以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面に基づいて説明する。図1は、パチンコ機1の斜視図である。図2は、パチンコ機1の正面図である。図3は、パチンコ機1の表枠14及び中枠6が開いた状態を斜め前方から見た斜視図である。なお、以下の説明において、図1及び図2の紙面手前側を「パチンコ機1の正面側」、紙面奥行き側を「パチンコ機1の背面側」とする。
はじめに、パチンコ機1の概略構成について説明する。図1に示すパチンコ機1はホールの島設備(図示外)に設置されるものである。図1乃至図3に示すように、このパチンコ機1は土台となる外枠5と、該外枠5の遊技者に対向する正面側に設けられた中枠6を備えている。この中枠6は、外枠5の左端部の上下各部位に各々固定された上ヒンジ25及び下ヒンジ26(図2参照)を介して軸支されている。これにより中枠6は外枠5に対して開閉可能となっている(図3参照)。
そして、中枠6の前面の上半分には、後述する発射ハンドル7の操作により、発射手段である発射機(図示外)から発射された遊技球が流下する正面視正方形状の遊技盤2が着脱可能に固定されている。さらに、中枠6の前面の上半分には、正面視長方形状の表枠14が開閉可能に設けられ、該表枠14の略中央には、遊技盤2の前面に対向して配置される略円形のガラス窓28(図1参照)が設けられている。またそのガラス窓28の左右両側には、特定の遊技状態の時に点灯又は点滅させることのできる発光部13a,13bが各々設けられている。さらに表枠14の右上及び左上のコーナ部分にはスピーカ48a,48bが各々設けられている。
また、表枠14の下方には、正面視長方形状の前枠15が中枠6に対して開閉可能に設けられている。さらにその前枠15の上部略中央には、遊技球を貯留するとともに、発射機に遊技球を供給するための上皿ユニット55が設けられている。この上皿ユニット55は、前枠15の上部に開閉可能に設けられた支持板56と、該支持板56の前面側に組み付けられた平面視略蒲鉾型の上皿部57(図14参照)とで構成されている。
また、上皿部57の上部には略水平面を有する平面部58が設けられている。この平面部58には、左側から略中央にかけて形成され、遊技球が通過する流路を備える上皿59と、略中央の前方側(遊技者に対向する側)に設置された本発明の特徴であるトラックボールユニット51と、右側に配置され、上皿59に球貸しするための球貸し機(図示外)を操作する球貸し操作部60と、同じく右側に配置され、上皿59に貯留された遊技球を下皿23に抜き出すための球抜きレバー61とが各々設けられている。なお、上皿ユニット55の詳細な構造については後述する。
ところで、前枠15における上皿ユニット55の直下には、球抜きレバー61を押下することによって、上皿59の球排出口(図示外)から抜き出された遊技球を受けるための下皿23が設けられている。さらにその下皿23の右横には発射機による遊技球の発射を調整するための発射ハンドル7が設けられ、左横には灰皿11が設けられている。
一方、中枠6の背面には機構盤(図示外)が組み付けられている。この機構盤には、主基板、サブ統合基板、図柄表示基板、電飾基板、払出制御基板、中継基板等の各種基板(図示外)の他、遊技球樋、払出装置等の各種装置等が配設されている。これら各種基板及び各種装置等は、透明な樹脂材からなるセンターカバー81や基板ボックス(図示外)によって収納されて保護されている。またセンターカバー81の上方には、遊技機設置島から供給される遊技球を貯留する遊技球タンク80が設けられている。
次に、遊技盤2について説明する。図4は、遊技盤2の正面図である。図4に示すように遊技盤2は、正面視略長方形状の板部材であり、3枚の板部材が積層されて1枚の板部材を形成している。この遊技盤2は、中枠6の裏面側に固着された遊技盤固定枠50(図5参照)の正面側に支持される。この遊技盤2の略中央には、略円形状の遊技領域4が設けられている。
