JP2023116922A - ポリノルボルネンの製造方法、ポリノルボルネン含有溶液、ポリノルボルネン粉末、感光性樹脂組成物、および半導体装置 - Google Patents

ポリノルボルネンの製造方法、ポリノルボルネン含有溶液、ポリノルボルネン粉末、感光性樹脂組成物、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】重量平均分子量が小さく他材料との相溶性に優れるポリノルボルネンが得られるとともに、収率が高く、安全性にも優れたポリノルボルネンの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のポリノルボルネンの製造方法は、溶媒中、パラジウム触媒および連鎖移動剤の存在下、ノルボルネン系化合物を重合する工程を含み、前記溶媒は、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下であり、前記ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaと、前記溶媒のハンセン溶解度パラメータbとの差が8以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリノルボルネンの製造方法、ポリノルボルネン含有溶液、ポリノルボルネン粉末、感光性樹脂組成物、および半導体装置に関する。
従来から、ノルボルネン系樹脂は電気特性、光学特性、低吸湿性などに優れるという特徴を有し、成形品として種々の用途に用いられている。
特許文献1には、ノルボルネン系ポリマー、またはノルボルネン系ポリマーを含むポリマー組成物が開示されている。具体的には、トルエン中で、1-[4-(5-2-ノルボルニル)ブチル]-3,4-ジメチル-ピロール-2,5-ジオン(NBBuDMMI)を単独重合させた例が記載されている(段落0173、段落0176)。
特許文献2には、所定の構造のブロックコポリマーが開示されている。具体的には、トリフルオロトルエン中で、所定のパラジウム触媒の存在下、NBBuDMMIを単独重合させた例が記載されており、当該例では、NBBuDMMIの100モルに対して所定のパラジウム触媒を1モル用いて合成が行われている(段落0251、段落0253)。
また、ポリイミド樹脂は、高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性を有しているため、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料、カラーフィルタ等の電子材料用薄膜として広く用いられている。
特許文献3には、所定のマレイミド基を末端に備えるポリイミドを含む感光性組成物が開示されている。
特表2013-541191号公報 特表2017-525808号公報 国際公開第2020/181021号
しかしながら、特許文献1に記載の従来の製造方法においては、得られたポリマーの重量平均分子量が大きく他材料との相溶性に改善の余地があった。さらに、トルエン中で反応が行われており、得られたポリマーにトルエンが残留するため安全性に問題があった。
特許文献2に記載の従来の製造方法においては、得られたポリマーの重量平均分子量が小さいものの、長時間(20時間)の反応であるにもかかわらず転化率が低く、ポリマーの収率に改善の余地があった。さらに、トリフルオロトルエン中で反応が行われており、得られたポリマーにトリフルオロトルエンが残留するため安全性に問題があった。
本発明者らは、トルエンおよびトリフルオロトルエン以外の所定の溶媒中で、パラジウム触媒および連鎖移動剤の存在下、ノルボルネン系化合物を重合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
溶媒中、パラジウム触媒および連鎖移動剤の存在下、ノルボルネン系化合物を重合し、ポリノルボルネンを得る工程を含み、
前記溶媒は、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下であり、
前記ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaと、前記溶媒のハンセン溶解度パラメータbとの差が8以下である、ポリノルボルネンの製造方法が提供される。
本発明によれば、
下記一般式(1a)で表される構造単位を含むポリノルボルネンを含み、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下である、ポリノルボルネン含有溶液が提供される。
Figure 2023116922000001
(一般式(1a)中、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示し、Qは単結合、または2価の有機基を示し、G、G、およびGはそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。mは0、1または2である。)
本発明によれば、
トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下である、前記一般式(1a)で表される構造単位を含むポリノルボルネン粉末が提供される。
本発明によれば、
前記ポリノルボルネン粉末と、ポリイミドと、を含む、感光性樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、
前記感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜が提供される。
本発明によれば、
前記感光性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂膜を備える半導体装置が提供される。
本発明によれば、重量平均分子量が小さく他材料との相溶性に優れるポリノルボルネンが得られるとともに、収率が高く、安全性にも優れたポリノルボルネンの製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、トルエンやトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下であり、安全性に優れたポリノルボルネンを提供することができる。またさらに、本発明によれば、ポリノルボルネンが他材料との相溶性に優れていることから、ポリノルボルネンと、ポリイミドとを含む感光性樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態の半導体装置の概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、例えば「1~10」は特に断りがなければ「1以上」から「10以下」を表す。
本実施形態のポリノルボルネンの製造方法は、溶媒中、パラジウム触媒および連鎖移動剤の存在下、ノルボルネン系化合物を重合する工程を含む。
本実施形態においては、例えば、ノルボルネン系化合物と、パラジウム触媒と、連鎖移動剤とを溶媒に溶解した後、所定時間加熱することにより溶液重合を行うことができる。
このとき、加熱温度は、たとえば30℃~120℃、好ましくは40℃~100℃、さらに好ましくは50℃~80℃とすることができる。
また、加熱時間は、たとえば0.5時間~10時間とすることができる。なお、窒素通気により反応系内の水分を除去したうえで、溶液重合を行うことがより好ましい。
(ノルボルネン系化合物)
本実施形態のノルボルネン系化合物としては、本発明の効果を奏する範囲で公知のノルボルネン系化合物を用いることができるが、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2023116922000002
一般式(1)中、RおよびRは各々独立して水素原子もしくは炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも一方は炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、いずれも炭素数1~3のアルキル基であることがより好ましい。炭素数1~3のアルキル基としては、本発明の効果の観点から、炭素数1または2のアルキル基が好ましく、炭素数1のアルキル基がより好ましい。
は単結合、または2価の有機基を示す。
2価の前記有機基としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の有機基を用いることができるが、例えば炭素数1~8のアルキレン基または(ポリ)アルキレングリコール鎖を挙げることができる。炭素数1~8のアルキレン基は、炭素数2~6のアルキレン基であることが好ましい。
炭素数1~8のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、及びオクチレン基等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドは特に限定されないが、炭素数1~18のアルキレンオキサイドにより構成されることが好ましく、より好ましくは炭素数2~8のアルキレンオキサイドであり、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1-ブテンオキサイド、2-ブテンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、オクチレンオキサイド等が挙げられる。
、G、およびGはそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。
炭素数1~30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、またはシクロアルキル等が挙げられる。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。
アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。
アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。
アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。
炭素数1~30の炭化水素基は、その構造中に、O、N、S、PおよびSiから選択される少なくとも1つの原子を含んでいてもよい。
