JP5352644B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。そのため、反射防止フィルムには高い反射防止性能の他に、高い透過率、高い物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。
反射防止フィルムに用いる反射防止層(高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から広く用いられている。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成することが通常に行われてきた。しかし、蒸着による金属酸化物の透明薄膜の形成方法は生産性が低く大量生産に適しておらず、生産性が高いウエット塗布により形成する方法が提案されている。
反射防止フィルムをウエット塗布で作製する場合、特定の屈折率を有する膜形成組成物を溶剤中に溶解あるいは分散して調整される塗布組成物を透明支持体基に塗布、乾燥、必要に応じて硬化することで、単層又は多層の薄膜を形成することが必要である。単層の場合は、基材(支持体)よりも低屈折率を有する層(低屈折率層)を光学膜厚で設計波長の1/4の膜厚で形成すればよい。更に低反射化が必要な場合には、基材と低屈折率を有する層との間に、透明支持体よりも屈折率の高い層(高屈折率層)を形成すればよく、更に、反射率を低減するためには、高屈折率層の透明基材側に透明基材と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を設ける態様も提案されている(特許文献1)。
屈折率の異なる層を複数層形成する場合、2層間の密着性が低いために耐擦傷性が低下する、塗布工程が多くなることで、生産性が低下、コストアップすることがある。それを解決する手段として、屈折率の異なる2層を同時に形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、更なる、低い反射率、ニュートラルな色味、高い耐擦傷性、高い生産性などの改善が望まれている。
特開2003−121606号公報 特開2004−317734号公報 特開2004−359930号公報
本発明の目的は、反射率が低く、色味がニュートラルで耐擦傷性に優れ、かつ生産性がよく大量生産に適した、光学フィルムの製造方法の提供にある
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物又は中屈折率層形成用塗布組成物と直接隣接して同時に、下記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物を塗布する工程と硬化する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物と直接隣接して同時に塗布する前記ハードコート層形成用又は中屈折率層形成用塗布組成物が共に共通の無機微粒子を含有する、光学フィルムの製造方法
30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、第一の樹脂成分び/第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物
[2] 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物、中屈折率層形成用塗布組成物、および前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物の3つの塗布組成物を直接隣接して同時に塗布する工程と硬化する工程を有する前記[1]に記載の光学フィルムの製造方法。
] 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物又は中屈折率層形成用塗布組成物と直接隣接して同時に、前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物をダイコーターで塗布する工程と硬化する工程を有する前記[1]又は[2]に記載の光学フィルムの製造方法。
] 前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物が、
30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、第二の無機微粒子として、屈折率1.46以下の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、該第一の樹脂成分及び/又は該第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、該第二の無機微粒子が該硬化層の上部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物である前記[1]〜[]のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
] 前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物が
30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、第二の無機微粒子として、屈折率1.46以下の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、該第一の樹脂成分及び/又は該第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、該第二の無機微粒子が該硬化層の上部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物であって、
前記第一の樹脂成分は、熱硬化型又は電離放射線硬化型の含フッ素化合物であり、
前記第二の無機微粒子が、含フッ素のオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、または該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物によって表面処理されており、
前記第二の樹脂成分の表面自由エネルギーが、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーより大きく、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーと前記第二の樹脂成分の表面自由エネルギーの差が、5mN/m以上であり、
前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーが、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーより大きく、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーと前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーの差が、10mN/m以上であり、
前記第二の無機微粒子の表面自由エネルギーが、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーより小さく、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーと前記第二の無機微粒子の表面自由エネルギーの差が、5mN/m以上である前記[1]〜[]のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
なお、本発明は上記[1]〜[]に記載された光学フィルムの製造方法であるが、参考のため、明細書中にはその他の事項についても記載してある。
本発明によれば、本発明の塗布組成物を用いることで、屈折率の異なる上層と下層の2層を有し、かつ該第一の無機微粒子が硬化層の下部に偏在する硬化層が製造できるため、低コスト、かつ高い生産性で光学フィルムを生産することができる。また、本発明の塗布組成物から得られる光学フィルムは、表面反射が少なく、反射光の映り込みが少ない。更には、本発明の塗布組成物は特定の条件で、色付が少なく、輝度の高い光源がディスプレイ表面に映りこんだときにも赤紫色や青紫色に着色することがなく、表示品位の低下が少ない光学フィルムが製造できる。また、耐擦傷性の良好な光学フィルムが製造できる。
本発明の光学フィルムは、450nmから650nmまでの積分反射率が2.0%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましい、1.0%以下が更に好ましい。反射率を前記の範囲にすることにより、表面反射が少なく、液晶ディスプレイに適用したとき、反射光の映り込みによる視認性の悪化が高いレベルで防止される。更に、色付が少なく、ディスプレイに向かう使用者の背面の蛍光灯等、輝度の高い光源がディスプレイ表面に映りこんだときにも気になるレベルの赤紫色や青紫色の着色がなく、表示品位の低下が少ない。また、低コスト、かつ、高い生産性で生産することができる。また、種々のモードの液晶表示装置に用いる偏光板、有機ELに用いる偏光板とλ/4板を組み合わせた表面保護板、PETフィルムに適用した平面CRTあるいはPDP用表面保護板、SED用表面保護フィルム等、様々なディスプレイに用いることができる。
本発明の反射防止フィルムの好ましい1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明を実施したスロットダイ13を用いたコーター10の断面図である。 (A)は本発明のスロットダイ13の断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状を示す。 本発明を実施した塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体) 本発明を実施した同時重層塗布用のダイコーターの一例である。
以下、本発明について説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。更に、本発明でいう「支持体上」には、該支持体の直接の表面上をいう場合と、該支持体の上に何らかの層(膜)を設けた表面上をいう場合の両方を含む趣旨である。
本発明の光学フィルム(好ましくは反射防止フィルム)は、透明支持体上に、30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、及び平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子を含有してなる硬化層を有し、第一の樹脂成分及び/又は第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有する光学フィルムであり、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、かつ該硬化層が屈折率の異なる上層と下層とを有する光学フィルムである。
本明細書では、透明支持体上に形成される、物理的、光学的な機能を有する層を機能層と言う。本発明の光学フィルムは、複数の機能層を硬化層が兼ねるものであり、更に硬化層の他にも、必要に応じてその他の機能層を有することができる。
〔塗布組成物〕
本発明の塗布組成物は、30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、第一の樹脂成分及び/又は第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する。
前記第一の樹脂成分は、熱硬化型又は電離放射線硬化型の含フッ素化合物であることが好ましく、該含フッ素化合物は、シリコーン構造を分子中に有するか、又は塗布組成物が架橋性基を含有するシリコーン化合物を含み該シリコーン化合物が含む架橋性基と同じ架橋性基を有する化合物であることが更に好ましい。
本発明の塗布組成物は、硬化層の下部に第一の無機微粒子が偏在することにより硬化層が屈折率の異なる上下層に分離するものである。これにより、本発明の塗布組成物は、複数層を形成する組成物を兼ねることが出来る。また、硬化層については後述の光学フィルムの説明において詳述する。
以下に更に詳述する。
<第一の樹脂成分>
本発明に用いられる上記第一の樹脂成分としては、硬化して硬化層を形成可能なものであり、上記特定の表面自由エネルギーを持つ硬化層を形成可能な樹脂であれば、特に制限無く用いることができる。
前記第一の樹脂成分は、30mN/m以下の表面自由エネルギーを有する硬化層を形成可能な樹脂である。
該表面自由エネルギーは、18〜25mN/mの範囲がより好ましく、20〜23mN/mの範囲が特に好ましい。
上記の範囲とすることにより、層分離を有意に形成することができ、一方、硬化後の表面自由エネルギーが高すぎると層分離が起き難く、反射率の低下、ムラなどが発生することがある。表面自由エネルギーは、強度、塗布性の観点から、上記の好ましい下限以上とすることが好ましい。
本発明の塗布組成物に用いられる前記第一の樹脂成分は、熱硬化型又は電離放射線硬化型の含フッ素化合物であるのが好ましい。また、樹脂成分は、樹脂を1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
上記含フッ素化合物としては、下記の化合物などが挙げられる。
第一の樹脂成分は、架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物であることが好ましく、含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材としては、熱又は電離放射線により架橋されることが好ましく、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。より好ましくは熱又は電離放射線により架橋する含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマーであり、特に好ましくは熱又は電離放射線により架橋するフッ素ポリマーである。
{第一の樹脂成分用含フッ素ポリマー}
第一の樹脂成分用に好適な含フッ素ポリマーは、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。生産性の点からは電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーであることがより好ましく、生産性及び耐擦傷性の点からは分子内に架橋性基としてエチレン性不飽和基を複数有する含フッ素ポリマーが特に好ましい。
