JP2007199297A - 光学フィルムの製造方法、並びに光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、並びに光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高速乾燥が可能であって、しかも乾燥ムラが無く生産性も優れた光学フィルムの製造方法を提供すること。また、その製造方法によって、生産効率よく、ムラが少ない優れた面品質の光学フィルムを提供すること。
【解決手段】フィルム基材上に、少なくとも1種の揮発性溶剤を含有する塗布液を塗設する塗工工程と、塗設した塗布液層から揮発性溶剤を空気中に揮散除去する乾燥工程とを有する光学フィルムの製造方法において、該乾燥工程の温度における該揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と、大気圧(P)との比R(=p/P)を、0.05〜1.5とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法及び該製造方法によって製造された光学フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法、並びにその製造方法により作製した光学フィルム、偏光板、及びこれらを用いた画像表示装置に関する。更に詳細には、フィルム基材上に光学機能層を塗工してなる光学フィルムにおいて、乾燥ムラが少なく、高速塗布可能であり、高い生産性をもつ光学フィルムの製造方法、および、その方法により作製した光学フィルム、偏光板、及びこれらを用いた画像表示装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置に対し、光学機能性フィルムの適用が一般的に行われている。このような光学フィルムとしては、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム、表面保護フィルム、偏光板等があげられる。
これらの光学フィルムは、直接目視で観察される画像表示装置に用いられるため、フィルムのムラについては目視でほとんど認識できない低レベルという極めて厳しい品質が要求される。さらに、ディスプレイの大画面化により、大きな面積のフィルムが用いられるため、広い面積でムラのない光学フィルムが要求される。
このような光学フィルムの製造方法として、上記要求特性を満たして、かつ高い生産性を付与するために、フィルム状の基材に光学機能層を連続的に塗工する方法が適している(特許文献1)。特に揮発性溶剤を含有する溶液を塗工し、光学機能層注の揮発性溶剤を揮散除去する乾燥方法によって行うことが多い。このような塗布層の溶液塗布による形成方法では、塗布・乾燥によりムラが生じることが多い。特に、塗布層が光学機能層である場合、塗布・乾燥によるムラが直接光学特性の変化となるため、乾燥状態の微小な変化やそれに伴う微小な膜厚差がフィルムのムラとして目立ち易い。このため、塗布、乾燥ムラを抑制する層形成方法、および塗布、乾燥ムラの少ないフィルムが望まれている。
このうち、乾燥ムラについては、塗布層形成後、塗布層の表面を気体層でシールし、乾燥風速を抑えながら乾燥する方法(特許文献2)等、乾燥完了まで塗膜付近に覆いをしたり、風をおさえる方法が知られている。
特開平9−73081号公報 特開平9−73016号公報
光学フィルム製造において、乾燥ムラを抑えるため、塗布層表面を覆い、風を抑えるような乾燥方法を適用すると、揮発性溶剤の乾燥が遅れ、生産性を上げるための高速塗布化に対し大きな障害となる。また、高速塗布化の際に、塗布ムラの発生を防ぐために、塗布液を希釈して低粘度化することが望ましいが、これによりさらに乾燥ムラが悪化し易くなる。そのために、高速塗布化のためには、乾燥ムラが少ない高い面品質を付与すると同時に、高速乾燥もできる製造方法が望まれている。
本発明は、上記の要請に基いてなされたものであり、したがってその目的は、高速乾燥が可能であって、しかも乾燥ムラが無く生産性も優れた光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、その製造方法によって、生産効率よく、ムラが少ない優れた面品質の光学フィルムを提供することである。
本発明者は、乾燥ムラ無くかつ高速で乾燥させる方法を検討した結果、乾燥を行う空気に対する塗布液中の揮発性成分の揮発性を特定範囲に制御することによって乾燥ムラの抑止と高速乾燥性とを両立できることが判ってきた。すなわち、乾燥を行う空気に対する揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と大気圧(P)の比Rを空気の乾燥能力の指標とし、このRをある範囲とすることで乾燥ムラと、高速乾燥性を両立できることを見出した。さらに、実際に乾燥する際の揮発性溶剤濃度(V)をRに対しある範囲に制御することで、特に乾燥ムラを抑制し、かつ高速乾燥できることが判明した。その結果に基く下記構成の光学フィルム、および光学フィルムの形成方法により本発明の目的を達成することができた。
1.フィルム基材上に、少なくとも1種の揮発性成分を含有する塗布液を塗設する塗工工程と、塗設した塗布液層から揮発性成分を空気中に揮散除去する乾燥工程とを有する光学フィルムの製造方法において、該乾燥工程の温度における該揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と、大気圧(P)との比R(=p/P)を、0.05〜1.5とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.該乾燥工程において塗膜表面付近の塗布液の揮発性成分体積分率(V)のRに対する比率V/Rが0.05〜0.9のもとで乾燥が行われることを特徴とする上記1記載の光学フィルムの製造方法。
3.該乾燥工程に供給される空気が、揮発性成分を前記Vの1〜50%の範囲で含有していることを特徴とする上記1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.該乾燥工程に供給される空気が含有する塗布液成分以外の揮発性成分の体積分率が、該空気の0.05以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
5.該揮発性成分が、ケトン、エステル及びアルコールから選択される少なくとも一つから成ることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
6.該乾燥工程における該揮発性成分の平均乾燥速度が、1秒あたり0.1g/(m塗膜)以上であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
7.上記1〜6のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
8.塗布液中にディスコティック化合物が含まれていることを特徴とする上記7に記載の光学フィルム。
9.塗布液中に透光性粒子が含まれていることを特徴とする上記7に記載の光学フィルム。
10.該塗布液により塗設される層が防眩性付与層であることを特徴とする上記9に記載の光学フィルム。
11.最上層として反射防止層を有し、該反射防止層が屈折率1.31〜1.45の低屈折率層であることを特徴とする上記7〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
121.偏光膜の少なくとも一方の側の保護フィルムが上記7〜11のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
13.上記7〜11に記載の光学フィルム又は上記12に記載の偏光板の少なくともいずれか一つを有することを特徴とする画像表示装置。
本発明により、乾燥ムラ等の塗布故障が少なく、品質の良い光学フィルムを安価に製造できる光学フィルム製造方法が提供される。また、この製造方法によって、乾燥ムラが少なく、生産性も優れた光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム、ハードコートフィルム、その他各種の機能性を備えた光学フィルムが提供される。さらに、これらの光学フィルムやそれを用いた偏光板を用いて画像品質の優れた画像表示装置を製作することができる。
以下、本発明に係る光学フィルムの実施形態について説明する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明は光学フィルムの製造方法として、広く一般的に用いることができる。光学フィルムとしては、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、光拡散フィルム、表面保護フィルム、偏光フィルム等があげられる。特に、画像表示装置に用いられる光学フィルムに対し、本発明の製造方法が適している。すなわち、本発明では、基材フィルム上への塗布により機能層を設け、反射防止、防眩、光散乱、表面硬度、光学補償性等の機能を付与する光学フィルムに対してムラの抑止性と優れた生産性が発揮されて好ましく用いられる。これらの塗布層は、微小な膜厚の変化や、含有される粒子の密度変化により、光学特性の変化が生じ、ムラが目視で見えやすくなることが多い。さらに、これらのフィルムは、画像表示装置に用いられることで、直接目視の透過・反射で観察されるため、ムラに対して、極めて厳しい品質が要求される。以上のような光学フィルムに対し本発明の効果は大きい。
〔塗布液の塗工工程・乾燥工程〕
次に本発明における塗布液の塗工工程および乾燥工程について示す。
本発明においては、フィルム状基材に揮発性成分を含む塗布液が塗工される。この揮発性成分を含む塗布液には、光学機能層や物理機能層等の特性をもつ層を形成する成分が含まれる。なおこの機能層を塗布する前に、他の層が塗布されていても良いし、フィルム表面に各種表面処理がされていても良い。
本発明に用いる塗布液は、揮発性の成分を含むことが必要である。揮発性成分は、塗布液に含まれる成分を溶解・分散・混合し、液の特性が塗布に適するよう、粘度、表面張力等を調整する溶剤として含まれる。揮発性の成分としては、一般的な有機溶剤(炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、その他)や、ハロゲン化炭化水素(塩素、臭素、フッ素等を含有する溶剤)、水等の無機溶剤があげられる。
なお、本発明における揮発性成分とは、乾燥を実施する温度において蒸発し、塗膜中の含有量が減るものを示すが、乾燥する温度における蒸気圧が、大気圧の約1/1000以上のものとすることができる。本発明での揮発性の溶剤としては、沸点200℃以下のものが好ましい。なお、本発明の光学機能層に対しては、上記の揮発性成分の他、後述するように、機能性を付与するための不揮発性成分が含有されることが一般的であるが、この不揮発性成分は、乾燥する温度での蒸気圧が大気圧の約1/1000未満のものとすることが好ましい。
以上のような揮発性溶剤の具体例としては、沸点が100℃以下の低沸点溶剤として、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃:以下℃を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−ブタノン(=メチルエチルケトン:MEK、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)、2−ブタノール(99.5)、t−ブタノール(82.5)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、などがある。
また、沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃、以下「℃」を省略する)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸ブチル(126)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(=メチルイソブチルケトン:MIBK、115.9)、2−オクタノン(173)、1−ブタノール(117.7)、iso―ブタノール(107.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)、ジアセトンアルコール(168)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、水(100)などがある。ただし、本発明の揮発性溶剤は、以上に限られるものではない。
上記溶剤の塗布液への使用に際しては、塗布液に含有される構成成分の溶解性、反応性、添加している粒子成分等の安定性、塗工する下地層への溶解・拡散性、乾燥工程での乾燥性、粘度調整等の観点から適した溶剤を適宜選択できる。このような点から、ケトン類、エステル類、アルコール類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類が適している。また、塗布に用いられる揮発性溶剤においては、塗布加工作業をする際に、人体、生態系への安全性、防爆上の安全性、環境放出による温室効果、オゾン層破壊性等へ配慮することが必要となっている。この点から、ケトン類、エステル類、アルコール類の溶剤が適している本発明における揮発性溶剤は、これらのケトン類、エステル類、アルコール類から構成されることが好ましい。
以上の溶剤のうち、特に好ましくはケトン類である。その中でも、2−ブタノン(MEK)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBK)、シクロヘキサノン等は、特に好ましい溶剤である。
また、以上の溶剤の組成としては、単独および混合のいずれでもよいが、沸点、溶解性、表面張力等特性の異なる数種の溶剤を混合して用いることも好ましい。特に高沸点の溶剤を混合させることは、塗布液成分の溶解性付与、分散安定性付与、塗布液の急激な乾燥による乾燥ムラ悪化の抑制、塗布液含水分上昇等を抑制する点で好ましい。
以上の本発明の揮発性溶剤を用いた塗布液を、塗布、乾燥する際、乾燥を実施する条件での溶剤の揮発性を、適当なある範囲内に制御することが好ましい。このような場合の溶剤の揮発性を示す尺度として、溶剤の蒸気圧を用いることができる。すなわち、本発明の揮発性溶剤と、乾燥を実施する空気温度条件との関係として、乾燥を行う温度における揮発性成分の蒸気圧(p)の、大気圧(P)との比R(=p/P)を、ある一定の範囲に設定した乾燥をおこなうことが好ましい。このRは、R≦1以下の時は、乾燥する条件で揮発性溶剤が飽和した時の体積分率を示す。R>1では、飽和蒸気圧が大気圧より大きくなるが、揮発性溶剤が1を超える体積分率まで揮発できるという、仮想的な飽和体積分率と考えることができる。
揮発性成分の各温度での蒸気圧については、温度と蒸気圧の関係を示した、コックス線図により知ることが出来る。すなわち、蒸気圧(p)と、温度(T)の関係に関する式、
(数式1)
Log(p)=a−b/(T)
より、各溶剤により実験的に求められる定数a、bを求めることである温度での蒸気圧を知ることが出来る。このような関係、および代表的な溶剤の温度−蒸気圧の関係については、「溶剤ハンドブック」(浅原、戸倉ら編、講談社サイエンティフィック)等の一般文献に記載されている。
なお、本発明の揮発性成分は、数種のものを混合して用いることもできる。この際の蒸気圧は、溶剤同士の相互作用の無い系では、各成分単体の蒸気圧を成分比で加重平均することでおおよそ予想できる。ただし、混合する成分によっては、単純な加重平均からずれることがあるが、これは、実験により求めることが可能である。
本発明において、R(=p/P)の値は0.05〜1.5とすることが望ましい。なお、大気圧Pは天候等により変動するが、一般的な常圧での乾燥においては、Pは一気圧(=101.3kPa)とおいて良い。
Rが小さいと、乾燥する空気に対する溶剤揮発能力が小さいこととなり、乾燥時間が長く必要であり、高速乾燥に適さない。また、Rが1.5を超えると、溶剤の沸点を大幅に超える条件となるため、溶剤の沸騰、急速乾燥による乾燥ムラの問題が生じる。このRの範囲としては、0.06〜1.0がより好ましく、0.07〜0.7が特に好ましい。
また、このような乾燥条件のもとで、実際に溶剤を揮散させて乾燥を行う際、Rで示される溶剤の乾燥能力(空気中の溶剤飽和体積分率)に対し、飽和体積分率より低い溶剤体積分率(V)で実際の乾燥を実施することで、乾燥の高速化と、良好な乾燥ムラが両立した乾燥を達成できる。ここでいう溶剤体積分率(V)は一般によばれる溶剤濃度(体積%)と同じものであるが、Rとの対比のため、空気全体の体積を1とした時の溶剤比率(0〜1の範囲の数)で示している。この溶剤体積分率(V)は、実際に乾燥する塗膜面近くの値を測定できることが望ましいが、現実的には、塗膜面直上〜約5cm上の範囲での溶剤体積分率で定義することができる。この溶剤体積分率は、実際に乾燥を実施する時の塗膜面近くの空気を捕集し、溶剤濃度計、ガスクロマトグラフィー等の手段により測定することにより知ることができる。また、乾燥の条件、溶剤特性等から、計算により求めることも可能である。この膜面付近の溶剤体積分率Vは、Rに対し、0.05〜0.9の範囲にすることが望ましい。この値が低いと、塗膜面近くでの溶剤体積分率のムラにより乾燥性の不均一が起き、乾燥ムラが形成しやすい。また、0.8以上となると、乾燥の促進効果が少なく、高速乾燥に適さない。この値は、0.07〜0.6がより好ましく、0.10〜0.5が特に好ましい。
