JP2007199297A - 光学フィルムの製造方法、並びに光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム基材上に、少なくとも1種の揮発性溶剤を含有する塗布液を塗設する塗工工程と、塗設した塗布液層から揮発性溶剤を空気中に揮散除去する乾燥工程とを有する光学フィルムの製造方法において、該乾燥工程の温度における該揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と、大気圧(P)との比R(=p/P)を、0.05〜1.5とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法及び該製造方法によって製造された光学フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置。
【選択図】なし
Description
このうち、乾燥ムラについては、塗布層形成後、塗布層の表面を気体層でシールし、乾燥風速を抑えながら乾燥する方法(特許文献2)等、乾燥完了まで塗膜付近に覆いをしたり、風をおさえる方法が知られている。
本発明の他の目的は、その製造方法によって、生産効率よく、ムラが少ない優れた面品質の光学フィルムを提供することである。
2.該乾燥工程において塗膜表面付近の塗布液の揮発性成分体積分率(V)のRに対する比率V/Rが0.05〜0.9のもとで乾燥が行われることを特徴とする上記1記載の光学フィルムの製造方法。
3.該乾燥工程に供給される空気が、揮発性成分を前記Vの1〜50%の範囲で含有していることを特徴とする上記1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.該乾燥工程に供給される空気が含有する塗布液成分以外の揮発性成分の体積分率が、該空気の0.05以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
5.該揮発性成分が、ケトン、エステル及びアルコールから選択される少なくとも一つから成ることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
6.該乾燥工程における該揮発性成分の平均乾燥速度が、1秒あたり0.1g/(m2塗膜)以上であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
8.塗布液中にディスコティック化合物が含まれていることを特徴とする上記7に記載の光学フィルム。
9.塗布液中に透光性粒子が含まれていることを特徴とする上記7に記載の光学フィルム。
10.該塗布液により塗設される層が防眩性付与層であることを特徴とする上記9に記載の光学フィルム。
11.最上層として反射防止層を有し、該反射防止層が屈折率1.31〜1.45の低屈折率層であることを特徴とする上記7〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
121.偏光膜の少なくとも一方の側の保護フィルムが上記7〜11のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
13.上記7〜11に記載の光学フィルム又は上記12に記載の偏光板の少なくともいずれか一つを有することを特徴とする画像表示装置。
次に本発明における塗布液の塗工工程および乾燥工程について示す。
本発明においては、フィルム状基材に揮発性成分を含む塗布液が塗工される。この揮発性成分を含む塗布液には、光学機能層や物理機能層等の特性をもつ層を形成する成分が含まれる。なおこの機能層を塗布する前に、他の層が塗布されていても良いし、フィルム表面に各種表面処理がされていても良い。
なお、本発明における揮発性成分とは、乾燥を実施する温度において蒸発し、塗膜中の含有量が減るものを示すが、乾燥する温度における蒸気圧が、大気圧の約1/1000以上のものとすることができる。本発明での揮発性の溶剤としては、沸点200℃以下のものが好ましい。なお、本発明の光学機能層に対しては、上記の揮発性成分の他、後述するように、機能性を付与するための不揮発性成分が含有されることが一般的であるが、この不揮発性成分は、乾燥する温度での蒸気圧が大気圧の約1/1000未満のものとすることが好ましい。
以上の溶剤のうち、特に好ましくはケトン類である。その中でも、2−ブタノン(MEK)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBK)、シクロヘキサノン等は、特に好ましい溶剤である。
揮発性成分の各温度での蒸気圧については、温度と蒸気圧の関係を示した、コックス線図により知ることが出来る。すなわち、蒸気圧(p)と、温度(T)の関係に関する式、
(数式1)
Log(p)=a−b/(T)
より、各溶剤により実験的に求められる定数a、bを求めることである温度での蒸気圧を知ることが出来る。このような関係、および代表的な溶剤の温度−蒸気圧の関係については、「溶剤ハンドブック」(浅原、戸倉ら編、講談社サイエンティフィック)等の一般文献に記載されている。
なお、本発明の揮発性成分は、数種のものを混合して用いることもできる。この際の蒸気圧は、溶剤同士の相互作用の無い系では、各成分単体の蒸気圧を成分比で加重平均することでおおよそ予想できる。ただし、混合する成分によっては、単純な加重平均からずれることがあるが、これは、実験により求めることが可能である。
Rが小さいと、乾燥する空気に対する溶剤揮発能力が小さいこととなり、乾燥時間が長く必要であり、高速乾燥に適さない。また、Rが1.5を超えると、溶剤の沸点を大幅に超える条件となるため、溶剤の沸騰、急速乾燥による乾燥ムラの問題が生じる。このRの範囲としては、0.06〜1.0がより好ましく、0.07〜0.7が特に好ましい。
図1aは、本発明に好適に用いられる塗布・乾燥工程の一例である。この図でフィルム状の支持体を送り出し部1から搬送し、2の塗布部で塗布液の塗布を行う。この1〜2の間に、必要により、フィルムに各種の処理を行ってもよい。2の塗布部でフィルム上に形成された塗膜は、31〜36で示す乾燥ゾーンで揮発性成分が乾燥される。この際、41〜46で示す給気口より空気を送り、乾燥ゾーンの温度、風速、溶剤濃度等を制御する。なお、41〜46は排気口としてもよいし、給気口と排気口をそれぞれ設けてもよい。また、31〜36のゾーンは塗布直後からあってもよいし、塗布後しばらくした地点から設けてもよい。この乾燥後、必要に応じ、塗膜中の残留溶剤の揮発、もしくは膜の熱処理を行うための熱処理ゾーン5、UV等の活性放射線硬化を行うための6を実施することができる。その後、7で塗布加工後のフィルムが巻き取られる。
図1bは、本発明の乾燥工程の別の一例である。ここでは、乾燥ゾーン31〜36は、膜面に垂直方向の給気口41〜46より空気を送り、膜面近くの金網8で塗膜にあたる風を均一化し乾燥を行うことができる。
本発明の光学フィルムは、フィルム状の基材を連続的に送り出し、必要に応じてフィルムの前処理をした後、塗布工程にて塗布を行うことが好ましい。塗布前に行うフィルムの前処理としては、除塵処理、除電処理、熱処理、表面親水化/疎水化処理、配向膜の配向処理等があげられる。なお、これらの処理はロール状フィルムを本発明の塗布工程で使用する前に行っても良い。
除塵処理としては、フィルム上の異物を除去するため、乾式除塵法として、粘着ロールや、特開昭59−150571記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613に記載のような、超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)が上げられる。また、湿式除塵法としては洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法や、特公昭49−13020号公報に記載されているようなフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、また、特願平11−215807号公報に記載された、ウェブを液体で濡らしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等があげられる。これらのうち、粘着ロールや、超音波除塵機による方法が一般的である。
