JP7018374B2 - 電極板検査装置及び電極板検査方法 - Google Patents

電極板検査装置及び電極板検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、電池の電極板を検査する電極板検査装置及び電極板検査方法に関する。
非水電解質二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、電極芯体の両面に活物質層を設けた正極板及び負極板をセパレータを介して捲回又は積層した電極体を有する。こうした二次電池の検査技術の一つに、電極板に対する複素インピーダンスに基づく検査がある。例えば、複素インピーダンスを測定する技術の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の電極板を検査する技術は、電解液中に配置された対極に連なる測定部であって電解液を介して対向する電極活物質層の一部に作用する測定部を備えたプローブを用意する。また、プローブの測定部を対向する電極活物質層の一部に作用させ、電解液を介してプローブ中の対極と電極活物質層の被測定部とを電気的に接続させる。また、電気的に接続した対極と被測定部との間でインピーダンスを測定し、インピーダンスの測定に基づき、上記電極の抵抗を算出する。そして、プローブ中の対極の面積は、該プローブの測定部の作用面積より100倍以上広い。
特開2014-25850号公報
ところで近年、二次電池の性能が十分に発揮されるように、二次電池の電極板の詳細な状態を、より的確に検査することができる技術が求められている。
また、こうした課題は、二次電池のみならず、一次電池を含む電池において同様である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池の電極板の詳細な状態を、より的確に検査することのできる電極板検査装置及び電極板検査方法を提供することにある。
上記課題を解決する電極板検査装置は、二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備え、前記移動部は、前記プローブを順次異なる測定点に移動させ、前記測定部は、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻すものである。
上記課題を解決する電極板検査方法は、電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備える電極板検査装置に用いられ、前記移動部が、前記プローブを順次異なる測定点に移動させる移動工程と、前記測定部が、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す工程、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻す工程を有する測定工程とを備える。
このような構成又は方法によれば、電極板の測定点の内部抵抗値(DC-IR)を測定することができるとともに、測定後の測定点を測定前の充電状態に戻すことができる。元に戻すことによって他の測定点のDC-IRも適切に測定することができることになり、電極板の全体についてDC-IRの分布を得ることができる。よって、二次電池の電極板の詳細な状態を、より的確に検査することができる。なお、内部抵抗値の測定は、充電時に行ってもよいし、放電時に行ってもよい。
好ましい構成として、前記測定部は、異なる前記測定点の直流電流をそれぞれ取得し、異なる前記測定点の間で取得した前記直流電流を比較することによって前記電極板の電流に関する状態を判定する判定部をさらに備える。
このような構成によれば、異なる測定点の直流電流を比較することによって電極板の各測定点における電流に関する状態を判定することができる。つまり、電極板において電流に対する特性の良否の分布を判定することができるようになる。
好ましい構成として、前記プローブは、前記測定窓の開口する面積を複数の面積のうちから選択可能であり、前記測定部は、前記測定点における前記内部抵抗値の測定を、前記測定窓の開口している面積毎に行う。
このような構成によれば、測定窓の開口している面積(測定窓の面積)の影響が反映されて測定点に対するDC-IRが測定することができる。測定窓の面積は大きくなると深い深度の影響が含まれるようになる。よって、測定窓の面積が大きければ、表面に近い範囲の状態を測定するインピーダンス測定では得られない深度の特性が得られる。また、複数の面積で測定することで、不具合部分の存在する深度を取得することもできる。
好ましい構成として、前記プローブは、前記測定窓の開口している面積を可変とする。
このような構成によれば、測定窓の開口している面積が変更しやすい。測定が容易になる。
好ましい構成として、前記充電を行った後に放電を行うとき、前記測定点に印加する充電電圧及び放電電圧を相違させる、又は、前記放電を行った後に充電を行うとき、前記測定点に印加する放電電圧及び充電電圧を相違させる。
このような構成によれば、充電電圧や放電電圧をDC-IRの測定に適した電圧に設定したり、電気量を戻すことに適した電圧に設定したりすることができる。
好ましい構成として、前記充電を行った後に放電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記充電を行う前と前記放電を行った後とで同じ電圧になるように、又は、前記放電を行った後に充電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記放電を行う前と前記充電を行った後とで同じ電圧になるように、前記充電する電気量及び前記放電する電気量をそれぞれ調整する。
このような構成によれば、測定点に対する充電電圧及び放電電圧の調整によって、充電を行った後の放電で電気量が戻される、又は、放電を行った後の充電で電気量が戻されるようになる。
好ましい構成として、前記測定部は、複素インピーダンスも併せて測定するものであり、前記複素インピーダンスを二次電池の特性モデルにフィッティングするフィッティング部と、前記電極板の特性モデルに基づいてDC-IRを算出する算出部とをさらに備え、前記フィッティング部は、前記測定点の複素インピーダンスを前記電極板の特性モデルにフィッティングさせる際、前記電極板の特性モデルに与える初期値に前記測定点に隣接する測定点に対するフィッティング結果を採用し、前記算出部は、前記フィッティング結果に基づいてDC-IRを算出するとともに、前記測定したDC-IRと前記算出したDC-IRとを比較する。
このような構成によれば、電極板に対して取得された複素インピーダンスの分布に基づく電池モデルと、測定結果とを対比することができる。また、このような対比結果に基づいて電極板の劣化状態を判定することができる。
上記課題を解決する電極板検査装置は、二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得部と前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得部と、前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する第2の調整部と、前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出部とを備える。
上記課題を解決する電極板検査方法は、電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の交流に対するインピーダンスを測定する測定部と、を備える電極板検査装置に用いられ、前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得工程と、前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得工程と、第2の調整部で、前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する調整工程と、前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出工程とを備える。
このような構成又は方法によれば、電極板の測定点が過渡状態であることに起因する電極板状態を示す過渡状態特有成分を、過渡状態のインピーダンスと平衡状態のインピーダンスとに基づいて算出することができるとともに、測定後の測定点を測定前の充電状態に戻すことができる。元に戻すことによって他の測定点の過渡状態特有成分も適切に測定することができることになり、電極板の全体について過渡状態特有成分の分布を得ることができる。よって、インピーダンス測定に基づいて二次電池の電極板の過渡状態における電極板状態を測定することができる。なお、過渡状態特有成分の測定は、充電時に行ってもよいし、放電時に行ってもよい。
好ましい構成として、前記プローブの前記測定窓の開口径の大きさは、前記電極板の活物質粒子の粒子径の2倍以下の大きさである。
このような構成によれば、プローブの開口径を活物質粒子の粒子径レベルまで小さくすることで、活物質粒子の1粒子における挙動、すなわち活物質そのものにおける過渡的な特性による電気化学現象を測定することができるようになる。
好ましい構成として、前記プローブが第1のプローブであり、前記第1のプローブよりも面積が2倍以上の第2のプローブを備え、前記第2のプローブによる測定で前記電極板が劣化していると判定された部分を前記第1のプローブで測定する。
このような構成によれば、測定窓の面積が大きな第2のプローブにより絞り込んだ測定範囲を測定窓の面積の小さい第1のプローブで測定することができて、測定面積の小さい第1のプローブによる測定を必要な箇所に迅速に行うことができるようになる。
好ましい構成として、前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記直流電流が矩形波である。
このような構成によれば、直流電流を矩形波とすることで電極板の充電電気量の変化を算出するのが容易である。
好ましい構成として、前記過渡状態特有成分と前記電極板の劣化を判定することのできる値である判定閾値とを比較して前記電極板の電極板状態を判定する判定工程を備える。
このような構成によれば、電池状態を、過渡状態特有成分と電極板の劣化を測定することができる判定閾値とを比較することで判定することができる。
好ましい構成として、前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記所定の周波数範囲を区画する下限値と上限値とのいずれか一方の値を始点、他方の値を終点としたとき、前記測定周波数を前記始点から前記終点の方向に変化させるとともに、前記終点の値に到達したことに応じて前記始点の値に戻すものであり、前記始点から前記終点までを10秒以下の時間で変化させるとともに、前記終点から前記始点までを10秒以下の時間で戻す。
このような構成によれば、測定周波数が始点(上限値)から終点(下限値)の方向に変化するので連続的な周波数特性を把握しやすい。また、測定周波数としても生成しやすく、測定しやすい。また、測定周波数を電極板が過渡状態にある応答期間よりも短くなる間隔、例えば10秒で繰り返して過渡状態のインピーダンスを測定することができる。
好ましい構成として、前記特有成分算出部は、前記過渡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記過渡状態の前記電極板に対応する前記過渡状態の前記等価回路を得るとともに、前記平衡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記平衡状態の前記電極板に対応する前記平衡状態の前記等価回路を得るとともに、前記過渡状態の前記等価回路の抵抗成分と前記平衡状態の前記等価回路の抵抗成分とのうちの相互に対応する抵抗成分同士の差を前記過渡状態特有成分として算出する。
このような構成によれば、過渡状態特有成分が過渡状態の等価回路の抵抗成分と平衡状態の等価回路の抵抗成分とのうちの相互に対応する抵抗成分同士の差として算出される。これにより、平衡状態に起因する要因を低減し、過渡状態における電極板状態を抽出して測定することができるようになる。
本発明によれば、電池の電極板の詳細な状態を、より的確に検査することができる。
電極板検査装置の第1の実施形態について、その構成の概略図。 同実施形態のフィッティングの一例を示すグラフ。 同実施形態の検査工程の手順を示すフローチャート。 同実施形態のインピーダンス測定の手順を示すフローチャート。 同実施形態のDC-IR測定の手順を示すフローチャート。 同実施形態のDC-IR測定の電圧変化の一例を示すグラフ。 同実施形態の電極板の深さ方向に対して電流情報が入手することができるエリアを示す模式図。 同実施形態の電極板の平面方向に対して電流情報が入手することができるエリアを示す模式図。 同実施形態の電極板の不具合部分と電流情報との関係を示す説明図。 同実施形態の電極板の良否判定手順を示すフローチャート。 電極板検査装置の第2の実施形態について、その概略の構成図。 同実施形態の検査工程の手順を示すフローチャート。 同実施形態において、平衡状態である電極板状態の測定手順を示すフローチャート。 同実施形態において、平衡状態のインピーダンスを測定する電流の一例を示すグラフであって、(a)は印加する電流を示す図、(b)は応答電圧を示す図。 同実施形態において、電極板の等価回路の一例を示す回路図。 同実施形態において、過渡状態である電極板状態の測定手順を示すフローチャート。 同実施形態において、過渡状態のインピーダンスを測定する電流の一例を示すグラフであって、(a)は印加する電流を示す図、(b)は応答電圧を示す図。 同実施形態において、過渡状態のインピーダンスに基づくナイキスト線図の一例を示すグラフ。 同実施形態において、過渡状態にある電極板のインピーダンスを測定した結果の一例を3次元で示すグラフ。 同実施形態において、過渡状態にある電池のインピーダンスを測定した結果の一例を3次元で示すグラフ。 同実施形態において、過渡状態の電極板が特定の充電電気量にあるときにおける過渡状態のインピーダンスを推定したナイキスト線図の一例を示すグラフ。 同実施形態において、過渡状態特有成分の測定手順を示すフローチャート。 同実施形態において、過渡状態特有成分を算出する一例を示すグラフ。 同実施形態において、過渡状態特有成分に基づいて電極板の劣化状態を判定するグラフの一例。