本実施形態において、前記炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数1~15の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10の炭化水素基であることがより好ましい。また、炭素数1~30の炭化水素基は、炭素数1~30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~15のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~10のアルキル基であることがさらにより好ましい。
置換された炭素数1~30炭化水素基の置換基は、水酸基、アミノ基、シアノ基、エステル基、エーテル基、アミド基、スルホンアミド基等を挙げることができ、少なくとも1種の基で置換されていてもよい。
本実施形態において、G、G、およびGのいずれか1つが、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基、残りが水素原子であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
mは0、1または2であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
本実施形態のポリノルボルネンは一般式(1)の化合物由来の構成単位を備えることから低誘電正接に優れる。さらに、ポリノルボルネンは側鎖に所定のマレイミド基を有しており、ラジカル反応が生じず光二量化が可能であることから、ポリノルボルネン同士を光重合することができ、機械的強度にもより優れる。
(溶媒)
本実施形態の重合反応に用いられる溶媒は、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まない。さらに、本実施形態においては、得られるポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaと、前記溶媒のハンセン溶解度パラメータbとの差(ハンセン距離Ra)が8以下、好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下である、溶媒を用いる。
本実施形態において、ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaは以下の方法で測定される。
[方法]
5ml容のガラス容器に、ポリノルボルネン0.05gに対して、下記評価用溶剤から選択される何れかの溶剤1mLを加え、ミックスローターで1時間攪拌した後の分散性を目視にて下記3段階で評価する。コンピュータソフトウェアHSPiP(バージョン5.2.02)のSphereプログラムに全ての評価用溶媒および当該溶媒に対する分散性の評価結果を入力し、ハンセン溶解度パラメータを算出する。
(評価用溶剤)
ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、安息香酸ベンジル、炭酸プロピレン、1―ヘキセン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、メタノール
(評価)
1:完全に溶解する。
2:一部溶解する。
6:溶解しない。
前記ポリノルボルネンとのハンセン距離が所定の範囲にある溶媒を用いることにより、トルエンおよびトリフルオロトルエンを用いなくても、ポリノルボルネンの溶解性に優れることから合成反応が円滑に進み、転化率に優れることから収率が向上する。さらに、ポリノルボルネン粉末が得られることからハンドリング性に優れる。
ハンセン溶解度パラメータは、ある物質が他のある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標である。ハンセン溶解度パラメータは、溶解性を3次元のベクトルで表すことができ、具体的には分散項(δ)、分極項(δ)、水素結合項(δ)で表すことができる。
本実施形態において、ハンセン距離Raは、分散項(δ)、分極項(δ)、水素結合項(δ)を座標とする3次元空間上のポリノルボルネン(A)と溶媒(B)の距離であり、具体的には、下記式で算出することができる。
式: Ra=[4(δDA-δDB+(δPA-δPB+(δHA-δHB]1/2
ハンセン距離Raの値が小さいほど、ポリノルボルネン(A)と溶媒(B)は相溶性に優れ、ハンセン距離Raは上記範囲であることが好ましい。
前記溶媒は、1種の溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。
前記溶媒は、ハンセン距離Raの上記範囲を満たせば特に限定されないが、本発明の効果の観点から、エーテル系溶媒、および芳香環を含まない炭化水素系溶媒から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記エーテル系溶媒としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の溶媒を用いることができ、例えば、シクロペンチルメチルエーテル、およびメチルテトラヒドロピランから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの溶媒を含むことにより、後述する再沈殿工程において粉末状のポリノルボルネンを好適に得ることができる。
芳香環を含まない前記炭化水素系溶媒としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の溶媒を用いることができ、例えば、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル、メチルテトラヒドロピラン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンから選択される少なくとも1種と、酢酸エチルとの混合溶媒であることがより好ましい。
前記溶媒が2種以上の混合溶媒である場合、前記ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaと2種以上の混合溶媒のハンセン溶解度パラメータcとの差(ハンセン距離Ra)が上記範囲であることが好ましい。
(パラジウム触媒)
上記パラジウム触媒としては、付加重合が進行すれば特に選ばないが、例えばパラジウム錯体に対してホスフィン系や、ジイミン系などの配位子を配位させ、カウンターアニオンなどを用いても良い。このうちの一種または二種以上を使用できる。
上記パラジウム錯体としては、たとえば(アセタト-κ0)(アセトニトリル)ビス[トリス(1-メチルエチル)ホスフィン]パラジウム(I)テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、π-アリルパラジウムクロリドダイマーなどのアリルパラジウム錯体、
パラジウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、ナフトエ酸塩などのパラジウムの有機カルボン酸塩、
酢酸パラジウムのトリフェニルホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリ(m-トリル)ホスフィン錯体、酢酸パラジウムのトリシクロヘキシルホスフィン錯体などのパラジウムの有機カルボン酸の錯体、
パラジウムのジブチル亜リン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのパラジウムの有機スルフォン酸塩、
ビス(アセチルアセトナート)パラジウム、ビス(ヘキサフロロアセチルアセトナート)パラジウム、ビス(エチルアセトアセテート)パラジウム、ビス(フェニルアセトアセテート)パラジウムなどのパラジウムのβ-ジケトン化合物、
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス[トリ(m-トリルホスフィン)]パラジウム、ジブロモビス[トリ(m-トリルホスフィン)]パラジウム、アセトニルトリフェニルホスフォニウム錯体などのパラジウムのハロゲン化物錯体等が挙げられる。
上記ホスフィン配位子としては、トリフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどが挙げられる。
上記カウンターアニオンとしては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど挙げられる。
パラジウム触媒の量は、前記ノルボルネン系化合物1モルに対して1/20000モル以上1/500モル以下、好ましくは1/10000モル以上1/1000モル以下、さらに好ましくは1/5000モル以上1/2000モル以下とすることができる。これにより、ポリノルボルネンの収率をより向上させることができる。
本実施形態においては、ノルボルネン化合物と所定の溶媒を用いていることから反応に使用されるパラジウム触媒の量が少なく、得られるポリノルボルネンに含まれる残留パラジウム量を低減することができることから、ポリノルボルネンは誘電正接等の誘電特性に優れる。
(連鎖移動剤)
本実施形態において、前記連鎖移動剤は、本発明の効果を奏する範囲で公知の連鎖移動剤を用いることができるが、下記一般式(a)で表される化合物、ギ酸、およびシュウ酸から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
連鎖移動剤を用いることで、パラジウム触媒の量を低減することができ、さらに重量平均分子量が小さいポリノルボルネンを得ることができる。
Figure 2023116922000003
一般式(a)中、R、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1~10のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。
一般式(a)で表される化合物としては、例えば、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリブチルシラン等が挙げられる。
連鎖移動剤は、前記ノルボルネン系化合物100質量部に対して、好ましくは5質量部以上50質量部以下、より好ましくは10質量部以上40質量部以下の量で用いることができる。
(その他の成分)
その他、反応に際し、必要に応じて分子量調整剤、助触媒等を添加することもできる。
助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含むのが好ましい。すなわち、前記付加型ノルボルネン系樹脂を合成する場合、前記触媒の他に助触媒を添加する方が好ましい。これにより、付加型ノルボルネン系モノマーの重合速度をより高めることができる。