また、本発明の光散乱フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf(4.9N)以下が好ましく、300gf(2.9N)以下がより好ましく、100gf(0.98N)以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、更にそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。
また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
{架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物}
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、前述のとおり含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
また、架橋性を有する含フッ素化合物を用いることもできる。含フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF2H,−CH2(CF2)8CF3,−CH2CH2(CF2H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32,CH2CF(CF32,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF2CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCH2CF2CF3,CH2CH2OCH248H,CH2CH2OCH2CH2817,CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
架橋性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのコポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。含フッ素化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。このような架橋性基を有する含フッ素化合物の好ましい例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
{含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物}
第一の樹脂成分として、含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高い点で好ましく用いることができる。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
第一の樹脂成分として好適な含フッ素化合物は、前述のようにシリコーン構造を分子中に有するのが好ましいが、塗布組成物中に含フッ素化合物と同じ架橋性基を含有するシリコーン化合物を含んでもよい。
シリコーン構造を分子中に有する化合物としては、下記の化合物などが挙げられる。
架橋性基を含有するシリコーン化合物としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前述のシリコーン化合物の添加量は、第一の樹脂成分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜7質量%の場合である。
<第二の樹脂成分>
本発明の塗布組成物及び/又は各層の形成用組成物は、第一の樹脂成分と硬化可能な第二樹脂成分を含有する。第二の樹脂成分の好ましい一例としては、熱又は電離放射線により架橋する反応性基を有するモノマー又はオリゴマーが好ましく、2官能基以上を有する多官能モノマーや多官能オリゴマーを有する樹脂成分がより好ましく、3官能基以上を有する多官能モノマーや多官能オリゴマーを有する樹脂成分が更に好ましい。これらの多官能モノマー、オリゴマーは、本発明の塗布組成物を用いて形成する層以外の本発明の光学フィルム、反射防止フィルムが有していてもよい層の形成用組成物にも好ましく含有される。
第二の樹脂成分としては、第一の樹脂成分より表面自由エネルギーが大きいことが好ましい。30mN/m以上の表面自由エネルギーを有する硬化層を形成可能な樹脂であることが好ましく、35〜80mN/mの範囲がより好ましく、40〜60mN/mの範囲が特に好ましい。また、第一の樹脂成分と第二の樹脂成分の表面自由エネルギーの差が、5mN/m以上であることが好ましく、10mN/m以上40mN/m以下であることが更に好ましい。
上記の範囲とすることにより、層分離がより形成し易くなる。硬化後の表面自由エネルギーが高すぎても、低すぎても、反射率の低下、ムラなどが発生することがある。表面自由エネルギーは、強度、塗布性の観点から、上記の好ましい下限以上とすることが好ましい。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
更にはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。更に好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリル酸又はメタクリル酸」、「アクリロイル又はメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
上記樹脂成分を用いる場合には、光重合性多官能モノマーの重合反応に用いる光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
(重合開始剤)
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤、金属酸化物粒子及び、必要に応じてマット粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線又は熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムのハードコート層を形成することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等に記載)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレート塩、活性ハロゲン化合物などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
「最新UV硬化技術」{発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行}、p.159、及び「紫外線硬化システム」(加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製の商品名「イルガキュア(651,184,907)」等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(光増感剤)
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
また、上記第二の樹脂成分としては、上述の化合物の他に下記のオルガノシラン化合物も好ましく用いることもできる。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
第二の樹脂組成物としては、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点、表面自由エネルギーの点で好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):(R10m−Si(X)4-m
前記一般式(1)において、R10は置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。
アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。mは1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基若しくは置換アリール基であることが好ましい。前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(2)
Figure 0005352644
前記一般式(2)において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
Yは単結合若しくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**及び *−CONH−**が好ましく、単結合及び *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0又は1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式(1)と同義であり、置換若しくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式(1)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
前記一般式(1)、一般式(2)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005352644
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上記M−1乃至75で表される化合物の内M−1、M−2、M−49が好ましい。
前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造される。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、及びAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3及びR4は、同一又は異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、及びr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
上記金属キレート化合物の具体例のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することができる。
本発明では、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下に更に説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/又はアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を構成するR4及びR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4及びR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。上記範囲内において、良好な保存安定性が得られる。
第一の樹脂成分に対する第二の樹脂成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、8〜40質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。また、第一の樹脂成分、第二の樹脂成分は、それぞれ1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
<第一の無機微粒子>
本発明に用いられる上記第一の無機微粒子は、その平均粒径が2nm以上100nm以下の無機微粒子であり、好ましくは平均粒径が5nm以上80nm以下の無機微粒子であり、更に好ましくは10nm以上60nm以下の無機微粒子である。
平均粒径が2nm未満であると、凝集し易く、分散が難しく、100nmを超えると、ヘイズが大きくなる。
上記第一の無機微粒子としては、下記する無機微粒子等が挙げられ、使用に際しては単独若しくは2種以上混合して用いることができる。
第一の無機微粒子としては、少なくともチタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分としてなる無機微粒子を用いることが好ましい。これらの無機微粒子は、硬化層の下部に偏在した際に、下部を高屈折率化し、本発明の光学フィルムの反射率を十分に低減するために、高屈折率であることが好ましく、屈折率が1.60〜3.00であることが好ましく、1.80〜2.90であることが更に好ましく、1.90〜2.80であることが特に好ましい。
第一の無機微粒子としては、チタン、ジルコニウムのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする金属酸化物のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが特に望ましい。また両者のうちでは、耐光性の観点からは、光触媒作用のないジルコニウムが好ましいが、光触媒作用を抑制したチタンを用いることも好ましい。
また、帯電防止の観点からは、導電性の無機微粒子を用いることが望ましく、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする無機微粒子のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが望ましい。
第一の無機微粒子は、本発明の光学フィルムで用いられるその他の各層においても、例えば、ハードコート層、中屈折率層において、屈折率調整用の無機微粒子として好適に用いられる。
{第一の無機微粒子の表面処理}
また、前記第一の無機微粒子は、表面処理されたものであることが好ましい。表面処理の具体的手段としては、塗布組成物、各層形成用組成物、又はこれらの組成物に添加する分散液中で、分散安定化又はバインダーなどの樹脂成分との親和性・結合性を向上することができれば、特に限定されるものではない。表面処理については、[無機微粒子の分散剤・表面処理剤]の項にて詳述する以外に、第二の樹脂成分として記載したオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物が好ましく用いられる。
