JP7018374B2 - 電極板検査装置及び電極板検査方法 - Google Patents
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Description
また、こうした課題は、二次電池のみならず、一次電池を含む電池において同様である。
このような構成によれば、測定窓の開口している面積が変更しやすい。測定が容易になる。
好ましい構成として、前記充電を行った後に放電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記充電を行う前と前記放電を行った後とで同じ電圧になるように、又は、前記放電を行った後に充電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記放電を行う前と前記充電を行った後とで同じ電圧になるように、前記充電する電気量及び前記放電する電気量をそれぞれ調整する。
このような構成によれば、プローブの開口径を活物質粒子の粒子径レベルまで小さくすることで、活物質粒子の1粒子における挙動、すなわち活物質そのものにおける過渡的な特性による電気化学現象を測定することができるようになる。
このような構成によれば、直流電流を矩形波とすることで電極板の充電電気量の変化を算出するのが容易である。
このような構成によれば、電池状態を、過渡状態特有成分と電極板の劣化を測定することができる判定閾値とを比較することで判定することができる。
図1~図10に従って、電極板検査装置及び電極板検査方法の第1の実施形態を説明する。
図1を参照して、二次電池の電極板100について説明する。
電極板100は、集電体上に電極活物質層102が形成されている正極板又は負極板である。電極板100は、端部において電極活物質層102が設けられておらず(あるいは除去されて)、集電体104が露出するように形成されている。以下に正極板及び負極板についてそれぞれ説明する。
正極は、正極集電体と該正極集電体上に形成された正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。このような正極は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を、シート状の正極集電体に付与し、該組成物を乾燥させることにより作製することができる。正極集電体には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が使用される。また、溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いることができる。
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能である各種の材料の一種または二種以上を使用することができる。例えば、リチウムと少なくとも一種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物、ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物等を用いることができる。
導電材としては、炭素材料を用いることができる。具体的には、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも、比較的粒径が小さく比表面積が大きいカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)を用いることが好ましい。
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC、例えばナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等を採用することができる。
負極は、負極集電体と該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層とを備えている。このような負極は、負極活物質と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用の分散液)をシート状の負極集電体に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層(負極活物質層)を形成することにより作製することができる。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が用いられる。また上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を使用することができる。例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLi4Ti5O12、LiTi2O4、Li2Ti3O7)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料、窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料、スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料等を用いることができる。
図1に示すように、電極板検査装置20は、電極板100の測定点Tgに当てられるプローブ11と、測定点TgのインピーダンスやDC-IRを測定する測定部としての抵抗成分測定部13と、計測処理を制御する制御部14と、電極板100を載置する載置部12とを備えている。
