JP2004269917A - 部分めっき方法 - Google Patents

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順司 小出村
Yutaka Kato
豊 加藤
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Abstract

【課題】1種類以上の脂環式オレフィンを1種類以上のメタセシス触媒存在下で塊状重合して得られた塊状重合体に対する部分めっき方法を提供する。
【解決手段】1種類以上の脂環式オレフィンを1種類以上のメタセシス触媒存在下で塊状重合して得られた塊状重合体からなる成形体表面に、金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させる工程と、その後で該パターン上に無電解めっきする工程とを有する部分めっき方法。特に塊状重合体として、極性基含量の低いものが、低誘電正接材料として好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面にパターン状の金属層を形成する部分めっき法に関し、より詳しくは基材と金属層との密着性に優れた部分めっき法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のバンパーなどの汎用エンジニアリングプラスチック基材は装飾目的で、又は半導体デバイス、半導体デバイス実装部品、各種パネル表示装置、ICカード、光デバイス等の電気・電子部品では絶縁樹脂基材表面の導体形成目的で、樹脂製の成形体表面に、微細パターン化された金属層を形成している。
従来、こうした微細パターン化された金属層を形成する方法として、成形体の全面にめっき触媒であるパラジウム(Pd)を付着させた後に、無電解めっきにより金属薄膜層を形成した後、マスクパターンを介して電解めっきによって金属を成長させ、次いで不要な金属薄膜層を除去する方法が採用されている。しかしながら、この方法は、不要な金属薄膜を除去する際に、用いる薬剤による金属層の腐食が問題となっている。
【0003】
近年、この問題点を改善する目的で、成形体に直接パターン状の無電解めっきを行い、必要に応じてその上に電解めっきを行う部分めっき方法が検討されている。例えば、特開平7−263841号公報には、ガラスエポキシ樹脂の成形体表面にインクジェット印刷機でPd化合物を含有する水性インクのパターン形成を行った後に無電解めっきを施す部分めっき方法が提案されている。また、特開2002−26014号公報には、ポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールなどの親水性樹脂の成形体表面にインクジェット印刷機でPd化合物含有液体を吐出乾燥しパターン形成した後に無電解めっきする方法が開示されている。更に、特開2002−26491号公報には、インクジェット印刷機で帯電したPd化合物の含有液を逆方向に帯電したポリイミドやエポキシ樹脂の成形体上に噴射してパターン形成する方法が開示されている。
【0004】
ところで、近年、携帯電話や無線LANカードなど等の無線通信機器の需要が高まっている。これらの無線通信機器に使用されるアンテナは、通信速度や通信精度など通信性能を左右する最も重要な部品である。このアンテナは、プリント配線板を用いて製造される。従来からプリント配線板の製造に用いられる電気絶縁樹脂として、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などが広く使用されている。このほか、低誘電率で耐熱性のある樹脂として、官能基を有する脂環式オレフィン樹脂をプリント配線板の製造に用いると、良好な電気絶縁層が得られることが知られている(特開2002−111229号公報)。
現在、携帯端末用の電子部品用の電気絶縁材料には、低誘電正接であることが求められ、誘電正接1Gヘルツの信号に対する誘電正接は10−4オーダーのものが多く検討されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−263841号公報
【特許文献2】
特開2002−26014号公報
【特許文献3】
特開2002−26491号公報
【特許文献4】
特開2002−111229号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術のもと、本出願人は、1種類以上の脂環式オレフィンと1種類以上のメタセシス触媒とを含む重合組成物を塊状重合して得られる重合体からなる成形体を電気絶縁層にすると、高い信号周波数でも低い誘電正接を維持できることを見いだした(特願2003−10967号等)。そして、この重合体からなる成形体上に、パターン状の金属層を無電解めっき法によって形成するに当たり、無電解めっきをする前に金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させると、電気絶縁層と金属層との高い密着性が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、1種類以上の脂環式オレフィンを1種類以上のメタセシス触媒存在下で塊状重合して得られた塊状重合体からなる成形体表面に、金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させる工程と、その後該パターン上に無電解めっきする工程とを有する部分めっき方法が提供され、またこの方法で部分めっきすることにより導体層が形成されたプリント配線板が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる脂環式オレフィンとしては、分子内に脂環式構造を有するオレフィンであれば格別な制限がなく、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロアルケン;1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンなどの脂環式ジエン;ノルボルネン系単量体などが挙げることができる。脂環式オレフィンは、これらの中でもノルボルネン系単量体が機械的強度、誘電特性及び耐熱性に優れ好適である。
