JP7193500B2 - リチウムイオン二次電池の検査方法及びリチウムイオン二次電池の検査プログラム - Google Patents

リチウムイオン二次電池の検査方法及びリチウムイオン二次電池の検査プログラム Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の検査方法及びリチウムイオン二次電池の検査プログラムに関する。
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し高容量であることから、特に電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の駆動用電源として用いられている。この種のリチウムイオン二次電池の一般的な構成は、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極シートと負極集電体上に負極活物質層が形成された負極シートとが、セパレータを介して重ねられ、電解液ともにケースに収容されたものである。
リチウムイオン二次電池は、充電時において炭素系材料からなる負極にリチウムイオンを吸蔵し、放電時に負極からリチウムイオンを放出する。特にリチウムイオン二次電池を大電流や低温域で充電した場合には、負極に吸蔵しきれないリチウムが析出しやすい。リチウムが負極に析出すると、析出量によっては電池反応に寄与するリチウムイオンの量が減少するため容量低下を招く虞がある。
これに対し、負極活物質層に高抵抗の部位を設けることによりリチウムの析出を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、負極活物質層のうち正極活物質層に対向している対向部位について等間隔で測定した抵抗値の平均値が85Ω以下とし、且つ抵抗値の平均値に対する抵抗値の平均値と最大値との差の割合が0.27以上0.99以下との条件を満たすようにすることで、リチウムの析出を抑制する。
特開2017-33824号公報
しかし、発明者らの研究により、上記条件を満たしていなくてもリチウムが析出しない場合等があることが判明した。また、充放電を長期間繰り返したリチウムイオン二次電池を分解すればリチウムの析出の有無及び析出量について観察できるが、使用前のリチウムイオン二次電池についてリチウムの析出傾向を把握することができれば、例えばロットの合否判定やリチウムの析出の要因を早期に特定することが可能となる。そのため、使用前のリチウム二次電池におけるリチウムの析出傾向について判定する方法が求められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極におけるリチウムの析出傾向を早期且つ適切に判定することができるリチウムイオン二次電池の検査方法及び検査プログラムを提供することにある。
上記課題を解決するリチウムイオン二次電池の検査方法は、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極シート及び負極集電体上に負極活物質層が形成された負極シートがセパレータを介して重ねられた電極体と電解液とを備えたリチウムイオン二次電池の検査方法であって、前記負極活物質層を格子状に分割した領域の各々について抵抗値を測定する測定工程と、判定対象の前記領域の抵抗値Rから、当該領域に隣接する他の前記領域の抵抗値Rnを差し引いた値である抵抗差R-Rnを他の前記領域毎に算出し、前記領域の各々を順次判定対象として前記抵抗差R-Rnを算出する抵抗差算出工程と、判定対象の前記領域に隣接する複数の他の前記領域のうち、前記抵抗差R-Rnが所定値以上である他の前記領域の数である抵抗差領域数が所定数以上である場合に、判定対象の前記領域をリチウムの析出傾向が高い領域と判定し、前記領域の各々を順次判定対象としてリチウムの析出傾向を判定する判定工程と、を含む。
上記課題を解決するリチウムイオン二次電池の検査プログラムは、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極シート及び負極集電体上に負極活物質層が形成された負極シートがセパレータを介して重ねられた電極体と電解液とを備えたリチウムイオン二次電池の検査プログラムであって、コンピュータに、前記負極活物質層を格子状に分割した領域の各々について抵抗値を測定する測定工程と、判定対象の前記領域の抵抗値Rから、当該領域に隣接する他の前記領域の抵抗値Rnを差し引いた値である抵抗差R-Rnを他の前記領域毎に算出し、前記領域の各々を順次判定対象として前記抵抗差R-Rnを算出する抵抗差算出工程と、判定対象の前記領域に隣接する複数の他の前記領域のうち、前記抵抗差R-Rnが所定値以上である他の前記領域の数である抵抗差領域数が所定数以上である場合に、判定対象の前記領域をリチウムの析出傾向が高い領域と判定し、前記領域の各々を順次判定対象としてリチウムの析出傾向を判定する判定工程とを実行させる。