プローブ11は、プローブ本体112と、筒状のプローブ本体112に連なる測定部118とを有している。プローブ本体112は、筒状の容器であり、筒内に所定の電解液116と、該電解液中に配置され電極用リードを備えた対極114とを有している。プローブ11は、プローブ本体112の上端に設けられた開口部から対極114をプローブ本体112の内部に収容した後、電解液116を注入することによって作製される。プローブ本体112は上端が解放された円筒形状であり、下端には電解液116を介して検査対象(電極活物質層102)の一部に作用する測定部118を有している。測定部118は、電解液116に浸けた先端の開口面積を可変とすることのできる測定窓を有している。なお、プローブ本体112の上端(開口部)は、蓋体等で覆うこともできる。そして、プローブ11は、制御部14からの信号に基づいて垂直方向Zに昇降移動し、載置部12上に設置された検査対象(電極活物質層102の一部)と電気的に接続可能なよう構成されている。つまり、プローブ11は、垂直方向Zに移動させる図示しない駆動モータにより移動される。
対極114としては、インピーダンスの測定時に入力する電圧(または電流)の領域内において、使用する電解液中で安定なものであれば、炭素材料、各種金属材料等を用いることができる。検査対象の抵抗が比較的低い場合や、反応抵抗をより精密に分離・測定したい場合、対極114として電気抵抗率(比抵抗)が低く、測定雰囲気中(電解液中)で安定性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、検査対象として上述した正極や負極の活物質層形成用材料を対極としても用いることができる。正極や負極からなる対極114を用いることで対極由来の抵抗を低減させられる。したがって検査対象たる電極活物質層102の抵抗を一層精度よく測定することができる。また正極や負極は、比較的高い電圧(例えば100mV~1000mV)を入力した場合であっても電解液中で安定なため、表面状態の変化やそれに伴う測定誤差や測定値のバラつき等が生じ難い。
電解液116としては、典型的には非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩を含むものが用いられる。非水溶媒としては、例えばリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒の一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。例えば、ECとDMCとEMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒を用いることができる。
測定部118は、プローブ本体112から連なっており、電解液116を介してプローブ中の対極114と電極活物質層102の測定点Tgとを電気的に接続させる。測定部118(電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部)の作用面積(断面積)は、小さいほど対極由来の抵抗成分の影響を抑制し得る。一方であまりに小さすぎる場合は、測定点Tgの電極活物質層102の状態により、得られる結果がバラつくおそれがある。このため、測定部118の作用面積は例えば、0.01cm2~0.1cm2(特に0.02cm2~0.05cm2)とすることが好ましく、ここでは約0.03cm2である。測定部118の形状は特に限定されないが、円形状が好ましい。円形状である場合、測定部118(電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部)の直径は、例えばΦ1mm~Φ10mm(好ましくはΦ2mm~Φ5mm)であり、ここでは約Φ2mmである。なお、本実施形態では、電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部が測定窓であり、その作用面積(断面積)が測定窓の面積である。
載置部12は、検査対象としての電極板100を載置する電極板保持部としての載置台108と、該電極板100を固定するための治具(例えばクランプ)とを備えている。そして、制御部14からの信号に基づいて、図示しない駆動モータによって水平方向(図1の方向X及び方向Yの矢印の方向)に移動可能なように構成されている。本実施形態では、移動部は、方向X及び方向Yに載置部12を移動させる駆動モータと、垂直方向Zにプローブ11を移動させる駆動モータとで構成される。
抵抗成分測定部13は、プローブ11中の対極114と電極活物質層102の測定点Tgとを電気的に接続する。抵抗成分測定部13は、インピーダンスの測定方法は、例えばリサージュ法、交流ブリッジ法等のアナログ方式や、デジタル・フーリエ積分法、ノイズ印加による高速フーリエ変換法等のデジタル方式を採用することができる。例えば、抵抗成分測定部13として、電流と電圧を制御し得るポテンショ/ガルバノスタット(PS/GS:potentiostat/galvanostat)と、正弦波発振回路を内蔵した周波数応答アナライザ(FRA:Frequency Response Analyzer)とを組み合わせて用いることができる。そして、制御部14からの信号に基づいて、電気的に接続したプローブ11と測定点Tgとの間に交流電流または交流電圧を入力して、インピーダンスを測定する。また、得られたインピーダンスの測定結果は、抵抗成分測定部13の出力として制御部14に送られる。
図6に示すように、抵抗成分測定部13は、充電された状態の電極板100の測定点Tgに対して「10A」の電流で5秒間放電し、この放電終了から5秒経過時の同測定点Tgの電圧を計測する。次に、10分間の休止後、同測定点Tgを「10A」の電流により5秒間充電し、この充電終了から5秒経過時の同測定点Tgの電圧を計測する。そして各電流値と各々計測された電圧値とに基づきリチウムイオン二次電池の電極板100の測定点TgのDC-IR値を算出する。
