光源から照射される光の波長が、460〜490nmであることを特徴とする請求項1記載の電極表面の観察装置。
  3. 上記請求項1又は2に記載の観察装置を用い、
    電気分解時の電流、電位もしくは電圧をモニタリングすると共に、前記モニタリングと同期して顕微鏡の観察像を観測する電極表面の観察方法。
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