JP2007199400A - 電子写真感光体 - Google Patents

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淳一郎 大坪
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敬司 丸尾
Norio Nakai
規郎 中井
Hideki Okada
英樹 岡田
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Abstract

【課題】ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物またはナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を用いて、電気特性に優れた電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】電荷発生剤と、電子輸送剤として、下記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または下記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有している感光層形成用塗布液を調製し、これを、下引き層が形成されたアルミニウム製のドラム状基体の表面上に、塗布し、加熱乾燥して単層型感光層を形成し、電子写真感光体を得る。
Figure 2007199400

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、詳しくは、特定構造のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物またはナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を含有する感光層を備えた電子写真感光体に関する。
従来より、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置には、その画像形成装置に用いられる露光光源の波長領域に感度を有する電子写真感光体が使用されている。このような電子写真感光体では、通常、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを含有する有機感光層が設けられている。また、かかる有機感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などが溶剤に分散・溶解された感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布することにより、形成されている。
特許文献1には、電子写真感光体などに用いられる増感化合物として、下記一般式(51)で示される1,4,5,8−ナフタレンビス−ジカルボキシイミドが記載されている。
Figure 2007199400
(一般式(51)中、R101およびR102は、同一または異なっていてもよく、アリール基、または、2〜20個のアルキル炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルコキシ基などで置換されたアリール基を示す。R103、R104、R105およびR106は、同一または異なっていてもよく、水素、炭素数1〜4のアルキル基などを示す。nは、0〜3である。)
また、特許文献2には、溶剤に対する溶解性や、バインダ樹脂に対する相溶性に優れた電子輸送剤(電荷輸送剤)として、下記一般式(52)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が提案されている。
Figure 2007199400
(一般式(52)中、R107は、水素、アルキル基などを示し、R108およびR109は、互いに異なって、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基またはアリール基などを示し、R110は、水素、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基またはアリール基を示す。)
特開昭59−164559号公報 特開平11−343291号公報
しかし、特許文献1に記載の1,4,5,8−ナフタレンビス−ジカルボキシイミドは、溶剤に対する溶解性やバインダ樹脂に対する相溶性が十分でないことから、感光層中で結晶化するという不具合がある。
また、特許文献2に記載のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、溶剤に対する溶解性やバインダ樹脂に対する相溶性が幾分向上されているものの、実際に感光体の電荷輸送剤として用いるためには、溶解性や相溶性が十分ではなく、やはり、感光層中に結晶として析出し易くなる傾向がある。
そこで、本発明の目的は、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物またはナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を用いて、電気特性に優れた電子写真感光体を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体の表面に、直接にまたは中間層を介して形成された感光層とを備える電子写真感光体であって、前記感光層が、電荷発生剤と、下記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または下記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有していることを特徴としている。
Figure 2007199400
(一般式(1)中、R1およびR2は、同一または互いに異なって、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R3およびR4は、同一または互いに異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。aおよびbは、同一または互いに異なって、0〜4の整数を示す。)
Figure 2007199400
(一般式(2)中、R5は、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R6は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。R7は、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、ニトロ基またはシアノ基を示す。cは、0〜4の整数を示す。dは、0〜6の整数を示す。)
また、本発明の電子写真感光体では、前記一般式(1)のR1およびR2が、同一または互いに異なって、下記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基であることが好適である。
Figure 2007199400
(一般式(3)中、eは、0〜2の整数を示す。)
また、本発明の電子写真感光体では、前記一般式(1)のR1とR2とが同一であり、R3とR4とが同一であり、かつ、aとbとが同一であることが好適である。
また、本発明の電子写真感光体では、前記一般式(2)のR5が、下記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基であることが好適である。
Figure 2007199400
(一般式(3)中、eは、0〜2の整数を示す。)
また、本発明の電子写真感光体では、前記感光層が、前記電荷発生剤と、前記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または前記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有する単一の感光層であることが好適である。
また、本発明の電子写真感光体では、前記感光層が、前記電荷発生剤と、前記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または前記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有する電荷発生層、および、電荷輸送層を備える積層型感光層であることが好適である。