前記助触媒としては、特に限定されるわけではないが、アルキルアルミニウム、ルイス酸又は、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体等を挙げることができ、それらの中でも、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体が好ましい。
また、前記助触媒としては、下記式(i)で表されるものが、さらに好ましい。
[C][WCA] 式(i)
(上記式において、Cは、プロトン(H)、有機基含有カチオン、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは遷移金属のカチオンを表し、WCAは、上記で定義したとおりであり、eとdは、それぞれ、カチオン錯体(C)と弱配位性アニオン塩(WCA)の、総合塩錯体上の電子電荷を釣り合わせるように定められる数である。)
前記弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体としては、特に限定されるわけではないが、リチウム(ジエチルエーテル)2.5テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、H(OEtテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(4-メチル)-α,α-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンメタノラト-κO]アルミネート、ナトリウム・テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリアルキル及びトリアリールホスホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、並びにトリチル・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
助触媒は、前記ノルボルネン系化合物1モルに対して1/20000モル以上1/500モル以下、好ましくは1/10000モル以上1/1000モル以下、さらに好ましくは1/5000モル以上1/2000モル以下とすることができる。これにより、ポリノルボルネンの収率をより向上させることができる。
[再沈殿工程等]
以上の工程により本実施形態のポリノルボルネンを含む反応溶液を得ることができ、さらに必要に応じて有機溶媒等で希釈し、ポリマー溶液として使用することができる。有機溶媒としては、反応工程において例示したものを用いることができ、反応工程と同じ有機溶媒であってもよく、異なる有機溶媒であってもよい。
また、このポリマー溶液を貧溶媒中に投入してポリノルボルネンを再沈殿析出させて未反応モノマーを除去し、乾燥固化させてポリノルボルネン粉末を得ることができる。貧溶媒としては、ヘキサン、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールや水などが挙げられ、組み合わせて用いることもできる。
得られたポリノルボルネン粉末を再び有機溶媒に溶解し精製品(ポリノルボルネン含有溶液)として用いることもできる。特に不純物や異物が問題になる用途では、再び有機溶媒に溶解することが好ましい。
ポリノルボルネン含有溶液中(100重量%)のポリノルボルネン濃度は、特に限定されないが、30~70重量%程度である。
上記ポリノルボルネン含有溶液(100重量%)の15~150倍の重量の貧溶媒を使用する。重合に使用する溶媒種によって使用する貧溶媒の量が異なり、炭化水素系の溶媒を使用した場合50~150倍、エーテル系の溶媒を使用した場合15~50倍の貧溶媒
を使用することにより粉末のポリノルボルネンを得ることができる。
本実施形態のポリノルボルネンの製造方法は、溶媒としてトルエンおよびトリフルオロトルエンを用いないことから、ポリノルボルネン粉末およびポリノルボルネン含有溶液はこれらの溶媒を含まない。
なお、原料であるノルボルネンの合成に、トルエンまたはトリフルオロトルエンを用いた場合でも、ポリノルボルネンの製造方法においてはこれらの溶媒を用いないことから、反応溶媒はトルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下であり、さらにポリノルボルネンの精製工程(再沈殿工程等)を経ることから、ポリノルボルネン粉末およびポリノルボルネン含有溶液はトルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下である。特に、ポリノルボルネン含有溶液は再沈殿工程を経て得られたポリマー粉末を溶媒に溶かして調製できることから、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないポリノルボルネン含有溶液を得ることができる。
本実施形態において、トルエンおよびトリフルオロトルエンが検出限界以下であるとは、精製後のポリノルボルネンをガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)測定した場合において検出限界以下であることを意味する。
本実施形態のポリノルボルネンは、下記一般式(1a)で表される構造単位を含む。
Figure 2023116922000004
一般式(1a)中、R、R、Q、G、G、Gおよびmは一般式(1)と同義である。
本実施形態の製造方法によれば、重量平均分子量が低いポリノルボルネンを得ることができ、その重量平均分子量は好ましくは15,000以下、より好ましくは12,000以下、さらに好ましくは10,000以下とすることができる。重量平均分子量の下限値は特に限定されないが、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,000以上とすることができる。
重量平均分子量が上記範囲であることで、ポリノルボルネンは他材料との相溶性に優れ、例えばポリイミドとの相溶性に優れることから感光性樹脂組成物を好適に得ることができる。
ポリノルボルネンの分散度(Mw/Mn)は、例えば、1.0以上8.0以下であり、好ましくは1.2以上5.0以下であり、より好ましくは1.5以上3.0以下である。分散度を上記範囲が上記範囲であることで、ポリノルボルネンは他材料との相溶性にさらに優れる。
本実施形態において、ポリノルボルネンの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて分子量分布曲線を得ることにより測定できる。ポリノルボルネンの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分散度(PDI:Mw/Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めたポリスチレン換算値を用いて、算出する。
GPCの測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL GMH、G2000H、SuperHM-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:5.0mg/ミリリットル
本実施形態の製造方法は、反応に使用されるパラジウム触媒の量が少ないことから、得られるポリノルボルネン粉末に含まれる残留パラジウム量を低減することができ、これにより誘電正接等の誘電特性に優れる。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述のポリノルボルネン粉末と、ポリイミドと、を含む。
[ポリイミド]
本実施形態のポリイミドは、両末端の少なくとも一方が下記一般式(t)で表される基tであることが好ましく、両末端が当該基tであることがより好ましい。
Figure 2023116922000005
一般式(t)中、RおよびRは各々独立して水素原子もしくは炭素数1~3のアルキル基を示し、本発明の効果の観点から、炭素数1または2のアルキル基が好ましく、炭素数1のアルキル基がより好ましい。*は結合手を示す。
は2価の有機基を示す。
2価の前記有機基としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の有機基を用いることができるが、例えば、下記一般式(t-1)で表される2価の有機基が好ましい。
Figure 2023116922000006
一般式(t-1)中、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~3のアルコキシ基を示し、RとRは異なる基であり、RとRは異なる基である。
~Rは、本発明の効果の観点から、好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。
は単結合、-SO-、-C(=O)-、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基を示し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。
は、本発明の効果の観点から、好ましくは単結合、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基である。
*は結合手を示す。
本実施形態のポリイミドは一般式(t)で表される基tを少なくとも一方の末端に備えるポリイミドを含むことから機械的強度に優れる。さらに、ラジカル反応が生じず光二量化が可能であることから、機械的強度により優れる。
また、ポリイミドは、その末端が下記一般式(u)で表される基uを備えるポリイミドを含んでいてもよい。
Figure 2023116922000007
一般式(u)中、X、R~Rは、一般式(t-1)と同義である。
ポリイミドが、前記基uを備えるポリイミドを含む場合、基tと基uとの合計モル数に対する基tのモル数の比(t/t+u)は0.5以上、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上とすることができる。この範囲であれば、現像で溶出するポリイミド成分を低減することができる。
本実施形態のポリイミドは、下記一般式(a1)で表される構造単位(a1)と、下記一般式(a2)で表される構造単位(a2)と、を含むことが好ましい。
Figure 2023116922000008
