JP2015099762A - 測定セルおよび当該測定セルを用いた電極の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電反応中の電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察できる測定セルおよび当該測定セルを用いた電極の評価方法を提供する。【解決手段】本発明に係る測定セルは、電極を収容するための収容部と、観察窓と、接続端子とを備えており、上記電極には、イオンビームによって切断された断面が形成されており、上記断面は観察窓と密着するものである。【選択図】図5

Description

本発明は測定セルおよび当該測定セルを用いた電極の評価方法に関する。
近年、自動車、または、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等のモバイル機器の電源として、リチウムイオン電池の利用が急速に広がっている。
リチウムイオン電池に使用される電極は、例えば、活物質、バインダーおよび導電助剤を分散媒に分散させたペーストまたはスラリーを、導電性を有する集電体に塗布し、乾燥させることにより製造される。
かかるリチウムイオン電池の理論容量は電極内の活物質の量によって決まる。しかし、製造方法によって電極中における活物質の分散性に問題があると、電子伝導性が低下し、電極内に電気的に孤立した活物質が生じる。当該電気的に孤立した活物質は活物質としての機能を果たさず、充放電に寄与しないため、電池の実際の容量は理論容量よりも低下する。よって、電極内に活物質がどれだけ無駄なく存在しているかは、電池容量を向上させる上で非常に重要である。
また、リチウムイオン電池を構成する材料の化学状態(例えば、活物質におけるLiイオンの脱離および吸蔵の状態)を、充放電反応が起こるその場で(in situで)分析することは、高性能蓄電池を開発するための材料設計および製造工程の最適化において重要な情報となる。
充放電反応中の個々の活物質の化学状態はラマン分光法により測定可能である。例えば、非特許文献1には、充放電反応中の活物質の単粒子についてラマン分光法によってスペクトル測定を行う技術が開示されている。また、非特許文献2には、充放電反応中の電極シートの断面についてラマン分光法によってスペクトル測定を行う技術が開示されている。
K. Dokko et. al.,J. Phys. Chem. B,107, 46, p.12549-12554,2003 Y. Luo et. al.,Electrochem. Solid-State Lett.,7, 1, p.E1-E5,2004
しかしながら、上述のような従来技術は、短時間で電極断面におけるラマン散乱光のスペクトルを測定することができず、充放電反応中の電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができないという問題がある。
例えば、非特許文献1に記載の技術は、単粒子のスペクトル測定を目的としたものであり、電極断面上の複数の測定ポイントを走査するものではない。従って、非特許文献1に記載の技術では、電極断面における活物質の化学状態の分布を観察することができない。
また、非特許文献2に記載の技術では、カミソリを用いて電極シートを切断することによって観察対象となる断面を形成している。当該切断方法では、断面の凹凸が大きいため、断面上を円滑に走査することができず、断面におけるスペクトルを短時間で測定することができない。例えば、ラマン分光法による測定の時間が充放電の時間を上回ってしまう場合、充放電反応中の電極においてin situでの測定ができない。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は短時間で電極断面におけるラマン散乱光のスペクトルを測定することによって、充放電反応中の電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができる測定セルおよび当該測定セルを用いた電極の評価方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イオンビームによって電極に平坦な断面を形成し、当該平坦な断面と密着する観察窓を備えた測定セルを用いることで、充放電反応中の電極断面における活物質の化学状態の分布をin situで観察できる電極の評価方法を実現できることを見出した。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る測定セルは、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極を、ラマン分光法によって評価するための測定セルであって、上記電極を収容するための収容部であって、外部に対して密閉される収容部と、上記収容部に収容された上記電極に向かって、ラマン散乱光を発生させるための励起光を透過させる観察窓と、上記集電体と外部機器とを電気的に接続する接続端子と、を備えており、上記電極には、上記活物質層が露出している断面であって、上記励起光が照射される断面が形成されており、上記断面は、上記電極をイオンビームによって切断することによって形成されており、上記観察窓は、上記断面と密着するものであることを特徴としている。
上記構成によれば、収容部に電極を収容するとともに電解液を注入して、収容部を密閉し、接続端子を介して充放電を行うことで、測定セルを電池として機能させることができる。
また、電極断面はイオンビームによって形成されているため、平坦である。そのため、ラマン分光法による測定を行う場合、電極断面を円滑に走査することができる。よって、短時間でデータを取得することができる。
さらに、上記電極断面が観察窓と密着するため、収容部に電解液を注入した場合に、電極断面と観察窓との間に電解液が流入することを抑えることができる。よって、スペクトル中にバックグラウンドとなって現れる電解液からの蛍光に阻害されることがないため、ラマン分光法による測定を短時間で、より正確に行うことができる。
従って、充放電反応中の電極について、ラマン分光法によるマッピング測定を短時間で行うことができるため、電極断面における活物質の化学状態の分布をin situで(その場で)観察することができる。
本発明に係る測定セルでは、上記観察窓と上記断面とは、上記観察窓と上記断面との距離が0μm以上20μm以下にて密着してもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記断面は、上記電極をイオンビームによる切断の対象となる切断領域が突出した形状に加工した後、上記切断領域をイオンビームによって切断することによって形成されていてもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記イオンビームは、Arイオンビーム、Gaイオンビーム、またはガスクラスターイオンビームであってもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記集電体と上記接続端子との間には、金属板が配置されており、上記金属板の表面の材料はNi、Au、ステンレス鋼、Al、Pt、またはCuであってもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記電極は、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる正極および負極を含んでおり、上記正極の集電体と、当該正極の集電体に接続される接続端子との間に配置されている金属板の表面の材料はステンレス鋼、Al、またはPtであり、上記負極の集電体と、当該負極の集電体に接続される接続端子との間に配置される金属板の表面の材料はNi、Cu、またはAuであってもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記観察窓は石英ガラス、サファイアガラス、またはCaFからなっていてもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記収容部に電解液を注入するための注入部を備えていてもよい。