(第1の実施形態)
図1~図10に従って、電極板検査装置及び電極板検査方法の第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、電極板検査装置20は、二次電池の電極板100の複素インピーダンスを測定する。なお、本実施形態では、二次電池は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。二次電池は、外形が直方体形状の密閉式電池であって、バスバーで複数が接続されることにより組電池を構成する。組電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載され、電動モータ等に電力を供給する。
複素インピーダンス測定では、周波数を変化させながら検査対象(ここでは電極板)に交流電圧(または交流電流)信号を入力し、そのときの応答電流(または応答電圧)を測定する。そして、入力した正弦波と応答信号とを比べることで、電極反応の伝達関数(インピーダンス)を求める。例えば周波数を10kHz程度の高周波から0.1Hz程度の低周波へと変化させ、各周波数における応答電流(または応答電圧)から複素インピーダンスを求める。一般にイオンと電子とでは移動速度に差があるため、複素インピーダンス測定ではこの移動速度の差を利用して測定を行う。具体的には、高周波領域では、電子は電圧の向きの変化に敏感に対応して移動し得るものの、イオンは反応が遅く移動が追い付かない。このため、系から電子の移動に関する成分のみを抽出し測定することができる。その後、周波数をより低くしていくと、イオンの移動が交流電圧の向きの変化に対応するようになる。したがって、電子の移動に加えてイオンの移動に係る成分を測定することができる。この複素インピーダンスの周波数特性を、ナイキストプロット等に表し、これを解析することによって各成分の抵抗値等を求めることができる。
図2に示すように、例えば、ナイキストプロットの複素インピーダンス特性は、測定周波数の帯域に対応して複数の領域に分けることができる。具体的には、帯域が高周波数側から低周波数側に向かって変化することに対応して、回路抵抗に対応する「領域a」、溶液抵抗に対応する「領域b」を有する。また、複素インピーダンス特性は、被膜抵抗に起因する複素インピーダンスに対応する「被膜抵抗領域c」、反応抵抗に起因する複素インピーダンスに対応する「反応抵抗領域d」、及び略直線状の拡散抵抗に対応する「領域e」を有する。なお、以下では、複素インピーダンスを単にインピーダンスと記す。
(電極板100)
図1を参照して、二次電池の電極板100について説明する。
電極板100は、集電体上に電極活物質層102が形成されている正極板又は負極板である。電極板100は、端部において電極活物質層102が設けられておらず(あるいは除去されて)、集電体104が露出するように形成されている。以下に正極板及び負極板についてそれぞれ説明する。
(正極)
正極は、正極集電体と該正極集電体上に形成された正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。このような正極は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を、シート状の正極集電体に付与し、該組成物を乾燥させることにより作製することができる。正極集電体には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が使用される。また、溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いることができる。
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能である各種の材料の一種または二種以上を使用することができる。例えば、リチウムと少なくとも一種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物、ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物等を用いることができる。
好ましくは、一般式:LiMn2-p(式中、pは、0≦p<2であり、典型的には0≦p≦1(例えば0.2≦p≦0.6)である)で表される、典型的にはスピネル構造のリチウム遷移金属化合物(酸化物)が挙げられる。pが0より大きい場合、Mは、Mn以外の任意の金属元素または非金属元素であり得る。Mが遷移金属元素の少なくとも一種(例えばTi,Cr,Fe,Co,Ni,CuおよびZnから選択される一種または二種以上)を含む組成のものが好ましい。具体例としては、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO等が挙げられる。
(導電材)
導電材としては、炭素材料を用いることができる。具体的には、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも、比較的粒径が小さく比表面積が大きいカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)を用いることが好ましい。
(バインダ)
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC、例えばナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等を採用することができる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、50質量%以上が適当であり、通常は70質量%以上95質量%以下であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば2質量%以上20質量%以下とすることができ、好ましくは2質量%以上15質量%以下とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば0.5質量%以上10質量%以下とすることができ、通常は1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
正極集電体の単位面積当たりに設けられる正極活物質層の質量は、例えば5mg/cm以上40mg/cm以下(好ましくは10mg/cm以上20mg/cm以下)程度とすることができる。また、正極活物質層の密度は、例えば1.5g/cm以上4g/cm以下(好ましくは1.8g/cm以上3g/cm以下)程度とすることができ、正極活物質層の厚みは、例えば40μm以上(好ましくは50μm以上)であって、100μm以下(好ましくは80μm以下)とすることができる。
(負極)
負極は、負極集電体と該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層とを備えている。このような負極は、負極活物質と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用の分散液)をシート状の負極集電体に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層(負極活物質層)を形成することにより作製することができる。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が用いられる。また上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。
(負極活物質)
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を使用することができる。例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料、窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料、スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料等を用いることができる。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、分散剤や導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%以上99質量%以下、より好ましくは95質量%以上99質量%以下である。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば1質量%以上10質量%以下とすることができ、通常は1質量%以上5質量%以下とすることが適当である。
負極集電体の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量は、例えば5mg/cm以上20mg/cm以下(好ましくは5mg/cm以上10mg/cm以下)程度とすることが適当である。負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm以上2g/cm以下(典型的には1g/cm以上1.5g/cm以下)程度とすることができ、負極合材層の厚みは例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。
(電極板検査装置20)
図1に示すように、電極板検査装置20は、電極板100の測定点Tgに当てられるプローブ11と、測定点TgのインピーダンスやDC-IRを測定する測定部としての抵抗成分測定部13と、計測処理を制御する制御部14と、電極板100を載置する載置部12とを備えている。
(プローブ11)
プローブ11は、プローブ本体112と、筒状のプローブ本体112に連なる測定部118とを有している。プローブ本体112は、筒状の容器であり、筒内に所定の電解液116と、該電解液中に配置され電極用リードを備えた対極114とを有している。プローブ11は、プローブ本体112の上端に設けられた開口部から対極114をプローブ本体112の内部に収容した後、電解液116を注入することによって作製される。プローブ本体112は上端が解放された円筒形状であり、下端には電解液116を介して検査対象(電極活物質層102)の一部に作用する測定部118を有している。測定部118は、電解液116に浸けた先端の開口面積を可変とすることのできる測定窓を有している。なお、プローブ本体112の上端(開口部)は、蓋体等で覆うこともできる。そして、プローブ11は、制御部14からの信号に基づいて垂直方向Zに昇降移動し、載置部12上に設置された検査対象(電極活物質層102の一部)と電気的に接続可能なよう構成されている。つまり、プローブ11は、垂直方向Zに移動させる図示しない駆動モータにより移動される。
プローブ本体112および蓋体の材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド等の樹脂材料が挙げられる。また、プローブ本体112の形状(容器の外形)は、例えば、円筒形、直方体形、立方体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。例えばポリプロピレン製の針無シリンジ等を用いることができる。
(対極114)
対極114としては、インピーダンスの測定時に入力する電圧(または電流)の領域内において、使用する電解液中で安定なものであれば、炭素材料、各種金属材料等を用いることができる。検査対象の抵抗が比較的低い場合や、反応抵抗をより精密に分離・測定したい場合、対極114として電気抵抗率(比抵抗)が低く、測定雰囲気中(電解液中)で安定性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、検査対象として上述した正極や負極の活物質層形成用材料を対極としても用いることができる。正極や負極からなる対極114を用いることで対極由来の抵抗を低減させられる。したがって検査対象たる電極活物質層102の抵抗を一層精度よく測定することができる。また正極や負極は、比較的高い電圧(例えば100mV~1000mV)を入力した場合であっても電解液中で安定なため、表面状態の変化やそれに伴う測定誤差や測定値のバラつき等が生じ難い。
対極114の面積は、測定部118の水平方向の断面積である測定窓の開口している面積(以下、単に測定窓の面積と記す)に応じて適宜変更することが好ましい。一般に抵抗の大きさは測定面積に反比例するため、検査対象(電極活物質層102)のみの抵抗を分離したい場合は、測定部118の作用面積(測定窓の面積)に対して対極114の面積をより広く確保する必要がある。本発明では、対極114の面積を測定部118の作用面積より100倍以上(例えば200倍以上、好ましくは300倍以上、より好ましくは500倍以上)広く設定する。これによって、対極114の反応抵抗を無視し得るほど小さくすることができる。例えば対極114の抵抗を、検査対象(測定点Tg)の1/50以下(好ましくは1/100以下)とする。したがって、検査対象としての電極活物質層102に由来する抵抗(例えば被膜抵抗、反応抵抗や拡散抵抗)のみを、精度よく測定することができる。
(電解液116)
