JP5975274B2 - 電極の検査方法およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、電池の構築に利用される電極の検査方法およびその利用に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度にも優れる。このため、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、車載用の電源(車両駆動用電源)として好ましく用いられている。この種の非水電解質二次電池の典型的な構成では、正極と負極と電解質とが電池ケースに収容されている。正負の電極には対応する集電体上に電荷担体(典型的にはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵・放出し得る材料(活物質)を主体とする電極活物質層が備えられており、かかる電極間を電荷担体が行き来することによって充放電が行われる。
車両駆動用電源等に用いられる非水電解質二次電池では、更なる高性能化(例えば出力特性や耐久性の向上)のため、内部抵抗を低減することが検討されている。しかしながら内部抵抗の要因は、電解質と電極との界面における抵抗(界面抵抗)、電極内での電荷担体の移動に伴う抵抗(反応抵抗)、活物質内での電荷担体の拡散に伴う抵抗(拡散抵抗)等様々であるため、各抵抗成分を分離して測定し、その起源を個別に評価検討することが重要である。かかる技術として、交流インピーダンス測定法が知られている。この測定では、検査対象としての作用極(例えば正極または負極)と参照極との間に交流電圧(または交流電流)を入力して電気化学的に反応させ、そのときの作用極−対極間の応答電流(または応答電圧)を測定する。かかる方法によれば、抵抗成分による応答時間の差を利用して、各抵抗成分を分離・測定することができる。例えば特許文献1には、いわゆる三極式の構成を用いて、交流インピーダンス法によって正負極それぞれの抵抗を個別に測定・算出し得る技術が記載されている。
特開2012−079582号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、作用極の一部分の抵抗(部分的な抵抗)を測定することはできない。また、正負極の他に参照極と対極とを作製しそれらを用いて評価用電池を構築する必要があるため、作業や構造が煩雑になる。さらに、評価用電池の内部に対極を設ける構成のため、作用極(正極または負極)に対して対極の面積を広くするにも限界がある。一般に抵抗の大きさは測定面積に反比例することから、より精度の高い測定を行うためには作用極に対する対極の面積をより広く(例えば10倍以上)確保することが好ましい。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極の抵抗を簡便且つ精度よく測定する方法を提供することである。
本発明により、集電体上に電極活物質層が形成された電極の抵抗を検査する方法が提供される。かかる抵抗検査方法は、
(ステップS1)所定の電解液と該電解液中に配置された対極とを収容する本体と、該本体に連なる測定部であって上記電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部と、を備えたプローブを用意する工程;
(ステップS2)上記プローブの測定部を対向する電極活物質層の一部に作用させ、上記電解液を介して上記プローブ中の対極と上記電極活物質層の被測定部とを電気的に接続する工程;
(ステップS3)上記電気的に接続した対極と被測定部との間に、交流電流または交流電圧を入力してインピーダンスを測定する工程;
(ステップS4)上記インピーダンスの測定に基づき、上記電極の抵抗を算出する工程;
を包含する。そして、上記プローブ中の対極の面積は、該プローブの測定部の作用面積より100倍以上(好ましくは300倍以上)広い。
ここで開示される抵抗検査方法では、プローブの測定部を電極活物質層の一部に作用させることで、該電極活物質層の任意の一部分の交流インピーダンスの測定を行うことができる。そして、上記インピーダンスの測定に基づいて、電極活物質層の任意の一部分の抵抗を個別に求めることができる。また、ここで開示される抵抗検査方法では、測定部の作用面積に対して対極の面積が広く確保されている。このため、対極由来の反応抵抗成分を十分小さく(例えば1/50以下に)することができ、検査対象(電極活物質層)由来の抵抗のみを精度よく測定することができる。さらに、ここで開示される抵抗検査方法では、検査対象たる電極の被測定部にプローブを作用させるだけで測定を行うことができるため、極めて簡便であり、作業効率を高めることができる。
なお、本発明において「電極」とは、集電体上に電極活物質を含む多孔性の電極活物質層が形成されている多孔性電極一般を意味する。例えば、二次電池、一次電池、キャパシタ(コンデンサともいう)等に用いられる電極であり得、典型的には繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般に用いられる電極、例えばリチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、疑似容量キャパシタ等に用いられる電極を包含する用語である。このように、本発明に関して「電極」とは、二次電池等のいわゆる化学反応(ファラデー反応)を蓄電機構とする電池の電極に限定されず、電気二重層キャパシタ等の化学反応を伴わない(非ファラデー反応)いわゆる物理現象(誘電分極)を蓄電機構とする物理電池の電極をも含み得る。
また、本明細書において「非水電解質二次電池」とは非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
好適な一態様では、上記対極として、電極活物質層が形成された集電体を用いる。かかる構成によれば、対極に由来する抵抗をより一層抑制することができ、上記抵抗検査方法以上に検査対象たる電極活物質層のみの抵抗を精度よく測定することができる。
また、好適な他の一態様では、上記インピーダンスの測定において、電気的に接続した対極と被測定部との間に100mV〜1000mVの交流電圧を入力する。このように従来に比べてより振幅の大きな電圧を入力することで、検査対象たる電極活物質層由来の反応抵抗成分が他の抵抗成分(例えば溶液抵抗成分)に埋もれることなく、精度よく測定を行うことができる。
この抵抗検査方法を用いて、プローブの測定部と電極活物質層の被測定部との間の電気的接続を維持した状態で電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを連続的に走査させることによって、電極活物質層の面内における抵抗の分布を測定することができる。あるいは、プローブの測定部と電極活物質層の被測定部とを断続的に電気的接続し、該電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを走査させることによって、電極活物質層の面内における抵抗の分布を測定することができる。そして、例えば電極活物質層の面内における抵抗分布において、抵抗の最も高い値(R)と最も低い値(R)との比(R/R)が所定の基準値以下である場合に、上記電極を良品と判定することができる。
電極活物質層の面内における抵抗分布を明らかにすることで、電池を構築する前にあらかじめ電池性能を予測し得る。このため、面内における抵抗の分布が小さい電極を選択して電池の構築に用いることで、より電池性能の高い非水電解質二次電池を安定して製造することができる。