[無機微粒子の分散剤、表面処理剤]
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされるのが好ましい。
表面処理は、無機化合物又は有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、及びその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、更に、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
カップリング剤も好ましく用いられる。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。シランカップリング剤は部分加水分解物又は縮合物として用いても良い。
上記カップリング剤は、無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時に更に添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤及び表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物及び触媒を挙げることができる。
本発明に使用する粒子の分散には下記の各種の分散剤も好ましく用いることができる。
分散剤は、更に架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
無機粒子の分散、特にTiO2を主成分とする無機粒子の分散にはアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましく、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有することがより好ましく、該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤であることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1分子中に複数種類が含有されていてもよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
分散剤は、更に架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエン及びポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COOR又は−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、−(CH2)n−CR21=CR2223、−(CH2O)n−CH2CR21=CR2223、−(CH2CH2O)n−CH2CR21=CR2223、−(CH2)n−NH−CO−O−CH2CR21=CR2223、−(CH2)n−O−CO−CR21=CR2223及び−(CH2CH2O)2−X(R21〜R23はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R21とR22又はR23は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、−CH2CH=CH2(特開昭64−17047号公報記載のアリル(メタ)アクリレートのポリマーに相当)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2CH2OCOCH=CH2、−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2及び−CH2CH2O−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)及び−CH2CH2−OCO−CH=CH2、−CH2CH2−OCO−C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、更に好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体又はランダム共重合体であることが好ましくコスト及び合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
分散剤の無機粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
以下に本発明に好ましく用いられる分散剤の具体例を示すが、本発明用の分散剤はこれらに限定されるものではない。なお特に記載の無い場合はランダム共重合体を表す。
Figure 0005352644
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[無機微粒子の分散]
無機微粒子は、分散機を用いて分散することができる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが含まれる。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、好ましい重量平均径は前述の粒径に順ずるものである。
{第一の無機微粒子の表面自由エネルギー}
前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーは、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーよりも高く、かつ両者の差が、10mN/m以上であるのが、層分離構造を有利に形成する上で好ましく、15mN/m以上60mN/m以下であるのがより好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であるのが特に好ましい。上記の範囲とすることにより、層分離を有意に形成することができ、一方、表面自由エネルギーが高すぎても、低すぎても、反射率の低下、ムラなどが発生することがある。表面自由エネルギーは、強度、塗布性の観点から、上記の好ましい範囲とすることが好ましい。
無機微粒子の表面自由エネルギーは、塗布組成物を静止沈降又は遠心分離後、溶剤洗浄を繰り返し、無機微粒子以外の成分を取り除いた後、洗浄した硝子版上にキャスト、溶剤を乾燥し、薄膜状にした無機微粒子の水及びヨウ化メチレンの接触角を用いて算出することができる。樹脂成分など他の成分の表面自由エネルギーも同様にして算出することができる。
上記第一の無機微粒子の塗布組成物における配合割合は、塗布組成物を各層の形成用組成物として用いる場合の各層における無機微粒子の含有量に合わせて調節できる。
<第二の無機微粒子>
また、本発明の塗布組成物においては、上述の各成分の他に第二の無機微粒子として、屈折率1.46以下、より望ましくは屈折率1.17〜1.46、特に好ましくは1.17〜1.40、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.32の無機微粒子を含有するのが好ましい。第二の無機微粒子は、硬化層の上部に偏在して、耐擦傷性の向上、屈折率の低下に寄与するため、低屈折率であることが望ましい。
上記第二の無機微粒子としては、下記する無機微粒子等が挙げられ、使用に際しては単独若しくは2種以上混合して用いることができる。
このような第二の無機微粒子の具体例としては、例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は10nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以上80nm以下、更に好ましくは、30nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると硬化層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
前記無機微粒子は、中空構造であるのが更に好ましい。中空構造の無機微粒子の場合に屈折率は外殻の無機質のみの屈折率を表すものではなく、粒子全体の平均の値を示す。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(II)で表される空隙率xは
(数式II): x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100であり、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
第二の無機微粒子の量は、第一の樹脂成分の10〜60質量%であることが好ましく、15〜55質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが特に好ましい。量が多すぎても、多すぎても膜が弱くなり、また多すぎると、硬化層の下部に偏在する粒子が存在して、反射率低減効果が薄れる。
第二の無機微粒子として、小サイズ無機微粒子を併用してもよい。小サイズの無機微粒子の粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、8nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、第二の無機微粒子、特に低屈折率層を形成する場合の低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられることが好ましく、該層塗布液調製時に更に添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
第二の無機微粒子は第一の無機微粒子より表面自由エネルギーが小さいことが好ましく、表面処理剤で表面自由エネルギーを制御するためには、含フッ素のオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物が好ましく用いられる。具体的な化合物の一例を下記に示す。
Figure 0005352644
Figure 0005352644
また前記第二の無機微粒子は、上記含フッ素の化合物での表面処理に加えて、前記第一の無機微粒子の表面処理に用いた表面処理剤と併用することも好ましい。本発明において、第二の無機微粒子の表面処理剤のうちフッ素含有化合物の質量%は5%以上100%以下が好ましく、更に好ましくは15%以上90%以下である。表面処理剤を併用することで、第二の無機微粒子の表面自由エネルギーを調節することが容易になり、硬化性樹脂との結合性を付与することも可能となる。
また、前記第二の無機微粒子の表面自由エネルギーは、第一の無機微粒子の表面自由エネルギーよりも低く、かつ両者の差が5mN/m以上であることが、第二の無機微粒子を層の上部に偏在させる観点から好ましく、7mN/m以上50mN/mであることがより好ましく、10mN/m以上40mN/mであることが更に好ましい。この範囲にすることで、同一塗布液から両粒子が分離して層を形成しやすくなる。
本発明の光学フィルム、反射防止フィルムで用いられる各層の形成用組成物として上記塗布組成物を用いる場合、例えば低屈折率層の形成用組成物の場合には、第二の無機微粒子として低屈折率層で好適に用いられる無機微粒子を用いることができる。
上記第二の無機微粒子の塗布組成物における配合割合は、塗布組成物を各層の形成用組成物として用いる場合の各層における無機微粒子の含有量に合わせて調節できる。
<有機溶剤>
本発明に用いられる上記有機溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量(沸点が100℃以下の溶剤100質量部に対して沸点が100℃以上の溶剤1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、特に好ましくは3〜30質量部)含有させることが好ましい。沸点の異なる有機溶剤を少なくとも2種併用することで、無機微粒子の下部偏在、バインダーの分離がし易くなる。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
2種類以上の有機溶剤を使用するもう1つの好ましい例としては、沸点の差が特定の値より大きい2種類の溶剤を使うことが挙げられる。2種の溶媒の沸点の差が25℃以上であることが好ましく、35℃以上が特に好ましく、50℃以上が更に好ましい。沸点の差が大きいことで、無機微粒子の下部偏在、バインダーの分離がし易くなる。
上記有機溶剤の配合割合は、固形分濃度が2〜30質量%になるように添加するのが好ましく、3〜20質量%になるように添加するのがより好ましく、5〜15質量%になるように添加するのが特に好ましい。固形分濃度が低すぎると乾燥に時間がかかる、乾燥起因の膜厚ムラが出易いなどの懸念があり、固形分濃度が高すぎると粒子の偏在が十分に起こらない、塗布量が少なくなり、塗布ムラが出易いなどの懸念がある。
本発明の塗布組成物においては、上述の各成分以外に他の添加剤を添加して用いることもできる。本発明において用いることができる上記の他の添加剤としては、下記の添加剤などが挙げられる。
<レベリング剤>
ムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することができる。レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましく、特にフッ素系レベリング剤はムラ防止能が高く、好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
以下ではレベリング剤として好ましいフッ素系レベリング剤について説明する。シリコーン系レベリング剤については後述する。
フッ素系レベリング剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体が好ましく、更に下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)の重合体、又は下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)及び下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