本発明に係る測定セルでは、上記収容部には上記電極が収容されていてもよい。
本発明に係る電極の評価方法は、本発明に係る測定セルに収容された電極をラマン分光法によって評価する電極の評価方法であって、上記電極に形成された断面内の測定ポイントまたは当該測定ポイントを複数含んでいる測定ラインに対して励起光を照射することによって発生するラマン散乱光のスペクトルを測定する工程を含んでおり、上記スペクトル測定工程において、上記ラマン散乱光のスペクトルの測定は複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにおいて行われることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明に係る測定セルを用いることによって、充放電反応中の電極の複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにわたって、ラマン分光法による測定を短時間で行うことができる。そのため、充放電反応中の電極断面における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができる。
本発明に係る電極の評価方法では、上記電極をイオンビームによって切断することによって、上記断面を形成する工程を含んでいてもよい。
本発明に係る電極の評価方法では、上記複数の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルに対して、ピークの位置の特定、強度の算出、面積の算出、強度比の算出、強度差の算出、面積比の算出、半値幅の算出および波形分離からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。
本発明に係る電極の評価方法では、上記複数の測定ポイントには第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントが包含されており、上記第1の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと、上記第2の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。
本発明に係る電極の評価方法では、上記測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと予め測定された参照スペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。
本発明に係る電極の評価方法では、上記断面における上記ラマン散乱光のスペクトルの分布を可視化した画像を取得する工程を含んでいてもよい。
本発明に係る測定セルは、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極を、ラマン分光法によって評価するための測定セルであって、上記電極を収容するための収容部であって、外部に対して密閉される収容部と、上記収容部に収容された上記電極に向かって、ラマン散乱光を発生させるための励起光を透過させる観察窓と、上記集電体と外部機器とを電気的に接続する接続端子と、を備えており、上記電極には、上記活物質層が露出している断面であって、上記励起光が照射される断面が形成されており、上記断面は、上記電極をイオンビームによって切断することによって形成されており、上記観察窓は、上記断面と密着するものであるという構成である。
また、本発明に係る電極の評価方法は、本発明に係る測定セルに収容された電極をラマン分光法によって評価する電極の評価方法であって、上記電極に形成された断面内の測定ポイントまたは当該測定ポイントを複数含んでいる測定ラインに対して励起光を照射することによって発生するラマン散乱光のスペクトルを測定する工程を含んでおり、上記スペクトル測定工程において、上記ラマン散乱光のスペクトルの測定は複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにおいて行われるという構成である。
それゆえ、充放電反応中の電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができるという効果を奏する。
本発明において評価対象となる電極の一例を示す図である。 電極の断面加工の一例を示す図である。 電極の断面加工の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る測定セルの外観を示す図である。 本発明の一実施形態に係る測定セルの断面図である。 実施例1、比較例1及び比較例2における充電前のラマンスペクトルを示す図である。 実施例1における充電中のラマンスペクトルの分布を示す図である。 実施例1における充電中のラマンスペクトルを示す図である。 実施例1において、1.5Vまで充電した場合のラマンスペクトルの分布を示す図である。 実施例1において、3.5Vまで充電した場合のラマンスペクトルの分布を示す図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。また、図面中のx軸、y軸、z軸は、それぞれの図面における3次元空間における方向を規定している。
〔電極〕
まず、本発明において評価の対象となる電極について説明する。本発明において、評価の対象となる電極は、活物質を含む活物質層が、集電体上に形成されてなる電極であればよい。かかる電極であれば、本発明により、電極内の活物質の化学状態の分布を評価することができる。上記電極は、化学電池用電極であればよい。したがって、上記電極は、一次電池用電極であってもよいし、二次電池用電極であってもよい。また、キャパシタ用電極であってもよい。また、本発明において、評価の対象となる電極は、正極であっても、負極であってもよい。上記電極は、正極および負極のうちの少なくとも一方を包含していればよい。
本発明に係る測定セルおよび電極の評価方法は、リチウムイオン電池用電極に限らず、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極であれば、すべての化学電池用電極およびキャパシタ用電極の評価に適用することができる。電極の一例としては、これに限定されるものではないが、リチウムイオン電池用電極のほかに、例えば、リチウム空気電池用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極等を挙げることができる。
ここで、活物質とは、電池の電極反応に関わる主要物質であれば特に限定されるものではなく、従来公知の活物質および今後開発される活物質のすべてが含まれる。活物質の形状も特に限定されるものではないが、粒子状であることがより好ましい。また、その大きさも特に限定されるものではないが、例えば、活物質が粒子状である場合は、その平均粒子径は、0.1〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、10〜20μmであることが特に好ましい。活物質の一例としては、これに限定されるものではないが、例えば、LiCoO、LiMn、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、LiFePO、LiMnO、シリコン、錫、LiTi12、グラファイト等を挙げることができる。活物質層に含まれる全成分に対する、活物質の割合も特に限定されるものではないが、通常、80〜98重量%である。