また、他の側面として、集電体上に電極活物質層が形成された電極の抵抗検査装置が提供される。ここで開示される抵抗検査装置は、
(A)所定の電解液と該電解液中に配置された対極とを収容する本体と、該本体に連なる測定部であって上記電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部と、を備えたプローブと、
(B)上記プローブ中の対極と、該プローブによって測定される上記電極活物質層の被測定部と、を電気的に接続可能な交流インピーダンス計測部と、
(C)上記交流インピーダンス計測部によって計測されたインピーダンスに基づいて、上記電極の抵抗を算出する制御部と、
を備えている。そして、上記プローブ中の対極の面積が、該プローブの測定部の作用面積より100倍以上(好ましくは300倍以上)広い。
ここで開示される抵抗検査装置は、検査対象たる電極活物質層の被測定部にプローブを作用させるという簡単な操作のみで、電極活物質層の任意の一部分の交流インピーダンスを測定することができる。さらに、測定部の作用面積に対して対極の面積を広く確保しているため、対極由来の反応抵抗成分を十分小さくすることができ、測定部に由来する抵抗のみを精度よく測定することができる。
さらに、他の側面として、電極と非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法が提供される。かかる製造方法は、集電体上に電極活物質層が形成された電極を用意すること;上記のいずれかの抵抗検査方法によって、上記電極の抵抗を検査すること;上記検査済みの電極を用いて非水電解質二次電池を構築すること;を包含する。
上記製造方法によれば、より電池性能の高い非水電解質二次電池を安定して製造することができる。このことは、生産性や製造コストの観点からも好ましい。
一実施形態に係る抵抗検査装置の構造を示す斜視図である。 インピーダンス測定によって得られるCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の一例と、該プロットの等価回路を示す図である。 対極の面積を変化させたときのCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の比較である。 一実施形態に係る非水電解質二次電池の断面構造を示す模式図である。 図4の捲回電極体の断面構造を模式的に示す図である。 負極の面内の交流インピーダンス測定によって得られたCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の比較である。 各測定地点における、ホウ素(B)原子の濃度(μg/cm)と抵抗値(Ω)とを示すグラフである。 非水電解質二次電池の耐久試験前後におけるCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の比較である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明により、集電体上に電極活物質層が形成された電極の抵抗を、交流インピーダンス法によって検査する方法が提供される。ここでは先ず交流インピーダンス法の概要および本発明の検査対象である電極の構成について説明を行った後、本発明の一実施形態に係る抵抗検査装置ならびに抵抗検査方法について説明する。
≪交流インピーダンス法≫
交流インピーダンス法では、周波数を変化させながら検査対象(ここでは電極)に交流電圧(または交流電流)信号を入力し、そのときの応答電流(または応答電圧)を測定する。そして、入力した正弦波と応答信号とを比べることで、電極反応の伝達関数(インピーダンス)を求める。より具体的には、例えば周波数を10kHz程度の高周波から0.1Hz程度の低周波へと変化させ、各周波数における応答電流(または応答電圧)からインピーダンスを求める。一般にイオンと電子とでは移動速度に差があるため、交流インピーダンス法ではこの移動速度の差を利用して測定を行う。より具体的には、高周波領域では、電子は電圧の向きの変化に敏感に対応して移動し得るものの、イオンは反応が遅く移動が追い付かない。このため、系から電子の移動に関する成分のみを抽出し測定することができる。その後、周波数をより低くしていくと、イオンの移動が交流電圧の向きの変化に対応し得るようになる。したがって、電子の移動に加えてイオンの移動に係る成分を測定することができる。このインピーダンスの周波数特性を、いわゆるCole−Coleプロット(ナイキストプロット)やBodeプロット等に表わし、これを解析することによって各成分の抵抗値等を求めることができる。
図2は、交流インピーダンスの測定により得られたデータを示した典型的なCole−Coleプロット(ナイキストプロット)の一例である。Cole−Coleプロットは、各周波数において測定したインピーダンス(Z,θ)を複素平面上に示したものであり、インピーダンスの実数成分Z’(Ω)をX軸に、虚数成分Z''(Ω)をY軸にプロットしている。なお、虚数成分Z''は主として負の値となるため、Cole−Coleプロットにおいては、一般的に、Y軸は原点より上方に負の値をとる。このCole−Coleプロットでは、左側がより高周波での測定値を、右側がより低周波での測定値を示している。
図2に示すCole−Coleプロットの場合、その形状から、おおまかに3つのパートP1、P2、P3に分けることができる。パートP1は、より高周波側の領域であり、その接線の傾き(実数成分Z’に対する虚数成分Z''の変化量)が45度よりも明らかに大きい(例えば、50度以上、典型的には60度以上)。これは直流抵抗成分Rに由来する。直流抵抗成分Rは、例えばプローブの接触抵抗や電解液の抵抗(溶液抵抗)、電解質と電極との界面における抵抗(界面抵抗)等を含み得、典型的にはCole−Coleプロットの高周波側で実軸と交わる交点(R)に一致する。また、パートP2は、中周波の領域(上記高周波領域に続く低周波側の領域)であって、半円形状(半円を押しつぶしたような楕円形状であり得る。)である。これは電極の反応抵抗Rおよび容量Cに由来する。一般的なコール・コールプロットでは、作用極と対極とに由来する2つの半円形状が現れるが、ここで開示される態様では対極の抵抗が十分に低減されている(典型的には1/50以下、例えば1/100以下である)ため、作用極に由来する半円形状のみが現れる。反応抵抗Rは、典型的には電極内での電荷担体の移動に伴う抵抗(反応抵抗)であり、典型的にはCole−Coleプロットの半円の直径に一致する。換言すれば、図2のCole−Coleプロットの低周波側で実軸と交わる交点(R+R)から、高周波側で実軸と交わる交点(R)を差し引くことにより、反応抵抗Rを算出することができる。あるいは、半円の頂点における周波数から容量Cを求めることができる。パートP3は、より低周波側の領域(上記中周波の領域に続く低周波側の領域)であり、その接線の傾きが45度もしくはその近傍(例えば、45±5度程度)である。これはワールブルグインピーダンス成分Wに起因し、電極の酸化還元反応に関与する物質の拡散(拡散抵抗)に由来する。このように、交流インピーダンスの測定結果に基づいて検査対象(電極活物質層)の各種抵抗(例えば直流抵抗、反応抵抗、拡散抵抗)を求めることができる。なお、Cole−Coleプロットが実軸と交点を有しない場合には、Cole−Coleプロットの変曲点(すなわち、P2からP3またはP1からP2へ移行する点であって、虚数成分Z''が最も実軸に近づく点)を(R+R)または(R)とみなして、両者の差から反応抵抗Rを算出することもできる。