以上のように乾燥する際の空気温度、風速や溶剤濃度を制御するためには、揮発性溶剤を含んだ塗膜が乾燥する部分に、乾燥するための空気を給気、および/または排気するような構造にすることが好ましい。この際、乾燥部の給気、排気量を一定になるよう制御するために、膜面の乾燥を実施する部分を、板・箱状のもので覆いをし、乾燥ゾーンとすることが特に好ましい。このような乾燥ゾーンは、乾燥風の流れを整流するため、塗膜面を板や金網で覆ったり、箱で塗膜面を覆うことが好ましい。このような乾燥工程の一例を図1a、図1bに示す。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
図1aは、本発明に好適に用いられる塗布・乾燥工程の一例である。この図でフィルム状の支持体を送り出し部1から搬送し、2の塗布部で塗布液の塗布を行う。この1〜2の間に、必要により、フィルムに各種の処理を行ってもよい。2の塗布部でフィルム上に形成された塗膜は、31〜36で示す乾燥ゾーンで揮発性成分が乾燥される。この際、41〜46で示す給気口より空気を送り、乾燥ゾーンの温度、風速、溶剤濃度等を制御する。なお、41〜46は排気口としてもよいし、給気口と排気口をそれぞれ設けてもよい。また、31〜36のゾーンは塗布直後からあってもよいし、塗布後しばらくした地点から設けてもよい。この乾燥後、必要に応じ、塗膜中の残留溶剤の揮発、もしくは膜の熱処理を行うための熱処理ゾーン5、UV等の活性放射線硬化を行うための6を実施することができる。その後、7で塗布加工後のフィルムが巻き取られる。
図1bは、本発明の乾燥工程の別の一例である。ここでは、乾燥ゾーン31〜36は、膜面に垂直方向の給気口41〜46より空気を送り、膜面近くの金網8で塗膜にあたる風を均一化し乾燥を行うことができる。
このように乾燥するための空気の給気、排気を行う際に、乾燥ゾーンの容積、乾燥室内の構造、給気口、排気口の構造等の形状や、膜面に風があたる部分に金網を設置する等の手段と、給気、排気する風量の制御によって、乾燥ゾーンの風の流れ、塗膜面への風速、溶剤濃度の均一化等の制御を行うことができる。この際、膜面にあたる風速としては、本発明の範囲を満たしていれば、特に制約は無いが、0.02m/s〜2.0m/sの範囲が好ましい。より好ましくは0.05m/s〜1.5m/s、特に好ましくは0.1〜1.2m/sである。
また、本発明の乾燥を実施する際、塗膜面付近の溶剤濃度を塗布されたフィルム全面でできるだけ均一化するため、給気する空気中に揮発性溶剤成分を含有させることも好ましい。これにより、乾燥する際の給気口付近の溶剤濃度の低下を抑え、塗布膜全体の溶剤濃度の均一化をすることができる。この給気風への溶剤の含有量は、実際の膜面の溶剤濃度Vより低いことが好ましい。具体的に好ましい範囲は、膜面溶剤濃度Vの1〜50%、特に好ましくは1〜30%である。
また、本発明の乾燥する空気中に塗布液中に含まれる揮発性溶剤成分以外の揮発性成分が含まれると、乾燥が遅れ、乾燥の変動原因となるため、塗布液に含まれる成分以外の揮発性成分は減らすことが好ましい。このような塗布液成分以外の揮発性成分としては、主に空気中の水分があげられる。このような塗布液成分以外の揮発性成分は、空気中の5体積%以下が好ましく、3体積%以下がより好ましく、1体積%以下がさらに好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。
また、本発明の乾燥は、塗膜中の揮発性成分の含有量が高く、塗膜流動性があり、乾燥ムラが発生しやすい時に適用することが好ましい。塗膜の流動性は、塗布液の性質により変動するが、塗膜中の揮発性成分濃度が0.1以下になると、ほとんど流動性は生じなくなる。このため、本発明の乾燥は、塗布後乾燥する際の塗膜中の揮発性成分濃度が0.99〜0.1の範囲において適用することが好ましい。より好ましくは0.98〜0.15であり、特に好ましくは0.97〜0.2である。また、本発明の乾燥条件は、この塗膜塗布後、流動性がほぼ無くなる塗膜中の揮発性成分濃度0.1になる乾燥時間中の一部で適用すればよく、塗布液の特性による乾燥時間でのムラの発生しやすさの状況に応じて適宜選択することができる。なお、塗膜の乾燥時間内に、本発明以外の条件を適用してもよい。本発明の乾燥は、塗膜乾燥時間の1割以上の時間に適用することが好ましい。3割以上の時間に適用することがより好ましく、5割以上の時間に適用することが特に好ましい。
また、本発明の乾燥工程を適用している時の揮発性溶剤の乾燥速度は、乾燥工程全体の平均で1秒あたり0.1g/m以上が好ましく、より好ましくは0.3g/m以上であり、さらに好ましくは0.5g/m以上、特に好ましくは0.7g/m以上である。この乾燥速度が速ければ、短い乾燥工程長でムラ無く乾燥完了できることとなり、塗布速度を上げることが可能となる。なお、乾燥速度は、これまで述べてきたように、溶剤種、乾燥風速、乾燥温度等により調整できる。
以上の本発明の光学フィルムにおいて、塗膜の塗布量は、好ましくは1mあたり1mlから40mlであり、特に2mlから25mlが好ましい。光学機能層の塗布層厚としては、0.01μmから20μmが好ましく、特に0.05μmから10μmが好ましい。
〔送り出しから塗布までの工程〕
本発明の光学フィルムは、フィルム状の基材を連続的に送り出し、必要に応じてフィルムの前処理をした後、塗布工程にて塗布を行うことが好ましい。塗布前に行うフィルムの前処理としては、除塵処理、除電処理、熱処理、表面親水化/疎水化処理、配向膜の配向処理等があげられる。なお、これらの処理はロール状フィルムを本発明の塗布工程で使用する前に行っても良い。
除塵処理としては、フィルム上の異物を除去するため、乾式除塵法として、粘着ロールや、特開昭59−150571記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613に記載のような、超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)が上げられる。また、湿式除塵法としては洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法や、特公昭49−13020号公報に記載されているようなフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、また、特願平11−215807号公報に記載された、ウェブを液体で濡らしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等があげられる。これらのうち、粘着ロールや、超音波除塵機による方法が一般的である。
除電処理は、除塵の効率を上げることや、帯電による塗布ムラを抑えるために行われる。除電方法としては、除電バーや、電荷放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のウェブの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの熱処理は、塗布層の基材となるベースの平面性を改善する等の目的で行われる。加熱方法としては、加熱ロールによる方法、加熱ゾーン内への挿入による方法、および赤外線ヒーター等による加熱方法を用いることができる。
フィルムの表面処理は、塗布層の密着性や、塗布時の濡れ性改良のために実施することができる。このような表面処理としては、アルカリ処理(けん化処理)、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理など等があげられる。
配向膜の配向処理は、上層に液晶層等の光学異方性層を塗布する時に特に好ましく用いられる。この際、フィルム上には、配向膜が形成されていることが望ましい。配向膜の配向処理としては、布によるラビング処理法や、光配向、磁気配向等の非接触型の配向法等を用いることができる。
〔塗布工程〕
塗布工程では、上記の送り出されたフィルムに対し、以下に示した方法で塗布層を塗工し設けることができる。ただし、以下の記載に制限されるものではない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、塗膜を形成する。このうち、特にワイヤーバーコート法、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法が好ましい。
本発明では、ワイヤーバーコート法、エクストルージョンコート法は、特開平9−73081号公報に記載の方法等を好ましく用いることができる。
また、本発明に適用されるマイクログラビアコート法は、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましい。
なお、塗布を行う際、フィルム状基材(ベースと記すこともある)の温度を調整することも塗布性、乾燥性を制御するために好ましい方法である。この温度調整は、ロール接触、ヒーター使用、塗布室温調整等により可能である。
また、二つ以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明の塗布において、フィルム状支持体の搬送速度は0.5〜200m/分であることが好ましく、1〜100m/分がより好ましく、5〜50m/分が特に好ましい。
〔熱処理、活性放射線硬化工程〕
本発明の光学フィルムの製造方法においては、塗布、乾燥後、必要に応じて加熱による処理を行うことも好ましい。加熱処理は、液晶層配向のための処理、残留揮発分の除去、塗布液成分の熱硬化等の目的で行われる。この際の熱処理の温度、時間は、塗膜の特性、および塗布されるフィルム基材のガラス転移温度、熱変形特性等により、加熱温度・時間を最適に設定することができる。一般的な熱処理温度としては、60℃〜150℃の範囲であり、特に80℃から140℃の範囲が好ましい範囲である。熱処理時間としては、10秒から30分の範囲が好ましく、より好ましくは20秒から20分、特に好ましくは30秒から15分である。
また、塗布層が、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合、電離放射線を照射し、硬化を行うことが好ましい。電離放射線としては、紫外線照射、電子線照射、X線照射等一般に知られている方法を用いることができる。これらの方法のうち、紫外線照射が特に好ましい。紫外線照射は、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の各種の市販の紫外線照射ランプを用いて実施することができる。なお、紫外線照射を実施する際、架橋反応、又は、重合反応を酸素濃度を低下させた雰囲気下で行うことも好ましい。この際、酸素濃度は10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れた硬化層を形成することができる。より好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
また、活性放射線で硬化する際の、放射される塗膜の温度を制御することも好ましい。塗膜の放射線照射時の温度を制御する方法としては、活性放射線を照射する室内の雰囲気温度を制御する方法、照射する側と反対側にロールを設置し、そのロール温度により制御する方法等がある。
続いて、光学フィルムに必要な構成材料について説明する。
〔支持体〕
本発明の光学フィルムの支持体(基材又はベースと記すこともある)としては、フィルム状の形態のものを用いることができる。特にプラスチックフィルムであることが好ましい。
支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。プラスチックフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、代表的には富士写真フイルム社製TAC−T80U、TD80U,TDY80Uなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、ポリアクリレートなどが挙げられる。このうちセルロースアシレート、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン等が好ましい。
中でもセルロースアシレートが好ましく、とりわけセルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。とくに炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、WO’00/26705号明細書に記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学フィルムに用いることもできる。
偏光板保護フィルム、もしくは位相差フィルムに本発明の光学フィルムを使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0乃至62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0乃至62.0%であることがさらに好ましい。
酢化度とは、グルコピラノース単位の質量当たりの結合酢酸質量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.0乃至1.65であることがさらに好ましく、1.0乃至1.6であることが最も好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位、6位のヒドロキシル基が均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるポリマーフィルムでは、グルコース単位の6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。
グルコース単位の2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
セルロースアシレートフィルムは、単層または複数の層から構成されたものを用いることができる。単層のトリアセチルセルロースは、特開平7−11055号公報等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、複数の層からなるトリアセチルセルロースは、公開特許公報の特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法等により作成することができる。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなるウエッブの上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、ウエッブ上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムをウエッブから剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
上記のような、セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましいため、ジクロロメタンを実質的に含まない溶剤を用いて、特殊な溶解法である冷却溶解法、もしくは高温溶解法により溶解し、製膜することもできる。このような、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアセテートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
また、セルロースアシレートフィルムに柔軟性を付与するための可塑剤、フィルム自身の耐光性向上、或は偏光板や画像表示装置用の液晶化合物、有機EL化合物等の画像表示部材の劣化防止のための紫外線吸収剤、さらにはフィルム機械的強度付与、寸法安定性向上、耐湿性向上、滑り性付与等のための微粒子、等を添加することが好ましい。また、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤(例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性調整剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点は特に限定されるものではない。また、赤外吸収染料としては、例えば特開平2001−194522号公報に記載されているものが用いられる。
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程における何れの段階で添加してもよく、またドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報 公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムの支持体の膜厚としては、一般的に用いられる場合は20乃至200μmであり、好ましくは20〜120μmであり、更に好ましくは30〜90μmである。膜厚が上記範囲であると、製造時の支持体切断や皺の発生が抑制されると共に、偏光板や表示装置が薄くなり、更には光学諸特性、コスト、生産性、加工効率等に優れる。
また本発明の光学フィルムに用いる支持体は、長さ100〜5000mで幅0.7〜2mの長尺ロール形態のものであることが好ましい。本発明の光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板保護フィルムおよび画像表示装置を薄く軽量化したり、透過率を高めてコントラストや表示輝度を改善する等の良好な光学特性が安定して得られ、長尺で幅広な支持体を皺等の問題を生じることなくハンドリング性よく取り扱うことができる。