活物質層には、少なくとも、活物質が含まれていればよいが、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としても、特に限定されるものではないが、例えば、バインダー、導電助剤、増粘剤等を挙げることができる。
バインダーとは、活物質を結着するための結着剤であれば特に限定されるものではなく、従来公知のバインダーおよび今後開発されるバインダーのすべてが含まれる。バインダーは通常絶縁体である。バインダーの一例としては、これに限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸等を挙げることができる。活物質層に含まれる全成分に対する、バインダーの割合も特に限定されるものではないが、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
導電助剤とは、活物質に電子を流しやすくするための物質であれば、特に限定されるものではない。導電助剤の一例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維等を挙げることができる。活物質層に含まれる全成分に対する、導電助剤の割合も特に限定されるものではないが、通常、0〜10重量%である。また、活物質層の厚みも特に限定されるものではないが、例えば、30〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることがさらに好ましい。
本発明において、評価の対象となる電極は、上記活物質層が、集電体上に形成されてなる電極であればよい。ここで、集電体とは、活物質から対極へ電子を伝えるための、導電性を有する膜状体または板状体であり、電極反応によって腐食されないものであれば特に限定されるものではない。かかる集電体としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等を挙げることができる。集電体の厚みも特に限定されるものではないが、例えば、5〜30μmであることがより好ましく、10〜20μmであることがさらに好ましい。また、上記活物質層は、集電体上に形成されていればよく、集電体の片方の面上に形成されていても、集電体の両方の面上に形成されていてもよい。
なお、電極を後述の測定セルに組み込んで電池として機能させる場合、当該電極を電解液に浸して使用する。電解液は、例えば非水電解液であって、溶媒と電解質(溶質)とから構成されるが、その他に添加剤を含んでもよい。溶媒としては、例えば有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ―ブチルラクトン等が挙げられる。電解質としては、例えばリチウム塩が挙げられる。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。溶媒は1種を用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。電解質も同様に1種を用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。電解液における電解質の濃度は、例えば0.1〜2M、好ましくは0.5〜1.5Mである。添加剤としては、例えばビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、スクシノニトリル、1,3−プロパンスルトン、tert−ペンチルベンゼン等が挙げられる。電解液における添加剤の濃度は例えば0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。
また、実際に電池において電極を使用する場合、正極と負極との間にセパレータを配置してもよい。上記構成によれば、正極と負極との間の短絡を防ぐことができる。セパレータとしては、例えば多孔質の膜、不織布等が挙げられる。セパレータの材料としては、例えばセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
上記電極がリチウムイオン電池用電極の正極である場合の一例として、例えば、活物質がLiCoOであり、バインダーがポリフッ化ビニリデンであり、集電体がAl箔であり、導電助剤がカーボンブラックである電極を挙げることができる。また、上記電極がリチウムイオン電池用電極の負極である場合の一例として、例えば、活物質がグラファイトであり、バインダーがポリフッ化ビニリデンまたはスチレンブタジエンラバーであり、集電体がCu箔であり、導電助剤がカーボンブラックである電極を挙げることができる。
上記正極および上記負極を備えたリチウムイオン電池を充電した場合、Liイオンは正極の活物質から脱離し、負極の活物質に吸蔵される。また放電した場合、Liイオンは負極の活物質から脱離し、正極の活物質に吸蔵される。上記Liイオンの脱離および吸蔵(つまり、活物質の化学状態の変化)に伴い、電子が流れる。
リチウムイオン電池において、活物質は、電池の充放電に直接寄与するが、例えば、電極を構成する成分の組成、製造方法等の影響で電極内における活物質の分散性に問題が生じた場合、導電性が低下して充放電に寄与しない(すなわち、電気的に孤立している)活物質が生じる。
上記電極の一例として、活物質1a〜1eおよび2a〜2bと、バインダー3と、導電助剤4とを含む活物質層6が、集電体5上に形成されてなる電極7を図1に模式的に示す。図1に示すように、活物質1aは直接集電体5に接触している。また、活物質1b〜1eは活物質1aおよび/または導電助剤4を介して集電体5に接触している。したがって、活物質1a〜1eは、電極7内において電子伝導ネットワークを形成する。言い換えれば、活物質1a〜1eには導電性が確保されている。すなわち、活物質1a〜1eは電気的に活性な活物質であるといえる。これに対して、活物質2a〜2bはバインダーによって絶縁されているため、電極7内において電子伝導ネットワークを形成しない。すなわち、活物質2a〜2bは電気的に孤立している活物質であるといえる。
バインダーによって活物質が絶縁されてしまうと、活物質に電子が流れないため、電池容量の低下に繋がる。また、活物質層中には空隙が存在し、Liイオンの通り道となるが、活物質やバインダー、導電助剤の配置によって空隙が狭くなると、Liイオンの移動がスムーズに起こらなくなる。Liイオンの移動が制限されるほど狭い空隙に囲まれた活物質ではLiイオンの吸蔵・脱離反応が遅くなり、特に高レートでの充放電において、充放電反応の均一な進行を妨げる原因になる場合がある。さらに、電池の長期使用により、充放電に寄与していない活物質が増加し、電子伝導ネットワークが切断される場合もある。
本発明では、電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができる。従って、本発明によれば、電極内に電気的に活性な活物質がどれだけ存在しているか、つまりどれだけ多くの活物質に導電性が確保されているかを評価することができるため、電池容量を向上させるための判断材料を提供することができる。また、本発明では、充放電反応の進行度合いをin situで観察することによって、充放電反応が均一に進行しているか否かを観察することができる。従って、本発明は、反応進行に偏りのない電極を開発するための判断材料を提供することができる。さらに、本発明は、長期使用後も電子伝導ネットワークが保持されるように材料および製造方法を改良するための判断材料を提供することができ、電子伝導ネットワークの長寿命化を図ることができる。
上記電極の製造方法も特に限定されるものではないが、例えば、上記活物質、上記その他の成分を分散媒に分散させたペーストまたはスラリーを、上記集電体に塗布し、乾燥させることにより製造することができる。
