JP2007197624A - ノルボルネン化合物付加重合体及びそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ノルボルネン化合物単量体の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であり、炭素及び水素のみから構成され全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の繰返し単位(a)と、炭素及び水素のみから構成され全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰返し単位(b)との総和が全繰返し単位の70モル%以上であって、繰返し単位(a)/繰返し単位(b)のモル比が10/90〜98/2の範囲内にあるノルボルネン化合物付加重合体。
【選択図】 なし
Description
透明樹脂を光学材料用途に用いるに当っては、透明性以外にも耐熱性、耐薬品性、低吸水性等の面において非常に高い性能が求められている。例えば、表示素子基板の製造においては、金属又は金属酸化物薄膜を積層させる工程で高温での加工が必要であるが、熱による基板の変形や吸水による寸法変動等が大きな問題となる。ところが、従来、光学材料に用いられているアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂は、耐熱性が低く吸水性が大きいという欠点を有していて満足すべきものではなかった。
環状オレフィン付加重合体、特に、ポリノルボルネンは、ガラス転移温度が250℃以上と高いので、高温加工時の耐熱変形性に優れた材料である。しかも、ポリノルボルネンは吸湿性が極めて低いので使用環境での湿度変化に対する寸法安定性に優れ、更に、線膨張率が55ppm程度と低いので熱変動に対する寸法安定性に優れるという特徴を有している。
しかしながら、ポリノルボルネンは、一般溶剤に対する溶解性が低いため、キャスト法によるフィルム成形ができないという問題点があった。
しかしながら、(1)のノルボルネン/エチレン共重合体については、ガラス転移温度が200℃以上の重合体を製造するのは困難で、しかも線膨張率が70〜100ppm程度に高くなるという問題点があった。(2)の直鎖状炭化水素基を有する置換ノルボルネンとの付加共重合体も同様に、ガラス転移温度の低下と線膨張率の上昇という問題点を有している。また、(3)の特定の環状飽和炭化水素基を有するノルボルネン化合物との付加共重合体は、そのような特定のノルボルネン化合物の合成が面倒で実用的でない上、必ずしも一般溶剤に対する溶解性が改善されるとは限らない。更に、(4)の極性基を有するノルボルネン共重合体としては、極性基としてエステル基やシリル基を有するノルボルネン化合物との共重合体が例示されているが、吸水性が高くなるという問題点があり、また線膨張率も大きく上昇するという課題があった。
繰返し単位(a):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の繰返し単位。
繰返し単位(b):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位。
繰返し単位(c):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の官能基のみで又は炭素数が2以下の官能基及び炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位。
また、本発明のノルボルネン化合物付加重合体において、繰返し単位(a)が、2−ノルボルネン単量体の繰返し単位又はテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単量体の繰返し単位であることが好ましい。
また、本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、好適には、0.1重量%以下の吸水率を有する。
上記の成形品は、好適には、シート又はフィルムである。
上記シート又はフィルムは、透明導電膜が積層されたものであってもよい。
上記シート又はフィルムは、ガスバリア膜が積層されたものであってもよい。
また、上記の成形品は、光学用に好適に使用される。
また、上記の成形品は、表示素子用部材に好適に使用される。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、ノルボルネン化合物単量体の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であり、下記繰返し単位(a)と繰返し単位(b)の総和が全繰返し単位の70モル%以上であって、繰返し単位(a)と繰返し単位(b)とのモル比[(a)/(b)]が10/90〜98/2の範囲内にあるノルボルネン化合物付加重合体である。
繰返し単位(a)は、炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の繰返し単位である。
このような繰返し単位(a)は、例えば、一般式(1)で示される繰返し単位を挙げることができる。
ここで、環構造の具体例としては、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、シクロオクタン環、シクロオクテン環、ノルボルナン環等の環及びこれらの環が複数個縮合した多環構造が含まれる。
繰返し単位(b)は、炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位である。
このような繰返し単位(b)の例としては、一般式(3)で示される繰返し単位を挙げることができる。
繰返し単位(c)は、炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の官能基のみで又は炭素数が2以下の官能基及び炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位である。
ここで、炭素数が2以下の官能基とは、官能基自体の炭素数が2以下のもののほか、炭素数が2以下の炭化水素基の水素をそれ自体の炭素数が2以下の官能基で置換した構造を有する基であって全炭素数が2以下のもの及びそれ自体の炭素数が2以下の官能基の水素を炭素数が2以下の炭化水素基で置換した構造を有する基であって全炭素数が2以下のものをも包含する概念である。