本発明の電子写真感光体によれば、上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物や上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物の溶剤に対する溶解性やバインダ樹脂に対する相溶性が高いことから、感光層中での上記一般式(1)または(2)で示される化合物の結晶化とそれに伴う感度低下とを抑制することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える電子写真感光体であって、感光層が、電荷発生剤と、上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有している。
上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物や上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物は、後述するが、いずれも電子写真感光体の感光層に、電子輸送剤として配合される。
一般式(1)中、R1およびR2は、同一または互いに異なって、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R3およびR4は、同一または互いに異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。
1およびR2において、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基の、炭素数2〜12のアルキル基としては、例えば、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルへキシル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシルなどが挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。なかでも、上記炭素数2〜12のアルキル基の炭素数は、好ましくは、1〜8、より好ましくは、2〜6、最も好ましくは、2〜4である。
1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基において、フッ素原子が置換する炭素原子としては、特に限定されないが、好ましくは、酸素原子に隣接する炭素原子(以下、この炭素原子の置換位置を1位とする。)を除いた、置換位置が2位以降の炭素原子が挙げられる。つまり、下記式(5)のn−ブチルで例示すれば、フッ素原子は、2位、3位または4位の炭素原子に置換する。
Figure 2007199400
また、上記1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基に置換するフッ素原子の数は、上記炭素数2〜12のアルキル基の炭素数にもよるが、好ましくは、2以上、より好ましくは、3〜7である。
また、上記1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基は、さらに、フッ素原子以外のハロゲン原子を有していてもよい。かかるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは、塩素原子が挙げられる。
1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基は、より具体的には、好ましくは、下記一般式(3)で示される。
Figure 2007199400
(一般式(3)中、eは、0〜2の整数を示す。)
1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基として、上記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基を用いたときは、アルキル基の全ての炭素原子にフッ素原子が置換しているパーフルオロアルキル基を用いたときに比べて、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(1)を安価に得ることができ、その結果、電子写真感光体の製造コストを低減することができる。
上記一般式(1)において、R1とR2とは、好ましくは、互いに同一である。
3およびR4において、炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルへキシル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシルなどが挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。なかでも、上記炭素数1〜12のアルキル基の炭素数は、好ましくは、1〜6、より好ましくは、1〜4、最も好ましくは、1または2である。
炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、o、m、p−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−キシリル、メシチル、o、m、p−クメニル、2−エチル−6−メチルフェニル、アントリル、フェナントリル、フルオレニルなどが挙げられる。上記炭素数6〜30のアリール基の炭素数は、好ましくは、6〜10、より好ましくは、6〜8であり、具体的には、フェニル、o、m、p−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−キシリルなどが挙げられる。
炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、n−ヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシなどが挙げられる。上記炭素数1〜12のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは、1〜4、より好ましくは、1または2である。
上記一般式(1)において、R3とR4とは、好ましくは、互いに同一である。
一般式(1)中、aおよびbは、同一または互いに異なって、0〜4の整数を示し、好ましくは、0または1を示し、より好ましくは、0を示す。
好ましくは、aとbとが同一である。
一般式(1)において、より好ましくは、R1とR2とが同一であり、R3とR4とが同一であり、かつ、aとbとが同一である。
一般式(2)中、R5は、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R6は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。R7は、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、ニトロ基またはシアノ基を示す。
一般式(2)中、R5において、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基の、炭素数2〜12のアルキル基は、上記したのと同様である。なかでも、その炭素数は、好ましくは、1〜8、より好ましくは、2〜6、最も好ましくは、2〜4である。
1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基における、フッ素原子が置換する炭素原子としては、特に限定されないが、好ましくは、酸素原子に隣接する炭素原子を除いた、置換位置が2位以降の炭素原子が挙げられる。つまり、上記式(5)のn−ブチルで例示すれば、フッ素原子は、2位、3位または4位の炭素原子に置換する。
また、上記1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基に置換するフッ素原子の数は、上記と同様であって、好ましくは、2以上、より好ましくは、3〜7である。
また、上記1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基は、さらに、フッ素原子以外のハロゲン原子を有していてもよい。かかるハロゲン原子は、上記と同様であり、好ましくは、塩素原子が挙げられる。
1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基は、より具体的には、好ましくは、上記一般式(3)で示される。