制御部14は、所定の情報に基づいてインピーダンスの計測やプローブ11の調整等を制御する。例えば、載置部12に設置された検査対象の測定点Tgの位置調整、プローブ11の駆動、インピーダンス測定、DC-IR測定等の制御、計測されたインピーダンスに基づく測定点Tgの抵抗算出等を行う。制御部14の構成には、少なくとも、かかる制御を行うためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、入出力ポートとが含まれる。制御部14には、プローブ11や抵抗成分測定部13等からの信号(出力)が入力ポートを介して入力される。また、制御部14からはプローブ11や抵抗成分測定部13等への駆動信号が出力ポートを介して出力される。
電気的特性の良否判定処理は、初期値設定工程(図3のステップS11)と、移動工程(図3のステップS12)と、インピーダンス測定工程(図3のステップS13)と、DC-IR測定工程(図3のステップS14)と、次の測定点Tgがあるか否かの判定(図3のステップS16)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、電極板100の良否判定工程(図3のステップS17)と、電極板マップ作成工程(図3のステップS18)とを備えている。
初期設定では、当該測定点Tgに対するインピーダンス測定における測定周波数領域や周波数間隔、測定時間、振幅等が設定される。
充電(図5のステップS34)では、測定点Tgが設定された電圧で設定された電気量だけ充電され、充電時のDC-IRが測定される。
図7~9を参照して、測定窓の面積を「小」、「中」、「大」に変更して、測定窓の大きさ毎に測定点TgのDC-IRを測定することについて説明する。
また、DC-IR測定によって取得することができる情報に、電極板100の水平方向の情報がある。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1-3)異なる測定点Tgの直流電流(DC-IR)を比較することによって電極板100の各測定点Tgにおける電流に関する状態を判定することができる。つまり、電極板100において電流に対する特性の良否の分布を判定することができるようになる。
(1-7)二次電池の特性モデルにフィッティングするので、電極板100に対して取得されたインピーダンスの分布に基づく電池モデルと、測定結果とを対比することができる。また、このような対比結果に基づいて電極板100の劣化状態を判定することができる。
図11~図24に従って、電極板検査装置及び電極板検査方法の第2の実施形態を説明する。
電極板検査装置を構成する制御部30について説明する。制御部30は、第1の実施形態に記載する制御部14の機能を有している。すなわち、プローブ11は、制御部30からの信号に基づいて垂直方向Zに昇降移動し、載置部12上に設置された検査対象(電極活物質層102の一部)と電気的に接続可能に構成されている。また、載置部12は、制御部30からの信号に基づいて、図示しない駆動モータによって水平方向(図1の方向X及び方向Yの矢印の方向)に移動可能に構成されている。
(抵抗成分測定部13)
抵抗成分測定部13は、充電や放電によって電極板100の全体、又は測定点Tg等の一部の充電状態(SOC:State of Charge)を調整する。SOCは、電極板100の総容量に対する充電電気量の割合[%]であることから「充電電気量=電極板の総容量×SOC」の関係を有する。以下では、説明の便宜上、充電電気量とSOCとの両方を用いて説明する。
制御部30は、電極板100の過渡状態特有成分を測定するための算出処理を行う処理部40と、電極板100の過渡状態特有成分の測定に用いられるデータを保持する記憶部50とを備える。
記憶部50は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、各種データを保持する。本実施形態では、記憶部50は、過渡状態特有成分を測定するために必要とされるパラメータ51と電極板状態の判定を行うための判定用データ52とを保持している。判定用データ52としては、予め実験や経験、理論的に定められた電極板100の良否を過渡状態特有成分に基づいて判定する判定閾値(例えば図24参照)等が設定されている。
処理部40は、第1の実施形態の制御部14と同様であり、CPUやROM、RAM等で構成されたマイクロコンピュータを含んで構成される。処理部40は、制御部30が取得した電圧、電流、測定周波数、インピーダンス等の情報を利用することができる。また、処理部40は、記憶部50と接続されており、記憶部50との間でデータの授受が可能である。処理部40は、例えばROMやRAMに保持された各種プログラムをCPUで実行することにより処理部40における各種処理を実行する。
過渡状態インピーダンス測定部43は、電極板100が過渡状態である間に測定周波数で繰り返し測定されたインピーダンスである過渡状態インピーダンスを測定する処理(過渡状態インピーダンス測定工程)を行う。過渡状態インピーダンス測定部43は、電極板100が過渡状態となるように抵抗成分測定部13に直流電流の充放電を指示するとともに、測定用の交流電流の供給や停止を指示する。過渡状態インピーダンス測定部43は、測定の開始から終了までの間に測定されたインピーダンスZを抵抗成分測定部13から取得する。
(電極板状態判定処理)
次に、制御部30において、過渡状態特有成分の測定に基づいて行われる電極板状態判定処理の手順を説明する。
電気的特性の良否判定処理は、初期値設定工程(図12のステップS11)と、移動工程(図12のステップS12)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、平衡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13A)と、過渡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13B)と、次の測定点Tgがあるか否かの判定(図12のステップS16)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、電極板100の電気的特性の良否を判定する状態判定工程(図12のステップS171)と、電極板マップ作成工程(図12のステップS18)とを備えている。