(i)下記一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式1
Figure 0005352644
上記一般式1において、R1は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子又は−N(R12)−を表し、酸素原子又は−N(R12)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R12は水素原子又は置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。Rfは−CF3又は−CF2Hを表す。
一般式1中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式1中のnは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6が更に好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式2で示されるモノマー
一般式2
Figure 0005352644
上記一般式2において、R13は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子又は−N(R15)−を表し、酸素原子又は−N(R15)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R15は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐状、あるいは環状のアルキル基、又は置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基又はナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。更に、炭素数1〜20の直鎖、分岐状あるいは環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。
好ましいフッ素系ポリマーの製造に用いられる上記一般式1で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、更に好ましくは80〜100質量%の範囲である。
以下、好ましいフッ素系ポリマーの具体的な構造例を示すがこの限りではない。
なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0005352644
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Figure 0005352644
Figure 0005352644
Figure 0005352644
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フッ素系ポリマーを構成するフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、10質量%を超えることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、光散乱層のムラを防止するという観点を重視すれば、75〜100質量%であることが最も好ましく、光散乱層の上に低屈折率層を塗布する場合は、50〜75質量%であることが最も好ましい。(該フッ素系ポリマーを構成する全重合単位で記載した)
シリコーン系レベリング剤について、説明する。シリコーン系レベリング剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で、側鎖、主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられ、信越化学社製のKF−96、X−22−945などがある。
その他、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤も好ましく用いることができる。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191があり、更にSUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましく、特開平6−49486号が参考にできる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
塗布液に対する上記含フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤の添加量は、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。
フッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、フッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼすことがある。
塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いることができる。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味する。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、マイカ、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイトなどの層状化合物及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。チキソトロピー性付与剤としては、0.3μm以下の粒径の層状化合物を有機化処理したものが特に好ましい。0.1μm以下の粒径のものが更に好ましい。層状化合物の粒径は、長軸の長さで考えることができる。通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
[下地層]
上記塗布組成物より形成される層の下地層としては、上記塗布組成物に含まれる第二の樹脂成分及び/又は第一の無機微粒子が含まれるのが好ましい。この2成分の少なくともいずれか一方が含有させることで、層間の密着性が向上し、耐擦傷性が向上する、また、上記塗布組成物から形成された層内で無機微粒子を下部偏在し易くすることができる。
〔光学フィルム〕
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、30mN/m以下の表面自由エネルギーを有する第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、及び平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子を含有してなる硬化層を有し、第一の樹脂成分及び/又は第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有する光学フィルムであって、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、かつ該硬化層が屈折率の異なる上層と下層とを有する光学フィルムである。
以下、更に詳細に説明する。
「第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在」することは、光学フイルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することで確認できる。また、本発明では、無機微粒子が硬化層の下部に偏在することにより、擬似的に屈折率の異なる上層と下層の2層構成になることを目的とする。屈折率の異なる2層構成の形成は、光学フィルムの分光反射率を測定し、その干渉パターンを各層の屈折率、膜厚を変化させ、反射率の理論計算を行い、測定した分光反射率データとフィッティングすることで明らかにすることができる。即ち、擬似的に屈折率の異なる上層と下層の2層構成になった場合は、屈折率の異なる2層で計算しないと、測定結果と分光反射率曲線が一致しない。
[光学フィルムの構成]
前記したように、本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、前述の硬化層を有する光学フィルムである。また、本発明の反射防止フィルムは、該光学フィルムの最表層として低屈折率層を有し、該低屈折率層とこれに隣接する好適には高屈折率層が、前記硬化層であることが好ましい。本発明の光学フィルムは、複数の機能層を硬化層が兼ねるものであり、更に低屈折率層の他にも、必要に応じてその他の機能層を有することができる。次に、本発明の光学フィルムを構成する層について記載する。
本発明の光学フィルムの好ましい一態様として、反射防止フィルムの構成例を説明する。図1は、優れた反射防止性能を有する多層型の反射防止フィルムの層構成を模式的に示す断面図である。図1に示す反射防止フィルムは、透明支持体1、ハードコート性を有する層(以下、ハードコート層)2、中屈折率層3、高屈折率層4、低屈折率層(最外層)5をこの順序で有する。透明支持体1、中屈折率層3、高屈折率層4及び低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有することが望ましい。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図1のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(I)、高屈折率層が下記数式(II)、低屈折率層が下記数式(III)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(I)
(hλ/4)×0.7<n3d3<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2又は3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II)
(iλ/4)×0.7<n4d4<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2又は3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(III)
(jλ/4)×0.7<n5d5<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
図1のような層構成では、中屈折率層が下記数式(IV)、高屈折率層が下記数式(V)、低屈折率層が下記数式(VI)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。
ここで、λは500nmである。
数式(IV)
(λ/4)×0.80<n3d3<(λ/4)×1.00
数式(V)
(λ/2)×0.75<n4d4<(λ/2)×0.95
数式(VI)
(λ/4)×0.95<n5d5<(λ/4)×1.05
本発明の反射防止フィルムの反射率は1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。0.7%以下が更に好ましく、特に好ましくは0.5%以下である。低反射率を得る場合は、屈折率の異なる層を積層するため、屈折率と膜厚を調整することで色味を調節し、品質を保つことができる。本発明の反射防止フィルムの色味は|a*|≦10、|b*|≦10が好ましく、|a*|≦7、|b*|≦7が特に好ましい、|a*|≦5、|b*|≦5が更に好ましく、|a*|≦4、|b*|≦4が特に好ましい。
[透明支持体]
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))等が使用できる。 支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜200μmであり、30μm〜150であることがより好ましく、30〜90μmであることが更に好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることが更に好ましい。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
透明支持体は、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンが含まれる。トリアセチルセルロース、及びポリオレフィンがレターデーションが小さく、光学的均一性も高いため、偏光板用途として好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
[ハードコート層]
本発明のフィルムは、フィルムの物理的強度を付与するために、透明支持体の一方の面にハードコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜1.75の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.49〜1.65であり、更に好ましくは1.50〜1.55である。本発明では、ハードコート層の屈折率は反射率、色味、ムラ、コストの点から、この範囲にあることが好ましい。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜30μm、更に好ましくは2μm〜20μm、最も好ましくは3μm〜15μmである。ハードコート層の厚さは、カール、生産性、コストの点から上述の範囲にあることが好ましい。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。更に好ましくは5H以上である。
更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は0.3%〜20%が好ましく、0.5%〜10%が特に好ましく、であり、0.5%〜5%であることが好ましく、0.5〜2%であることが特に好ましい。表面ヘイズが大きすぎると明室コントラストが悪化し、小さすぎると映り込みが悪化する。
また、本発明の光学フィルムは、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が0%〜60%であることが好ましく、1%〜40%であることがより好ましい、10%〜35%であることが特に好ましく、15%〜30%であることが更に好ましい。内部ヘイズが大きすぎると正面コントラストが低下し、白茶け感が増す。