脂環式オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0009】
ノルボルネン系単量体としては、分子内にノルボルナン構造を有する単量体であり、例えば、炭素−炭素不飽和結合を1個だけ有するノルボルネン系単量体、炭素−炭素不飽和結合を2個以上有するノルボルネン系単量体に分類できる。これらのノルボルネン系単量体は、使用目的に応じて選択されるが、機械的強度や耐熱性と電気特性とをバランスさせるため、誘電正接を低くすることができる極性基を有しないノルボルネン系単量体が好適に用いられ、特に炭素−炭素不飽和結合を2個以上有し、極性基を有しないノルボルネン系単量体が好適に用いられる。
【0010】
炭素−炭素不飽和結合を2個以上有し、極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどの単量体が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合を1個だけ有する、極性基を有しないノルボルネン系単量体としては、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、ジヒドロジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、などの単量体を挙げることができる。
【0011】
もちろん、本発明においては、これらの極性基を有しないノルボルネン系単量体以外の単量体を併用することができる。そのような単量体としては、例えば、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリルなどが挙げられる。
【0012】
メタセシス重合触媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、遷移金属原子を中心原子として、これに複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体を挙げることができる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性に優れるため少量の触媒量で塊状メタセシス重合が可能となり、誘電特性等の電気特性への触媒の影響を最小限にすることができ好適である。ルテニウムカルベン錯体は、また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能となる特性を有する。
ルテニウムカルベン錯体としては、例えば、下記の一般式(1)又は一般式(2)で表されるものを好適に用いることができる。
【0013】
【化1】
Figure 2004269917
【0014】
【化2】
Figure 2004269917
【0015】
一般式(1)及び(2)において、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X、Xは、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。
、Lはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又は中性電子供与性化合物を表す。なかでも、重合反応速度の温度依存性が大きく、低温での保存安定性と高温での重合反応性に優れた成形材が得られることから、ヘテロ原子含有カルベン化合物が好ましい。
【0016】
また、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子などが好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、更にカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
【0017】
一般式(1)で表されるルテニウムカルベン錯体化合物の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;などを挙げることができる。
【0018】
一般式(2)で表されるルテニウムカルベン錯体化合物の具体例としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどを挙げることができる。
これらのメタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。メタセシス重合触媒の使用量は、触媒中の金属原子:脂環式オレフィンのモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
【0019】
メタセシス重合触媒は、必要に応じて少量の不活性溶媒に溶解して使用することができる。かかる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、触媒の溶解性に優れ工業的に汎用な、芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素などの使用が好ましい。
【0020】
メタセシス重合触媒は、必要に応じて、重合添加率を向上させる目的で活性剤(共触媒)を併用することができる。活性剤としては、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの活性剤は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合わせて用いることができる。活性剤の使用量は、メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
【0021】
本発明において、塊状重合する際、上記脂環式オレフィンとメタセシス重合触媒とは必須成分であるが、必要に応じて、連鎖移動剤、架橋剤、架橋助剤、架橋遅延剤、及びその他の成分を添加することができる。