電解液116としては、典型的には非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩を含むものが用いられる。非水溶媒としては、例えばリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒の一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。例えば、ECとDMCとEMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒を用いることができる。
上記支持塩としては、例えばリチウムイオン二次電池において支持塩として用いられるリチウム塩の一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。リチウム塩として、LiPF,LiBF,LiClO,LiEBF,Li(CFSON,LiCFSO等が例示される。好ましい例として、LiPFが挙げられる。非水電解液中の支持塩濃度は、例えば0.7mol/L以上1.3mol/L以下(例えば1.0mol/L以上1.2mol/L以下)の範囲内となるように調製することが好ましい。
(測定部118)
測定部118は、プローブ本体112から連なっており、電解液116を介してプローブ中の対極114と電極活物質層102の測定点Tgとを電気的に接続させる。測定部118(電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部)の作用面積(断面積)は、小さいほど対極由来の抵抗成分の影響を抑制し得る。一方であまりに小さすぎる場合は、測定点Tgの電極活物質層102の状態により、得られる結果がバラつくおそれがある。このため、測定部118の作用面積は例えば、0.01cm~0.1cm(特に0.02cm~0.05cm)とすることが好ましく、ここでは約0.03cmである。測定部118の形状は特に限定されないが、円形状が好ましい。円形状である場合、測定部118(電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部)の直径は、例えばΦ1mm~Φ10mm(好ましくはΦ2mm~Φ5mm)であり、ここでは約Φ2mmである。なお、本実施形態では、電極活物質層102の測定点Tgと接し得る測定端部が測定窓であり、その作用面積(断面積)が測定窓の面積である。
(載置部12)
載置部12は、検査対象としての電極板100を載置する電極板保持部としての載置台108と、該電極板100を固定するための治具(例えばクランプ)とを備えている。そして、制御部14からの信号に基づいて、図示しない駆動モータによって水平方向(図1の方向X及び方向Yの矢印の方向)に移動可能なように構成されている。本実施形態では、移動部は、方向X及び方向Yに載置部12を移動させる駆動モータと、垂直方向Zにプローブ11を移動させる駆動モータとで構成される。
また、載置部12は、載置台108が電解液106を保持可能な容器になっており、保持する電解液106内に電極板100を載置させている。なお、載置部12の電解液106は、プローブ11の電解液116と同じものである。よって、載置部12の電解液106内に測定部118が浸かることにより、載置部12の電解液106と、プローブ11の電解液116とが接続されて、電極板100の測定点Tgと対極114とが測定部118で規定された作用面積(測定窓の面積)で電気的に接続される。
(抵抗成分測定部13)
抵抗成分測定部13は、プローブ11中の対極114と電極活物質層102の測定点Tgとを電気的に接続する。抵抗成分測定部13は、インピーダンスの測定方法は、例えばリサージュ法、交流ブリッジ法等のアナログ方式や、デジタル・フーリエ積分法、ノイズ印加による高速フーリエ変換法等のデジタル方式を採用することができる。例えば、抵抗成分測定部13として、電流と電圧を制御し得るポテンショ/ガルバノスタット(PS/GS:potentiostat/galvanostat)と、正弦波発振回路を内蔵した周波数応答アナライザ(FRA:Frequency Response Analyzer)とを組み合わせて用いることができる。そして、制御部14からの信号に基づいて、電気的に接続したプローブ11と測定点Tgとの間に交流電流または交流電圧を入力して、インピーダンスを測定する。また、得られたインピーダンスの測定結果は、抵抗成分測定部13の出力として制御部14に送られる。
また、抵抗成分測定部13は、直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する。電極板100の温度は、例えば「25℃」等の所定の温度に一定とする。
図6に示すように、抵抗成分測定部13は、充電された状態の電極板100の測定点Tgに対して「10A」の電流で5秒間放電し、この放電終了から5秒経過時の同測定点Tgの電圧を計測する。次に、10分間の休止後、同測定点Tgを「10A」の電流により5秒間充電し、この充電終了から5秒経過時の同測定点Tgの電圧を計測する。そして各電流値と各々計測された電圧値とに基づきリチウムイオン二次電池の電極板100の測定点TgのDC-IR値を算出する。
本実施形態では、放電開始時の電極板100の測定点Tgの電圧と、充電終了後の電極板100の測定点Tgの電圧とが一致するようにしている。例えば、測定点Tgに対する放電電気量と充電電気量とが同じ電気量になるようにしている。これにより、測定点Tgの充電状態を、DC-IRの測定前と測定後とで同じ状態とし、隣接する他の測定点Tgで、次にインピーダンス測定やDC-IR測定に、前の測定点Tgで行ったDC-IR測定による充放電が影響しないようにできる。また、放電電気量と充電電気量とが同じ電気量になればよいことから、放電時の放電電圧、放電電流及び放電時間と、充電時の充電電圧、充電電流及び充電時間とがそれぞれ一致してもよいし、相違してもよい。例えば、放電時は、DC-IR測定に適した放電電圧、放電電流及び放電時間が選択されるようにし、充電時は、測定点Tgの電圧をDC-IR測定前と同様にすることに適した充電電圧、充電電流及び充電時間が選択されるようにする。具体的には、プローブ11の測定部118の測定窓の面積を特定した上で、選択した放電電圧で放電したとき、所定の放電電気量となるまでの放電電流及び放電時間を測定する。また、具体的には、プローブ11の測定部118の測定窓の面積を特定した上で、選択した充電電圧で充電したとき、所定の充電電気量となるまでの充電電流及び充電時間を測定する。
(制御部14)
制御部14は、所定の情報に基づいてインピーダンスの計測やプローブ11の調整等を制御する。例えば、載置部12に設置された検査対象の測定点Tgの位置調整、プローブ11の駆動、インピーダンス測定、DC-IR測定等の制御、計測されたインピーダンスに基づく測定点Tgの抵抗算出等を行う。制御部14の構成には、少なくとも、かかる制御を行うためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、入出力ポートとが含まれる。制御部14には、プローブ11や抵抗成分測定部13等からの信号(出力)が入力ポートを介して入力される。また、制御部14からはプローブ11や抵抗成分測定部13等への駆動信号が出力ポートを介して出力される。
本実施形態では、電極板検査装置20は、抵抗成分測定部13によって測定されたインピーダンスに基づき、電極活物質層102の各測定点Tgの被膜抵抗成分と反応抵抗成分とを電極板100の特性モデルにフィッティングするフィッティング部141をさらに備えている。フィッティング部141には、測定されたインピーダンスの測定結果が、制御部14を介して(制御部で算出された抵抗値として)送られる。フィッティング部141は、送られてきた抵抗測定結果に基づき、電極板100の特性モデルをフィッティングさせる。例えば、電極板100の特性モデルを等価回路として定め、これを予め記憶媒体(例えば、ROM、HDD、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、フラッシュメモリ等)に記憶しておく。また、電極板100の特性モデルの各パラメータの初期値も定めて、これを予め記憶媒体に記憶しておく。そして、電極板100の特性モデルの各パラメータの初期値を、測定されたインピーダンスにフィッティングさせる。これにより、測定点Tgの被膜抵抗成分と反応抵抗成分とが電極板100の特性モデルで表されるようになる。電極板100の特性モデルで表されることにより、測定点Tgの極板の特性をシミュレーション等することが可能になる。
電極板100の特性モデルとしての等価回路は、回路抵抗と溶液抵抗に対応する抵抗と、被膜抵抗に対応する抵抗と容量との並列回路と、反応抵抗に対応する抵抗と容量との並列回路と、が直列接続された回路からなる特性モデルで示される。
なお、本実施形態では、各測定点Tgについて、電極板100の特性モデルを測定されたインピーダンスにフィッティングさせる。このとき、電極板100の特性モデルの各パラメータの初期値を、測定されたインピーダンスにフィッティングさせると、毎回多くの演算が必要になることが少なくない。そして、測定値と初期値との乖離が大きい場合、フィッティングが不調に終わり、初期値を変更して再度フィッティングを行わなければならない場合もある。そこで、既にフィッティング済みの測定点Tgに隣接する測定点Tgのフィッティングについては、フィッティング済みの測定点Tgに特定された電極板の特性モデルの各パラメータを採用して初期値として再設定し、その再設定された初期値からのフィッティングを行う。電極活物質層102としても、隣接する測定点Tg同士であれば、電極板100の特性モデルの各パラメータが近似している蓋然性が高い。よって、再設定された初期値を用いることで、フィッティングに要する演算を、予め定めた初期値からのフィッティングに比べて減らすことが可能になる可能性が高くなるとともに、初期値と測定値との乖離が小さく抑えられ、フィッティングが不調になるおそれを低減することができる。
また、電極板検査装置20は、抵抗成分測定部13によって測定された抵抗値に基づき、電極活物質層102の各測定点TgのDC-IRの電極板100における分布を算出する直流抵抗分布算出部142をさらに備えている。直流抵抗分布算出部142は、プローブ11の測定部118の測定窓の面積毎に、各測定点のDC-IRの分布を算出する。よって、一つの測定点Tgについて、測定窓の面積毎にDC-IRの分布が算出される。換言する、測定窓の特定の面積に対して、複数の測定点Tg毎に測定されたDC-IRの分布が算出される。
また、電極板検査装置20は、フィッティング結果やDC-IRの分布に基づいて電極板100の電気的状態の良否を判定する良否判定部143を備えている。良否判定部143は、フィッティング結果による各パラメータを、正常範囲を示す閾値と比較して、電極板100の電気的状態の良否を判定する。また、良否判定部143は、DC-IRの測定結果を、正常範囲を示す閾値と比較して、電極板100の電気的状態の良否を判定する。また、良否判定部143は、電気的状態の良否を以下の観点から判定することができる。例えば、測定窓の面積毎にDC-IRの分布を算出し、それぞれについて電極板100の電気的状態の良否を判定する。これにより、電極板100の深度毎に電極板100の良否を判定することができる。また、例えば、電極板100の特定の測定点Tgに対して測定窓の面積毎のDC-IRを対比し、この比率が正常範囲に有るか否かに基づいて電気的状態の良否を判定する。これにより、電極板100の測定点Tgの良否が、表面の電気的特性のみならず、深度方向における特性を考慮して電極板100の良否を判定することができるようになる。また同様に、良否判定部143は、測定窓の面積毎のDC-IRの分布に基づいて水平方向の特性を考慮することで電極板100の測定点Tgの良否を判定することもできる。
図3を参照して、電極板検査装置20で各測定点Tgの測定値に基づいて、各測定点Tgの電気的特性の良否判定の処理手順について説明する。
電気的特性の良否判定処理は、初期値設定工程(図3のステップS11)と、移動工程(図3のステップS12)と、インピーダンス測定工程(図3のステップS13)と、DC-IR測定工程(図3のステップS14)と、次の測定点Tgがあるか否かの判定(図3のステップS16)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、電極板100の良否判定工程(図3のステップS17)と、電極板マップ作成工程(図3のステップS18)とを備えている。
初期値設定工程(図3のステップS11)は、被膜抵抗領域cと反応抵抗領域dとを含む電極板100の特性モデルとして等価回路が選択される。また、等価回路の各パラメータに予め定められた初期値が設定される。また、最初の測定点Tgと、電極板100上の測定点Tgの移動順(走査順)が定められる。また、DC-IR測定のための放電電気量と充電電気量とが同じ電気量になるように、放電時の放電電圧、放電電流及び放電時間と、充電時の充電電圧、充電電流及び充電時間とが定められる。
移動工程(図3のステップS12)は、プローブ11を、最初の測定点Tgを始点として、電極板100上の測定点Tgを定められた移動順に順次移動させる。移動先である各測定点Tgでは、プローブ11の測定部118を対向する電極活物質層102の一部に作用させ、電解液116を介してプローブ中の対極114と電極活物質層102の測定点Tgとを電気的に接続する。具体的には、プローブ11を垂直方向Zに移動させて、また載置部12を水平方向に動かして、プローブ11を測定点Tgに押し当てる。これにより電極活物質層102の測定点Tgが電解液116,106を介してプローブ中の対極114と局所的に電気接続される。本実施形態では、電極活物質層102を備えた電極板100を、プローブ11中の電解液116と同種の電解液106で満たした載置台108の容器内に設置した状態で測定を行う。測定を安定して行うためには、プローブ11の位置を数秒~数分程度保持した後に、次の工程に進むことが好ましい。
