JP2022097410A - 熱硬化性樹脂、樹脂ワニス、硬化性樹脂組成物、および当該樹脂の製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂、樹脂ワニス、硬化性樹脂組成物、および当該樹脂の製造方法 Download PDF

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瑛大 川瀬
Akihiro Kawase
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Abstract

【課題】熱硬化性であるとともに有機溶剤への溶解性に優れ、さらに低誘電性にも優れる環状オレフィン系樹脂を提供する。【解決手段】環状オレフィン系樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位aと、環外に末端二重結合を含む特定の環状オレフィンから誘導される構造単位bと、を含み、重量平均分子量が500以上10,000以下である。TIFF2022097410000019.tif60153【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂、樹脂ワニス、硬化性樹脂組成物、および当該樹脂の製造方法に関する。
従来から、ノルボルネン系樹脂は電気特性、光学特性、低吸湿性などに優れるという特徴を有し、成形品として種々の用途に用いられている。
特許文献1には、ガラス転移温度が101~160℃の環状オレフィンホモポリマーと、繊維状導電性フィラーと、他のエラストマーとを樹脂組成物が開示されている。当該樹脂組成物から得られた成形材料は、機械的強度、耐熱性、導電性に優れると記載されている。
特許文献2には、多環式オレフィンモノマーを、パラジウム触媒錯体及び連鎖移動/活性化剤の存在下で重合する多環式オレフィン重合体の製造法が開示されている。
特開2013-231171号公報 特表2010-523766号公報
しかしながら、特許文献1~2に記載のポリマーは熱硬化性ではなく、有機溶剤への溶解性が低く、さらに得られる硬化物の低誘電性に改善の余地があった。
本発明者らは、特定のノルボルネン系モノマーから誘導される構造単位からなる樹脂が熱硬化性であるとともに有機溶剤への溶解性に優れ、さらに誘電特性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
下記一般式(1)で表される構造単位aと、
下記一般式(2)で表される構造単位bと、
を含む、を含み、重量平均分子量が500以上10,000以下である熱硬化性樹脂を提供することができる。
Figure 2022097410000001
(一般式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。nは0、1または2である。)
Figure 2022097410000002
(一般式(2)中、Qは末端二重結合を有する基を含む基を示す。mは0、1または2である。)
本発明によれば、
前記熱硬化性樹脂と、
有機溶剤と、を含む樹脂ワニスを提供することができる。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂と、
ラジカル重合開始剤と、
を含む硬化性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、
有機溶剤中で、重合触媒および連鎖移動剤の存在下、下記一般式(1a)で表される化合物a1と、下記一般式(2a)で表される化合物b1と、を反応させる工程を含み、
前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族アルコール系溶剤、および芳香族系溶剤から選択される少なくとも1種を含み、
前記連鎖移動剤は、トリアルキルシラン化合物およびシクロブテン化合物から選択される少なくとも1種を含む、前記熱硬化性樹脂の製造方法を提供することができる。
Figure 2022097410000003
(一般式(1a)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。nは0、1または2である。)
Figure 2022097410000004
(一般式(2a)中、Qは末端二重結合を有する基を含む基を示す。mは0、1または2である。)
本発明の環状オレフィン系樹脂は、熱硬化性であるとともに有機溶剤への溶解性に優れ、さらに低誘電性にも優れる。
実施例2で得られたフィルムの10GHzで測定された誘電正接を示すグラフである。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。また、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
[熱硬化性樹脂]
本実施形態の熱硬化性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位aと、下記一般式(2)で表される構造単位bと、を含み、重量平均分子量が500以上10,000以下である。
Figure 2022097410000005
一般式(1)中、nは0、1または2であり、好ましくは0または1である。
、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。熱硬化性樹脂中に複数存在するR同士、R同士、R同士およびR同士は、同一でも異なっていてもよい。
炭素数1~30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、またはシクロアルキル等が挙げられる。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。
アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。
アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。
アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。