連鎖移動剤と架橋剤とを配合することにより、少なくとも成形体表面(部分めっきを施す面)付近が、未硬化の熱可塑性重合体からなる成形体を得ることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、炭素−炭素二重結合を有する化合物を用いることができる。その具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベンなどの芳香族オレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式オレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;式:CH=CH−Qで表される化合物(式中、Qはメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニルシリル基、エポキシ基及びアミノ基から選ばれる基を少なくとも一つ有する基を示す。);が挙げられる。これらの化合物の中でも、式:CH=CH−Qで表される化合物を用いると、Qがポリマー末端に導入され、架橋時に末端のQが架橋に寄与するので架橋密度を上げることができるので好ましい。
【0022】
式:CH=CH−Qで表される化合物の具体例としては、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリルなどの、Qがメタクリロイル基を有する基である化合物;アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸1−メチル−3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレートなどの、Qがアクリロイル基を有する基である化合物;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシランなどの、Qがビニルシリル基を有する基である化合物;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどの、Qがエポキシ基を有する基である化合物;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどのQがアミノ基を有する基である化合物;などが挙げられる。
【0023】
連鎖移動剤の添加量は、前記脂環式オレフィン全量に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。連鎖移動剤の添加量がこの範囲であるときに、重合反応率が高く、しかも後に詳述する未硬化の熱可塑性重合体を効率よく得ることができる。連鎖移動剤の添加量が少なすぎると、熱可塑性重合体とならない場合がある。逆に添加量が多すぎると、架橋が困難になる場合がある。
【0024】
架橋剤は、重合体の分子内又は分子間に新たな結合を生じさせるものである。架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。本発明においては、塊状重合体のどの構造を利用して架橋させるかにより、用いる架橋剤を使い分けることができる。脂環式オレフィンである炭素−炭素不飽和結合が2個以上ある、極性基を有しないノルボルネン系単量体を用いて得られた塊状重合体を架橋するには、炭素−炭素二重結合部分で架橋させることのできるラジカル発生剤を使用するのが好適である。
架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物やジアゾ化合物などが挙げられる。有機過酸化物としては特に限定されないが、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナートなどのケトンペルオキシド類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド;などが挙げられる。中でも、メタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0026】
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
【0027】
エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;などの分子内に二以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子内に二以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
【0028】
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの分子内に二以上のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
酸無水物基含有化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロペリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0029】
ルイス酸としては、例えば、四塩化珪素、塩酸、硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタンなどの脂肪族ジアミン類;トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホンなどの芳香族アミン類;などの分子内に二以上のアミノ基を有する化合物が挙げられる。
【0030】
架橋剤の使用量は特に限定されず、用いる架橋剤の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合には、架橋剤の使用量は、脂環式オレフィン100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。また、架橋剤としてエポキシ化合物を使用する場合には、脂環式オレフィン100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。架橋剤の添加量があまりに少ないと架橋が不十分となり、高い架橋密度の架橋重合体が得られなくなるおそれがある。使用量が多すぎる場合には、架橋効果が飽和する一方で、所望の物性を有する塊状重合体が得られなくなるおそれがある。
【0031】
