JP4542920B2 - 光学フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、それを用いた偏光板、及びこれらを用いたディスプレイ装置に関する。更に詳細には、フィルム基材上に光学機能層を塗工してなる光学フィルムにおいて、点欠陥が少ない光学フィルム及び該光学フィルムの製造方法、それを用いた偏光板、並びにこれらを用いたディスプレイ装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置に対し、光学機能性フィルムの適用が一般的に行われている。このような光学フィルムとしては、反射防止フィルム、防眩性フィルム、光学補償フィルム、表面保護フィルム、偏光板等が知られている。
これらの光学フィルムは、直接目視で観察される画像表示装置に用いられるため、異物、はじき等の点状の欠陥(点欠陥)に対して、極めて厳しい品質が要求される。また、ディスプレイの大画面化により、大きな面積のフィルムが用いられるため、広い面積で点欠陥のない光学フィルムが要求される。このため、点欠陥が多いと、光学フィルムの得率や生産性に大きな問題となる。
また、光学フィルムにおける光学機能層としては、基材フィルム上への溶液の塗工、特に有機溶剤を含有する溶液の塗工によって付与されることが多い。このような塗工によって光学機能層を設けた光学フィルムでは、反射防止フィルム、防眩フィルム、光学補償フィルム等は、塗膜の膜厚の変化による特性の変化が大きく、微小な膜厚差でも欠点として目立ち易くなることが多く、点欠陥が顕在化しやすい。
このため、点欠陥の少ないフィルム、およびその製造方法が望まれており、塗布前のフィルムの除塵や、塗布工程のクリーン度を強化する方法(特許文献1、2)、塗布液をろ過処理する方法(特許文献3)等が知られている。
特開2001−343505号公報 特開2002−40245号公報 特開2000−304926号公報
上記点欠陥の中でも、塗布液に起因する点欠陥、特にはじき欠点については有効な対策が少なく、大きな課題となっていた。
本発明の目的は、点欠陥が低減され、品質・得率の良い光学フィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、点欠陥が低減された光学フィルムが得られる製造方法を提供することである。
本発明者らは、上述の目的を達成すべく鋭意検討した結果、塗布液起因の核の存在しないはじき欠点に対し、塗布液に用いられる、原料成分、特に活性放射線硬化樹脂、シランカップリング剤等の成分において、微量のはじき欠点を発生させる成分(はじき成分)として、ポリジメチルシロキサン等が含まれる場合があることがわかってきた。また、塗布液の中に、乾燥ムラを抑制するためにフッ素系、シリコーン系の界面活性剤を添加する場合が多いが、この界面活性剤中に、はじき成分が含まれる場合があることがわかってきた。
そして、塗布液を、ポリプロピレン製のフィルターで、ろ過処理することにより、はじき成分を容易に除去でき、はじき欠点数が減少した光学フィルムを達成しうることを見出した。
すなわち、本発明の目的は下記の光学フィルム、および光学フィルムの製造方法により達成される。
. 溶剤と、活性放射線硬化樹脂を含有する塗布液を、ポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、
前記ろ過処理した塗布液に透光性粒子を添加する工程、
前記透光性粒子が添加された塗布液を、さらにポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、及び
該ろ過処理した塗布液をフィルム基材上に塗布して塗布層を形成する塗布工程を含み、
該塗布層における100μm以上の、核となる異物を有しない点欠陥がフィルム1m あたり1.0個以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
.下記一般式aで示される有機シリル化合物、その加水分解物又はその部分縮合物とを含有する塗布液を、ポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、及び該ろ過処理した塗布液をフィルム基材上に塗布して塗布層を形成する工程を含むことを特徴とする上記に記載の光学フィルムの製造方法。
一般式a
(R)mSi(X)n
(Xは−OH、ハロゲン原子、−OR1基、又はOCOR1基を表す。R1は、炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基を表す。Rは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。)
. 前記透光性粒子が添加された塗布液をデプスタイプ・フィルターでろ過処理するろ過処理工程に引き続き、前記塗布工程が行われることを特徴とする請求項に記載の光学フィルムの製造方法。
. 界面活性作用を持つフッ素系化合物およびシリコーン系化合物のどちらか一方の塗布液中の濃度が100ppm以上であり、他方の塗布液中の濃度が1ppm以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
なお、本発明は上記1〜4に係るものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
本発明によれば、塗布液中のはじき成分を除去することにより、はじき欠点等の点欠陥が低減された、品質、得率の良い光学フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、はじき欠点等の点欠陥が低減された光学フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る光学フィルムの実施形態について説明する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明における光学フィルムは、反射防止フィルム、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、光拡散フィルム、光学補償フィルム、表面保護フィルム等に用いられる。このようなフィルムでは、基材フィルム上への塗布により機能層を設け、反射防止、防眩性、光散乱性、表面硬度、光学補償性等の機能を付与する方法が一般に知られている。これらの機能層は、光学特性の変化により、微小な膜厚の変化や、含有する粒子の密度変化により、点欠陥が目視で見えやすくなることが多い。また、これらのフィルムは、画像表示装置により用いられるため、直接目視の透過、反射で観察されるため、点欠陥に対して極めて厳しい品質が要求される。以上のような課題に対し、本発明の効果は見られる。特に、反射防止フィルム、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、光拡散フィルム、光学補償フィルム等に対しては、本発明の効果が大きい。
本発明の光学フィルムにおける点欠陥としては、塗布層上に通常の目視で見える100μm以上のものを意味する。このような点欠陥は、目視による透過、もしくは、反射観察により確認される。透過もしくは反射観察方法としては、各種画像表示装置で想定される観察方法があり、蛍光灯、タングステン光、人工太陽灯等、各種光源下での観察や、強い光での透過観察、偏光板クロスニコル下の透過観察等、光学フィルムの使用用途に合わせて行われる。100μmのサイズは、目視で観察される大きさを示す。このような点欠陥は、通常光学フィルムとして提供する際には、塗工したフィルム1mあたり2個以下であることが必要である。さらに好ましくは1mあたり1個以下であり、より好ましくは1mあたり0.5個以下であり、特に好ましくは1mあたり0.1個以下である。
このような点欠陥としては、目視や光学顕微鏡等の観察により、主に、核となる異物を持つ点欠陥(異物欠点)と、核となる異物を持たない点欠陥に大別できる。ここで、核となる異物とは、工程の塵あい等外部からの混入による異物、塗布するフィルムのクズによる異物、塗布液に用いる原料中の不溶解物、不純物、塗布液中のかわばり、反応物などの成分が固形になった異物等であり、核となる異物を持つ点欠陥とは、周囲の塗膜の成分、組成比と異なる固形物が観察される点欠陥である。このような核となる異物は、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡などによる、表面、断面観察により確認できる。
これに対し、核となる異物を有しない点欠陥は、フィルムの目視で欠点として見えるが、欠点部を光学顕微鏡、電子顕微鏡等で表面、断面から観察した時に、核となる異物が見られない欠点である。このような点欠陥としては主なものとして、はじき欠点、抜け欠点、また、成分として粒子が含まれる場合の粒子凝集欠点等があげられる。これらの欠点発生原因に対し、我々の調査の結果、はじき欠点については、塗布液中のはじき成分や、微小な泡に起因するもの、抜け欠点は、塗布液中のはじき成分や泡に起因するものや、基材上の汚れに起因するもの、凝集欠点は、粒子の分散不良による凝集物や、液中での粒子凝集物の生成等に起因するものがあげられ、発生原因の主たるものは、塗布液中に欠点発生原因がある場合が多いことがわかってきた。本発明は、塗布液に起因のある、上記の核となる異物を有しない点欠陥に対し、改善効果が見られる。このうち、特にはじき欠点、抜け欠点等、液中のはじき成分に起因するものに対し効果が大きい。
はじき欠点は、目視での形態として、円状、リング状等の形状をしており、塗布の方向性による尾引き状、線状等の形態変化が見られる。また、欠点部を詳細に断面観察、欠点部表面形状測定等を行うと、円状部やリング部等の部分が、正常な膜厚に対し薄くなっている部分が見られ、またその薄くなった部分の周囲や中心部で若干厚くなっている箇所も観察される場合がある。塗布膜中に粒子を含む場合では、はじき部の粒子が少なくなる傾向があるが、場合により中央部に粒子が密集し、その周囲にリング状に粒子の疎部、密部が見られる場合もある。欠点部の光学顕微鏡や走査顕微鏡観察では、異物の核は見えず、その他異常成分が見つからない場合が多いが、欠点部を表面の成分解析法であるESCA、TOF−SIMS等の手法で観察すると、シリコーン、フッ素等のはじき性成分が観察されることもある。
その際に観察されるシリコーン、フッ素等のはじき性成分の濃度は、正常部の濃度に比べ、少なくとも10倍を超えることがほとんどである。よって、点欠陥部でのはじき成分の濃度は正常部の濃度に対して10倍以下であることが好ましく、5倍以下であることが更に好ましく、2倍以下であることが最も好ましい。10倍以下であれば、点欠陥としてのサイズもしくはコントラストが小さくなり、目視検査で検出されにくくなる。
なお、はじき欠点以外のものとして、抜け欠点では欠点部の塗布膜厚が極端に薄い、または塗布層が無い等の特徴があり、上記のはじき成分が検出される場合もある。また、凝集欠点では中心部の粒子の密度が高い、いくつもの粒子が付着した凝集物が見える等の特徴が観察される。
我々の調査の結果、光学フィルムに一般に含まれる活性放射線硬化樹脂および/または有機シリル化合物等には、市販されているこれらの原料中に、はじき欠点の原因となる物質が含まれる場合があることがわかってきた。原因物質は、例えば原料の合成工程および精製工程からのコンタミ、輸送缶からのコンタミ、もしくは合成時の副生成物として含まれる場合などがある。
また、分析の結果、はじき欠点の原因物質としては、各種疎水性・疎油性物質、たとえば、シリコーン化合物、フッ化アルキル化合物、長鎖アルキル化合物等が考えられ、具体的には、はじきの原因物質は、原料中のコンタミ、もしくは副生成物と考えられるポリジメチルシロキサン等のシリコーン化合物が微量に含まれる場合があることがわかってきた。
更に調液や送液における前工程からの切り替え時の洗浄不足などの理由により、塗布直前までの各工程において、はじき欠点の原因物質のコンタミが考えられる。
本発明者らの検討によれば、核となる異物を有しない点欠陥、特にはじき欠点を低減する手段としては、光学フィルムの製造時に塗布液のろ過処理を行うことが効果が大きいことがわかった。
本発明において、塗布液のポリオレフィン製のフィルターによるろ過の効果は、はじき成分を除去することにより、核となる異物を有しない100μm以上の点欠陥を生じさせないことによると考えられる。はじき成分の除去効果については、具体的には、塗布液のポリオレフィンフィルターのろ過により、はじき性のあるシリコーンを除去できる場合があることが確認されている。フィルターによるはじき成分の除去効果については、フィルターのポリオレフィンによるはじき成分の吸着のメカニズムを推定している。ただし、本発明においては、メカニズムに関わらず、核となる異物を有しない100μm以上の点欠陥を削減することができればよい。
はじき成分は、塗布液中に含まれた場合、その溶剤種等によっても異なるが、10ppm以下の量ではじきが発生することが多い。このため、塗布液中のはじき成分の量としては、10ppm以下、より望ましくは1ppm以下、さらに好ましくは500ppb以下、特に100ppb以下にすることが望ましい。はじきの成分の含有は、微量であり、塗布液組成により検出困難な場合もあるが、原子吸光法、NMR法、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等、各種分析方法でその存在量を確認することもできる。
ろ過処理においては、ろ過材として、ポリオレフィンを用いたフィルターを用いることが、特にはじき欠点の削減に効果的である。これは、ポリオレフィン製のフィルターのろ過材が、はじき成分となるシリコーン等の疎水性、疎油性成分を吸着する作用があるためと考えられる。このポリオレフィン製のろ過材のうち、特にポリプロピレン製のろ過材が好ましい。
ろ過処理に用いられるフィルターは、通常カートリッジタイプのフィルターとして市販されている。フィルターのろ過材としては、シート状で、その表面でろ過するサーフェスタイプのろ過材と、繊維を編んで熱融着する等の方法で作られた厚みのあるろ過材により厚み方向でろ過を行うデプスタイプのろ過材があるが、本発明においては、ろ過材の表面積の大きいデプスタイプのフィルターを用いることが好ましい。また、デプスタイプのフィルターの中でも、各フィルターメーカーにより高精度ろ過ができるタイプとして提供されるフィルターが特に好ましい。
ろ過材がポリオレフィン製のフィルターの具体例としては、ポール社製のものとして、HDCII、プロファイル、プロファイルII、ウルチプリーツプロファイル、プロファイルIIプラス、ペトロソープ等、チッソ製のものとして、CPフィルター、BMフィルター、ポーラスファイン、スーパーワインドフィルター、ステムフィルター、GFフィルター等、ロキテクノ製のものとして、SLフィルター、マイクロシリアフィルター、ダイアII型フィルター、ミクロピュアフィルター、富士フィルム製のものとして、アストロポアPPE、等が挙げられる。以上のうち、デプスタイプであり、高精度のろ過精度をもつフィルターとして、プロファイルII、BMフィルター等が好ましい。