発明者らにより、負極活物質層のうち周囲に比べて局所的に抵抗値が高い部分には、正極及び負極の間を移動するリチウムイオンが集中してリチウムが析出しやすいことが見出された。上記各構成によれば、負極活物質層を複数に分割し、判定対象の領域とその領域に隣接する他の領域との抵抗差を算出し、抵抗差が所定値以上であるか否かを判定する。さらに、抵抗差が所定値以上となる他の領域の数である抵抗差領域数を求める。領域の間の抵抗差の有無のみを判定する場合にはリチウムが析出しにくい領域までもリチウムの析出傾向が高いと判定する可能性があるが、このように抵抗差領域数に基づき判定を行うことで、リチウムが析出しやすい領域を適切に判定することが可能となる。また、負極活物質層の全体について、抵抗差領域数が所定数以上である領域の分布を確認することにより、充放電を長期間繰り返したリチウムイオン二次電池を分解してリチウムが析出したか否かを観察しなくても、リチウムの析出傾向を早期に判定することができる。
上記リチウムイオン二次電池の検査方法について、前記判定工程では、判定対象の前記領域について求められた前記抵抗差領域数に応じてリチウムの析出傾向を段階的に判定してもよい。
上記構成によれば、抵抗差領域数に応じてリチウムの析出傾向が段階的に判定されるので、リチウムの析出傾向の度合いも含めた検出結果が得られる。
上記リチウムイオン二次電池の検査方法について、前記電極体及び前記電解液を有するリチウムイオン二次電池を充放電させ、充放電後の前記リチウムイオン二次電池の前記負極シートを取り出す分解工程をさらに含んでもよい。
上記構成によれば、抵抗値を測定する測定工程の前にリチウムイオン二次電池を充放電させるため、そのリチウムイオン二次電池の構成に応じた充電特性を加味して検査を行うことができる。
本発明によれば、負極におけるリチウムの析出傾向を早期且つ適切に判定することができる。
一実施形態のリチウムイオン二次電池の斜視図。 同実施形態のリチウムイオン二次電池の分解斜視図。 同実施形態の検査方法のフローチャート。 同実施形態の検査用の負極シートの平面図。 同実施形態の検査装置の模式図。 同実施形態の検査方法を説明する模式図であって、(a)は抵抗差算出工程、(b)は抵抗差領域数の特定工程を示す図。 同実施形態の検査方法を説明する模式図であって、(a)は各領域が低抵抗であって抵抗差領域数が「0」の図、(b)は各領域が高抵抗であって抵抗差領域数が「0」の図。 同実施形態の検査方法を説明する模式図であって、(a)は抵抗差領域数が「3」であってリチウムが析出する前の図、(b)はリチウムが析出する場合の図。 同実施形態の検査方法を説明する模式図であって、(a)は抵抗差領域数が「8」であってリチウムが析出する前の図、(b)はリチウムが析出する場合の図。 同実施形態の検査結果を示す負極シートの平面図。 同実施形態の検査方法のフローチャート。 同実施形態の検査結果を示す負極シートの平面図。
(第1実施形態)
図1~図10を参照して、リチウムイオン二次電池の検査方法及び検査プログラムの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池11は、開口部を有するケース本体12と、ケース本体12の開口部を封止する蓋部13とを備える。蓋部13には、充放電に用いられる正極外部端子14及び負極外部端子15が設けられている。ケース本体12及び蓋部13によって形成される収容空間には、電極体16及び電解液が収容されている。電極体16は、ケース本体12に収容された状態で一方の側部(図1中左側)に位置する端部である正極接続部17と、他方の側部(図1中右側)に位置する端部である負極接続部18を備える。正極接続部17は、接続部材171を介して正極外部端子14に接続され、負極接続部18は、接続部材181を介して負極外部端子15に電気的に接続される。
図2に示すように、電極体16は、正極シート20と負極シート30とをセパレータ40を介して積層し、その積層体を捲回したものである。捲回前の積層体は、正極シート20及び負極シート30の長手方向が一致するように、正極シート20、セパレータ40、負極シート30、セパレータ40の順に積層されている。正極シート20は、シート状の正極集電体21と、正極集電体21の両面に設けられた正極活物質層22とを備える。正極シート20の短手方向の一方の端部には、正極活物質層22が形成されずに正極集電体21が露出した未塗工部23が長手方向に沿って設けられている。未塗工部23の少なくとも一部はセパレータ40の外側に位置する。
負極シート30は、長尺状に形成され、シート状の負極集電体31と、負極集電体31の両面に設けられた負極活物質層32とを備える。負極シート30の短手方向の一方の端部には、負極活物質層32が形成されずに負極集電体31が露出した未塗工部33が設けられている。未塗工部33の少なくとも一部はセパレータ40の外側に位置する。
電極体16は、捲回体をその周面から押圧することによって扁平形状に成形されている。正極シート20の未塗工部23は互いに圧接されて正極接続部17となる。負極シート30の未塗工部33は互いに圧接され、負極接続部18となる。なお、電極体16の高さをLとする。