小さすぎると使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の合わせこみが困難となり、また、高コストとなる。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズ(全ヘイズ値から内部ヘイズ値を引いた値。内部ヘイズ値はフィルム表面の凹凸をフィルム表面と同じ屈折率の物質により無くすことで測定可能である。
)が0.1%〜20%が好ましく、0.2%〜10%が特に好ましく、であり、0.2%〜5%であることが好ましく、0.2〜2%であることが特に好ましい。表面ヘイズが大きすぎると明室コントラストが悪化し、小さすぎると映り込みが悪化する。
また、ハードコート層に透光性粒子を含有して内部散乱を付与する場合、内部ヘイズは目的により好ましい範囲が異なるが、内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値は0%〜60%であることが好ましく、1%〜40%であることがより好ましい、10%〜35%であることが特に好ましく、15%〜30%であることが更に好ましい。内部ヘイズが大きすぎると正面コントラストが低下し、白茶け感が増す。小さすぎると使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の合わせこみが困難となり、また、高コストとなる。一方、正面コントラストを重視する場合は、0%〜30%が好ましく、更に好ましくは1%〜20%であり、最も好ましくは1%〜10%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、中心線平均粗さ(Ra)を0.30μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.01〜0.20μであり、更に好ましくは0.01〜0.12μm以下である。Raが大きいと表面散乱起因の白ボケ感がでたり、ハードコート層上に形成する層の均一性が得づらいなどの問題がある。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは80%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
[高屈折率層、中屈折率層]
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.20であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.00、更に好ましくは、1.65〜1.90、最も好ましくは1.70〜1.85である。高屈折率層の屈折率は高いほど反射率は低減しやすいが、色味が強くなったり、高屈折率層中の無機微粒子の量が多くなることで、層がもろくなる、ヘイズが大きくなるなどの問題があり、本発明では、以上の範囲に調整することが好ましい。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましく、低屈折率層及び/又は高屈折率層との屈折率差は0.08以上が好ましく、0.10以上が特に好ましい。
本発明に用いる高屈折率層及び中屈折率層はバインダー(例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と、屈折率を制御する目的の高屈折率無機微粒子を含有してなる。
上記塗布組成物より形成される層の下地層としては、上記塗布組成物に含まれる第二の樹脂成分及び/又は第一の無機微粒子が含まれるのが好ましい。この2成分の少なくともいずれか一方が含有させることで、層間の密着性が向上し、耐擦傷性が向上する、また、上記塗布組成物から形成された層内で無機微粒子を下部偏在し易くすることができる。
本発明の好ましい態様は、上記高屈折率層又は中屈折率層の上に、前述の第一の樹脂成分、第二の樹脂成分、第一の無機微粒子を含有する塗布組成物を塗布して、低屈折率層と高屈折率層を同時に形成する。層間の密着性の向上、耐擦傷性の向上、第一の無機微粒子の下部偏在を容易にする点から、上記高屈折率層又は中屈折率層のバインダーとしては第二の樹脂成分、高屈折率無機微粒子としては第一の無機微粒子が好ましく用いられる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。本発明では、分光反射率の光学計算によるフィッティングで屈折率とともに膜厚を求めることができる。
高屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は他の層を介して構築することが好ましい。
本発明で中屈折率層を形成する場合は、ハードコート層と中屈折率層を1回の塗布で形成するのがより好ましい。すなわち、ハードコート層と中屈折率層の形成に用いられる成分の両方を含有する塗布組成物を用い、塗布、乾燥、硬化を行う時に、中屈折率層の形成に用いる高屈折率無機微粒子が表面部に偏在するようにすることで、達成することができる。高屈折率無機微粒子を表面に偏在させるには、無機微粒子の表面自由エネルギーをバインダーの表面自由エネルギーより小さくすることが好ましい。2mN/m以上小さいことが好ましく、4mN/m以上小さいことが更に好ましい。
無機微粒子の表面自由エネルギーは、表面処理剤で表面処理することでコントロールすることができる。表面処理剤には特に制限はないが、前述の表面処理剤より、バインダーの種類に合わせて選択して用いることが好ましい。
[透明導電性層]
本発明の光学フィルムは、帯電防止の目的で透明導電性層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。透明導電性層は、ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合に有効である。透明導電性層を形成する方法としては、例えば、通電性粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の公知の方法を挙げることができる。塗工する場合、その方法は特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。透明導電性層は、透明支持体又はハードコート層上に直接又はこれらとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。
透明導電性層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。透明導電性層の表面抵抗は、105〜1012Ω/sqであることが好ましく、105〜109Ω/sqであることが更に好ましく、105〜108Ω/sqであることが最も好ましい。帯透明導電性層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
透明導電性層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、透明導電性層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
透明導電性層は、強度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
本発明では中屈折率層及び/又は高屈折率層に導電性の無機酸化物微粒子を用いて導電層とすることが好ましい。導電性の無機酸化物微粒子としては、第一の無機微粒子に記載したもののうち導電性の無機酸化物微粒子を用いることができる。
[低屈折率層]
本発明の光学フィルムは、フィルムの反射率を低減するため、光学フィルムの最上層として低屈折率層を設け、該低屈折率層とこれに隣接する高屈折率層が、前記硬化層であることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.30〜1.40であることがより好ましく、1.33〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることが更に好ましい。本発明では、分光反射率の光学計算によるフィッティングで屈折率とともに膜厚を求めることができる。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層形成後の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。更に好ましくは5H以上である。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であるのが好ましい。
低屈折率層は、硬化性組成物を用いて形成することができる。本発明に用いる低屈折率層はバインダー及び/又は低屈折率無機微粒子を含有してなる。本発明では、少なくとも前述の第一の樹脂成分、第二の樹脂成分、第一の無機微粒子を含有する塗布組成物より、低屈折率層と高屈折率層を同時に形成する。更に第二の無機微粒子も好ましく用いられる。即ち、バインダーとしては前述の第一の樹脂成分及び第二の樹脂成分、低屈折率無機微粒子としては特に制限はないが、前述の第二の無機微粒子が好ましく用いられる。
本発明では、低屈折率層用のバインダーとして、耐薬品性、生産性の観点から含フッ素ポリマーを好ましく用いる。含フッ素ポリマーとしては、前述のように熱硬化型、電離放射線硬化型のいずれも用いることができる。高屈折率層と低屈折率層を同時に形成する場合、及び高屈折率層成分との親和性、結合性を高め、反射防止フィルムの耐擦傷性を高めるためには、フッ素ポリマーは電離放射線硬化型であることが特に好ましい。熱硬化型を用いる場合は、熱硬化型、電離放射線硬化型の両方の架橋性基を有する他のバインダー成分を同時に用いることが好ましい。即ち、第一の樹脂成分及び/又は第二の樹脂成分が電離放射線硬化性官能基を有することがより好ましく、第一の樹脂成分及び第二の樹脂成分の両方が電離放射線硬化性官能基を有することが特に好ましく、エチレン性不飽和基を複数有することが更に好ましい。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[少なくとも2層からなる最表層を塗布する工程]
本発明の光学フィルムの製造方法では、少なくとも2層からなる最表層を塗布する工程において、少なくとも2層の最表層を同時に形成できる塗布組成物(最表層多層同時形成塗布組成物)を用いる。該少なくとも2層の最表層は、特に限定されないが、好ましくは、2層の最表層を形成できる組成物であり、より好ましくは低屈折率層及び高屈折率層の2層の最表層を形成できる組成物である。該塗布組成物は、上記の低屈折率層に含有される成分と高屈折率層に含有される成分の両方を含有するものであるが、前記第一の樹脂成分、第二の樹脂成分、第一の無機微粒子、有機溶剤を含有する塗布組成物が好ましく、第二の無機微粒子も好ましく用いられる。
該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成可能なものであり、該塗布組成物は、該硬化層において、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成可能である。第一の無機微粒子は、層内の下部に偏在して、無機微粒子の高屈折率層中の存在割合を60%以上にするのが好ましく、70%以上にするのがより好ましく、80%以上が更に好ましい。無機微粒子の存在状態は、光学フイルムの切片をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することができる。例えば、高屈折率層中の存在割合は、上層と下層の界面の平均位置より下部に存在する無機微粒子の割合から求めることができる。界面が直線的でない場合は、中心線を引いて界面とする。高屈折率層において無機微粒子の存在割合が低い場合、光学フィルムの反射率が低下が小さく、ムラの発生が起こりやすくなる。
第二の無機微粒子は、層内の上部に多く存在することが好ましく、偏在することがより好ましい。第二の無機微粒子は、主に低屈折率層内に存在することが好ましい。低屈折率の無機微粒子の低屈折率層中の存在割合を20%以上にするのが好ましく、30%以上にするのがより好ましく、30%以上が更に好ましい。無機微粒子の存在状態は上述の方法と同じ方法で確認することができる。
[光学フィルムの形成方法]
次に、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、透明支持体上に、ハードコート層、又はハードコート層並びに中屈折率層の各層形成用組成物を塗布する工程と、更に少なくとも2層の最表層形成用組成物を塗布する工程が好ましく用いられる。2つの工程間で塗布された透明支持体を巻き取る工程を経ないことが特に好ましい。
好ましくは、前記ハードコート層、又はハードコート層並びに中屈折率層を塗布する工程が、スロットルダイを用いて支持体上に押し出す工程、又は2つのスロットルを有するコーターから同時に支持体上に押し出す工程である。
また、好ましくは、前記ハードコート層、又はハードコート層並びに中屈折率層を塗布する工程、及び少なくとも2層の最表層を塗布する工程の後に、更に乾燥する工程、及び硬化する工程を少なくとも1回有する。
また、好ましくは、少なくとも2層の最表層を塗布する工程の少なくとも一つの工程に、上述の本発明の塗布組成物を用いる。
表層2層の他に、複数の層を形成する場合があるが、それらは送り出し、層形成、巻取りを必要な層数分行い、各層を1層ずつ形成することもできる。しかし、透明支持体を送り出してから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを層の数と同じ数、縦列して設けることによって、全ての層を1回の工程で形成するのが、生産性、コストの面で有利である。
本発明の光学フィルム又は反射防止フィルムは、表層2層を1回の塗布で形成するため、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットの数を1つ減らすことができ、設備面で大きなメリットが得られる。例えば、透明支持体の上にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層を形成する場合は、本発明の技術を用いれば、高屈折率層と低屈折率層の表層2層を同時に形成し、更にハードコート層と中屈折率層を同時に形成することも可能であり、透明支持体を送り出してから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを2個並べるだけでよく、非常に大きな効果がある。