一般式(a1)中、Yは2価の有機基である。
2価の有機基としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の有機基を用いることができるが、本発明の効果の観点から、下記一般式(a1-1)、下記一般式(a1-2)および下記一般式(a1-3)から選択される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2023116922000009
一般式(a1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR同士、複数存在するR同士は同一でも異なっていてもよい。
およびRは、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましく水素原子である。
は、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR同士は同一でも異なっていてもよい。
は、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましく水素原子である。
*は結合手を示す。
一般式(a1-2)中、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR10同士、複数存在するR11同士は同一でも異なっていてもよい。
10およびR11は、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはR10の少なくとも1つおよびR11の少なくとも1つは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくは3つのR10が炭素数1~3のアルキル基であり1つのR10が水素原子であり、かつ3つのR11が炭素数1~3のアルキル基であり1つのR11が水素原子であり、特に好ましくは3つのR10がメチル基であり1つのR10が水素原子であり、かつ3つのR11がメチル基であり1つのR11が水素原子である。
*は結合手を示す。
一般式(a1-3)中、Zは炭素数1~5のアルキレン基、2価の芳香族基を示す。
*は結合手を示す。
Figure 2023116922000010
一般式(a2)中、R~R、Xは一般式(t-1)と同義である。
本実施形態のポリイミドが、一般式(a2)で表される構造単位を含むことにより、イミド環の電子への影響が抑制され当該ポリイミドの加水分解が抑制され、伸び等の機械的強度に優れるとともに、有機溶剤への溶解性にも優れる。言い換えれば、本実施形態のポリイミドおよびポリイミドを含む感光性樹脂組成物はこれらの特性のバランスに優れる。
前記ポリイミドは、さらに下記一般式(a3)で表される構造単位(a3)を含むことができる。
Figure 2023116922000011
一般式(a3)中、RおよびRは各々独立して水素原子、炭素数1~4のハロアルキル基、または水酸基を示し、好ましくは水素原子または炭素数1~4のハロアルキル基である。複数存在するR同士は同一でも異なっていてもよく、複数存在するR同士は同一でも異なっていてもよい。
Xは単結合、炭素数1~4のアルキレン基、炭素数1~4のハロアルキレン基を示し、好ましくは単結合、炭素数1~4のハロアルキレン基である。
m、nは各々独立して0または1を示す。
前記一般式(t)において、Qの2価の有機基としては、前記一般式(a3)で表される構造単位(a3)であってもよい。具体的には、下記一般式(t-2)で表される2価の有機基を挙げることができる。
Figure 2023116922000012
一般式(t-2)中、R、R、X、m、nは一般式(a3)と同義である。
*は結合手を示す。
本実施形態のポリイミドは、具体的には、下記一般式(1)で表される構造単位1を含むことができる。
Figure 2023116922000013
一般式(1)中、R~R、Xは一般式(t-1)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。
本実施形態のポリイミドは、具体的には、構造単位1とともに、さらに下記一般式(2)で表される構造単位2を含んでいてもよい。
Figure 2023116922000014
一般式(2)中、R~R、X、m、nは一般式(a3)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。
本実施形態のポリイミドの重量平均分子量は、5,000~200,000であり、好ましくは10,000~100,000である。
[光増感剤]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに光増感剤を含むことができる。
光増感剤としては、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ミヒラーケトン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン系光重合開始剤またはチオキサントン系光重合開始剤であることが好ましい。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド等が挙げられる。これらのベンゾフェノンやその誘導体は、3級アミンを水素供与体として硬化速度を向上させることができる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤の市販品として、例えば、SPEEDCUREMBP(4-メチルベンゾフェノン)、SPEEDCUREMBB(メチル-2-ベンゾイルベンゾエイト)、SPPEDCUREBMS(4-ベンゾイル-4’メチルジフェニルサルファイド)、SPPEDCUREPBZ(4-フェニルベンゾフェノン)、SPPEDCUREEMK(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)(以上商品名、DKSHジャパン株式会社製)等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンが挙げられる。ジエチルチオキサントンとしては、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2-イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。中でも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤がさらに好ましい。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品として、例えば、SpeedcureDETX(2,4-ジエチルチオキサントン)、SpeedcureITX(2-イソプロピルチオキサントン)、SpeedcureCTX(2-クロロチオキサントン)、SPEEDCURECPTX(1-クロロ-4-プロピルチオキサントン)(以上商品名、DKSHジャパン株式会社製)、KAYACUREDETX(2,4-ジエチルチオキサントン)(商品名、日本化薬株式会社製)が挙げられる。
光増感剤の添加量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の固形分全体の0.05~10質量%程度であるのが好ましく、0.1~7.5質量%程度であるのがより好ましく、0.2~5質量%程度であるのがさらに好ましい。光増感剤の添加量を前記範囲内に設定することにより、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層のパターニング性を高めるとともに、感光性樹脂組成物の長期保管性を向上させることができる。
[密着助剤]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに密着助剤を含むことができる。
これにより、感光性樹脂組成物で形成された樹脂膜やパターンの、基板との密着性を高めることができる。
使用可能な密着助剤は特に限定されない。例えば、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、酸無水物官能型シラン、スルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシシラン(すなわち、1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)または酸無水物官能型シラン(すなわち、1分子中に、酸無水物基と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)が好ましい。シランカップリング剤のシランとは反対側の基が、ポリマーAまたはポリイミドと結合やポリマーとなじみが良くなる等することにより、感光性樹脂組成物で形成された樹脂膜やパターンの、基板との密着性をより高めることができる。
アミノシランとしては、例えば、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アクリルシランとしては、例えば、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプトシランとしては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイドシランとしては、例えば、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
酸無水物官能型シランとしては、例えば、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
スルフィドシランとしては、例えば、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
密着助剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
密着助剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体を100質量部としたとき、通常0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部である。この範囲とすることで、他の性能とのバランスを取りつつ、密着助剤の効果である「密着性」を十分に得ることができると考えられる。