これらのフィルターのろ過孔径については、一般に公称ろ過精度、もしくは高精度のろ過精度を持つ場合には絶対ろ過精度で示されるが、0.5μm〜200μm程度のものが知られている。ろ過孔径は小さい方がろ過材の表面積が大きくなるため好ましい。具体的にはろ過孔径は10μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。
ただし、粒子を含有する塗布液の場合には、その粒子の通過性に合わせて、最適の孔径を選ぶ必要がある。粒子を含有する塗布液の場合のフィルターの孔径の目安は、塗布液中に含まれる通過させたい粒子成分のうち、最大のものの平均粒径に対し、1.5倍〜10倍程度のろ過精度をもつものが好ましい。特に好ましくは2〜7倍程度である。
また、本発明におけるろ過処理においては、フィルターのはじき成分の捕捉性、長時間使用した時のフィルターの寿命等の観点から、フィルター面積に対する液の処理量の範囲を設定することもできる。通常フィルターを使用する場合、フィルターカートリッジとして10インチ長のものがよく用いられるため、10インチフィルター1本あたりに対する液処理量で規定すると、フィルター10インチ1本あたりの塗布液の処理量としては、5kgから10000kg程度の範囲が好ましい。特に好ましくは、10kgから6000kg、さらに好ましくは20kgから4000kgである。
ろ過処理時のフィルターに対する流量としては、10インチフィルター1本あたり0.3kg/分〜10kg/分が好ましく、特に0.5kg/分から7kg/分が好ましい。このフィルターあたりの流量については、フィルターを並列に配置する、フィルターを20インチ、30インチ等のカートリッジにする等の方法で、流量を調整することができる。
また、ろ過処理において、フィルターあたりの塗布液の通過回数を多くすることも好ましい。特に好ましい通過回数は、1回通過から100回通過の範囲である。通過方法としては、タンクからポンプで送液、ろ過し、もとのタンクに戻す循環型のろ過が比較的単純な構成で行え、塗工時の液循環法としても用いられるため好ましい。また、塗布液のフィルター通過を確実にするため、2つのタンクで交互に移液しながらろ過する方法を用いることも好ましい。また、フィルターを直列につなぎ、液のフィルターの通過回数を増す方法も好ましい。
また、ろ過処理する場合に、ろ過処理の途中でフィルターを新しいものに交換することも、フィルターにおけるはじき成分の吸着量、フィルター寿命の点から好ましい方法である。
また、塗布液のろ過処理は、塗布液を塗工する前にろ過処理されていればどのような方法でも良い。図1に、具体的に塗布液を作成し、塗布するまでの工程の一例を示す。図1(A)に示す方法では、
(a)溶剤、添加する原料をタンクに投入し、混合、攪拌、分散操作により溶解・分散する調液工程、
(b)(a)で調整した液をろ過処理するろ過処理工程、
(c)塗布液を塗工部(塗布コータ)に送液、塗布する塗布工程
の順序で行う。上記のように、塗布液のろ過処理を事前に行うことで、各工程で液の処理条件を一定にできるため、一定条件ではじき成分を除去した液を供給できるメリットがある。
また、図1(B)に示す別の方法では、
(a)溶剤、添加する原料をタンクに投入し、混合、攪拌、分散操作により溶解・分散する調液工程、
(c’)塗工送液系内でろ過処理しながら、塗布液を塗工部に送液、塗布する塗布工程
の順序で行う。
上記のようにろ過処理を行う場合は、塗布直前にろ過処理できるため、調液、送液等の工程で混入してくるはじき成分を塗布直前で除去できるメリットがある。
また、
(a)溶剤、添加する原料をタンクに投入し、混合、攪拌、分散操作により溶解・分散する調液工程、
(b)(a)で調整した液をろ過処理するろ過処理工程、
(c’)塗工送液系内でろ過処理しながら、塗布液を塗工部に送液、塗布する塗布工程
の順序で行う方法で行うことがさらに好ましい。
また、塗布液に透光性粒子等のろ過性に影響する添加成分を添加する場合については、図2に示す方法でろ過処理を行うことができる。
図2(A)に示す方法では、
(a)ろ過性に影響する添加成分(粒子等)を含まず、特にはじき欠点に影響する成分を含んだ液を調整する工程、
(b)(a)で調整した液を小孔径のフィルターでろ過処理する工程、
(c)添加成分を添加する工程
(d)塗布液を塗工部に送液、塗布する工程
からなる。この時、(a)の工程で、はじき欠点に影響する成分のみをろ過処理することも好ましい。
図2(B)に示すように、添加成分を添加した後、粒子等が通過可能な孔径の大きなフィルターでさらにろ過することも好ましい。この場合は、添加成分を添加した後のろ過処理は、塗布工程とは別の工程を設けて行ってもよいし(a→b→c→d’→e)、塗工送液系内でろ過処理しながら、塗布液を塗工部に送液、塗布を行ってもよい(a→b→c→d”)。なお、図2(B)の場合は、(b)のろ過処理する工程を省略して、(d’)又は(d”)におけるろ過処理のみ行ってもよい。
次に、本発明に係る光学フィルムに含まれる各成分について説明する。
(活性放射線硬化樹脂)
本発明の光学フィルムに用いられる少なくとも一種の活性放射線硬化樹脂としては、ラジカル重合性またはカチオン重合性基を持つ多官能モノマーや多官能オリゴマーがあげられる。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
カチオン重合性基としては、エポキシ基、環状チオエーテル基、環状エーテル基、スピロオルソエステル基、ビニル炭化水素基、ビニルオキシ基等が挙げられ、中でもエポキシ基、ビニルオキシ基が好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物であることがより好ましく、さらに好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体およびオリゴマー)またはそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
これらの活性放射線硬化樹脂としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する。)などのオリゴマーまたはプレポリマー等が挙げられる。
多官能モノマーの具体例としては、、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートと、ペンタ(メタ)アクリレートの混合物、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、これらにエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマーを混合することも好ましい。
以上のような活性放射線硬化性樹脂は、例えば、脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)、としては、特開2001−139663号公報段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。また、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号等))、更に、日本接着協会誌20巻(7)、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマーおよびオリゴマーも使用することができる。
これらの活性放射線硬化樹脂としては、市販品として例えば日本化薬(株)、大阪有機化学(株)、大日本インキ化学、東亜合成、三菱化学等のメーカーにより、一般に市販されているものを用いることができる。
これらの活性放射線硬化樹脂は、二種類以上を併用してもよい。以上のうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートと、ペンタ(メタ)アクリレートの混合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等である。
(有機シリル化合物)
次に、下記一般式aで示される有機シリル化合物(一般的にシランカップリングとして知られている)、又は、下記一般式aで示される有機シリル化合物の加水分解物もしくはその部分縮合物について説明する。なお、一般式aで表される有機シリル化合物は、容易に加水分解し、引き続いて脱水縮合反応が生じることはよく知られている。
一般式a
RmSi(X)n
(Rは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基、又は、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは−OH、ハロゲン原子、−OR1基、又はOCOR1基を表す。R1は、炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。mは好ましくは0、1または2、特に好ましくは1である。)
上記一般式aにおいて、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30であり、好ましくは炭素数1〜16、より好ましくは1〜6であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜20が好ましく、6〜10がより好ましく、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
また、Rの置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。Rが複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
RまたはXが複数存在するとき、複数のRまたはXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式aで表される有機シリル化合物の中でも、特にメタクロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基等のビニル重合性の置換基を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−42278号公報段落番号[0026]〜[0028]に記載のものが挙げられる。
有機シリル化合物の加水分解物及び部分縮合物は、該塗布液中での含水、反応進行等に伴って形成される場合もあるし、あらかじめ、前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造する場合もある。加水分解、縮合に対しては、触媒としては、酸類、塩基類、有機金属化合物等が挙げられる。
本発明の光学フィルムにおいては、上記の活性放射線硬化性樹脂、及び、有機シリル化合物(又は、加水分解物もしくは部分縮合物)のいずれかの少なくとも1種を含有している。また、本発明の光学フィルムは、活性放射線樹脂と、有機シリル化合物(又は、加水分解物もしくは部分縮合物)をともに含むことが特に好ましい。
(溶剤)
本発明の光学フィルムは、活性放射線硬化樹脂及び有機シリル化合物と有機溶剤とを含む塗布液をフィルム基材上に塗布することにより作製することができる。この有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤の選択は、塗布液に含有される構成成分の溶解性、反応性、添加している粒子等の安定性、塗工する下地層への溶解・拡散性、乾燥工程での乾燥性、粘度調整等の観点から適宜選択できる。溶剤の組成としては、単独および混合のいずれでもよいが、乾燥性、粘度等を調整するために、適宜混合することがより好ましい。これらの溶剤は、水等有機溶剤以外の溶剤と混合して用いられても良い。
上記の溶剤の具体例としては、沸点が100℃以下の低沸点溶剤として、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−ブタノン(=メチルエチルケトン:MEK、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)、2−ブタノール(99.5)、t−ブタノール(82.5)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、などがある。
また、沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃、以下「℃」を省略する)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸ブチル(126)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(=メチルイソブチルケトン:MIBK、115.9)、2−オクタノン(173)、1−ブタノール(117.7)、iso―ブタノール(107.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)、ジアセトンアルコール(168)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、などがある。ただし、本発明の有機溶剤は、以上に限られるものではない。
以上の溶剤のうち、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。特に、2−ブタノン(MEK)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBK)、シクロヘキサノン等は、特に好ましい溶剤である。
また、以上の溶剤のうち、沸点、溶解性、表面張力等特性の異なる数種の溶剤を混合して用いることも好ましい。特に沸点100℃以上の高沸点の溶剤の混合は、中の成分の溶解性付与、分散安定性付与、塗布液の急激な乾燥による乾燥ムラ悪化の抑制、塗布液含水分上昇等の抑制のため、好ましい。
この高沸点の溶剤を含む場合、乾燥の遅れにより、はじき欠点の悪化が見られることがあり、このような場合、本発明の効果が特に大きい。
(界面活性作用を持つ成分)
また、本発明の塗布液に対しては、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のために、フッ素系、シリコーン系の界面活性作用をもつ成分を、何れか、あるいはその両者を、塗布組成物中に添加することが好ましい。これらの界面活性成分は、表面の濡れ性、防汚性、防塵性、帯電性調整等のために添加することもある。これらのシリコーン系、フッ素系の界面活性剤に対しても、コンタミ、副生成物として、はじき性成分が含まれることが多いため、これらの添加剤を加える場合にも、塗布液ろ過処理を行うことは有効である。
