JP2007191520A - 再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シート - Google Patents

再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】23℃での粘着力よりも60℃での粘着力が高く、しかも130℃加熱後、常温での剥離性にも優れるため、多様な用途に用いることができる再剥離性粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】粘着性高分子と架橋剤を含有する粘着剤組成物において、下記粘着力試験における初期粘着力(A)、高温時粘着力(B)、及び冷却後剥離力(C)の関係が次の関係を満足することを特徴とする再剥離性粘着剤組成物及びこの粘着剤組成物からなる粘着層を基材上に設けた粘着シート。
(B)≧1×(A)、(C)≦2.5×(A)
【選択図】なし

Description

本発明は、常温領域では被着体に対して悪影響を及ぼすことなく剥離可能であり、しかも高温領域において被着体に対する粘着力が高く、被着体を確実に固定し得る再剥離性粘着剤組成物及びこれを用いた再剥離性粘着シートに関する。
近年、フレキシブルプリント基板(FPC)の絶縁基板の薄肉化が進み、絶縁基板上に金属を蒸着する工程、メッキする工程、エッチングする工程など絶縁基板を加工する種々の工程において、絶縁基板に補強シートを貼り付けハンドリング性を向上させることが不可欠となっている。また、FPCの製造以外でも、フィルム状の基材にスパッタリング、コロナ処理、プラズマ処理、サンディングによるマット処理など種々の加工を施す際のハンドリング性の向上や基材の破損防止などのために、基材に補強シートを貼り付けることが行なわれている。
さらに、積層セラミックコンデンサをはじめとする電子部品の製造においても、電子部品の前駆体である被加工体を加工する際には粘着力が高く、被加工体を確実に固定することができる一方で、被加工体を加工した後にあっては粘着力が低下して、被加工体を容易に剥離することが可能である再剥離性粘着シートが用いられている。
このような補強シートは加工が終了した後に剥離する必要があるため、通常、再剥離性粘着シートが補強シートとして用いられている。このような再剥離性粘着シートとしては、例えば、アクリル系粘着剤を用いた微粘着性粘着剤層を基材上に設けた微粘着シート(特許文献1参照)や紫外線硬化性のオリゴマーを含有する粘着剤層を有し、紫外線照射によるオリゴマーの硬化を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる紫外線硬化型粘着シートが提案されている(特許文献2参照)。
また、熱膨張性微小球を含む粘着剤層を有し、加熱による熱膨張性微小球の膨張、ひいては被着体と粘着剤層との接触面積の低下を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる加熱剥離型粘着シートが提案されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
また、主鎖及び/又は側鎖が結晶性ポリマーである粘着性高分子を含む粘着剤層を有し、冷却による結晶性ポリマーの結晶化を利用して、粘着剤層の粘着力を低下させる再剥離性粘着シートも提案されている(例えば、特許文献7及び8参照)。
更に、粘着性高分子を有効成分として含み、かつ、0〜30℃の温度領域(常温領域)における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、80〜100℃の温度領域(高温領域)における粘着力(高温時粘着力)が1N/25mm以上であり、前記高温領域から前記常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後剥離力)が0.2N/25mm以下である再剥離性粘着剤組成物を含む粘着層を基材上に設けた再剥離性粘着シートも提案されている(例えば、特許文献9参照)。
特願2001−106998号公報 特開平9−291258号公報 特開平11−302614号公報 特開2000−351947号公報 特開2002−69422号公報 特開2003−160765号公報 特開平9−251923号公報 特開2003−138237号公報 特開2005−248094号公報
特許文献1に記載の微粘着シートの粘着力は、一般に図1に示すように温度上昇と共に低下する傾向にあるため、高温領域で所望の粘着力を得ようとすると常温領域での粘着力を高くする必要がある。常温領域での粘着力を高くすると被着体に粘着シートを貼り付けた後、貼り直しや剥離処理を行なうと被着体が変形したり、破壊されたりし、被着体に悪影響を及ぼす原因となるので好ましくない。
特許文献2〜9に記載の再剥離性粘着シートは、いずれも使用時には充分な粘着力を有する一方で、使用後においてはその粘着力を低減させることができ、粘着剤を被着体に残存させることなく剥離することができるとされている。
ところが、紫外線硬化型粘着シートや加熱剥離型粘着シートは、粘着力の低下が不可逆的であり、且つ、フィルム加工温度域を考慮し、室温での粘着力が大きい設計となっている。そのため、被着体の厚さが薄い場合、貼り直し作業が特に難しく、無理に剥がすと被着体を破壊もしくは目的とする被着体の特性に悪影響を及ぼすおそれがあった。また、貼り直しのために紫外線照射や加熱処理を行なうと、剥離はできるが処理を行なった粘着シートは二度と使えなくなるという欠点を有していた。