(溶媒)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、溶媒として、ウレア化合物、または、非環状構造のアミド化合物を含むことができる。溶媒としては、例えば、ウレア化合物を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化物と、Al、Cuといった金属との密着性をより向上できる。
なお、本明細書において、ウレア化合物とは、尿素結合、すなわち、ウレア結合を備える化合物を示す。また、アミド化合物とは、アミド結合を備える化合物、すなわちアミドを示す。なお、アミドとは、具体的には、1級アミド、2級アミド、3級アミドが挙げられる。
また、本実施形態において、非環状構造とは、化合物の構造中に炭素環、無機環、複素環などの環状構造を備えないことを意味する。環状構造を備えない化合物の構造としては、例えば、直鎖状構造、分岐鎖状構造などが挙げられる。
ウレア化合物、非環状構造のアミド化合物としては、分子構造中の窒素原子の数が多いものが好ましい。具体的には、分子構造中の窒素原子の数が2個以上であることが好ましい。これにより、孤立電子対の数を増やすことができる。したがって、Al、Cuといった金属との密着性を向上できる。
ウレア化合物の構造としては、具体的には、環状構造、非環状構造などが挙げられる。ウレア化合物の構造としては、上記具体例のうち、非環状構造であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化物と、Al、Cuといった金属との密着性を向上できる。この理由は以下のように推測される。非環状構造のウレア化合物は、環状構造のウレア化合物と比べて、配位結合を形成しやすいと推測される。これは非環状構造のウレア化合物は、環状構造のウレア化合物と比べて、分子運動の束縛が少なく、さらに、分子構造の変形の自由度が大きいためと考えられる。したがって、非環状構造のウレア化合物を用いた場合、強力な配位結合を形成でき、密着性を向上できる。
ウレア化合物としては、具体的には、テトラメチル尿素(TMU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラブチル尿素、N,N'-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメトキシ-1,3-ジメチル尿素、N,N'-ジイソプロピル-O-メチルイソ尿素、O,N,N'-トリイソプロピルイソ尿素、O-tert-ブチル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素、O-エチル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素、O-ベンジル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素などが挙げられる。ウレア化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ウレア化合物としては、上記具体例のうち例えば、テトラメチル尿素(TMU)、テトラブチル尿素、1,3-ジメトキシ-1,3-ジメチル尿素、N,N'-ジイソプロピル-O-メチルイソ尿素、O,N,N'-トリイソプロピルイソ尿素、O-tert-ブチル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素、O-エチル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素及びO-ベンジル-N,N'-ジイソプロピルイソ尿素からなる群より選択される1種または2種以上を用いることが好ましく、テトラメチル尿素(TMU)を用いることがより好ましい。これにより、強力な配位結合を形成でき、密着性を向上できる。
非環状構造のアミド化合物としては、具体的には、3-メトキシ-N、N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジブチルホルムアミドなどが挙げられる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、溶媒として、ウレア化合物、非環状構造のアミド化合物のほかに、窒素原子を備えない溶媒を含んでもよい。
窒素原子を備えない溶媒としては、具体的には、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、スルホン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。窒素原子を備えない溶媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エーテル系溶媒としては、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテルなどが挙げられる。
上記アセテート系溶媒としては、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテートなどが挙げられる。
上記アルコール系溶媒としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、2-エチルヘキサノール、ブタンジオール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
上記ケトン系溶媒としては、具体的には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、2-ヘプタノンなどが挙げられる。
上記ラクトン系溶媒としては、具体的には、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。
上記カーボネート系溶媒としては、具体的には、エチレンカルボナート、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
上記スルホン系溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどが挙げられる。
上記エステル系溶媒としては、具体的には、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネートなどが挙げられる。
上記芳香族炭化水素系溶媒としては、具体的には、メシチレン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記溶媒のうち、より好ましい溶媒はPGMEA、シクロペンタノンである。これらを使用することでポリマーA(ポリノルボルネン)とポリイミド(ポリイミド)との溶解性を向上させることができる。
(界面活性剤)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤としては、限定されず、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成社製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、フロラードFC-430、フロラードFC-431、ノベックFC4430、ノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-382、サーフロンS-383、サーフロンS-393、サーフロンSC-101、サーフロンSC-102、サーフロンSC-103、サーフロンSC-104、サーフロンSC-105、サーフロンSC-106、(AGCセイミケミカル社製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサン共重合体KP341(信越化学工業社製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
これらのなかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤としては、上記具体例のうち、メガファックF171、メガファックF173、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-383、サーフロンS-393(AGCセイミケミカル社製)、ノベックFC4430及びノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
また、界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤(例えばポリエーテル変性ジメチルシロキサンなど)も好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤として具体的には、東レダウコーニング社のSHシリーズ、SDシリーズおよびSTシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越化学工業株式会社のKPシリーズ、日油株式会社のディスフォーム(登録商標)シリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどを挙げることができる。
感光性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の全体(溶媒を含む)に対して1質量%(10000ppm)以下であることが好ましく、0.5質量%(5000ppm)以下であることであることがより好ましく、0.1質量%(1000ppm)以下であることが更に好ましい。
また、感光性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量の下限値は、特には無いが、界面活性剤による効果を十分に得る観点からは、例えば、感光性樹脂組成物の全体(溶媒を含む)に対して0.001質量%(10ppm)以上である。
界面活性剤の量を適当に調整することで、他の性能を維持しつつ、塗布性や塗膜の均一性などを向上させることができる。
(酸化防止剤)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。酸化防止剤としては、フェノ-ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエ-テル系酸化防止剤から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の酸化を抑制できる。