次に、正極の材料について説明する。正極集電体21には、アルミニウム箔等の金属箔が用いられる。正極合剤に含まれる正極活物質は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種類または複数種類を使用することができる。好適例として、層状系、スピネル系等のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO、LiFePO)が挙げられる。導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックやその他(グラファイト等)の粉末状カーボン材料が例示される。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、60質量%以上99%以下である。特に70質量%以上95質量%以下とすることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、2質量%以上20質量%以下である。特に3質量%以上10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、0.5質量%以上10質量%以下である。特に1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
正極集電体21の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の質量(目付量)は、正極集電体21の片面当たり3mg/cm以上とすると、充分な電池容量を確保することができる。特に5mg/cm以上が好ましく、10mg/cm以上がより好ましい。また、正極集電体21の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の質量(目付量)は、正極集電体21の片面当たり50mg/cm以下とすると、良好な入出力特性を確保することができる。特に40mg/cm以下が好ましく、20mg/cm以下がさらに好ましい。
次に、負極の材料について説明する。負極集電体31は、銅やニッケル等の金属箔から形成されている。負極合剤に含まれる負極活物質は、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種類または複数種類を使用することができる。例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。なかでも、導電性に優れ、高いエネルギー密度が得られることから、天然黒鉛や人造黒鉛等の黒鉛系材料(特には天然黒鉛)を好ましく用いることができる。
また、負極合剤は、負極活物質の他に、導電剤やバインダ等の添加剤を含んでもよい。バインダとしては、正極と同様のものを用いることができる。その他、増粘剤、分散剤、導電材等を適宜使用することもできる。例えば、増粘剤としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を用いることができる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、50質量%以上である。特に90質量%以上99質量%以下が好ましく、95質量%以上99質量%以下がより好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層32全体に占めるバインダの割合は、1質量%以上10質量%以下である。特に1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。増粘剤を使用する場合には、負極活物質層32全体に占める増粘剤の割合は1質量%以上10質量%である。特に1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
負極集電体31の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量(目付量)は、負極集電体31の片面当たり3mg/cm以上とすると、充分な電池容量を確保することができる。特に5mg/cm以上が好ましく、7mg/cm以上がさらに好ましい。また、負極集電体31の片面当たり30mg/cm以下とすると、良好な入出力特性を確保することができる。特に20mg/cm以下が好ましく、15mg/cm以下がさらに好ましい。
セパレータ40は、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂からなるシートである。また、セパレータ40の表面には絶縁層が設けられていてもよい。絶縁層としては、絶縁性を有する無機フィラー、絶縁性を有する樹脂等である。
電解液は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(例えば体積比3:4:3)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。
次に、リチウムイオン二次電池11の検査方法について説明する。この検査方法は、負極シート30のリチウムの析出傾向を調べるためのものである。検査は、出荷前のリチウムイオン二次電池11について、例えばロット毎に、検査に必要な数のリチウムイオン二次電池11を抜き取って行われる。また、検査の結果、負極シート30にリチウムの析出傾向が高い部分が存在する場合、当該部分の分布のパターンに基づき、検査対象のロットにおいてリチウムが析出する要因を早期に特定することが可能となる。また、検査の結果、負極シート30にリチウムの析出傾向が高い部分が無いか又は少ない場合は、抜き取り対象の対象となったロットを合格とし、負極シート30にリチウムの析出傾向が高い部分が多く存在する場合は、抜き取り対象の対象となったロットを不合格とする判定を行ってもよい。なお、リチウムの析出傾向が「高い」とは、電池特性に悪影響を及ぼす程度にリチウムが析出する可能性が高く、リチウムの析出傾向が「低い」とは電池特性に悪影響を及ぼす程度にリチウムが析出する可能性が低いことを示す。