また、支持体の膜厚の変動幅は、±3%以内であり、好ましくは±2.5%以内、更に好ましくは±1.5%以内である。この変動内において、支持体厚みの変動が、塗布層の塗布性に実質上の影響を及ぼさない良好なものとなる。
〔光学異方性層を有する光学補償フィルム〕
本発明の光学フィルムの代表的な形態である、光学補償フィルムについて、以下に記載する。光学補償フィルムとしては、例えば液晶化合物からなる光学異方性層を有するフィルムが知られている。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子による複屈折を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、411〜414頁に記載されている。
光学異方性層は、支持体上に直接液晶化合物から形成するか、もしくは配向膜を介して液晶化合物から形成する。配向膜は、10μm以下の膜厚を有することが好ましい。
光学異方性層は、液晶化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。本発明の配向膜として好ましい例は、特開平8−338913号公報に記載されている。
(液晶性化合物)
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基またはエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものがあげられる。
<ディスコティック化合物>
ディスコティック化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
上記ディスコティック化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。ディスコティック化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック化合物を重合により固定するためには、ディスコティック化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になるため、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。このようなディスコティック化合物の具体例は、WO01/88574A1号公報58ページから65ページ等に記載されている。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。
ディスコティック化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
ディスコティック化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは、ディスコティック化合物と相溶性を有し、ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。添加成分の中でも重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)の添加が好ましい。上記化合物の添加量は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることが出来る。
光学異方性層においては、適当なポリマーをディスコティック化合物とともに使用してもよく、そのポリマーは、ディスコティック化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
好ましいポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーの添加量は、ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
ディスコティック化合物の光学異方性層の膜厚方向での配向は、ハイブリッド配向であることが好ましい。ハイブリッド配向では、ディスコティック化合物の長軸(円盤面)と支持体の面との角度すなわち傾斜角が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
ディスコティック化合物の長軸(円盤面)の平均方向(各分子の長軸方向の平均)は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック化合物の長軸(円盤面)方向は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。ディスコティック化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3乃至10μm)する場合がある。
(液晶性分子の配向状態の固定)
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cmの範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cmの範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の上に保護層を設けてもよい。
(配向膜)
配向膜は、液晶分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常用いられるが、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、とりわけポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
このようなポリマーの例としては、例えば特開平8−338913号公報、段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコール化合物及び架橋剤等の配向膜形成用組成物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報等に記載のもの等が挙げられる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
〔防眩性フィルム、光拡散性フィルム、反射防止フィルム〕
本発明の光学フィルムのもう一つの好適な態様としては、光の透過性を粒子や表面凹凸による散乱により制御する防眩性フィルム、光拡散性フィルムや、塗布層の光学干渉によって表面の反射性を制御する反射防止フィルムがある。
(防眩性フィルム)
防眩性フィルムは、フィルムに入射する光を、表面に形成した凹凸により散乱し、写り込みを抑えるものであり、画像表示装置に対する蛍光灯等の光源の写り込み等を抑えるのに好適に用いられる。このような防眩層は、マット粒子を添加することで凹凸を付与することや、塗布層の相分離等による表面凹凸付与等の方法で形成できる。また、防眩性付与層にハードコート性を付与したり、光散乱性を付与したり、高屈折率等の機能を付与することもできる。
(光拡散性フィルム)
光拡散性フィルムは、画像表示装置から出る光を散乱して均一にしたり、光学補償フィルムと組み合わせて、液晶表示装置の視野角(特に下方向視野角)を拡大し、観察方向の視角が変化してもコントラスト低下、階調または黒白反転、あるいは色相変化を抑止する等の目的で用いることができる。
視野角改良効果に対して、ゴニオフォトメーターで測定される散乱光の強度分布が視野角改良効果に相関することを確認した。すなわち、バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散フィルムに含有される透光性微粒子の内部散乱の効果により拡散されればされるほど視野角特性がよくなる。しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくなり、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。そこで、鋭意検討の結果、所望の視認特性を達成するには、散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対して、特に視認角改良効果と相関ある30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることが好ましく、0.02%〜0.15%が更に好ましく、0.03%〜0.1%が特に好ましい。
散乱光プロファイルは、作成した光散乱フィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
本発明の光拡散層はバインダー、無機フィラーおよび透光性微粒子等から形成される。また、光拡散層に、ハードコート性、高屈折率等の特性を付与することも好ましい。
(反射防止フィルム)
本発明の光学フィルムの一態様である反射防止フィルムの基本的な構成を図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
図2(a)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例である。反射防止フィルム1は、透明支持体2、三種類の機能層(ハードコート層3、防眩性ハードコート層4、低屈折率層5)、の順序の層構成を有する。防眩性ハードコート層4には、マット粒子6が分散している。本発明においてハードコート層3、防眩性ハードコート層4のような機能層は、このように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、また光拡散層でもよい。また、図2(a)のように機能毎に複数層に分けてもよいし、単層でいくつかの機能を有してもよい。なお、機能層のうち低屈折率層5は最外層に塗設される。
さらに、低屈折率層は下記数式(2)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(2)
(m/4)×0.7<n11<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(2)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(2)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
なお、防眩性ハードコート層4のマット粒子6以外の部分の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.35〜1.49の範囲にあることが好ましい。
図2(b)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例であり、反射防止フィルム1は、透明支持体2、各々の機能層(ハードコート層3、中屈折率層7、高屈折率層8)、低屈折率層(最外層)5の順序の層構成を有する。透明支持体2、中屈折率層7、高屈折率層8および低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図2(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(3)、高屈折率層が下記数式(4)、低屈折率層が下記数式(5)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(3)
(hλ/4)×0.7<n<(hλ/4)×1.3
数式(3)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは中屈折率層の屈折率であり、そして、dは中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(4)
(iλ/4)×0.7<n<(iλ/4)×1.3
数式(4)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは高屈折率層の屈折率であり、そして、dは高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(5)
(jλ/4)×0.7<n<(jλ/4)×1.3
数式(5)中、jは正の奇数(一般に1)であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
図2(b)のような層構成では、中屈折率層が下記数式(6)、高屈折率層が下記数式(7)、低屈折率層が下記数式(8)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(6)
(hλ/4)×0.80<n<(hλ/4)×1.00
数式(7)
(iλ/4)×0.75<n<(iλ/4)×0.95
数式(8)
(jλ/4)×0.95<n<(jλ/4)×1.05
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。また、図2(b)では、高屈折率層を光干渉層として用いており、極めて優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる。
次に、本発明の各機能層および機能層を構成する材料について説明する。
〔ハードコート層〕
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために防眩性ではない、いわゆる平滑なハードコート層も好ましく用いられ、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記防眩性ハードコート層、透明支持体と光拡散層、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して30〜95質量%添加する。
ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が200nm以下の無機微粒子を含有することも好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を200nm以下にすることで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
無機微粒子としては、高屈折率層で例示した無機微粒子に加え、二酸化珪素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛である。
無機微粒子の一次粒子の好ましい平均粒径は5〜200nm、より好ましくは10〜150nmであり、さらに好ましくは20〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。
ハードコート層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましい。
ハードコート層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。
ハードコート層における無機微粒子の含有量は、ハードコート層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗布組成物を塗布することで形成することが好ましい。
〔防眩性、光散乱性ハードコート層〕
本発明の防眩性、光散乱性を付与するハードコート層について以下に説明する。
防眩性ハードコート層は、ハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラー、から形成される。
バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマー(バインダー前駆体)の重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
このようなバインダ成分として特に好ましいものとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性基を持つ多官能モノマーや多官能オリゴマー等の活性放射線硬化樹脂があげられる。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体およびオリゴマー)またはそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
これらの活性放射線硬化樹脂としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)などのオリゴマーまたはプレポリマー等が挙げられる。多官能モノマーの具体例としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール・ヘキサ(メタ)アクリレートと・ペンタ(メタ)アクリレートの混合物、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートなどがあげられる。また、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミド等も挙げられる。また、これらにエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマーを混合することもこのましい。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