フェノ-ル系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9-ビス{2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル}2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチル-6-ブチルフェノール)、2,-2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4-s-ブチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-ビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコ-ルビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-(1-メチルシクロヘキシル)-4-メチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス(2-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジメチル-6-(1-メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4-ビス((オクチルチオ)メチル)-5-メチルフェノール、などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、ビス-(2,6-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ-ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシカルボニルエチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-オクタデシルオキシカルボニルエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
チオエ-テル系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ビス(2-メチル-4-(3-n-ドデシル)チオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
(感光性樹脂組成物の調製)
本実施形態における感光性樹脂組成物を調製する方法は限定されず、感光性樹脂組成物に含まれる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。
例えば、上記各成分を、溶媒に混合して溶解することにより調製することができる。
(感光性樹脂組成物、硬化膜)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、該感光性樹脂組成物をAl、Cuといった金属を備える面に対して塗工し、次いで、プリベークすることで乾燥させ樹脂膜を形成し、次いで、露光及び現像することで所望の形状に樹脂膜をパターニングし、次いで、樹脂膜をポストベークすることで硬化させ硬化膜を形成することで使用される。
なお、上記永久膜を作製する場合、プリベークの条件としては、例えば、温度50℃以上150℃以下で、30秒間以上1時間以下の熱処理とすることができる。また、ポストベークの条件としては、例えば、温度150℃以上250℃以下で、30分間以上10時間以下の熱処理とすることができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の粘度は、所望の樹脂膜の厚みに応じて適宜設定することができる。感光性樹脂組成物の粘度の調整は、溶媒を添加することでできる。なお、調整の際、溶媒中のウレア化合物及び非環状構造のアミド化合物の含有量を一定に保つ必要がある。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の粘度の上限値は、例えば、5000mPa・s以下でもよく、4000mPa・s以下でもよく、3000mPa・s以下でもよい。また、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の粘度の下限値は、所望の樹脂膜の厚みに応じて、例えば、10mPa・s以上でもよく、50mPa・s以上でもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物から得られるフィルムは、テンシロン試験機による引張試験により測定された伸び率が、最大値10~200%、好ましくは20~150%であり、平均値1~150%、好ましくは2~120%である。
本実施形態の感光性樹脂組成物から得られるフィルムは、引張強度が、30~300MPa、好ましくは50~200MPaとすることができる。
このように、本実施形態の感光性樹脂組成物は、機械的強度に優れたフィルム等の硬化物を提供することができる。この理由は明らかでないが、本発明の剛直なポリイミドの優れた性質のためと推察される。
本実施形態の感光性樹脂組成物からなるフィルムは、低誘電正接に優れ、周波数10GHzで測定したときの誘電正接(tanδ)が、0.008以下であり、好ましくは0.007以下、より好ましくは0.006以下とすることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物からなるフィルムは、硬化収縮が抑制されており、線熱膨張率(CTE)は200ppm/℃以下、好ましくは150ppm/℃以下とすることができる。
(用途)
本実施形態の感光性樹脂組成物(ネガ型感光性樹脂組成物)は、永久膜、レジストなどの半導体装置用の樹脂膜を形成するために用いられる。これらの中でも、プリベーク後の感光性樹脂組成物及びAlパッドの密着性向上と、現像時の感光性樹脂組成物の残渣の発生の抑制とをバランスよく発現する観点、ポストベーク後の感光性樹脂組成物の硬化膜と、金属との密着性を向上する観点、加えて、ポストベーク後の感光性樹脂組成物の耐薬品性を向上する観点から、永久膜を用いる用途に用いられることが好ましい。
なお、本実施形態において、樹脂膜は、感光性樹脂組成物の硬化膜を含む。すなわち、本実施形態にかかる樹脂膜とは、感光性樹脂組成物を硬化させてなるものである。
上記永久膜は、感光性樹脂組成物に対してプリベーク、露光及び現像を行い、所望の形状にパターニングした後、ポストベークすることによって硬化させることにより得られた樹脂膜で構成される。永久膜は、半導体装置の保護膜、層間膜、ダム材などに用いることができる。
上記レジストは、例えば、感光性樹脂組成物をスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の方法で、レジストにとってマスクされる対象に塗工し、感光性樹脂組成物から溶媒を除去することにより得られた樹脂膜で構成される。
本実施形態に係る半導体装置の一例を図1に示す。
本実施形態に係る半導体装置100は、上記樹脂膜を備える半導体装置とすることができる。具体的には、半導体装置100のうち、パッシベーション膜32、絶縁層42および絶縁層44からなる群の1つ以上を、本実施形態の硬化物を含む樹脂膜とすることができる。ここで、樹脂膜は、上述した永久膜であることが好ましい。
半導体装置100は、たとえば半導体チップである。この場合、たとえば半導体装置100を、バンプ52を介して配線基板上に搭載することにより半導体パッケージが得られる。
半導体装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層(図示せず。)と、を備えている。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられた最上層配線34が設けられている。最上層配線34は、たとえば、アルミニウムAlにより構成される。また、層間絶縁膜30上および最上層配線34上には、パッシベーション膜32が設けられている。パッシベーション膜32の一部には、最上層配線34が露出する開口が設けられている。
パッシベーション膜32上には、再配線層40が設けられている。再配線層40は、パッシベーション膜32上に設けられた絶縁層42と、絶縁層42上に設けられた再配線46と、絶縁層42上および再配線46上に設けられた絶縁層44と、を有する。絶縁層42には、最上層配線34に接続する開口が形成されている。再配線46は、絶縁層42上および絶縁層42に設けられた開口内に形成され、最上層配線34に接続されている。絶縁層44には、再配線46に接続する開口が設けられている。
絶縁層44に設けられた開口内には、たとえばUBM(Under Bump Metallurgy)層50を介してバンプ52が形成される。半導体装置100は、たとえばバンプ52を介して配線基板等に接続される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1]
(1-[4-(5-2-ノルボルニル)ブチル]-3,4-ジメチル-ピロール-2,5-ジオン(NBBuDMMI)の合成)
500mLの丸底フラスコ中で、ジメチルマレイン酸無水物(42.6g、0.34mol)を室温でトルエン(300mL)に溶解させた。酸素を除去するために、溶液を窒素ガス雰囲気下に置いた。反応フラスコを氷浴中に置き、発熱反応に由来する過剰な加熱を防いだ。ジメチルマレイン酸無水物が溶解した時点で、5-ノルボルネン-2-ブチルアミン(49.6g、0.30mol)を含む滴下漏斗を装着し、ノルボルネン化合物を反応フラスコに3時間に渡って滴下した。滴下漏斗を取り外し、ディーンスターク管および還流冷却器をフラスコに装着した。溶液を加熱して125℃に設定したオイルバス中で還流させ、反応物を18時間その温度で撹拌した。この間に約6mLの水がディーンスターク管に回収された。フラスコをオイルバスから取り出し、室温に冷却した。エバポレーターを用いてトルエン溶媒を除去し、黄色油状物質を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーカラム(250gのシリカゲル)にのせ、1.7リットルのシクロヘキサン/酢酸エチル(95/5wt比)の溶媒混合物を用いて溶出させた。エバポレーターを用いて溶出溶媒を除去し、その後、真空下45℃で18時間乾燥させて、80.4g(収率92.7%)の目的とする生成物を得た。反応式を下記に示す。
Figure 2023116922000015
[溶媒のハンセン溶解度パラメータ]