この上記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基を用いたときは、アルキル基の全ての炭素原子にフッ素原子が置換しているパーフルオロアルキル基を用いたときに比べて、ナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(2)を安価に得ることができ、その結果、電子写真感光体の製造コストを低減することができる。
6において、炭素数1〜12のアルキル基は、上記と同様であり、その炭素数は、好ましくは、1〜6、より好ましくは、1〜4、最も好ましくは、1または2である。
炭素数6〜30のアリール基は、上記と同様であり、その炭素数は、好ましくは、6〜10、より好ましくは、6〜8であり、具体的には、フェニル、o、m、p−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−キシリルなどが挙げられる。
炭素数1〜12のアルコキシ基は、上記と同様であり、その炭素数は、好ましくは、1〜4、より好ましくは、1または2である。
一般式(2)中、cは、0〜4の整数を示し、好ましくは、0〜2を示し、より好ましくは、0または1を示す。
7において、ハロゲン原子は、上記と同様であり、好ましくは、塩素原子が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基は、上記と同様であり、その炭素数は、好ましくは、1〜6、より好ましくは、1〜4、最も好ましくは、1または2である。
一般式(2)中、dは、0〜6の整数を示し、好ましくは、0〜2を示し、より好ましくは、0または1を示す。
この一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物は、次に述べる合成法1によって、合成される。
(合成法1)
工程1:フッ素原子を有するアルコール(11)に、金属ナトリウムを添加して、フッ素原子を有するナトリウムアルコキシド(12)を得る。
Figure 2007199400
(式中、R1は、上記と同じである。)
工程2:フッ素原子を有するナトリウムアルコキシド(12)と、アニリン誘導体(13)とを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)などの有機溶剤中、ヨウ化銅などの触媒存在下で反応させ、精製後、フッ素原子を有するアニリン誘導体(14)を得る。
Figure 2007199400
(式中、R1、R3およびaは、いずれも上記と同じである。Xは、ハロゲン原子である。)
なお、この工程2において、フッ素原子を有するナトリウムアルコキシド(12)と、ニトロベンゼン誘導体(15)とを、有機溶剤中、触媒存在下で反応させて、フッ素原子を有するニトロベン誘導体(16)を得た後、これをパラジウムなどの触媒の存在下で還元させて、精製することにより、フッ素原子を有するアニリン誘導体(14)を得ることもできる。
Figure 2007199400
(式中、R1、R3、aおよびXは、いずれも上記と同じである。)
工程3:テトラカルボン酸無水物(20)と、フッ素原子を有するアニリン誘導体(14)とを反応させ、次いで、工程1と同様にして合成されたフッ素原子を有するアニリン誘導体(15)とを反応させることにより、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(1)を得ることができる。
Figure 2007199400
(式中、R1〜R4、aおよびbは、いずれも上記と同じである。)
上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物は、次に述べる合成法2によって、合成される。
(合成法2)
上記合成法1の工程1および工程2と同様に合成して、フッ素原子を有するアニリン誘導体(17)を用意し、これと、ナフタレンジカルボン酸無水物誘導体(18)とを、反応させることにより、ナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(2)を得ることができる。
Figure 2007199400
(式中、R5〜R7、cおよびdは、いずれも上記と同じである。)
上記合成法1により得られる一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物、および、上記合成法2により得られる一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物は、その合成が容易で、収率が高いことから、安価に合成することができる。
上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物および上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物は、感光層中においては、電荷輸送剤、とりわけ、電子輸送剤として用いられる。
電子輸送剤としては、一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を単独で用いてもよく、上記化合物以外の、従来公知の種々の電子輸送剤と併用してよい。
一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物と併用できる電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ジナフトキノン系化合物、フルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、ニトロアントアラキノン系化合物、ジニトロアントラキノン系化合物、アゾキノン系化合物などが挙げられる。これら電子輸送剤は、具体的には、例えば、特開2004−262813号公報や特開2004−269441号公報に記載されているものが挙げられる。
電荷輸送剤としては、感光層の層構成、帯電極性などに応じて、後述する正孔輸送剤を併用してもよい。
正孔輸送剤としては、例えば、ビススチルベンジアミン系化合物、ビストリフェニルアミン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン系化合物、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾールなど)、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど)、有機ポリシラン化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などが挙げられる。これら正孔輸送剤は、具体的には、例えば、上記公報に記載されているものが挙げられる。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体の表面に、直接にまたは中間層としての下引き層を介して形成された感光層とを備えている。
導電性基体としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体;上記の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料;ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス;カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散した樹脂基体などが挙げられる。導電性基体の形状は、本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置の構造に応じて、シート状、ドラム状などの種々の形状を採用することができる。
下引き層は、積層する感光層の種類などに応じて任意に形成される層である。下引き層は、例えば、酸化チタンなどの無機顔料と、ポリアミド樹脂などの結着樹脂とを含有している。
本発明の電子写真感光体において、感光層は、単層型感光層と積層型感光層とのいずれであってもよく、その目的および用途により適宜決定される。
単層型感光層は、上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(1)または上記ナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(2)を含む電荷輸送剤と、電荷発生剤と、バインダ樹脂とを含有する、単一の感光層である。