さらに、紫外線硬化型粘着シートにおいては高温下で使用した後において、粘着力の低下が充分でない場合があり、使用後の剥離性という面で課題があった。この課題は、加熱剥離型粘着シートの場合の熱膨張性微小球の膨張に斑があることに起因して、微小球の収縮による再融着が発生した際にも同様である。使用後の剥離性に劣る場合には剥離時に被着体が破損したり、破損に至らないまでも粘着剤層が被着体に残存し(しばしば「糊残り」と称される)、最終製品の信頼性や歩留まりの低下を招来する点において好ましくない。
また、再剥離性粘着シートは、常温領域での粘着力が小さいため被着体と貼り付ける場合に加熱する必要があるばかりか、常温領域での作業性、特に搬送性やハンドリング性が低下するものであった。
以上説明したように、現在のところ、常温領域での粘着力を低くしながら、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、60〜100℃という高温下においても被着体に対する保持力を有しつつ、保持が不要となったときには容易に剥離できる程度の適度な密着力を示すことができる再剥離性粘着シートは未だ開示されておらず、そのような再剥離性粘着シートを創出することが産業界から切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題に対応すべくなされたものであり、常温領域での粘着力を高くすることなく、高温領域での被着体との密着性に優れ、また、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、加工前後においてはある程度の保持力を有しつつ、保持が不要となったときには容易に剥離できる程度の適度な密着力を示すことができる再剥離性粘着剤組成物及び再剥離性粘着シートを提供するものである。
本発明者等は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、粘着性高分子を有効成分として含み、23℃の温度(常温)における粘着力、60℃の温度(高温)における粘着力(高温時粘着力)及び高温領域から常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後剥離力)とを特定の関係になる再剥離性粘着剤組成物によって、上記課題を解決し得ることに想到して、本発明を完成させた。即ち、本発明によれば、以下の再剥離性粘着剤組成物及び再剥離性粘着シートが提供される。
[1]粘着性高分子と架橋剤を含有する粘着剤組成物において、下記粘着力試験における初期粘着力(A)、高温時粘着力(B)、及び冷却後剥離力(C)が次の関係を満足することを特徴とする再剥離性粘着剤組成物。
(B)≧1×(A)
(C)≦2.5×(A)
[初期粘着力(A)]
片面に再剥離性粘着剤組成物を含有する再剥離性粘着剤層を有する再剥離性粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラーを一往復させることにより圧着して20分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分で、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。これらの工程は全て温度23℃、湿度65%RHの条件下で行った。
[高温時粘着力(B)]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、更に、60℃の温度雰囲気下で引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
[冷却後剥離力(C)]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、次いで、130℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
[2]初期粘着力(A)が0.3N/25mm以下であることを特徴とする前記[1]に記載の再剥離性粘着剤組成物。
[3]前記再剥離性粘着剤組成物が、(I)アクリル系再剥離性粘着剤と(II)主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が20万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜40℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子とを含有する再剥離性粘着剤組成物中にであって、該(I)成分と該(II)成分との配合割合が質量比で95:5〜50:50であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の再剥離性粘着剤組成物。
[4]前記再剥離性粘着剤組成物は、さらに(III)少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記(I)成分及び(II)成分に比して低い低極性粘着性高分子を含むものである前記[3]に記載の再剥離性粘着剤組成物。