(平衡状態インピーダンス取得工程)
図13に示すように、制御部30は、平衡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13A)が開始されると、SOC調節部41で、電極板100のSOCを取得し、電極板100の全体のSOCを、測定用のSOCに調整するSOC調整工程(図13のステップS120)を行う。制御部30は、電極板100の全体のSOCが測定用のSOCに調整されると、平衡状態インピーダンス測定工程(図13のステップS121)で平衡状態インピーダンスの測定を行う。制御部30は、平衡状態インピーダンスの測定では、特定のSOCに調節された電極板100に平衡状態インピーダンス測定用の交流電流を印加させて、応答電圧を取得する。このとき印加される交流電流は、図14(a)のグラフL11に示す交流電流であり、応答電圧は、図14(b)のグラフL12に示す電圧として得られる。なお、交流電流を印加するとき、充放電用の直流電流は印加しない。
次に、制御部30は、過渡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13B)を開始する。
詳述すると、制御部30は、ナイキスト線図の作成処理では、ナイキスト線図作成工程(二次元)(図16のステップS133)と、時間軸を追加するナイキスト線図作成工程(時間軸追加)(図16のステップS134)と、時間軸をSOC軸に変換するナイキスト線図作成工程(SOC軸変換)(図16のステップS135)とを実行する。また、制御部30は、平衡状態インピーダンスを測定したSOCのうちから特定のSOCを選択し、選択した特定のSOCに対応するインピーダンス曲線を推定するナイキスト線図作成工程(同一SOC推定)(図16のステップS136)を実行する。
次に、図12に示すように、電極板100の電極板状態を判定する状態判定工程(図12のステップS171)が開始される。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(2-1)電極板100の測定点Tgが過渡状態であることに起因する電極板状態を示す過渡状態特有成分を、過渡状態のインピーダンスと平衡状態のインピーダンスとに基づいて算出することができるとともに、測定後の測定点Tgを測定前の充電状態に戻すことができる。元に戻すことによって他の測定点Tgの過渡状態特有成分も適切に測定することができることになり、電極板100の全体について過渡状態特有成分の分布を得ることができる。よって、インピーダンス測定に基づいて二次電池の電極板100の過渡状態における電極板状態を測定することができる。なお、過渡状態特有成分の測定は、充電時に行ってもよいし、放電時に行ってもよい。
(2-4)電池状態を、過渡状態特有成分と電極板100の劣化を測定することができる判定閾値とを比較することで判定することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第2の実施形態では、平衡状態インピーダンスを測定してから、過渡状態インピーダンスを測定する場合について例示したが、これに限らず、過渡状態インピーダンスを測定してから平衡状態インピーダンスを測定してもよいし、過渡状態インピーダンスと平衡状態インピーダンスとを交互に測定してもよい。
Claims (16)
- 二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、
前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、
前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、
前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備え、
前記移動部は、前記プローブを順次異なる測定点に移動させ、
前記測定部は、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻すものである
電極板検査装置。 - 前記測定部は、異なる前記測定点の直流電流をそれぞれ取得し、
異なる前記測定点の間で取得した前記直流電流を比較することによって前記電極板の電流に関する状態を判定する判定部をさらに備える
請求項1に記載の電極板検査装置。 - 前記プローブは、前記測定窓の開口する面積を複数の面積のうちから選択可能であり、
前記測定部は、前記測定点における前記内部抵抗値の測定を、前記測定窓の開口している面積毎に行う
請求項1又は2に記載の電極板検査装置。 - 前記プローブは、前記測定窓の開口している面積を可変とする
請求項1~3のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記充電を行った後に放電を行うとき、前記測定点に印加する充電電圧及び放電電圧を相違させる、又は、前記放電を行った後に充電を行うとき、前記測定点に印加する放電電圧及び充電電圧を相違させる
請求項1~4のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記充電を行った後に放電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記充電を行う前と前記放電を行った後とで同じ電圧になるように、又は、前記放電を行った後に充電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記放電を行う前と前記充電を行った後とで同じ電圧になるように、前記充電する電気量及び前記放電する電気量をそれぞれ調整する