炭素数1~30の炭化水素基は、その構造中に、O、N、S、PおよびSiから選択される少なくとも1つの原子を含んでいてもよい。
本実施形態において、前記炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数1~15の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10の炭化水素基であることがより好ましい。また、炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数1~30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~15のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~10のアルキル基であることがさらにより好ましい。
置換された炭素数1~30炭化水素基の置換基は、水酸基、アミノ基、シアノ基、エステル基、エーテル基、アミド基、スルホンアミド基等を挙げることができ、少なくとも1種の基で置換されていてもよい。
本実施形態において、R、R、RおよびRのいずれか1つが、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基、残りが水素原子であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
Figure 2022097410000006
一般式(2)中、mは0、1または2であり、好ましくは0または1である。
Qは末端二重結合を有する基を示す。
末端二重結合を有する基は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、またはビニルフェニル基を含む。
末端二重結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイルアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ビニルフェニルアルキル基、ビニルフェニルオキシアルキル基等が挙げられ、これらの基のアルキレン鎖中に、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでいてもよい。
一般式(2)で表される構造単位bとしては、具体的には、ビニルノルボルネン由来の構造単位、ブテニルノルボルネン由来の構造単位、ヘキセニルノルボルネン由来の構造単位、以下の式で表される構造単位を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。
Figure 2022097410000007
本実施形態の熱硬化性樹脂は、熱硬化性および溶媒溶解性の観点から、構造単位aに対する構造単位bのモル比(b/a)が、0.1以上4以下、好ましくは0.1以上3.5以下、さらに好ましくは0.15以上3以下とすることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂は構造単位aおよび構造単位bを含み、これらの構成単位以外に、他のモノマーから誘導される構造単位を含んでいてもよい。
他のモノマーとしては、インデン、スチレン、アセナフチレン、ノルボルナジエン、テルペン化合物(例えば、ピネン、リモネン等)、直鎖アルケン(例えば、ペンテン等)、環状アルケン(シクロヘキセン等)等を挙げることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂は、エチレンやα-オレフィンから誘導される構造単位を含まず、また誘電率に影響を与えるマレイン酸、マレイミド、無水マレイン酸等から誘導される構造単位を含まない。
熱硬化性樹脂は、低誘電率の観点から、全構成単位100モル%における構造単位aと構造単位bとの合計量が80モル%以上、好ましくは90モル%、より好ましくは95モル%以上である。上限値は特に限定されないが100モル%以下である。
熱硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果の観点から、500以上10,000以下、好ましくは600以上8,000以下、さらに好ましくは700以上7,000以下である。
前記重量平均分子量が下限値未満であると、熱硬化性に影響を与える場合があり、上限値を超えると溶剤への溶解性が低下してハンドリング性が低下し、プリプレグ等の調製に影響を及ぼす場合がある。すなわち、熱硬化性樹脂の重量平均分子量が上記範囲であると、熱硬化性に優れるとともに、有機溶剤への溶解性が高くハンドリング性にも優れプリプレグ等に好適に用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂のMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、例えば、1.0~6.0、好ましくは1.2~5.0、より好ましくは1.5~4.0とすることができる。なお、Mw/Mnは、分子量分布の幅を示す分散度である。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、たとえばGPC(Gel Permeation Chromatography)測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー社製TSK-GEL Supermultipore HZ-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶剤:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
本実施形態の熱硬化性樹脂は、例えば25℃におけるトルエンに対する溶解度が、30wt%以上、好ましくは50wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上である。なお、溶解度は下記式により算出される。
式:[熱硬化性樹脂の重量/(熱硬化性樹脂の重量+トルエンの重量)]×100