溶媒、および混合溶媒のハンセン溶解度パラメータはコンピュータソフトウェアHSPiPのデータベース、またはコンピュータソフトウェアHSPiPのDIYプログラムに分子構造を入力することで得た。また、混合溶媒に関しては、下記式を用いて溶解度パラメータを計算した。
下記式において、溶剤1の体積比をa、ハンセンの溶解度パラメータを分散項(δD1)、分極項(δP1)、水素結合項(δH1)を用いて表し、溶剤2の体積比をb、ハンセンの溶解度パラメータを分散項(δD2)、分極項(δP2)、水素結合項(δH2)を用いて表す。
表1に、ポリマー(pNBBuDMMI)、溶媒、および混合溶媒の分散項(δD)、分極項(δP)、水素結合項(δH)を示し、表2にポリマー(pNBBuDMMI)と混合溶媒とのハンセン距離Raを示す。
Figure 2023116922000016
[ポリノルボルネン(pNBBuDMMI)のハンセン溶解度パラメータ]
以下の方法でポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaを測定した。以下の測定に用いたポリノルボルネンは、合成例1で得られたNBBuDMMIの単独重合体である。なお、ポリノルボルネンの分散項(δD)、分極項(δP)および水素結合項(δH)は、当該ポリノルボルネンの重量平均分子量等の影響を受けない。
[方法]
5ml容のガラス容器に、ポリノルボルネン 0.05gに対して、下記評価用溶剤から選択される何れかの溶剤1mLを加え、ミックスローターで1時間攪拌した後の分散性を目視にて下記3段階で評価する。コンピュータソフトウェアHSPiP(バージョン5.2.02)のSphereプログラムに全ての評価用溶媒および当該溶媒に対する分散性の評価結果を入力し、ハンセン溶解度パラメータを算出する。
(評価用溶剤)
ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、安息香酸ベンジル、炭酸プロピレン、1―ヘキセン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、メタノール
(評価)
1:完全に溶解する。
2:一部溶解する。
6:溶解しない。
測定の結果、ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータの分散項(δD)は18.9MPa1/2、分極項(δP)は5.5MPa1/2、水素結合項(δH)は7.2MPa1/2であった。
表1に、ポリノルボルネン(pNBBuDMMI)および溶媒の分散項(δD)、分極項(δP)、水素結合項(δH)を示し、表2にポリノルボルネン(pNBBuDMMI)のハンセン溶解度パラメータaと、前記溶媒のハンセン溶解度パラメータbとの差を示す。
Figure 2023116922000017
Figure 2023116922000018
[実施例1]
ポリノルボルネン1の合成
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に1時間窒素通気させた後、1-[4-(5-2-ノルボルニル)ブチル]-3,4-ジメチル-ピロール-2,5-ジオン(NBBuDMMI)(24.60g、90mmol)、トリエチルシラン(3.14g、27mmol)を入れた。さらに、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)(16.04g)、酢酸エチル(EA)(1.98g)を加えることにより反応溶液を得た。窒素フロー(50mL/min)下、撹拌しつつ70℃まで反応溶液を加熱した。触媒(パラジウム(II)(アセトニトリル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)アセテートテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、Pd-1206)(0.0434g)および助触媒(N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、DANFABA)(0.0288g)を酢酸エチル(EA)(3.37g)に溶かしたものを調製し、NBBuDMMI:触媒:助触媒=2500:1:1(モル比)になるように反応溶液に投入した。そして、70℃、3時間で重合を行い、重合後、放冷して反応を停止させた。
得られた重合溶液を、テトラヒドロフランで希釈して希釈液を作製し、次いで、希釈液をメタノール溶液に滴下することで、白色固体を析出させた。得られた白色固体を回収し、温度50℃で真空乾燥することにより、ポリマー(ポリノルボルネン1)20.02gを得た。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン1のトルエン含有量は検出限界以下であった。
[実施例2]
ポリノルボルネン2の合成
実施例1のCPMEを4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)に変更し、下記表3の条件に従い実施例1と同様に合成した。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン2のトルエン含有量は検出限界以下であった。
[実施例3]
ポリノルボルネン3の合成
実施例1のCPMEをシクロヘキサン(CH)に変更し、下記表3の条件に従い実施例1と同様に合成した。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン3のトルエン含有量は検出限界以下であった。
[実施例4]
ポリノルボルネン4の合成
実施例1のCPMEをメチルシクロヘキサン(MCH)に変更し、下記表3の条件に従い実施例1と同様に合成した。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン4のトルエン含有量は検出限界以下であった。
[実施例5]
ポリノルボルネン5の合成
下記表3の条件に従い実施例1と同様に合成した。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン5のトルエン含有量は検出限界以下であった。
[比較例1]
ポリノルボルネン6の合成
実施例1のシクロペンチルメチルエーテルをトルエン(Tol)に変更し、下記表3の条件に従い実施例1と同様に合成した。
後述する方法で測定されたポリノルボルネン6のトルエン含有量は350ppmであった。
なお、いずれの実施例で得られたポリノルボルネンは、トリフルオロトルエンを含んでいなかった。
(重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)・分子量分布(PDI))
合成例1において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(PDI:Mw/Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。測定条件は、以下の通りである。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー社製TSK-GEL Supermultipore HZ-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:5.0mg/ミリリットル
(転化率)
実施例1~5、比較例1において、NBBuDMMIの転化率は、重合前と重合後の反応溶液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)測定することにより導出した。測定条件は以下の通りである。
SHIMADZU社製ガスクロマトグラフィー装置 GC―2030
カラム:SH―Rxi―1HT
検出器:FID
測定条件:210℃(30分)
内部標準:メチルアミルケトン
希釈溶媒:メシチレン
試料濃度:5.0mg/ミリリットル
(トルエン含有量)
実施例1~5、比較例1において、トルエン含有量は、精製後のポリノルボルネンの含有量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)測定することにより導出した。なお、検出限界以下は10ppm以下程度である。
カラム:F-Lab UA5―30M(0.25mm×30m、膜厚:250mm)
キャリアガス:He、1ミリリットル/分
カラム温度:40℃(5分)→10℃/分→300℃(9分)
検出器:MS
注入口温度:210℃
スプリット比:50:1
試料重量:2.0mg
イオン源:EI、 m/z 25―800
Figure 2023116922000019
[合成例1]
(ポリイミドの合成)
以下のポリイミドの合成において、下記化合物を用いた。
下記式で示される、4,4-ジアミノ-3,3-ジエチル-5,5-ジメチルジフェニルメタン(以下、MED-Jとも示す)
Figure 2023116922000020
下記式で示される、4-[4-(1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-イルカルボニロキシ)-2,3,5-トリメチルフェニル]-2,3,6-トリメチルフェニル 1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-カルボキシレート(以下、TMPBP-TMEとも示す)
Figure 2023116922000021
はじめに、撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、MED-J 43.99g(155.8mmol)と、TMPBP-TME 89.22g(144.2mmol)を入れた。その後、反応容器に、さらにγ-ブチロラクトン(以下、GBLとも示す)399.64gを加えた。
窒素を10分間通気した後、撹拌しつつ温度60℃まで上げ、1時間反応させた。事前に、ジメチル無水マレイン酸8.73g(69.2mmol)をガンマブチロラクトン26.19gに溶解させた溶液を作成し、この溶液を反応容器へ入れ、さらに30分反応を行った。さらに175℃で3時間反応させることで、ジアミンと酸無水物を重合させ末端を封止した、重合溶液を作製した。
得られた重合溶液を、テトラヒドロフランで希釈して希釈液を作製し、次いで、希釈液をメタノール溶液に滴下することで、白色固体を析出させた。得られた白色固体を回収し、温度80℃で真空乾燥することにより、ポリイミド125.88gを得た。
ポリイミドをGPC測定したところ、重量平均分子量Mwは74,000、多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は2.62であり、末端封止率は65%であった。