除電処理は、除塵の効率を上げることや、帯電による塗布ムラを抑えるために行われる。除電方法としては、除電バーや、電荷放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のウェブの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの熱処理は、塗布層の基材となるベースの平面性を改善する等の目的で行われる。加熱方法としては、加熱ロールによる方法、加熱ゾーン内への挿入による方法、および赤外線ヒーター等による加熱方法を用いることができる。
フィルムの表面処理は、塗布層の密着性や、塗布時の濡れ性改良のために実施することができる。このような表面処理としては、アルカリ処理(けん化処理)、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理など等があげられる。
配向膜の配向処理は、上層に液晶層等の光学異方性層を塗布する時に特に好ましく用いられる。この際、フィルム上には、配向膜が形成されていることが望ましい。配向膜の配向処理としては、布によるラビング処理法や、光配向、磁気配向等の非接触型の配向法等を用いることができる。
塗布工程では、上記の送り出されたフィルムに対し、以下に示した方法で塗布層を塗工し設けることができる。ただし、以下の記載に制限されるものではない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、塗膜を形成する。このうち、特にワイヤーバーコート法、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法が好ましい。
また、本発明に適用されるマイクログラビアコート法は、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましい。
なお、塗布を行う際、フィルム状基材(ベースと記すこともある)の温度を調整することも塗布性、乾燥性を制御するために好ましい方法である。この温度調整は、ロール接触、ヒーター使用、塗布室温調整等により可能である。
また、二つ以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明の塗布において、フィルム状支持体の搬送速度は0.5〜200m/分であることが好ましく、1〜100m/分がより好ましく、5〜50m/分が特に好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、塗布、乾燥後、必要に応じて加熱による処理を行うことも好ましい。加熱処理は、液晶層配向のための処理、残留揮発分の除去、塗布液成分の熱硬化等の目的で行われる。この際の熱処理の温度、時間は、塗膜の特性、および塗布されるフィルム基材のガラス転移温度、熱変形特性等により、加熱温度・時間を最適に設定することができる。一般的な熱処理温度としては、60℃〜150℃の範囲であり、特に80℃から140℃の範囲が好ましい範囲である。熱処理時間としては、10秒から30分の範囲が好ましく、より好ましくは20秒から20分、特に好ましくは30秒から15分である。
また、塗布層が、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合、電離放射線を照射し、硬化を行うことが好ましい。電離放射線としては、紫外線照射、電子線照射、X線照射等一般に知られている方法を用いることができる。これらの方法のうち、紫外線照射が特に好ましい。紫外線照射は、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の各種の市販の紫外線照射ランプを用いて実施することができる。なお、紫外線照射を実施する際、架橋反応、又は、重合反応を酸素濃度を低下させた雰囲気下で行うことも好ましい。この際、酸素濃度は10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れた硬化層を形成することができる。より好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.1体積%以下である。
〔支持体〕
本発明の光学フィルムの支持体(基材又はベースと記すこともある)としては、フィルム状の形態のものを用いることができる。特にプラスチックフィルムであることが好ましい。
支持体は、光透過率が80%以上であることが好ましい。プラスチックフィルムを構成するポリマーの例には、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、代表的には富士写真フイルム社製TAC−T80U、TD80U,TDY80Uなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、ポリアクリレートなどが挙げられる。このうちセルロースアシレート、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン等が好ましい。
中でもセルロースアシレートが好ましく、とりわけセルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。とくに炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.0乃至1.65であることがさらに好ましく、1.0乃至1.6であることが最も好ましい。
グルコース単位の2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程における何れの段階で添加してもよく、またドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報 公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
また本発明の光学フィルムに用いる支持体は、長さ100〜5000mで幅0.7〜2mの長尺ロール形態のものであることが好ましい。本発明の光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板保護フィルムおよび画像表示装置を薄く軽量化したり、透過率を高めてコントラストや表示輝度を改善する等の良好な光学特性が安定して得られ、長尺で幅広な支持体を皺等の問題を生じることなくハンドリング性よく取り扱うことができる。
また、支持体の膜厚の変動幅は、±3%以内であり、好ましくは±2.5%以内、更に好ましくは±1.5%以内である。この変動内において、支持体厚みの変動が、塗布層の塗布性に実質上の影響を及ぼさない良好なものとなる。
本発明の光学フィルムの代表的な形態である、光学補償フィルムについて、以下に記載する。光学補償フィルムとしては、例えば液晶化合物からなる光学異方性層を有するフィルムが知られている。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子による複屈折を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、411〜414頁に記載されている。
光学異方性層は、支持体上に直接液晶化合物から形成するか、もしくは配向膜を介して液晶化合物から形成する。配向膜は、10μm以下の膜厚を有することが好ましい。
光学異方性層は、液晶化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。本発明の配向膜として好ましい例は、特開平8−338913号公報に記載されている。
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基またはエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものがあげられる。
ディスコティック化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
上記ディスコティック化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。ディスコティック化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
好ましいポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーの添加量は、ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm22の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の上に保護層を設けてもよい。