ここで、本発明の重要な構成要素である外レール及び内レールの構成について、図4を参照して説明する。まず、外レール3の形状及び支持構造について説明する。外レール3は、後述する上皿59内に貯留された遊技球を外レール3(図4参照)に沿って発射する発射機としての送球装置69(図15参照)から打ち出された遊技球を遊技領域4内に誘導する部材である。外レール3は帯状の金属板から成形されており、その厚さは約0.6mm、幅は約16.5mmである。この外レール3の長手方向に垂直な一端部近傍には、所定の間隔毎に取付ピン(図示外)が設けられている。これらのピンを遊技盤2の遊技領域4を囲む所定の位置に打ちつけることにより、外レール3は遊技盤2に対して概垂直に固定される。外レール3の取り付け状態は、図4に示すように、遊技盤2の下部中央付近の開始部3aから、遊技盤の上右付近の終端部3bにかけて、遊技領域4を囲むように略円形状に配設される。
次に、内レール9の形状及び支持構造について図4を参照して説明する。内レール9は、発射手段から打ち出された遊技球を遊技領域4側から支持して遊技領域4内に誘導する部材である。内レール9は、外レール3と同様に帯状の金属板から成形されており、その長手方向に垂直な一端部近傍には設けられた取付ピン(図示外)を遊技盤2の遊技領域4を囲む所定の位置に打ちつけることにより遊技盤2に略垂直に固定される。図4に示すように、内レール9は、外レール3の終端部3bの内側面より所定の隙間を空けて、遊技盤2の上部に形成された遊技領域4の下部から遊技球打上部に向かって半円弧状に配設され、その終端部にはファール球防止部材10が設けられている。また、内レール9の中央下部にはアウト口90が設けられ、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球は内レール9に沿ってアウト口90へと流下する。なお、図6に示すように、外レール3及び内レール9を遊技盤2に取り付けた状態では、外レール3及び内レール9の夫々は中枠6と当接していない。
図4を参照して、引き続き遊技盤2の構造について説明する。遊技盤2の左上角部近傍には、正面視、左方向に突出するように切削加工された上側載置部35が設けられている。この上側載置部35は、遊技盤2を中枠6に取り付ける際に、上側支持部30(図5参照)に支持される部位である。一方、遊技盤2の左下角部近傍には、階段状に切削加工された下側載置部36が設けられている。この下側載置部36は、遊技盤2を中枠6に取り付ける際に、下側支持部31(図5参照)に支持される部位である。
また、遊技盤2の右上角部近傍には、製造者等の操作に応じて着脱可能なロック機構の嵌合穴である上側ロック部37が設けられている。この上側ロック部37は、遊技盤2を中枠6に取り付ける際に、ロック機構の嵌合突起である上側ロック体32(図5参照)に係着される部位である。一方、遊技盤2の右下角部近傍には、製造者等の操作に応じて着脱可能なロック機構の嵌合穴である下側ロック部38が設けられている。この下側ロック部38は、遊技盤2を中枠6に取り付ける際に、ロック機構の嵌合突起である下側ロック体33(図5参照)に係着される部位である。さらに、遊技盤2の外レール3右半分の湾曲する外側面には、その湾曲形状に沿うようにしてレール飾り部材16が固定されている。レール飾り部材16の詳細については後述する。
さらに、正面視、遊技盤2の左上角部近傍には、遊技盤2を中枠6に位置決め固定するために穿設された嵌合穴40aが設けられている。一方、遊技盤2の右下角部近傍にも、嵌合穴40aと同様の嵌合穴40bが設けられている。そして、これら嵌合穴40a,40bを、中枠6に固着された嵌合突起41a,41b(図5参照)に各々嵌合させることにより、中枠6に対して遊技盤2の位置決め及び固定がなされる。
ここで、本発明の重要な構成要素であるレール飾り部材16の構成について、図7乃至図12を参照して説明する。レール飾り部材16は、遊技盤2の右上角近傍に、外レール3の終端部3bと内レール9の開始部を覆うように設けられ、外レール3と内レール9を電気的に接続している部材である。本実施の形態では、レール飾り部材16は、以下の構成を有する。すなわち、外側周壁17aと内側周壁17bとを有するレール飾り部材本体17と、導電性のレール接続部材19と、外レール3に沿って打ち出された遊技球(図示外)が衝突する遊技球衝突面18aを有し、ゴム等の弾性材の遊技球衝突部材18から構成されている。