図3に示すように、検査方法は、リチウムイオン二次電池11を分解する分解工程(ステップS1)、負極活物質層32に含まれる複数の領域について抵抗値を測定する測定工程(ステップS2)、領域の抵抗値の差を算出する抵抗差算出工程(ステップS3)、抵抗差に基づいてリチウムの析出傾向が高い部分を判定する判定工程(ステップS4)を含む。以下、各工程について詳述する。
<分解工程>
分解工程では、リチウムイオン二次電池11をSOC(State of Charge;充電状態)100%まで充電した後、SOC20%まで放電させる。これを1サイクル以上繰り返した後、リチウムイオン二次電池11を解体して、電極体16を取り出す。さらに、電極体16から負極シート30を取り出す。さらに負極シート30を、適当な溶媒(例えばエチルメチルカーボネート(EMC))で洗浄する。なお、充放電のSOCは特に限定されるものではない。
図4に示すように、本実施形態では、長尺状の負極シート30を所定の長さに切断する。本実施形態では、電極体16の高さL(図1参照)毎に負極シート30を切断し、検査用の負極シート30Aを作製する。
<測定工程>
測定工程では、負極シート30Aの一方の側面の負極活物質層32について、幅方向、及び幅方向に直交する高さ方向に沿って等間隔で抵抗値を測定する。測定点の各々は、仮想的に負極活物質層32を格子状に分割した領域35に対応する。本実施形態では、領域35は正方形であって、領域群の端に位置する領域35を除いて、一つの領域35に8つの領域が隣接している。一方の側面の負極活物質層32について抵抗値の測定を終了した後、他方の側面の負極活物質層32についても抵抗値の測定を行う。
リチウムイオン二次電池11によっては、負極シート30の短手方向の長さである負極活物質層32の幅は、正極活物質層22の幅よりも少し長いことがある。このような構成では、負極活物質層32には、正極活物質層22に対向する領域と、正極活物質層22に対向しない領域とが存在する。この場合、図4に示すように正極活物質層22に対向しない両端の部分に対しては領域35を設定せず、正極活物質層22に対向する領域のみに領域35を設定して、抵抗値を測定するようにしてもよい。
負極シート30Aは電極体16の高さL毎に切断されたものであるため、負極シート30Aを作製する前の状態では、上端310は、ケース本体12に収容された電極体16の上端部に位置する。また、負極シート30Aの下端311は電極体16の下端部に位置する。さらに、負極シート30の一方の側端312は正極端子に接続する正極接続部17側に位置し、負極シート30の他方の側端313は負極端子に接続する負極接続部18側に位置する。このように負極シート30を高さL毎に切断すると、負極シート30Aにおける領域35の位置から、ケース本体12に収容された電極体16内における位置を判別することができる。
負極活物質層32が分割されることにより、負極シート30Aの上端310から下端311に向かう高さ方向には、複数の領域35から構成される行がN行形成され(Nは2以上の自然数)、一方の側端312から他方の側端313に向かう幅方向には、複数の領域35から構成される列がM列(Mは2以上の自然数)形成される。領域35の一辺の長さは特に限定されないが、0.5mm~2.0mmとすると、リチウムの析出傾向を適切に評価することができる。
図5に示すように、抵抗値の測定は、負極シート30Aの領域35の各々についてインピーダンスを測定する測定装置50を用いて行われる。測定装置50は、プローブ51と、抵抗成分測定部57と、計測処理を行う制御部58と、負極シート30Aを載置する載置部56とを備えている。プローブ51は、筒状のプローブ本体52と各領域35に接触する測定部55とを備えている。プローブ本体52には、電解液53と、電解液53中に配置され電極用リードを備えた対極54とを有している。対極54は、炭素材料、各種金属材料等を用いることができる。又は、未充電状態の負極活物質層32の材料を対極54としても用いることができる。また、電解液53は、リチウムイオン二次電池11の電解液と同じものを使用することができる。プローブ51は、制御部58からの信号に基づいて又は操作者の手動で垂直方向Zに昇降する。
抵抗成分測定部57は、領域35のインピーダンスを測定する。例えば、対極54と負極活物質層32の被測定点との間に、100kHz~0.5Hzに周波数を変えつつ交流信号(典型的には交流電流または交流電圧)を付与し、電圧/電流の応答信号からインピーダンスを測定する。この際、周波数の違いにより、複数のインピーダンスが得られる。複数のインピーダンスに基づいて、平面座標の横軸Xに複素インピーダンスの実部を、縦軸Yに複素インピーダンスの虚部をCole-Coleプロットし、該プロットにおいて低周波側で実軸(横軸X)と交わる交点の値から高周波側で実軸と交わる交点の値を差し引く(あるいはCole-Coleプロットの形状を適切に選択した等価回路と照らし合わせて(カーブフィッティングして)解析する)ことで、各成分の抵抗値を算出することができる。各成分とは、回路抵抗に対応する「領域A」、溶液抵抗に対応する「領域B」、被膜抵抗に起因する複素インピーダンスに対応する「被膜抵抗領域C」、反応抵抗に起因する複素インピーダンスに対応する「反応抵抗領域D」、及び略直線状の拡散抵抗に対応する「領域E」である。抵抗成分測定部57は、これらの成分のうち、リチウム析出傾向と最も相関が高い「反応抵抗領域D」の抵抗値を、制御部58に出力する。なお、被膜抵抗領域Cもリチウム析出と相関があるため用いることができる。