例えばフッ素系の界面活性作用をもつ化合物を塗布液に100ppm以上添加した場合には、シリコーン系の界面活性作用をもつ化合物の塗布液中の濃度は1ppm以下に抑えることが好ましい。これは前述したようにシリコーン系化合物中にはじき成分が含まれることが多いためであり、シリコーン系の界面活性作用をもつ化合物の添加量が100ppm以上の時は逆に、フッ素系の界面活性作用をもつ化合物の塗布液中の濃度を1ppm以下にすることが好ましい。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量にも、特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、例えば特開2004−42278号公報段落番号[0068]に記載のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を含有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖[例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等]であっても、分岐構造[例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等]であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としては、“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”[商品名:以上、ダイキン化学工業(株)製];メガファックF−171、F−172、F−179A、F−780−F、ディフェンサMCF−300[商品名:以上、大日本インキ(株)製]などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
以上の添加剤のうち、フルオロアルキル基含有共重合体を塗布組成物中に含有することが特に好ましい。このフルオロアルキル基含有共重合体は、より少ない添加量で、光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましい。
また、この塗布層に対して、さらに上層に低屈折率層等の皮膜を形成する場合には、この添加剤中に結合形成または相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
さらに、以下のフルオロアルキル基含有共重合体の構造の選択により、機能層表面に偏在した共重合体を上層(例えば低屈折率層)塗布時に上層の溶媒に抽出させて、本発明の光学フィルム(反射防止フィルム)を形成した時には機能層表面(機能層界面)に存在させないことも好ましい。また、フルオロ脂肪族基含有共重合体の添加量を調整することも、上記の効果を改良することに有効である。
このような方法は、具体的には、塗布液中にフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を10質量%以上含むフルオロ脂肪族基含有共重合体を添加し、フルオロ脂肪族基含有共重合体が表面に偏析(偏在と同意である)され、上層との密着性を得るためには、前記フルオロ脂肪族基含有共重合体を含有する機能層上に上層を形成する塗布液の溶媒を塗布、乾燥することで、該機能層の表面自由エネルギーが1mN/m以上変化する、特に3mN/m以上変化する様にする方法である。
さらには、フルオロアルキル基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)は、側鎖に炭素数4以上のパーフルオロアルキル基または炭素数4以上のCFH−基を有するフルオロアルキル基を有する共重合体を用いることが好ましい。
なかでも、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley Interscience(1975)Chapter 2Page 1〜483記載のものを用いることができる。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
このような化合物は下記のような化合物である。
(i)下記一般式2で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
Figure 0004542920
上記一般式2において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、酸素原子または−N(R12)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R12は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Rは−CFまたは−CFHを表す。
一般式2中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式2中のnは1〜17の整数を表し、4〜11がより好ましく、6〜7が更に好ましい。Rは−CFHが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式2で表されるフルオロアルキル基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式3で示されるモノマー
Figure 0004542920
上記一般式3において、R13は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、酸素原子または−N(R15)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R15は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。炭素数1〜12の直鎖、分岐あるいは環状のアルキル基、炭素数5〜40のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基および炭素数炭素数5〜30のポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基が極めて好ましい。以下にポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
ポリ(アルキレンオキシ)基は(OR)xで表すことができ、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、または−CH(CH)CH(CH)−であることが好ましい。xは2〜30を表し、2〜20が好ましく、4〜15がさらに好ましい。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)のように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであっても良く、例えば、直鎖または分岐状のオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位であったり、または直鎖または分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであってもよい。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つまたはそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つまたはそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic](旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)“カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、”トリトン“[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))およびP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
フッ素系ポリマーに用いられる上記一般式2で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70〜100質量%であり、特に好ましくは80〜100質量%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましく、8,000〜60,000が更に好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。分子量は300以上の成分のピーク面積から算出した。
更に、フッ素系ポリマーの好ましい添加量は、添加による効果の発現、乾燥、および面状故障の発生の抑制などの観点から、塗布液の質量に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
以下、フッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
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Figure 0004542920
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上記の活性放射線硬化樹脂、有機シリル化合物、界面活性作用をもつ成分、及び溶剤の使用割合としては、光学フィルムの用途に応じて適宜設定することが可能である。
次に、本発明の光学フィルムの用途に応じて、光学フィルムの各塗布層について説明する。本発明の光学フィルムにおける塗布層は、光学機能層および物理機能層等の特性をもつ。光学機能層としては、防眩性層、光拡散層、低屈折率層、高屈折率層や、光学補償層等が挙げられ、物理機能層としてはハードコート層等が挙げられる。もちろん光学機能層と物理機能層と兼ねる場合もあり、例えば防眩性ハードコート層などが該当する。
[光学フィルムの製造方法]
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、溶剤と、活性放射線硬化樹脂および/または下記一般式aで示される有機シリル化合物、その加水分解物又はその部分縮合物とを含有する塗布液を、ポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、及び該ろ過処理した組成物をフィルム基材上に塗布して塗布層を形成する工程を含んでいる。
ろ過処理する工程については、上記で説明した通りである。
ろ過処理後、透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射あるいは加熱して、光学機能層を形成するためのモノマーを重合して硬化し、光学機能層が形成される。ここで、必要であれば光学機能層を複数層とし、同様の方法で光学機能層の塗布及び硬化を繰り返し積層することも可能である。
塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)を用いることができ、ワイヤーバーコート法、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法を用いることが好ましく、特にマイクログラビアコート法を用いることが好ましい。
またダイコート法を用いて塗布することも好ましい。更に、構成を特開2003−211052号公報に記載されているように工夫したダイを使用して塗布を行うことがより好ましい。
なお、はじき欠点に対しては、塗布液の液状態の塗布量が多いと乾燥時間が長くなり、はじきの形成時間が長くなるため不利であり、塗布層厚としては、厚い方が不利な方向となる。望ましい液状態の塗布量は、1mあたり1ccから40ccであり、特に2ccから25ccが好ましい。光学機能層の塗布層厚としては、0.01μm以上、20μm以下が好ましく、特に0.05μm以上、10μm以下が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくとも光学機能層乃至含フッ素ポリマーを含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
[反射防止フィルム]
本発明の光学フィルムは、反射防止フィルムとして用いることができる。
本発明の光学フィルムの一実施形態として、反射防止フィルムの基本的な構成を図面を参照しながら説明する。
図3(a)は、反射防止フィルムの一例を模式的に示す断面図である。図3(a)に示すように、反射防止フィルム1は、透明支持体2、三種類の機能層(ハードコート層3、防眩性ハードコート層4、低屈折率層5)、の順序の層構成を有する。防眩性ハードコート層4には、マット粒子6が分散しており、防眩性ハードコート層4のマット粒子6以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.35〜1.49の範囲にあることが好ましい。反射防止フィルムにおける機能層は、このように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、また光拡散層でもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。機能層である低屈折率層は最外層に塗設される。
さらに、低屈折率層は下記数式(VII)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(VII)
(mλ/4)×0.7<n33<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(VII)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(VII)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
図3(b)は、反射防止フィルムの別の例を模式的に示す断面図である。図2(b)に示すように、反射防止フィルム1は、透明支持体2、各々の機能層(ハードコート層3、中屈折率層7、高屈折率層8)、低屈折率層(最外層)5の順序の層構成を有する。透明支持体2、中屈折率層7、高屈折率層8および低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図3(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(I)、高屈折率層が下記数式(II)、低屈折率層が下記数式(III)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(I)