本発明において、評価の対象となる電極には、活物質層が露出している断面が形成されている。当該断面は後述のラマン分光法による測定において観察対象となる断面である。つまり、当該断面は、ラマン散乱光を発生させるための励起光が照射される断面である。当該断面の大きさは特に限定されないが、例えば100〜3000μm×100〜3000μmであってもよく、5〜100μm×5〜100μmであってもよい。
上記断面は、上記電極をイオンビームによって切断することによって形成されている。上記断面は平坦な断面となる。よって、本明細書においてはイオンビームによる切断によって形成された断面を単に「平坦な断面」とも称する。観察対象となる断面が平坦であれば、ラマン分光法による測定において、断面を円滑に走査することができる。従って、断面上の複数の測定ポイントにわたって短時間でデータを取得することができる。
例えば、イオンビーム加工装置を用いることにより、好適に上記断面を作製することができる。イオンビームとしては、例えばArイオンビーム、Gaイオンビーム、ガスクラスターイオンビーム等が挙げられる。なかでも、化学状態の分析を目的とする場合は、試料へ与えるダメージの低さから、Arイオンビームが望ましい。
本明細書において「平坦な断面」とは、断面の凹凸の最も低い点から最も高い点までの高さが10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.1μm以下であることを意味する。上記高さとは、上記励起光を照射する方向における距離である。
図2は、電極に形成される断面の例を示す図である。図2(a)は、イオンビームによって形成された断面8を有する電極7aを示している。図2においてラマン分光法による測定を行う場合、電極に対してz軸方向に励起光が照射される。なお、上述の凹凸の高さとは図2のz軸方向の高さである。断面が平坦である場合、ラマン分光測定装置に備えられた顕微鏡をxy平面に平行に移動させることによって(つまり、顕微鏡と断面8との距離を固定したまま移動させることによって)、顕微鏡の焦点を容易に合わせることができる。よって、短時間で断面を走査し、データを取得することができる。
一方、図2(b)は、凹凸が大きい断面9が形成されている電極7bを示している。ナイフ、カミソリ等で形成した断面は図2(b)に示すような凹凸が大きい断面9となる。本明細書において「凹凸が大きい」とは例えば、上述の断面の凹凸の高さが10μmを超えることを意味する。断面9上の一点において顕微鏡の焦点を合わせて、断面を走査するために顕微鏡をxy平面上で移動させた場合、凹凸に沿って顕微鏡と断面9との距離が変化するため、移動させるたびに改めて焦点を合わせるための時間を要する。従って、凹凸が大きい断面9における活物質の化学状態の分布を観察する場合、短時間でデータを取得することができない。
なお、本発明において、電極に形成された平坦な断面は後述の測定セルに備えられた観察窓と密着するように形成されている。平坦な断面と観察窓とが密着することにより、試料室に電解液を注入した場合に、電極断面と観察窓との間に電解液が流入することを抑えることができる。よって、ラマンスペクトル中にバックグラウンドとなって現れる電解液からの蛍光に阻害されることがないため、ラマン分光法によるマッピング測定を短時間で、より正確に行うことができる。
本明細書において、「密着」とは、上記観察窓と上記断面とが、上記観察窓と上記断面との距離が0μm以上20μm以下にて密着していることを意味する。すなわち、観察窓と断面との間に、ラマンスペクトルの測定を妨げない程度の微量の電解液が存在していてもよい。上記観察窓と上記断面との距離が0μm以上20μm以下であれば、流入する電解液の量はごくわずかであり、マッピング測定を妨げるほどの蛍光は生じない。上記観察窓と上記断面との距離は、好ましくは0μm以上15μm以下であり、より好ましくは0μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは0μm以上5μm以下、0μm以上4μm以下、0μm以上3μm以下、0μm以上2μm以下、または0μm以上1μm以下であり、最も好ましくは0μmである。なお、例えば、上記観察窓と上記断面との距離は、上記観察窓と上記断面との間で、上記励起光を照射する方向(つまりz軸方向)において最も離れている箇所における距離が上記範囲であればよい。
電極断面と観察窓とが密着する状態とするためには、まず、電極をイオンビームによる切断の対象となる切断領域が突出した形状に加工することが好ましい。切断領域が突出する形状としては、特に限定されないが例えば凸型、および図3(a)の(i)に示すようなホームベース型等が挙げられる。なお、電極を切断領域が突出した形状に加工するための方法は特に限定されず、ナイフ、ハサミまたはカミソリによって加工してもよい。その後、ラマン分光法による観察対象となる領域のみ、イオンビームによって平坦な断面に加工すればよい。
例えば、図3(a)の(i)に示すようなホームベース型に加工された電極7cであれば、切断領域10aが突出している。そして、イオンビームを照射して切断領域10aを切断することで、図3(a)の(ii)に示すような観察窓11と密着する平坦な断面8aを容易に形成することができる。
図3(b)は従来のイオンビームによる加工方法を示している。イオンビームによる加工では、通常、比較的狭い領域(例えば1mm×1mm)しか加工することができない。従って、図3(b)の(i)に示すように従来のイオンビームによる加工方法では、例えば直方体の電極7dを加工する場合、電極7dの比較的狭い領域10bしか加工することができなかった。そのため、図3(b)の(ii)に示すように、形成された平坦な断面8bは陥没した状態になる。従って、従来のイオンビームによる加工方法によって形成された平坦な断面8bと観察窓11との間には隙間12が生じる。隙間12においては、断面8bと観察窓11との間の距離が例えば20μmを超える。測定セルに電解液を注入した場合、隙間12に電解液が流入してしまい、電解液からの蛍光によってラマン分光法による正確な測定が妨げられる。
〔測定セル〕
本発明に係る測定セルは、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極を、ラマン分光法によって評価するための測定セルであって、電極を収容するための収容部、観察窓および接続端子を備えている。上記構成によれば、収容部に電極を収容するとともに電解液を注入して、収容部を密閉し、接続端子を介して充放電を行うことで、測定セルを電池として機能させることができる。そして、ラマン分光測定装置からの励起光を、観察窓を透過させて電極へと照射することにより、ラマン分光法による測定を行うことができる。従って、上記測定セルを使用すれば、ラマン分光法によって充放電反応中の電極をin situで観察することができる。
図4は、本発明の一実施形態に係る測定セルの外観を示す図である。また、図5は、本発明の一実施形態に係る測定セルの断面図であり、図4のA−A’における断面図を示している。測定セル13は、試料室14を有する収容部17、観察窓11および接続端子15を備えている。
測定セル13は、電極16を収容するための収容部であって、外部に対して密閉される収容部を備えている。収容部17は試料室14を有している。収容部17は試料室14に電極16を収容する。試料室14は電解液が充填される空間でもある。収容部17は例えば後述の観察窓11によって試料室14を塞ぐことで外部に対して密閉される。収容部17の材料は特に限定されないが、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テフロン(登録商標)等が挙げられる。なかでも、剛性に優れるという観点(つまり、変形しにくいという観点)および耐腐食性に優れるという観点からはポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