また本発明においては、架橋効果を向上させるために、架橋助剤を架橋剤とともに併用することができる。架橋助剤としては、公知の架橋助剤、例えば、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。架橋助剤の使用量は特に制限されないが、脂環式オレフィン100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
【0032】
更に本発明においては、架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合には、重合組成物にラジカル架橋遅延剤を含有させるのが好ましい。ラジカル架橋遅延剤は、一般的にラジカル捕捉機能を有する化合物であり、ラジカル発生剤によるラジカル架橋反応を遅らせる効果を有するものである。重合組成物にラジカル架橋遅延剤を添加することにより、後述する、少なくとも部分めっきを施す面付近が未硬化の熱可塑性重合体からなる成形体を容易に得ることができる。
【0033】
用いるラジカル架橋遅延剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、4−エトキシフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチルー4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのアルコキシフェノール類;ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノンなどのヒドロキノン類;カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコールなどのカテコール類;ベンゾキノン、ナフトキノン、メチルベンゾキノンなどのベンゾキノン類;などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシフェノール類、カテコール類、ベンゾキノン類が好ましく、アルコキシフェノール類が特に好ましい。
ラジカル架橋遅延剤の使用量は、ラジカル発生剤1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜1モルである。
【0034】
更に、塊状重合に際しては、上述した以外のその他の添加剤を添加することができる。その他の添加剤としては、例えば強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などが挙げられる。
その他の添加剤の使用量は、脂環式オレフィン100重量部に対して、通常0.001〜100重量部である。
【0035】
強化材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス布、紙基材、ガラス不織布などが挙げられる。改質剤としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物などのエラストマーなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
【0036】
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、例えば、ガラス粉末、カーボンブラック、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、雲母、アルミナ、二酸化チタン、ジルコニア、ムライト、コージライト、マグネシア、クレー、硫酸バリウム等の無機質充填材、木粉、ポリエチレン粉等の有機充填材を使用できる。また、黒鉛粉、木炭粉、竹炭粉、金属粉等を使用すると導電性や電磁波遮蔽性を向上させることができる。チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、ジルコン酸鉛等の粉末を使用すると比誘電率を増大させることができる。Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等のフェライト、カルボニル鉄、鉄−珪素系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金、鉄−ニッケル系合金等の強磁性金属粉等を使用すると強磁性を付与することができる。また、充填材は、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
【0037】
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黄鉛、酸化鉄黄色、二酸化チタン、酸化亜鉛、四酸化三鉛、鉛丹、酸化クロム、紺青、チタンブラックなどが挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0038】
本発明に関わる塊状重合体は、以上に説明したような成分を含有する重合組成物を調製し、該組成物を塊状重合することにより得られる。塊状重合体の重合転化率は、金属パターンとの密着性の観点から、通常80%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上のものである。ここで重合転化率は、実施例の方法に従って算出された値である。
また塊状重合体は、極性基を有しないノルボルネン系単量体を多く用いて得られる極性基含量の低い塊状重合体は低誘電正接材料となるので好ましい。極性基の低い樹脂成形体へのめっきによる金属層形成は困難と言われているが、本発明によれば、金属配位能を有する化合物を付着させるため、極性基含量の低い塊状重合体からなる成形体への金属層形成も容易となる。
ここで極性基含量の低い塊状重合体とは、重合体の全構造単位のモル数に対して、極性基が通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下のものである。
【0039】
塊状重合反応は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、前記重合組成物を重合型に注入する場合は、通常脂環式オレフィンからなるモノマー液と、メタセシス重合触媒を含む触媒液とを別々に調製し、重合反応直前に混合して、重合組成物を調製する。架橋剤、連鎖移動剤、充填剤及びその他の配合剤は、モノマー液、触媒液又は重合組成物に配合される。