図7はレール飾り部材16を遊技盤2に取り付けた状態を拡大した正面図である。なお図7において、正面側からは視認できないレール飾り部材の内部を破線にて示している。レール飾り部材16を遊技盤2に取り付けた状態で正面側から見た場合には、レール飾り部材16を構成する部材のうち、レール飾り部材本体17のみが視認できる。このレール飾り部材本体17の形状は、略ひし形をなすように4つの滑らかな角を有する一方、外側周壁17aは外レール3の湾曲形状に沿うような曲線を有する略円環状を、内側周壁17bは内レール9の湾曲形状に沿うような曲線を有する略円環状をそれぞれなしている。そして、外側周壁17aの遊技盤と当接する部分にはつば部17dが設けられている。一方、レール飾り部材16の中枠6側の面には平面状の周壁17cが設けられている。
図8はレール飾り部材16を裏面側から見た背面図である。図8に示すように、レール接続部材19及び遊技球衝突部材18はレール飾り部材本体17の外レールの終端部3b側に配されている。まず、レール飾り部材16を構成する部材のうち、レール飾り部材本体17の構造について説明する。図9はレール飾り部材本体17を裏面側から見た背面図である。レール飾り部材本体17には、外側周壁17a、内側周壁17b、中枠6に沿って直線状に設けられた周壁17c、当該周壁17cに対向する周壁17f、及び内レール9との当接面を有する周壁17eが設けられている。この外側周壁17aの外レール3と当接する側の面には、外レール3の終端部3bが当接する平面視半円状の突起17iが設けられている。そして、外側周壁17aから内側周壁17bにかけて飾り壁17gが延設されている。
図12はレール飾り部材本体17を内側周壁17b側から見た図である。図中、上方向が遊技盤2に取り付ける側であり、下方には遊技者から視認される飾り壁17gが描かれている。図12に示すように、レール飾り部材本体17には、レール飾り部材16を遊技盤2に取り付けるための取り付け機構を構成する略十文字状の嵌合突起20a,20bが飾り壁17gと垂直な方向に突出するように立設されている。図8を参照して、引き続きレール飾り部材本体17について説明する。前述の周壁17eの一端は嵌合突起20aの十文字の内レール9に当接する側の一端に連結している。一方、遊技盤2には、レール飾り部材16を取り付け機構の嵌合穴(図示外)が設けられている。レール飾り部材16は、この嵌合突起20a,20bを遊技盤2に設けられた嵌合穴(図示外)に係着させることにより、簡単に取り付けることができる。
次に、レール接続部材19及び遊技球衝突部材18をレール飾り部材本体17に取り付けるための構造について図8及び図12を参照して説明する。レール飾り部材本体17の飾り壁17gには、飾り壁17gに垂直な方向に突出し、外側周壁17aと概ね同じ高さの突出部21a,21bが設けられている。これらの突出部21a,21bはレール接続部材19及び遊技球衝突部材18に設けられた穴に挿入されるものである。飾り壁17gには、レール接続部材19の取り付け台座21c,21d,21e,21fがそれぞれ設けられている。これらの取り付け台座21c,21d,21eは、飾り壁17gに垂直な方向の高さが概同じであるが、取り付け台座21fの高さはこれらの取り付け台座に比べやや低く設計されている(図12参照)。また、これらの取り付け台座とは別に、外側周壁17aが設けられている側の辺の周縁部に取り付け台座21gが設けられている。この取り付け台座21gは、突起17iからレール飾り部材本体17の外レール3側の終端17hに向かって低くなるように緩やかな傾斜を有している(図12参照)。
次に、図10を参照してレール接続部材19の構造について説明する。図10はレール接続部材19を裏面側から見た背面図である。レール接続部材19は外レール3と当接する当接部分から内レール9と当接する当接部分19aに延設された形状を有している。この当接部分19aは、内レール9に向かって折曲られた構造を有している。一方、レール飾り本体に設けられた突出部21a,21bに夫々挿入可能な穴19b,19cが設けられている。