≪電極≫
ここで開示される検査対象としての電極は、集電体上に電極活物質層が形成された形態である。かかる電極としては、例えば非水電解質二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)の構築に用いられる正極や負極が挙げられる。以下、リチウムイオン二次電池を例にして、その構成を説明する。
<正極>
正極は、典型的には正極集電体と該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。このような正極は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質層形成用の分散液)を、シート状の正極集電体に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。正極集電体には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好適に使用され得る。また、上記溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。
<正極活物質>
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の一種または二種以上を、特に限定なく使用することができる。例えば、リチウムと少なくとも一種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物、ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物、等を用いることができる。
好ましい一態様として、一般式:LiMn2−p(式中、pは、0≦p<2であり、典型的には0≦p≦1(例えば0.2≦p≦0.6)である)で表される、典型的にはスピネル構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)が挙げられる。pが0より大きい場合、Mは、Mn以外の任意の金属元素または非金属元素であり得る。Mが遷移金属元素の少なくとも一種(例えばTi,Cr,Fe,Co,Ni,CuおよびZnから選択される一種または二種以上)を含む組成のものが好ましい。具体例としては、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO等が挙げられる。このような正極活物質を用いることで、正極の作動電位を一般的な非水電解質二次電池(作動電位の上限が4.1V〜4.2V程度)よりも高い凡そ4.5V以上(さらには4.6V以上、例えば4.7V以上)に設定し得るため、高エネルギー密度を実現することができる。
<導電材>
導電材としては、典型的には炭素材料を用いることができる。より具体的には、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも、比較的粒径が小さく比表面積が大きいカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好ましく用いることができる。
<バインダ>
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC;典型的にはナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類;を好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等を好ましく採用することができる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2質量%〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極集電体の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の質量は、例えば5mg/cm〜40mg/cm(典型的には10mg/cm〜20mg/cm)程度とすることができる。また、正極活物質層の密度は、例えば1.5g/cm〜4g/cm(典型的には1.8g/cm〜3g/cm)程度とすることができ、正極活物質層の厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。正極活物質層の密度や厚みを上記範囲とすることで、所望の容量を維持しつつ、リチウムイオンの拡散抵抗を低く抑えることができる。このため、リチウムイオン二次電池の出力特性とエネルギー密度とをさらに高いレベルで両立させることができる。
<負極>
負極は、負極集電体と該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層とを備えている。このような負極は、負極活物質と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用の分散液)をシート状の負極集電体に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層(負極活物質層)を形成することにより好ましく作製することができる。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が好ましく用いられる。また上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。
<負極活物質>
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、分散剤や導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
負極集電体の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量は、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることが適当である。負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができ、負極合材層の厚みは例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。負極活物質層の密度や厚みを上記範囲とすることで、非水電解液との界面を好適に保ち、耐久性(サイクル特性)と出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
≪抵抗検査装置≫
以下、ここで開示される抵抗検査装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗検査装置の構造を示す斜視図である。ここで開示される抵抗検査装置200は、大まかに言って、プローブ110と、交流インピーダンス計測部130と、制御部140と、を備えている。なお、図1に示す態様では、さらに載置部120を備えている。
<プローブ110>
プローブ110は、プローブ本体112と、該本体に連なる測定部118とを有している。プローブ本体112は、所定の電解液116と、該電解液中に配置され電極用リードを備えた対極114と、を有している。図1の態様では、プローブ本体112は上端が解放された円筒形状であり、且つ下端には電解液116を介して検査対象(電極活物質層)の一部に作用する測定部118を有している。なお、プローブ本体112の上端(開口部)は、蓋体等で覆うこともできる。そして、プローブ110は、制御部140からの信号に基づいて垂直方向に昇降移動し、載置部120上に設置された検査対象(電極活物質層の一部)と電気的に接続可能なよう構成されている。