このような繰返し単位(c)の例としては、例えば、一般式(5)で示される繰返し単位を挙げることができる。
炭素数が1か2の炭化水素基は、一般式(3)のR5〜R8と同様である。
炭素数が2を超える官能基(例えば、トリエトキシシリル基)を置換基として有するノルボルネン化合物単量体の繰返し単位を有するものを用いると、吸水率及び線膨張率が大きくなる。
Mwが50,000より低いと機械的特性に劣り、1,000,000より大きいと溶液粘度が高くなり、取り扱いが困難となる恐れがある。
また、数平均分子量(Mn)は、10,000〜600,000が好ましく、50,000〜400,000が特に好ましい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、好適には、0.1重量%以下、より好ましくは0.08重量%以下、更に好ましくは0.06重量%以下の吸水率を有する。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体を得るためには、一般式(2)で表されるノルボルネン化合物(A)及び一般式(4)で示されるノルボルネン化合物(B)を必須成分とし、必要に応じて、一般式(6)で示されるノルボルネン化合物(C)を含有するノルボルネン化合物単量体混合物を、重合触媒の存在下に付加重合させればよい。
具体例としては、特表平11−505880号公報記載の[6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェート等の重合触媒;国際公開第2000/20472号パンフレット記載の(アリル)パラジウムクロリドダイマー/トリシクロヘキシルホスフィン/リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート・2.5エーテル等の重合触媒;特開2001−098035号公報記載の(フェニル)パラジウムビス(トリフェニルホスフィン)イオダイド/メチルアルミノキサン等の重合触媒;等の第10族遷移金属触媒からなる重合触媒を好適なものとして挙げることができる。
水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の第8〜10族遷移金属又はその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒;コバルト、ニッケル、パラジウム等の第4〜10族金属の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウム又は有機リチウムとの組合せ;ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の錯体等の均一触媒;等が用いられる。
触媒の除去方法としては、シリカ、アルミナ、活性炭等の吸着剤により吸着除去する方法;イオン交換樹脂により除去する方法;キレート剤を加えて触媒残渣を不溶化させてろ過する方法;重合体溶液を多量のメタノール、アセトン等の貧溶媒に添加して凝固する方法;等を挙げることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、これを成形して、光学部品、電気絶縁部品、電気・電子部品、電子部品封止剤、医療用器材、包装材料等の成形品とすることができる。
本発明の成形品の形態は、特に限定されないが、シート及びフィルムが代表的である。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、単独で成形品としてもよく、他の透明樹脂(例えば、環状オレフィン付加重合体、水素化された環状オレフィン開環重合体、α−オレフィンと環状オレフィンとの付加共重合体、結晶性のα−オレフィン重合体、更にゴム状のエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体、水素化されたブタジエン重合体、水素化されたブタジエン・スチレンブロック共重合体、水素化されたイソプレン重合体等)と、任意の割合で、併用してもよい。
このような添加剤としては、充填材、酸化防止剤、蛍光体、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を例示することができる。
蛍光体は、光を受けて励起し、励起波長よりも長い波長の光を発光するものであり、例えば、光学素子を封止する場合に、光学素子が発光する青色領域から紫外線領域の波長を受けて、可視領域の波長を発光させるのに用いられる。
これらの添加剤の配合方法は、特に限定されない。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品を得るには、公知の成形方法によればよい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、有機溶媒に容易に溶解する。従って、その有機溶媒溶液を、スチールベルトやキャリアーフィルム等の上に塗工又は流延し、その後、乾燥工程を経て成形品を得る溶液キャスト法により、フィルム又はシートとすることができる。
また、有機溶媒で本発明のノルボルネン化合物付加重合体を膨潤させた後、押出機で溶媒を蒸発させながら、該重合体をフィルム又はシートに成形・加工することもできる。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体を他の熱可塑性樹脂と配合した重合体ブレンド組成物とし、これから、溶融押出機等を使用する溶融押出法により、フィルム又はシートとすることもできる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるフィルム又はシートは、透明導電膜を積層したもの(「透明導電膜積層フィルム又はシート」ということがある。)であってもよい。
具体的には、無機酸化物、無機窒化物又は無機硫化物等の無機物(例えば、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛等)を用いて、真空製膜法(例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD法)等の製膜法により、透明導電膜を積層する。