このように有機溶剤への溶解性が高いことから塗膜性・他の樹脂との相溶性に優れる。
下記試験条件で作成された本実施形態の熱硬化性樹脂を含むフィルムは、周波数10GHzで測定したときの誘電正接(tanδ)が、0.006以下であり、好ましくは0.004以下、より好ましくは0.003以下とすることができる。本実施形態の熱硬化性樹脂を含むことにより、フィルム等の誘電特性をより一層向上させることができる。
(試験条件)
ポリヘキシルノルボルネン(a)(pHexNB、Mw:10万)と本実施形態の熱硬化性樹脂(b)とを配合比((a):(b))が70質量部:30質量部となるように混合したトルエン溶液(樹脂濃度30wt%)を基板上に塗布し、この塗布膜を60℃15分~30分間、さらに90℃15分~30分間乾燥して膜厚100μmのフィルムを得る。得られたフィルムについて、10GHzでの誘電正接を空洞共振器法で測定する。
本実施形態の熱硬化性樹脂は溶融性に優れ(または基板作製時の埋め込み性に優れ)、その溶融温度は、例えば、250℃以下であり、好ましくは230℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。溶融温度の下限値は50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上である。本実施形態の熱硬化性樹脂は熱硬化性であり、前記溶解温度を有することから、半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、回路基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の製造安定性に優れ、これらの半導体用途に好適に用いることができる。
[熱硬化性樹脂の合成方法]
本実施形態の熱硬化性樹脂の合成方法は、たとえば、
有機溶剤中で、重合触媒および連鎖移動剤の存在下、下記一般式(1a)で表される化合物a1と、下記一般式(2a)で表される化合物b1と、を反応させる工程を含む。
Figure 2022097410000008
一般式(1a)中、R、R、RおよびR、nは一般式(1)と同義である。
Figure 2022097410000009
一般式(2a)中、Q、mは一般式(1)と同義である。
一般式(2a)で表される化合物b1としては、具体的に、ビニルノルボルネン、ブテニルノルボルネン、ヘキセニルノルボルネン、以下の式で表される化合物(左から順に、メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル、2-プロペン酸2-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメチルエステル、2-プロペン酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメチルエステル、5-[[(4-エテニルフェニル)メトキシ]メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。
Figure 2022097410000010
本実施形態においては、まず、前記化合物a1および前記化合物b1と、連鎖移動剤とを有機溶剤に溶解した後、40℃~85℃程度に予め加温する。なお、前記化合物a1は、添加量を調整して、複数回に分けて追加添加することができ、あるいは前記有機溶剤又は前記連鎖移動剤に溶解して複数回に分けて追加添加することもできる。
一般式(1a)で表される前記化合物a1に対する、下記一般式(2a)で表される前記化合物b1のモル比(b1/a1)は、熱硬化性の観点から、0.1以上4以下、好ましくは0.1以上3.5以下、さらに好ましくは0.15以上3以下とすることができる。
重合触媒と、必要に応じて用いられる助触媒とを、有機溶媒に希釈した触媒希釈液を調製し、加温された前記混合溶液に添加する。前記触媒希釈液は一括添加でもよく滴下して添加してもよい。希釈溶媒としてはトルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。
前記触媒希釈液を前記混合溶液に添加後、所定時間加熱することにより溶液重合を行う。
このとき、加熱温度は、たとえば30℃~200℃程度であり、加熱時間は、たとえば0.5時間~72時間とすることができる。なお、窒素バブリングにより溶剤中の溶存酸素を除去したうえで、溶液重合を行うことがより好ましい。
また、必要に応じて分子量調整剤を使用することができる。
前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、非環式脂肪族アルコール系溶剤、芳香族系溶剤等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。これらの有機溶剤としては、具体的に、シクロペンタノン、ヘプタノン、アニソール、ブタノール、トルエン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を用いることができる。
これらの有機溶剤を用いることにより、熱硬化性であるとともに有機溶剤への溶解性に優れ、さらに低誘電性にも優れた環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリブチルシラン等のトリアルキルシラン化合物や、ビシクロ[4.2.0]オクタ-7エン等のシクロブテン化合物等を挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの連鎖移動剤を用いることにより、熱硬化性であるとともに有機溶剤への溶解性に優れ、さらに低誘電性にも優れた環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
本実施形態においては、所望の環状オレフィン系樹脂を得る観点から、前記有機溶剤と前記連鎖移動剤とを組み合わせて用いることがより好ましい。
重合触媒としては、付加重合が進行すれば特に選ばないが、例えばパラジウム錯体およびニッケル錯体に対してホスフィン系や、ジイミン系、ニトリル系などの配位子を配位させ、カウンターアニオンなどを用いても良い。このうちの一種または二種以上を使用できる。