測定セル13は試料室14に電解液を注入するための注入部18を備えていてもよい。また、当該注入部18にはチューブ19が接続されていてもよい。上記構成によれば、電解液を測定セルの外部から容易に注入することができるとともに、充放電反応中に発生したガスを外部へ導出することができる。注入部18およびチューブ19の材料としては、例えばテフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン等が挙げられるが、耐腐食性に優れるという観点からはテフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
収容部17には電極16が収容されていてもよい。図5に示すように、電極16は、正極20、セパレータ21および負極22が当該順番で貼り合わされたものであってもよい。正極20は集電体5aおよび活物質層6aを備えており、負極22は集電体5bおよび活物質層6bを備えている。図5において、活物質層6aと活物質層6bとの間にはセパレータ21が存在する。
電極16は治具23を介して試料室14に収容されていてもよい。上記構成によれば、より確実に電極を固定することができるため、より正確にラマン分光法による測定を行うことができる。治具23の材料としては、例えばテフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。なかでも、耐腐食性に優れるという観点からはテフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
接続端子15(15aおよび15b)は、集電体と外部機器とを電気的に接続する部材である。接続端子15を充放電装置等の外部機器と接続することにより、充放電を行うことができる。接続端子15は、例えば、ネジ、または、ネジおよびバネによって構成されていてもよい。例えば、正極20側の集電体5aに接続される接続端子15aをネジおよびバネによって構成し、負極22側の集電体5bに接続される接続端子15bをネジとしてもよい。接続端子15の表面の材料は、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えばNi、Au、ステンレス鋼、Al、Cu、Pt等が挙げられる。接続端子15は、少なくとも表面が上記のような導電性を有する材料であればよい。すなわち、接続端子15は、上記導電性を有する材料からなるものであってもよいし、例えば表面に上記導電性を有する材料からなるメッキが施されているものであってもよい。接続端子15に上記メッキが施されている場合、メッキを施される対象となる材料は特に限定されず、導電性の材料であっても非導電性の材料であってもよい。
例えば、正極側の接続端子15aの表面の材料をステンレス鋼、Al、またはPtとし、負極側の接続端子15bの表面をNi、CuまたはAuとしてもよい。上記構成によれば、接続端子が水分、酸素または電解液等と反応してしまうことを防ぐことができるため、好ましい。
また、接続端子15と集電体5との間には金属板24(24aおよび24b)を設けてもよい。上記構成によれば、金属板を介して接続端子と集電体とを、より効率良く電気的に接続することができる。金属板24の表面の材料は、導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば接続端子15と同様にNi、Au、ステンレス鋼、Al、Pt、またはCuを用いることができる。接続端子15と同様に、金属板24は、少なくとも表面が上記のような導電性を有する材料であればよい。すなわち、金属板24は、上記導電性を有する材料からなるものであってもよいし、例えば表面に上記導電性を有する材料からなるメッキが施されているものであってもよい。金属板24に上記メッキが施されている場合、メッキを施される対象となる材料は特に限定されず、導電性の材料であっても非導電性の材料であってもよい。
例えば、正極側の金属板24aの表面をステンレス鋼、Al、またはPtとし、負極側の金属板24bの表面をNi、CuまたはAuとしてもよい。上記構成によれば、金属板が水分、酸素または電解液等と反応してしまうことを防ぐことができる。
観察窓11は、収容部17に収容された電極16に向かって、ラマン散乱光を発生させるための励起光を透過させる部材である。観察窓11の材料は特に限定されないが、透過率が高くラマンスペクトルを測定しやすいという観点から石英ガラス、サファイアガラス、またはCaFが好ましい。観察窓11は例えばネジ25および蓋26によって収容部17に固定されていてもよい。
観察窓11は、電極16に形成された平坦な断面(イオンビームによって切断された断面)27と密着する。よって、上述のように試料室に電解液を注入した場合に、電極断面と観察窓との間に電解液が流入することを抑えることができる。よって、電解液からの蛍光に阻害されることがないため、ラマン分光法による測定を短時間で、より正確に行うことができる。なお、図5の電極16は、図3のy軸方向から見た状態を示している。
また、各部材が接触する箇所にはOリングを配置してもよい。例えば、図5において、観察窓11と蓋26との間、観察窓26と収容部17との間にはOリング28a〜28bが配置されている。また、図5では、接続端子15aおよび15bと収容部17とが接触する箇所にはOリング28c〜28dが配置されている。上記構成によれば、試料室の密閉性を高めることができ、セル内への水分および酸素の流入、およびセル外への電解液の漏れを防ぎ、充放電反応を効率的に行うことができる。Oリングの材料としては特に限定されず、パーフルオロエラストマー、バイトン(登録商標)、シリコーン等が挙げられるが、耐腐食性に優れるという観点からはパーフルオロエラストマーが好ましい。
〔電極の評価方法〕
本発明に係る電極の評価方法は、本発明に係る測定セルに収容された電極をラマン分光法によって評価する電極の評価方法であって、上記電極に形成された断面内の測定ポイントまたは当該測定ポイントを複数含んでいる測定ラインに対して励起光を照射することによって発生するラマン散乱光のスペクトルを測定するスペクトル測定工程を含んでおり、上記スペクトル測定工程において、上記ラマン散乱光のスペクトルの測定は複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにおいて行われる。
本発明に係る電極の評価方法は、本発明に係る測定セルを用いることによって、充放電反応中の電極について、ラマン分光法による測定を短時間で行うことができるため、電極断面における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができる。
ラマン分光法では、ラマン分光測定装置を用いて、励起光を観察試料に照射し、振動数が変化した光を検出することによって、物質の同定を行う。観察試料に励起光を照射すると、相互作用により励起光が散乱される。この散乱光の中には入射した励起光と同じ波長の光(レイリー散乱光)と、物質の分子振動によって、入射した励起光とは異なる波長に変化した光(ラマン散乱光)とが含まれる。このラマン散乱光は、分子の振動状態に依存したスペクトルとなり、予め既知の物質を測定して、当該スペクトルを得ておけば、被検物質を同定することができる。なお、本明細書において「ラマン散乱光のスペクトル」を単に「ラマンスペクトル」とも称する。また、本明細書において、予め既知の物質について測定されたラマンスペクトルを「参照スペクトル」とも称する。