以下、各工程について更に詳述する。
本発明の塗布では、複数のスロットルを持つスロットルダイを用いて塗布するのが更に好ましい。例えば、透明支持体の上にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層を形成する場合は、2つのスロットルを有するスロットルダイを用い、高屈折率層と低屈折率層の表層2層を同時に形成する塗布組成物と、ハードコート層と中屈折率層を同時に形成する塗布組成物を、別々のスロットルから同時に透明支持体上に押し出すことで、4層を同時に形成することができ、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを1個だけ有する塗布機でも1回の塗布で4層を形成することができ、更に大きな効果がある。
本発明の光学フィルムにおける硬化層(最表層2層、好ましくは高屈折率層と低屈折率層、また別の態様としてハードコート層と中屈折率層)は上述の本発明の塗布組成物を用いて、また硬化層以外の機能層はそれぞれの形成用塗布液を用いて、以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。
[スロットルダイを用いて支持体上に押し出す工程]
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
{ダイコーターの構成}
図2は本発明を実施したスロットルダイ(以下「スロットダイ」とも言う。)を用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図3は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、更に好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなる。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くことが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
更に、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、更に好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図4は、本発明を実施した塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。
ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GSが存在する。
図5は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図9のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図8のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GBをスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLよりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
[材質、精度]
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下が更に好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
[塗布速度]
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。更に、前記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。低塗布量の塗布液に対して、該塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。前記ダイコート法を用い、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
[2つ以上のスロットル及び/又はスライドを有するコーターから同時に支持体上に押し出す工程]
下記のような2つのスロットルを有するコーターを用いた以外は、ほぼ上述のスロットルダイを用いて押し出す工程と同様である。このような2つ以上のスロットル及び/又はスライドを有するコーターを用いることで、更に生産性を高めることができる。
同時塗布に用いる塗布ヘッドの形態を図6に示す。図6(A)乃至(C)の塗布ヘッドに更にもう1つのスライド部を設けてもよい。ハードコート層と中屈折率層を同時に塗布する場合、図6(A)が好ましい。この場合、ハードコート層と中屈折率層と(2層の)最表層の3層を同時に塗布しても良い。
[乾燥]
塗布組成物が基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
[硬化]
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度は5%以下が好ましく、0.01%〜5%が特に好ましい。特に低屈折率層の酸素濃度は0.1%以下が好ましく、0.05%以下が特に好ましく、0.02%以下が特に好ましい。幅方向の分布は酸素濃度で2%以下が好ましい。
2層以上形成する場合は、一層目の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に2層目を設け電離放射線及び/又は熱により硬化した際に一層目の硬化率が2層目を設ける前よりも高くなると、両層間の密着性が改良され、好ましい。
[偏光板用保護フィルム]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合は、偏光板を作成するにあたり、反射防止フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いるために、低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することが好ましい。
透明支持体としては、トリアセチルセルロースフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、(1)予め鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、中屈折率層、表層2層など)を塗設する手法、(2)透明支持体の一方の面に上記の各層を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法、の2つが考えられるが、(1)はハードコートを塗設するべき面まで親水化されるため、支持体とハードコート層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が好ましい。
[鹸化処理](1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
上記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に低屈折率層を有する表面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反射防止構造層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち反射防止フィルムの貼り合わせ面の、水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がトリアセチルセルロースであれば、20度〜50度、好ましくは30度〜50度、より好ましくは40度〜50度を上記接触角とするのが好ましい。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、20度未満では、反射防止層の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度、耐光性を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、この時、反射防止フィルムの貼り合わせ面の水に対する接触角が、10〜50度となるように鹸化処理を行なうことが好ましい。また、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
上記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。更に、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜と、該偏光膜の表側及び裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、上述の本発明の光学フィルム、又は本発明の反射防止フィルムである。以下、反射防止フィルムを例に説明する。
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フィルムを有する。反射防止フィルムの透明支持体がポリビニルアルコールからなる接着剤層を介して偏光膜に接着しており、もう一方の偏光膜の保護フィルムが接着剤層を介して偏光膜の反射防止フィルムが接着している主面と反対側の主面と接着している。もう一方の保護フィルムの偏光膜と接着している主面と反対側の面主面には粘着剤層を有している。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、更に、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右及び斜め方向の視野角を非常に広げることができる偏光板を作製できる。
[光学補償フィルム]
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が透明支持体からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の一軸性を有し、かつ該透明支持体面の法線方向に光軸を有し、更に下記の条件を満足する態様も好ましい。
20≦{(nx+ny)/2−nz}×d≦400
上記の条件式において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率であり、またdは光学補償層の厚みを表す。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述の本発明の光学フィルム、本発明の反射防止フィルム、又は本発明の偏光板の少なくとも1つを有する。
本発明の反射防止フィルムを有する画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)等が挙げられる。本発明の反射防止フィルムを有する偏光板を有する画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)のような画像表示装置が挙げられる。本発明の画像表示装置においては、本発明の反射防止フィルムを有する偏光板を、液晶表示装置の液晶セルのガラスに直接又は他の層を介して接着して用いる。
本発明に用いる反射防止フィルムを用いた偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、透過型又は半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、更に視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(パーフルオロオレフィン共重合体(P1)の合成)
パーフルオロオレフィン共重合体(P1)
Figure 0005352644
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(P1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(シリカ分散液Aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径40nm、シェル厚み6nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.30、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)8部、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製)2部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。
この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し、22質量%にしたときの粘度は25℃で9mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった
(分散液Bの調整)
粒子径15nmのZrO2粒子のメチルイソブチルケトン分散物(固形分濃度20質量%)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)10g、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート0.5g加え混合した後に、イオン交換水を3gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加したし分散液Bを作製した。分散液Bにジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)31.4gを加え、圧力20kPaで減圧蒸留し、固形分濃度62%の溶液を作製した。光重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)を0.5g、光重合開始剤(イルガキュア904、チバガイギー社製)を0.5gを加え、攪拌して溶解し、メチルエチルケトンを加え濃度調整し、固形分濃度約61%、固形分中ZrO2含率約70%の分散液Bを作製した。