上記パラジウム錯体としては、たとえば
パラジウム(II)(アセトニトリル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)アセテートテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、
π-アリルパラジウムクロリドダイマーなどのアリルパラジウム錯体、
パラジウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、ナフトエ酸塩などのパラジウムの有機カルボン酸塩、
酢酸パラジウムのトリフェニルホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリ(m-トリル)ホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリシクロヘキシルホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリイソプロピルホスフィン錯体などのパラジウムの有機カルボン酸の錯体、
パラジウムのジブチル亜リン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのパラジウムの有機スルフォン酸塩、
ビス(アセチルアセトナート)パラジウム、ビス(ヘキサフロロアセチルアセトナート)パラジウム、ビス(エチルアセトアセテート)パラジウム、ビス(フェニルアセトアセテート)パラジウムなどのパラジウムのβ-ジケトン化合物、
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス[トリ(m-トリルホスフィン)]パラジウム、ジブロモビス[トリ(m-トリルホスフィン)]パラジウム、アセトニルトリフェニルホスフォニウム錯体などのパラジウムのハロゲン化物錯体等が挙げられる。
上記ホスフィン配位子としては、トリフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどが挙げられる。
上記カウンターアニオンとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど挙げられる。
重合触媒は、ノルボルネン系モノマー(化合物a1および化合物b1)に対して1ppmmol~1000ppmmolの量で用いることができる。
前助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含むのが好ましい。すなわち、前記付加型ノルボルネン系樹脂を合成する場合、前記触媒の他に助触媒を添加する方が好ましい。これにより、付加型ノルボルネン系モノマーの重合速度をより高めることができる。
前記助触媒としては、特に限定されるわけではないが、アルキルアルミニウム、ルイス酸又は、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体等を挙げることができ、それらの中でも、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体が好ましい。
また、前記助触媒としては、下記式(i)で表されるものが、さらに好ましい。
[C][WCA] 式(i)
(上記式において、Cは、プロトン(H)、有機基含有カチオン、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは遷移金属のカチオンを表し、WCAは、上記で定義したとおりであり、eとdは、それぞれ、カチオン錯体(C)と弱配位性アニオン塩(WCA)の、総合塩錯体上の電子電荷を釣り合わせるように定められる数である。)
前記弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体としては、特に限定されるわけではないが、リチウム(ジエチルエーテル)2.5テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、H(OEtテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(4-メチル)-α,α-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンメタノラト-κO]アルミネート、ナトリウム・テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリアルキル及びトリアリールホスホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、並びにトリチル・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
助触媒は、ノルボルネン系モノマー(化合物a1および化合物b1)に対して1ppmmol~1000ppmmolの量で用いることができる。
得られた熱硬化性樹脂を含む反応液を、例えば、ヘキサンやメタノール等のアルコール中に添加して熱硬化性樹脂を析出させる。次いで、熱硬化性樹脂を濾取し、例えば、ヘキサンやメタノール等のアルコール等により洗浄した後、これを乾燥させる。
本実施形態においては、たとえばこのようにして熱硬化性樹脂を合成することができる。
[樹脂ワニス]
本実施形態においては、熱硬化性樹脂が有機溶剤に溶解したポリマー溶液(樹脂ワニス)とすることができる。このポリマー溶液(樹脂ワニス)において、液温25℃で、少なくとも一部のポリマーが溶解していればよいが、全てのポリマーが溶解していることが好ましい。
樹脂ワニスに用いられる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カビトール系、アニソール、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエーテルアセテート、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。有機溶剤はこれらから選択される1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