配向膜は、液晶分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常用いられるが、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
変性ポリビニルアルコール化合物及び架橋剤等の配向膜形成用組成物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報等に記載のもの等が挙げられる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の光学フィルムのもう一つの好適な態様としては、光の透過性を粒子や表面凹凸による散乱により制御する防眩性フィルム、光拡散性フィルムや、塗布層の光学干渉によって表面の反射性を制御する反射防止フィルムがある。
防眩性フィルムは、フィルムに入射する光を、表面に形成した凹凸により散乱し、写り込みを抑えるものであり、画像表示装置に対する蛍光灯等の光源の写り込み等を抑えるのに好適に用いられる。このような防眩層は、マット粒子を添加することで凹凸を付与することや、塗布層の相分離等による表面凹凸付与等の方法で形成できる。また、防眩性付与層にハードコート性を付与したり、光散乱性を付与したり、高屈折率等の機能を付与することもできる。
光拡散性フィルムは、画像表示装置から出る光を散乱して均一にしたり、光学補償フィルムと組み合わせて、液晶表示装置の視野角(特に下方向視野角)を拡大し、観察方向の視角が変化してもコントラスト低下、階調または黒白反転、あるいは色相変化を抑止する等の目的で用いることができる。
視野角改良効果に対して、ゴニオフォトメーターで測定される散乱光の強度分布が視野角改良効果に相関することを確認した。すなわち、バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散フィルムに含有される透光性微粒子の内部散乱の効果により拡散されればされるほど視野角特性がよくなる。しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくなり、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。そこで、鋭意検討の結果、所望の視認特性を達成するには、散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対して、特に視認角改良効果と相関ある30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることが好ましく、0.02%〜0.15%が更に好ましく、0.03%〜0.1%が特に好ましい。
散乱光プロファイルは、作成した光散乱フィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
本発明の光学フィルムの一態様である反射防止フィルムの基本的な構成を図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
図2(a)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例である。反射防止フィルム1は、透明支持体2、三種類の機能層(ハードコート層3、防眩性ハードコート層4、低屈折率層5)、の順序の層構成を有する。防眩性ハードコート層4には、マット粒子6が分散している。本発明においてハードコート層3、防眩性ハードコート層4のような機能層は、このように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、また光拡散層でもよい。また、図2(a)のように機能毎に複数層に分けてもよいし、単層でいくつかの機能を有してもよい。なお、機能層のうち低屈折率層5は最外層に塗設される。
さらに、低屈折率層は下記数式(2)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(2)
(m/4)×0.7<n1d1<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(2)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(2)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
なお、防眩性ハードコート層4のマット粒子6以外の部分の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.35〜1.49の範囲にあることが好ましい。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図2(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(3)、高屈折率層が下記数式(4)、低屈折率層が下記数式(5)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
(hλ/4)×0.7<n1d1<(hλ/4)×1.3
数式(3)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は中屈折率層の屈折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(4)
(iλ/4)×0.7<n2d2<(iλ/4)×1.3
数式(4)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
(jλ/4)×0.7<n3d3<(jλ/4)×1.3
数式(5)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(6)
(hλ/4)×0.80<n1d1<(hλ/4)×1.00
数式(7)
(iλ/4)×0.75<n2d2<(iλ/4)×0.95
数式(8)
(jλ/4)×0.95<n3d3<(jλ/4)×1.05
〔ハードコート層〕
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために防眩性ではない、いわゆる平滑なハードコート層も好ましく用いられ、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記防眩性ハードコート層、透明支持体と光拡散層、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
無機微粒子としては、高屈折率層で例示した無機微粒子に加え、二酸化珪素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛である。
ハードコート層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましい。
ハードコート層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗布組成物を塗布することで形成することが好ましい。
本発明の防眩性、光散乱性を付与するハードコート層について以下に説明する。
防眩性ハードコート層は、ハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラー、から形成される。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマー(バインダー前駆体)の重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
このようなバインダ成分として特に好ましいものとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性基を持つ多官能モノマーや多官能オリゴマー等の活性放射線硬化樹脂があげられる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
最新UV硬化技術(159頁,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