プローブ本体112および蓋体の材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド等の樹脂材料;が挙げられる。また、プローブ本体112の形状(容器の外形)は、例えば、円筒形、直方体形、立方体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。より具体的には、例えばポリプロピレン製の針無シリンジ等を用いることができる。
<対極114>
対極114としては、交流インピーダンスの測定時に入力する電圧(または電流)の領域内において、使用する電解液中で安定なものであれば特に限定なく、炭素材料、各種金属材料等を用いることができる。しかしながら金属リチウムを対極として用いる場合は、該金属リチウムの電気抵抗率が高いため、検査対象のみの反応抵抗を分離することが難しい場合がある。また、リチウムの表面状態が酸化等で変化すると、それによって抵抗値が大きく変動し、測定誤差を生じる場合もある。このため、検査対象の抵抗が比較的低い場合や、反応抵抗をより精密に分離・測定したい場合は、対極114として電気抵抗率(比抵抗)が低く、測定雰囲気中(電解液中)で安定性の高い材料を用いることが好ましい。かかる例としては、上述した正極または負極の活物質層形成用材料が挙げられる。より具体的には、検査対象として上述した正極や負極を、対極としても用いることができる。正極や負極は金属リチウムに比べて電気抵抗率が低いため、このような対極を用いることで対極由来の抵抗を一層低減し得る。したがって検査対象たる電極活物質層の抵抗を一層精度よく測定することができる。さらに正極や負極は、比較的高い電圧(例えば100mV〜1000mV)を入力した場合であっても電解液中で安定なため、金属リチウムを用いた場合にみられるような表面状態の変化やそれに伴う測定誤差や測定値のバラつき等が生じ難い。このため、精度の高い測定を安定的に行うことができる。
対極114の面積は、測定部118の面積に応じて適宜変更することが好ましい。一般に抵抗の大きさは測定面積に反比例するため、検査対象(電極活物質層)のみの抵抗を分離したい場合は、測定部の作用面積に対して対極の面積をより広く確保する必要がある。図3は、測定部の作用面積を0.03cmとし、対極の面積を変化させたときのCole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の比較である。対極の面積を0.1cm〜0.2cm(換言すれば測定部の作用面積の凡そ3〜6倍)とした場合、反応抵抗(R)が大きく測定されている。これに対し、対極の面積を7cm〜30cm(換言すれば測定部の作用面積の凡そ200〜1000倍)とした場合、反応抵抗(R)はほぼ一定である。したがって、本発明では、対極の面積を該プローブの測定部の作用面積より100倍以上(典型的には200倍以上、好ましくは300倍以上、より好ましくは500倍以上)広く設定する。これによって、対極の反応抵抗を無視し得るほど小さくすることができる。より具体的には、例えば対極の抵抗を、検査対象(被測定部)の凡そ1/50以下(好ましくは1/100以下)とし得る。したがって、検査対象としての電極活物質層に由来する抵抗(例えば反応抵抗や拡散抵抗)のみを、精度よく測定することができる。
<電解液116>
電解液116としては、典型的には非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩を含むものが用いられる。上記非水溶媒としては、例えば一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒の一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。例えば、ECとDMCとEMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒を用いることができる。
上記支持塩としては、例えば一般的なリチウムイオン二次電池において支持塩として用いられるリチウム塩の一種または二種以上を、適宜選択して使用することができる。かかるリチウム塩として、LiPF,LiBF,LiClO,LiEBF,Li(CFSON,LiCFSO等が例示される。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。非水電解液中の支持塩濃度は、例えば0.7mol/L〜1.3mol/L(典型的には1.0mol/L〜1.2mol/L)の範囲内となるように調製することが好ましい。
<測定部118>
測定部118は、プローブ本体112から連なっており、電解液116を介してプローブ中の対極114と電極活物質層の被測定部とを電気的に接続し得る部位である。測定部(電極活物質層の被測定部と接し得る測定端部)の作用面積(断面積)は、小さいほど対極由来の抵抗成分の影響を抑制し得るため好ましい。一方であまりに小さすぎる場合は、測定地点の電極活物質層の状態により、得られる結果がバラつく虞がある。このため、測定部の作用面積は例えば、0.01cm〜0.1cm(典型的には0.02cm〜0.05cm)とすることが好ましく、図3に示す例では凡そ0.03cmである。測定端部の形状は特に限定されないが、円形状を好ましく採用し得る。かかる形状の場合、測定部(電極活物質層の被測定部と接し得る測定端部)の直径は、例えばΦ1mm〜Φ10mm(典型的にはΦ2mm〜Φ5mm)であり得、図3に示す例では凡そΦ2mmである。
<載置部120>
載置部120は、検査対象としての電極を載置する載置台と、該電極を固定するための治具(例えばクランプ)とを備えている。そして、制御部140からの信号に基づいて、図示しない駆動モータによって水平方向(図1のXおよびYの矢印の方向)または垂直方向に移動可能なよう構成されている。
<交流インピーダンス計測部130>
交流インピーダンス計測部130は、プローブ110中の対極114と電極活物質層の被測定部とを電気的に接続する部位である。交流インピーダンス計測部としては、一般的なインピーダンス測定装置として常套的に使用されているものから任意に選択することができる。また、交流インピーダンスの測定方法も特に限定されず、例えばリサージュ法、交流ブリッジ法等のアナログ方式や、デジタル・フーリエ積分法、ノイズ印加による高速フーリエ変換法等のデジタル方式を適宜採用し得る。好適な一態様では、交流インピーダンス計測部として、電流と電圧を制御し得るポテンショ/ガルバノスタット(PS/GS:potentiostat/galvanostat)と、正弦波発振回路を内蔵した周波数応答アナライザ(FRA:Frequency Response Analyzer)とを組み合わせて用いる。このような計測部としては、例えばソーラトロン社製の1287型ポテンショ/ガルバノスタットと、1255B型周波数応答アナライザとを使用し得る。なお、インピーダンス測定の条件は、検査対象たる電極活物質層の構成等に応じて適宜変更することができる。そして、制御部140からの信号に基づいて、電気的に接続したプローブ110と被測定部との間に交流電流または交流電圧を入力して、インピーダンスを測定する。また、得られたインピーダンスの測定結果は、インピーダンス計測部の出力として制御部140に送られる。
<制御部140>