樹脂ワニス中の熱硬化性樹脂の含有量の下限は、樹脂ワニス100質量%に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。一方、樹脂ワニス中の熱硬化性樹脂の含有量の上限は、樹脂ワニス100質量%に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。このような数値範囲内とすることで、樹脂ワニスのハンドリング性を向上でき、耐熱性に優れた樹脂材料を実現できる。
[硬化性樹脂組成物]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、樹脂ワニスを用いて調製することができ、熱硬化性樹脂と、硬化触媒と、必要に応じて下記その他の成分とを混合することにより調製することができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物は、低誘電率材料を提供することができる。
硬化触媒は、本発明の効果を発揮しうる範囲で、熱により硬化を促進する公知の硬化触媒または光により硬化を促進する公知の硬化触媒を用いることができる。硬化触媒として、熱酸発生剤、光酸発生剤、または光ラジカル発生剤が挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。熱酸発生剤として、これらのうち1種又は2種以上を含んでもよい。
光酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物が挙げられる。具体的には、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩のようなスルホニウム塩、トリアリールビリリウム塩、ベンジルピリジニウムチオシアネート、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキルヒドロキシフェニルホスホニウム塩のようなカチオン型光重合開始剤等が挙げられる。
なお、光酸発生剤と熱酸発生剤を併用してもよい。
光ラジカル発生剤としては、具体的には、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;
チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;
2-トリクロロメチル-5-(2'-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2'-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;
2,2'-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;
p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;
9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等を挙げることができる。
また、上記光ラジカル発生剤とともに、光増感剤や光ラジカル重合促進剤を使用する事により、感度や架橋度を更に向上させることができる。例えば、キサンテン色素、クマリン色素などの色素系化合物、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプト系水素供与体等があげられる。
(その他の成分)
本実施形態の硬化性樹脂組成物は各用途の目的や要求特性に応じて、フィラー、熱硬化性樹脂以外の樹脂、架橋剤、酸発生剤、耐熱向上剤、現像助剤、可塑剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤、界面活性剤、シラン系やアルミニウム系、チタン系などのカップリング剤、多価フェノール化合物、有機溶剤等のその他の成分が配合されても良い。
本実施形態の低誘電率材料用硬化性樹脂組成物は、所定のノルボルネン系モノマーを重合して得られるポリマーを含むものであるが、熱硬化性であり、さらにハンドリング性に優れ、低誘電率材料を提供することができることから、半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、回路基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の製造安定性に優れ、これらの半導体用途に好適に用いることができる。
[用途]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて有機溶剤を乾燥等により除去し、光または加熱、または光と加熱を併用することにより硬化させることにより硬化物を得ることができる。
熱硬化は大気下、窒素雰囲気下、真空下等で行うことができる。得られる硬化物に透明性が要求される場合は、窒素雰囲気下や真空下で実施することが好ましく、または酸化防止剤を併用することが好ましい。
硬化物の周波数10GHzにおける比誘電率は、好ましくは2.6以下、より好ましくは2.4以下とすることができる。これにより、硬化物を低誘電率材料に適用することができる。
さらに、硬化物の周波数10GHzにおける誘電正接(tanδ)は、好ましくは0.004以下であり、より好ましくは0.003以下とすることができる。これにより、硬化物の誘電特性をより一層向上させることができる。
この低誘電率材料は、各種用途に用いることできるが、例えば、耐熱性や膜形態での使用が求められる用途に適用できる。また、低誘電率材料は、透明性に優れた樹脂膜(低誘電率膜)を提供できる。
具体的な用途として、プリント基板用途や永久膜等の樹脂膜形成用途等が挙げられる。
プリント基板は、ガラスクロス等の低誘電クロスに硬化性樹脂組成物を含侵し、硬化することにより得ることができる。
一方、樹脂膜は、層間膜、表面保護膜、ダム材などが代表例として知られているが、これに限定されない。樹脂膜は、後述のとおり、半導体素子等の電子部品・電子装置やその製造過程に用いられる。