また、ハードコート層中に、架橋性官能基を有しないポリマーを塗布粘度調整、塗膜硬度調整、粒子の安定性付与、凝集性付与の目的で添加することもできる。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
一般式1
RmSi(X)n
(Rは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3である。)
m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3、好ましくは1、2、特に好ましくは1である。
また、Rが複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
なかでも、下記(i)に述べるモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)に述べるモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook 第2版,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)2章、1〜483頁記載のものを用いることが出来る。
具体的には例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
このような化合物は下記のような化合物である。
一般式2
一般式2中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式2中のnは1〜17の整数を表し、4〜11がより好ましく、6〜7が更に好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式2で表されるフルオロアルキル基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
一般式3
R14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。炭素数1〜12の直鎖、分岐あるいは環状のアルキル基、炭素数5〜40のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基および炭素数炭素数5〜30のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基が極めて好ましい。以下にポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)基におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレン単位が不規則に分布されたものであっても良く、直鎖または分岐状のオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位であったり、または直鎖または分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであっても良い。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つまたはそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic](旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)“カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、”トリトン“[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。分子量は300以上の成分のピーク面積から算出した。
本発明の反射防止フィルムにおいて、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層を好ましく用いることもできる。
本発明に用いる高屈折率層には、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有する。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明に用いる高屈折率層の屈折率は屈折率1.55〜2.40であり、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層といわれている層であるが、以下の本明細書では、この層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
特に、好ましい元素はCoである。また、2種類以上を併用することも好ましい。
Tiに対するCo、Al又はZrの含有量は、それぞれTiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co、Al及びZrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部と表面の少なくともいずれかに存在させることができるが、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させることが好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。
Co、Al、Zrを二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、イオン注入法(18(5)巻,262−268頁,1998;青木 康)や、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載の手法があげられる。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の粒子形成過程において、Co、Al、Zrを導入する手法(例えば、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載)が特に好ましい。
Co、Al、Zrは、酸化物として存在することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子には、目的により、さらに他の元素を含むこともできる。他の元素は、不純物として含んでいてもよい。他の元素の例には、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Mg、Si、PおよびSが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特に前記一般式1で表されるシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。
ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。
特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
本発明の好ましい分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
本発明の好ましい分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
以上の分散剤としては、特開平2004−29705号の(化1)〜(化6)の化合物を用いることができる。
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。
無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンである。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
このようにして作製した高屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
光ラジカル重合開始剤としては、前述の防眩性ハードコート層と同様のものが用いることができる。