制御部140は、所定の情報に基づいて交流インピーダンスの計測やプローブの調整等をコントロールする。より具体的には、載置部に設置された検査対象(電極)の被測定部の調整、プローブの駆動、インピーダンス測定等の制御;計測されたインピーダンスに基づく電極の抵抗算出;等を行う。制御部140の典型的な構成には、少なくとも、かかる制御を行うためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、入出力ポートと、が含まれる。制御部140には、プローブやインピーダンス計測部等からの信号(出力)が入力ポートを介して入力される。また、制御部140からはプローブや交流インピーダンス計測部等への駆動信号が出力ポートを介して出力される。
好ましい一態様では、抵抗検査装置200は、インピーダンス計測部によって測定された抵抗値に基づき、電極活物質層の面内の抵抗分布を評価する評価部(図示せず)をさらに備えている。評価部には、測定されたインピーダンスの測定結果が、制御部を介して(制御部で算出された抵抗値として)送られる。評価部は、送られてきた抵抗測定結果に基づき、面内の抵抗分布を評価する。好ましい一態様では、判定基準となる値をあらかじめ記録媒体(例えば、ROM、HDD、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、フラッシュメモリ等)に記録しておき、これを閾値として実測の測定結果と比較することにより、電極面内の抵抗分布を評価し、該電極が良品か否かを判定する。閾値の範囲は任意に設定することができ、例えば、測定された電極面内の抵抗分布において抵抗の最も高い値(R)と最も低い値(R)との比(R/R)が2以下(典型的には1.5以下)の場合に良品と判断するように設定することができる。この場合、良品と判定された電極は、電極性能にばらつきが少ないものとなり得る。
≪抵抗検査方法≫
次に、ここで開示される抵抗検査を好適に実施し得る一実施態様について、図1の抵抗測定装置を参照しつつ説明する。ここで開示される抵抗検査方法は、以下の工程を包含する。
(ステップS1)所定の電解液と該電解液中に配置された対極とを収容する本体と、該本体に連なる測定部であって上記電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部と、を備えたプローブを用意する工程;
(ステップS2)上記プローブの測定部を対向する電極活物質層の一部に作用させ、上記電解液を介して上記プローブ中の対極と上記電極活物質層の被測定部とを電気的に接続する工程;
(ステップS3)上記電気的に接続した対極と被測定部との間に、交流電流または交流電圧を入力してインピーダンスを測定する工程;
(ステップS4)上記インピーダンスの測定に基づき、上記電極の抵抗を算出する工程;
かかる抵抗検査方法によれば、電極活物質層の任意の一部分の抵抗を個別に、且つ極めて簡便に測定することができる。以下、各工程を順に説明する。
<S1;プローブの用意>
ここで開示される抵抗検査方法では、まずプローブを用意する。このようなプローブは、例えば、プローブ本体112の上端に設けられた開口部から対極114をプローブの内部に収容した後、電解液116を注入することによって作製し得る。なお、ここで開示される対極114は上述の通り非常に面積が広いため、図1に示す態様ではロール状に丸められた状態でプローブ本体112に収容されている。
<S2;電気的接続>
ここで開示される抵抗検査方法では、次にプローブの測定部118を対向する電極活物質層の一部に作用させ、電解液116を介してプローブ中の対極114と電極活物質層の被測定部とを電気的に接続する。より具体的には、プローブあるいは載置部を上下左右に動かして、検査対象たる電極活物質層の一部(被測定部)に押し当てる。これにより電極活物質層の一部(被測定部)が電解液を介してプローブ中の対極と局所的に電気接続される。検査対象としての電極活物質層は多孔性であって、電極活物質と導電材の粒子間等に空孔とも称すべき微小な隙間を有している。このため、電解液を備えたプローブが電極活物質層と接することで、かかる電極活物質層の微小な隙間に電解液が浸み込み得る。好ましい一態様では、検査対象としての電極活物質層を備えた電極を、上記プローブ中の電解液と同種の電解液で満たした容器内に設置した状態で測定を行う。あるいは、電極活物質層内に事前に電解液を十分含浸させた電極を用いて測定を行うことが好ましい。より再現性の高い測定を安定して行うためには、本工程を数秒〜数分程度保持した後に、以下の工程に進むことが好ましい。
<S3;インピーダンスの測定>
ここで開示される抵抗検査方法では、次に電気的に接続した対極と被測定部との間に交流電流または交流電圧を入力してインピーダンスを測定する。対極はその一部に導電性材料からなる電極用リードを有している。また、検査対象たる電極は、端部において電極活物質層が設けられておらず(あるいは除去されて)、集電体が露出するように形成されている。この対極のリードと電極の集電体が露出した部位とに、電流ケーブルと電圧ケーブルをそれぞれ接続し、交流電流または交流電圧を入力する。そして、制御部からの信号に基づいて、交流インピーダンスの測定を行う。
インピーダンス測定において測定する周波数領域は、目的とする抵抗値(例えば反応抵抗Rの値)を算出し得る範囲であればよく特に限定されないが、測定精度や測定の所要時間等の観点から、例えば100kHz〜0.01Hz(典型的には10kHz〜0.1Hz、例えば1kHz〜0.1Hz)程度に設定することができる。これにより、比較的短時間で高精度な測定を行うことができる。
好ましい一態様では、電気的に接続した対極と被測定部との間に100mV〜1000mV(典型的には200mV〜1000mV、例えば300mV〜1000mV)の交流電圧を入力する。一般的な非水電解質二次電池の交流インピーダンス測定では、5〜10mV程度の電圧を入力することが通例である。しかしながら、ここで開示される一態様では電極活物質層の被測定部の面積が非常に狭いため、他の抵抗成分(例えば溶液抵抗成分)の影響が大きい。よって、例えば反応抵抗に係る応答電流を検知するためには、従来に比べ大きな振幅の電圧を入力することが好ましい。入力電圧を上記範囲とすることで、測定のノイズが抑制され、精度のよい測定を実現し得る。上記と同様の理由から、交流電流を用いて測定を行う場合には、電気的に接続した対極と被測定部との間に例えば50μA〜500μA(典型的には100μA〜500μA)の交流電流を入力し、インピーダンスを測定することが好ましい。
<S4;抵抗の算出>
上記測定によって、例えば図2のようなCole−Coleプロットを得ることができる。本工程では、上記インピーダンスの測定結果に基づいて電極活物質層の被測定部における抵抗値を算出する。検査対象の反応抵抗の値は、例えばCole−Coleプロットから読み取ることができる。より具体的には、Cole−Coleプロットの低周波側で実軸と交わる交点の値(R+R)から、高周波側で実軸と交わる交点の値(R)を差し引くことにより、電極に係る反応抵抗Rを算出し得る。Cole−Coleプロットが実軸と交点を有しない場合には、P2からP3への変曲点を(R+R)と、P1からP2への変曲点を(R)と、みなして反応抵抗Rを算出することもできる。あるいは、そのCole−Coleプロットの形状を、適切に選択した等価回路と照らし合わせて(カーブフィッティングして)解析することで、等価回路の各パラメータ値(例えば反応抵抗R)を求めることもできる。かかる等価回路は、例えば図2に示すものであり得る。すなわち、ここで開示される抵抗検査方法で得られるCole−Coleプロットの等価回路は、直流抵抗成分Rと、反応抵抗成分Rと、容量成分Cと、ワールブルグインピーダンス成分Wとが、図2に示すように接続されたものであり得る。