また、活性放射線硬化性樹脂として、例えば、脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)、としては、特開2001−139663号公報段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。また、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号等))、更に、日本接着協会誌20巻(7)、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマーおよびオリゴマーも使用することができる。
これらの活性放射線硬化樹脂としては、市販品として例えば日本化薬(株)、大阪有機化学(株)、大日本インキ化学、東亜合成、三菱化学等、一般に市販されているものを用いることができる。
これらの活性放射線硬化樹脂は、二種類以上を併用してもよい。以上のうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール・ヘキサ(メタ)アクリレートと・ペンタ(メタ)アクリレートの混合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等である。
また、バインダーを高屈折率にするため、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことも好ましい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−エトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(159頁,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
また、ハードコート層中に、架橋性官能基を有しないポリマーを塗布粘度調整、塗膜硬度調整、粒子の安定性付与、凝集性付与の目的で添加することもできる。
防眩性ハードコート層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して20〜95質量%添加する。
防眩性ハードコート層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が1〜10μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜2000mg/m、より好ましくは100〜1400mg/mとなるように防眩性ハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
防眩性ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiOおよびZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明に係る防眩性ハードコート層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
防眩性ハードコート層の膜厚は0.5〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1.2〜10μmがさらに好ましい。
また、本発明のハードコート層、防眩層、光散乱層には下記一般式1で示される有機ケイ素化合物(一般的にシランカップリングとして知られている)、もしくはその加水分解物およびその部分縮合物が含まれることも好ましい。なお、一般式1で表される有機ケイ素化合物は、容易に加水分解し、引き続いて脱水縮合反応が生じることはよく知られた事実である。
一般式1
Si(X)
(Rは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3である。)
上記一般式1において、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものであり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等の各基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
また、Rに含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等の各基)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等の各基)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等の各基)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。Rが複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3、好ましくは1、2、特に好ましくは1である。
RまたはXが複数存在するとき、複数のRまたはXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
また、Rが複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式1で表されるオルガノシラン化合物の中でも、特にメタクロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基等のビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。具体的には、特開2004−42278号公報段落番号[0026]〜[0028]記載のものが挙げられる。
オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、該塗布液中での含水、反応進行等によりできる場合もあるし、あらかじめ、前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造する場合もある。加水分解、縮合に対しては、触媒としては、酸類、塩基類、有機金属化合物等が挙げられる。本発明では、オルガノシラン化合物をあらかじめ縮合処理したものを用いることも好ましい。
また、本発明に係る塗布液に対しては、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のために、フッ素系、シリコーン系の界面活性作用をもつ成分を、何れか、あるいはその両者を、塗布組成物中に添加することも好ましい。これらの界面活性成分は、表面の濡れ性、防汚性、防塵性、帯電性調整等のために添加することもある。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量にも、特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、例えば特開2004−42278号公報段落番号[0068]記載のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、添加剤として、フルオロアルキル基を含有する化合物も好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖[例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等]であっても、分岐構造[例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等]であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としては、“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”[商品名:以上、ダイキン化学工業(株)製];メガファックF−171、F−172、F−179A、F−780−F、ディフェンサMCF−300[商品名:以上、大日本インキ(株)製]などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
以上の添加剤のうち、フルオロアルキル基含有共重合体を塗布組成物中に含有することが特に好ましい。このフルオロアルキル基含有共重合体は、より少ない添加量で、光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましい。
また、この塗布層に対して、さらに上層に低屈折率層の皮膜を形成する場合には、この添加剤中に結合形成または相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
さらに、以下のフルオロアルキル基含有共重合体の構造の選択により、機能層表面に偏在した共重合体を上層(例えば低屈折率層)塗布時に上層の溶媒に抽出させて、本発明の反射防止膜を形成した時には機能層表面(機能層界面)に存在させないことも好ましい。また、フルオロ脂肪族基含有共重合体の添加量を調整することも、上記の効果を改良することに有効である。
このような方法は、具体的には、塗布液中にフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を10質量%以上含むフルオロ脂肪族基含有共重合体を添加し、フルオロ脂肪族基含有共重合体が表面に偏析(偏在と同意である)させ、上層との密着性を得るためには、前記フルオロ脂肪族基含有共重合体を含有する機能層上に上層を形成する塗布液の溶媒を塗布、乾燥することで、該機能層の表面自由エネルギーが1mN/m以上変化する、特に3mN/m以上変化する様にする方法である。
さらには、フルオロアルキル基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)は、側鎖に炭素数4以上のパーフルオロアルキル基または炭素数4以上のCFH−基を有するフルオロアルキル基を有する共重合体を用いることが好ましい。
なかでも、下記(i)に述べるモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)に述べるモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook 第2版,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)2章、1〜483頁記載のものを用いることが出来る。
具体的には例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
このような化合物は下記のような化合物である。
(i)下記一般式2で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式2
Figure 2007199297
上記一般式2において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、酸素原子または−N(R12)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R12は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Rは−CFまたは−CFHを表す。
一般式2中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式2中のnは1〜17の整数を表し、4〜11がより好ましく、6〜7が更に好ましい。Rは−CFHが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式2で表されるフルオロアルキル基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式3で示されるモノマー
一般式3
Figure 2007199297
上記一般式3において、R13は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、酸素原子または−N(R15)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R15は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。炭素数1〜12の直鎖、分岐あるいは環状のアルキル基、炭素数5〜40のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基および炭素数炭素数5〜30のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基が極めて好ましい。以下にポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
ポリ(アルキレンオキシ)基は(OR)xで表すことができ、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、または−CH(CH)CH(CH)−であることが好ましい。xは2〜30を表し、2〜20が好ましく、4〜15がさらに好ましい。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)基におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレン単位が不規則に分布されたものであっても良く、直鎖または分岐状のオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位であったり、または直鎖または分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであっても良い。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つまたはそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic](旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)“カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、”トリトン“[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの製造に用いられる上記一般式2で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましく、8,000〜60,000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。分子量は300以上の成分のピーク面積から算出した。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、添加による効果の発現、乾燥、および面状故障の発生の抑制などの観点から、塗布液の質量に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
以下、本発明によるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007199297
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〔高屈折率層〕
本発明の反射防止フィルムにおいて、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層を好ましく用いることもできる。
(二酸化チタンを主成分とする無機微粒子)
本発明に用いる高屈折率層には、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有する。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明に用いる高屈折率層の屈折率は屈折率1.55〜2.40であり、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層といわれている層であるが、以下の本明細書では、この層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に、Co、Al及びZrから選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層の耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCoである。また、2種類以上を併用することも好ましい。
Tiに対するCo、Al又はZrの含有量は、それぞれTiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co、Al及びZrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部と表面の少なくともいずれかに存在させることができるが、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させることが好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。
Co、Al、Zrを二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、イオン注入法(18(5)巻,262−268頁,1998;青木 康)や、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載の手法があげられる。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の粒子形成過程において、Co、Al、Zrを導入する手法(例えば、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載)が特に好ましい。