積層型感光層は、上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(1)または上記ナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(2)を含む電荷輸送剤と、電荷発生剤と、バインダ樹脂とを含有する電荷発生層、および、電荷輸送剤と、バインダ樹脂とを含有する電荷輸送層を備えている。
電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン(TiOPc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。電荷発生剤は、画像形成装置の露光光源の波長に応じて、適宜選択すればよい。
なお、フタロシアニン系顔料の結晶形は、特に限定されないが、例えば、無金属フタロシアニンは、X型またはτ型であることが好ましい。チタニルフタロシアニンは、α型(X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°および28.6°に主たる回折ピークを有するもの)、または、Y型(ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するもの)であることが好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、V型であることが好ましく、クロロガリウムフタロシアニンはII型であることが好ましい。この電荷発生剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、例えば、繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールを有するポリカーボネート樹脂;繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールと、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を有するポリアリレート樹脂;ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。
そして、単層型感光層は、例えば、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、バインダ樹脂と、必要に応じて後述する他の成分と、後述する分散媒とを分散または溶解させることにより、上記各成分を含有する塗布液(感光層形成用塗布液)を調製し、次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を、必要により下引き層が形成された導電性基体の表面に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。なお、下引き層は、従来の方法に従って形成すればよく、例えば、特開平8−95278号公報に記載された方法に基づいて形成することができる。また、下引き層の厚みは、その目的および用途に応じて設定され、例えば、0.1〜50μmの範囲に設定される。
分散媒としては、上記各成分を分散・溶解して、感光層形成用塗布液を調製するのに際して、感光層形成用塗布液に従来用いられている種々の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの直鎖状エーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの分岐状エーテル類;オキセタン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドラピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
他の成分として、感光層形成用塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分の他にも従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナーなどを配合することができる。また、単層型感光層の感度を向上させるために、例えば、ターフェニル(メタターフェニルなど。)、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどの公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、単層型感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤などを使用してもよい。
単層型感光層の厚みは5〜100μm、特に10〜50μmとなるように設定するのが好ましい。
単層型感光層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましくは、0.5〜30重量部である。正孔輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜200重量部、より好ましくは、20〜100重量部である。電子輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜100重量部、より好ましくは、10〜80重量部である。正孔輸送剤と電子輸送剤とを併用する場合において、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、20〜300重量部、より好ましくは、30〜200重量部である。
感光層形成用塗布液の調製は、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを、上記分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などの公知の手段を用いて混合分散すればよい。
積層型感光層は、例えば、まず、導電性基体に直接にまたは下引き層を介して電荷発生層を形成した上で、この電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成することにより、形成することができる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、バインダ樹脂と、必要に応じて上記の他の成分と、分散媒とを分散または溶解させることにより、上記各成分を含有する塗布液(電荷発生層形成用塗布液)を調製し、次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を、必要により下引き層が形成された導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送剤と、バインダ樹脂と、必要に応じて上記の他の成分と、分散媒とを分散または溶解させることにより、上記各成分を含有する塗布液(電荷輸送層形成用塗布液)を調製し、次いで、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の表面に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。
電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、上記の場合と逆の順序であってもよいが、一般に、電荷発生層はその厚みが薄く、強度が十分ではないことから、上記のとおりの積層順序とするのが好ましい。
電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液における分散媒としては、上記した分散媒と同様のものが挙げられる。
電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤(電荷発生層形成用塗布液のみ)、電荷輸送剤、バインダ樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合分散することによって、調製することができる。
積層型感光層の厚みは、特に限定されないが、電荷発生層が、好ましくは、0.01〜5μm、より好ましくは、0.1〜3μmであり、電荷輸送層が、好ましくは、2〜100μm、より好ましくは、5〜50μmである。
積層型感光層において、電荷発生層では、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜1000重量部であり、より好ましくは、30〜500重量部である。電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