最後に、図11を参照して遊技球衝突部材18の構造について説明する。図11は遊技球衝突部材18を裏面側から見た背面図である。遊技球衝突部材18はゴム等の弾性材からなり、背面視しずく状の形状を有し、遊技球が衝突する平面状の遊技球衝突面18aを有する。遊技球衝突部材18にもレール接続部材19と同様、突出部21a,21bに夫々挿入可能な挿入穴18b,18cが設けられている。これらの挿入穴は、挿入穴の直径の最小値が夫々の挿入穴に対応する突出部21a,21bの最大直径よりもやや小さくなるように、挿入方向対して蛇腹状の形状を有している。このため、突出部21a,21bをこれらの挿入穴に挿入させたときに、遊技球衝突部材18は、蛇腹形状により付勢され、位置が固定される。この遊技球衝突部材18は、レール飾り部材16が遊技盤2に取り付けられた状態では、外レール3の終端部3bに当接している。このため、外レール3に沿って勢いよく打ち出された遊技球(図示外)は、遊技球衝突部材18が有する遊技球衝突面18aに衝突し、遊技領域4へと跳ね返される。
次に、レール飾り部材16の組み立て方法について図8を参照して説明する。まず、レール飾り部材本体17の突出部21a,21bに、前述のレール接続部材19を挿入し、さらに遊技球衝突部材18を挿入する。遊技球衝突部材18は前述の挿入穴18b,18cの蛇腹形状が付勢され、位置が固定される。このため、レール接続部材19はレール飾り部材本体17と遊技球衝突部材18とに挟設される。このとき、レール接続部材19は、取り付け台座21c,21d,21eと当接している。
次に、図7及び図12を参照して、外レール3と内レール9の電気的接続について説明する。図12に示すように、上述したレール飾り部材16を遊技盤2に嵌合突起20a,20bを、外レール3の終端部3b付近に設けられた遊技盤2の嵌合穴(図示外)に係着することにより、レール飾り部材16は遊技盤に取り付けられる。そして図7に示すように、レール接続部材19は、外レール3の終端部3bと内レール9との夫々に当接する。このとき、レール飾り部材本体17には取り付け台座21c,21d,21eと、これらの取り付け台座とは高さが低い取り付け台座21f及び、高さ方向に緩やかな傾斜を有する取り付け台座21gが設けられているため、レール接続部材19は飾り壁17gに垂直な方向の位置を微調整することができ、レール飾り部材16を遊技盤2に取り付けたときに、レール接続部材19は外レール3の終端部3bに押されて外レール3側に付勢されて外レール3と当接する。一方、レール接続部材19の内レール9に当接する当接部分19aは、内レール9に弾接している。
このような構成にすることにより、外レール3及び内レール9とレール接続部材19とをねじ止め、半田付け、かしめ等の煩雑な作業をすることなく、外レール3と内レール9とを確実に電気的に接続することができる。レール飾り部材16の着脱は、レール飾り部材16の嵌合突起20a,20bと遊技盤2の嵌合穴(図示外)により非常に簡単に行うことができ、遊技機の組み立ておよび、遊技盤の交換に手間と労力が軽減される。また、レール接続部材19はレール飾り部材本体17に覆われ、遊技中の遊技者から視認できない構成になっているため、外レール3と内レール9とを電気的に接続する部材が、意匠創作時の制約となったり、意匠性を損ねたりするという不具合が解消できる。さらに、レール飾り部材16を構成する部材は、それぞれ異なる材質で形成されている場合であっても、レール飾り部材本体17から遊技球衝突部材18を取り外すことで分解できるので、レール飾り部材のリサイクルに際しての分別が容易にできる。