透明導電膜の膜厚は、50〜4,000Åの範囲内で適宜選択することが可能である。
上記硬化樹脂被膜を形成させる方法としてはグラビアコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法等があるが、いずれの方法を用いてもよい。
ガスバリア層の膜厚は、無機材料の場合100〜2,000Å、有機材料の場合は500〜10,000Åにすることが望ましい。
これらの無機材料は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱法、CVD法等の公知の手段により製膜することができる。また、有機材料の場合は、これを溶剤に溶解し、前記のようなコーティング法によって塗布して乾燥することにより製膜することができる。
また、フィルム又はシートとガスバリア層との間に接着層を設けてもよい。
更に、ガスバリア層上に、これを保護するための保護コート層を積層してもよい。保護コート層は、前記接着層と同様の方法によって製膜することが好ましい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシートもしくはフィルム又は本発明の透明導電膜積層フィルムもしくはシートからなるカラーフィルター用基板の上にカラーフィルター層を積層することにより、カラーフィルターを得ることができる。積層方法としては、公知の顔料分散法、染色法、電着法、印刷法、転写法等を用いることができる。
例えば、顔料分散法では、本発明のカラーフィルター用基板上に、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステン合金等の金属遮光膜によりブラックマトリックスを形成し、次いで、赤色の顔料を分散させた感光性樹脂組成物(カラーレジスト)をスピンコート法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等により全面に塗布し、マスクを介して露光し、露光後に現像を行い、赤色画素を形成する。同様の手順で、青色及び緑色の画素についても塗布、露光及び現像を行い、3色の画素を形成させる。なお、3色の画素を形成する順番には、特に決まりはなく、任意に選択される。各画素間のブラックマトリックス部が凹(へこ)みとなる場合は、平滑化のために表面をエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の透明樹脂で被覆して保護膜を形成してもよい。また、ブラックマトリックスを形成する際にも、上記した顔料分散法を採用してもよい。具体的には、黒色顔料を分散させた感光性樹脂(ブラックレジスト)を塗布、露光及び現像してもよい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、レジスト、インク、現像液等の薬品に対して高い耐性を有するので、カラーフィルター積層工程で、基板が変形したり、クラックが発生したりすることがない。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品は、カラーフィルター用基板のほか、導光板、保護フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVD等の光学記録基板、TFT用基板、液晶表示基板、有機EL表示基板等や光伝送用導波路、光学レンズ類、封止材等の光学部品として、好適に使用することができる。
なかでも、表示素子用部材、具体的には、カラーフィルター用基板、導光板、保護フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、TFT用基板、液晶表示基板、有機EL表示基板等に好適に用いることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるフィルムは、耐熱性に優れ、寸法安定性に優れるため、半田付け工程によって、熱変形することがなく、熱劣化による機械的特性の低下がないので、電気絶縁部品として最適である。
電気絶縁部品としては、電線・ケーブルの被覆材料、コンピューター、プリンター、複写機等のOA機器の絶縁材料、フレキシブルプリント基板の絶縁部品等を挙げることができる。特に、フィルム又はシートの形態の電気絶縁部品はフレキシブルプリント基板として好適に用いられる。
電気・電子部品としては、容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーション・フィルム、洗浄容器、パイプ、チューブ等や、半導体素子、光学素子(発光ダイオード等)の封止材、集積回路の封止材、オーバーコート材等に用いられる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、吸水率が低く、耐熱性、透明性及び電気特性に優れるので、電子部品の封止材として有用である。電子部品としては、CPU、DRAM等の半導体チップを含む集積回路部品;ダイオード、トランジスタ、発光素子(LED等)等の半導体部品;抵抗器、コンデンサ、インダクタ、セラミックフィルター、サーミスタ等の一般電子部品を挙げることができる。中でも、青色LED素子、紫外発光LED素子や白色LED素子等のLED素子封止材、特にこれらの面実装型LEDの封止材として好ましい。
医療用器材としては、薬品容器、アンプル、シリンジ、輸液用バッグ、サンプル容器、試験管、採血管、滅菌容器、パイプ、チューブ等に用いられる。
また、実施例及び比較例中の試験及び評価は以下の方法で行った。
テトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定する。
(2)重合体の共重合比
1H−NMR測定により求める。
(3)吸水率
フィルム片を23℃の水中に24時間浸漬させた後の重量変化より求める。