(hλ/4)×0.7<n<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは中屈折率層の屈折率であり、そして、dは中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II)
(iλ/4)×0.7<n<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、nは高屈折率層の屈折率であり、そして、dは高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(III)
(jλ/4)×0.7<n<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
図3(b)のような層構成では、中屈折率層が下記数式(IV)、高屈折率層が下記数式(V)、低屈折率層が下記数式(VI)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(IV)
(hλ/4)×0.80<n<(hλ/4)×1.00
数式(V)
(iλ/4)×0.75<n<(iλ/4)×0.95
数式(VI)
(jλ/4)×0.95<n<(jλ/4)×1.05
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。また、図3(b)では、高屈折率層を光干渉層として用いており、極めて優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる。
次に、反射防止フィルムにおける各機能層について説明する。
(防眩性ハードコート層)
防眩性ハードコート層は、通常、ハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラー、から形成される。以下、防眩性ハードコート層に含まれる各成分について説明する。
<バインダー>
バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマー(バインダー前駆体)の重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,2,3トリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、活性放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、活性放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−アルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−エトキシアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
また特開平6−41468に記載されているように、光重合開始剤を2種併用することも好ましく用いられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、活性放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、活性放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
防眩性ハードコート層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して20〜95質量%添加する。
<透光性粒子>
本発明の光学フィルム、特に防眩性フィルム、光散乱フィルム、反射防止フィルムにおいては、構成層の屈折率、表面散乱・内部散乱の制御や、構成層の強度付与のために透光性粒子が含まれる場合が多い。透光性粒子の具体例は防眩層に用いられるマット粒子、光散乱層に用いられる粒子、屈折率調整層に用いられる粒子、無機フィラー等が上げられる。
<マット粒子>
防眩性ハードコート層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が1〜10μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜2000mg/m、より好ましくは100〜1400mg/mとなるように防眩性ハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算することができる。
<無機フィラー>
防眩性ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiOおよびZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の防眩性ハードコート層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
防眩性ハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。
<防眩性ハードコート層の形成方法>
防眩性ハードコート層は、上記成分を含む塗布液を調液した後、支持体又は他の層の上に塗布し、必要に応じて活性放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応を行うことで形成することができる。なお、光重合性多官能モノマーを含む場合は、光重合反応は紫外線照射により行うことが好ましい。
また、防眩性層又は防眩性ハードコート層のような防眩性付与層には、上記で説明した活性放射線硬化樹脂及び/または一般式aで表される有機シリル化合物が含まれていることが多いため、反射防止フィルムの場合は、特に防眩性層及び防眩性ハードコート層において、点欠陥の原因となるはじき成分が含まれることがある。従って、これらの層に対して上記で説明したろ過処理を行ってはじき成分を除去することが望ましい。防眩性層及び防眩性ハードコート層に上記ろ過処理を行うことにより、これらの層における100μm以上の点欠陥をフィルム1mあたり2個以下とすることができる。
活性放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応を行う場合、架橋反応、又は、重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れたハードコート層を形成することができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で活性放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
(光拡散層)
反射防止フィルムには、光拡散層を設けてもよい。光拡散層は、反射防止層を形成する側に構成層の一部として設ける、もしくは反射防止層形成面の反対側に配置することができる。特に反射防止層を形成する側に設けることが好ましい。
反射防止フィルムにおける光拡散層の目的は、液晶表示装置の視野角(特に下方向視野角)を拡大し、観察方向の視角が変化してもコントラスト低下、階調または黒白反転、あるいは色相変化を抑止することである。
本発明者等は、ゴニオフォトメーターで測定される散乱光の強度分布が視野角改良効果に相関することを確認した。すなわち、バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散フィルムに含有される透光性微粒子の内部散乱の効果により拡散されればされるほど視野角特性がよくなる。しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくなり、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。そこで、鋭意検討の結果、所望の視認特性を達成するには、散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対して、特に視認角改良効果と相関ある30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることが好ましく、0.02%〜0.15%が更に好ましく、0.03%〜0.1%が特に好ましい。
散乱光プロファイルは、作成した光散乱フィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
本発明の光拡散層はバインダー、無機フィラーおよび透光性微粒子から形成され、バインダー、無機フィラーは前述の防眩性ハードコート層と同様のものが使用でき、透光性微粒子は前述のマット粒子と同様のものが用いられる。
光拡散性層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加することが好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために防眩性ではない、いわゆる平滑なハードコート層も好ましく用いられ、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記防眩性ハードコート層、透明支持体と光拡散層、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層には、ハードコート性を付与するためのバインダーおよび高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラー、等が含まれる。
ハードコート性を付与するためのバインダーとしては、活性放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基を用いることができる。活性放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
活性放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの具体例は、上記の「防眩性ハードコート層」で説明したものと同様のものを使用することができる。光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、高屈折率層で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することができる。
ハードコート層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して30〜95質量%添加する。
ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が200nm以下の無機微粒子(無機フィラー)を含有することが好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を200nm以下にすることで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
無機微粒子としては、後述の高屈折率層で例示する無機微粒子に加え、二酸化珪素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛である。
無機微粒子の一次粒子の好ましい平均粒径は5〜200nm、より好ましくは10〜150nmであり、さらに好ましくは20〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。
ハードコート層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましい。
ハードコート層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。
ハードコート層における無機微粒子の含有量は、ハードコート層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ない
ほど好ましい。
<ハードコート層の形成方法>
ハードコート層は、上記成分を含む塗布液を調液した後、支持体又は他の層の上に塗布し、必要に応じて活性放射線硬化性化合物の架橋反応又は重合反応を行うことで形成することができる。活性放射線硬化性化合物の架橋反応又は重合反応は上記の防眩性ハードコート層と同様に行うことができる。なお、ハードコート層を形成するための塗布液については、上記で説明したろか処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。
(高屈折率層)
高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層と呼ばれる層であるが、本明細書ではこの層を高屈折率層と総称して呼ぶこととする。
以下、高屈折率層に用いる各成分について説明する。
<二酸化チタンを主成分とする無機微粒子>
反射防止フィルムの高屈折率層には、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有することが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。無機微粒子は高屈折率層の屈折率を制御する効果と共に、硬化収縮を抑える機能がある。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に、Co、Al及びZrから選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、高屈折率層の耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCoである。また、2種類以上を併用することも好ましい。
Tiに対するCo、Al又はZrの含有量は、それぞれTiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co、Al及びZrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部と表面の少なくともいずれかに存在させることができるが、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させることが好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。