(ハードコート層用塗布液Aの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部の MEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2 ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液Aを調製した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.50であった。
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET-30、日本化薬(株)製)を71.2g、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2.9g、フッ素系表面改質剤(SP−13)0.1g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を11.8gをメチルイソブチルケトンに添加し、エアーディスパーにて60分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.52であった。平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)13.7gをポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散し30%メチルイソブチルケトン分散液として添加し、メチルイソブチルケトンとメチルエチルケトンとを加え、固形分濃度を45質量%に調整後、エアーディスパーにて10分間攪拌した。メチルイソブチルケトンとメチルエチルケトンの質量比は9:1になるように調整した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液Bを調製した。
(中屈折率層用塗布液の調整)
分散液B65.6gにジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)57g、光重合開始剤(イルガキュア904、チバガイギー社製)3gを加え、固形分濃度が3.5重量%になるようにメチルイソブチルケトンを加え、10分間攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.62であった。
前記混合液を孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(表層2層用塗布液Aの調整)
分散液B132gに、パーフルオロオレフィン共重合体(P1)50.8g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)1.6g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.6gを加え、固形分濃度5.4%になるようにメチルエチルケトンにとシクロヘキサノンを加え、10分間攪拌した。メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの質量比は9:1になるように調整した。
前記混合液を孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して表層2層用塗布液Aを調製した。
(表層2層用塗布液Bの調整)
分散液B132gに、ポリシロキサン及び水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)780.2g、ゾル液a 7.3g、光重合開始剤A0.5gを加え、固形分濃度5.4%になるようにメチルエチルケトンにとシクロヘキサノンを加え、10分間攪拌した。メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの質量比は9:1になるように調整した。
前記混合液を孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して表層2層用塗布液Bを調製した。
(開始剤A)
Figure 0005352644
(表層2層用塗布液Cの調整)
分散液B132gに、パーフルオロオレフィン共重合体(P1)30g、分散液A120g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)1.6g、ゾル液a 7.2g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.6gを加え、固形分濃度5.4%になるようにメチルエチルケトンにとシクロヘキサノンを加え、10分間攪拌した。メチルエチルケトンとシクロヘキサノンの質量比は8:2になるように調整した。
前記混合液を孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して表層2層用塗布液Cを調製した。
(表層2層用塗布液Dの調整)
溶媒は全てメチルエチルケトンにする以外は表層2層用塗布液Aと同じ方法で、表層2層用塗布液Dを調整した。
(表層2層用塗布液Eの調整)
パーフルオロオレフィン共重合体(P1)と反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)の代わりに、2つの成分の合計量と同じ量のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)を用いた以外は表層2層用塗布液Aと同じ方法で、表層2層用塗布液Eを調整した。
[実施例1]
(反射防止フィルムの作製)
(反射防止フィルム1−1Aの作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製、屈折率:1.49)に、上記のハードコート層用塗布液Aを、スロットルダイコーター(図3(A))を用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に窒素パージし、酸素濃度を0.1%にした条件下で紫外線を70mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.50、膜厚:6μm)を形成した。続いて、上記の中屈折率層用塗布液をスロットルダイコーター(図3(A))を用いて塗布し、100℃で乾燥した後、窒素パージし、酸素濃度を0.1%にした条件下で紫外線を200mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.62、膜厚:60nm)を設けた。中屈折率層の上に、上記の表層2層用塗布液Aをスロットルダイコーター(図3(A))を用いて塗布し、100℃で1分乾燥した後、窒素パージし、酸素濃度を0.05%にした条件下で紫外線を500mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させ、高屈折率層と低屈折率層を同時に形成して、反射防止フィルム1−1Aを作製した。高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、高屈折率層が屈折率:1.72、膜厚:110nmと低屈折率層が屈折率:1.43、膜厚:90nmとなり、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム1−1Bの作製)
表層2層用塗布液として表層2層用塗布液Bを用い、100℃で乾燥した後に、100度で10分熱硬化させ、その後、窒素パージし、酸素濃度を0.05%にした条件下で紫外線を500mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させた以外は、反射防止フィルム1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−1Bを作製した。表層2層用塗布液より同時に形成された高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、高屈折率層が屈折率:1.72、膜厚:110nmと低屈折率層が屈折率:1.44、膜厚:90nmとなり、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム1−1Cの作製)
表層2層用塗布液として表層2層用塗布液Cを用いた以外は、反射防止フィルム1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−1Cを作製した。表層2層用塗布液より同時に形成された高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、高屈折率層が屈折率:1.72、膜厚:110nmと低屈折率層が屈折率:1.38、膜厚:95nmとなり、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム1−1Dの作製)
表層2層用塗布液として表層2層用塗布液Dを用いた以外は、反射防止フィルム1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−1Dを作製した。表層2層用塗布液より同時に形成された高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、高屈折率層が屈折率:1.69、膜厚:110nmと低屈折率層が屈折率:1.48、膜厚:90nmとなり、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム1−1Eの作製)
表層2層用塗布液として表層2層用塗布液Eを用いた以外は、反射防止フィルム1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−1Eを作製した。表層2層用塗布液より高屈折率層と低屈折率層と低屈折率層の2層は形成されず、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、屈折率:1.63、膜厚:200nmの1層のみが形成された。
(表面自由エネルギーの算出)
パーフルオロオレフィン共重合体(P1)と反応性シリコーンX−22−164Bの混合物、熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)それぞれをMEKに溶かし、塗布、乾燥、硬化し、硬化物を作製し、単独の表面自由エネルギーを求めた。パーフルオロオレフィン共重合体(P1)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)に関しては、固形分濃度5%分の光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を加えた。乾燥、硬化条件は、パーフルオロオレフィン共重合体(P1)と反応性シリコーンX−22−164Bの混合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)に関しては、反射防止フィルム1−1Aの表層2層硬化時と同じ条件、熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)に関しては反射防止フィルム1−1Bの表層2層硬化時と同じ条件とした。表面自由エネルギーは水とヨウ化メチレンの接触角より算出した。
パーフルオロオレフィン共重合体(P1)と反応性シリコーンX−22−164Bの混合物、熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)それぞれの表面自由エネルギーは22.5mN/m、22.0mN/m、49.0mN/mであった。
シリカ分散液A及び分散液Bについて、遠心分離で、粒子を沈降させ、デカンテーションした後、MEK溶剤を添加し、超音波発信機で超音波を2分印加した。その後、遠心分離、デカンテーション、MEK溶剤、US印加を4回繰り返し、その後洗浄した硝子基板上にキャスト、乾燥し、酸化物微粒子の薄膜サンプルを得た。そのサンプルの接触角測定より、表面自由エネルギーを算出したところ、シリカ分散液A及び分散液Bより作製した酸化物微粒子の薄膜はそれぞれ、34.5mN/m、52.0mN/mであった。
(反射防止フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。その結果を表1にまとめる。
(1)積分反射率及び色味
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にて積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。更に、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のa*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
(2)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1] JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2] 得られたフィルムの低屈折率層側の表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3] 上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する2H〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
(4)スチールウール耐傷性評価
スチールウール耐傷性は、ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定、
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、以下のとおりの判定を行った。
A:キズがほとんど気にならない
B:キズが少し気になる
C:キズが非常に気になる
(5)接触角測定
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、純水の接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。
(6)中心線平均粗さ
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
以降、実施例の試料1−1A〜1−1D、1−2A、1−3A、2−1A〜2−1D、2−2A、2−3Aは、それぞれ、参考例の試料1−1A〜1−1D、1−2A、1−3A、2−1A〜2−1D、2−2A、2−3Aに読み替えるものとする。下記表1及び2においても同様である。