インピーダンス測定工程(図3のステップS13)は、制御部14で、電気的に接続した対極114と測定点Tgとの間に交流電流または交流電圧を入力してインピーダンスを測定する。
図4を参照して、インピーダンス測定工程は、初期設定(図4のステップS21)とインピーダンス測定(図4のステップS22)とを有する。
初期設定では、当該測定点Tgに対するインピーダンス測定における測定周波数領域や周波数間隔、測定時間、振幅等が設定される。
図1に示すように、インピーダンス測定では、対極114のリードと電極板100の集電体104が露出した部位とに、電流ケーブルと電圧ケーブルとがそれぞれ接続され、交流電流または交流電圧が入力される。そして、制御部14からの信号に基づいて、インピーダンスの測定が行われる。
インピーダンス測定において測定する周波数領域は、目的とする抵抗値(例えば、被膜抵抗値と反応抵抗値)を算出することができる範囲であればよく、例えば100kHz以下0.01Hz以上(例えば、10kHz以下0.1Hz以上、また例えば1kHz以下0.1Hz以上)に設定することができる。
電気的に接続した対極114と測定点Tgとの間に100mV以上1000mV以下(例えば、200mV以上1000mV以下、また例えば300mV以上1000mV以下)の交流電圧を入力する。なお一般に、非水電解質二次電池のインピーダンス測定では、5mV以上10mV以下程度の電圧を入力することが多い。しかし、本実施形態では、電極活物質層102の測定点Tgの面積が非常に狭いため、他の抵抗成分(例えば溶液抵抗成分)の影響が大きい。よって、例えば被膜抵抗や反応抵抗に係る応答電流を検知するためには、従来に比べ大きな振幅の電圧を入力することが好ましい。入力電圧を上記範囲とすることで、測定のノイズが抑制され、精度の高い測定をすることができる。同様の理由から、交流電流を用いて測定を行う場合には、電気的に接続した対極114と測定点Tgとの間に例えば50μA以上500μA以下(例えば100μA以上500μA以下)の交流電流を入力し、インピーダンスを測定することが好ましい。
また、インピーダンスの測定結果に基づいて電極活物質層102の測定点Tgにおける抵抗値を算出する。測定点Tgの被膜抵抗や反応抵抗の値は、ナイキストプロットのインピーダンス曲線L2(図2参照)から読み取ることができる。フィッティング部141は、ナイキストプロットの形状を、適切に選択した等価回路と照らし合わせて(カーブフィッティングして)解析することで、等価回路の各パラメータ値を求める。フィッティング部141は、例えば、カーブフィッティングを最小二乗法等で行う。
なお、インピーダンスの測定は、例えば、交流周波数を10kHzから0.1Hzへと変化させたときのインピーダンスを測定することで実施することができるが、得られたデータのうちから必要な範囲のデータを抽出して解析を行うことができる。
図3を参照して、DC-IR測定工程(図3のステップS14)は、制御部14で、抵抗成分測定部13で測定点Tgへの所定の電気量の放電や充電に基づいて測定点TgのDC-IRを算出する。
本実施形態のDC-IR測定工程では、測定点Tgで放電を行った後、放電した電気量を再充電する。例えば、放電を行った後、測定点Tgの電圧が放電開始前の電圧になるように充電電気量での充電を行う。また、DC-IR測定工程では、測定窓の面積を、例えば、「大」、「中」、「小」の3つ備え、これら3つの各面積についてDC-IRを測定する。
図5を参照して、DC-IR測定工程は、初期設定(図5のステップS31)、測定面積変更(図5のステップS32)、放電(図5のステップS33)、充電(図5のステップS34)、次の測定面積があるか否かの判定(図5のステップS35)が行われる。
初期設定(図5のステップS31)では、当該測定点Tgに対して放電や充電の電気量、電圧、電流、時間が設定される。放電電気量と充電電気量とは、測定点Tgの電圧が、放電を行う前と充電を行った後とで同様の電圧になる量に定められる。
放電(図5のステップS33)では、測定点Tgが設定された電圧で設定された電気量だけ放電され、放電時のDC-IRが測定される。
充電(図5のステップS34)では、測定点Tgが設定された電圧で設定された電気量だけ充電され、充電時のDC-IRが測定される。
図6のグラフL5に示すように、放電及び充電は、放電開始前にプローブ電圧Vsである測定点Tgを放電する。所定の放電電気量が放電されると、一定時間放充電を止める。また、一定時間経過後に充電を開始し、所定の充電電気量に達することで放充電を止める。そして、一定時間経過後に測定点Tgが測定開始前のプローブ電圧Vsと同様の電圧になるようにしている。そして放電時には、放電電圧及び放電電流を測定して放電時のDC-IRが算出される。また、充電時には、充電電圧及び充電電流を測定して充電時のDC-IRが算出される。なお、DC-IRの測定は、充電時及び放電時の少なくとも一方を選択して行うことができる。
また、本実施形態では、測定窓の面積を「小」、「中」、「大」に変更し、それぞれの測定窓の大きさについてDC-IRを測定する。
図7~9を参照して、測定窓の面積を「小」、「中」、「大」に変更して、測定窓の大きさ毎に測定点TgのDC-IRを測定することについて説明する。
図8に示すように、測定部118は、円形であって大きさが可変である直径WDの測定窓を有している。例えば、測定部118は、図示しない絞り機構等で測定窓の面積を変更することが可能である。
図9に示すように、可変である直径WDは、面積が「小」のとき直径D1、面積が「中」のとき直径D2、面積が「大」のとき直径D3である。つまり、直径D1<直径D2<直径D3の関係を有している。
測定窓は、面積が大きくなることに応じて電流寄与に係わる電荷イオン量も多くなる。つまり、測定部118が当接する位置から水平方向、及び深度方向に略同心円状に広がる影響範囲が、測定窓の面積に応じて広がる。
まず、図8に示すように、電極板100の水平方向に対して、測定窓の面積が「小」のときの影響範囲A1、同面積が「中」のときの影響範囲A2、同面積が「大」のときの影響範囲A3となる。つまり、水平方向に対して、影響範囲A1<影響範囲A2<影響範囲A3の関係を有している。
また、図7に示すように、電極板100の深度方向に対して、測定窓の面積が「小」のときの影響範囲A1、同面積が「中」のときの影響範囲A2、同面積が「大」のときの影響範囲A3となる。つまり、深度方向に対して、影響範囲A1<影響範囲A2<影響範囲A3の関係を有している。よって、測定窓の面積が大きくなることに応じて、DC-IRの測定結果に、電極板100の奥深くまでの情報が含まれることになる。
図9に示すように、例えば、電極板100は、電極板の作成時の異物混入や、電極活物質の充填不足によって抵抗の高い不具合部分を有することがある。こうした不具合部分としては、最表面に生じた不具合部分BP1、電極板の奧に生じた不具合部分BP2、又は電極板の奥深くに生じた不具合部分BP3等がある。通常、電極板100の最表面に生じた不具合部分BP1は目視やインピーダンス測定等で検出可能である。一方、電極板100の奧や、奥深くに生じた不具合部分BP2,BP3は目視やインピーダンス測定等では検出することができない。この点、DC-IR測定は、測定窓の面積を大きくすることによって電極板100の奧や、奥深くの情報を電流の大きさとして取得することができる。よって、従来、検出することのできなかった不具合部分BP2や不具合部分BP3を検出することができるようになる。また、不具合部分BP2や不具合部分BP3が検出されるようになることから、その不具合の発生位置や傾向等から、不具合の発生原因の解析等を行うことができるようにもなる。
なお、測定窓の面積が大きくなると、検出精度や位置特定精度が低下するようになる。そこで、測定点Tgにおいて、相違する測定窓の面積におけるDC-IRの測定結果や、隣接する測定点Tgの測定窓の面積毎のDC-IRの測定結果を考慮する。これにより、電極板100の奧や、奥深くに生じた不具合部分BP2,BP3の検出精度や位置特定精度が高められるようにしている。
続いて、図3に示すように、電極板100に次の測定点Tgが有るか否かが判定される(図3のステップS16)。次の測定点Tgが有ると判定された場合(図3のステップS16でYES)、処理工程がステップS12に戻り、ステップS12でプローブ11が次の測定点Tgに移動され、その後、ステップS13及びステップS14の処理が実行される。
つまり、プローブ11の測定部118と電極活物質層102の測定点Tgとの間の電気的接続を維持した状態で電極活物質層102上において所定のパターンでプローブ11を連続的に走査させることによって、電極活物質層102の面内及び内部における抵抗の分布を測定する。あるいは、プローブ11の測定部118と電極活物質層102の測定点Tgとを断続的に電気的接続し、電極活物質層102上において所定のパターンでプローブ11を走査させることによって、電極活物質層102の面内及び内部における抵抗の分布を測定する。
次の測定点Tgが無いと判定された場合(図3のステップS16でNO)、制御部14は、良否判定部143で電極板100の良否を判定する良否判定工程を行う(図3のステップS17)。
図10を参照して、良否判定工程(図3のステップS17)は、測定点毎の測定値の取得(図10のステップS41)と、インピーダンスに基づく良否判定(図10のステップS42)と、DC-IRに基づく良否判定(図10のステップS43)と、電極板の良否判定(図10のステップS44)とを有している。
測定点毎の測定値の取得(図10のステップS41)では、良否判定部143は、記憶媒体から良否判定に必要となる範囲の測定値を取得する。インピーダンスの測定データは、データ量が多くなることから、判定処理に必要なときに、必要なデータを取得するようにしてもよい。DC-IRの測定データは、測定点Tgの総数×測定窓の面積数であるので、最初に全てのデータを取得してもよいし、判定処理に必要なときに、必要なデータを取得するようにしてもよい。
インピーダンスに基づく良否判定(図10のステップS42)やDC-IRに基づく良否判定(図10のステップS43)では、種々の判定方法のうちから、そのとき必要とされる判定方法を選択することができる。なお、DC-IRの値は、所定の直流電圧に対する直流電流の値に対応することから、DC-IRに基づく判定は、すなわち、直流電流に基づく判定の一態様である。
判定方法の一例としては、良否判定部143は、DC-IRの判定について、複数の測定点Tgに対して取得したDC-IRの値がそれぞれ良品範囲にあるか否かに応じて良品であるか否かを判定することができる。このとき、測定窓の面積毎にDC-IRの値が良品範囲にあるか否かに応じて良品であるか否かを判定することができる。測定窓の面積が「中」や「大」であれば、電極板100の奧の状態に応じて電極板100の良否を判定することができるようになる。また、電極活物質層102の面内及び内部におけるDC-IRの値において、最高値や最低値が良品範囲にあることを条件に電極板100を良品と判定することもできる。
また、良否判定部143は、不具合部分を特定することもできる。具体的には、同一の測定点Tgでの相違する測定窓の面積での測定結果の比較や、異なる測定点Tgでの測定結果の比較に基づいて、不具合部分の位置を特定することもできる。例えば、測定窓の面積が「小」のとき不具合部分が発見できなかったにもかかわらず、同一測定点で測定窓の面積が「大」のとき不具合部分が発見されたとする。このとき、不具合部分は、測定窓の面積が「大」の影響範囲内であり、かつ、測定窓の面積が「小」の影響範囲外にあることを特定することができる。このような、測定窓の面積毎の測定結果を集約することにより、不具合部分の位置を特定することができる。
同様に、インピーダンスの判定について、複数の測定点Tgに対して取得したインピーダンスの値がそれぞれ良品範囲にあるか否かに応じて良品であるか否かを判定することができる。
判定方法の他の例としては、良否判定部143は、複数の測定点Tgに対して取得した複数のDC-IRの値のばらつきを算出し、算出したばらつきが良品範囲内にあるか否かに応じて良品であるか否かを判定することができる。このときも、測定窓の面積が「中」や「大」であれば、電極板100の奧や奥深くに生じた状態に応じて電極板100の良否を判定することができるようになる。
同様に、複数の測定点Tgに対して取得した複数のインピーダンスの値のばらつきを算出し、算出したばらつきが良品範囲内にあるか否かに応じて良品であるか否かを判定することもできる。このとき、ばらつきを比較するのは、インピーダンスの大きさでもよいし、実軸の値の大きさでもよいし、虚軸の値の大きさでもよい。
こうした判定結果は、例えば、エージング処理後の電極における酸化被膜の形成状況の把握や、耐久試験後の電極における抵抗の変化(劣化)解析等に活用することができる。
また、DC-IR測定によって取得することができる情報に、電極板100の水平方向の情報がある。
図8を参照して、例えば、水平方向において測定窓の面積の外側からも、電荷イオンが測定部118の測定窓に回り込むことから、電極板100において測定部118の測定窓に対向していない周囲部分における電荷イオンの測定窓への回り込みに関する情報を取得することが可能になる。一般に、正極板と負極板とが対向していれば、電荷イオンは深さ方向にやり取りされるが、正極板と負極板と相対向していない位置では、電荷イオンが水平方向からも引き寄せられるようになる。一般に、リチウムイオン電池では、正極板よりも負極板が大きいことから正極板に対向しない負極板にある電荷イオンが水平方向に移動する。つまり、正極板に対向しない負極板における、電荷イオンの水平方向の移動に関する特性も把握し、この特性を考慮した上で負極板等が設計されることが好ましい。しかしながら、電荷イオンの水平方向の移動特性は、電極板100の位置による特異差があることが知られており、特異差が考慮されるとより好ましい。この点、本実施形態のプローブ11は、測定窓の面積の対向する部分以外に対して電荷イオンの水平方向の特性を取得することができる。これにより、電極活物質層102の均一性の確認や負極板の正極板に非対向な部分における電荷イオンの水平方向の移動特性を取得することができる。また、測定窓の面積の大きさを変えることによって、電極活物質層102の均一性の確認や、非対向な部分における電荷イオンの水平方向の移動特性をより詳しく取得することができるようになる。