Co、Al、Zrを二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、イオン注入法(Vol.18,No.5,pp.262-268,1998;青木 康)や、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載の手法があげられる。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の粒子形成過程において、Co、Al、Zrを導入する手法(例えば、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ特許出願公開第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載)が特に好ましい。
Co、Al、Zrは、酸化物として存在することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子には、目的により、さらに他の元素を含むこともできる。他の元素は、不純物として含んでいてもよい。他の元素の例には、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Mg、Si、PおよびSが含まれる。
本発明に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特に後記一般式5で表されるシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。一般式5で表されるシランカップリング剤は、後に詳しく説明する。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR-TTS、KR-46B、KR-55、KR-41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。
ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
高屈折率層に含有される二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
高屈折率層における無機微粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
<分散剤>
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができ、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤は、上記アニオン性基を側鎖又は末端に有する。特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
好ましい分散剤である側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、-(CH2)n-CR21=CR22R23、 -(CH2O)n-CH2CR21=CR22R23、 -(CH2CH2O)n-CH2CR21=CR22R23、 -(CH2)n-NH-CO-O-CH2CR21=CR22R23、-(CH2)n-O-CO-CR21=CR22R23および-(CH2CH2O)2-X(R21〜R23はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R21とR22またはR23は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、-CH2CH=CH2(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、-CH2CH2O-CH2CH=CH2、-CH2CH2OCOCH=CH2、-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、-CH2C(CH3)=CH2、-CH2CH=CH-C6H5、-CH2CH2OCOCH=CH-C6H5、-CH2CH2-NHCOO-CH2CH=CH2および-CH2CH2O-X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、-CH2CH=CH2、-CH2CH2-Y (Yは1−シクロヘキセニル残基)および-CH2CH2-OCO-CH=CH2、-CH2CH2-OCO-C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
好ましい分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチ
レン等が挙げられる。
好ましい分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
以下に本発明に好ましく用いられる分散剤の具体例を示すが、本発明においては分散剤はこれらに限定されるものではない。なお特に記載の無い場合はランダム共重合体を表す。
Figure 0004542920
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分散剤の無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
<分散媒体>
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンである。
<バインダー>
高屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(前述の防眩性ハードコート層のバインダー前駆体と同様のもの)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、前述の防眩性ハードコート層と同様のものが用いることができる。
高屈折率層においてバインダーは、さらにシラノール基を有することが好ましい。バインダーがさらにシラノール基を有することで、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性がさらに改良される。
シラノール基は、例えば架橋又は重合性官能基を有する前記一般式Aで表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、前記一般式Aで表されるシランカップリング剤、その部分加水分解物、あるいはその縮合物を架橋反応、又は、重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
高屈折率層においてバインダーは、アミノ基または四級アンモニウム基を有することも好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する高屈折率層のバインダーは、例えば架橋又は重合性官能基とアミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーを上記の高屈折率層形成用の塗布組成物に添加し、塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布組成物の中で無機微粒子の分散助剤として機能する。さらに、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマーと架橋反応、又は、重合反応させてバインダーとすることで高屈折率層における無機微粒子の良好な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた高屈折率層を作製することが出来る。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する好ましいモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアンモニウムクロライドなどがあげられる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有するモノマーの分散剤に対する使用量は、1〜40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることができる。
架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
アニオン性基は、連結基を介してバインダーの側鎖として、主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋又は重合構造は、二つ以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋又は重合構造は、三つ以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋又は重合構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
バインダーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋又は重合構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96mol%であることが好ましく、4〜94mol%であることがさらに好ましく、6〜92mol%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋又は重合構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98mol%であることが好ましく、6〜96mol%であることがさらに好ましく、8〜94mol%であることが最も好ましい。
バインダーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋又は重合構造の双方を有していてもよい。バインダーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋又は重合構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、シラノール基、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位が好ましい。
シラノール基を有する繰り返し単位では、シラノール基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。シラノール基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。シラノール基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、シラノール基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98mol%であることが好ましく、4〜96mol%であることがさらに好ましく、6〜94mol%であることが最も好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、バインダーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とバインダーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。バインダーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.1〜32mol%であることが好ましく、0.5〜30mol%であることがさらに好ましく、1〜28mol%であることが最も好ましい。
なお、シラノール基、及び、アミノ基、四級アンモニウム基は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋又は重合構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
架橋又は重合しているバインダーは、高屈折率層形成用の塗布組成物を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応によって形成することが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加することが好ましい。
<高屈折率層の形成方法>
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。無機微粒子の分散は、分散剤の存在下で、分散媒体中に分散して行う。
無機微粒子は、分散機を用いて分散することができる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層は、上記のように無機微粒子を分散させた後、この分散物を支持体又は他の上に塗布し、必要に応じて活性放射線硬化化合物の架橋反応又は重合反応を行う。なお、高屈折率層を形成するための分散物については、上記で説明したろ過処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。
電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応は、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。このことは高屈折率層の形成に限らず、防眩性ハードコート層、光拡散性層についても共通である。
高屈折率層を酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性、更には、高屈折率層と高屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
高屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
(低屈折率層)
反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。
以下、低屈折率層に用いる各成分について説明する。
<含フッ素ポリマー>
反射防止フィルムの低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.15、水に対する接触角90〜120°の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。低屈折率層には膜強度向上のための前述の無機フィラーを用いることもできる。
低屈折率層に好ましく用いられる含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
低屈折率層に用いられる特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