[5]フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の再剥離性粘着剤組成物を含む粘着層を設けた再剥離性粘着シート。
[6]前記粘着層は、前記(III)成分、又はこれが架橋剤により架橋された架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものである前記[5]に記載の再剥離性粘着シート。
本発明の再剥離性粘着剤組成物及び再剥離性粘着シートは、常温領域での高い粘着力による、または紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、60〜100℃の温度領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができるという、従来品と比較して有利な効果を奏するものである。
以下、本発明の再剥離性粘着剤組成物及び再剥離性粘着シートを実施するための最良の形態について具体的に説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
[1]再剥離性粘着剤組成物
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、粘着性高分子を有効成分として含み、下記粘着力試験における初期粘着力(A)、高温時粘着力(B)及び冷却後剥離力(C)が次の関係を満足する再剥離性粘着剤組成物である。
(B)≧1×(A)
(C)≦2.5×(A)
[初期粘着力(A)]
片面に再剥離性粘着剤組成物を含有する再剥離性粘着剤層を有する再剥離性粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラーを一往復させることにより圧着して20分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分で、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。これらの工程は全て温度23℃、湿度65%RHの条件下で行った。
[高温時粘着力(B)]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、更に、60℃の温度雰囲気下で30分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
[冷却後剥離力(C)]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、次いで、130℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
このような再剥離性粘着剤組成物は、常温領域でも被着体とある程度の密着性があるため、優れた搬送性やハンドリング性を有するのに加え、優れた高温時粘着力を示すため、高温領域において被着体を確実に固定することができるとともに、冷却後、常温領域での粘着力が低いため、高温領域での加工後においても被着体を容易に剥離することが可能であり、被着体の破損や糊残りの問題を効果的に防止することができる。
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、上記の特性を有するものである限り、その組成は特に限定されないが、粘着性高分子として、少なくとも(I)再剥離性粘着剤と(II)感温型粘着性高分子を含み、所望により他の粘着性高分子、例えば、前記(I)成分や(II)成分に比して低い低極性粘着性高分子を含むものが好適に用いられる。より具体的には、(I)再剥離性粘着剤と(II)感温型粘着性高分子と、(III)低極性粘着性高分子と、これらの高分子の間を架橋し得る架橋剤とを有効成分とするとともに、この有効成分由来の架橋高分子を含有する再剥離性粘着剤組成物がその一例として挙げられる。以下、各構成成分ごとに説明する。
(1)再剥離性粘着剤(I)
再剥離性粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等が挙げられるが、分子量及びガラス転移温度等の調整性の面からアクリル系の再剥離性粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、架橋剤と反応し得るものであり、例えばアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルの1種以上のモノマー成分と架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー成分との共重合体が包含される。前記アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、ペンタデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル等が挙げられるが、中でも炭素数1〜8のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分として用いるのが好ましい。