【0040】
重合組成物を調製する方法に特に制約はないが、例えば、脂環式オレフィンを含む重合性単量体からなるモノマー液と、メタセシス重合触媒を前述した不活性溶媒に溶解若しくは分散させた触媒液とを別々に調製し、反応させる直前に混合して調製する方法が挙げられる。この場合、連鎖移動剤、架橋剤及びその他の添加剤は、それぞれ独立に、モノマー液に添加してもよいし、触媒液に添加してもよい。また、これらを、モノマー液と触媒液とを混合した後に添加することもできる。
【0041】
塊状重合反応は、例えば成形型内で行われる。
ここで用いる成形型としては、例えば、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型などを挙げることができる。成形型の空隙部(キャビティー)に重合組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。また、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚みのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に反応液を注入することにより、シート状又はフィルム状の樹脂成形体を得ることができる。
【0042】
重合組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.01〜10MPaの範囲内である。重合組成物は、それを構成する各成分を型に注入する前に混ぜて得てもよいし、型に各成分を注入して型内で混ぜて得てもよい。
【0043】
塊状重合反応は、成形型内に重合組成物を注入された後、急激に進行する。塊状重合反応は、発熱反応であり、反応が一旦開始すると温度は急激に上昇し、反応が進行する。塊状重合反応時の最高到達温度を調整することにより重合反応を調整できる。本発明においては、塊状重合体の揮発成分を低減することが無電解めっき膜との密着性を向上させることができる。また、塊状重合反応は、通常自己発熱のみで行うが、重合反応が進まない場合は重合型温を上げて対応する。重合型温度は、通常50〜250℃、好ましくは60〜200℃で前記熱可塑の成形基材を製造する場合は、反応開始温度の高い架橋剤を選定し、通常重合反応を制御しないで行うことができる。塊状重合反応時間は、通常数秒〜数十分である。重合反応のみを進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、塊状重合のピーク温度を、好ましくは200℃未満に制御することが好ましい。前記架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合には、塊状重合時のピーク温度を前記ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
【0044】
塊状重合体を得る方法として、上述したような重合組成物を型内に注入し塊状重合する方法以外に、例えば、(a)前記重合組成物を支持体上に注ぐか又は塗布し、塊状重合する方法や、(b)重合組成物を繊維強化材に含浸させた後、塊状重合する方法が挙げられる。
【0045】
(a)の方法によれば樹脂フィルムが得られる。ここで用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
【0046】
重合組成物の支持体表面への塗布方法は特に制限されず、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
【0047】
重合組成物を所定温度に加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に支持体を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。以上のようにして得られる樹脂フィルムの厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
【0048】
(b)の方法によれば、樹脂含浸プリプレグを得ることができる。ここで用いる繊維強化材は、有機及び/又は無機の繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、金属繊維、セラミック繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維強化材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
【0049】
重合組成物を繊維強化材に含浸させるには、例えば、重合組成物の所定量を、クロス又はマット繊維強化材上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧しながらローラーをかける(しごく)ことにより行うことができる。重合組成物を繊維強化材に含浸させた後は、得られた重合組成物の含浸繊維強化材(含浸物)を所定温度に加熱することにより、塊状重合させて熱可塑性樹脂含浸プリプレグが得られる。
【0050】
含浸物の加熱方法は特に限定されず、前記(a)の方法と同様の方法が採用でき、含浸物を支持体上に設置して加熱してもよい。
重合組成物は従来の樹脂ワニスと比較して低粘度であるから、繊維強化材に樹脂が均一に含浸されたプリプレグが得られる。また、重合組成物を塊状重合したものが有機溶媒を含んでいないので、プリプレグから溶剤を除去する必要がなく、生産性に優れ、残留溶媒による問題も生じず、保存安定性にも優れる。
【0051】
本発明において塊状重合体の成形体を形成した後、当該成形体表面に金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させる。成形体表面に所望のパターン状に金属配位能を有する化合物を付着させる方法としては、常法に従えばよく、例えば、インクジェット方式、スクリーン印刷方式などの方法が挙げられ、好ましくはインクジェット方式である。