なお、レール飾り部材16を構成する部材はこれらに限定されるものではない。例えば、レール飾り本体17を導電性部材により構成すれば、レール飾り部材本体17とレール接続部材19とを別々に設ける必要はない。また、本実施例においては、レール接続部材19において、レール接続部材19と内レール9との当接面を付勢させる手段として、折曲構造を有していたが、レール接続部材にばねを設けることにより付勢させてもよい。また、本実施例においては、レール接続部材19は、レール飾り部材本体17と遊技球衝突部材18とに挟設されていたが、レール接続部材19又は遊技球衝突部材18が直接レール飾り部材本体17にねじ止め、接着剤固定等により固定されていてもよい。さらに、レール接続部材19は、外レール3と内レール9とを電気的に接続していれば足りるため、レール接続部材としてリード線や導電性プラスチック、フレキシブル基盤等の導電性部材を用いることが可能であり、レール接続部材を外レール及び内レールにめじ止め、半田付け、かしめ等により電気的に接続してもよいことは言うまでもない。
次に、中枠6について図3、図5及び図6を参照して説明する。図5は、中枠6の正面図である。図6は、遊技盤2が取り付けられた中枠6の正面図である。図5に示すように、中枠6は、中枠上柱部6a,中枠右柱部6b,中枠左柱部6c,中枠下柱部6dにより、正面視略長方形状に構成されている。そして、中枠6を構成する柱部材は、金属製のアングル部材からなる。さらに、中枠上柱部6a、中枠右柱部6b及び中枠左柱部6cは、平面視略短冊形状に形成されている。一方、中枠下柱部6dは、中枠上柱部6a、中枠右柱部6b及び中枠左柱部6cの幅よりも広い面積を有する平面視略長方形状に形成されている。そして、中枠下柱部6dの正面側には、上述した下皿23や発射ハンドル7などの各部品(図2参照)及び各装置が固定される。なお、図5及び図6には図示しないが、中枠には導電性のアース線の一端が接続されており、その他端は図1に示すパチンコ機1のホールの島設備(図示外)に接続されている。前述の通り、中枠6を構成する柱部材はすべて金属製のアングル部材からなり、各柱部材は電気的に接続されているため、アース線の中枠6における取り付け位置は、中枠6を構成する柱部材の任意の位置を選択可能である。
また、中枠左柱部6cの正面側における、長手方向上端部近傍には、平面視略半円形状の掛け部24が固定されている。この掛け部24は、外枠5に固定された上ヒンジ25(図1参照)とともに「上ヒンジ構造」を構成する。そして、掛け部24には、掛け部24の上面から上方に向かって凸設され、上ヒンジ25に設けられた係合穴(図示外)に係合するための軸支ピン(図示外)が設けられている。さらに、掛け部24の下面には、下方に向かって凸設され、表枠14の表枠左側端部14aの長手方向上端部に設けられた組付具(図示外)の係合穴(図示外)に係合する軸支ピン24aが設けられている。
一方、中枠左柱部6cの正面側における、長手方向略中間よりもやや下方位置近傍には、中ヒンジ29が固定されている。この中ヒンジ29は、表枠14の表枠左側端部14a(図2参照)の長手方向下端部に設けられた組付具(図示外)及び、上皿ユニット55の正面視左側端部の上端近傍に設けられた軸支ピン64a(図13乃至図15参照)とともに「中ヒンジ構造」を構成する。そして、中ヒンジ29には、中ヒンジ29の上面から上方に向かって凸設された軸支ピン29aが設けられ、その軸支ピン29a(図16参照)には該組付具(図示外)の該係合穴(図示外)が係合する。
ここで、本発明の重要な構成要素である中ヒンジ29の構成について、図16を参照して説明する。図16は、中枠に取り付けられた中ヒンジ29を拡大した正面図である。図16において、中ヒンジに取り付けられる表枠14及び上皿ユニット55は図示されていない。図16に示すように、中ヒンジ29は、ヒンジスペーサー29bと、導電性を有するヒンジベース29cからなり、ヒンジスペーサー29bとヒンジベース29cはねじ29dにより固定されている。また、ヒンジベース29cには、上皿ユニット55の正面視左側端部の上方に向かって凸設された軸支ピン64a(図15参照)が挿入される係合穴29eが設けられている。