架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー成分としては、その官能基がカルボキシル基であるアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、等の他、官能基がヒドロキシル基であるアクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、アクリル酸ヒドロキシオクチル、メタクリル酸ヒドロキシオクチル、アクリル酸ヒドロキシデシル、メタクリル酸ヒドロキシデシル、アクリル酸ヒドロキシラウリル、メタクリル酸ヒドロキシラウリル等が挙げられる。常温での粘着性を低くすることができ、加工後における再剥離性に優れるという特徴を与える点において、水酸基であることが好ましい。このようなものとしては例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらのモノマー成分は単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、所望により前記モノマー成分以外のモノマー成分を併用してもよい。このようなものとしては、例えばスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、テトラフルフリルアクリレート等が挙げられる。
アクリル系粘着剤は、前記モノマー成分をラジカル共重合させることによって得ることができる。この場合の共重合法は良く知られており、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、光重合法等が挙げられる。また、アクリル系粘着剤のガラス転移温度は−80℃〜10℃の範囲であることが望ましい。ガラス転移温度が10℃を超えると常温で被着体との密着性を得ることが困難となるので好ましくない。被着体との粘着性及び冷却剥離性の面から好ましいガラス転移温度は−70℃〜0℃である。
また、前記(I)成分は質量平均分子量(「Mw」と略記される場合がある)が20万以上であるアクリル樹脂であることが好ましく、20万〜200万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが更に好ましく、20万〜100万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが特に好ましい。
(1)感温型粘着性高分子(II)
本明細書における(II)感温型粘着性高分子は、温度変化に依存して粘着力が変化する特性を有する粘着性高分子であって、ガラス転移温度が−10〜60℃の粘着性高分子を用いるのが好ましい。
例えば、再剥離性粘着剤がアクリル系粘着剤の場合、(II)感温型粘着性高分子としては、炭素数1〜4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー成分を重合して得られる粘着性高分子でありそのガラス転移温度(「Tg」と略記される場合がある)が−10〜60℃の範囲にある粘着性高分子が好ましい。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。また、炭素数1〜4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであって、このアルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸エステルである。
前記(II)成分は、−10〜60℃、好ましくは−10〜40℃の温度領域にガラス転移温度を有する粘着性高分子を用いるのが好ましい。このような温度範囲にガラス転移温度を有することにより、上述のような粘着力の温度異存特性を容易に発現させることができる。即ち、上記範囲のガラス転移温度を超えて温度が上昇すると粘着性高分子が軟化し高い粘着力を示す一方で、ガラス転移温度付近及びそれ以下の温度領域では粘着性高分子が固化して粘着力が低下することにより、上述のような粘着力の温度異存特性を容易に発現させることができる。即ち、前記のようなガラス転移温度を有する(II)成分感温型粘着性高分子を用いることにより、常温での粘着力を適度に低下させることができ、しかも60〜100℃という温度領域における粘着力を向上させることができる。
(II)成分は、前記炭素数1〜4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルを重合して得ることができるが、1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用い、任意的な他のモノマー成分とともに重合することにより、感温型粘着性高分子のガラス転移温度を上述のような温度範囲とすることができる。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基(n−プロピル基)、1−メチルエチル基(iso−プロピル基)、1−ブチル基(n−ブチル基)、2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)等が挙げられる。