Co、Al、Zrは、酸化物として存在することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子には、目的により、さらに他の元素を含むこともできる。他の元素は、不純物として含んでいてもよい。他の元素の例には、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Mg、Si、PおよびSが含まれる。
本発明に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特に前記一般式1で表されるシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。
ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
高屈折率層に含有される二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
<分散剤>
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤は、上記アニオン性基を側鎖又は末端に有する。
特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、-(CH)n-CR21=CR22R23、-(CHO)n-CHCR21=CR22R23、-(CHCHO)n-CHCR21=CR22R23、-(CH)n-NH-CO-O-CHCR21=CR22R23、-(CH)n-O-CO- CR21=CR22R23および-(CHCHO)-X(R21〜R23はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R21とR22またはR23は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、-CHCH=CH(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、-CHCHO-CHCH=CH、-CHCHOCOCH=CH、-CHCHOCOC(CH)=CH、-CHC(CH)=CH、-CHCH=CH-CH、-CHCHOCOCH=CH-CH、-CHCH-NHCOO-CHCH=CHおよび-CHCHO-X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、-CHCH=CH、-CHCH-Y (Yは1−シクロヘキセニル残基)および-CHCH-OCO-CH=CH、-CHCH-OCO-C(CH3)=CHが含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
本発明の好ましい分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
本発明の好ましい分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
以上の分散剤としては、特開平2004−29705号の(化1)〜(化6)の化合物を用いることができる。
分散剤の無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
<高屈折率層の組成と塗設方法>
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。
無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンである。
無機微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
本発明に用いる高屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(前述の防眩性ハードコート層のバインダー前駆体と同様のもの)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、前述の防眩性ハードコート層と同様のものが用いることができる。
高屈折率層においてバインダーは、さらにシラノール基を有することが好ましい。バインダーがさらにシラノール基を有することで、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性がさらに改良される。
シラノール基は、例えば架橋又は重合性官能基を有する前記一般式1で表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、前記一般式1で表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を架橋反応、又は、重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
高屈折率層においてバインダーは、アミノ基または四級アンモニウム基を有することも好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する高屈折率層のバインダーは、例えば架橋又は重合性官能基とアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーを上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布組成物の中で無機微粒子の分散助剤として機能する。さらに、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させてバインダーとすることで高屈折率層における無機微粒子の良好な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた高屈折率層を作製することが出来る。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する好ましいモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアンモニウムクロライドなどがあげられる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーの分散剤に対する使用量は、1〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
アニオン性基は、連結基を介してバインダーの側鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
バインダーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋又は重合構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96mol%であることが好ましく、4〜94mol%であることがさらに好ましく、6〜92mol%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋又は重合構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98mol%であることが好ましく、6〜96mol%であることがさらに好ましく、8〜94mol%であることが最も好ましい。
バインダーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋又は重合構造の双方を有していてもよい。バインダーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋又は重合構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、シラノール基、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位が好ましい。
シラノール基を有する繰り返し単位では、シラノール基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。シラノール基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。シラノール基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、シラノール基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98mol%であることが好ましく、4〜96mol%であることがさらに好ましく、6〜94mol%であることが最も好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.1〜32mol%であることが好ましく、0.5〜30mol%であることがさらに好ましく、1〜28mol%であることが最も好ましい。
なお、シラノール基、及び、アミノ基、四級アンモニウム基は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋又は重合構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
架橋又は重合しているバインダーは、高屈折率層形成用の塗布組成物を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって形成することが好ましい。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
無機微粒子は高屈折率層の屈折率を制御する効果と共に、硬化収縮を抑える機能がある。
高屈折率層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。高屈折率層中の無機微粒子の質量平均径は、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
高屈折率層における無機微粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
〔低屈折率層〕
本発明の反射防止フィルムにおいて好ましく用いられる低屈折率層について以下に説明する。
本発明における低屈折率層の屈折率は、反射防止性を付与する目的で、好ましくは1.31〜1.48の範囲であるのがよい。本発明における低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築されることが好ましい。
(低屈折率層の硬化膜形成用素材)
本発明の低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。
更に上記低屈折率層には、低屈折率を実現し、かつ表面への滑り性の付与が効果的に行え、耐擦傷性を大きく向上させる手段として、従来公知のシリコーンおよび/または含フッ素化合物の導入された硬化膜形成用素材を適宜適用することが好ましい。含フッ素化合物を含有することがより好ましい。特に、本発明における低屈折率層は、熱硬化性および/または光もしくは放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され、硬化した含フッ素ポリマーにより構成されることが好ましい。
そのため、本発明において低屈折率層は、上記無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、前記した、そして以下にも再掲する一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、および硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、それぞれ少なくとも1種含有する硬化性の低屈折率層形成用組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。
一般式1: RSi(X)
(Rは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3である。)
また、低屈折率層形成用組成物は、更に、ラジカル重合性基および/またはカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物および重合開始剤を含有することも好ましい。
また、本発明の低屈折率層には膜強度向上のための無機フィラーを用いることもできる。また、該低屈折率層において、屈折率1.17〜1.37である中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることも好ましい。該無機微粒子は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であることが好ましい。無機微粒子の平均粒径が低屈折率層の厚みの30%〜100%の範囲であれば、低屈折率層皮膜の強度が十分に発現されるので好ましい。またこのような屈折率の無機微粒子を低屈折率層に用いることにより、層自体の屈折率の上昇を抑えながら、しかも長時間の熱硬化や偏光膜を設けるために行う鹸化処理などの制約を受けることなく、低い屈折率と高い皮膜強度の両立を達成できる。
以下、硬化性の低屈折率層形成用組成物について詳細に説明する。
(低屈折率層形成用組成物)
<含フッ素ポリマー>
前述の通り、本発明における低屈折率層は、熱硬化型および/または光または放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され硬化した含フッ素ポリマーにより構成されているのが好ましい。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が低屈折率層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報の段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の段落番号[0019]〜[0030]、同2001−40284号公報 段落番号[0027]〜[0028]、同2004−45462号公報の段落番号[0030]〜[0047]等の記載の化合物等が挙げられる。
特に低屈折率層に好ましく用いられる含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性もしくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、およびそれ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。すなわち、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体、すなわち、架橋性もしくは重合性の官能基である硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーが好ましく、さらにその他のモノマーが共重合された含フッ素ポリマーを用いてもよい。
架橋性もしくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでもよい。
架橋性の官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有する化合物は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
重合性の官能基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基が挙げられる。好ましくは、ラジカル重合性基[例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基等]、カチオン重合性基(例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。そのような繰り返し構造単位としては、溶媒可溶化のために炭化水素系共重合成分により形成される繰り返し構造単位が好ましく、このような構造単位をポリマー全体中50質量%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。なお、この際には、シリコーン化合物と組み合わせることも好ましい。
共重合してもよいその他のモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
また、共重合することが好ましいシリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基または重合性官能基を含有して、低屈折率層皮膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品の「サイラプレーン」[チッソ(株)製]等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋または重合反応は、最外層である低屈折率層を形成するための硬化性組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。この際、用いることのできる重合開始剤は前記の高屈折率層で記載の内容と同一のものが挙げられる。
紫外線照射により重合反応を行う場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用してもよい。