層間膜は、多層構造中に設けられる絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。層間膜としては、たとえば半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、回路基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の半導体用途において用いられるものが挙げられる。また、層間膜としては、たとえば表示装置における薄膜トランジスタを覆う平坦化膜、液晶配向膜、MVA型液晶表示装置のカラーフィルタ基板上に設けられる突起、もしくは有機EL素子の陰極を形成するための隔壁等の表示素子用途において用いられるものも挙げられる。
表面保護膜は、電子部品や電子装置あるいはこれらが形成された基板の表面に形成され、当該表面を保護するための膜を指す。このような表面保護膜の一例としては、たとえば半導体素子上に設けられるパッシベーション膜、バンプ保護膜もしくはバッファーコート層、またはフレキシブル基板上に設けられるカバーコートが挙げられ、有機材料または無機材料で構成される下地との密着性に優れるものである。
また、ダム材は、基板上に光学素子等を配置するための中空部分を形成するために用いられるスペーサである。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、このような永久膜を形成するために用いることが可能である。すなわち、硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜(低誘電率膜)を永久膜に適用できる。なお、樹脂膜(低誘電率膜)を永久膜の一部に用いることもできる。例えば、従来公知の材料からなる永久膜の表面に硬化性樹脂組成物を塗布・硬化し、樹脂膜(低誘電率膜)でコーティングすることができる。
本実施形態において、上記樹脂膜の厚みは、用途に応じて適切に調整され得る。上記樹脂膜の厚みの下限は、例えば、10μm以上、15μm以上、20μm以上でもよい。一方、上記樹脂膜の厚みの上限は、例えば、100μm以下、70μm以下、60μm以下、30μm以下でもよい。
本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いることにより、前記範囲の厚みである樹脂膜であってもクラックが生じない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
三口フラスコに、ノルボルネン(NB)(75%濃度トルエン溶液)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、トリエチルシラン、1-ブタノール、およびシクロペンタノンを下記表1の重量比で加え、反応液を得た。反応液を窒素バブリングした後、75℃に加熱した。
触媒(パラジウム(II)(アセトニトリル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)アセテートテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、Pd-1206)および助触媒(N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、DANFABA)をトルエン:酢酸エチル=6:4溶液に溶かしたものを用意し、ノルボルネンモノマー総量:触媒:助触媒=20000:1:1(モル比)になるように反応液に投入した。そして、下記表1に記載した温度および時間で加熱して重合した。重合終了後、放冷して反応を停止させた。
反応終了後、反応液115gを500gのメタノールと100gのTHFの混合液中に滴下して再沈殿させた。析出したポリマーを濾別し、風乾させた後、60gのトルエンと30gのTHFに溶解させた。溶解させた液体を500gのメタノールと100gのTHFの混合液中に滴下して再び再沈殿させた。濾別してポリマーを回収した後、100gのメタノールと20gのTHFの混合液で濾物を洗浄し、濾別した。最後に80℃真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
得られたポリマーにおける、ノルボルネンと5-ビニル-2-ノルボルネンとの組成比はH-NMR測定により計算した。
[実施例2]
シクロペンタノンをアニソールに変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液110gを500gのメタノールと150gのTHFの混合液中に滴下して再沈殿させた。濾別してポリマーを回収した後、100gのメタノールと100gのTHFの混合液で濾物を洗浄し、濾別した。最後に80℃真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[実施例3]
シクロペンタノンを2-ヘプタノン(MAK)に変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液120gを500gのメタノールに滴下して再沈殿させた。濾別してポリマーを回収した後、150gのメタノールと50gのTHFの混合液で濾物を洗浄し、濾別した。最後に80℃真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[実施例4]
5-ビニル-2-ノルボルネンを、5-(5-ヘキセン-1-イル)ビシクロ[2.2.1]へプト-2-エン(HNB)に変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液113gを850gのメタノールに滴下して再沈殿させた。析出したポリマーを濾別し、風乾させた後、90gのトルエンと180gのTHFに溶解させた。溶解させた液体を2450gのメタノールに滴下して再び再沈殿させ、濾別した。最後に常温下で真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[実施例5]