シラノール基は、例えば架橋又は重合性官能基を有する前記一般式1で表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、前記一般式1で表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を架橋反応、又は、重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する高屈折率層のバインダーは、例えば架橋又は重合性官能基とアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーを上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーの分散剤に対する使用量は、1〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
その他の繰り返し単位としては、シラノール基、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位が好ましい。
架橋又は重合しているバインダーは、高屈折率層形成用の塗布組成物を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって形成することが好ましい。
高屈折率層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。高屈折率層中の無機微粒子の質量平均径は、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムにおいて好ましく用いられる低屈折率層について以下に説明する。
本発明における低屈折率層の屈折率は、反射防止性を付与する目的で、好ましくは1.31〜1.48の範囲であるのがよい。本発明における低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築されることが好ましい。
本発明の低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。
更に上記低屈折率層には、低屈折率を実現し、かつ表面への滑り性の付与が効果的に行え、耐擦傷性を大きく向上させる手段として、従来公知のシリコーンおよび/または含フッ素化合物の導入された硬化膜形成用素材を適宜適用することが好ましい。含フッ素化合物を含有することがより好ましい。特に、本発明における低屈折率層は、熱硬化性および/または光もしくは放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され、硬化した含フッ素ポリマーにより構成されることが好ましい。
(Rは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは0〜3である。)
また、本発明の低屈折率層には膜強度向上のための無機フィラーを用いることもできる。また、該低屈折率層において、屈折率1.17〜1.37である中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることも好ましい。該無機微粒子は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であることが好ましい。無機微粒子の平均粒径が低屈折率層の厚みの30%〜100%の範囲であれば、低屈折率層皮膜の強度が十分に発現されるので好ましい。またこのような屈折率の無機微粒子を低屈折率層に用いることにより、層自体の屈折率の上昇を抑えながら、しかも長時間の熱硬化や偏光膜を設けるために行う鹸化処理などの制約を受けることなく、低い屈折率と高い皮膜強度の両立を達成できる。
以下、硬化性の低屈折率層形成用組成物について詳細に説明する。
<含フッ素ポリマー>
前述の通り、本発明における低屈折率層は、熱硬化型および/または光または放射線(例えば電離放射線)硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成され硬化した含フッ素ポリマーにより構成されているのが好ましい。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋性もしくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでもよい。
好ましい例としては、*‐(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2 )2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
nは2〜10の整数を表し、2〜6であることが好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式4におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表し、0〜65、0〜65を満たす値を表す。z1は0〜30、z2は0〜10であることが好ましく、z1は0〜10、z2は0〜5であることが特に好ましい。
低屈折率層に用いられる無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の粒子が好ましい。特に好ましくは二酸化珪素(シリカ)粒子である。
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。配合量が上記範囲であることにより、耐擦傷性に優れ、低屈折率層表面に微細な凹凸の発生が減少し、黒の締まりなどの外観や積分反射率が良化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
数式(9):x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は用いられない。
なお、これら中空無機粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下、「小サイズ粒子」と称することがある)の少なくとも1種を、前記のこれより大きい粒径の無機微粒子(以下、「大サイズ粒子」と称すこともある)と併用することが好ましい。この小サイズ粒子は中空構造をもたないものでよい。
小サイズ粒子は、大サイズ粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒子の保持剤として寄与することができるので好ましい。また、原料コストの点でも好ましい。
(無機微粒子の分散物)
上述したいずれの無機微粒子も、分散液中または硬化性の低屈折率層形成用組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例えば、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。シランカップリング剤としては前記一般式(1)で表されるものも好ましく用いることができる。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明の反射防止フィルムを構成する機能層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。特に低屈折率層は反射防止能と耐擦傷性を両立させるためにゾル成分を含有することが好ましく、ハードコート層もゾル成分を含有することが好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーとなる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物としては、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
本発明においては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5 (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、 金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
低屈折率層以外の層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液をハードコート層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
前述したように、前記の低屈折率層形成用の硬化性組成物には、更に多官能重合性化合物を添加することもできる。