金属配位能を有する化合物としては、金属との配位が可能な構造を有する化合物であり、例えばアミノ基、チオール基、カルボキシル基、シアノ基などを有する化合物;複素環化合物;などの非共有電子対を有する化合物が挙げられ、特に複素環化合物が好ましい。
【0052】
複素環化合物としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含有する複素環化合物が好ましく、とりわけ窒素原子を含有する複素環化合物が好ましい。かかる複素環化合物の具体例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−エチル−4−チオカルバモイルイミダゾール等のイミダゾール類;ピラゾール、3−アミノ−4−シアノ−ピラゾール等のピラゾール類;1,2,4−トリアゾール、2−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、1−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類;2−アミノトリアジン、2,4−ジアミノ−6−(6−(2−(2メチル−1−イミダゾリル)エチル)トリアジン2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン−トリソデイウムソルト等のトリアジン類;などが挙げられる。
これらの金属配位能を有する化合物は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0053】
金属配位能を有する化合物は、通常、水や有機溶媒などの溶媒に溶解又は分散させて用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;メチルセルセルブ、エチルセルソロブ、ブチルセルソロブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのセルソルブ類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類などが用いられる。これら溶媒は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合わせて用いることができる。溶媒の使用量は、パターンを付着する方法の種類に応じて適宜選択されるが、インクジェット方式の場合は金属配位能を有する化合物濃度が通常0.01〜70重量%、好ましくは0.1〜50重量%の範囲になるように調整される。また、使用温度において金属配位能を有する化合物が液体であり、金属配位能を有する化合物を成形体表面に付着させる操作に支障がない場合は、特に溶媒に溶解せず、そのまま用いても良い。また、付着方法に応じた粘度を得るため、金属配位能を有する化合物に、チキソトロピー性を付与する目的でアエロジルなどの増粘剤等を添加しても良い。
成形体表面に金属配位能を有する化合物を付着させる温度は、金属配位能を有する化合物の種類、付着方法、溶媒の沸点や融点、操作性、生産性などを考慮して任意に選択することができるが、通常10〜100℃、好ましくは15〜65℃で行う。成形体表面に金属配位能を有する化合物を付着させた後、乾燥、或いは過剰な金属配位能を有する化合物を除去する目的で、窒素などの不活性ガスを吹きかけたり、30〜180℃、好ましくは50〜150℃で1分以上、好ましくは5〜120分間、オーブンや真空乾燥機を用いて乾燥させることができる。
【0054】
架橋剤と連鎖移動剤存在下で塊状重合した場合、得られる塊状重合体の成形物の少なくとも表面は、塊状重合時には架橋反応が進行せず、未硬化の熱可塑性重合体が形成される。もちろん成形体表面だけでなく、成形体全体が未硬化の熱可塑性重合体によって構成されていても良い。本発明において未硬化の熱可塑性重合体とは、架橋可能なものを言う。熱可塑性重合体が未硬化である場合、その成形体を溶剤に浸漬し、室温で、一昼夜すると、成形体に未硬化の熱可塑性重合体が含まれていれば、成形体は減量する。成形体が完全に架橋された熱可塑性重合体から形成されていれば、この溶解する量は実質的に無くなるが、例えば成型体表面に未硬化の熱可塑性重合体があれば、成形体は減量し、成形体が実質的に未硬化の熱可塑性重合体からなるものであれば、成形体は完全に溶解する。ここで用いる溶剤は、通常、極性基含量の低い塊状重合体であればトルエンであり、極性基含量の高い塊状重合体であればテトラヒドロフランである。
このような未硬化の熱可塑性樹脂部分を有する成形体を用いた場合、当該成形体表面に、金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させた後、加熱硬化する必要がある。架橋反応を進行させる方法は、塊状重合体の性質や成形体の形状に応じて任意に選択すればよい。例えば、通常150℃〜250℃条件下で、数分〜数時間、オーブンや加熱プレス機などを用いて、金属配位能を有する成形体を加熱する方法が挙げられる。
【0055】
無電解めっきは、通常、密着性向上のための酸化処理、めっき触媒付与、めっき触媒の活性化を行った後に、無電解めっき液と成形体とを接触させることによって行われる。
【0056】
酸化処理の方法は、常法に従えばよく、例えば、酸化性化合物の溶液や気体媒質を、金属配位能を有する化合物を付着させた後の成形体表面に接触させて行うことができる。
酸化性化合物としては、例えば、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過ヨウ素酸塩などの無機過酸化物;ジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸有機過酸化物;などが挙げられる。酸化性化合物を溶解するのに用いる溶媒としては、中性水、NaOH水溶液などのアルカリ水溶液、硫酸水溶液などの酸性水溶液、エーテルや石油エーテルなどの中性有機溶媒、アセトンやメタノールなどの極性有機溶剤が挙げられる。成形体表面を酸化性化合物の溶液の処理する方法としては、例えば成形体を酸化性化合物の溶液に浸漬するディップ法、成形体表面に表面張力を利用して酸化性化合物の溶液を載せる液盛り法、酸化性化合物溶液を基材に噴霧するスプレー法などが挙げられる。処理時間は、温度が通常10〜250℃、好ましくは20〜180℃で、時間が0.5〜60分、好ましくは1分〜30分である。