請求項1~5のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記測定部は、複素インピーダンスも併せて測定するものであり、
前記複素インピーダンスを二次電池の特性モデルにフィッティングするフィッティング部と、
前記電極板の特性モデルに基づいてDC-IRを算出する算出部とをさらに備え、
前記フィッティング部は、前記測定点の複素インピーダンスを前記電極板の特性モデルにフィッティングさせる際、前記電極板の特性モデルに与える初期値に前記測定点に隣接する測定点に対するフィッティング結果を採用し、
前記算出部は、前記フィッティング結果に基づいてDC-IRを算出するとともに、前記測定したDC-IRと前記算出したDC-IRとを比較する
請求項1~6のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、
二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備える電極板検査装置に用いられ、
前記移動部が、前記プローブを順次異なる測定点に移動させる移動工程と、
前記測定部が、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す工程、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻す工程を有する測定工程とを備える
電極板検査方法。 - 二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、
前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、
前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、
前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、
前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得部と、
前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得部と、
前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する第2の調整部と、
前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出部とを備える
電極板検査装置。 - 前記プローブの前記測定窓の開口径の大きさは、前記電極板の活物質粒子の粒子径の2倍以下の大きさである
請求項9に記載の電極板検査装置。 - 前記プローブが第1のプローブであり、
前記第1のプローブよりも面積が2倍以上の第2のプローブを備え、
前記第2のプローブによる測定で前記電極板が劣化していると判定された部分を前記第1のプローブで測定する
請求項9又は10に記載の電極板検査装置。 - 前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記直流電流が矩形波である
請求項9~11のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記過渡状態特有成分と前記電極板の劣化を判定することのできる値である判定閾値とを比較して前記電極板の電極板状態を判定する判定工程を備える
請求項9~12のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記所定の周波数範囲を区画する下限値と上限値とのいずれか一方の値を始点、他方の値を終点としたとき、前記測定周波数を前記始点から前記終点の方向に変化させるとともに、前記終点の値に到達したことに応じて前記始点の値に戻すものであり、前記始点から前記終点までを10秒以下の時間で変化させるとともに、前記終点から前記始点までを10秒以下の時間で戻す
請求項9~13のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 前記特有成分算出部は、前記過渡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記過渡状態の前記電極板に対応する前記過渡状態の前記等価回路を得るとともに、前記平衡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記平衡状態の前記電極板に対応する前記平衡状態の前記等価回路を得るとともに、前記過渡状態の前記等価回路の抵抗成分と前記平衡状態の前記等価回路の抵抗成分とのうちの相互に対応する抵抗成分同士の差を前記過渡状態特有成分として算出する
請求項9~14のいずれか一項に記載の電極板検査装置。 - 電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、
二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の交流に対するインピーダンスを測定する測定部と、を備える電極板検査装置に用いられ、
前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得工程と、
前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得工程と、
第2の調整部で、前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する調整工程と、
前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出工程とを備える
電極板検査方法。
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