また、以降、実施例3〜7は、それぞれ、参考例3〜7に読み替えるものとする。
Figure 0005352644
実施例1−1A〜1−1Dはいずれも良好な反射防止性能を示した。1−1A〜1−1Dの中では1−1Dの反射防止性能がやや劣った。特に好ましくは1−1A、1−1Cであり、最も好ましくは1−1Cであった。比較例1−Eは積分反射率の値が、反射防止されているとは言い難い値を示した。
実施例1−1A〜1−1Eの各試料の切片TEM写真を撮影し、ZrO2粒子の存在状態を確認した。実施例1−1A〜1−1Cはいずれも下部偏在が認められ、粒子の存在する部分と存在しない部分が明確に分かれていた。1−1Dは1−1A〜1−1Cと比較してZrO2粒子存在界面が波打っており、1−1A、1−1Bよりは高屈折率層中の粒子存在が疎であった。1−1EはZrO2粒子の下部偏在が認められず、表層2層形成層中にほぼ均一に分散していた。
実施例1−1Cの試料の切片TEM写真を撮影し、中空シリカ微粒子の存在状態を確認した結果、上部に多く偏在した。
反射防止フィルム1−1Aのハードコート層用塗布液Aの代わりに、ハードコート層用塗布液Bを用いた以外は、反射防止フィルム1−Aと同じ方法で、反射防止フィルム1−2Aを作成した。その結果を表2にまとめる。
Figure 0005352644
反射防止フィルム1−2Aは弱い防眩性が付与され、1−1Aより、反射防止性能が更によくなった。また、25.1%の内部ヘイズが付与され、高精細LCDに用いる場合のギラツキ防止性能や、LCDの視野角特性の改善効果がある反射防止フィルムが得られた。
(反射防止フィルム1−3Aの作製)
同時重層塗布用のダイコーター(図6(A))を用い、スロットル部より、反射防止フィルムハードコート層用塗布液Aを、スライド部より中屈折率用塗布液を、同時にスロットルダイより押し出し、透明支持体上に塗布した以外は1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−3Aを作製した。同時重層塗布したハードコート層と中屈折率層の乾燥・硬化条件は、100℃で2分乾燥後、窒素パージ下酸素濃度を0.1%にした条件下で紫外線を200mJ/cm2照射した。得られた反射防止膜1−3Aは積分反射率が1.3%と1−1Aよりやや劣るものの、良好な反射防止性能が効率的に作製できた。表層2層用塗布液より同時に形成された高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム1−4Aの作製)
同時重層塗布用のダイコーター(図6(A))に更にスライド部が1つ多いダイコーターを用い、スロットル部よりハードコート層用塗布液、2つのスライド部より、それぞれ中屈折率層用塗布液と表層2層用塗布液Aを押し出し、透明支持体上に同時に塗布した以外は1−1Aと同じ方法で反射防止フィルム1−4Aを作製した。同時重層塗布したハードコート層と中屈折率層の乾燥・硬化条件は、100℃で2分乾燥後、窒素パージ下酸素濃度を0.05%にした条件下で紫外線を500mJ/cm2照射した。得られた反射防止膜1−4Aは、積分反射率が1.5%と1−3Aよりやや劣るものの、良好な反射防止性能を示す反射防止フィルムが効率的に作製できた。表層2層用塗布液より同時に形成された高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、光学的に2層に分離していることが確認できた。
[実施例2]
(反射防止フィルムの鹸化処理)
前記各試料1−1A〜1E、2A、3Aについて、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済みの反射防止フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、鹸化処理済みの反射防止フィルム(鹸化処理済み試料1−1A〜1E、2A、3A、4A)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して偏光板を作製した。これらを、試料2−1A〜1E、2A、3A、4Aとする。
また、上記の鹸化処理済みのトリアセチルセルロースフィルムを両面の保護フィルムに用いて偏光板を作製し、これを試料2−5A(比較例)とする。
(偏光板の評価)
作製した偏光板試料2−1A〜1E、2A、3A、4A、5Aを、液晶テレビの視認側の偏光板の代わりとして貼り換えたものを作製した。液晶テレビはシャープ(株)製の『LC−37GD4』(MVA方式)を用いた。
実施例であるサンプル2−1A〜1D、2A、3A、4Aを偏光板として用いた場合は、映り込みの少ない、コントラストのよい映像が得られた。また、表面の反射での色付きがなく、黒が黒く見える良好な映像が得られた。2−2Aを用いた場合は、防眩性により、映り込みがより少なかった。また、視野角特性が改善され、斜め45度方向のコントラスト、階調特性が改善された。比較例である試料2−E、5Aを用いた場合は、反射防止性がなく、強く反射像が移りこみ、表示性能に悪影響を与えた。
[実施例3]
透明支持体として易接着層付きPET(東洋紡製コスモシャインA4100、膜厚188μm)を用いた以外は試料1−1−Aと同じ方法で試料3−1−Aを作製した。前面板なしの42インチプラズマディスプレイ(パイオニア製ダイレクトカラーフィルター方式PDU−42H6A1)の表面フィルムを剥がし、代りに試料3−1−Aを粘着剤で貼り付けたところ、映り込みの少ない、良好な表示性能が得られた。
[実施例4]
試料1−1−Aの低屈折率層と反対側の面にλ/4板を粘着剤で貼り合せ円偏光板(試料4−1−A)を作製した。有機ELディスプレイの表面に低屈折率層が外側になるように試料4−1−Aを粘着剤で貼り付けたところ、映り込みの少ない、良好な表示性能が得られた。
[実施例5]
反射型液晶ディスプレイ及び半透過型液晶ディスプレイの表面の偏光板として、低屈折率層が外側になるように試料4−1−Aを用いたところ、映り込みの少ない、良好な表示性能が得られた。
[実施例6]
実施例3で用いたラズマディスプレイの表面の硝子上に、低屈折率層が外側になるように試料4−1−Aを粘着剤で貼り付けたところ、白輝度は低下したものの、コントラストは著しく向上し、映り込みの少ない、良好な表示性能が得られた。
[実施例7]
(反射防止フィルム7−1Aの作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製、屈折率:1.49)に、上記のハードコート層用塗布液Bを、スロットルダイコーター(図3(A))を用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に窒素パージし、酸素濃度を0.1%にした条件下で紫外線を70mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.52、膜厚:6μm)を形成した。続いて上記の表層2層用塗布液Aをスロットルダイコーター(図3(A))を用いて塗布し、100℃で1分乾燥した後、窒素パージし、酸素濃度を0.05%にした条件下で紫外線を500mJ/cm2照射して、塗布層を硬化させ、高屈折率層と低屈折率層を同時に形成して、反射防止フィルム7−1Aを作製した。
得られた反射防止膜7−1Aの積分反射率は1.0%であった。高屈折率層と低屈折率層の屈折率と膜厚は、形成された膜の分光反射曲線のフィッティングより、高屈折率層が屈折率:1.72、膜厚:110nmと低屈折率層が屈折率:1.43、膜厚:90nmとなり、光学的に2層に分離していることが確認できた。
(反射防止フィルム7−2Aの作製)
同時重層塗布用のダイコーター(図6(A))を用い、スロットル部より、反射防止フィルムハードコート層用塗布液Aを、スライド部よりハードコート層用塗布液Bを、同時にスロットルダイより押し出し、透明支持体上に塗布した以外は7−1Aと同じ方法で反射防止フィルム7−2Aを作製した。乾燥・硬化条件は、100℃で2分乾燥後、窒素パージ下酸素濃度を0.05%にした条件下で紫外線を500mJ/cm2照射した。
得られた反射防止膜7−2A は、積分反射率が2.0%となり、7−1Aより劣るものの、反射防止性能を示すフィルムが作製できた。
反射防止膜7−1A及び7−2Aの各試料の切片TEM写真を撮影し、ZrO2粒子の存在状態を確認した。7−1AのZrO2粒子は膜表面から90nm下に膜厚110nmの層状に偏析しており、分光反射曲線のフィッティングより求めた膜厚110nmと良く対応した。
一方、7−2AのZrO2粒子は膜表面から90nm下に膜厚約500nm程度にわたり層状に分布しており、下層のハードコート層に拡散していることがわかった。実施例1の反射防止膜1−3A及び1−4Aは同時重層塗布時に、表層2層用塗布液中の下部偏析成分と共通のZrO2が下層用塗布液に含有されていることで、同時重層塗布時の反射率の目減りが少ないと推定している。一方、実施例7の反射防止膜7−2Aは、同時重層塗布時に、表層2層用塗布液中の下部偏析成分と共通のZrO2が下層用塗布液に含有されていないため、ZrO2粒子の拡散が大きく、同時重層塗布時の反射率の目減りが大きくなったものと推定している。
1 透明支持体
2 ハードコート層
3 中屈折率層
4 高屈折率層
5 低屈折率層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
L 先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (5)

  1. 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物又は中屈折率層形成用塗布組成物と直接隣接して同時に、下記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物を塗布する工程と硬化する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物と直接隣接して同時に塗布する前記ハードコート層形成用又は中屈折率層形成用塗布組成物が共に共通の無機微粒子を含有する、光学フィルムの製造方法
    30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、該第一の樹脂成分及び/又は該第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物。
  2. 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物、中屈折率層形成用塗布組成物、および前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物の3つの塗布組成物を直接隣接して同時に塗布する工程と硬化する工程を有する請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 透明支持体上にハードコート層形成用塗布組成物又は中屈折率層形成用塗布組成物と直接隣接して同時に、前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物をダイコーターで塗布する工程と硬化する工程を有する請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物が、
    30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、第二の無機微粒子として、屈折率1.46以下の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、該第一の樹脂成分及び/又は該第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、該第二の無機微粒子が該硬化層の上部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物が
    30mN/m以下の表面自由エネルギーをもつ硬化層を形成可能な第一の樹脂成分、該第一の樹脂成分と硬化可能な第二の樹脂成分、平均粒径2nm以上100nm以下の第一の無機微粒子、第二の無機微粒子として、屈折率1.46以下の無機微粒子、及び少なくとも一種の有機溶剤を含有する塗布組成物であって、該第一の樹脂成分及び/又は該第二の樹脂成分は電離放射線硬化性官能基を有し、該塗布組成物は、硬化させることにより硬化層を形成し、該第一の無機微粒子が該硬化層の下部に偏在し、該第二の無機微粒子が該硬化層の上部に偏在して、屈折率の異なる上層と下層とを形成する塗布組成物であって、
    前記第一の樹脂成分は、熱硬化型又は電離放射線硬化型の含フッ素化合物であり、
    前記第二の無機微粒子が、含フッ素のオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、または該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物によって表面処理されており、
    前記第二の樹脂成分の表面自由エネルギーが、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーより大きく、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーと前記第二の樹脂成分の表面自由エネルギーの差が、5mN/m以上であり、
    前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーが、前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーより大きく、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーと前記第一の樹脂成分の表面自由エネルギーの差が、10mN/m以上であり、
    前記第二の無機微粒子の表面自由エネルギーが、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーより小さく、前記第一の無機微粒子の表面自由エネルギーと前記第二の無機微粒子の表面自由エネルギーの差が、5mN/m以上である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
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