電荷輸送層では、電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
そして、この電子写真感光体では、積層される感光層が、電子輸送剤として、上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物や上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を含有し、これらは、分散媒(有機溶剤)に対する溶解性や、バインダ樹脂に対する相溶性が高い。そのため、感光層中での電子輸送剤(電荷輸送剤)の結晶化とそれに伴う感度低下を抑制することができる。
しかも、電子輸送剤として、上記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物や上記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を用いることにより、感光層の耐指油性を高めることができる。それゆえ、例えば、感光層の表面に指油が付着した状態で長期間にわたって保管された場合であっても、クラックの発生を抑制することができる。
本発明の電子写真感光体は、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置において、好適である。
そして、この感光層を備える電子写真感光体を、上記画像形成装置に搭載すれば、電子写真感光体は、画像形成装置の帯電手段などから発生するオゾンやNOxガスに対して、優れた耐性(耐ガス性)を有している。
また、この感光層を備える電子写真感光体を搭載した画像形成装置では、大きな光感度と低い残留電位とを有しており、鮮明な画像を長期にわたって安定して形成することができる。
合成例1
(フッ素原子を有するアニリン誘導体の合成)
2,2,2−トリフロオロエチルアルコール300g(3mol)中に、金属ナトリウム23g(1mol)を添加して、ナトリウムアルコキシドを合成した。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド2500mL、4−ヨードアニリン109.5g(0.5mol)およびヨウ化銅190.5g(1.0mol)を配合して、120℃にて5時間撹拌した。その後、イオン交換水5Lを加え、不溶物をろ過し、酢酸エチルにて抽出した。次いで、酢酸エチル層を水で3回洗浄し、その後、酢酸エチル層を分液し、これに硫酸ナトリウムを加え、ろ過して、ろ液を減圧蒸留した。その残渣をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=容量比1:5)により分離精製して、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン43.0gを得た(収率45%)。
(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物の合成)
ナフタレンテトラカルボン酸無水物8.0g(0.03mol)に、酢酸(純度99.7%)100g、および、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン17.2g(0.09mol)を配合して、得られた懸濁液を6時間還流した後、一晩放置した。なお、放置後の反応液には沈殿がほとんど認められなかった。
次いで、この反応液を水300mL中に滴下して析出させ、この析出した黄色結晶をろ過した。そして、ろ過後の黄色結晶状の残渣を0.25N−塩酸200mL中に配合し、次いで、ろ過した。この黄色結晶状の残渣をイオン交換水中で撹拌して、ろ過して精製した。この精製操作を3回実施した。これにより得られた結晶を、クロロホルム−メタノール混合溶媒(容量比、1:2)により晶析して、得られた析出物を乾燥させた。
次いで、乾燥した析出物を、クロロホルムに溶解させて、シリカゲルクロマトグラフィにて精製することにより、下記式(ETM−1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(分子量614、黄白色結晶、収量13.8g)を得た(収率75%)。
Figure 2007199400
合成例2
合成1におけるフッ素原子を有するアニリン誘導体の合成において、2,2,2−トリフロオロエチルアルコール300g(3mol)に代えて、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアルコール450g(3mol)を使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、4−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)アニリン49.4gを得た(収率41%)。
次いで、合成例1におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物の合成において、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン17.2g(0.09mol)に代えて、4−(2,2,3,3,3−トリフルオロプロポキシ)アニリン21.7gを使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、下記式(ETM−2)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(分子量714、黄白色結晶、収量15.4g)を得た(収率72%)。
Figure 2007199400
合成例3
合成1におけるフッ素原子を有するアニリン誘導体の合成において、2,2,2−トリフロオロエチルアルコール300g(3mol)に代えて、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアルコール600g(3mol)を使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、4−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)アニリン52.4gを得た(収率36%)。
次いで、合成例1におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物の合成において、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン17.2g(0.09mol)に代えて、4−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)アニリン26.2gを使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、下記式(ETM−3)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(分子量814、黄白色結晶、収量14.4g)を得た(収率59%)。
Figure 2007199400
合成例4
合成1におけるフッ素原子を有するアニリン誘導体の合成において、4−ヨードアニリン109.5g(0.5mol)に代えて、2−ヨードアニリン109.5g(0.5mol)を使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン14.3gを得た(収率15%)。
次いで、合成例1におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物の合成において、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン17.2g(0.09mol)に代えて、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン8.6gを使用したこと以外は、合成例1と同様に処理して、下記式(ETM−4)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(分子量614.5、黄白色結晶、収量5.0g)を得た(収率55%)。
Figure 2007199400
合成例5