つまり、DC-IR測定によって、電極板100の電荷イオンの移動特定について、電極板100の深度方向の特性を得られるのみならず、電極板100の水平方向の特性も得られるようになる。さらに、測定窓の面積の大きさを相違させたDC-IR測定によって、深度方向や水平方向の特性をより詳細に得ることができるようになる。
続いて、図3に示すように、電極板マップを作成する電極マップ作成工程を行う(図3のステップS18)。電極板マップを作成工程では、制御部14は、測定窓の面積毎にDC-IRの値を電極板100の測定点Tgに対応付けて、電極板100におけるDC-IRの分布マップを作成する。分布マップは、上述した、不具合部分を見つけることに利用できるので、その不具合の発生位置や傾向等から、不具合の発生原因の解析等を行うことができるようになる。
そして、電極マップ作成工程(図3のステップS18)が終了すると、電気的特性の良否判定の処理が終了される。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1-1)電極板100の測定点TgのDC-IRを測定することができるとともに、測定後の測定点Tgを測定前の充電状態に戻すことができる。元に戻すことによって他の測定点TgのDC-IRも適切に測定することができることになり、電極板100の全体についてDC-IRの分布を得ることができる。よって、二次電池の電極板100の詳細な状態を、より的確に検査することができる。なお、DC-IRの測定は、充電時に行ってもよいし、放電時に行ってもよい。
(1-2)充電電圧や放電電圧を、DC-IRの測定に適した電圧に設定したり、電気量を戻すことに適した電圧に設定したりすることができる。
(1-3)異なる測定点Tgの直流電流(DC-IR)を比較することによって電極板100の各測定点Tgにおける電流に関する状態を判定することができる。つまり、電極板100において電流に対する特性の良否の分布を判定することができるようになる。
(1-4)測定点Tgに対する充電電圧及び放電電圧の調整によって、充電を行った後の放電で電気量が戻される、又は、放電を行った後の充電で電気量が戻されるようになる。
(1-5)測定窓の面積の影響が反映されて測定点Tgに対するDC-IRが測定することができる。測定窓の面積は大きくなると深い深度の影響が含まれるようになる。よって、測定窓の面積が大きければ、表面に近い範囲の状態を測定するインピーダンス測定では得られない深度の特性が得られる。また、複数の面積で測定することで、不具合部分の存在する深度を取得することもできる。
(1-6)絞り機構等により測定窓の開口している面積が変更しやすい。測定が容易になる。
(1-7)二次電池の特性モデルにフィッティングするので、電極板100に対して取得されたインピーダンスの分布に基づく電池モデルと、測定結果とを対比することができる。また、このような対比結果に基づいて電極板100の劣化状態を判定することができる。
(第2の実施形態)
図11~図24に従って、電極板検査装置及び電極板検査方法の第2の実施形態を説明する。
本実施形態は、電極板の過渡状態のインピーダンスを測定する点が第1の実施形態と相違する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を割愛する。例えば、二次電池の正極である電極板100、プローブ11、載置部12、抵抗成分測定部13は、第1の実施形態と同様の構成を有している。なお、抵抗成分測定部13は、電極板100の測定点Tgを充放電させる所定の電流量を、電極板100の測定点Tgの定格の電流量(1C)よりも少ない電流量(例えば、0.1C)から、1Cよりも大きい電流量(例えば、10Cや20C)までの間で選択することができる。
図11に示すように、電極板検査装置120は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質を有する二次電池の電極板100の平衡状態インピーダンス及び過渡状態インピーダンスを測定するとともに、電極板100の抵抗成分から得られる過渡状態特有成分を測定する。
なお、本実施形態ではプローブ11は、測定窓の大きさ(直径WD(図8参照))が活物質粒子の粒子径に対応する大きさである5μm程度、具体的には、活物質粒子の粒子径の2倍以下の大きさに設定されている。これにより、活物質粒子の1粒子における挙動、すなわち活物質そのものにおける過渡的な特性による電気化学現象を測定することができるようになる。
(制御部30)
電極板検査装置を構成する制御部30について説明する。制御部30は、第1の実施形態に記載する制御部14の機能を有している。すなわち、プローブ11は、制御部30からの信号に基づいて垂直方向Zに昇降移動し、載置部12上に設置された検査対象(電極活物質層102の一部)と電気的に接続可能に構成されている。また、載置部12は、制御部30からの信号に基づいて、図示しない駆動モータによって水平方向(図1の方向X及び方向Yの矢印の方向)に移動可能に構成されている。
制御部30は、電極板100の平衡状態のインピーダンス、過渡状態のインピーダンス、及び過渡状態特有成分を測定する。ここで、過渡状態特有成分とは、電極板100が充放電されている過渡状態にある場合にインピーダンス測定に基づいて得られる成分である。電極板100が一定の電圧に維持されている平衡状態にあるとき、電極板100の活物質は電気的に均一な状態にある。一方、電極板100が過渡状態にあるとき、電極板100の活物質は一時的に電気的に不均一な状態にある。すなわち、電極板100を構成する個々の活物質において、活物質の表面と内部とで電位等にむらがあったりする。一般的に、活物質における、こうした電位等のむらが素早く解消される場合、電極板性能が良好である一方、電位等のむらの解消に時間を要する場合、電極板性能が不良であると判定することができる。そこで、本実施形態では、電極板100の過渡状態であるときに測定されるインピーダンスに基づいて得られる過渡状態特有成分に基づいて電極板状態の良否を判定する。
制御部30には、電極板100に直流電流及び交流電流を供給する抵抗成分測定部13が接続されている。
(抵抗成分測定部13)
抵抗成分測定部13は、充電や放電によって電極板100の全体、又は測定点Tg等の一部の充電状態(SOC:State of Charge)を調整する。SOCは、電極板100の総容量に対する充電電気量の割合[%]であることから「充電電気量=電極板の総容量×SOC」の関係を有する。以下では、説明の便宜上、充電電気量とSOCとの両方を用いて説明する。
抵抗成分測定部13は、ポテンショ/ガルバノスタットの充放電電流に、周波数応答アナライザの交流電流を重畳させることができる。よって、抵抗成分測定部13は、制御部30に、充電又は放電が継続されている過渡状態の電極板100についての過渡的なインピーダンスである過渡状態インピーダンスを測定させることができる。
抵抗成分測定部13は、平衡状態のインピーダンスを測定するとき、図14(a)のグラフL11に示される交流波を継続して流す。また、抵抗成分測定部13は、過渡状態のインピーダンスを測定するとき、選択された所定の電流量を、図17(a)のグラフL31に示される矩形波として、充放電の開始から終了まで継続して流すことができる。抵抗成分測定部13は、1Cよりも大きな直流電流を電極板100に流すことによって、平衡状態のインピーダンスに対する差が大きい過渡状態のインピーダンスを測定することができるようになる。また、抵抗成分測定部13は、1Cよりも大きな直流電流を電極板100に流すことによって電極板100が過渡状態である期間を長く維持することができる。なお、平衡状態のインピーダンスと過渡状態のインピーダンスとの差を大きくするためには、電極板100を10C以上、好ましくは、20C以上で充電するとよい。
抵抗成分測定部13は、複素インピーダンス測定用の交流電流を電極板100に供給する機能を有している。抵抗成分測定部13は、設定された振幅、かつ、設定された周波数に対応する交流電流を生成して、この生成した交流電流を電極板100に印加することができる。また、抵抗成分測定部13は、交流電流の周波数をスイープさせることができ、測定周波数を上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲内で上限値又は下限値に到達するまで一方向に変化させる。上限値と下限値とは、相違する値であって、上限値に相対的な高周波数が、下限値に相対的な低周波数が設定される。例えば、抵抗成分測定部13は、所定の大きさの振幅を有する交流電流を、上限値である10kHzから下限値である1Hzまで、10秒で変化する交流電流として出力する。
なお、交流電流は、1周期中には、周波数が変化しないことが好ましい。また、所定の周波数範囲は、過渡状態のインピーダンスを測定することができるのであれば、上限値が10kHzよりも高くてもよいし、下限値が1Hzよりも低くてもよい。但し、下限値は、1周期中に、直流電流による過渡状態の程度を変化させない周波数以上であることが好ましい。また、下限値を低くすると測定に要する時間の増加が大きくなるため、電極板100を過渡状態に維持することのできる期間にもよるが、例えば、1Hz以上であることが好ましい。
抵抗成分測定部13は、過渡状態インピーダンスを測定することができるように、直流電流の電流量と、交流電流の振幅の大きさとが定められている。電極板100の種類や特性によって、充放電が過渡状態にある時間の長さが相違するが、例えば、抵抗成分測定部13では、直流電流の電流量は、交流電流の振幅の大きさの2倍以上であるとよく、10倍以上であると好ましく、25倍以上であるとより好ましい。
抵抗成分測定部13は、制御部30によって直流電流の電流量や電圧、交流電流の振幅、電圧、周波数の上限値や下限値、スイープの期間等が設定される。また、抵抗成分測定部13は、制御部30から入力される直流電流の出力開始信号及び出力停止信号、交流電流の出力開始信号及び出力停止信号に応じて直流電流や交流電流の出力や停止を行う。
逆に、抵抗成分測定部13は、出力する直流電流の設定値や現在値、出力する交流電流の設定値や現在値を制御部30に出力する。また、抵抗成分測定部13は、電極板100に対して測定した交流電圧、直流電圧及びインピーダンスに対応する信号を制御部30に出力する。
制御部30は、抵抗成分測定部13から入力する信号から直流電流及び交流電流の設定情報等を取得する。
制御部30は、電極板100の過渡状態特有成分を測定するための算出処理を行う処理部40と、電極板100の過渡状態特有成分の測定に用いられるデータを保持する記憶部50とを備える。
(記憶部50)
記憶部50は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、各種データを保持する。本実施形態では、記憶部50は、過渡状態特有成分を測定するために必要とされるパラメータ51と電極板状態の判定を行うための判定用データ52とを保持している。判定用データ52としては、予め実験や経験、理論的に定められた電極板100の良否を過渡状態特有成分に基づいて判定する判定閾値(例えば図24参照)等が設定されている。
(処理部40)
処理部40は、第1の実施形態の制御部14と同様であり、CPUやROM、RAM等で構成されたマイクロコンピュータを含んで構成される。処理部40は、制御部30が取得した電圧、電流、測定周波数、インピーダンス等の情報を利用することができる。また、処理部40は、記憶部50と接続されており、記憶部50との間でデータの授受が可能である。処理部40は、例えばROMやRAMに保持された各種プログラムをCPUで実行することにより処理部40における各種処理を実行する。
処理部40は、電極板100のSOCを調節する第1の調整部としてのSOC調節部41を備える。また、処理部40は、平衡状態である電極板100のインピーダンスを平衡状態インピーダンスとして測定する平衡状態インピーダンス測定部42と、過渡状態である電極板100のインピーダンスを過渡状態インピーダンスとして測定する過渡状態インピーダンス測定部43とを備える。なお、平衡状態インピーダンス測定部42は、平衡状態インピーダンス取得部を構成し、過渡状態インピーダンス測定部43は、過渡状態インピーダンス取得部及び第2の調整部を構成する。また、処理部40は、ナイキスト線図を作成するナイキスト線図作成部44と、インピーダンスの測定結果を等価回路にフィッティングして等価回路の抵抗成分を算出する特有成分算出部としてのパラメータ算出部45と、電極板状態を判定する判定部48とを備える。
SOC調節部41は、電極板100の全体のSOCを、平衡状態インピーダンスの測定や過渡状態のインピーダンスの測定等に適切なSOC等に調整する。SOC調節部41は、抵抗成分測定部13に対して電流の充放電の指示を行うことで、電極板100を所定のSOCに調整する。SOC調節部41は、電極板100を周知の方法で測定することでSOCを算出したり、充放電している電気量の積算に基づいてSOCを算出したりする。
平衡状態インピーダンス測定部42は、電極板100が平衡状態である間に測定周波数で測定されたインピーダンスである平衡状態インピーダンスを測定する処理(平衡状態インピーダンス測定工程)を行う。平衡状態インピーダンス測定部42は、電極板100が平衡状態となるように抵抗成分測定部13に直流電流の充放電を指示するとともに、測定用の交流電流の供給や停止を指示する。平衡状態インピーダンス測定部42は、測定の開始から終了までの間に測定されたインピーダンスZを抵抗成分測定部13から取得する。インピーダンスZの単位は[Ω](オーム)である。インピーダンスZは、そのベクトル成分である実数成分Zr[Ω]及び虚数成分Zi[Ω]によって式(1)のように示される。なお、「j」は虚数単位である。以下、単位[Ω]は省略する。