【0057】
気体媒質を用いて酸化処理する方法として、逆スパッタリングやコロナ放電など媒質をラジカル化やイオン化させることが可能な公知のプラズマ処理が挙げられる。気体媒質としては大気、酸素、窒素、アルゴン、水、二硫化炭素、四塩化炭素などが例示される。媒質が処理温度雰囲気で液状の場合には減圧下にて気化した後、酸化処理をし、媒質が処理温度雰囲気にて気体の場合はラジカル化やイオン化が可能な圧力に加圧した後、酸化処理をする。プラズマを成形体表面に接触させる温度や時間は、ガスの種類や流量などを考慮して、任意に設定すれば良く、温度が通常10〜250℃、好ましくは20〜180℃で、時間が通常0.5〜60分、好ましくは1分〜30分である。
【0058】
めっき触媒としては、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属化合物が挙げられ、好ましくはパラジウム化合物である。パラジウム化合物としては、通常2価パラジウムが発生する化合物が用いられ、具体的には、塩化パラジウム、ジチオシュウ酸パラジウム、パラジウムカルボン酸塩、パラジウム−EDTA等のアミン錯塩、パラジウム−ポリビニルアルコールキレート化合物などが挙げられる。
【0059】
これらのめっき触媒は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合わせて用いることができ、通常、水又はアルコール若しくはクロロホルムなどの有機溶媒に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい)として用いられる。
めっき触媒の付着は、金属配位能を有する化合物が付着した成形体を該めっき触媒溶液に浸漬する。このとき、金属配位能を有する化合物のパターンに、めっき触媒が吸着されるが、当該パターンのない部分に微量のめっき触媒が付着した場合、これは水洗等により除去すればよい。
触媒めっきの活性化は、成形体表面に付着したイオン化しためっき触媒金属を還元剤液に接触させて、無電解めっき触媒として有効な金属(0価)に還元する工程である。還元剤としては、一般に使用されるものを用いることができ、例えば、ジメチルエミノボラン、次亜リン酸ソーダ、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げることができる。
【0060】
無電解めっきは、常法に従って行うことができ、例えば、上記活性化されためっき触媒が付着している成形体を無電解めっきに浸漬して行うことができる。無電解めっき液としては、例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液などを用いることができる。
【0061】
その後必要に応じて過剰なめっき液を除去するため、水や有機溶剤で成形体を洗浄したり、窒素ガスなどの不活性ガスを吹きかけることで成形体表面を洗浄することができる。
無電解めっき後に、必要に応じて加熱処理を行うことができる。加熱処理は、通常オーブンなどの加熱機に塊状重合体を静置させ、通常50〜350℃、好ましくは80〜250℃の温度で、0.1〜10時間、好ましくは0.1〜5時間行う。加熱処理は金属の酸化を防ぐことができるため、窒素雰囲気下で行うのが良い。この加熱処理により、塊状重合体と無電解めっきとの密着性をより向上させることが可能となる。また必要に応じて、加熱時に、プレス板などで塊状重合体を加圧しても良い。
【0062】
上述のような工程を経て、成形体表面に無電解めっきを施すことにより、表面に金属パターンを有する成形体が得られる。更に必要に応じて、この無電解めっきによる金属パターン上に、電解めっきによって金属を更に積層することができる。
こうして得られる部分めっきが施された成形体は、例えば、半導体デバイス実装部品、各種パネル表示装置、ICカード、光デバイスに用いられるプリント配線基板などの電子部品;バンパー、コーナーバンパー、バンパーエアーダムスカート、マッドガード、サイドモール、ホイールキャップ、スポイラー、サイドステップ、ドアミラーベースなどの自動車外装部材;インスツルメントパネル、レバー、ノブ、ダッシュボード、ドアライナーなどの自動車内装部材;コネクター、キャッププラグ、ポット、冷蔵庫、照明器具、オーディオ機器、OA機器などの電気製品のハウジング、カラーボックス、収納ケース;などに用いることができる。特に電子部品に好適である。
【0063】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、「部」は特に断りのない限り、質量基準である。
実施例中、塊状重合における環状オレフィン系モノマーの重合転化率は、成形体中に残存するシクロオレフィン単量体の量を熱重量分析(TGA:窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分)で、30℃〜360℃の間に発生するガス量(重量部)を定量し、重合転化率(%)=100−ガス量(重量部)から求めた。
また、実施例中、誘電正接は、RFインピーダンス/マテリアル・アナライザE4991A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて1GHzの値を測定した。
【0064】
実施例1
ナス型フラスコに、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドを51部、トリフェニルホスフィン79部を入れ、トルエン952部を加えて溶解させて触媒溶液を調整した。
ポリエチレン製の瓶に、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン38.5部、5−エチリデン−2−ノルボルネン18.5部からなるモノマー液、連鎖移動剤としてスチレン0.39部、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)を0.51部、及び上記触媒溶液0.197部を攪拌しながら加えて、重合組成物を調製した。
次いで、この重合組成物を、片面は60℃、もう一方の面は50℃にセットした金型内に圧送し、2分後に金型から平板を取り出した。この平板の重合転化率は96%であった。この平板の誘電正接は3×10−4であった。