従って、炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、1−プロピルエステル(n−プロピルエステル)、1−メチルエチルエステル(iso−プロピルエステル)、1−ブチルエステル(n−ブチルエステル)、2−メチルプロピルエステル(iso−ブチルエステル)、1−メチルプロピルエステル(sec−ブチルエステル)、1,1−ジメチルエチルエステル(tert−ブチルエステル)等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な任意的な他のモノマー成分としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、炭素数5以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのアクリル系モノマーの他、スチレン、酢酸ビニル及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。また、この任意的な他のモノマー成分として、架橋剤と反応し得る官能基(以下、「反応性官能基」と記す)を有するものであることが好ましい。
反応性官能基は、カルボキシル基、水酸基、又はアミノ基等が知られているが、常温での粘着性を低くすることができ、加工後における再剥離性に優れるという特徴を与える点において、水酸基であることが好ましい。反応性官能基として水酸基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
モノマー成分中の炭素数1〜4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、50質量%以上であり、55質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。モノマー成分中の他のモノマー成分の配合割合は、50質量%未満、45質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
前記(II)成分は質量平均分子量(「Mw」と略記される場合がある)が20万以上であるアクリル樹脂であることが好ましく、20万〜200万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが更に好ましく、20万〜100万の範囲内にあるアクリル樹脂であることが特に好ましい。質量平均分子量が上記範囲未満の場合には、高温領域、40〜100℃の温度領域において粘着力が低下するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、高温領域で使用した後の剥離性が不充分となり易い点において好ましくない。
なお、質量平均分子量(Mw)は、「感温型粘着性高分子」を重合する際に、連鎖移動剤の種類と量、モノマーと重合開始剤のモル比等を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。また、市販の粘着性高分子の中から所望の質量平均分子量を有するものを適宜選択して使用してもよい。
(II)成分は、例えば、既述のアクリル系モノマー(必要に応じて非アクリル系モノマー)をラジカル重合させる方法等によって得ることができる。重合の方法は特に限定されず、従来公知の重合法、例えば、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、又は光重合法等を好適に用いることができる。
(3)低極性粘着性高分子(III)
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、前記(I)成分及び(II)成分に加え、(III)低極性粘着性高分子を含有してもよい。この場合用いられる低極性粘着性高分子としては、例えば、前記炭素数1〜4のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基よりも極性が低いアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分を重合して得られる粘着性高分子が挙げられる。この他の粘着性高分子を構成するモノマーとしては、炭素数6〜8のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。原料組成物がこのような低極性粘着性高分子を含むことにより、室温において適度な微粘着性を示しやすくなり、さらに初期粘着力及び冷却後剥離力を低く調整し易くなる。
上記の炭素数6〜8のアルキル基としては、1−ヘキシル基(n−ヘキシル基)、1−ヘプチル基(n−ヘプチル基)、1−オクチル基(n−オクチル基)、6−メチルヘプチル基(iso−オクチル基)、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。従って、炭素数6〜8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸の1−ヘキシルエステル(n−ヘキシルエステル)、1−ヘプチルエステル(n−ヘプチルエステル)、1−オクチルエステル(n−オクチルエステル)、6−メチルヘプチルエステル(iso−オクチルエステル)、2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。中でも、安価で入手が容易な2−エチルヘキシルエステルを用いることが好ましい。炭素数6〜8のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、その効果を確保するべく、全構成モノマーに対して40質量%以上、好ましくは50〜98質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