本発明に係る電極の評価方法は、上記電極に形成された断面内の測定ポイントまたは測定ラインに対して励起光を照射することによって発生するラマン散乱光のスペクトルを測定する工程を含んでいる。電極断面におけるラマンスペクトルは、充放電反応の進行に伴って変化する。具体的には、活物質におけるLiイオンの脱離の程度によって上記ラマンスペクトルのピークがシフトする。従って、上記構成によれば、ラマンスペクトルに基づいて、測定ポイントにおける活物質の化学状態を表すことができる。
また、本明細書において、測定ラインとは、測定ポイントを複数含んでいるラインを意味する。「測定ラインに対して励起光を照射する」とは、ライン状に存在する複数の測定ポイントに対して同時に励起光を照射することを表す。測定ラインに対して励起光を照射すれば、測定ライン上に存在する複数の測定ポイント(例えば10〜400か所の測定ポイント)から同時にラマン散乱光を誘起することができ、複数のデータを同時に取得することができるため、好ましい。
上記励起光としては、例えば波長325〜1064nm、好ましくは488〜532nmのレーザー光が挙げられる。ラマン分光測定装置としては、例えば、顕微鏡を備えたラマン分光測定装置を用いてもよい。このようなラマン分光測定装置は、顕微ラマンと呼ばれ、数μm角程度の領域の分析が可能である。ただし、顕微ラマンを用いた分析により有用な情報を得るためには、観察試料の表面を、顕微鏡の焦点を合わせることができる程度に平坦にする必要がある。従って、本発明において、電極には、観察面として上述のようにイオンビームによって加工された平坦な断面が形成されている。本発明に係る電極の評価方法は、上記電極において、電極をイオンビームによって切断することによって、平坦な断面を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、本発明に係る電極の評価方法では、上記スペクトル測定工程において、上記ラマン散乱光のスペクトルの測定は複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにおいて行われる。従って、電極断面全体にわたってラマンスペクトルを測定することができる。
例えば50〜400μm×50〜400μm、好ましくは80〜160μm×80〜160μmの断面において、10〜400ライン、好ましくは30〜40ラインの測定ラインが設けられもよい。また、例えば200〜5500nm間隔、好ましくは350〜560nm間隔で測定ラインが設けられてもよい。
上述のように観察対象となる電極の断面は平坦な断面であり、当該平坦な断面は本発明に係る測定セルに備えられた観察窓と密着している。よって、本発明によれば、短時間で円滑に複数の測定ポイントにおけるラマンスペクトルを測定することができる。
また、複数の測定ポイントにおけるラマンスペクトルを測定することによって、電極断面におけるラマンスペクトルの分布を把握することができる。これにより、例えば、充電中または放電中の電極断面において、ラマンスペクトルの分布を観察することによって、化学状態が異なる活物質がどのように分布しているのかを知ることができる。また、これにより、充放電反応が均一に進行しているのか否かを把握することができる。
また、異なる充放電状態におけるデータの比較を行うことによって、充放電に寄与していない活物質がどのように分布しているのかを把握することができる。具体的には、充放電反応に伴ってラマンスペクトルが変化していない活物質は、充放電に寄与していない活物質であると考えられる。例えば、充電前と充電中とで得られたデータの比較、または放電前と放電中とで得られたデータの比較を行ってもよい。また、定電流で充放電を行った場合に、電圧が異なる第1の充電状態と第2の充電状態とにおけるデータの比較、または第1の放電状態と第2の放電状態とにおけるデータの比較を行ってもよい。
さらに本発明に係る電極の評価方法は、上記断面における上記ラマン散乱光のスペクトルの分布を可視化した画像を取得する工程を含んでいてもよい。ラマンスペクトルの分布の可視化は、例えばラマン分光測定装置を用いて電極断面を走査し、得られたラマンスペクトルの分布を、電極断面においてマッピングした画像を取得することによって達成できる。本明細書において上記画像を取得することを「ラマンイメージング」または「ラマンマッピング」とも称する。また、ラマンスペクトルの分布の可視化は、例えば、上記電極断面の画像において、異なるラマンスペクトルが測定された測定ポイントを異なる色またはパターンにて示すことによって達成できる。
本発明に係る電極の評価方法は、複数の測定ポイントにおいて測定されたラマンスペクトルに対して、ピークの位置の特定、強度の算出、面積の算出、強度比の算出、強度差の算出、面積比の算出、半値幅の算出および波形分離からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。上記構成によれば得られたラマンスペクトルに基づき様々な分析を行うことができる。また、ピークの位置、強度、面積、強度比、強度差、面積比、半値幅、および/または、波形分離により得られたスペクトル、に基づき、複数のラマンスペクトルを区別することができ、測定ポイントの色分けまたはパターン分けを行うことができる。なお、強度比、強度差および面積比は、1つのラマンスペクトルに現れる複数のピークの強度または面積を比較して求めてもよいし、複数のラマンスペクトルのそれぞれに現れるピークの強度または面積を比較して求めてもよい。
上述の複数の測定ポイントには第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントが包含されているとした場合、本発明に係る電極の評価方法は、上記第1の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと、上記第2の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。上記構成によれば、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、または波形分離により得られたスペクトルの差の判定に基づき、測定されたラマンスペクトルを区別することができる。よって、区別された複数の測定ポイントをラマンイメージングにおいて異なる色またはパターンにて示すことができる。なお、強度比変化の判定および面積比変化の判定とは、例えば第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントにおいて測定されたラマンスペクトルのそれぞれが複数のピークを有している場合に、第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントのそれぞれにおける強度比または面積比を求め、第1の測定ポイントと第2の測定ポイントとの間の変化を判定することが挙げられる。後述の参照スペクトルとの比較においても同様である。
例えば、ラマンイメージングにおいて、第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントにおけるラマンスペクトルが、同一のピークを有する場合は第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントを同じ色またはパターンによって示し、ピークがシフトしている場合は異なる色またはパターンによって示すことができる。また例えば、第1の測定ポイントと第2の測定ポイントとの強度比、面積比、強度差、強度変化、面積変化、強度比変化、面積比変化、半値幅変化、または波形分離によって得られたスペクトルの差が所定の数値以下(または所定の数値未満)である場合に、第1の測定ポイントと第2の測定ポイントとを同じ色またはパターンによって示し、所定の数値を超える場合(または所定の数値以上である場合)に、異なる色またはパターンによって示すことができる。さらに、第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントにおけるラマンスペクトルを比較し、新たなピークが出現していない場合は第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントを同じ色またはパターンによって示し、新たなピークが出現している場合は異なる色またはパターンによって示すことができる。