制御部58は、所定の情報に基づいて、プローブ51の調整や領域35の抵抗値の評価等を行う。例えば、載置部56を駆動することによる測定点の位置調整、プローブ51の駆動、抵抗値の測定結果に基づくリチウムの析出傾向に関する判定を行う。制御部58の構成には、少なくとも、かかる制御を行うためリチウムイオン二次電池の検査プログラム59や他のプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、入出力ポートとが含まれる。制御部58には、抵抗成分測定部57等からの信号(出力)が入力ポートを介して入力される。制御部58は、領域35の各々に対応付けて、領域35毎に測定した抵抗値を記録する。また、制御部58には、検査結果を出力する出力装置60が接続されている。出力装置60は、ディスプレイやプリンターである。また、制御部58からは抵抗成分測定部57や出力装置60等への駆動信号や出力データが出力ポートを介して出力される。
載置部56には、負極シート30Aと電解液53とが収容される。載置部56は、モータ等を有する駆動部により図5中X方向及びY方向に移動する。制御部58は、載置部56及びプローブ51を駆動して、プローブ51の測定部55を、領域35に順番に接触させる。制御部58は、一つの領域35について測定が終了すると、プローブ51及び載置部56を駆動して、プローブ51を次の領域35に移動させて抵抗値を測定する。そして、全ての領域35について抵抗値を測定し、領域35の各々に対応付けて抵抗値を記録する。
<抵抗差算出工程>
図6を参照して、抵抗差算出工程について説明する。抵抗差算出工程は、抵抗差の算出対象の領域35を囲む他の領域35との抵抗差を算出する工程と、抵抗差が所定値以上となる他の領域の数を求める工程とを含む。これらの工程は、制御部58が実行する。
図6(a)は、負極シート30Aのうち9つの領域35を抜き出した部分を示すものであり、各領域35に記された数値は、抵抗成分測定部57により測定された領域35の抵抗値(Ω)を示している。なお、抵抗値は実際に測定された値ではない数値とは異なる。以下、抵抗差を算出する対象を、中央の領域350として説明する。制御部58は、領域350の抵抗値Rから、領域350を囲む他の8つの他の領域35の抵抗値Rn(n=1,2,…8)を差し引いた抵抗差R-Rnを算出する。例えば、「Lk」番目の行で且つ「Rk」番目の列の領域350の抵抗値R(例えば22Ω)から、「Lk-1」番目の行で且つ「Rk-1」番目の列の他の領域35との抵抗値R1(例えば17Ω)を差し引いた抵抗差R-R1は、「5Ω」となる。制御部58は、領域350に隣接する8つの他の領域35毎に抵抗差R-Rn(R-R1,R-R2…,R-R8)を算出する。
図6(b)に示すように、制御部58は、抵抗差R-Rnが「0」よりも大きい所定値以上となる他の領域35の数(以下、抵抗差領域数という)を特定する。例えば、所定値を「2Ω」とするとき、領域350の抵抗差領域数は、「4」である。算出対象の領域350よりも高い抵抗値が測定された他の領域35については、抵抗差R-Rnが所定値以上の領域35には該当しない。制御部58は、一つの領域350について抵抗差領域数を算出すると、次の領域35を算出対象の領域350として、その領域350を囲む8つの領域35との間で抵抗差領域数を算出する。なお、領域群の端に存在する領域35は、隣接する他の領域35が5つであるため、抵抗差領域数は「5」以下である。
<判定工程>
次に、判定工程について説明する。判定工程では、抵抗差領域数が所定数以上である領域35について、リチウムの析出傾向が高い領域であると判定する。また、抵抗差領域数が所定数未満である領域35について、リチウムの析出傾向が低い領域であると判定する。所定値は特に限定されないが、例えば「3」である。
図7~図9を参照して、抵抗差領域数が高い場合にリチウムの析出傾向が高いと判定する理由について詳述する。なお、図7~図9は、負極シート30の一部を示す。また、抵抗値が高い領域35を斜線有りで表し抵抗値が低い領域を斜線無しで表している。また図7中の矢印で表される方向100は、充電時にリチウムイオンが流れる方向を示す。
図7(a)は9つの領域35の抵抗値が全て低く、抵抗差領域が「0」の場合を示す。このような場合には、リチウムが析出する初期段階で形成されるリチウム核が殆ど発生しない。また、リチウムイオンは、正極シート20から図示しないセパレータを通過して負極シート30に向かって偏りなく均一に移動する。この場合には、リチウムの析出が無く、リチウムの析出傾向が低い。