図5及び図6を参照して、引き続き中枠6について説明する。中枠左柱部6cの正面側における、長手方向下端部近傍には、掛け部27が固定されている。この掛け部27は、外枠5に固定された下ヒンジ26(図1参照)とともに「下ヒンジ構造」を構成する。さらに掛け部27には、下ヒンジ26に凸設された軸支ピン(図示外)と係合するための係合穴27aが設けられている。したがって、中枠6の中枠左柱部6cは、外枠5の外枠左柱部近傍に軸支されることにより、外枠5に対して中枠6が略水平方向に回動可能である。同様に、表枠14の表枠左側端部14aは、中枠6の中枠左柱部6c近傍に軸支されることにより、中枠6に対して表枠14が略水平方向に回動可能である。
なお、中枠の構成はこれらに限定されるものではなく、外枠、表枠及び前枠の形状に併せて任意の形状を採用可能である。また、本実施例においては、中枠6を構成する柱部材として金属製のアングル部材を用いていたが、これに限定されるものでなく、少なくともアース中継部材と電気的に接続される部分が金属で構成されていれば足りる。中枠の一部が非導電性部材から構成される場合には、上述のアース線はアース中継部材と電気的に接続された中枠を構成する金属部材に電気的に接続されるよう取り付ければよい。
次に、上皿ユニット55について図13乃至図17を参照して説明する。図13は、上皿ユニット55の正面図である。図14は、上皿ユニット55の平面図である。図15は、 上皿ユニット55の背面図である。図16は、中ヒンジ29を拡大した正面図である。図17は、パチンコ機1の表枠14及び上皿ユニット55が開いた状態を斜め前方から見た斜視図である。図13乃至図15に示すように、上皿ユニット55は、図1,図2に示す前枠15の上半分に開閉可能に設けられた支持板56と、該支持板56の前面側に組み付けられ、遊技球の貯留及び供給等を行う上皿部57とを主体に構成されている。以下、各構成部品について説明する。
まず、上皿部57について説明する。図1,図13,図14に示すように、上皿部57は平面視略蒲鉾型に形成されている。この上皿部57の曲がった外側面(遊技者に対向する側面)には、左右両側から略中央に向かって延びる帯状に形成され、透明の樹脂材料からなる上皿発光部57a,57bが各々設けられている。さらに図14に示すように、上皿部57の右側である上皿発光部57aの内側には5つのLED85が組み込まれ、左側である上皿発光部57bの内側にも5つのLED86が組み込まれている。そしてパチンコ機1の各種電飾の点灯点滅動作を制御する電飾基板(図示外)から出力された制御信号に基づいて、これら10個のLED85,86が特定の遊技状態に合わせて点灯又は点滅することによって、上皿発光部57a,57bが点灯又は点滅するようになっている。
一方、平面部58上には、上記説明したように、上皿59と、トラックボールユニット51と、球貸し操作部60と、球抜きレバー61とが平面部58の左側から右側にかけて各々設けられている。なお、球貸し操作部60は、球貸し度数を表示する度数表示部60a、球貸しボタン60b、返却ボタン60c等を備えて構成されている。
そして、上皿59は、底面部と、該底面部の幅方向の両側に起立するとともに、遊技球を所定位置に誘導する誘導面とを備えて構成されている。この底面部は、図14に示すように、遊技球の流れる上流側つまり払出出口63側で広く(例えば幅として遊技球5〜6個分)、下流側つまり球供給口(図示外)側で狭く(例えば幅として遊技球ほぼ1個分)なるように形成されている。さらにこれら底面部と誘導面と支持板56の前面とによって遊技球が流れる流路が形成されている。そしてこの流路を流れることによって遊技球を最終的に一列に誘導整列させることができる。
また、図15に示すように、支持板56の背面に向かって左端部近傍には、上下方向に長手を有する細長の板状の開放レバー片68が上下移動可能に支持されている。この開放レバー片68の上端部には、支持板56の中央側に向かって略直角に折り曲げられた操作部68aが設けられ、下端部には、支持板56の後方に向かって鉤状に突出する鉤部(図示外)が設けられている。さらにこの開放レバー片68は、図示外のバネによって常時上方に付勢されている。このような構造により、例えば、支持板56(上皿ユニット55)が前枠15に対して閉じられると、鉤部(図示外)が、該鉤部に相対する前枠15の係止穴(図示外)に係止する。さらに、開放レバー片68はバネによって上方に付勢されるため、鉤部(図示外)が係止穴に係止された状態で保持される。この状態では、支持板56(上皿ユニット55)の回動が禁止される。一方、支持板56(上皿ユニット55)を回動させる場合は、開放レバー片68の操作部68aを押下する。すると、鉤部(図示外)が下方に移動するとともに係止穴から外れるので、支持板(上皿ユニット55)を自由に回動させることができる。