また、低屈折率層としては、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化して形成されるゾルゲル硬化膜も好ましく用いられる。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
併用する触媒としては、従来公知の化合物が挙げられ、上記文献中に記載のものが好ましく挙げられる。
本発明で特に有用な硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロオレフィン、パーフルオロシクロオレフィン、非共役パーフルオロジエンから選ばれるパーフルオロ化合物類とビニルエーテル類またはビニルエステル類の共重合体が挙げられる。特に単独で架橋反応可能な基[(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等]を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70モル%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60モル%を占めていることである。
低屈折率層に用いられる共重合体の好ましい形態として、下記一般式4のものが挙げられる。
Figure 2007199297
一般式4中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*‐(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2 )2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式4中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式4中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、xは30〜60、yは5〜70、zは0〜65をそれぞれ満たす値を表す。好ましくは、xは35〜55、yは30〜60、zは0〜20の場合であり、特に好ましくはxは40〜55、yは40〜55、zは0〜10の場合である。
低屈折率層に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式5が挙げられる。
Figure 2007199297
一般式5において、X、x、yは一般式4と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2〜10の整数を表し、2〜6であることが好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式4におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表し、0〜65、0〜65を満たす値を表す。z1は0〜30、z2は0〜10であることが好ましく、z1は0〜10、z2は0〜5であることが特に好ましい。
一般式4または5で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
具体的な化合物としては、特開2004−45462号公報の段落番号「0043」〜「0047」に記載の化合物等が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
低屈折率層に用いられる上記共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
低屈折率層の含フッ素ポリマーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して20〜95質量%添加する。
次に本発明の低屈折率層中に、含有することのできる無機微粒子について、以下に記載する。
低屈折率層に用いられる無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の粒子が好ましい。特に好ましくは二酸化珪素(シリカ)粒子である。
無機微粒子の配合量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。配合量が上記範囲であることにより、耐擦傷性に優れ、低屈折率層表面に微細な凹凸の発生が減少し、黒の締まりなどの外観や積分反射率が良化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましく、該中空無機微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空無機粒子を形成している外殻の無機成分のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(9)から算出される空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(9):x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は用いられない。
なお、これら中空無機粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
中空粒子の空隙率は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下、さらには35%以上80%以下、特には40%以上60%以下であることが好ましい。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空粒子の粒径は30nm以上100nm以下、さらには35nm以上80nm以下、特には40nm以上60nm以下の範囲となることが好ましい。該平均粒径が前記の範囲であると、膜の強度が十分に発現されて好ましい。
(小サイズ粒径の無機微粒子)
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下、「小サイズ粒子」と称することがある)の少なくとも1種を、前記のこれより大きい粒径の無機微粒子(以下、「大サイズ粒子」と称すこともある)と併用することが好ましい。この小サイズ粒子は中空構造をもたないものでよい。
小サイズ粒子は、大サイズ粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒子の保持剤として寄与することができるので好ましい。また、原料コストの点でも好ましい。
小サイズ粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。
小サイズ粒子の使用量は、大サイズ粒子(好ましくは中空粒子)100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、より好ましくは10〜80質量部である。
小サイズ粒子を構成する具体的な化合物としては、前記の中空粒子で例示したと同様のものが挙げられる。特に好ましくは、ケイ素の酸化物が挙げられる。
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、または不定形状であることが好ましい。
(無機微粒子の分散物)
上述したいずれの無機微粒子も、分散液中または硬化性の低屈折率層形成用組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例えば、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。シランカップリング剤としては前記一般式(1)で表されるものも好ましく用いることができる。
上記のカップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として、硬化性の低屈折率層形成用組成物塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
上記無機微粒子の配合割合は、上記低屈折率層形成用組成物100質量部に対して5〜90質量部とするのが、低屈折率層皮膜の透明性、強度等の観点から好ましく、20〜60質量部とするのがさらに好ましい。また、中空粒子と他の粒子を配合する場合は、全粒子中の中空粒子は5〜95質量部が好ましく、より好ましくは10〜90質量部、特に好ましくは30〜80質量部である。
(オルガノシラン化合物)
本発明の反射防止フィルムを構成する機能層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。特に低屈折率層は反射防止能と耐擦傷性を両立させるためにゾル成分を含有することが好ましく、ハードコート層もゾル成分を含有することが好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーとなる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物としては、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物が特に好ましい。
本発明で特に好ましいオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、酸類、塩基類、有機金属化合物等であり、具体的には前記高屈折率層ゾルゲル反応で記載と同様のものが挙げられる。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明においては、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式RCOCHCOR (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとRCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(ORp1(RCOCHCORp2、Ti(ORq1(RCOCHCORq2、およびAl(ORr1(RCOCHCORr2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のRおよびRは、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、Rは、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、 金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が悪化するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が悪化するおそれがあり好ましくない。
本発明に用いられるハードコート層乃至低屈折率層の塗布液には、上記ゾル成分および金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式RCOCH2 CORで表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するRおよびRは、前記金属キレート化合物を構成するRおよびRと同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec-ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である表面層の場合は少なく、厚膜である下層の場合は多いことが好ましい。低屈折率層のような表面層の場合は含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
低屈折率層以外の層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液をハードコート層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少なすぎると本発明の効果が得にくいが、該上限値以下の使用量とすれば屈折率が増加しすぎたり、低屈折率層の皮膜の形状・面状が悪化したりするなどの不具合が生じることがなく、本発明の優れた効果を発揮することができるので該範囲内で適宜の量使用することが好ましい。
(多官能重合性化合物)
前述したように、前記の低屈折率層形成用の硬化性組成物には、更に多官能重合性化合物を添加することもできる。
多官能重合性化合物としては、ラジカル重合性官能基および/またはカチオン重合性官能基のいずれでも2個以上重合性基を含有してよい。ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。これらのラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物の具体的な内容としては、前記の高屈折率層に記載の多官能モノマーやオリゴマーと同様のものが挙げられる。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。またラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを含む前記多官能重合性化合物の配合量は、前記含フッ素ポリマー100質量部に対して、0.1〜20質量部とするのが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明における低屈折率層には、以上述べた成分の他、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物またはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加されていることが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には、低屈折率層形成用の硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量にも、特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、例えば特開2004−42278号公報段落番号[0068]記載のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖[例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等]であっても、分岐構造[例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等]であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層の皮膜との結合形成または相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としては、“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”[商品名:以上、ダイキン化学工業(株)製];「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−179A」、「ディフェンサMCF−300」[商品名:以上、大日本インキ(株)製]などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤またはポリオキシアルキレン系化合物のような、防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は、前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には、硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合である。
低屈折率層はまた、ミクロボイドを内包してもよい。具体的には、例えば特開平9−222502号公報、同9−288201号公報、同11−6902号公報等に記載の内容が挙げられる。
さらに本発明においては、有機微粒子を用いることもでき、該有機微粒子としては、例えば、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の化合物等があげられ、その形状は、上述の無機微粒子と同じである。
低屈折率層の厚さは0.03〜0.2μmが好ましく、0.05〜0.15μmがより好ましい。
(低屈折率層の性状)
本発明における低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下、さらには15〜25.8mN/mの範囲であることが好ましい。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
また上記低屈折率層は、熱硬化性または、光もしくは放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性フッ素系化合物を含有する、フッ素系ポリマーによる硬化膜であれば防汚性の効果が発現されるので好ましい。特に、最外層となる低屈折率層中に含まれるフッ素系化合物が、最外層の全質量に対して50質量%以上であれば、低屈折率層皮膜の表面全体がムラ無く安定した特性を示すので好ましい。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を、偏光板の保護フィルム面上に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。最外層表面の水に対する接触角は90゜以上、さらには95゜以上、特には100゜以上であることが好ましい。