なお、交流インピーダンスの測定は、例えば、交流周波数を10kHz〜0.1Hzへと変化させたときのインピーダンスを測定することで実施できるが、必ずしも得られたデータ全てを解析に供する必要はなく、適宜必要な範囲のデータを抽出して解析を行うことができる。解析に使用するデータ範囲は、検査対象たる電極の特性等に因るため一概には言えないが、例えば10kHz〜10Hzの範囲のデータを用いることができる。
また、好ましい一態様では、プローブの測定部と電極活物質層の被測定部との間の電気的接続を維持した状態で電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを連続的に走査させることによって、上記電極活物質層の面内における抵抗の分布を測定する。あるいは、プローブの測定部と電極活物質層の被測定部とを断続的に電気的接続し、該電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを走査させることによって、上記電極活物質層の面内における抵抗の分布を測定する。従来、電極の面内の抵抗分布を測定するためには、電極から被測定部を切り出して、かかる電極と対極と(参照極と)を用いて都度測定用のセルを作製し、測定する必要があった。しかし、ここで開示される方法によればそのような手間が不要であり、より簡便に電極面内の抵抗の分布(抵抗のムラ)を測定することができる。このため、作業性やコストの観点からも好ましい。
このように電極面内の抵抗分布を測定することで、局所的な抵抗分布を把握することができる。より具体的には、例えばエージング処理後の電極における酸化被膜の形成状況の把握や、耐久試験後の電極における抵抗の変化(劣化)解析等に広く活用し得る。
そして、例えば上記電極活物質層の面内における抵抗分布において、抵抗の最も高い値(R)と最も低い値(R)との比(R/R)が所定の基準値以下である場合に、上記電極を良品と判定することができる。好ましい一態様では、上記比の値が1以上2以下(好ましくは1.5以下)に設定されている。このような電極を選択して電池の構築に用いることによって、より電池性能に優れ、且つバラつきの少ない非水電解質二次電池を安定して構築することができる。
≪非水電解質二次電池の製造方法≫
さらに、本発明の他の側面として、電極と非水電解質とを含む非水電解質二次電池の製造方法が開示される。かかる製造方法は、集電体上に電極活物質層が形成された電極を用意すること;上記記載の抵抗検査方法によって、電極の抵抗を検査すること;上記検査済みの電極を用いて非水電解質二次電池を構築すること;を包含する。かかる製造方法によれば、より電池性能の高い非水電解質二次電池を安定して製造することができる。このことは、生産性や製造コストの観点からも好ましい。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解質と、を扁平な直方体形(角形)の容器に収容した形態の非水電解質二次電池(単電池)を例とし、図4,5を参照しつつ、非水電解質二次電池の製造方法を示す。
ここで開示される製造方法では、先ず集電体上に電極活物質層が形成された電極を用意する。より具体的には、既に上述した構成材料および作製方法によって、正極集電体12上に正極活物質層14の形成された正極シート10と、負極集電体22上に負極活物質層24が形成された負極シート20とを作製する。ここで開示される製造方法では、次に、上述した抵抗検査方法を用いて電極シート(正極シート10および/または負極シート20)を検査する。典型的な例としては、電極シートの電極活物質層(正極活物質層12および/または負極活物質層22)上において、所定のパターンでプローブを連続的に走査させることによって、電極活物質層の面内における抵抗の分布を測定する。そして、得られた電極面内の抵抗分布を所定の基準値と比較して、良品であると判定された電極シートを電池構築用に供する。
ここで開示される製造方法では、次に、上記良品と判定された正極シート10と負極シート20とを積層し、捲回電極体80を作製する。図5に示すように、捲回電極体80は、正極シート10と負極シート20とを重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形されている。典型的には、正極シート10と負極シート20との間は、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。好ましい一態様では、上記絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ40を使用する。例えば、これらのセパレータ40を正極シート10および負極シート20とともに捲回して電極体80が構成される。セパレータ40としては、一般的な非水電解質二次電池用セパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。
そして、捲回電極体80を電池ケース50に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解質を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって本実施形態に係る非水電解質二次電池100を構築することができる。なお、電池ケース50の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができる。また、電池ケースとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。該ケースの材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が挙げられる。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は、例えば、円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。
非水電解質としては、抵抗検査方法に用い得るものとして例示した非水溶媒(有機溶媒)や支持塩を適宜選択して用いることができる。好ましい一態様では、カーボネート類を主体とする非水溶媒を含んでいる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好ましく用いることができる。
また、好ましい他の一態様では、上記電解液は、フッ素含有非水溶媒を含んでいる。このフッ素含有非水溶媒は、例えば、非水電解質二次電池の電解液に利用し得ることが知られている有機溶媒(有機化合物)のフッ素化物であり得る。好ましい一態様に係る電解液は、上記フッ素含有非水溶媒として、一種または二種以上のフッ素化カーボネート(フッ素化環状カーボネートおよびフッ素化鎖状カーボネートのいずれをも好ましく使用可能である。)を含有する。このようなフッ素化カーボネートを含む電解液によると、耐酸化性が高く、高エネルギー密度の電池を実現し得る。