4−ニトロ−ナフタレンジカルボン酸無水物14.6g(0.06mol)に、酢酸(純度99.7%)100gと、合成例1のフッ素原子を有するアニリン誘導体の合成と同様にして得られた4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)アニリン17.2g(0.09mol)とを配合して、得られた懸濁液を5時間還流した後、一晩放置した。なお、放置後の反応液には沈殿がほとんど認められなかった。
次いで、この反応液を水300mL中に滴下して析出させ、この析出した黄色結晶をろ過した。そして、ろ過後の黄色結晶状の残渣を0.25N−塩酸200mL中に配合し、次いで、ろ過した。この黄色結晶状の残渣をイオン交換水中で撹拌して、ろ過して精製した。この精製操作を3回実施した。これにより得られた結晶を、クロロホルム−メタノール混合溶媒(容量比、1:2)により晶析して、得られた析出物を乾燥させた。
次いで、乾燥した析出物を、クロロホルムに溶解させて、シリカゲルクロマトグラフィにて精製することにより、下記式(ETM−5)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(分子量416、白色結晶、収量21.2g)を得た(収率85%)。
Figure 2007199400
合成例6、7および8
上記特開昭59−164559号公報および特開平11−343291号公報の記載に準拠して、下記一般式(ETM−6)、(ETM−7)および(ETM−8)に示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物を得た。
Figure 2007199400
Figure 2007199400
合成例9および10
特開平7−49579号公報の記載に準拠して、下記一般式(ETM−9)および(ETM−10)に示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物を得た。
Figure 2007199400
Figure 2007199400
<単層型電子写真感光体の製造>
実施例1
下記式(CGM−1)で示されるX型無金属フタロシアニン3.5重量部、下記式(HTM−1)で示されるビススチルベンジアミン系化合物50重量部、合成例1で得られた上記式(ETM−1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物30重量部、下記式(ETM−11)で示されるジフェノキノン系化合物10重量部、メタターフェニル10重量部、下記式(Resin−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50000)90重量部、ポリエステル樹脂(バイロンRV200)10重量部、ジメチルシリコーンオイル(レベリング剤、商品名「KF−96−50CS」、信越化学工業(株)製)0.1重量部、テトラヒドロフラン750重量部を配合し、超音波分散機にて混合分散して、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム素管(直径30mm、長さ254mm)の表面に塗布した後、120℃で40分間熱風乾燥することにより、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真用感光体(単層型感光体)を得た。
Figure 2007199400
Figure 2007199400
Figure 2007199400
Figure 2007199400
実施例2
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例2で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−2)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
実施例3
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例3で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−3)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
実施例4
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例4で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−4)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
実施例5
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例5で得られたナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(ETM−5)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
実施例6
ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)50重量部に代えて、下記式(HTM−2)で示されるスチルベン系化合物50重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
実施例7
ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)50重量部に代えて、下記式(HTM−3)で示されるヒドラゾン系化合物50重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
実施例8
ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)50重量部に代えて、下記式(HTM−4)で示されるN,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物50重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
実施例9
X型無金属フタロシアニン(CGM−1)3.5重量部に代えて、下記式(CGM−2)に示されるY型チタニルフタロシアニン(TiOPc)3.0重量部と、ピグメントイエロー110(イルガジンイエロー3RLTN)3.0重量部とを添加したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
実施例10
X型無金属フタロシアニン(CGM−1)3.5重量部に代えて、下記式(CGM−3)に示されるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン3.5重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
実施例11
X型無金属フタロシアニン(CGM−1)3.5重量部に代えて、下記式(CGM−4)に示されるII型クロロガリウムフタロシアニン3.5重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
Figure 2007199400
比較例1
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例6で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−6)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
しかし、この単層型感光体では、単層型感光層において結晶の析出が観察された。
比較例2
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例7で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−7)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
比較例3
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例8で得られたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−8)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
しかし、この単層型感光体では、単層型感光層において結晶の析出が観察された。