また低屈折率層表面の動摩擦係数は、0.25以下であることが好ましく、さらには0.05〜0.25、特には0.03〜0.15であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数とは、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。
低屈折率層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また低屈折率層の耐擦傷性は、JIS K−6902に従うテーバー試験での摩耗量は小さいほど好ましい。
[偏光板・偏光膜]
本発明の光学フィルムは、偏光板と貼り合せるか、偏光板の保護フィルムとして使用することで、その機能を著しく発揮でき、好ましい。
偏光板は、主に偏光膜とそれを両面から挟む2枚の保護フィルムで構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
偏光膜としては公知の偏光膜を用いてもよく、また偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜ロールから切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜は、Optiva社製のものに代表される使用サイズの塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。
後者の場合、偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在汎用されている偏光子は、延伸したポリマーバインダーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させて作製するのが一般的である。
汎用の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。一方、厚みの上限については、特に限定はしないが、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象を抑止する観点からは、薄ければ薄い程よい。本発明に用いる偏光板の場合は、現在汎用の偏光(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋構造の導入は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、95乃至100%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至5000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)、N(CH・Cl、C919COO、SONa、C12H25を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85乃至95%の未変性ポリビニルアルコールおよびアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。バインダー層中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜または偏光板が、単板透過率および偏光率とも優れており好ましい。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にある(偏光板の単板透過率の最大値は50%である)ことが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光膜と光学異方性層、あるいは、偏光膜と配向膜を接着剤を介して配置することも可能性である。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。その中でもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
(偏光板の製造)
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない液晶表示装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5乃至30.0倍が好ましく、3.0乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
斜め延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる延伸操作で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフイルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフイルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。そのためには、流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のようにして、偏光膜のMD方向に対して10乃至80度斜め延伸されたバインダーフイルムが製造される。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフイルムのラップ角度は、0.1乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フイルムをラビング処理する場合は、フイルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフイルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
(偏光板保護フィルム)
本発明の偏光板において、液晶セルに接する側のフィルムが光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学補償層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が層の深さ方向において変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。
本発明において、反射防止フィルムに代表される、表面反射性、表面硬度を付与するフィルム(反射防止フィルム、防眩性フィルム、光拡散性フィルム等)を画像表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置することが好ましい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)の方が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の偏光板において、画像表面装置の最表面側に反射防止フィルム、防眩性フィルム、光散乱性フィルムを設け、画像表示装置に接する側に光学補償フィルムを設けることは特に好ましい。特に反射防止フィルムと光学補償フィルムの組み合わせは好ましい。
〔画像表示装置〕
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止、防眩性フィルム等は表面保護性と表面反射防止のため、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、本発明のうち、特に光学補償フィルムは、液晶表示装置に好ましく用いることができる。その際、以下に示す光学異方性層を用いることで、より好ましいものとなる。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について、以下で説明する。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
セル中央部分の棒状液晶性分子に対しては、ホメオトロピック配向(円盤面が寝ている水平配向)の円盤状液晶性分子もしくは(透明)支持体で補償し、セルの基板近傍の棒状液晶性分子に対しては、ハイブリット配向(長軸の傾きが偏光膜との距離に伴って変化している配向)の円盤状液晶性分子で補償することができる。
また、セル中央部分の棒状液晶性分子に対しては、ホモジニアス配向(長軸が寝ている水平配向)の棒状液晶性分子もしくは(透明)支持体で補償し、セルの基板近傍の棒状液晶性分子に対しては、ハイブリット配向の円盤状液晶性分子で補償することもできる。
ホメオトロピック配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が85〜95゜の状態で配向している。
ホモジニアス配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5゜未満の状態で配向している。
ハイブリット配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15゜よりも大きいことが好ましく、15゜〜85゜であることがさらに好ましい。
(透明)支持体もしくはディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層、さらにはホメオトロピック配向したディスコティック化合物とホモジニアス配向した棒状液晶分子の混合体からなる光学異方性層は、Rthレターデーション値が40nm乃至200nmであり、Reレターデーション値が0乃至70nmであることが好ましい。Rthレターデーション値(Rth)は、下記式(I)で定義される値であり、Reレターデーション値(Re)は、下記式(II)で定義される値である。
(I) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(II) Re=(nx−ny)×d
[式(I)、(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、またnzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。そして、dは、フイルムの厚さである]。
ホメオトロピック配向(水平配向)している円盤状液晶性分子層およびホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性分子層に関しては、特開平12−304931号および同12−304932号の各公報に記載されている。ハイブリット配向している円盤状液晶性分子層に関しては、特開平8−50206号公報に記載がある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードと呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
黒表示にTNモードと液晶の配向は同じ状態であるため、好ましい態様もTNモード対応を同じである。ただし、TNモードに比べ、OCBモードの方がセル中央部で液晶化合物が立ち上がった範囲が大きいために、ディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層について、若干のレターデーション値の調整が必要である。具体的には、(透明)支持体上のディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthレターデーション値が150nm乃至500nmであり、Reレターデーション値が20乃至70nmであることが好ましい。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置の黒表示において、液晶セル中の棒状液晶性分子は、そのほとんどが、立ち上がった状態であるため、ディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層で液晶化合物を補償し、別に、棒状液晶性分子がホモジニアス配向し、棒状液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の透過軸方向との角度が5゜未満である光学異方性層で偏光板の視角依存性を補償することが好ましい。
(透明)支持体もしくはディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthレターデーション値が150nm乃至500nmであり、Reレターデーション値が20乃至70nmであることが好ましい。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001-100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムのうちの本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
以下に実施例に基づき本発明について具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1−1)光拡散性フィルム塗布試料作成
(光拡散層用塗布液の調製)
市販のジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度約61%、固形分中ZrO2含率約70%、重合性モノマー、重合開始剤含有)285g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85gを混合し、更に、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学(株)製)28gを混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液に平均粒径3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した分散液を35g加え、次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスタKE−P150、日本触媒(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分間分散した分散液を90g加えた。その上で、必要な溶剤組成が得られるよう、メチルイソブチルケトン、および、メチルエチルケトンで希釈し、塗布液を調整した。この時、各塗布液の不揮発分濃度は約50質量%であった。
また、同様な方法で、必要により添加剤の溶剤組成を変え、IPA、酢酸エチルを含有する塗布液を作製し、表1に示した、塗布液A1〜A4を作成した。なお、表1において、Rの値は、溶剤ハンドブックより各溶剤の各温度での蒸気圧を求め、その結果から計算した。混合溶剤の場合は、各成分の質量比から、加重平均した蒸気圧として求めた。また、Vは、実際の膜面付近の溶剤濃度をガス濃度計により測定し求めた。
(光拡散性フィルムの作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルムTD−80U(富士写真フイルム製)をロール形態で巻き出して、光学機能層用塗布液Aを線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて塗布し、塗布後に図1aに示した構造の乾燥工程にて溶剤の揮発乾燥を実施した。この図1aにおいて、乾燥ゾーン31〜36は、幅150cm、長さ100cm、深さ6cmの箱状であり塗膜面部に#200の金網を設置した(乾燥工程イとする)。この乾燥ゾーンに対し、乾燥ゾーンの幅方向の片側に設置した給気口41〜46から乾燥するための空気を給気した。給気空気は25℃60%RH(絶対湿度0.012)の空気を表1に示した温度に調整して給気した。このような乾燥工程を用い、表1に示した塗布、乾燥条件で塗布を実施した。その後100℃のもとで10mの熱処理ゾーンで加熱後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射強度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を酸素濃度0.1%の雰囲気下で照射して塗布層を硬化させ巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約3.4μmであった。また、この時の塗布液の塗布量は、約10ml/m2であった。
(1−2)防眩性フィルム塗布試料作成
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(防眩性ハードコート層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA、日本化薬(株)製)50gをMIBK/シクロヘキサノンの混合溶剤38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmのポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30%MIBK分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmのアクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%MIBK分散液を13.3g加えた。最後に、フッ素系ポリマー(FP−8)0.75g、シランカップリング剤ゾル液a20gを加え、塗布液B1を作成した。この塗布液の溶剤組成は、MIBK/シクロヘキサノン比は7/3であった。この時、液中の不揮発分濃度は約45質量%であった。