また、非水電解液は、本発明の目的を大きく損なわない限度で、必要に応じて任意の添加剤を含んでもよい。かかる添加剤は、例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上、等の一または二以上の目的で使用され得る。好ましい添加剤の例として、フルオロリン酸塩(好ましくはジフルオロリン酸塩。例えば、LiPOで表されるジフルオロリン酸リチウム)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)等のオキサラト錯体化合物が挙げられる。非水電解液における各添加剤の濃度は、通常、0.2mol/L以下(典型的には0.005mol/L〜0.2mol/L)とすることが適当であり、例えば0.1mol/L以下(典型的には0.01mol/L〜0.1mol/L)とすることができる。好ましい一態様として、LiPOおよびLiBOBの両方を、それぞれ0.01mol/L〜0.5mol/L(例えば、それぞれ0.25mol/L)の濃度で含む非水電解液が挙げられる。
好ましい一態様では、電極または非水電解質の少なくとも一方にオキサラト錯体化合物を含む。なお、オキサラト錯体化合物は、少なくとも電池構築直後において電池ケース内に含まれていればよく、その後オキサラト錯体化合物の一部または全部が変質(電離、分解等)していてもよい。一般に電池構築直後に電池ケース内に含まれる大部分のオキサラト錯体化合物は充電(典型的には初回充電)によって電極(負極)の表面で還元分解され、電極上にホウ素(B)原子を含む被膜を形成し得る。それによって、以後の充放電に伴う非水電解質の分解反応を好適に抑制することができ、優れた電池性能(例えば耐久性)を実現させ得る。
図4は、このようにして構築された非水電解質二次電池100の断面を示している。この非水電解質二次電池100は、捲回電極体80が、図示しない非水電解質とともに、該電極体80の形状に対応した扁平な直方体形状(角形)の電池ケース50に収容された構成を有する。この電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(角形)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、外部接続用の正極端子70および負極端子72が、それら端子の一部が蓋体54から電池の外方に突出するように設けられている。また、蓋体54には電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に限定することを意図したものではない。
<実施例1>
(正極シートの作製)
正極活物質として、平均粒径が6μmであり、BET比表面積が0.7m/gのLiNi0.5Mn1.5を用意した。この正極活物質と、アセチレンブラック(導電材)と、PVdF(バインダ)とを、これらの質量比が89:8:3となるようにNMPに分散させて、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の片面に塗付し、乾燥させて正極活物質層を形成した。この正極活物質層付き集電体をロールプレスして、上記正極活物質層の密度を2.3g/cmに調整し、11cm×11cmの正極シートを得た。
(負極シートの作製)
負極活物質として、平均粒径が20μmであり、BET比表面積が2.5m/gの天然黒鉛系材料を用意した。この負極活物質とCMC(増粘剤)とSBR(バインダ)とを、これらの質量比が98:1:1となるようにイオン交換水と混合して、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の片面に塗付し、乾燥させて負極活物質層を形成した。この負極活物質層付き集電体をロールプレスして、上記負極活物質層の密度を1.4g/cmに調整し、正極シートと同サイズの長方形状に切り出して負極シートを得た。
(リチウムイオン二次電池の構築)
上記作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシート(PP/PE/PP三層構造の多孔質シート)を介して対向させ、捲回して捲回型の電極体を作製した。また、環状カーボネートとしてのモノフルオロエチレンカーボネートと、鎖状カーボネートとしてのフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(FHCO(C=O)CHF)とを、体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解して、非水電解液を調製した。この電解液に、0.05mol/Lの濃度でLiBOBとLiPOを溶解させた。上記作製した電極体とLiBOBを含んだ非水電解液とを適当なサイズのラミネート製の電池ケースに収容し、一部(開口部)を残して封止し、リチウムイオン二次電池を構築した。なお、このリチウムイオン二次電池には、正極シートおよび負極シートにそれぞれ接続され上記ラミネートフィルムの外部まで引き出された正極端子および負極端子が設けられている。
(前処理)
上記構築したリチウムイオン二次電池について、以下の手順に従って前処理をした。
(1)1/3Cのレートで4.9VまでCC充電する。
(2)10分間休止(保持)する。
(3)1/3Cのレートで3.5VまでCC放電する。
(4)10分間休止する。
上記(1)〜(4)の操作を3サイクル繰り返した。これによって、負極でLiBOBが還元分解され、負極活物質表面にその分解物を含む被膜が形成される。
(抵抗測定)
上記前処理後のリチウムイオン二次電池(SOC0%の状態)から負極(表面に被膜の形成された負極活物質を有する負極、電位0.4V(vs.Li/Li))を取り出して、上記電解液で満たされた容器内に設置した。そして、図1に示す抵抗検査装置を用いて、図1の1〜5に示す5か所において、交流インピーダンス法の測定を行った。測定装置および測定条件は、以下のとおりである。得られたCole−Coleプロットを図6に、また図6に基づいて算出された各測定点の抵抗値(Ω)を図7に示す。
・プローブ
本体:テルモシリンジ 針無(ポリプロピレン製)
対極:負極シート(面積:30cm
電解液:モノフルオロエチレンカーボネートとフルオロメチルジフルオロメチルカーボネートとを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、1mol/LのLiPFと0.05mol/LのLiBOBと0.05mol/LのLiPOとを溶解させた。
測定部:Φ2mm(面積:0.03cm
・交流インピーダンス計測部
装置:ソーラトロン社製「1287型ポテンショ/ガルバノスタット」および「1255B型周波数応答アナライザ(FRA)」
入力電圧:500mV
測定周波数範囲:100kHz〜0.5Hz
図6および図7に示すように、測定された抵抗には分布がみられ、すなわち負極活物質層の端部ほど抵抗が高く、中央部ほど抵抗が低い傾向を示した。なお、最も高い値(R)と最も低い値(R)との比(R/R)は凡そ2〜3だった。この理由として、非水電解液に含まれるLiBOBは電極(負極)の両端部から含浸していくため、端部ほどLiBOBの分解物による被膜が厚くなり、電極面内で被膜のムラが生じていることが考えられた。
そこで、以下のように負極活物質層に含まれるホウ素(B)原子の含有量を測定した。
(ホウ素原子の定量)