比較例4
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例9で得られたナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(ETM−9)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
しかし、この単層型感光体では、単層型感光層において結晶の析出が観察された。
比較例5
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)30重量部に代えて、合成例10で得られたナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(ETM−10)30重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた感光層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層型感光層を備える電子写真感光体(単層型感光体)を製造した。
(単層型感光体の評価)
(1)電子写真感光体の電気特性
実施例1〜11、比較例2および5で作製した電子写真感光体(単層型感光体)を、市販の複写機(京セラミタ(株)製、FS1010)に搭載し、室温常湿環境下にて、現像位置における単層型感光体の表面電位(帯電電位(V0)および明電位(VL))を測定し、電気特性を評価した。その結果を、表1に示す。
(2)電子写真感光体の画像形成
実施例1〜11、比較例2および5で作製した電子写真感光体(単層型感光体)を、H/H(35℃、85RH%)環境下にて、2000枚の耐久評価の後に、形成画像の余白部分のかぶり濃度を、反射濃度計(品番「TC−6D」、東京電色(株)製)を用いて測定し、その平均値を求めた。その結果を、表1に示す。
(3)耐指油性試験
実施例1〜11、比較例2および4で作製した電子写真感光体(単層型感光体)における単層型感光層の表面を、1秒間、指で圧接し、その後、常温常湿環境下で24時間保管したときの、単層型感光層の表面状態を目視により観察し、1cm×1cm角の範囲におけるクラックの数を数えた。なお、耐指油性試験の評価は、下記のとおり判断した。
◎:クラックが観察されなかった。
○:クラックが1〜5個観察された。
△:クラックが6〜20個観察された。
×:クラックが21個以上観察された。
その結果を、表1に示す。
Figure 2007199400
なお、表1中、「PY110」は、ピグメントイエロー110(イルガジンイエロー3RLTN)を示す。
表1に示すように、実施例1〜11の電子写真感光体では、感光層中での電子輸送剤の結晶化とそれに伴う感度低下を抑制することができ、大きな光感度と低い残留電位とを有し、鮮明な画像を長期にわたって安定して形成することができた。また、感光層の耐指油性を高めることができた。
これに対し、比較例1、3および4では、感光層中で電子輸送剤が結晶化した。また、比較例2および5では、感光層の耐指油性を高めることができなかった。
<積層型電子写真感光体の製造>
実施例12
アルミナとシリカによる表面処理後、メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理がされた酸化チタン(数平均一次粒子径、10nm、商品名「MT−02」、テイカ(株)製)2.5量部と、6,12,66,610四元共重合ポリアミド樹脂(商品名「アミラン(登録商標)CM8000」、東レ(株)製)1重量部とを、メタノール10重量部およびブタノール2.5重量部に、ペイントシェーカーを用いて10時間分散させ、下引き層用塗布液を調製した。次いで、この下引き層用塗布液を5μmのフィルタにてろ過後、導電性基体としてアルミニウム製のドラム状基体(直径30mm、全長238.5mm)に、ディップコート法にて塗布し、130℃で30分間熱処理し、厚み2μmの下引き層を形成した。
次いで、Y型チタニルフタロシアニン(CGM−2)2重量部、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール♯6000EP、電気化学工業(株)製)1重量部、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)0.4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル40重量部およびテトラヒドロフラン40重量部を混合し、ビーズミルにて混合分散させて、電荷発生層形成用塗布液を作製した。次いで、この電荷発生層形成用塗布液を、3μmのフィルタにてろ過後、下引き層が形成されたドラム状基体の表面にディップコート法にて塗布し、80℃で5分間乾燥させて、厚み0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、上記式(HTM−1)で示されるビススチルベンジアミン系化合物70重量部と、メタターフェニル10重量部と、上記式(Resin−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(数平均分子量20500)70重量部、および、下記式(Resin−2−1)で示される繰り返し単位と下記式(Resin−2−2)で示される繰り返し単位とを15:85の割合で有するポリカーボネート樹脂(Resin−2、数平均分子量50000)30重量部と、テトラヒドロフラン600重量部とを混合して溶解させることにより、上記各成分を含有する電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
次いで、この電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層形成用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、120℃にて30分間乾燥し、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、電子写真感光体(積層型感光体)を作製した。
Figure 2007199400
実施例13
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)0.4重量部に代えて、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−2)0.4重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例14
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)0.4重量部に代えて、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−3)0.4重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例15
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)0.4重量部に代えて、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−4)0.4重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例16
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)0.4重量部に代えて、ナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物(ETM−5)0.4重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例17
電荷輸送層形成用塗布液の調製において、ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)70重量部に代えて、スチルベン系化合物(HTM−2)70重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、厚み0.3μmの電荷発生層と厚み20μmの電荷輸送層とを、この順序で、下引き層を有する導電性基体上に形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例18