また、同様な方法で、MIBKをトルエンに置き換え、トルエン/シクロヘキサノン比は7/3の塗布液B2を作成した。
(防眩性フィルムの作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルムTDY−80U(富士写真フイルム製)をロール形態で巻き出して、防眩性ハードコート層用塗布液B1もしくはB2を特開平9−73081に記載のエクストルージョンコーターを用いて塗布した。その後前記の乾燥工程イにおいて、31〜36の乾燥ゾーン長を200cmとした以外は同様の乾燥工程ロにより、表2に示したような塗布液、塗布速度、乾燥条件にて揮発性溶剤乾燥を行った。その後100℃で10mの熱処理ゾーンで加熱後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射強度200mW/cm2、照射量80mJ/cm2の紫外線を酸素濃度0.1%の雰囲気下で照射して塗布層を硬化させ巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約7μmであった。また、この時の塗布液としての塗布量は、約20ml/m2であった。
(1−3)塗布試料の評価、結果
(塗布面状の評価)
以上の塗布品に対して、塗布面状の評価を行った。評価としては、作成したフィルムを、3波長の蛍光灯光源の透過で観察する方法と、裏面に黒いシートもしくはクロスニコルで黒くした偏光板を貼り付け、3波蛍光灯及び人工太陽灯光源(CIE標準光源タイプCに準拠)の反射光で検査し、両結果を総合して評価値とした。
塗布品の評価としては透過評価が厳しく判定されるが、光学フィルムとしては、反射評価でAからCまでが許容内である。
以上の評価結果を以上のごとく判定した。
A:ほとんどムラが見えない。
B:わずかにムラが見えるが特に問題は無い。
C:ムラが見えるが、許容できる。
D:ムラが見え、許容外である。
E:ムラがかなり強い。
Figure 2007199297
Figure 2007199297
(1−4)塗布品の評価結果
本発明の光散乱フィルム塗布品の評価結果を表1に示した。Rが小さい比較例試料1,2に対し、溶剤比や溶剤種を変え、Rが本発明の範囲の実施例1〜9の試料は良好な面状を示す。また、実施例6、7は塗布速度を上げても良好な面状であった。なお、V/Rが0.9以上の実施例1、0.05以下の実施例5では、乾燥ムラは若干悪化したが、許容範囲内であった。また、乾燥ゾーン34〜36で温度を上げ、本発明の乾燥を行った実施例10〜12も良好な面状が得られた。ただし、温度が高く、Rが1.5を超える比較例試料3の面状は悪化した。このうち、実施例7及び実施例10は、乾燥ムラ良好で生産性良く特に好ましい試料である。
また、本発明の防眩性フィルム塗布品の評価結果を表2に示した。本発明の乾燥条件を適用し、良好な面状が得られた。また、V/Rが0.10〜0.5の範囲で実施すると、特に良好である。また、塗布液の取り扱い性、安全性からは、トルエンを使わない塗布液B−1の方が好ましい。また、これらの防眩性フィルムのうち、実施例試料25が乾燥ムラよく、生産性も良好な試料である。
なお、実施例3、7で、乾燥ゾーン出口の塗膜の揮発性溶剤含有量をはかり、乾燥部の平均乾燥速度を求めるとそれぞれ1秒あたり0.06g/m、0.11g/mであった。
[実施例2]
(2−1)光学補償フィルム試料の作成(ポリマー基材の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター原料のもの) 80質量部
酢化度60.8%のセルロースアセテート(リンター原料のもの) 20質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンターを原料としたもの)4質量部、下記のレターデーション上昇剤16質量部、シリカ微粒子(粒径20nm,モース硬度約7)0.5質量部、メチレンクロライド87質量部およびメタノール13質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。
Figure 2007199297
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が43質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のポリマー基材(PK−1)を製造した。
得られたポリマー基材(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは、92μmであった。また、ポリマー基材は、ロール状に3900mの長さで巻き取られた。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、43nmであった。また、波長590nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
作製したポリマー基材(PK−1)を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このPK−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
このPK−1上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/mの塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
(配向膜塗布液組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2007199297
ポリマー基材(PK−1)の遅相軸(波長632.8nmで測定)と45゜の方向に配向膜にラビング処理を実施した。
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記のディスコティック液晶性分子91.0質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0質量部、フッ素系界面活性剤メガファック F−780−F溶液 1.25質量部を、135質量部のメチルエチルケトンに溶解した。その後、適宜メチルエチルケトンを添加し、比重0.905、固形分濃度約30%の塗布液Cを調製した。
Figure 2007199297
この塗布液Cを配向膜上に、#4のワイヤーバーで塗布液の塗布量約7ml/mで連続的に塗布し、塗布後に図1aで示したような乾燥工程にて溶剤の揮発乾燥を実施した。この図1aにおいて、乾燥ゾーン31〜36は、幅150cm、長さ30cm、深さ6cmの箱状であり、幅方向の片側から乾燥するための空気を給気し、もう片方から排気する構造である。この時、乾燥する風は給気サイドから排気サイドに流れるが、この風が均一に流れるように、給排気口、乾燥ゾーン形状を調整している。なお、塗布膜面付近に金網等は設置していない(これを乾燥工程ハとする)。このような乾燥工程にて、表3に示すな塗布、乾燥条件にて乾燥をおこなった。乾燥後、130℃の状態で2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層付き光学補償シートを作製した。
(2−2)塗布面状の評価
以上の塗布試料に対して、塗布面状の評価を行った。評価としては、作成したフィルムを、偏光板をクロスニコル配置とした間におき、得られた光学補償シートのムラを、正面、および法線から60°まで傾けた方向から観察し、ムラを下記に示したように官能評価した。光学フィルムとしては、AからCまでが許容内である。
A:ほとんどムラが見えない。
B:わずかにムラが見えるが特に問題は無い。
C:ムラが見えるが、許容できる。
D:ムラが見え、許容外である。
E:ムラがかなり強い。
Figure 2007199297
(2−3)塗布品の作成、評価結果
本発明の光学補償フィルム塗布品の評価結果を表3に示した。いずれの試料も本発明の規定の範囲内の試料であって、比較的良好な面状を示すが、その中では実施例31〜35は、風の風速が高くなると、給気サイドに強い乾燥ムラが生じた。これに対し、給気風中にMEK溶剤ガスを含んだ実施例36〜40は、膜面の風速を上げても給気サイドのムラは出にくく、良好な面状が得られた。実施例41、42は膜面風速の高い条件で塗布速度を上げたが良好な面状を維持できている。また、実施例43から46では、給気風の絶対湿度が低い方で面状が良好である。このうち、実施例41、46の試料が塗布速度速く、乾燥ムラが少なく特に好ましい試料である。
なお、実施例39、41、42で、乾燥ゾーン出口の塗膜の揮発性溶剤含有量をはかり、乾燥ゾーンでの平均乾燥速度を求めるとそれぞれ1秒あたり0.4、0.6、0.9g/mであった。
(実施例3)
(3−1)反射防止フィルムの作成
上記の本発明の実施例試料7、10、25に対し、低屈折率層の付与を行った。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
<低屈折率層用塗布液組成D>
オプスターJN7228A 100質量部
(熱架橋性含フッ素ポリマー組成液:JSR(株)製)
MEK−ST 4.3質量部
(シリカ分散物 平均粒径15nm:日産化学(株)製)
MEK−STの粒径違い品 5.1質量部
(シリカ分散物 平均粒径45nm:日産化学(株)製)
ゾル液a 2.2質量部
MEK 15.0質量部
シクロヘキサノン 3.6質量部
また、低屈折率層塗布液に使用している熱架橋性含フッ素ポリマーJN7228Aの代わりに、屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA−113、固形分濃度6%、JSR(株)製)を使用した塗布液Eも同様に作成した。
(低屈折率層の塗設)
実施例試料7、10、25の光拡散性もしくは防眩性ハードコートフィルムを再び巻き出して、表4に記載の低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度20m/分の条件で塗布をおこなった。この際、前記の乾燥工程ハにおいて、実施例試料31と同条件にて乾燥をおこなった。乾燥後120℃で150秒、続いて140℃で8分加熱してから240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を窒素パージ下酸素濃度0.1%で照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成して反射防止フィルムを作成し、巻き取った。
以上により、低屈折率層塗布液Dを塗布した実施例試料7D、10D、25D、および、低屈折率層塗布液Eを塗布した実施例試料7E、10E、25Eを作成した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
反射防止フィルムについて、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
(3−2)反射防止フィルムの評価
得られたこれらの反射防止フィルムについて、以下の項目の評価を行った。
<1>平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。
<2>スチールウール耐傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度: 13cm/秒、
荷重: 500g/cm2
先端部接触面積: 1cm×1cm、
こすり回数: 10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
<3>水綿棒こすり耐性評価
ラビングテスターのこすり先端部に綿棒を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に500gの荷重をかけて、こすり回数を変えてこすりテストを行った。こすり条件は以下のとおり。
こすり距離(片道):1cm、
こすり速度: 約2往復/秒
こすり終えた試料を観察して、膜剥がれが起こった回数で、こすり耐性を以下のように評価した。
×:0〜10往復で膜剥がれ
×△:10〜30往復で膜剥がれ
△:30〜50往復で膜剥がれ
○△:50〜100往復で膜剥がれ
○:100〜150往復で膜剥がれ
◎:150往復でも膜剥がれなし
以上の結果を表4に示す。本発明により優れた面状均一性と高い耐擦傷性を持つ反射防止膜が生産性高く得られる。
Figure 2007199297
[実施例4]
光学補償フィルムを用いた偏光板作成
(偏光子の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(偏光板の作製)
上記の実施例試料41の光学補償フィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルムのポリマー基材(PK−1)面で偏光子(HF−01)の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸とポリマー基材(PK−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフイルムの遅相軸とは直交するように配置した。このようにして偏光板HB−1を作製した。
同様にして、前記のケン化処理済みの反射防止フィルム実施例7Eを用いた偏光板HB−2、実施例25Eを用いたHB−3を作成した。
このようにして作製した偏光板HB−1を、光学補償シートを液晶セル側に向け最適な配置で透過型TN液晶表示装置搭載の液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、ムラが無く、良好な偏光板が作成できた。また、HB−2を用いることで、さらに視野角拡大の効果が得られた。HB−3を用いることで、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
本発明で好ましく用いられる塗布・乾燥工程の態様である。(a)は、その一例である。また、(b)は別の一例である。 (a)は防眩性反射防止フィルムの典型的層構成を示す断面模式図である。(b)は反射防止性能に優れた反射防止フィルムの典型的層構成を示す断面模式図である
符号の説明
(図1a及び図1bの符号)
1 送り出し部
2 塗布部
31〜36 乾燥ゾーン
41〜46 乾燥ゾーンの給(排)気口
5 加熱処理部
6 活性放射線照射部
7 巻取り部 8 金網
(図2の符号)
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 防眩性ハードコート層
5 低屈折率層
6 微粒子
7 中屈折率層
8 高屈折率層

Claims (13)

  1. フィルム基材上に、少なくとも1種の揮発性成分を含有する塗布液を塗設する塗工工程と、塗設した塗布液層から揮発性成分を空気中に揮散除去する乾燥工程とを有する光学フィルムの製造方法において、該乾燥工程の温度における該揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と、大気圧(P)との比R(=p/P)を、0.05〜1.5とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 該乾燥工程において塗膜表面付近の空気中における塗布液の揮発性溶剤成分体積分率(V)のRに対する比率V/Rが0.05〜0.9のもとで乾燥が行われることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 該乾燥工程に供給される空気が、揮発性成分を前記Vの1〜50%の範囲で含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 該乾燥工程に供給される空気が含有する塗布液成分以外の揮発性成分の体積分率が、該空気の0.05以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 該揮発性成分が、ケトン、エステル及びアルコールから選択される少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 該乾燥工程における該揮発性成分の平均乾燥速度が、1秒あたり0.1g/(m塗膜)以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜56のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
  8. 塗布液中にディスコティック化合物が含まれていることを特徴とする請求項67記載の光学フィルム。
  9. 塗布液中に透光性粒子が含まれていることを特徴とする請求項67記載の光学フィルム。
  10. 該塗布液により塗設される層が防眩性付与層であることを特徴とする請求項89記載の光学フィルム。
  11. 最上層として反射防止層を有し、該反射防止層が屈折率1.31〜1.45の低屈折率層であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
  12. 偏光膜の少なくとも一方の側の保護フィルムが請求項7〜11のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
  13. 請求項7〜11に記載の光学フィルム又は請求項12に記載の偏光板の少なくともいずれか一つを有することを特徴とする画像表示装置。
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