Z=Zr-jZi…(1)
過渡状態インピーダンス測定部43は、電極板100が過渡状態である間に測定周波数で繰り返し測定されたインピーダンスである過渡状態インピーダンスを測定する処理(過渡状態インピーダンス測定工程)を行う。過渡状態インピーダンス測定部43は、電極板100が過渡状態となるように抵抗成分測定部13に直流電流の充放電を指示するとともに、測定用の交流電流の供給や停止を指示する。過渡状態インピーダンス測定部43は、測定の開始から終了までの間に測定されたインピーダンスZを抵抗成分測定部13から取得する。
ナイキスト線図作成部44は、測定周波数に含まれる複数の周波数のそれぞれのインピーダンスZに基づいて、それらのベクトル成分である実数成分Zrと虚数成分Ziとからナイキスト線図を作成する。
ナイキスト線図作成部44は、横軸が実数軸、縦軸が虚数軸である複素平面にインピーダンス曲線L2(図2参照)を作成する。なお、インピーダンス曲線L2は、所定のSOCに維持されている平衡状態の電極板100に対応するナイキスト線図の一例である。インピーダンス曲線L2は、インピーダンスZの実数成分Zr及び虚数成分Ziの大きさが複素平面にプロットされたものである。このインピーダンス曲線L2は、抵抗成分測定部13から電極板100に供給される交流電流の測定周波数を変化させて、周波数毎に測定されたインピーダンスZによるものである。
例えば、図2に示すインピーダンス曲線L2によれば、「拡散領域d」に対応する周波数範囲は「0.1Hz」以下であり、「反応抵抗領域c」に対応する周波数範囲は「0.1Hz」より大きく「100Hz」以下である。また、「溶液抵抗領域b」に対応する周波数範囲は「100Hz」及びその近傍、「回路抵抗領域a」に対応する周波数範囲は「100Hz」よりも高い。
また、図11を参照して、ナイキスト線図作成部44は、複素平面に作成した過渡応答インピーダンスのインピーダンス曲線L41,L42等(図18参照)を3次元で表す処理を行う。ナイキスト線図作成部44は、複素平面に時間軸を追加する時間軸追加処理(図19参照)、追加した時間軸をSOCに変換する軸変換処理(図20参照)、及び、特定のSOC(充電電気量)におけるナイキスト線図を推定する推定処理(図21参照)を行う。
図19に示すように、ナイキスト線図作成部44は、時間軸追加処理では、測定時間を示す時間軸を追加することで複素平面を三次元化する。二次元の複数のインピーダンス曲線L41,L42(図18参照)を構成する測定点は、測定時間が過渡応答インピーダンスを測定するとき、併せて取得されている。例えば、測定周波数で過渡応答インピーダンスが9回測定されたとき、グラフには、時間t0~t8から測定が開始されたナイキスト線図L51~L59が表される。なお、ナイキスト線図L50は、測定タイミングが測定結果に影響を及ぼさないため、複素平面に二次元で表現すれば充分であるときのインピーダンス曲線の例を示している。
図20に示すように、ナイキスト線図作成部44は、軸変換処理では、時間軸の時間t0~t8に、電極板100のSOCの値c0~c8を対応付ける。過渡状態のインピーダンス測定では、充放電される電流量が定まっているため、充放電の開始からの経過時間に対応する電極板100のSOCを算出することができる。
図20及び図21に示すように、ナイキスト線図作成部44は、推定処理では、ある特定のSOCであるとき、測定周波数(上限値から下限値までの範囲)で測定される過渡応答インピーダンスを推定する。例えば、図20において、ナイキスト線図L51~L59は、相互に同一の周波数の測定点を線LCで結ぶことで、2つの測定点の間にあるSOCに対するインピーダンスを線LC上に推定させることができる。例えば、測定点を結んだ線LCと各SOCに対応する複素平面に平行な平面との交点が、各SOCに対して推定された過渡応答のインピーダンス曲線L6として推定される。このようにして、特定のSOCの値cxに対応して推定された過渡応答のインピーダンス曲線L71(図21参照)が得られる。すなわち、過渡状態の電極板100に対して、測定周波数が繰り返されることで測定された過渡状態インピーダンスから、特定のSOCにおけるインピーダンス曲線L71(ナイキスト線図)が取得される。
パラメータ算出部45は、等価回路GC(図15参照)を電極板100に対応する等価回路として設定する。パラメータ算出部45は、第1の実施形態のフィッティング部141と同様に、等価回路GCに、インピーダンスの測定結果をフィッティングさせることで、等価回路に設定された各種パラメータを算出する。また、パラメータ算出部45は、平衡状態インピーダンスにフィッティングされた等価回路のパラメータと、過渡状態インピーダンスにフィッティングされた等価回路のパラメータとに基づいて過渡状態特有成分を取得する(特有成分算出工程)。等価回路のパラメータは、電極板状態を示す一態様である。
図15に示すように、電極板100の特性を示す等価回路GCの一例は、インダクタンスL1と、抵抗R1と、抵抗R2及び容量C2の並列回路と、直列接続された抵抗R3及び拡散抵抗Wo1に並列接続された容量C1からなる並列回路とが直列接続された直列回路から構成されている。等価回路GCの各受動素子の値がそれぞれ等価回路GCのパラメータを構成している。
フィッティング解析では、設定された等価回路GCを、インピーダンス曲線(例えば、図2のインピーダンス曲線L2)にフィッティングさせる。このフィッティング解析によって、等価回路GCの周波数応答をインピーダンス曲線に等価にさせるパラメータが等価回路GCの各受動素子に設定される。
また、図23に示すように、パラメータ算出部45は、過渡状態特有成分を取得する。パラメータ算出部45は、特定のSOCを定め、その定めた特定のSOCにおける平衡状態インピーダンスにフィッティングされた等価回路GCのパラメータを算出する。また、パラメータ算出部45は、特定のSOCに対して推定された過渡状態インピーダンスにフィッティングされた等価回路GCのパラメータを算出する。そして、パラメータ算出部45は、平衡状態インピーダンスに対応する等価回路GCのパラメータと、過渡状態インピーダンスに対応する等価回路GCのパラメータとの差に基づいて過渡状態特有成分を取得する。
例えば、パラメータ算出部45は、図23のグラフL83に示すように、平衡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R3の値と、過渡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R3の値との差を過渡状態特有成分ΔR3として算出する。なお、同様に、パラメータ算出部45は、図23のグラフL81に示すように、平衡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R1の値と、過渡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R1の値との差を過渡状態特有成分ΔR1として算出してもよい。また、パラメータ算出部45は、図23のグラフL82に示すように、平衡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R2の値と、過渡状態インピーダンスに対応する等価回路GCの抵抗R2の値との差を過渡状態特有成分ΔR2として算出してもよい。
図11に示すように、判定部48は、過渡状態特有成分ΔR3と電極板100の劣化状態を判定する判定閾値とを比較して、過渡状態特有成分ΔR3が判定閾値以上であれば電極板100が劣化していると判定し、過渡状態特有成分ΔR3が判定閾値未満であれば電極板100が劣化していないと判定する。図24のグラフL91に示すように、電極板100は、使用期間が長くなったり、使用回数が増えたりすることで劣化が進行すると、過渡状態特有成分ΔR3(抵抗値)が高くなる傾向にある。つまり、電極板100は、過渡状態特有成分ΔR3の大きさが判定閾値未満であれば、使用が適切である使用OK範囲にあり、逆に、過渡状態特有成分ΔR3の大きさが判定閾値以上であれば、使用が不適切である使用NG範囲にあることとなる。このような判定閾値は、経験や実験より定められる。
なお、判定部48は、過渡状態特有成分ΔR2又は過渡状態特有成分ΔR1と、電極板100の劣化状態を判定する判定閾値とを比較して、電極板100の劣化を判定するようにしてもよい。このとき、図23に示すように、等価回路GCの各抵抗R3,R2,R1に対応する各過渡状態特有成分ΔR3,ΔR2,ΔR1は「ΔR3>ΔR2>ΔR1」の関係にある。このことから、これら過渡状態特有成分ΔR3,ΔR2,ΔR1と比較する電極板100の劣化状態を判定する判定閾値も、各抵抗R3,R2,R1のそれぞれに対応する相互に異なる値として設定される。
また、制御部30は、電極板状態の判定結果を電極板100の劣化に関する測定結果として外部に出力することができる。
(電極板状態判定処理)
次に、制御部30において、過渡状態特有成分の測定に基づいて行われる電極板状態判定処理の手順を説明する。
電極板状態判定処理は、電極板状態の判定が必要とされることに応じて、自動的に、又は外部からの指示に応じて開始される。また、電極板状態は、電極板100が充電されるときであっても、放電されるときであっても同様に測定することができる。以下では、電極板100が放電されるときに電極板状態を判定する場合について説明し、説明の便宜上、電極板100が充電されるときに電極板状態を判定する場合についての説明は割愛する。
図12を参照して、電極板検査装置120で各測定点Tgの測定値に基づいて、各測定点Tgの状態の一例である電気的特性の良否判定の処理手順について説明する。
電気的特性の良否判定処理は、初期値設定工程(図12のステップS11)と、移動工程(図12のステップS12)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、平衡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13A)と、過渡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13B)と、次の測定点Tgがあるか否かの判定(図12のステップS16)とを備えている。また、電気的特性の良否判定処理は、電極板100の電気的特性の良否を判定する状態判定工程(図12のステップS171)と、電極板マップ作成工程(図12のステップS18)とを備えている。
初期値設定工程(図12のステップS11)は、第1の実施形態と同様の構成を含み、電極板100の特性モデルとして等価回路GCが選択される。また、等価回路GCの各パラメータに予め定められた初期値が設定される。また、最初の測定点Tgと、電極板100上の測定点Tgの移動順(走査順)が定められる。また、過渡状態インピーダンス測定のとき、放電電気量と充電電気量とが同じ電気量になるように、放電電流及び放電時間と、充電電流及び充電時間とが定められる。
移動工程(図12のステップS12)は、第1の実施形態と同様である。
(平衡状態インピーダンス取得工程)
図13に示すように、制御部30は、平衡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13A)が開始されると、SOC調節部41で、電極板100のSOCを取得し、電極板100の全体のSOCを、測定用のSOCに調整するSOC調整工程(図13のステップS120)を行う。制御部30は、電極板100の全体のSOCが測定用のSOCに調整されると、平衡状態インピーダンス測定工程(図13のステップS121)で平衡状態インピーダンスの測定を行う。制御部30は、平衡状態インピーダンスの測定では、特定のSOCに調節された電極板100に平衡状態インピーダンス測定用の交流電流を印加させて、応答電圧を取得する。このとき印加される交流電流は、図14(a)のグラフL11に示す交流電流であり、応答電圧は、図14(b)のグラフL12に示す電圧として得られる。なお、交流電流を印加するとき、充放電用の直流電流は印加しない。
図13に示すように、制御部30は、応答電圧を取得すると、電極板100のSOCを再調整するか否かを判定する(図13のステップS122)。測定用SOCは、例えば、40%から60%まで5%毎と設定されており、全ての測定用SOCについてSOCが測定されるまで電極板100の全体のSOCの再調整が必要とされ、全ての測定用SOCについて平衡状態インピーダンスが測定されるとSOCの再調整が不要とされる。
制御部30は、SOC再調整が必要であると判定すると(図13のステップS122でYES)、処理をSOC調整工程に戻して、次の測定用SOCに調整された電極板100の平衡状態インピーダンスの測定を行う。
制御部30は、SOC再調整が不要であると判定すると(図13のステップS122でNO)、測定用SOC毎のナイキスト線図の作成をナイキスト線図作成工程(図13のステップS123)で行う。平衡状態インピーダンスから、インピーダンス曲線L2(図2の参照)に示すようなナイキスト線図が作成される。また、制御部30は、作成されたナイキスト線図を解析して、図15に示す等価回路GCにフィッティングさせることで等価回路GCのパラメータを算出するパラメータ算出工程(フィッティング)を行う(図13のステップS124)。そして、制御部30は、パラメータ算出工程が終了すると、平衡状態インピーダンス取得工程を終了する。
(過渡状態インピーダンス取得工程)
次に、制御部30は、過渡状態インピーダンス取得工程(図12のステップS13B)を開始する。