低屈折率層に用いられる共重合体の好ましい形態として、下記一般式1のものが挙げられる。
Figure 0004542920
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*‐(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2)2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
低屈折率層に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式4が挙げられる。
Figure 0004542920
一般式4において、X、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1または4で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
Figure 0004542920
低屈折率層に用いられる上記共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行うことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
低屈折率層の含フッ素ポリマーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して20〜95質量%添加することが好ましい。
<無機微粒子>
低屈折率層には、無機微粒子を添加することができる。
無機微粒子の配合量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。配合量が上記範囲であることにより、耐擦傷性に優れ、低屈折率層表面に微細な凹凸の発生が減少し、黒の締まりなどの外観や積分反射率が良化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターや、光散乱法粒径測定装置、電子顕微鏡観察等により測定することができる。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましく、該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)から算出される空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。

数式(VIII):x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100

中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は用いられない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
シリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
以上シリカ微粒子について述べたことは、他の無機微粒子についても適用される。
<オルガノシラン化合物>
反射防止フィルムを構成する機能層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。特に低屈折率層は反射防止能と耐擦傷性を両立させるためにゾル成分を含有することが好ましく、防眩性ハードコート層、ハードコート層もゾル成分を含有することが好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーとなる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式5で表されるものが好ましい。
一般式5:(R10−Si(X)4−m
上記一般式5において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭
素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基で
あることが好ましく、中でも、下記一般式6で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 0004542920
上記一般式6において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*-COO-**、*-CONH-**または*-O-**を表し、単結合、*-C
OO-**および*-CONH-**が好ましく、単結合および*-COO-**が更に好ましく、*-
COO-**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
R10は一般式5と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式5と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式5、一般式6の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式5、一般式6で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 0004542920
Figure 0004542920
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明においては、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式RCOCHCOR(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとRCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(ORp1(RCOCHCORp2、Ti(ORq1(RCOCHCORq2、およびAl(ORr1(RCOCHCORr2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のRおよびRは、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、 金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が悪化するおそれがあり、一方、50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が悪化するおそれがあり好ましくない。
ハードコート層乃至低屈折率層の塗布液には、上記ゾル成分および金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物としては、一般式RCOCH2CORで表される化合物が好ましく、これは、ハードコート層乃至低屈折率層の塗布液の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するRおよびRは、前記金属キレート化合物を構成するRおよびRと同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec-ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である表面層の場合は少なく、厚膜である下層の場合は多いことが好ましい。低屈折率層のような表面層の場合は含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
低屈折率層以外の層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
ハードコート層もしくは低屈折率層を形成する際には、まず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液をハードコート層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有させた後塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
<添加剤>
本発明において、無機フィラーの凝集、沈降を抑制する目的で、各層を形成するための塗布液に分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤および、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特に前述のシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。
低屈折率層形成組成物は、通常、液の形態をとり前記共重合体を好ましい構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
前記したとおり、低屈折率層の皮膜硬度の観点からは硬化剤等の添加剤を添加することは必ずしも有利ではないが、高屈折率層との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいはシリカ等の無機微粒子を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X-22-174DX、X-22-2426、X-22-164B、X22-164C、X-22-170DX、X-22-176D、X-22-1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM-0725、FM-7725、DMS-U22、RMS-033、RMS-083、UMS-182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば-CF2CF3,-CH2(CF2)4H,-CH2(CF2)8CF3,-CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2,CH2CF(CF3)2,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF2)5CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCH2CF2CF3, CH2CH2OCH2C4F8H,CH2CH2OCH2CH2C8F17, CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物との共重合体であっても共重合オリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R-2020、M-2020、R-3833、M-3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF-171、F-172、F-179A、ディフェンサMCF-300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF-150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH-3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
低屈折率層は、上記の含フッ素ポリマー、無機微粒子、オルガノシラン化合物等を含有する塗布液を支持体又は他の層の上に塗布し、必要に応じて活性放射線硬化樹脂の架橋反応又は重合反応を行うことにより作製できる。なお、低屈折率層用塗布液については、上記で説明したろ過処理を行ってもよいし、行わなくてもよい。
(透明支持体)
光学フィルム、反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム社製フジタック TD80U,TDY80Uなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
トリアセチルセルロースは、単層または複数の層からなる。単層のトリアセチルセルロースは、特開平7−11055号公報等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるトリアセチルセルロースは、公開特許公報の特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
上記のような、トリアセチルセルロースを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。
ジクロロメタン等を実質的に含まない溶剤を用いてトリアセチルセルロースのドープを調製する場合には、後述するような特殊な溶解法が必須となる。
第一の溶解法は、冷却溶解法と称され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加する。次に、混合物は−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、トリアセチルセルロースと溶剤の混合物は固化する。さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、溶剤中にトリアセチルセルロースが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
第二の方法は、高温溶解法と称され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で溶剤中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加される。本発明のトリアセチルセルロース溶液は、各種溶剤を含有する混合溶剤中にトリアセチルセルロースを添加し予め膨潤させることが好ましい。本法において、トリアセチルセルロースの溶解濃度は30質量%以下が好ましいが、フィルム製膜時の乾燥効率の点から、なるべく高濃度であることが好ましい。次に有機溶剤混合液は、0.2MPa〜30MPaの加圧下で70〜240℃に加熱される(好ましくは80〜220℃、更に好ましく100〜200℃、最も好ましくは100〜190℃)。次にこれらの加熱溶液はそのままでは塗布できないため、使用された溶剤の最も低い沸点以下に冷却する必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して常圧に戻すことが一般的である。冷却はトリアセチルセルロース溶液が内蔵されている高圧高温容器やラインを、室温に放置するだけでもよく、更に好ましくは冷却水などの冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアセテートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