本発明における低屈折率層には、以上述べた成分の他、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物またはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加されていることが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には、低屈折率層形成用の硬化性組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
本発明における低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下、さらには15〜25.8mN/mの範囲であることが好ましい。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板と貼り合せるか、偏光板の保護フィルムとして使用することで、その機能を著しく発揮でき、好ましい。
偏光板は、主に偏光膜とそれを両面から挟む2枚の保護フィルムで構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
後者の場合、偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在汎用されている偏光子は、延伸したポリマーバインダーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させて作製するのが一般的である。
汎用の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。一方、厚みの上限については、特に限定はしないが、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象を抑止する観点からは、薄ければ薄い程よい。本発明に用いる偏光板の場合は、現在汎用の偏光(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋構造の導入は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)3、N(CH3)3・Cl、C9H19COO、SO3Na、C12H25を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC12H25を導入することができる。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85乃至95%の未変性ポリビニルアルコールおよびアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。バインダー層中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号、同1−172906号、同1−172907号、同1−183602号、同1−248105号、同1−265205号、同7−261024号の各公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜または偏光板が、単板透過率および偏光率とも優れており好ましい。
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない液晶表示装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
斜め延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる延伸操作で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフイルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフイルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。そのためには、流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のようにして、偏光膜のMD方向に対して10乃至80度斜め延伸されたバインダーフイルムが製造される。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
長尺フイルムをラビング処理する場合は、フイルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフイルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
本発明の偏光板において、液晶セルに接する側のフィルムが光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学補償層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が層の深さ方向において変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止、防眩性フィルム等は表面保護性と表面反射防止のため、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
また、本発明のうち、特に光学補償フィルムは、液晶表示装置に好ましく用いることができる。その際、以下に示す光学異方性層を用いることで、より好ましいものとなる。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
また、セル中央部分の棒状液晶性分子に対しては、ホモジニアス配向(長軸が寝ている水平配向)の棒状液晶性分子もしくは(透明)支持体で補償し、セルの基板近傍の棒状液晶性分子に対しては、ハイブリット配向の円盤状液晶性分子で補償することもできる。
ホモジニアス配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が5゜未満の状態で配向している。
ハイブリット配向の液晶性分子は、液晶性分子の長軸の平均配向方向と偏光膜の面との角度が15゜よりも大きいことが好ましく、15゜〜85゜であることがさらに好ましい。
(I) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(II) Re=(nx−ny)×d
[式(I)、(II)において、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、またnzは、フイルムの厚み方向の屈折率である。そして、dは、フイルムの厚さである]。
ホメオトロピック配向(水平配向)している円盤状液晶性分子層およびホモジニアス配向(水平配向)している棒状液晶性分子層に関しては、特開平12−304931号および同12−304932号の各公報に記載されている。ハイブリット配向している円盤状液晶性分子層に関しては、特開平8−50206号公報に記載がある。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードと呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
(透明)支持体もしくはディスコティック化合物がホメオトロピック配向している光学異方性層、もしくは、棒状液晶性分子がホモジニアス配向している光学異方性層は、Rthレターデーション値が150nm乃至500nmであり、Reレターデーション値が20乃至70nmであることが好ましい。
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
〔実施例1〕
(1−1)光拡散性フィルム塗布試料作成
(光拡散層用塗布液の調製)
市販のジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度約61%、固形分中ZrO2含率約70%、重合性モノマー、重合開始剤含有)285g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85gを混合し、更に、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学(株)製)28gを混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液に平均粒径3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した分散液を35g加え、次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスタKE−P150、日本触媒(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分間分散した分散液を90g加えた。その上で、必要な溶剤組成が得られるよう、メチルイソブチルケトン、および、メチルエチルケトンで希釈し、塗布液を調整した。この時、各塗布液の不揮発分濃度は約50質量%であった。