次に、支持板56について説明する。図13乃至図15に示すように、支持板56は所定幅を有する正面視横長長方形の板状に形成されている。この支持板56の左端側の上側角部には上方に突出する軸支ピン64aが設けられ、下側角部には下方に突出する軸支ピン64bが設けられている。そしてこれら軸支ピン64aは中枠の中ヒンジ29の係合穴29e(図16参照)に、軸支ピン64bは前枠15の正面視左側の所定部分に軸支される(図2,図17参照)。これにより、支持板56が前枠15に対して開閉可能となり、即ち、上皿ユニット55全体が前枠15に対して開閉可能となる。本実施形態においては、中ヒンジ29、軸支ピン64a、ヒンジ支持体62とが本発明における「中ヒンジ部材」を構成する。
一方、支持板56の左側には、払出装置(図示外)から払い出された賞球を上皿59の内側に供給するために開口する正面視長方形状の払出出口63が設けられている。また、背面側の構造において、図14及び図15に示すように、支持板56の背面に向かって右側上部には、前記払出出口63に連通する筒状の払出筒体65が支持板56の背面から後方に向かって略水平に延設されている。なお、この払出筒体65の遊技球が流れる上流側の一端部には、払出装置(図示外)に接続された賞球払出通路の下流側一端部が接続される。
さらに、支持板56の背面に向かって左側には、上皿59内に貯留された遊技球を外レール3(図4参照)に沿って発射する発射機としての送球装置69が設けられている。そしてこの送球装置69に遊技球を導入する導入口(図示外)は、上皿59の下流側に設けられた球供給口(図示外)に接続されている。これにより上皿59に貯留された遊技球は、その導入口を経て送球装置69内に導入され、アヒル(図示外)の作動により球供給口から発射点(図示外)に供給される。そして、発射ハンドル7を操作することによって、遊技球が発射装置によって遊技盤2に向かって発射され、遊技領域4に遊技球を流下させることができる。
次に、上皿ユニット55の裏面に設けられた本実施例におけるアース構造について、図14、図15及び、図17を参照して説明する。図14において、払出筒体65の周縁部には筒状の導電性部材66が支持体56の背面から後方に向かって略水平に延設されている。そして、この導電性部材66は導電性部材66の背面視右側において、ヒンジ支持体62にねじ固定され、電気的に接続されている(図15,図17参照)。また、この導電性部材66の背面視左端部側66aにおいては導電性部材からなるレール当接部材67の背面視右側端部がねじ止めされている。本実施例においては、導電性部材66と「中ヒンジ部材」を構成する中ヒンジ29、軸支ピン64a、ヒンジ支持体62とが「アース中継部材」を構成し、レール当接部材67と中枠6とを電気的に接続している。
そして、レール当接部材67は支持板56に設けられたねじ止め用の台座56a(図14参照)にねじ止めされ、上皿ユニット55を閉鎖した際に、レール当接部材67の左側部分が外レール3に押されて付勢されながら外レール3の開始部3aに当接する。ここで、前述のねじ止め用台座56aの平面視右側には突起56b(図14参照)を設け、レール当接部材67の外レール3との当接部分が外レール3より押さえられてレール当接部材67が変形することによる当接不良が発生することを回避している。
なお、アース中継部材を構成する部材はこれらに限定されるものではなく、レール当接部材67と中枠6とを電気的に接続していれば足りる。従って、例えば、レール当接部材67を、「中ヒンジ部材」を構成するヒンジ支持体62に直接接続する構成にしてもよい。また本実施例においては、アース中継部材として、筒状の導電性部材66を用いたが、リード線や、導電性プラスチック、フレキシブル基盤等の材料を用いてもよい。また、各部材の固定方法は、ねじ止めの他、半田付け、かしめ、接着剤固定等の固定方法を採用してもよいのは言うまでもない。