本発明に係る電極の評価方法は、上記測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと参照スペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいてもよい。上記構成によれば、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、または波形分離により得られたスペクトルの差の判定に基づき、測定されたラマンスペクトルを区別することができる。よって、区別された複数の測定ポイントをラマンイメージングにおいて異なる色またはパターンにて示すことができる。
例えば、ラマンイメージングにおいて、参照スペクトルと同一のピークを有する測定ポイントを特定の色またはパターンによって示し、参照スペクトルと比べてピークがシフトしている測定ポイントを異なる色またはパターンによって示すことができる。また、参照スペクトルと測定されたラマンスペクトルとから得られた強度比、面積比、強度差、強度変化、面積変化、強度比変化、面積比変化、半値幅変化、または波形分離によって得られたスペクトルの差が所定の数値範囲内である測定ポイントごとに、色分けまたはパターン分けすることができる。さらに参照スペクトルと比較して新たなピークが出現していない測定ポイントを特定の色またはパターンによって示し、参照スペクトルと比べて新たなピークが出現している測定ポイントを異なる色またはパターンによって示してもよい。
また、活物質の複数の化学状態(つまり、Li+イオンの脱離の程度が異なる複数の化化学状態)に対応したラマンスペクトルが既知の場合は、当該複数の既知のラマンスペクトルのそれぞれから得られるピークの位置、強度、面積、強度比、強度差、面積比、半値幅および/または波形分離により得られたスペクトル等に基づき、測定ポイントの色分けまたはパターン分けを行うことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔電極試料の作製〕
<実施例1>
活物質としてLiCoO(85重量%)と、導電助剤としてカーボンブラック(7重量%)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(8重量%)とをN−メチルピロリドン(NMP)を用いてペーストとし、厚み20μmのAl箔の片面に塗工を行い、乾燥させて正極を作製した。また、活物質としてグラファイト(86重量%)と、導電助剤としてカーボンブラック(6重量%)と、バインダーとしてスチレンブタジエンラバー(8重量%)とをN−メチルピロリドン(NMP)を用いてペーストとし、厚み20μmのCu箔の片面に塗工を行い、乾燥させて負極を作製した。
ナイフを用いて、正極および負極を上述の図3(a)の(i)に示すように切断し、ホームベース型に成形した。正極、セパレータ、および負極を当該順番にテープで貼り合わせた。セパレータとしては、ポリプロピレン製の多孔質膜を用いた。
観察対象となる電極の断面を、Arイオンミリング装置(Ilion、Gatan社製)によって図3(a)の(ii)に示す形状に加工した。
<比較例1>
実施例1と同様に電極を作製した。ただし、比較例1では、ナイフを用いて、正極および負極を直方体に成形した。また、比較例1では、Arイオンミリング装置による加工を行わなかった。
<比較例2>
実施例1と同様に電極を作製した。ただし、比較例2では、ナイフを用いて、正極および負極を比較例1と同様に切断し、直方体に成形した。その後、正極、セパレータ、および負極を当該順番にテープで貼り合わせた電極断面を、Arイオンミリング装置によって加工し、上述の図3(b)の(ii)に示す形状に成形した。
〔測定セルへの電極試料の固定〕
電極の正極集電体にはステンレス鋼製の板を接触させ、負極集電体には表面がNi製の板を接触させた。電極をテフロン(登録商標)製治具ではさみ、固定した。
電極が固定された治具を、ポリエーテルエーテルケトン製の収容部に設けられた試料室内に設置した。収容部外部から、接続端子として、負極側にはNi製のネジを、正極側にはステンレス鋼製のネジおよびバネを挿入した。当該ネジおよびバネは治具を貫通し、上述の集電体に接触している板に接触している状態とした。これにより、電極から測定セル外部への電気的接触を確保した。
収容部上部から、石英ガラス製の観察窓を取り付け、ネジで固定し、電極を密封した。ここで、観察対象となる電極の断面が観察窓に密着するように固定した。
収容部には、試料室へと貫通しているテフロン(登録商標)製の注入部を設け、注入部にはテフロン(登録商標)製のチューブを接続した。不活性雰囲気下のグローブボックス中で、シリンジを用いて、チューブから電解液を注入した。電解液としては、エチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートを体積比1:1で混合した溶媒に、LiPFを1Mにて溶解させたものを用いた。電解液の注入後、チューブを閉じた。
〔ラマン分光法による測定〕
接続端子にコネクターを接触させ、充放電装置(HJ1001SD8、北斗電工製)と接続した。共焦点顕微ラマン(Raman−11、Nanophoton社製)に測定セルを設置し、ラマン分光法による測定を行った。励起光としては波長532nmのレーザー光を用いた。
図6は、充放電装置を作動させていない状態において、上記測定によって得られたラマンスペクトルを示している。図6の縦軸は強度(Intensity)を表し、横軸はラマンシフト(Raman shift)を表している。実施例1(露光時間:30秒)では、バックグラウンドが低く平坦であり、測定時間も短かった。よって、in situラマンイメージングが可能である。一方、比較例1(露光時間:40秒)では、バックグラウンドが高いため、マッピング処理を行うことは困難である。また、比較例2(露光時間:60秒)においても、バックグラウンドが高いため、マッピング処理を行うことは困難である。さらに、比較例2では、測定時間が長く、in situラマンイメージングには適していない。比較例2では観察窓と断面との間の距離が20μmを超える値であったため、電解液が流入し、マッピングを妨げるほどの蛍光が発生したと考えられる。
図7は、実施例1の正極における活物質のマッピング結果を示しており、(a)は定電流1mAで1.5Vまで充電した結果であり、(b)は定電流1mAで3.5Vまで充電した結果である。なお、図7は電極断面内の18μm×160μmの範囲にて、45ラインの測定ラインを400nm間隔で設けて測定し、マッピングした画像である。
図8は、図7に含まれる複数のラマンスペクトルを示した図であり、(a)は595cm−1にピークAを有するスペクトルであって1.5Vまで充電した場合と3.5Vまで充電した場合とで変化していないスペクトル、(b)は580cm−1にピークBを有するスペクトル、(c)は564cm−1にピークCを有するスペクトルを示している。図8の縦軸は強度を表し、横軸はラマンシフトを表している。上記各スペクトルは、活物質におけるLiイオンの脱離に伴い、異なるピークを示していると考えられる。ピークBを有するスペクトルはピークAを有するスペクトルに比べてLiイオンがより脱離している状態を示しており、ピークCを有するスペクトルはピークBを有するスペクトルに比べてLiイオンがさらに脱離している状態を示していると考えられる。