また、同様な方法で、必要により添加剤の溶剤組成を変え、IPA、酢酸エチルを含有する塗布液を作製し、表1に示した、塗布液A1〜A4を作成した。なお、表1において、Rの値は、溶剤ハンドブックより各溶剤の各温度での蒸気圧を求め、その結果から計算した。混合溶剤の場合は、各成分の質量比から、加重平均した蒸気圧として求めた。また、Vは、実際の膜面付近の溶剤濃度をガス濃度計により測定し求めた。
支持体としてトリアセチルセルロースフィルムTD−80U(富士写真フイルム製)をロール形態で巻き出して、光学機能層用塗布液Aを線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて塗布し、塗布後に図1aに示した構造の乾燥工程にて溶剤の揮発乾燥を実施した。この図1aにおいて、乾燥ゾーン31〜36は、幅150cm、長さ100cm、深さ6cmの箱状であり塗膜面部に#200の金網を設置した(乾燥工程イとする)。この乾燥ゾーンに対し、乾燥ゾーンの幅方向の片側に設置した給気口41〜46から乾燥するための空気を給気した。給気空気は25℃60%RH(絶対湿度0.012)の空気を表1に示した温度に調整して給気した。このような乾燥工程を用い、表1に示した塗布、乾燥条件で塗布を実施した。その後100℃のもとで10mの熱処理ゾーンで加熱後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射強度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を酸素濃度0.1%の雰囲気下で照射して塗布層を硬化させ巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約3.4μmであった。また、この時の塗布液の塗布量は、約10ml/m2であった。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA、日本化薬(株)製)50gをMIBK/シクロヘキサノンの混合溶剤38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmのポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30%MIBK分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmのアクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%MIBK分散液を13.3g加えた。最後に、フッ素系ポリマー(FP−8)0.75g、シランカップリング剤ゾル液a20gを加え、塗布液B1を作成した。この塗布液の溶剤組成は、MIBK/シクロヘキサノン比は7/3であった。この時、液中の不揮発分濃度は約45質量%であった。
また、同様な方法で、MIBKをトルエンに置き換え、トルエン/シクロヘキサノン比は7/3の塗布液B2を作成した。
支持体としてトリアセチルセルロースフィルムTDY−80U(富士写真フイルム製)をロール形態で巻き出して、防眩性ハードコート層用塗布液B1もしくはB2を特開平9−73081に記載のエクストルージョンコーターを用いて塗布した。その後前記の乾燥工程イにおいて、31〜36の乾燥ゾーン長を200cmとした以外は同様の乾燥工程ロにより、表2に示したような塗布液、塗布速度、乾燥条件にて揮発性溶剤乾燥を行った。その後100℃で10mの熱処理ゾーンで加熱後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射強度200mW/cm2、照射量80mJ/cm2の紫外線を酸素濃度0.1%の雰囲気下で照射して塗布層を硬化させ巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約7μmであった。また、この時の塗布液としての塗布量は、約20ml/m2であった。
(塗布面状の評価)
以上の塗布品に対して、塗布面状の評価を行った。評価としては、作成したフィルムを、3波長の蛍光灯光源の透過で観察する方法と、裏面に黒いシートもしくはクロスニコルで黒くした偏光板を貼り付け、3波蛍光灯及び人工太陽灯光源(CIE標準光源タイプCに準拠)の反射光で検査し、両結果を総合して評価値とした。
塗布品の評価としては透過評価が厳しく判定されるが、光学フィルムとしては、反射評価でAからCまでが許容内である。
以上の評価結果を以上のごとく判定した。
A:ほとんどムラが見えない。
B:わずかにムラが見えるが特に問題は無い。
C:ムラが見えるが、許容できる。
D:ムラが見え、許容外である。
E:ムラがかなり強い。
本発明の光散乱フィルム塗布品の評価結果を表1に示した。Rが小さい比較例試料1,2に対し、溶剤比や溶剤種を変え、Rが本発明の範囲の実施例1〜9の試料は良好な面状を示す。また、実施例6、7は塗布速度を上げても良好な面状であった。なお、V/Rが0.9以上の実施例1、0.05以下の実施例5では、乾燥ムラは若干悪化したが、許容範囲内であった。また、乾燥ゾーン34〜36で温度を上げ、本発明の乾燥を行った実施例10〜12も良好な面状が得られた。ただし、温度が高く、Rが1.5を超える比較例試料3の面状は悪化した。このうち、実施例7及び実施例10は、乾燥ムラ良好で生産性良く特に好ましい試料である。
また、本発明の防眩性フィルム塗布品の評価結果を表2に示した。本発明の乾燥条件を適用し、良好な面状が得られた。また、V/Rが0.10〜0.5の範囲で実施すると、特に良好である。また、塗布液の取り扱い性、安全性からは、トルエンを使わない塗布液B−1の方が好ましい。また、これらの防眩性フィルムのうち、実施例試料25が乾燥ムラよく、生産性も良好な試料である。
なお、実施例3、7で、乾燥ゾーン出口の塗膜の揮発性溶剤含有量をはかり、乾燥部の平均乾燥速度を求めるとそれぞれ1秒あたり0.06g/m2、0.11g/m2であった。
(2−1)光学補償フィルム試料の作成(ポリマー基材の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター原料のもの) 80質量部
酢化度60.8%のセルロースアセテート(リンター原料のもの) 20質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
セルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。
得られたポリマー基材(PK−1)の幅は1340mmであり、厚さは、92μmであった。また、ポリマー基材は、ロール状に3900mの長さで巻き取られた。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、43nmであった。また、波長590nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
作製したポリマー基材(PK−1)を2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。このPK−1の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
このPK−1上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
配向膜上に、下記のディスコティック液晶性分子91.0質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0質量部、フッ素系界面活性剤メガファック F−780−F溶液 1.25質量部を、135質量部のメチルエチルケトンに溶解した。その後、適宜メチルエチルケトンを添加し、比重0.905、固形分濃度約30%の塗布液Cを調製した。