得られたポリイミドは、その一部に下記式で表される繰り返し単位が含まれ、末端にジメチルマレイミド基を備えていた。
Figure 2023116922000022
[実施例6]
以下の感光性樹脂組成物を調製において、下記成分を用いた。
・感光剤:1-クロロ-4‐プロポキシチオキサントン(英Lambson社製、SPEEDCURE CPTX(商品名))
・溶媒:シクロペンタノン
・密着助剤:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学工業社製、商品名「X-12-967C」)
表4に記載の成分を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物を、シリコンウェハ表面に乾燥後の膜厚が10μmになるようにスピンコートし、120℃4分間のプリベーク後、高圧水銀灯にて1500mJ/cmの露光を行い、その後、窒素雰囲気下で200℃120分間硬化を行ってフィルムを調製した。
[ポリマー相溶性(ポリノルボルネンのポリイミドとの相溶性)]
得られた感光性樹脂組成物を120℃で4分間プリベークした後において表面が白濁しているかどうかを蛍光灯下にて目視で確認し、以下の基準で評価した。
〇:相溶している。
×:相溶していない。
(誘電正接Df)
実施例6の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、この塗布膜を120℃10分間乾燥し、PLA露光(540mJ)を行い、窒素雰囲気下で200℃2時間硬化させて膜厚100μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて、10GHzでの誘電正接を空洞共振器法で測定した。
[パターニング特性に関する評価]
実施例6の感光性樹脂組成物が、露光・現像により十分にパターニング可能であることを、以下のようにして確認した。
実施例6の感光性樹脂組成物を、8インチシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した。塗布後、大気下でホットプレートにて120℃で4分間プリベークし、膜厚約8.0μmの塗膜を得た。
この塗膜に、幅20μmのビアパターンが描かれているマスクを通して、i線を照射した。照射には、i線ステッパー(ニコン社製・NSR-4425i)を用いた。
露光後、現像液としてシクロペンタノンを用い、120秒間スプレー現像し、未露光部を溶解除去して、ビアパターンを得た。
得られたビアパターンの断面を、卓上SEMを用いて観察した。ビアパターンの底面と開口部の中間の高さにおける幅をビア幅とし、以下基準で評価した。
パターニング性良好:20μmのビアパターンが開口
パターニング性不良:20μmのビアパターンが開口しない
実施例6の感光性樹脂組成物から得られた塗膜はパターニング性が良好であった。
Figure 2023116922000023
30 層間絶縁膜
32 パッシベーション膜
34 最上層配線
40 再配線層
42 絶縁層
44 絶縁層
46 再配線
50 UBM層
52 バンプ
100 半導体装置

Claims (22)

  1. 溶媒中、パラジウム触媒および連鎖移動剤の存在下、ノルボルネン系化合物を重合し、ポリノルボルネンを得る工程を含み、
    前記溶媒は、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下であり、
    前記ポリノルボルネンのハンセン溶解度パラメータaと、前記溶媒のハンセン溶解度パラメータbとの差が8以下である、ポリノルボルネンの製造方法。
  2. 前記ノルボルネン系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載のポリノルボルネンの製造方法。
    Figure 2023116922000024
    (一般式(1)中、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示し、Qは単結合、または2価の有機基を示し、G、G、およびGはそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。mは0、1または2である。)
  3. 前記連鎖移動剤は、下記一般式(a)で表される化合物、ギ酸、およびシュウ酸から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のポリノルボルネンの製造方法。
    Figure 2023116922000025
    (一般式(a)中、R、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示す。)
  4. 一般式(1)中、R、RおよびRは各々独立して炭素数1~3のアルキル基を示す、請求項3に記載のポリノルボルネンの製造方法。
  5. 前記溶媒は、2種以上の混合溶媒である、請求項1~4のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  6. 前記溶媒は、エーテル系溶媒、および芳香環を含まない炭化水素系溶媒から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  7. 前記エーテル系溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル、およびメチルテトラヒドロピランから選択される少なくとも1種を含み、
    芳香環を含まない前記炭化水素系溶媒は、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンから選択される少なくとも1種を含む、請求項6に記載のポリノルボルネンの製造方法。
  8. 前記溶媒が2種の混合溶媒である場合、前記ノルボルネン系化合物のハンセン溶解度パラメータaと2種の混合溶媒のハンセン溶解度パラメータcとの差が8以下である、請求項1~7のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  9. 前記溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル、メチルテトラヒドロピラン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンから選択される少なくとも1種と、酢酸エチルとの混合溶媒である、請求項1~8のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  10. 前記パラジウム触媒を、前記ノルボルネン系化合物1モルに対して1/5000モル以上1/2000モル以下の量で用いる、請求項1~9のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  11. さらに、前記重合工程で得られたポリノルボルネンと、当該ポリノルボルネンの貧溶媒とを混合して粉末状のポリノルボルネンを再沈殿させる工程を含む、請求項1~9のいずれかに記載のポリノルボルネンの製造方法。
  12. 前記再沈殿工程の前に、前記重合工程で得られたポリノルボルネンを希釈する工程を含む、請求項11に記載のポリノルボルネンの製造方法。
  13. 下記一般式(1a)で表される構造単位を含むポリノルボルネンを含み、トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下である、ポリノルボルネン含有溶液。
    Figure 2023116922000026
    (一般式(1a)中、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示し、Qは単結合、または2価の有機基を示し、G、G、およびGはそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。mは0、1または2である。)
  14. 前記ポリノルボルネンの重量平均分子量が15,000以下である、請求項13に記載のポリノルボルネン含有溶液。
  15. トルエンおよびトリフルオロトルエンを含まないかGC/MS測定において検出限界以下である、下記一般式(1a)で表される構造単位を含むポリノルボルネン粉末。
    Figure 2023116922000027
    (一般式(1a)中、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示し、Qは単結合、または2価の有機基を示し、G、G、およびGはそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換の炭素数1~30の炭化水素基を示す。mは0、1または2である。)
  16. 前記ポリノルボルネンの重量平均分子量が15,000以下である、請求項15に記載のポリノルボルネン粉末。
  17. 請求項15または16に記載のポリノルボルネン粉末と、
    ポリイミドと、
    を含む、感光性樹脂組成物。
  18. 前記ポリイミドは、両末端の少なくとも一方が下記一般式(t)で表される基である、請求項17に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023116922000028
    (一般式(t)中、RおよびRは各々独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示し、Qは2価の有機基を示す。*は結合手を示す。)
  19. さらに、光増感剤を含む、請求項17または18に記載の感光性樹脂組成物。
  20. 請求項17~19のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜。
  21. 請求項17~19のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂膜を備える半導体装置。
  22. 層間絶縁膜と、
    前記層間絶縁膜上に設けられた、請求項17~19のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂膜と、
    前記樹脂膜中に埋設された再配線と、
    を備えることを特徴とする、請求項21に記載の半導体装置。
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