5-ビニル-2-ノルボルネンを、5-(3-ブテン-1-イル)ビシクロ[2.2.1]へプト-2-エン(BNB)に変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液68gを510gのメタノールに滴下して再沈殿させた。析出したポリマーを濾別し、風乾させた後、40gのTHFに溶解させた。溶解させた液体を430gのメタノールに滴下して再び再沈殿させ、濾別した。最後に常温中真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[比較例1]
シクロペンタノンと1-ブタノールとの混合溶媒をシクロペンタノールに変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。
[比較例2]
連鎖移動剤をトリエチルシランから1-ヘキセンに変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。
[比較例3]
下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液56gにTHF47.5gを加え沈殿物を分散させた後、メタノール760gとTHF152gの混合液に滴下して再沈殿させた。濾別してポリマーを回収した後、380gのメタノールと76gのTHFの混合液で濾物を洗浄し、濾別した。最後に常温で真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[実施例6]
連鎖移動剤としてトリエチルシランの他にビシクロ[4.2.0]オクタ-7エン(BCO)を加え、溶媒をシクロペンタノンと1-ブタノールの混合溶媒からトルエンに変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液87gを350gのイソプロパノールに滴下して再沈殿させ、濾別した。最後に80℃真空乾燥で残存溶媒を除き、精製したポリマーを得た。
[実施例7]
連鎖移動剤としてトリエチルシランの他にBCOを加え、溶媒をシクロペンタノンと1-ブタノールの混合溶媒からシクロペンタノンのみの溶媒に変更し、下記表1の条件にしたがい実施例1と同様に重合した。反応終了後、反応液18gを80gのメタノールに滴下して再沈殿させた。濾別してポリマーを回収した後、40gのメタノールの混合液で濾物を洗浄し、濾別した。最後に80℃真空乾燥で残存溶媒を除き精製したポリマーを得た。
[実施例8]
助触媒をリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート-エチルエーテルコンプレックスに変更し、さらに5-ビニル-2-ノルボルネンを、5-(5-ヘキセン-1-イル)ビシクロ[2.2.1]へプト-2-エン(HNB)に変更し、実施例1と同様に下記表2の条件で追加添加ありで重合した。追加添加は下記表2の量を40分、70分、95分の3回に分けて添加した。
反応終了後、反応液88gを620gのメタノールに滴下して再沈殿させた。析出したポリマーを濾別し、風乾させた後、18gのTHFと37gのトルエンの混合溶液に溶解させた。溶解させた液体を370gのメタノールに滴下して再び再沈殿させ、濾別した。濾物を50gのメタノールで洗浄し、濾過した。最後に常温中真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
[実施例9]
助触媒をリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート-エチルエーテルコンプレックスに変更し、さらに5-ビニル-2-ノルボルネンを、5-(5-ヘキセン-1-イル)ビシクロ[2.2.1]へプト-2-エン(HNB)に変更し、実施例1と同様に下記表2の条件で重合した。追加添加は下記表2の量を23分、55分、95分、135分の4回に分けて添加した。
反応終了後、反応液76gを570gのメタノールに滴下して再沈殿させた。析出したポリマーを濾別し、風乾させた後、30gのTHFと65gのトルエンの混合溶液に溶解させた。溶解させた液体を680gのメタノールに滴下して再び再沈殿させ、濾別した。濾物を110gのメタノールで洗浄し、濾過した。最後に常温中真空乾燥を行い精製したポリマーを得た。
得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いた。測定条件は、以下の通りである。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL Supermultipore HZ-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶剤:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
Figure 2022097410000011
Figure 2022097410000012
表1、2に示すように、実施例ではMw800~5000程度の分子量のオリゴマーが得られた。有機溶媒としてシクロペンタノールを用いた比較例1では分子量が低く蒸発しやすいため、リフロー時のボイド発生の点で問題があり、連鎖移動剤に1-ヘキセンを用いた比較例2は高分子量化しており、溶剤への溶解性が低下してハンドリング性が低下し、プリプレグ等の調製に影響を及ぼすことが想定された。
<溶融温度>
TGDTA測定器(HITACHI製STA7200RV)を用いて窒素条件下で30℃から5℃/minの速度で温度上昇させ、様相の変化を画像データとして取得した。画像データで確認し、溶解始めた時の温度から全体的に溶解した状態が確認できた温度までの温度範囲を溶解温度とした。
<トルエン溶解性>
トルエン0.2gに、得られたポリマーを0.3g加え、目視(通常の照明下)で透明で溶け残りがないことを確認し、以下の基準で評価した。
(基準)
〇:溶解
△:一部溶け残りあり
×:不溶
<トルエン/メチルエチルケトン(MEK)溶解性>
トルエン/メチルエチルケトン(混合比率:1/1)の混合溶剤0.2gに、得られたポリマーを0.3g加え、目視(通常の照明下)で透明で溶け残りがないことを確認し、上記基準で評価した。
<メチルイソブチルケトン(MIBK)/シクロヘキサノン溶解性>