本発明の光学フィルム、特に反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルム、特に反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルム、特に反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
反射防止フィルムは、ヘイズ値が3〜70%であることが好ましく、より好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5%以下である。
反射防止フィルムが上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴わずに良好な防眩性および反射防止性が得られる。
[光学補償フィルム]
また、本発明の光学フィルムは、光学補償フィルムにも適用できる。光学補償フィルムとしては、例えば液晶化合物からなる光学異方性層を有するフィルムが知られている。
このような光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物分子の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、p.411〜414に記載されている。
(光学異方性層)
<液晶性化合物>
光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものがあげられる。
ディスコティック液晶の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック液晶は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物質が前記化合物である必要はなく、例えば、低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載のものが挙げられる。また、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック化合物を用いることもできる。
上記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、上記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。
光学異方性層に用いられるポリマーとしては、前述の光学フィルムで説明した活性放射線硬化性樹脂で説明した化合物を用いることができる。また、光学異方性層に用いられる界面活性剤については、前述の光学フィルムで説明した界面活性作用をもつ成分で説明した化合物を用いることができる。
以上のように、光学異方性層には活性放射線硬化性樹脂等が含まれているため、光学補償フィルムの場合は、特にこの光学異方性層において点欠陥の原因となるはじき成分が含まれることがある。従って、光学異方性層に対して上記で説明したろ過処理を行ってはじき成分を除去することが望ましい。光学異方性層に上記ろ過処理を行うことにより、これらの層における100μm以上の点欠陥をフィルム1mあたり2個以下とすることができる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3乃至10μm)する場合がある。
(配向膜)
配向膜は、液晶分子の配向方向を規定する機能を有する為に通常用いられるが、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素として必ずしも必須のものではない。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例としては、例えば特開平8−338913号公報、段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
これらの変性ポリビニルアルコール化合物及び架橋剤等の配向膜形成用組成物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報等に記載のもの等が挙げられる。
配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルム、特に反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、どちらかが本発明の光学フィルムであることが好ましい。特に片方が反射防止フィルムであることが好ましい。さらには、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、少なくとも1枚の保護フィルムの透明支持体が下記式(I)および(II)を満たすことが、液晶表示画面の斜め方向からの表示改良効果が高く好ましく、特に本発明の透明支持体が下記式(I)および(II)を満たすことが特に好ましい。
(I):0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25
(II):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[画像表示装置]
本発明の光学フィルム、反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の光学フィルム、反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(OpticallyCompensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
さらに、ベンド配向モードの液晶セル、光学異方層を含む偏光板を含めた全体として、波長450nm、波長550nmおよび波長630nmのいずれの測定においても、下記式(1')を満足する光学特性を有することが、液晶表示画面の斜め方向からの表示改良効果が高く好ましく、特に本発明の光学フィルムを保護フィルムとした偏光板が下記式(1')をみたすことが特に好ましい。
式(1'):0.05<(Δn×d)/(Re×Rth)<0.20
[式(1')中、Δnは液晶セル中の棒状液晶性分子の固有複屈折率であり;dはnmを単位とする液晶セルの液晶層の厚さであり;Reは光学異方層全体の面内レターデーション値であり;Rthは光学異方層全体の厚み方向のレターデーション値である。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001-100043該公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
以下に実施例に基づき本発明について具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、実施例試料1〜8及び21〜22並びに実施例3は「参考例」と読み替えるものとする。
〔実施例1〕
(溶液Aの調製)
市販品の活性放射線硬化樹脂として、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)を、MEK/シクロヘキサノン(1/1)の混合溶剤に希釈し、20質量%の溶液とした。この樹脂溶液を原子吸光法で解析した結果、溶液中に390ppbのシリコーンを含有していることがわかった。
この溶液を、ポール社製プロファイルII 0.5μフィルター(10インチカートリッジ1本)にて、流量1リットル/分にて2時間のろ過を行ったもの、及び、該ろ過処理を行っていないものを作製し、これらを溶液Aとした。ろ過処理を行った溶液Aのシリコーン量を確認すると、シリコーン量は検出限界(約200ppb)以下となった。
(光学機能性層用塗布液Bの調製)
JSR社製ハードコート素材デソライトZ7503のMEK溶液(固形分濃度72質量%、シリカ含量38質量%)625gを、375gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50質量%の混合溶媒に溶解し、ハードコート層の塗布液Bを調製した。
(光学機能層用塗布液C−2の調製)
シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しながら平均粒径20nmの二酸化ジルコニウム粒子分散物含有ハードコート塗布液(Z7401、JSR(株)製)を添加した。この溶液に上記ろ過処理した溶液Aもしくは上記ろ過処理をしていない溶液Aを添加し、さらにこの中の固形分に対して2質量%の重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製を加え)、屈折率1.60になるように調整し、液C−1を作製した。この時の固形分濃度は45%であった。この液C−1に対して、ろ過処理を行ったものと行っていないものを作製した。なお、液C−1に対してろ過処理を行ったもののろ過処理条件については、表1に示した。
さらに、この液C−1に、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、屈折率1.60、綜研化学(株)製)のMEK/シクロヘキサノン(1/1混合)の10質量%分散液を、上記の液C−1:10に対し1.3の割合で添加して、高速ディスパ5000rpmで10分攪拌し、ハードコート層の塗布液C−2を調製した。この塗布液C−2に対しても、ろ過処理を行ったものと行っていないものを作製した。なお、塗布液C−2に対してろ過処理を行ったもののろ過処理条件についても、表1に示した。
なお、本実施例内で記載されるフィルターは、富士フィルム製アストロポアPPE-03(孔径3μm)、ポール社プロファイルII(孔径0.5μm、3μm、5μm、10μm、15μm)、チッソ製BM−7(孔径7μm)、BM−10(孔径10μm)である。
また、表1の「その他」の欄において、「ろ圧上昇あり」とは、塗布液をろ過工程で循環送液している時に、ろ過圧力が次第に上昇することを示している。
(光学フィルムの作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、光学機能層用塗布液Bを線数110本/インチ、深度65μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で40秒乾燥の後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光学機能層を形成し巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約4.5μmであった。
この層上に、さらに光学機能層用塗布液C−2について、表1に示したようにろ過処理を変えたものを、線数180本/インチ、深度38μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度5m/分の条件で塗布し、100℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光学機能層を形成し、巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約1.7μmであった。
(塗布品の評価)
上記の塗布したフィルムについて、10mについて、蛍光灯での透過検査、および反射検査を行い、欠点の数を確認した。このうち、核となる異物のない欠点の数について評価を行った。
また上記各試料の欠点のうち幾つかについてTOF−SIMS測定を実施し、はじき原因物質の確認を行った。
(結果)
本発明の実施例1で、各種ろ過処理方法を実施した結果を表1に示す。
この結果より、塗布時にポリプロピレン製のフィルターを用いた実施例試料1から6で、異物核のない欠点、特にはじき欠点を減らす効果があることがわかる。特に、ポリプロピレン製の高精度ろ過のデプスタイプである、プロファイルII、BM−7を用いると効果大きい。
また、塗布液の粒子添加前にろ過処理を行った実施例試料7、8でも欠点の改良効果があることがわかる。ただし、架橋ポリスチレン粒子の添加直後にろ過処理を行っていないので、凝集欠点の発生が見られる。
また、実施例試料9から15の結果からわかるように、塗布液C−1のろ過において、ろ過フィルター本数、ろ過時間を増やすことで、異物核のない欠点、特にはじき欠点を減らすことができる。
また、比較例試料1で見つかった点欠陥は中心部に、シリコーン系化合物が正常部濃度の10倍以上に集中が観察されたのに対して、実施例試料1〜10および12〜14で見つかった点欠陥からは中心部のシリコーン系化合物の濃度集中は、全て10倍以下であった。
以上のように、本発明によるはじき欠点の改良効果は明らかである。
Figure 0004542920
〔実施例2〕
(光拡散層用塗布液Dの調製)
市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度約61質量%、固形分中ZrO含率約70質量%、重合性モノマー、重合開始剤含有)285g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85gを混合し、更に、メチルイソブチルケトン60g、メチルエチルケトン17gで希釈した。更に、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学(株)製)28gを混合攪拌した。この溶液をDA液とする。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。なお、この時用いたシランカップリング剤には、400ppmのポリジメチルシロキサンが含まれることが、プロトンNMRでの測定により確認された。
このDA液に対して、ろ過処理を行ったものと行っていないものを作製した。なお、DA液に対してろ過処理を行ったもののろ過処理条件については、表2に示した。
さらに、DA液に平均粒径3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30質量%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した分散液を35g加え、次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスタKE-P150、日本触媒(株)製)の30質量%メチルエチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分間分散した分散液を90g加えた。この塗布液をDBとする。
また、液DA又は塗布液DBに対し、フッ素系ポリマー(FP−8)0.12gを調液工程において添加するタイミングを表2に示すように変えたものも同時に作製した。