最後に、本実施例における電気的接続状態について説明する。本実施例では、上皿ユニット55を閉鎖した状態において、外レール3とレール当接部材67とが当接し、外レール3に帯電した静電気は当接部を介してレール当接部材67へと放電される。レール当接部材67に放電された静電気は、導電性部材66を介して、中ヒンジ部材であるヒンジ支持体62、軸支ピン64a、中ヒンジ29、さらには中枠6へと放電される。また、本実施例においては、外レール3と内レール9とが設けられているが、外レール3と内レール9とをレール飾り部材16により電気的に接続しているため、外レール3のみにアース構造を設ければ、内レール9に蓄積した静電気は、外レール3を介して中枠6へと放電される。そして、中枠6に放電された静電気は、中枠6に接続されたアース線を介して、パチンコ機1のホールの島設備へと放電される。
本実施例によれば、上皿ユニットを閉鎖することにより外レールとレール当接部材とが電気的に接続されるアース構造であるため、簡便な施工をもって、遊技盤に設けられた案内レールの静電気を除去できる。また、案内レールと当接部材との当接部分が上皿ユニットの裏側に設けられているので、遊技中の遊技者が当該アース構造を設けることが遊技機の意匠性を損なわせることもない。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。まず、遊技機としてパチンコ機1を例として説明したが、例えばピンボールマシンやスマートボールマシン等にも適用することができる。
また、パチンコ機のうち、パチンコ機1を例として説明したが、パチンコ機1と構成が異なるパチンコ機にも適用することができる。例えば、上記実施形態では、遊技球を発射する発射機に遊技球を供給し、かつ遊技球を受け入れる上皿と、上皿に貯留された遊技球を球抜きレバーにより抜き出して格納する下皿とが別に設けられた場合であったが、上皿が遊技球を多数受け入れ可能に設けられ、下皿の役割を兼ねているパチンコ機や、下皿に相当する部材がパチンコ機とは別体に設けられているパチンコ機にも適用可能である。この場合には、上皿ユニットと前枠とを一体に設けることができるので、本実施例のように前枠と上皿ユニットとを異なるヒンジ部材にて回動可能に設置する必要はなく、例えば、前枠と一体となった上皿ユニットを中ヒンジと下ヒンジとに軸止させることにより、中枠に対して回動可能に設置することができる。
また、上記実施形態では、中枠に接続されたアース線の他端の接続先は、パチンコ機が設置されるホールの島設備となっていたが、最終的に中枠が接地されるアース設備であれば足りる。このため、例えば、中枠に電気的に接続されたアース線の他端を、ホールの壁面に設けられたアース設備に接続させてもよい。また、中枠と最終接地先とを電気的に接続する部材は、アース線に限定されることなく、任意の導電性部材を採用可能であることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、外レールと内レールとが別体の場合であったが、外レールと内レールとを一体にさせてもよい。この場合は、レール接続部材を設ける必要がなく、部品点数を低減させることが可能である。
また、レール当接部材の形状や構成についても、本実施例に限定されるものではなく、レール当接部材と案内レール(外レール)とが、上皿ユニットを閉鎖した状態で当接していればよく種々の形状が考えられることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、外レールと内レールとを電気的に接続するレール接続部材がレール飾り部材を構成する形態であったが、レール接続部材とレール飾り部材とを別々に設けてもよい。この場合には、レール接続部材が遊技機の意匠性を損なわせることのないよう、遊技盤上の目立たない場所に設置するのが好ましい。