メチルイソブチルケトン(MIBK)/シクロヘキサノン(混合比率:1/1)の混合溶剤0.3gに、得られたポリマーを0.3g加え、目視(通常の照明下)で透明で溶け残りがないことを確認し、上記基準で評価した。
<熱硬化性試験>
得られたポリマー0.5gを、メチル-n-アミルケトン(MAK)/デカン(混合比率:1/1)の混合溶剤0.5gに溶解し、ラジカル重合開始剤であるパーブチルPを0.01g添加した。得られた混合液を加熱し、130℃1時間保持した。前記のGPC測定により下記式により重量平均分子量(Mw)の変化を確認した。
式:130℃1時間加熱後のポリマーの重量平均分子量(Mw)/加熱前のポリマーの重量平均分子量(Mw)
Figure 2022097410000013
表3に記載のように、実施例の樹脂は有機溶剤への溶解性に優れることからハンドリング性に優れ、さらに熱硬化性であり、上記のような溶解温度を有することから、半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、回路基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の製造安定性に優れ、これらの半導体用途に好適に用いられることが想定された。
<ポリマーの誘電特性>
ポリヘキシルノルボルネン(pHexNB、Mw:10万)と下記ポリマー1とを、図1に記載の配合比で混合したトルエン溶液(樹脂濃度30wt%)を基板上に塗布し、この塗布膜を60℃15分~30分間、さらに90℃15分~30分間乾燥して膜厚100μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて、10GHzでの誘電正接を空洞共振器法で測定した。結果を図1に示す。
(ポリマー1)
・下記一般式で表される実施例2のポリマー(NB/VNB、p:q=3:5、Mw:2200)
Figure 2022097410000014
実施例2の本発明の熱硬化性樹脂を所定濃度で含むフィルムは、低誘電性に優れ、本発明の熱硬化性樹脂は低誘電性に優れることが確認された。
実施例2の熱硬化性樹脂とラジカル重合開始剤等とを含む硬化性樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物から硬化物(フィルム)を得た場合、含まれる熱硬化性樹脂が硬化しビニル基が消費されることからさらに低誘電性に優れることが想定された。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位aと、
    下記一般式(2)で表される構造単位bと、
    を含み、
    重量平均分子量が500以上10,000以下である、熱硬化性樹脂。
    Figure 2022097410000015
    (一般式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。nは0、1または2である。)
    Figure 2022097410000016
    (一般式(2)中、Qは末端二重結合を有する基を示す。mは0、1または2である。)
  2. 全構成単位における構造単位aと構造単位bとの合計量が80モル%以上である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
  3. 前記一般式(2)のQにおける、末端二重結合を有する基は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、またはビニルフェニル基を含む、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂。
  4. 25℃におけるトルエンに対する溶解度が、30wt%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂。
  5. 溶融温度が50℃以上250℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂。
  6. 構造単位aに対する構造単位bのモル比(b/a)が、0.1以上4以下である、請求項1~5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂と、
    有機溶剤と、
    を含む樹脂ワニス。
  8. 請求項1~6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂と、
    ラジカル重合開始剤と、
    を含む硬化性樹脂組成物。
  9. 有機溶剤中で、重合触媒および連鎖移動剤の存在下、下記一般式(1a)で表される化合物a1と、下記一般式(2a)で表される化合物b1と、を反応させる工程を含み、
    前記有機溶剤は、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、非環式脂肪族アルコール系溶剤、および芳香族系溶剤から選択される少なくとも1種を含み、
    前記連鎖移動剤は、トリアルキルシラン化合物およびシクロブテン化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6に記載された熱硬化性樹脂の製造方法。
    Figure 2022097410000017
    (一般式(1a)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。nは0、1または2である。)
    Figure 2022097410000018
    (一般式(2a)中、Qは末端二重結合を有する基を含む基を示す。mは0、1または2である。)
  10. 前記一般式(2a)のQにおける、末端二重結合を有する基は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、またはビニルフェニル基である、請求項9に記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
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