(4)ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度で測定する。動的粘弾性の測定は、DMS6100(セイコーインスツルメント社製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が5℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が5.0μmのものを用いて貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度を測定する。
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SDTA840(メトラー・トレド社製)を用い、試験片形状として膜厚100μm、縦15.4mm、横5.95mmにしたフィルム片を直立、固定し、プローブにより、1g重の荷重をかける。フィルムの熱履歴を除去するため、室温から300℃まで5℃/minで一旦昇温した後、室温まで降温して、再度、室温から5℃/minで昇温して、30℃〜250℃間のフィルム片の伸びの傾きから線膨張率を求める。
(6)全光線透過率
膜厚100μmのフィルムについて、紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400から700nmの範囲で測定する。
(ノルボルネン化合物付加重合体(A)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、2−ノルボルネン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチル−2−ノルボルネン(E0NB;分子量=122)915部、分子量調整剤としてスチレン1,300部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(A)2,462部を得た。
得られた共重合体(A)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(A)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は140,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は502,000、共重合体(A)中のNB単位/E0NB単位組成比は、71/29(モル/モル)であった。共重合体(A)の特性の評価結果を表1に示す。
(ノルボルネン化合物付加重合体(B)の合成)
単量体を2−ノルボルネン(NB;分子量=94)1,175部及び5,6−ジメチル−2−ノルボルネン(DMNB;分子量=122)1,525部に変更するほかは、実施例1と同様にして、共重合体(B)2,027部を得た。
得られた共重合体(B)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(B)のMnは117,000、Mwは377,000、共重合体(B)中のNB単位/DMNB単位組成比は、52/48(モル/モル)であった。共重合体(B)の特性の評価結果を表1に示す。
(ノルボルネン化合物付加重合体(C)の合成)
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(TCD;分子量=160)1,200部、5−エチリデン−2−ノルボルネン(E2NB;分子量=120)2,100部、分子量調整剤としてスチレン521部及び重合溶媒としてトルエン7,700部を仕込み、実施例1で用いたと同様の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で2時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(C)2,014部を得た。
得られた共重合体(C)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(C)のMnは158,000、Mwは355,000、共重合体(C)中のTCD単位/E2NB単位組成比は、27/73(モル/モル)であった。共重合体(C)の特性の評価結果を表1に示す。
(ノルボルネン化合物付加重合体(D)の合成)
単量体を2−ノルボルネン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチル−2−ノルボルネン(E0NB;分子量=122)460部及び5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン(MCNB;分子量=152)570部に変更するほかは、実施例3と同様にして、共重合体(D)2,300部を得た。得られた共重合体(D)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(D)のMnは221,000、Mwは582,000、共重合体(D)中のNB単位/E0NB単位/MCNB単位組成比は、71/16/13(モル/モル/モル)であった。共重合体(D)の特性の評価結果を表1に示す
(ノルボルネン化合物付加重合体(E)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、N,N’−ビス−(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド8.2部及びアルミニウム分が9.0%であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液825部を入れ、続けてトルエン500部を加え触媒液を調製した。次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、2−ノルボルネン(NB;分子量=94)2,360部、重合溶媒としてトルエン4,000部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始し、60℃で1時間反応させたところ、重合体が析出して重合溶液は固化した。固化した重合反応液を多量のメタノール中に入れ、細かく砕いて、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体(E)2,300部を得た。
得られた重合体(E)はトルエン、クロロホルム等に不溶であったため、分子量を測定できなかった。重合体(E)の特性の評価結果を表1に示す。
(ノルボルネン化合物付加重合体(F)の合成)