低極性粘着性高分子を形成するモノマー成分は、上述の炭素数6〜8のアルキル基がエステル結合された(メタ)アクリル酸エステルモノマー成分に加えて、他のモノマー成分を含んでもよい。この成分としては、上述の(II)成分の任意的な他のモノマー成分と同様のものが挙げられる。また、この成分としては、反応性官能基を有するモノマーも好ましい。反応性官能基及び反応性官能基を有するモノマーとしては、上述の感温型粘着性高分子の任意的な他のモノマー成分において挙げられたものと同様のものを挙げることができる。この成分の他の粘着性高分子を形成する全モノマー成分に対する割合は、0〜50質量%、好ましくは1〜40質量%である。
低極性粘着性高分子は−50〜−80℃の温度領域(以下、「低温領域」と記す)にガラス転移温度を有することが好ましいため、この温度範囲に入るようにモノマーの組合せを選択することが好ましい。
低極性粘着性高分子の質量平均分子量(Mw)が10万以上であり、かつ、併用する(I)成分及び(II)成分の分子量未満であるアクリル樹脂が好ましい。重量平均分子量(Mw)が10万未満の場合には、低極性粘着性高分子が被着体に移行し易くなり、例えば、被着体が電子部品の前駆体であるような場合には、その電気的特性に悪影響を及ぼすおそれがある点において好ましくなく、併用する感温型粘着性高分子の分子量以上であると、粘着層の表面に分布させ難くなり、糊残りを有効に防止することができなくなるおそれがある点において好ましくない。
なお、重量平均分子量(Mw)は、「感温型粘着性高分子」と同様の方法により、上記の範囲内に調整することができる。また、「低極性粘着性高分子」は、「感温型粘着性高分子」の項で述べた製造方法(重合方法)に準じて製造することができる。
前記低極性粘着性高分子において、構成モノマーの一部をなす(メタ)アクリル酸エステルモノマーのアルキル基の極性を上記の(I)成分及び(II)成分に比して低いものとすることにより、上記の(I)成分及び(II)成分のみでは充分ではない、高温領域で使用した後の被着体との剥離性を向上させることができるので好ましい。
(4)架橋剤
本発明にいう「架橋剤」とは、先に説明した(I)成分、(II)成分及び所望により用いられる(III)成分の間を架橋して架橋高分子を形成し得る物質を意味する。この「架橋剤」が(I)成分、(II)成分及び(III)成分の反応性官能基と反応して架橋高分子を形成することで、高温領域における充分な粘着力と加熱後の優れた剥離性を発揮させることが可能となる。
一般に、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤、又はエポキシ系架橋剤等が知られているが、本発明においてはイソシアネート系架橋剤を好適に用いることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、従来公知のイソシアネート系架橋剤、例えば、多価イソシアネート化合物、及びそのオリゴマーやプレポリマー等を好適に用いることができる。多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体(例えば、商品名:タケネートD−170N、三井武田ケミカル(株)製等)を好適に用いることができる。これらの架橋剤は、優れた再剥離性と耐熱性を付与することができるという効果を奏する点において好ましい。なお、「架橋剤」は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(5)再剥離性粘着剤組成物
本発明の再剥離性粘着剤組成物としては、前記(I)成分と(II)成分との配合割合が質量比で95:5〜50:50、好ましくは80:20〜60:40の範囲である。また、前記(I)成分と(II)成分との合計量と、これに対して、架橋剤を0.1〜1.5質量部の割合で含む混合物を原料とし、これらの原料由来の架橋高分子を含有するもの、或いは、前記(I)成分と(II)成分との合計量と、前記(III)成分とが、質量比99.5:0.5〜70:30の範囲内で制御され、前記(I)〜(III)成分の総質量を100質量部とした場合に、これに対して、架橋剤を0.1〜1.5質量部の割合で含む混合物を原料とし、これらの原料由来の架橋高分子を含有するもの等が挙げられる。但し、電子部品の製造方法に用いる再剥離性粘着剤組成物としては、後者の組成物の方が好ましい。
(I)再剥離性粘着剤、(II)感温型粘着性高分子及び架橋剤(所望により低極性粘着性高分子)を上記のような割合で含有せしめることにより、常温領域における初期粘着力よりも高温領域における粘着力(高温時粘着力)を高くすることができ、さらに高温領域から常温領域に冷却した後の粘着力(冷却後剥離力)が十分低い再剥離性粘着剤組成物とすることができる。特に、(1)フレキシブルプリント基板の製造にあっては、常温領域における初期粘着力が0.07〜0.5N/25mm程度、また、(2)電子部品の製造にあっては、常温領域における初期粘着力が0.2N/25mm以下であり、60℃での粘着力が(1)の場合は0.07N/25mm以上であり、冷却後剥離力が0.7N/25mm以下、(2)の場合は60℃での粘着力が1N/25mm以上、冷却後剥離力が0.7N/25mm未満である再剥離性粘着剤組成物を好適に用いることできる。