上記前処理後の負極を取り出し、非水電解質として用いた非水溶媒(EC:DMC:EMC=1:1:1の体積比で含む混合溶媒)で2〜3回軽く洗浄した。そして、この負極を図1に示す1〜5の5つの部位に切り分けて、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP‐AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)分析用の測定用試料とした。この測定用試料をそれぞれ酸溶媒中(ここでは硫酸を用いた。)に加熱溶解させ、かかる溶液をICP−AESで分析することによって、各部位に含まれるホウ素(B)原子の含有量(μg)を測定した。そして、得られた値を測定用試料の面積(cm)で除すことにより、単位面積当たりのホウ素(B)原子の量B(μg/cm)を算出した。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、電極活物質層ホウ素原子の含有量と検出された抵抗値には相関がみられた。すなわち、ここで開示される抵抗検査方法によれば、電極面内の抵抗分布を簡便且つ高い精度で測定し得ることが示された。特に本例で用いたような正極の電位が従来に比べ高く(典型的には4.5V(vs.Li/Li)以上に)なり得る電池では、前処理で形成される被膜のムラがより大きくなる虞がある。ここで開示される方法によれば、電池を組み立てることなく、電極の状態で電池特性を反映し得る電極の評価を行うことができるため、より電池性能の高い非水電解質二次電池を安定的に製造し得る。
<実施例2>
(高温耐久試験)
次に、上記と同様に作製および前処理を行ったリチウムイオン二次電池を、温度60℃に設定された恒温槽内に2時間以上静置した後、以下の充放電操作(1)〜(4)を100サイクル繰り返した。
(1)2Cのレートで4.9VまでCC充電する。
(2)10分間休止する。
(3)2Cのレートで3.5VまでCC放電する。
(4)10分間休止する。
その後、高温耐久試験後のリチウムイオン二次電池から負極を取り出して、図1に示す1,3,5の3か所において、上記と同様に交流インピーダンス法の測定を行った。得られたCole−Coleプロットを図8に示す。なお、図8では、上記前処理後のCole−Coleプロットを「初期」、高温耐久試験後のCole−Coleプロットを「耐久後」とそれぞれ表記する。
図8から、耐久試験後の負極では全体的に抵抗が大幅に減少し、さらに初期にみられた抵抗の面内分布が解消されることがわかった。このように、ここで開示される方法によれば、電極の評価や解析を簡便に行い得ることが示された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解質二次電池
110 プローブ
112 プローブ本体
114 対極
116 電解液
118 測定部
120 載置部
130 交流インピーダンス計測部
140 制御部
200 抵抗検査装置

Claims (10)

  1. 集電体上に電極活物質層が形成された電極の抵抗を検査する方法であって:
    所定の電解液と該電解液中に配置された対極とを収容する本体と、該本体に連なる測定部であって前記電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部と、を備えたプローブを用意する工程;
    前記プローブの測定部を対向する電極活物質層の一部に作用させ、前記電解液を介して前記プローブ中の対極と前記電極活物質層の被測定部とを電気的に接続する工程;
    前記電気的に接続した対極と被測定部との間に、交流電流または交流電圧を入力してインピーダンスを測定する工程;および
    前記インピーダンスの測定に基づき、前記電極の抵抗を算出する工程;
    を包含し、
    ここで、前記検査の対象である前記集電体上に電極活物質層が形成された電極は、リチウムイオン二次電池の電極であって正極集電体上に正極活物質層が形成された正極および負極集電体上に負極活物質層が形成された負極のうちの何れかであり、
    前記プローブ中の対極として、前記リチウムイオン二次電池の前記正極活物質層が形成された正極集電体または前記負極活物質層が形成された負極集電体が用いられ、
    対極の面積が、該プローブの測定部の作用面積より200倍以上広いことを特徴とする、電極の抵抗検査方法。
  2. 前記プローブ中の対極の面積は、該プローブの測定部の作用面積よりも300倍以上広い、請求項1に記載の抵抗検査方法。
  3. 前記対極として、前記リチウムイオン二次電池の前記負極活物質層が形成された負極集電体を用いる、請求項1または2に記載の抵抗検査方法。
  4. 前記インピーダンスの測定において、前記電気的に接続した対極と被測定部との間に100mV〜1000mVの交流電圧を入力する、請求項1から3のいずれか一項に記載の抵抗検査方法。
  5. 前記プローブの測定部と前記電極活物質層の被測定部との間の電気的接続を維持した状態で前記電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを連続的に走査させることによって、前記電極活物質層の面内における抵抗の分布を評価する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抵抗検査方法。
  6. 前記プローブの測定部と前記電極活物質層の被測定部とを断続的に電気的接続し、該電極活物質層上において所定のパターンで該プローブを走査させることによって、前記電極活物質層の面内における抵抗の分布を評価する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抵抗検査方法。
  7. 前記電極活物質層の面内における抵抗分布において、抵抗の最も高い値(R)と最も低い値(R)との比(R/R)が所定の基準値以下である場合に、前記電極を良品と判定する、請求項5または6に記載の抵抗検査方法。
  8. 集電体上に電極活物質層が形成された電極の抵抗検査装置であって:
    所定の電解液と該電解液中に配置された対極とを収容する本体と、該本体に連なる測定部であって前記電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部と、を備えたプローブと、
    前記プローブ中の対極と、該プローブによって測定される前記電極活物質層の被測定部と、を電気的に接続可能な交流インピーダンス計測部と、
    前記交流インピーダンス計測部によって計測されたインピーダンスに基づいて、前記電極の抵抗を算出する制御部と、を備え、
    ここで、前記検査の対象である前記集電体上に電極活物質層が形成された電極は、リチウムイオン二次電池の電極であって正極集電体上に正極活物質層が形成された正極および負極集電体上に負極活物質層が形成された負極のうちの何れかであり、
    前記プローブ中の対極として、前記リチウムイオン二次電池の前記正極活物質層が形成された正極集電体または前記負極活物質層が形成された負極集電体が用いられており、
    対極の面積が、該プローブの測定部の作用面積より200倍以上広いことを特徴とする、抵抗検査装置。
  9. 電極と非水電解質とを含むリチウムイオン二次電池の製造方法であって:
    集電体上に電極活物質層が形成された電極を用意すること;
    請求項1から7のいずれか一項に記載の抵抗検査方法によって、前記電極の抵抗を検査すること;および
    前記検査済みの電極を用いてリチウムイオン二次電池を構築すること;
    を包含する、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 製造される電池の電極または非水電解質の少なくとも一方にオキサラト錯体化合物を含ませることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
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