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、2−ノルボルネン(NB;分子量94)1,175部、5−ヘキシル−2−ノルボルネン(HNB;分子量=178)2,230部、重合溶媒としてトルエン4,000部を仕込み、比較例1で用いたと同様の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で2.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(F)2,834部を得た。
得られた共重合体(F)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(F)のMnは134,000、Mwは314,000、共重合体(F)中のNB単位/HNB単位組成比は、51/49(モル/モル)であった。共重合体(F)の特性の評価結果を表1に示す
(ノルボルネン化合物付加重合体(G)の合成)
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、5−エチリデン−2−ノルボルネン(E2NB;分子量=120)2,400部、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン(NBSET;分子量=256)1,280部、分子量調整剤としてスチレン521部及び重合溶媒としてトルエン8,600部を仕込み、実施例1で用いたと同様の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で3時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(G)2,905部を得た。
得られた共重合体(G)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(G)のMnは195,000、Mwは475,000、共重合体(G)中のE2NB単位/NBSET単位組成比は、88/12(モル/モル)であった。共重合体(G)の特性の評価結果を表1に示す。
実施例1〜4及び比較例2〜3で得られたそれぞれの重合体の10重量%トルエン溶液を、平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、室温で24時間、空気気流下において、トルエンを蒸発除去した後、80℃で24時間、真空乾燥して、膜厚100μmのフィルムを得た。
得られたフィルム片のガラス転移温度、吸水率、線膨張率及び光線透過率を測定した結果を表1に示す。
*1:2−ノルボルネン
*2:テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
*3:5−エチル−2−ノルボルネン
*4:5,6−ジメチル−2−ノルボルネン
*5:5−エチリデン−2−ノルボルネン
*6:5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン
*7:5−ヘキシル−2−ノルボルネン
*8:5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン
これに対して、本発明のノルボルネン化合物付加重合体のフィルムは、ガラス転移温度が高く、吸水率が低く、線膨張率が低いことが分かる(実施例1〜4、5〜6)。
Claims (12)
- ノルボルネン化合物単量体の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であり、下記繰返し単位(a)と繰返し単位(b)の総和が全繰返し単位の70モル%以上であって、繰返し単位(a)と繰返し単位(b)とのモル比[(a)/(b)]が10/90〜98/2の範囲内にあるノルボルネン化合物付加重合体。
繰返し単位(a):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の繰返し単位。
繰返し単位(b):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位。 - ノルボルネン化合物単量体の繰返し単位(a)及び(b)のほかに、下記ノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位(c)を有する請求項1に記載のノルボルネン化合物付加重合体。
繰返し単位(c):炭素及び水素のみから構成されており全ての炭素が縮合環骨格の構成に関与しているノルボルネン化合物単量体の水素の一部を、炭素数が2以下の官能基のみで又は炭素数が2以下の官能基及び炭素数が2以下の炭化水素基のみで置換した構造を有するノルボルネン化合物単量体の繰り返し単位。 - 繰返し単位(b)における炭素数が2以下の炭化水素基が、炭素数が2以下のアルキル基である請求項1又は2に記載のノルボルネン化合物付加重合体。
- 繰返し単位(a)が、2−ノルボルネン単量体の繰返し単位又はテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単量体の繰返し単位である請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン化合物付加重合体。
- 線膨張率が75ppm/℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載のノルボルネン化合物付加重合体。
- 吸水率が0.1重量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のノルボルネン化合物付加重合体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品。
- シート又はフィルムである請求項7に記載の成形品。
- 透明導電膜が積層されたシート又はフィルムである請求項8に記載の成形品。
- ガスバリア膜が積層されたシート又はフィルムである請求項8又は9に記載の成形品。
- 光学用である請求項7〜10のいずれかに記載の成形品。
- 表示素子用部材である請求項11に記載の成形品。
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