図7(b)は、9つの領域35の全ての抵抗値が高いが、抵抗差領域が「0」である場合を示す。抵抗値が高くなると、充電過程において領域35の電位がリチウムの析出電位に達しやすくなる。領域35の電位がリチウムの析出電位に達した場合には、まず微小なリチウムの析出物であるリチウム核101が析出する。リチウム核101がいったん生成されると、その表面にリチウムイオンが集まってリチウムが析出しやすくなるが、各領域35に同様にリチウム核101が生成された場合には、リチウムイオンは負極シート30に向かって偏りなく均一に移動する。この場合には、リチウム核101が成長しない。リチウム核101は電池特性に殆ど悪影響を及ぼさないため、リチウム核101のみが生成されて成長しない場合にはリチウムの析出はないものとし、リチウムの析出傾向が小さいと判定する。
図8(a)は、抵抗値が高い領域35が局所的且つ線状に存在する場合を示す。この場合、抵抗値が高い領域35にのみリチウム核101が発生する。
図8(b)に示すように、抵抗値が高い領域35が局所的に存在する場合、リチウム核101の発生後における充電により、正極シート20から抵抗の低い領域35に向かうべきリチウムイオンが、リチウム核101に集中する。つまり、抵抗差領域数が多いほど、多くのリチウムイオンが、その領域35に発生したリチウム核101に集中することとなる。9つの領域35のうち中央の領域35の抵抗差領域数は例えば「3」となる。所定数が「3」である場合は、この領域35について、リチウムの析出傾向が高いと判定する。しかし、図8(b)に示すように抵抗値が高い領域35が連続して線状をなす場合、高抵抗の領域35同士の抵抗差が小さくなりやすい。このため、抵抗差領域数は、最大値の「8」にはなりにくく、あまり大きくならない。
図9(a)は、抵抗値が高い領域35が局所的且つ点状に存在する場合を示す。図9(a)に示す9つの領域のうち中央の領域35は、抵抗差領域数が最大の「8」となる。この領域における電位がリチウムの析出電位に達した場合には、リチウム核101が析出する。なお、抵抗値が高い領域35が点状に存在する場合とは、図9(a)のように一つの高抵抗の領域35が8つの低抵抗の領域35に囲まれている場合のほかに、複数の高抵抗の領域35からなる領域群(例えば4領域)が、低抵抗の複数の領域35(例えば12領域)に囲まれている場合も含む。
図9(b)に示すように、特に抵抗差領域数が大きい場合には、リチウム核101の発生後の充電により、抵抗の低い周囲の領域35に向かうべきリチウムイオンが、点状に存在する高抵抗の領域35のリチウム核101に集中し、リチウム核101が大きく成長する。この場合、この領域35について、リチウムの析出傾向が高いと判定する。
図10は、判定工程の結果、得られたマップの一例を模式的に示すものである。このマップは、制御部58によって出力装置60に出力される。マップのうち、少なくとも一部が細い破線で区画される領域35は、抵抗差領域数が所定数未満の領域であり、太い破線で囲まれた領域351は抵抗差領域数が所定数以上の領域である。マップでは、領域351と、領域351以外の領域35とを識別可能に表示できればよい。このマップから、抵抗差領域数が所定数以上の領域35の分布を確認することができる。例えば抵抗差領域数が所定数以上の領域351が負極シート30の中央に集中している場合には、中央部分に浸透する電解液の量は他の部分の電解液の量に比べて少なくなる傾向があることから、リチウムの析出が電解液の不足によるものと推定することができる。
第1実施形態の効果について説明する。
(1)発明者らにより、負極活物質層32のうち周囲に比べて局所的に抵抗値が高い部分には、正極及び負極の間を移動するリチウムイオンが集中してリチウムが析出しやすいことが見出された。上記実施形態によれば、負極活物質層32を複数に分割し、対象とする領域35とその領域に隣接する他の領域35との抵抗差を算出し、抵抗差が所定値以上であるか否かを判定する。さらに、抵抗差が所定値以上となる他の領域35の数である抵抗差領域数を求める。領域35の間の抵抗差の有無のみを判定する場合にはリチウムが析出しにくい領域35までもリチウムの析出傾向が高いと判定する可能性があるが、このように抵抗差領域数に基づき判定を行うことで、リチウムが析出しやすい領域35を適切に判定することが可能となる。また、負極活物質層32の全体について、抵抗差領域数が所定数以上である領域の分布を確認することにより、充放電を長期間繰り返したリチウムイオン二次電池を分解してリチウムが析出したか否かを観察しなくても、リチウムの析出傾向を早期に判定することができる。
(2)リチウムの析出は、充電時に正極から負極に移動するリチウムイオンの移動により発生する。上記実施形態によれば、抵抗値を測定する測定工程の前にリチウムイオン二次電池11を充放電させるため、そのリチウムイオン二次電池11の構成に応じた充電特性を加味して検査を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の判定工程においてリチウムの析出傾向を段階的に判定する点で第1実施形態と異なる。以下、主に第1実施形態と相違する構成について詳細に説明することとし、説明の便宜上、同様の構成については詳細な説明を割愛する。