なお、前記(I)成分と(II)成分との配合割合において、(II)成分の配合割合が5質量部未満の場合は、初期粘着力及び冷却後剥離力が高くなるし、50質量部を超えると常温領域での粘着力が小さいため、被着体との密着性が低下するので好ましくない。また、(III)成分の低極性粘着性高分子を含有せしめる際に、(III)成分の割合が上記範囲未満の場合には、高温領域で使用した後の剥離性に劣り、糊残りや被着体の破損といった問題が生ずるおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、高温領域における粘着力が低下する場合がある点において好ましくない。また、架橋剤の割合が上記範囲未満の場合には、高温領域で使用した後の剥離性が不充分となり易い点において好ましくない。
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、初期粘着力を高くすることなく高温領域で被着体と強固に密着することができ、しかも、紫外線硬化型、加熱剥離型といった他の再剥離性粘着剤とは異なり、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能である。そして、本発明の再剥離性粘着剤組成物は、ポリマーの結晶化によって感温性が発現するタイプの冷却剥離型とは異なり、使用温度域が広く、高温領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができる。
[2]再剥離性粘着シート
本発明の再剥離性粘着剤組成物は、フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、本発明の再剥離性粘着剤組成物を含む粘着層を設けたものである。但し、本発明の再剥離性粘着剤組成物そのものをフィルム状ないしシート状に形成して再剥離性粘着シートとすることも可能である。
本発明の再剥離性粘着シートは、その構成要素として、基材と、粘着層とを備える。以下、各要素ごとに説明する。
(1)基材
本発明にいう「基材」とは、粘着層を支持するための部材であって、フィルム状ないしシート状を呈するものである。本明細書において「フィルム状ないしシート状」というときは、薄膜状ないし薄板状の形状を意味し、通常は4〜250μmのものが用いられる。
基材の構成材料については特に限定されず、従来、粘着シート用の基材として用いられてきた材料の中から、再剥離性粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、セロハン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、若しくはポリスルホン等の合成樹脂、ガラス、金属、又はセラミック等の中から選択することができる。なお、基材は透明であっても、着色せしめたものであってもよい。着色は、基材の構成材料に各種顔料や染料を配合する方法等により行うことができる。また、基材の表面は平滑であるものに限定されず、その表面がマット状に加工されているものであってもよい。
基材は、その構成材料中に、従来公知の添加剤、具体的には、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を含有するものであってもよい。また、粘着層との密着性を向上させることを目的として、表面処理を施したものを用いることが好ましい。表面処理としては、例えばコロナ放電処理・グロー放電処理等の放電処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理・電子線処理・放射線処理等の電離活性線処理、サンドマット処理・アンカー処理・ヘアライン処理、エンボス加工等の粗面化処理、化学薬品処理、易接着層塗布処理等を挙げることができる。
(2)粘着層
本発明にいう「粘着層」とは、基材の少なくとも一方の表面を被覆するように形成された層であり、被着体に対する粘着性を発揮する粘着剤組成物を含むものである。
「粘着層」に含まれる粘着剤組成物としては、既に説明した本発明の再剥離性粘着剤組成物を用いることが必要である。これにより、初期粘着力を高くすることなく高温領域での被着体との密着性を向上させることができ、また、紫外線や熱による被着体等に対する悪影響が少なく、一旦粘着力を低下させて被着体を剥離した後においても再利用することが可能であることに加え、使用温度域が広く、高温領域で使用した後の剥離性にも優れ、かつ、多様な用途に用いることができるという、従来のものと比較して有利な効果を奏する再剥離性粘着シートとすることができる。
粘着層の厚さは特に限定されないが、2〜100μmとすることが好ましく、5〜60μmとすることが更に好ましく、10〜30μmとすることが特に好ましい。粘着層の厚さが上記範囲未満の場合には、被着体に対する充分な粘着力が得られなくなる場合がある点において好ましくない。
本発明の再剥離性粘着剤組成物が、低極性粘着性高分子、又はこれが架橋剤により架橋された架橋高分子を含むものである場合には、粘着層は低極性粘着性高分子、又は架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものであることが好ましい。