電荷輸送層形成用塗布液の調製において、ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)70重量部に代えて、ヒドラゾン系化合物(HTM−3)70重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、厚み0.3μmの電荷発生層と厚み20μmの電荷輸送層とを、この順序で、下引き層を有する導電性基体上に形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例19
電荷輸送層形成用塗布液の調製において、ビススチルベンジアミン系化合物(HTM−1)70重量部に代えて、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物(HTM−4)70重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、厚み0.3μmの電荷発生層と厚み20μmの電荷輸送層とを、この順序で、下引き層を有する導電性基体上に形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
実施例20
電荷発生層形成用塗布液の調製において、Y型チタニルフタロシアニン(CGM−2)2重量部に代えて、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−3)2重量部を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
比較例6
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)を配合しなかったこと以外は、実施例12と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
比較例7
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)を配合しなかったこと以外は、実施例17と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
比較例8
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)を配合しなかったこと以外は、実施例18と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
比較例9
電荷発生層形成用塗布液の調製において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物(ETM−1)を配合しなかったこと以外は、実施例19と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製した。次いで、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を使用したこと以外は、実施例12と同様にして、下引き層を有する導電性基体上に厚み0.3μmの電荷発生層を形成し、続いて、厚み20μmの電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を備える電子写真感光体(積層型感光体)を製造した。
(積層型感光体の評価)
(4)電子写真感光体の電気特性
実施例12〜20および比較例6〜9で作製した電子写真感光体(積層型感光体)を、市販の負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタ(沖データ(株)製、MicroLine−22)に搭載し、室温常湿環境下にて、黒ベタ、グレー画像および白紙画像の画像形成をする2K(2000枚)の連続耐久試験をし、現像位置における感光体の表面電位(帯電電位(V0)、明電位(VL)、および、帯電電位(Vo)から前周黒ベタ部の白紙電位Vobを引いたもの(Vo−Vob))を測定することにより、電気特性を評価した。その結果を、表2に示す。
(5)電子写真感光体の画像形成
上記連続耐久試験後の、電子写真感光体のメモリ効果の有無を目視にて観察した。なお、画像形成(メモリ効果)の評価は、下記のとおり判断した。
◎:電子写真感光体の回転1周目に形成された黒ベタ画像のゴーストが、電子写真感光体の回転2周目に形成されたグレー画像中において、ゴーストが観察されなかった。
○:ゴーストが多少観察されたものの、実用上問題のない程度あった。
△:ゴーストが観察され、実用上問題のある程度であった。
その結果を、表2に示す。
Figure 2007199400
表2に示すように、実施例12〜20の電子写真感光体では、感光層中での電子輸送剤の結晶化とそれに伴う感度低下を抑制することができ、大きな光感度と低い残留電位とを有し、鮮明な画像を長期にわたって安定して形成することができた。
これに対し、比較例6〜9では、鮮明な画像を長期にわたって安定して形成することができなかった。

Claims (6)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体の表面に、直接にまたは中間層を介して形成された感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層が、電荷発生剤と、下記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または下記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有していることを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 2007199400
    (一般式(1)中、R1およびR2は、同一または互いに異なって、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R3およびR4は、同一または互いに異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。aおよびbは、同一または互いに異なって、0〜4の整数を示す。)
    Figure 2007199400
    (一般式(2)中、R5は、1または2以上のフッ素原子を有する炭素数2〜12のアルキル基を示す。R6は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。R7は、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、ニトロ基またはシアノ基を示す。cは、0〜4の整数を示す。dは、0〜6の整数を示す。)
  2. 前記一般式(1)のR1およびR2が、同一または互いに異なって、下記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2007199400
    (一般式(3)中、eは、0〜2の整数を示す。)
  3. 前記一般式(1)のR1とR2とが同一であり、R3とR4とが同一であり、かつ、aとbとが同一であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(2)のR5が、下記一般式(3)で示されるフッ素原子を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2007199400
    (一般式(3)中、eは、0〜2の整数を示す。)
  5. 前記感光層が、前記電荷発生剤と、前記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または前記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有する単一の感光層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層が、前記電荷発生剤と、前記一般式(1)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物または前記一般式(2)で示されるナフタレンジカルボン酸モノイミド系化合物とを含有する電荷発生層、および、電荷輸送層を備える積層型感光層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
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