以上の塗布試料に対して、塗布面状の評価を行った。評価としては、作成したフィルムを、偏光板をクロスニコル配置とした間におき、得られた光学補償シートのムラを、正面、および法線から60°まで傾けた方向から観察し、ムラを下記に示したように官能評価した。光学フィルムとしては、AからCまでが許容内である。
A:ほとんどムラが見えない。
B:わずかにムラが見えるが特に問題は無い。
C:ムラが見えるが、許容できる。
D:ムラが見え、許容外である。
E:ムラがかなり強い。
本発明の光学補償フィルム塗布品の評価結果を表3に示した。いずれの試料も本発明の規定の範囲内の試料であって、比較的良好な面状を示すが、その中では実施例31〜35は、風の風速が高くなると、給気サイドに強い乾燥ムラが生じた。これに対し、給気風中にMEK溶剤ガスを含んだ実施例36〜40は、膜面の風速を上げても給気サイドのムラは出にくく、良好な面状が得られた。実施例41、42は膜面風速の高い条件で塗布速度を上げたが良好な面状を維持できている。また、実施例43から46では、給気風の絶対湿度が低い方で面状が良好である。このうち、実施例41、46の試料が塗布速度速く、乾燥ムラが少なく特に好ましい試料である。
なお、実施例39、41、42で、乾燥ゾーン出口の塗膜の揮発性溶剤含有量をはかり、乾燥ゾーンでの平均乾燥速度を求めるとそれぞれ1秒あたり0.4、0.6、0.9g/m2であった。
(3−1)反射防止フィルムの作成
上記の本発明の実施例試料7、10、25に対し、低屈折率層の付与を行った。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
<低屈折率層用塗布液組成D>
オプスターJN7228A 100質量部
(熱架橋性含フッ素ポリマー組成液:JSR(株)製)
MEK−ST 4.3質量部
(シリカ分散物 平均粒径15nm:日産化学(株)製)
MEK−STの粒径違い品 5.1質量部
(シリカ分散物 平均粒径45nm:日産化学(株)製)
ゾル液a 2.2質量部
MEK 15.0質量部
シクロヘキサノン 3.6質量部
実施例試料7、10、25の光拡散性もしくは防眩性ハードコートフィルムを再び巻き出して、表4に記載の低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度20m/分の条件で塗布をおこなった。この際、前記の乾燥工程ハにおいて、実施例試料31と同条件にて乾燥をおこなった。乾燥後120℃で150秒、続いて140℃で8分加熱してから240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を窒素パージ下酸素濃度0.1%で照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成して反射防止フィルムを作成し、巻き取った。
以上により、低屈折率層塗布液Dを塗布した実施例試料7D、10D、25D、および、低屈折率層塗布液Eを塗布した実施例試料7E、10E、25Eを作成した。
反射防止フィルムについて、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
得られたこれらの反射防止フィルムについて、以下の項目の評価を行った。
<1>平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度: 13cm/秒、
荷重: 500g/cm2、
先端部接触面積: 1cm×1cm、
こすり回数: 10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
ラビングテスターのこすり先端部に綿棒を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に500gの荷重をかけて、こすり回数を変えてこすりテストを行った。こすり条件は以下のとおり。
こすり距離(片道):1cm、
こすり速度: 約2往復/秒
こすり終えた試料を観察して、膜剥がれが起こった回数で、こすり耐性を以下のように評価した。
×:0〜10往復で膜剥がれ
×△:10〜30往復で膜剥がれ
△:30〜50往復で膜剥がれ
○△:50〜100往復で膜剥がれ
○:100〜150往復で膜剥がれ
◎:150往復でも膜剥がれなし
光学補償フィルムを用いた偏光板作成
(偏光子の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光子(HF−01)を得た。偏光子は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
上記の実施例試料41の光学補償フィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルムのポリマー基材(PK−1)面で偏光子(HF−01)の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。
偏光子の透過軸とポリマー基材(PK−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光子の透過軸と上記トリアセチルセルロースフイルムの遅相軸とは直交するように配置した。このようにして偏光板HB−1を作製した。
同様にして、前記のケン化処理済みの反射防止フィルム実施例7Eを用いた偏光板HB−2、実施例25Eを用いたHB−3を作成した。
1 送り出し部
2 塗布部
31〜36 乾燥ゾーン
41〜46 乾燥ゾーンの給(排)気口
5 加熱処理部
6 活性放射線照射部
7 巻取り部 8 金網
(図2の符号)
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 防眩性ハードコート層
5 低屈折率層
6 微粒子
7 中屈折率層
8 高屈折率層
Claims (13)
- フィルム基材上に、少なくとも1種の揮発性成分を含有する塗布液を塗設する塗工工程と、塗設した塗布液層から揮発性成分を空気中に揮散除去する乾燥工程とを有する光学フィルムの製造方法において、該乾燥工程の温度における該揮発性溶剤の飽和蒸気圧(p)と、大気圧(P)との比R(=p/P)を、0.05〜1.5とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
- 該乾燥工程において塗膜表面付近の空気中における塗布液の揮発性溶剤成分体積分率(V)のRに対する比率V/Rが0.05〜0.9のもとで乾燥が行われることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 該乾燥工程に供給される空気が、揮発性成分を前記Vの1〜50%の範囲で含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 該乾燥工程に供給される空気が含有する塗布液成分以外の揮発性成分の体積分率が、該空気の0.05以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 該揮発性成分が、ケトン、エステル及びアルコールから選択される少なくとも一つから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 該乾燥工程における該揮発性成分の平均乾燥速度が、1秒あたり0.1g/(m2塗膜)以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜56のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
- 塗布液中にディスコティック化合物が含まれていることを特徴とする請求項67記載の光学フィルム。
- 塗布液中に透光性粒子が含まれていることを特徴とする請求項67記載の光学フィルム。
- 該塗布液により塗設される層が防眩性付与層であることを特徴とする請求項89記載の光学フィルム。
- 最上層として反射防止層を有し、該反射防止層が屈折率1.31〜1.45の低屈折率層であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
- 偏光膜の少なくとも一方の側の保護フィルムが請求項7〜11のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 請求項7〜11に記載の光学フィルム又は請求項12に記載の偏光板の少なくともいずれか一つを有することを特徴とする画像表示装置。
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