(防眩性ハードコート層用塗布液Eの調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PETA、日本化薬(株)製)50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌し、EA液を作製した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmのポリスチレン粒子(屈折率1.60、SX−350、綜研化学(株)製)の30質量%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmのアクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30質量%トルエン分散液を13.3g加え、EB液を作製した。
また、塗布液EA又はEBに対し、フッ素系ポリマー(FP−8)0.75g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10gを加え(添加タイミングは表2の通り)、完成液とした。
(光学フィルムの作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、塗布液Dを線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度20m/分の条件で塗布し、100℃で40秒乾燥の後、さらに160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光学機能層を形成し巻き取った。硬化後、光学機能層の厚さは約3.4μmであった。
同様に、支持体上に、塗布液Eを線数110本/インチ、深度65μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数45rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量200mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩性ハードコート層(厚さ6μm)の機能層を形成し、巻き取った。
以上の塗布液D、Eに対し、ろ過条件を変えた実施例21から30、および比較例21について、表2に示す。
Figure 0004542920
この結果より本発明のろ過処理での異物核のない欠点の改良、特にはじき欠点に対する効果が見られる。また、粒子添加前の塗布液DAろ過と、塗布液での直前ろ過を組み合わせると、改良効果が大きい。また、塗布前のフィルターを直列で本数を増やすとさらに改良する。
また、本塗布液においてシランカップリング剤や、フッ素ポリマーを添加する場合、より孔径の小さいフィルターでろ過できるタイミングで添加することにより改良効果がある。ただし、塗布液での直前ろ過フィルターの本数を増やすことでも改良できる。
また、比較例試料21で見つかった点欠陥は中心部に、シリコーン系化合物が正常部濃度の10倍以上に集中が観察されたのに対して、実施例試料21〜23および25で見つかった点欠陥は中心部のシリコーン系化合物の濃度集中は、全て10倍以下であった。
なお、上記実施例のうち、フッ素ポリマーを添加した実施例25から30では、風ムラが少なく、面状の良いサンプルが得られた。
さらに、実施例試料24、27、30に対し、以下の手順で低屈折率層の付与を行った。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合した。さらに、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
<低屈折率層用塗布液Fの組成>
オプスターJN7228A 100質量部
(熱架橋性含フッ素ポリマー組成液:JSR(株)製)
MEK−ST 4.3質量部
(シリカ分散物 平均粒径15nm:日産化学(株)製)
MEK−STの粒径違い品 5.1質量部
(シリカ分散物 平均粒径45nm:日産化学(株)製)
ゾル液a 2.2質量部
MEK 15.0質量部
シクロヘキサノン 3.6質量部
また、上記低屈折率層塗布液Fに使用している熱架橋性含フッ素ポリマーJN7228Aの代わりに、屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA−113、固形分濃度6%、JSR(株)製)を使用した塗布液Gも同様に作成した。
(低屈折率層の塗設)
実施例試料24、27、30の上記機能層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、表1〜3に記載の低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量900mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成して反射防止フィルムを作成し、巻き取った。
以上により、低屈折率層塗布液Fを塗布した実施例試料24F、27F、30F、および、低屈折率層塗布液Gを塗布した実施例試料24G、27G、30Gを作成した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
反射防止フィルムについて、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上
記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルム(実施例試料24F、27F、30F、24G、27G、30G)を作製した。
(反射防止フィルムの評価)
得られたこれらの反射防止フィルム試料について、以下の項目の評価を行った。結果を表3に示した。
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。
(2)スチールウール耐傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバ
ンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
(3)水綿棒こすり耐性評価
ラビングテスターのこすり先端部に綿棒を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に500gの荷重をかけて、こすり回数を変えてこすりテストを行った。こすり条件は以下のとおり。
こすり距離(片道):1cm、 こすり速度:約2往復/秒
こすり終えた試料を観察して、膜剥がれが起こった回数で、こすり耐性を以下のように評価した。
×:0〜10往復で膜剥がれ
×△:10〜30往復で膜剥がれ
△:30〜50往復で膜剥がれ
○△:50〜100往復で膜剥がれ
○:100〜150往復で膜剥がれ
◎:150往復でも膜剥がれなし
Figure 0004542920
以上の結果より、点欠陥による不良が少なく、高い耐擦傷性を持つ反射防止フィルムが得られることがわかる。
〔実施例3〕
以下のようにして、光学補償フィルムを作製した。
(セルロースアセテートフイルムのケン化処理)
セルロースアセテートフイルムを、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフイルムの表面をケン化した。
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアセテートフイルム(透明支持体)の一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、この形成した配向膜にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記のディスコティック液晶性分子91.0質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9.0質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3.0質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.0質量部、フッ素系界面活性剤メガファック F−780−F溶液 1.25質量部を、135質量部のメチルエチルケトンに溶解した。その後、適宜メチルエチルケトンを添加し、比重0.909の塗布液Hを調製した。この塗布液100kgを、ポリプロピレン製フィルタープロファイルII0.5μmの10インチカートリッジ1本にて、流量1kg/Lで200分循環ろ過を行う液と、行わない液を作製した。
Figure 0004542920
上記の配向膜を塗設したセルロースアセテートフイルムに、上記のように調製したディスコティック液晶性分子を含む塗布液Hを、#3のワイヤーバーコーターにて塗布した。塗布後130℃の乾燥ゾーン中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック液晶性分子を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償フィルムを作製した。
このサンプルの異物核のない欠点は、循環ろ過を行わないものでは、はじき欠点が2個/mであったのに対し、循環ろ過を行ったものは0.2個/mであり、循環ろ過操作によりはじき欠点の少ない光学補償フィルムが得られることがわかった。
〔実施例4〕
PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬した。そして、特開2002−86554号公報(図2)に記載の形態に記載の図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し屈曲させ(上記公報図参照)、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)と貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.7%、偏光度は99.97%であった。さらに310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得た。
次に、実施例2で作製した実施例試料27G及び30G(鹸化処理済み)の各々のフィルムを、上記偏光板と貼り合わせて防眩性反射防止付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有していた。
〔実施例5〕
1.5mol/l、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例試料27G及び30Gの裏面鹸化済みトリアセチルセルロースフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
[実施例6]
アセチル置換度2.94のセルロースアシレートを用い、光学的異方性低下剤A−19を49.3%(対セルロースアシレート)、波長分散調整剤UV−102を7.6%(対セルロースアシレート)となるようにして、特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されていると同様の製膜法により厚み80μmのセルロースアシレート試料201を作製した。得られたフィルムのレターデーションReは−1.0nm(TD方向に遅相軸のため負とする)、厚み方向のレターデーションRthは−2.0nmといずれも十分に小さい値であった。このセルロースアシレートフィルム試料を偏光子の2枚の保護フィルムのうちセル側の保護フィルムの透明支持体に、本発明の実施例1を偏光子の視認側の保護フィルムとしたところ、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、いずれの場合においてもコントラスト視野角が良好な性能が得られた。
Figure 0004542920
Figure 0004542920
(A)及び(B)は、ろ過処理の方法の一例を示している。 (A)及び(B)は、ろ過処理の方法の一例を示している。 (a)は防眩性反射防止フィルムの層構成を示す断面模式図である。(b)は反射防止性能に優れた反射防止フィルムの層構成を示す断面模式図である。
符号の説明
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 防眩性ハードコート層
5 低屈折率層
6 微粒子
7 中屈折率層
8 高屈折率層

Claims (4)

  1. 溶剤と、活性放射線硬化樹脂を含有する塗布液を、ポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、
    前記ろ過処理した塗布液に透光性粒子を添加する工程、
    前記透光性粒子が添加された塗布液を、さらにポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、及び
    該ろ過処理した塗布液をフィルム基材上に塗布して塗布層を形成する塗布工程を含み、
    該塗布層における100μm以上の、核となる異物を有しない点欠陥がフィルム1m あたり1.0個以下であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 下記一般式aで示される有機シリル化合物、その加水分解物又はその部分縮合物とを含有する塗布液を、ポリオレフィン製のろ過材を有するデプスタイプ・フィルターでろ過処理する工程、及び該ろ過処理した塗布液をフィルム基材上に塗布して塗布層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の光学フィルムの製造方法。
    一般式a
    (R)mSi(X)n
    (Xは−OH、ハロゲン原子、−OR1基、又はOCOR1基を表す。R1は、炭素数1〜10の置換又は無置換のアルキル基を表す。Rは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。m+nは4であり、m及びnはそれぞれ0以上の整数である。)
  3. 前記透光性粒子が添加された塗布液をデプスタイプ・フィルターでろ過処理するろ過処理工程に引き続き、前記塗布工程が行われることを特徴とする請求項に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 界面活性作用を持つフッ素系化合物およびシリコーン系化合物のどちらか一方の塗布液中の濃度が100ppm以上であり、他方の塗布液中の濃度が1ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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