得られた平板から2cm四方の板を切り出し、これを23℃のトルエンに24時間浸漬したところ、全て溶解していたことから、この平板が未硬化の熱可塑性重合体からなるものであることを確認した。
【0065】
この確認用の板とは別に、先に得られた平板から、縦12.5mm×横12.5mm×厚さ2mmの平板を2枚切り出し、2枚の平板の表面に、それぞれ金属配位能を有する化合物である1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールの0.3%水溶液を、インクジェット装置を用いて所望のパターンに描画し、金属配位能を有する化合物を平板表面に付着させた。これを60℃の真空乾燥器中で60分間乾燥させた後に、金型内で、200℃加熱して、真空プレスして熱可塑性樹脂を架橋し、金属配位能を有する化合物が付着している平板を得た。この平板の重合転化率は99.5%であった。この平板のうち1枚から、2cm四方の板を切り出し、これを23℃のトルエンに24時間浸漬し、次いでトルエン中に残った板を60℃の真空乾燥器にて5時間乾燥して重量を測定した結果、トルエン浸漬前の約80重量%であった。このことから、これらの平板を形成している熱可塑性重合体が硬化されたことを確認した。
残りの平板1枚を、過マンガン酸濃度60g/リットル、水酸化ナトリウム濃度28g/リットルからなる水溶液に、80℃で10分間揺動浸漬し、表面を酸化させた。次いで、基板を水槽に1分間揺動浸漬し、更に別の水槽に1分間揺動浸漬することにより、平板成形体を水洗した。続いて硫酸ヒドロキシルアミン濃度170g/リットル、硫酸80g/リットルになるように調整した25℃の水溶液に5分間浸漬し、中和還元処理をした後、上述と同様に水洗し、窒素を吹きかけて水を除去した。
【0066】
めっき触媒付与のため、水洗後の平板成形体をアクチベータMAT−1−A(上村工業社製)が200ml/リットル、アクチベータMAT−B−B(上村工業社製)が30ml/リットル、水酸化ナトリウムが1g/リットルになるように調整した60℃のPd塩含有めっき触媒溶液に5分間浸漬した。ついで、触媒活性化のため、上述と同じ方法で平板成形体を水洗した後、レデューサーMRD−2−A(上村工業社製)が60ml/リットルになるように調整した溶液に35℃で5分間浸漬し、めっき触媒を還元した。
【0067】
こうして得られた平板成形体を、スルカップPRX−1−A(上村工業社製)が150ml/リットル、スルカップPRX−1−B(上村工業社製)が100ml/リットル、スルカップPRX−1−C(上村工業社製)が20ml/リットルになるように調整した25℃の無電解めっき液に空気を吹き込みながら、15分間浸漬して無電解めっき処理し、上述と同様に水洗して、金属パターンが形成された厚さ10μmの平板成形体を得た。
【0068】
次いで、金属パターンの厚みを増す目的で、スルカップELC−SP−A(上村工業社製)が80ml/リットル、スルカップELC−SP−B(上村工業社製)が20ml/リットル、スルカップELC−SP−C(上村工業社製)が80ml/リットル、スルカップELC−SP−D(上村工業社製)が20ml/リットルになるように調整した60℃の高速無電解めっき液に空気を吹き込みながら、5時間浸漬することによって無電解めっきを施し、先に形成した金属パターン上に、更に金属を成長させた。更に上述と同様に水洗して、金属パターンが形成された平板成形体を得た。次いで、AT−21(上村工業株式会社製)が10ml/リットルになるよう調整した防錆溶液に25℃、1分間浸漬し、更に上述と同じ方法で水洗した後、乾燥してた。
この平板成形体を、窒素雰囲気のオーブン中にて170℃で30分間放置して、加熱処理して前記無電解銅めっきにより形成された金属パターンを有する平板が得られた。
【0069】
比較例1
縦12.5mm×横12.5mm×厚さ2mmの平板の代わりに、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学社製:J−3054HP)を二軸押出機によって溶融混練してペレット化し、射出成形により得られた縦12.5mm×横12.5mm×厚さ2mmの平板を用いたこと以外は実施例と同様にして、無電解めっきを施したが、金属パターンが平板表面に形成できなかった。
【0070】
この結果から、1種類以上の脂環式オレフィンを1種類以上のメタセシス触媒存在下で塊状重合して得られた塊状重合体からなる成形体を用いれば、無電解めっきがパターン状に形成できることが判った。

Claims (5)

  1. 1種類以上の脂環式オレフィンを1種類以上のメタセシス触媒存在下で塊状重合して得られた塊状重合体からなる成形体表面に、金属配位能を有する化合物をパターン状に付着させる工程と、その後該パターン上に無電解めっきする工程とを有する部分めっき方法。
  2. 塊状重合体が、当該重合体の全構造単位のモル数に対する極性基の割合が50モル%以下のものである請求項1記載の部分めっき方法。
  3. 塊状重合体が、未硬化の熱可塑性重合体である請求項1又は2記載の部分めっき方法。
  4. 塊状重合体が、重合転化率が80重量%以上の熱可塑性重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の部分めっき方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの方法で部分めっきすることにより導体層が形成されたプリント配線板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007197624A (ja) * 2006-01-30 2007-08-09 Nippon Zeon Co Ltd ノルボルネン化合物付加重合体及びそれからなる成形品
JP2016516854A (ja) * 2013-03-18 2016-06-09 ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 制御された単一電子移動リビングラジカル重合のための方法および装置

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