本実施形態では、抵抗差領域数に複数の閾値を設け、閾値に基づいてリチウムの析出傾向を段階的に判定する。つまり、一つの閾値を設定する場合には、閾値を過度に低く設定すると、実際にはリチウムが析出しにくい領域35や、微量のリチウムが析出するものの電池特性に悪影響を及ぼす析出量には到達しない領域35も析出傾向が高い領域として判定されてしまう可能性がある。また、閾値を過度に高く設定すると、リチウムが析出しやすい領域35も析出傾向が低い領域として判定されてしまうことがある。このため、リチウムの析出傾向を段階的に判定することにより、リチウムが析出する蓋然性又は度合いも含めた検出結果を得ることができる。
図11に示すように、判定工程において、制御部58は、判定対象の領域35の抵抗差領域数が最大値の「8」であるか否かを判断し(ステップS10)、抵抗差領域数が「8」である場合には(ステップS10:YES)、リチウムの析出傾向が高く、且つ一領域35あたりの析出量が大きくなると判定する(ステップS11)。
また、制御部58は、抵抗差領域数が「8」ではないと判断すると(ステップS10:NO)、抵抗差領域数が「4以上7以下」であるか否かを判定する(ステップS12)。抵抗差領域数が「4以上7以下」であると判断すると(ステップS12:YES)、リチウムの析出傾向が高く且つ一領域35あたりの析出量が中程度になると判定する(ステップS11)。
また、制御部58は、抵抗差領域数が「4」未満であると判断すると(ステップS12:NO)、抵抗差領域数が「1以上3以下」であるか否かを判断し(ステップS14)、抵抗差領域数が「1以上3以下」であると判断すると(ステップS14:YES)、リチウムの析出傾向が高く且つ析出量が小さくなると判定する(ステップS15)。さらに制御部58は、抵抗差領域数が無いと判断すると(ステップS14:NO)、リチウムの析出は無いと判定する(ステップS16)。
図12は、判定工程の結果、得られたマップを模式的に示すものである。図12に示すマップは、析出量が「大」と判定された領域352、析出量が「中」と判定された領域353、析出量が「小」と判定された領域354を含む。領域352~354は、色や模様等を異ならせて識別可能に表示されればよい。これにより、リチウムの析出傾向の度合いも含めて表すことができるため、リチウムの析出傾向をより的確に把握することができる。
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)及び(2)に記載の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(3)抵抗差領域数に応じてリチウムの析出傾向が段階的に判定されるので、リチウムの析出傾向の蓋然性や度合いも含めた検出結果が得られる。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、測定装置50は一つの領域35内の一点を測定するようにした。これに代えて、一つの領域35の異なる複数の位置について抵抗値を測定するようにしてもよい。そして、これらの抵抗値の平均等を領域35の抵抗値としてもよい。
・上記各実施形態では、測定工程において、プローブ51を備えた測定装置50を用いたが、領域35の抵抗値が測定できればよく、これ以外の構成の測定装置を用いてもよい。
・上記各実施形態では、分解工程において、長尺状の負極シート30を所定の長さに切断したが、切断しなくても抵抗値の測定が可能である場合には、負極シート30を所定の長さに区切るのみであってもよい。また、各領域35に対し個別に番号が付されている場合には、その番号から、その領域35が電極体16のいずれに位置するのかを判別可能にしておけば負極シート30を区切らなくてもよい。
・上記各実施形態では、負極シート30Aの負極活物質層32、正方形状の領域35に分割した。これに代えて、領域35は、長方形等の正方形を除く矩形状、円形状であってもよい。さらに、領域35は、図4に示すように互いに密接していなくても、隣り合う領域35の間に、隙間を設けて配置してもよい。なお、領域35が格子状に配置されたパターンは、複数の領域35からなる行と複数の領域35からなる列とが、それぞれ複数配置されたものであって、上記したような隣り合う領域35の間に隙間を設けたものを含む。
・第2実施形態では、リチウムの析出傾向が高い場合において、抵抗差領域数が「8」のものを「析出量(大)」、抵抗差領域数が「4~7」のものを「析出量(中)」、抵抗差領域数が「1~3」のものを「析出量(小)」、抵抗領域数が「0」のものを「析出なし」と判定した。抵抗差領域数の範囲は上記の範囲に限られない。また、リチウムの析出傾向を、4段階に限られず、3段階で判定してもよく、5段階以上で判定してもよい。
・上記各実施形態では、抵抗差R-Rnが「0」よりも大きい所定値以上となる領域35の数を抵抗差領域数とした。これに代えて、抵抗差領域数を判定するための抵抗差R-Rnの所定値を複数設けるようにしてもよい。例えば、第1所定値と、第1所定値よりも大きい第2所定値を設けるようにしてもよい。抵抗差領域数を特定する場合は、第1所定値以上第2所定値未満の抵抗差R-Rnがある領域35の数(第1抵抗差領域数)と、第2所定値以上の抵抗差R-Rnがある領域35の数(第2抵抗差領域数)とを特定する。さらに、第1抵抗差領域数及び第2抵抗差領域数に基づき、リチウム析出傾向を判定する。具体的には、第1抵抗差領域数及び第2抵抗差領域数を重み付けして、判定対象の領域35の抵抗差領域数を特定してもよい。又は、第1抵抗差領域数を用いたリチウム析出傾向の評価と、第2抵抗差領域数を用いたリチウム析出傾向の評価とを個別に行ってもよい。