まず、図16に示すように、制御部30は、SOC調節部41で、電極板100のSOCを取得し、電極板100のSOCを必要に応じて調整するSOCの第1の調整工程(図16のステップS130)を行う。制御部30は、SOC調整工程で電極板100のSOCが調整されると、過渡状態インピーダンス測定工程(図16のステップS131)で過渡状態インピーダンスの測定を1サイクル分実行する。ここで、1サイクルは、交流電流の測定周波数が測定周波数の範囲を、始点としての上限値から終点としての下限値まで、始点から終点に向かう一方向に変化することである。過渡状態インピーダンスの測定では、電極板100に過渡状態インピーダンス測定用の交流電流を印加して、その応答電圧を取得する。このとき印加される交流電流は、図17(a)のグラフL31に示す交流電流であり、直流電流を所定の電流量で放電しつつ、直流電流よりも小さい大きさの交流電流を重畳させた電流であり、応答電圧は、図17(b)のグラフL32に示す電圧として得られる。詳述すると、グラフL32は、電極板100が所定の電流量の直流電流で放電されて電圧降下しつつ、測定用の交流電流に対する応答電圧が重畳した電圧として得られる。
図16に示すように、過渡状態インピーダンス測定工程(図16のステップS131)において、測定周波数の1サイクルが終了すると、次のサイクルを実行するか否かを判定する(図16のステップS132)。サイクルは、電極板100が目標のSOCに近づくまで繰り返し実行することができる。
制御部30は、次のサイクルを実行すると判定したとき(図16のステップS132でYES)、図16のステップS131に処理を移し、過渡状態インピーダンス測定工程(1サイクル)を実行する。
一方、制御部30は、次のサイクルを実行しないと判定したとき(図16のステップS132でNO)、抵抗成分測定部13で、測定点の充電電気量を充電により過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整するSOCの第2の調整工程を行う(図16のステップS230)。SOCの第2の調整工程では、過渡状態インピーダンス測定部43が抵抗成分測定部13を介して、測定点の充電電気量を元に戻すことで、過渡状態インピーダンスの測定による測定点の充電電気量の変化が、次に測定する測定点の測定結果に影響を与えるおそれを低減させるようにしている。
また、制御部30は、ナイキスト線図作成部44で、ナイキスト線図の作成処理を行う(図16のステップS133~S136)。
詳述すると、制御部30は、ナイキスト線図の作成処理では、ナイキスト線図作成工程(二次元)(図16のステップS133)と、時間軸を追加するナイキスト線図作成工程(時間軸追加)(図16のステップS134)と、時間軸をSOC軸に変換するナイキスト線図作成工程(SOC軸変換)(図16のステップS135)とを実行する。また、制御部30は、平衡状態インピーダンスを測定したSOCのうちから特定のSOCを選択し、選択した特定のSOCに対応するインピーダンス曲線を推定するナイキスト線図作成工程(同一SOC推定)(図16のステップS136)を実行する。
図18に示すように、制御部30は、ナイキスト線図作成工程(二次元)(図16のステップS133)では、サイクル毎に1つのナイキスト線図を作成する。例えば、図18のインピーダンス曲線L41は、時間t0(図19参照)から開始したサイクルのナイキスト線図であり、インピーダンス曲線L42は、時間t8(図19参照)から開始したサイクルのナイキスト線図である。そして、インピーダンス曲線L41とインピーダンス曲線L42とに挟まれる範囲には、時間t1~t7のそれぞれから開始されたサイクルのナイキスト線図がそれぞれ配置される。
図19に示すように、制御部30は、ナイキスト線図作成工程(時間軸追加)(図16のステップS134)では、図18で示したナイキスト線図に実数軸及び虚数軸に直交する時間軸を追加してナイキスト線図を三次元で表す。1サイクルにおいては、測定周波数が上限値から下限値まで移動するまで時間を要するため、ナイキスト線図L51~L59は、周波数が低くなるにつれて時間が経過する方向に移動するグラフとなる。図19において上方に曲がる曲線となる。なお、ナイキスト線図L50は、時間経過を考慮しない場合の例である。
図20に示すように、制御部30は、ナイキスト線図作成工程(SOC軸変換)(図16のステップS135)では、時間軸をSOC軸に換算する。電極板100のSOCは、測定開始時である時間t0における電極板100のSOCが値c0であり、直流電流の放電量と時間t0からの経過で算出される電気量を減算することで算出される。よって、図20のナイキスト線図の時間軸には、放電電気量で変化するSOCの値(例えば、値c0~c8)を対応付けることができる。このとき、各ナイキスト線図L51~L59の間を補完することで、測定されていないSOCに対応するインピーダンスを推定する。
図21に示すように、制御部30は、ナイキスト線図作成工程(同一SOC推定)(図16のステップS136)では、SOCを一定としたときの過渡応答インピーダンスに対応するナイキスト線図L6を作成し、これら作成したナイキスト線図L6から、測定対象とする特定のSOCに対応するナイキスト線図L71を選択する。これにより、SOCが変化する過渡状態の電極板100から測定された過渡状態インピーダンスから、特定のSOCのナイキスト線図L71が得られるようになる。
そして、図16に示すように、制御部30は、特定のSOCに対して推定されたナイキスト線図を解析して、等価回路GC(図15参照)にフィッティングさせることで等価回路GCの各パラメータを算出するパラメータ算出工程を行う(図16のステップS137)。制御部30は、パラメータ算出工程が終了すると、過渡状態インピーダンス取得工程を終了する。
次の測定点Tgがあるか否かの判定(図12のステップS16)は、第1の実施形態と同様である。
次に、図12に示すように、電極板100の電極板状態を判定する状態判定工程(図12のステップS171)が開始される。
図22に示すように、制御部30は、状態判定工程(図12のステップS171)が開始されると、特定のSOCに対応する、平衡状態インピーダンスに基づく等価回路GCのパラメータ選択(図22のステップS140)と、過渡状態インピーダンスに基づく等価回路GCのパラメータ選択(図22のステップS141)とを行う。
次に、制御部30は、パラメータ算出部45で、過渡状態特有の抵抗成分の算出を行う(図22のステップS142)。つまり、制御部30は、平衡状態の等価回路GCの抵抗R3の値と、過渡状態の等価回路GCの抵抗R3の値との差である過渡状態特有成分ΔR3を算出する(図23参照)。
続いて、制御部30は、判定部48で、電極板状態の劣化を判定する状態判定処理を行う(図22のステップS143)。状態判定処理では、算出された過渡状態特有成分ΔR3が、電極板100の劣化指標として設定された判定閾値以上であれば電極板100が劣化していると判定し、判定閾値未満であれば電極板100は劣化していないと判定をする。
電極板マップ作成工程(図12のステップS18)では、制御部14は、測定窓の面積毎に過渡状態特有成分に基づく劣化の判定結果を電極板100の測定点Tgに対応付けて、電極板100における劣化の分布マップを作成する。分布マップは、不具合部分を見つけることに利用できるので、その不具合の発生位置や傾向等から、不具合の発生原因の解析等を行うことができるようになる。
以上により、電極板状態判定処理の手順が終了する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(2-1)電極板100の測定点Tgが過渡状態であることに起因する電極板状態を示す過渡状態特有成分を、過渡状態のインピーダンスと平衡状態のインピーダンスとに基づいて算出することができるとともに、測定後の測定点Tgを測定前の充電状態に戻すことができる。元に戻すことによって他の測定点Tgの過渡状態特有成分も適切に測定することができることになり、電極板100の全体について過渡状態特有成分の分布を得ることができる。よって、インピーダンス測定に基づいて二次電池の電極板100の過渡状態における電極板状態を測定することができる。なお、過渡状態特有成分の測定は、充電時に行ってもよいし、放電時に行ってもよい。
(2-2)プローブ11の開口径(直径WD)を活物質粒子の粒子径レベルまで小さくすることで、活物質粒子の1粒子における挙動、すなわち活物質そのものにおける過渡的な特性による電気化学現象を測定することができるようになる。
(2-3)直流電流を矩形波とすることで電極板の充電電気量の変化を算出するのが容易である。
(2-4)電池状態を、過渡状態特有成分と電極板100の劣化を測定することができる判定閾値とを比較することで判定することができる。
(2-5)測定周波数が始点(上限値)から終点(下限値)の方向に変化するので連続的な周波数特性を把握しやすい。また、測定周波数としても生成しやすく、測定しやすい。また、測定周波数を電極板100が過渡状態にある応答期間よりも短くなる間隔、例えば10秒で繰り返して過渡状態のインピーダンスを測定することができる。
(2-6)上限値を10kHz以下、下限値を1Hz以上とすることで、電極板100が過渡状態であるうちに、同じ周波数のインピーダンスを複数回測定することができるようになる。これにより、電極板100が過渡状態であるときの過渡状態のインピーダンスを電極板100の充電電気量の変化毎に測定することができるようになる。
(2-7)交流電流の振幅の大きさを、例えば2倍や10倍、又は25倍以上とすれば、直流電流で電極板を過渡状態とさせることができるとともに、電極板の過渡状態に影響の無い交流電流で過渡状態のインピーダンスを測定することができる。
(2-8)過渡状態特有成分が過渡状態の等価回路GCの抵抗成分と平衡状態の等価回路GCの抵抗成分とのうちの相互に対応する抵抗成分同士(例えば、抵抗R3の値)の差(過渡状態特有成分ΔR3)として算出される。これにより、平衡状態に起因する要因を低減し、過渡状態における電極板状態を抽出して測定することができるようになる。
(2-9)電極板100のSOCが特定のSOCであるときの過渡状態の等価回路GCの抵抗成分と平衡状態の等価回路GCの抵抗成分とを対象とするので対応する抵抗成分同士の差を好適に算出することができる。
(2-10)充電又は放電によって電極板100のSOCが変化するなかで測定される過渡状態のインピーダンスから、特定のSOCでは測定できていない周波数における過渡状態のインピーダンスを推定することができる。よって、フィッティングにより得られる等価回路GCの抵抗成分の精度を高めることができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第2の実施形態では、測定窓の大きさ(直径WD)が活物質粒子の粒子径の2倍以下の大きさ(5μm程度)であるプローブ11を用いて電気的特性の良否判定処理が行われる場合について例示した。しかしこれに限らず、測定窓の大きさが粒子径の2倍以下の大きさのプローブを第1のプローブとし、第1のプローブよりも面積が2倍以上大きなプローブを第2のプローブとしてもよい。例えば、第2のプローブは、測定窓の直径が7.2μm程度であってもよいし、100μm程度であってもよいし、1mm程度であってもよい。なお、測定部118は絞り機構等でプローブの測定窓の面積を変更可能であってもよいし、測定窓の面積毎に測定部を切り替えたり、測定窓の面積が異なるプローブを切り替えたりしてもよい。
ここでは、電極板検査装置120が2つの大きさの測定窓で電極板の過渡状態特有成分を測定できるときの処理について説明する。先ず、電極板検査装置120は、第2のプローブで電極板全体に対して電極板状態判定処理(図12参照)を行うことで、電極板における不良箇所を大まかに判定する。次に、電極板検査装置120は、第1のプローブで大まかに判定された不良箇所に対して電極板状態判定処理(図12参照)を行うことで、電極板における不良箇所を活物質粒子レベルで判定する。
これにより、測定窓の面積が大きな第2のプローブにより絞り込んだ測定範囲を測定窓の面積の小さい第1のプローブで測定することができて、測定面積の小さい第1のプローブによる測定を必要な箇所に迅速に行うことができるようになる。
・上記第2の実施形態では、平衡状態インピーダンス取得工程と、過渡状態インピーダンス取得工程とを行ってから測定点の移動を行う場合について説明した。しかしこれに限らず、測定点を移動させながら平衡状態インピーダンス取得工程を行い、次に、測定点を移動させながら過渡状態インピーダンス取得工程を行ってもよい。
なお、測定点を移動させながら平衡状態インピーダンス取得工程を行う場合、各測定点で電極板のSOCを調節するのではなく、1つのSOCに調整された電極板において全ての測定点を測定後に電極板を次のSOCに調整して測定を行うようにしてもよい。
・上記第2の実施形態では、測定部118は絞り機構等で測定窓の面積を変更可能であってもよいし、測定窓の面積が異なるプローブを切り替えたりしてもよい。
・上記第2の実施形態では、平衡状態インピーダンスを測定してから、過渡状態インピーダンスを測定する場合について例示したが、これに限らず、過渡状態インピーダンスを測定してから平衡状態インピーダンスを測定してもよいし、過渡状態インピーダンスと平衡状態インピーダンスとを交互に測定してもよい。
・上記第2の実施形態では、図15に示される構成を有する等価回路GCが設定される場合について例示した。しかしこれに限らず、等価回路は、インピーダンスに基づいて電池を模式化することができる構成を有するものであればよい。
・上記各実施形態では、電極板良否判定工程(図3のステップS17)又は電極板状態判定工程(図12のステップS171)の後に、電極板マップ作成工程(図3や図12のステップS18)を行う順で例示したが、電極板マップ作成工程は、電極板良否判定工程と同時に行われてもよいし、電極板良否判定工程よりも前に行われてもよい。
・上記各実施形態において、電極板100の良否判定がなされるのであれば、電極板マップ作成工程(図3や図12のステップS18)がなくてもよい。つまり、電極板マップの作成が明示的に行われなくてもよい。