図9及び10は、それぞれ図7(a)および図7(b)から、図8に示す各スペクトルを抽出して示した図である。図9は1.5Vまで充電した場合の結果であり、図10は3.5Vまで充電した場合の結果である。図9および10の(a)、(b)および(c)はそれぞれ図8(a)、(b)および(c)に示されたスペクトルに対応している。また、図9(d)および10(d)は、上記各スペクトルを全て含んでいる図であり、それぞれ図7(a)および(b)に対応している。
図9と10とを比較すると、図9では(b)に対応するスペクトルが多いのに対し、図10では(c)に対応するスペクトルが多いことがわかる。よって、充電に伴い、視野全体でピークBを有するスペクトルからピークCを有するスペクトルへ変化していることがわかる。この結果は、視野全体において活物質層からのLiイオンの脱離が進行していることを示していると考えられる。
また、一方で図9および10の(a)のように、充電してもスペクトルが変化しない部分も存在する。当該スペクトルが変化しない部分を解析することにより、充放電反応に寄与していない領域(不良箇所)を検出することができる可能性がある。
なお、本実施例では正極についてマッピングを行ったが、当然のことながら、負極についても同様の方法によってマッピングを行うことができる。
本発明によれば、充放電反応中の電極における活物質の化学状態の分布をin situで観察することができる。それゆえ、高性能な電池の開発に重要な電極を作製する条件を見つける上で非常に有用である。
したがって、本発明に係る測定セルおよび当該測定セルを用いた電極の評価方法は、種々の電池製造工業の分野において非常に有用である。
1a、1b、1c、1d、1e 電気的に活性な活物質
2a、2b 電気的に孤立した活物質
3 バインダー
4 導電助剤
5、5a、5b 集電体
6、6a、6b 活物質層
7、7a、7b、7c、7d 電極
8、8a、8b イオンビームによって形成された断面
10a、10b 切断領域
11 観察窓
13 測定セル
14 試料室
15a、15b 接続端子
16 電極
17 収容部
18 注入部
20 正極
21 セパレータ
22 負極
27 イオンビームによって形成された断面

Claims (15)

  1. 活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる電極を、ラマン分光法によって評価するための測定セルであって、
    上記電極を収容するための収容部であって、外部に対して密閉される収容部と、
    上記収容部に収容された上記電極に向かって、ラマン散乱光を発生させるための励起光を透過させる観察窓と、
    上記集電体と外部機器とを電気的に接続する接続端子と、を備えており、
    上記電極には、上記活物質層が露出している断面であって、上記励起光が照射される断面が形成されており、
    上記断面は、上記電極をイオンビームによって切断することによって形成されており、
    上記観察窓は、上記断面と密着するものであることを特徴とする測定セル。
  2. 上記観察窓と上記断面とは、上記観察窓と上記断面との距離が0μm以上20μm以下にて密着することを特徴とする請求項1に記載の測定セル。
  3. 上記断面は、上記電極をイオンビームによる切断の対象となる切断領域が突出した形状に加工した後、上記切断領域をイオンビームによって切断することによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の測定セル。
  4. 上記イオンビームは、Arイオンビーム、Gaイオンビーム、またはガスクラスターイオンビームであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定セル。
  5. 上記集電体と上記接続端子との間には、金属板が配置されており、
    上記金属板の表面の材料はNi、Au、ステンレス鋼、Al、Pt、またはCuであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定セル。
  6. 上記電極は、活物質を含む活物質層が集電体上に形成されてなる正極および負極を含んでおり、
    上記正極の集電体と、当該正極の集電体に接続される接続端子との間に配置されている金属板の表面の材料はステンレス鋼、Al、またはPtであり、
    上記負極の集電体と、当該負極の集電体に接続される接続端子との間に配置されている金属板の表面の材料はNi、CuまたはAuであることを特徴とする請求項5に記載の測定セル。
  7. 上記観察窓は石英ガラス、サファイアガラス、またはCaFからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の測定セル。
  8. 上記収容部に電解液を注入するための注入部を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の測定セル。
  9. 上記収容部には上記電極が収容されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の測定セル。
  10. 請求項9に記載の測定セルに収容された電極をラマン分光法によって評価する電極の評価方法であって、
    上記電極に形成された断面内の測定ポイントまたは当該測定ポイントを複数含んでいる測定ラインに対して励起光を照射することによって発生するラマン散乱光のスペクトルを測定するスペクトル測定工程を含んでおり、
    上記スペクトル測定工程において、ラマン散乱光のスペクトルの測定は複数の測定ポイントまたは複数の測定ラインにおいて行われることを特徴とする電極の評価方法。
  11. 上記電極をイオンビームによって切断することによって、上記断面を形成する工程を含んでいることを特徴とする請求項10に記載の電極の評価方法。
  12. 上記複数の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルに対して、ピークの位置の特定、強度の算出、面積の算出、強度比の算出、強度差の算出、面積比の算出、半値幅の算出および波形分離からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいることを特徴とする請求項10または11に記載の電極の評価方法。
  13. 上記複数の測定ポイントには第1の測定ポイントおよび第2の測定ポイントが包含されており、
    上記第1の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと、上記第2の測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の電極の評価方法。
  14. 上記測定ポイントにおいて測定されたラマン散乱光のスペクトルと予め測定された参照スペクトルとを比較して、ピークのシフトの判定、強度比の算出、面積比の算出、強度差の算出、強度変化の判定、面積変化の判定、強度比変化の判定、面積比変化の判定、半値幅変化の判定、新たに出現するピークの特定、および波形分離により得られたスペクトルの差の判定からなる群より選択される1つ以上の処理を行う工程を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の電極の評価方法。
  15. 上記断面における上記ラマン散乱光のスペクトルの分布を可視化した画像を取得する工程を含んでいることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の電極の評価方法。
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