・上記各実施形態では、測定工程、抵抗差算出工程、判定工程を制御部58が行うようにしたが、その少なくとも一部を作業者が行うようにしてもよい。例えば、測定工程において、手動でプローブ51や載置部56の位置を調整してもよい。抵抗差算出工程において、抵抗差や抵抗差領域数を作業者が算出するようにしてもよい。また、判定工程において、抵抗差領域数が所定数以上であるか否かを作業者が判定するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、抵抗差算出工程で全ての領域35について抵抗差領域数を求めてから判定工程を行った。これに代えて、一つの領域35について抵抗差算出工程及び判定工程を連続して行ってから、次の領域35について抵抗差算出工程及び判定工程を連続して行ってもよい。検査方法は、各工程をどのような順番で行うかについては特に限定されない。
・上記各実施形態では、抵抗差領域数によりリチウムの析出傾向を判定した。これに加え、所定の成分の抵抗値(インピーダンス)やその平均値が許容範囲内にあるか否かを検査項目として加えてもよい。
・上記各実施形態では、リチウムイオン二次電池11を、捲回型の電極体16を備え、正極接続部17及び負極接続部18を電極体16の側端に有する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、複数の正極シート20及び複数の負極シート30を、セパレータ40を介して交互に積層した電極体16を用いてもよい。また、正極接続部17及び負極接続部18を、電極体16の上端部に設けてもよい。
・リチウムイオン二次電池11は、車両以外の移動体(船舶、航空機等)に用いられてもよく、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話等の移動体以外の各種の装置に用いられるものであってもよい。
11…リチウムイオン二次電池
16…電極体
20…正極シート
21…正極集電体
22…正極活物質層
23,33…未塗工部
30,30A…負極シート
31…負極集電体
32…負極活物質層
35…領域
40…セパレータ
50…測定装置

Claims (4)

  1. 正極集電体上に正極活物質層が形成された正極シート及び負極集電体上に負極活物質層が形成された負極シートがセパレータを介して重ねられた電極体と電解液とを備えたリチウムイオン二次電池の検査方法であって、
    前記負極活物質層を格子状に分割した領域の各々について抵抗値を測定する測定工程と、
    判定対象の前記領域の抵抗値Rから、当該領域に隣接する他の前記領域の抵抗値Rnを差し引いた値である抵抗差R-Rnを他の前記領域毎に算出し、前記領域の各々を順次判定対象として前記抵抗差R-Rnを算出する抵抗差算出工程と、
    判定対象の前記領域に隣接する複数の他の前記領域のうち、前記抵抗差R-Rnが所定値以上である他の前記領域の数である抵抗差領域数が所定数以上である場合に、判定対象の前記領域をリチウムの析出傾向が高い領域と判定し、前記領域の各々を順次判定対象としてリチウムの析出傾向を判定する判定工程と、を含む
    リチウムイオン二次電池の検査方法。
  2. 前記判定工程では、判定対象の前記領域について求められた前記抵抗差領域数に応じてリチウムの析出傾向を段階的に判定する
    請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の検査方法。
  3. 前記電極体及び前記電解液を有するリチウムイオン二次電池を充放電させ、充放電後の前記リチウムイオン二次電池の前記負極シートを取り出す分解工程をさらに含む
    請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池の検査方法。
  4. 正極集電体上に正極活物質層が形成された正極シート及び負極集電体上に負極活物質層が形成された負極シートがセパレータを介して重ねられた電極体と電解液とを備えたリチウムイオン二次電池の検査プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記負極活物質層を格子状に分割した領域の各々について抵抗値を測定する測定工程と、
    判定対象の前記領域の抵抗値Rから、当該領域に隣接する他の前記領域の抵抗値Rnを差し引いた値である抵抗差R-Rnを他の前記領域毎に算出し、前記領域の各々を順次判定対象として前記抵抗差R-Rnを算出する抵抗差算出工程と、
    判定対象の前記領域に隣接する複数の他の前記領域のうち、前記抵抗差R-Rnが所定値以上である他の前記領域の数である抵抗差領域数が所定数以上である場合に、判定対象の前記領域をリチウムの析出傾向が高い領域と判定し、前記領域の各々を順次判定対象としてリチウムの析出傾向を判定する判定工程とを実行させる
    リチウムイオン二次電池の検査プログラム。
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