・上記第1の実施形態では、測定部118は複数の測定窓の面積を有する場合について例示したが、深度方向の状態を測定することができる1つの面積のみを備えていてもよい。
・上記第1の実施形態では、測定部118は絞り機構等で測定窓の面積を変更可能である場合について例示したが、これに限らず、測定窓の面積毎に測定部を切り替えたり、測定窓の面積が異なるプローブを切り替えたりしてもよい。
・上記各実施形態では、放電を行った後、測定点Tgの電圧が放電開始前の電圧になるように充電電気量での充電を行う場合について例示したが、これに限らず、所定の電気量の充放電がなされることで測定点の充電状態が同様になるのであれば、電圧を確認しなくてもよいし、又は、電流値や抵抗値等で確認するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、測定点Tgのインピーダンスを測定の都度、フィッティングする場合について例示したが、これに限らず、全部又は複数の測定点のインピーダンスを測定した後、フィッティングを行うようにしてもよい。これにより、測定の処理だけと、フィッティングの処理だけとに分けて作業を行うことができるようになる。
・上記第1の実施形態対では、電極板100の電気的特性の良否判定の処理手順は、インピーダンスに基づく良否判定とDC-IRに基づく良否判定とを行う場合について例示した。しかし、これに限らず、電極板の電気的特性の良否判定の処理手順は、インピーダンスに基づく良否判定を行わなくてもよい。例えば、DC-IRに基づく良否判定だけを行ってもよい。
・上記各実施形態では、電極板100を電解液106で満たした容器内に設置させる場合について例示した。しかしこれに限らず、電極活物質層内に事前に電解液を十分含浸させた電極板を用いて測定を行ってもよい。または、検査対象としての電極活物質層は多孔性であって、電極活物質と導電材の粒子間等に微小な隙間を有しているため、電解液を備えたプローブが電極活物質層と接することで、かかる電極活物質層の微小な隙間に電解液を浸み込ませてもよい。
・上記第1の実施形態では、フィッティング部141が設けられている場合について例示したが、これに限らず、インピーダンスに基づく判定を行う必要がないのであればフィッティング部は設けられていなくてもよい。
・上記第1の実施形態では、抵抗成分測定部13は、インピーダンスとともにDC-IRを測定する場合について例示した。しかし、これに限らず、DC-IRが測定できれば、インピーダンスが測定できなくてもよい。つまり、抵抗成分測定部がDC-IR測定部であってもよい。
・上記各実施形態では、二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について例示したが、これに限らず、二次電池は、その他の非水電解質の二次電池であってもよいし、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等のアルカリ二次電池であってもよい。
・二次電池は、電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載されなくてもよい。例えば、二次電池は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池は、鉄道、船舶、及び航空機等の移動体や、ロボットや、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
・上記各実施形態において、二次電池を一次電池に代えてもよい。
11…プローブ、12…載置部、13…抵抗成分測定部、14…制御部、20…電極板検査装置、30…制御部、40…処理部、41…SOC調節部、42…平衡状態インピーダンス測定部、43…過渡状態インピーダンス測定部、45…パラメータ算出部、48…判定部、50…記憶部、51…パラメータ、52…判定用データ、100…電極板、102…電極活物質層、104…集電体、106…電解液、108…載置台、112…プローブ本体、114…対極、116…電解液、118…測定部、120…電極板検査装置、141…フィッティング部、142…直流抵抗分布算出部、143…良否判定部、C1…容量、C2…容量、GC…等価回路、L1…インダクタンス、R1…抵抗、R2…抵抗、R3…抵抗、Wo1…拡散抵抗。

Claims (16)

  1. 二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、
    前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、
    前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、
    前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備え、
    前記移動部は、前記プローブを順次異なる測定点に移動させ、
    前記測定部は、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻すものである
    電極板検査装置。
  2. 前記測定部は、異なる前記測定点の直流電流をそれぞれ取得し、
    異なる前記測定点の間で取得した前記直流電流を比較することによって前記電極板の電流に関する状態を判定する判定部をさらに備える
    請求項1に記載の電極板検査装置。
  3. 前記プローブは、前記測定窓の開口する面積を複数の面積のうちから選択可能であり、
    前記測定部は、前記測定点における前記内部抵抗値の測定を、前記測定窓の開口している面積毎に行う
    請求項1又は2に記載の電極板検査装置。
  4. 前記プローブは、前記測定窓の開口している面積を可変とする
    請求項1~3のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  5. 前記充電を行った後に放電を行うとき、前記測定点に印加する充電電圧及び放電電圧を相違させる、又は、前記放電を行った後に充電を行うとき、前記測定点に印加する放電電圧及び充電電圧を相違させる
    請求項1~4のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  6. 前記充電を行った後に放電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記充電を行う前と前記放電を行った後とで同じ電圧になるように、又は、前記放電を行った後に充電を行ったとき、前記測定点の電圧が前記放電を行う前と前記充電を行った後とで同じ電圧になるように、前記充電する電気量及び前記放電する電気量をそれぞれ調整する
    請求項1~5のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  7. 前記測定部は、複素インピーダンスも併せて測定するものであり、
    前記複素インピーダンスを二次電池の特性モデルにフィッティングするフィッティング部と、
    前記電極板の特性モデルに基づいてDC-IRを算出する算出部とをさらに備え、
    前記フィッティング部は、前記測定点の複素インピーダンスを前記電極板の特性モデルにフィッティングさせる際、前記電極板の特性モデルに与える初期値に前記測定点に隣接する測定点に対するフィッティング結果を採用し、
    前記算出部は、前記フィッティング結果に基づいてDC-IRを算出するとともに、前記測定したDC-IRと前記算出したDC-IRとを比較する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  8. 電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、
    二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の直流に対する内部抵抗値(DC-IR)を測定する測定部と、前記プローブを前記電極板に対して相対移動させる移動部とを備える電極板検査装置に用いられ、
    前記移動部が、前記プローブを順次異なる測定点に移動させる移動工程と、
    前記測定部が、測定点毎に、前記内部抵抗値を測定するため、充電を行った後に放電を行って前記充電を行う前の電気量に戻す工程、又は、放電を行った後に充電を行って前記放電を行う前の電気量に戻す工程を有する測定工程とを備える
    電極板検査方法。
  9. 二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、
    前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、
    前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、
    前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、
    前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得部と、
    前記電極板と前記対極とに接続されて、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得部と、
    前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する第2の調整部と、
    前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出部とを備える
    電極板検査装置。
  10. 前記プローブの前記測定窓の開口径の大きさは、前記電極板の活物質粒子の粒子径の2倍以下の大きさである
    請求項9に記載の電極板検査装置。
  11. 前記プローブが第1のプローブであり、
    前記第1のプローブよりも面積が2倍以上の第2のプローブを備え、
    前記第2のプローブによる測定で前記電極板が劣化していると判定された部分を前記第1のプローブで測定する
    請求項9又は10に記載の電極板検査装置。
  12. 前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記直流電流が矩形波である
    請求項9~11のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  13. 前記過渡状態特有成分と前記電極板の劣化を判定することのできる値である判定閾値とを比較して前記電極板の電極板状態を判定する判定工程を備える
    請求項9~12のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  14. 前記過渡状態インピーダンス取得部は、前記所定の周波数範囲を区画する下限値と上限値とのいずれか一方の値を始点、他方の値を終点としたとき、前記測定周波数を前記始点から前記終点の方向に変化させるとともに、前記終点の値に到達したことに応じて前記始点の値に戻すものであり、前記始点から前記終点までを10秒以下の時間で変化させるとともに、前記終点から前記始点までを10秒以下の時間で戻す
    請求項9~13のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  15. 前記特有成分算出部は、前記過渡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記過渡状態の前記電極板に対応する前記過渡状態の前記等価回路を得るとともに、前記平衡状態のインピーダンスを等価回路にフィッティングさせて、前記平衡状態の前記電極板に対応する前記平衡状態の前記等価回路を得るとともに、前記過渡状態の前記等価回路の抵抗成分と前記平衡状態の前記等価回路の抵抗成分とのうちの相互に対応する抵抗成分同士の差を前記過渡状態特有成分として算出する
    請求項9~14のいずれか一項に記載の電極板検査装置。
  16. 電極板検査装置で電極板を検査する方法であって、
    二次電池の電極板を電解液中に保持する電極板保持部と、前記電極板の充電電気量を放電又は充電により所定の充電電気量に調整する第1の調整部と、前記電極板に向いて開口される測定窓を有する容器内の電解液中に対極を備えたプローブと、前記プローブを順次異なる前記電極板の測定点に配置させるように前記電極板に対して相対移動させる移動部と、前記電極板と前記対極とに接続されて前記電極板と前記対極との間の交流に対するインピーダンスを測定する測定部と、を備える電極板検査装置に用いられ、
    前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を維持しながら、上限値と下限値とで区画される所定の周波数範囲を変化する測定周波数を有する交流電流を前記電極板に印加することで前記測定周波数に対応する平衡状態のインピーダンスを取得する平衡状態インピーダンス取得工程と、
    前記測定部で、前記測定点毎に、前記電極板の充電電気量を直流電流の充電又は放電により変化させながら、前記測定周波数を有する前記交流電流を前記電極板に印加することで変化する充電電気量に対応する過渡状態のインピーダンスを取得する過渡状態インピーダンス取得工程と、
    第2の調整部で、前記測定点の充電電気量を放電又は充電により前記過渡状態のインピーダンスを取得する前の充電電気量に調整する調整工程と、
    前記過渡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態と、前記平衡状態のインピーダンスに基づいて算出される電極板状態とに基づいて過渡状態特有成分を算出する特有成分算出工程とを備える
    電極板検査方法。
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