上記のような濃度勾配を形成する方法としては、(I)成分の再剥離性粘着剤、(II)成分の感温型粘着性高分子、(III)成分の低極性粘着性高分子、及び架橋剤を溶媒に溶解又は混合させて得た粘着層形成塗工液を用いて粘着層を形成する方法、或いは、(I)成分と(II)成分を含有する第1粘着層を形成し、その表面を被覆するように低極性粘着性高分子、架橋剤、並びに他の粘着性高分子及び架橋剤由来の架橋高分子を含有する第2粘着層を形成する方法等が挙げられる。
上記のような構成は、被着体との親和性が低い低極性粘着性高分子を被着体との接触面側に高濃度で分布させているため、糊残りをより効果的に防止することができる。但し、後者の方法を採用する場合には、高温領域における粘着力を確保する観点から、第2粘着層を第1粘着層と比較して薄く構成することが好ましい。具体的には、第1粘着層の厚さを5〜60μm、第2粘着層の厚さを0.1〜10μm程度に構成することが好ましい。
(3)再剥離性粘着シート
本発明の「再剥離性粘着シート」は、例えば、本発明の再剥離性粘着剤組成物の各構成成分を適当な溶剤に溶解し、或いは分散させて、固形分濃度を10〜50質量%程度の粘着層形成塗工液とし、この粘着層形成塗工液を常法に従って、基材の少なくとも一方の表面を被覆するように塗布し、これを乾燥する方法により得ることができる。なお、本発明の再剥離性粘着剤組成物そのものをフィルム状ないしシート状に形成して再剥離性粘着シートとする場合には、基材に代えて離型性を有するフィルムを用いればよい。
この際、粘着層形成塗工液には、従来慣用されている各種添加剤、例えば、架橋促進剤、酸化防止剤、安定剤、粘度調整剤、粘着付与樹脂、又は有機ないしは無機の充填剤等を添加してもよい。架橋促進剤としては、例えば、トリエチルアミン系、ナフテン酸コバルト系、スズ系の架橋促進剤が挙げられ、特に、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルスズ、水酸化トリメチルスズ、塩化ジメチルスズ、ラウリン酸ジ−n−ブチルスズ等のスズ系架橋促進剤を使用することが好ましい。この他、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤等を、粘着付与樹脂としては、テルペン系樹脂等を、有機充填剤としては、アクリル系ないしウレタン系の球状微粒子等を、無機充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ等を好適に用いることができる。
塗布の方法については特に制限はなく、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等を用いた従来公知の塗布方法を利用することができる。なお、粘着層形成塗工液を塗布する基材や離型性を有するフィルム(以下、「基材等」と記す)の面には、必要に応じて予め表面処理を施しておいてもよい。
乾燥方法についても特に制限はなく、熱風乾燥、減圧乾燥等の従来公知の乾燥方法を利用することができる。乾燥条件については、粘着剤の種類や塗工液で使用した溶剤の種類、粘着層の膜厚等に応じて適宜設定すればよいが、60〜180℃程度の温度で乾燥を行うことが一般的である。
また、粘着層中に残存する揮発分の量(以下、「残存揮発分量」と記す)によっては、粘着層と基材等との粘着性や加熱後の剥離性に悪影響を及ぼす場合がある。従って、粘着層中の残存揮発分量は、4質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることが更に好ましい。なお、所望とする残存揮発分量とするためには、粘着層形成塗工液を調製するための溶剤の量や、塗工後の乾燥時間等を調整すればよい。
[3]電子部品の製造方法
電子部品を製造する方法としては、電子部品の前駆体である被加工体を再剥離性粘着シートに仮固定し、その仮固定された被加工体に加工を施した後、再剥離性粘着シートを剥離して加工体を得る工程を備えた電子部品の製造方法があり、この際使用される再剥離性粘着シートとして、本発明の再剥離性粘着シートを用いることができる。
前記電子部品の製造方法は、再剥離性シートとして本発明の再剥離性粘着シートを用いる点に特徴があり、その他の点については従来の方法と同様である。積層セラミックコンデンサを製造する場合であれば、通常、以下のような形で行われる。
まず、セラミック粉末、分散媒、バインダ等を含むスラリーをドクターブレード法、カレンダー法等を利用して薄板化し、セラミックグリーンシートを得る。次いで、このセラミックグリーンシートの表面に金属電極(内部電極)を印刷した後、これを多数積層して加熱圧着し、一体化することにより、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極(内部電極)が配置された、セラミックグリーンシート積層体(以下、単に「積層体」と記す)を得る。
更に、この積層体を本発明の再剥離性粘着シートに仮固定し、80〜100℃程度の高温下、ダイサやギロチン刃等の切断装置により、仮固定された積層体に、被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工を施した後、常温領域まで冷却し、本発明の再剥離性粘着シートを剥離して多数のチップ(「ワーク」と称される場合もある)を得る。最後に、このチップを焼成し、その表面に金属電極(外部電極)を印刷することによって、最終製品である積層セラミックコンデンサを得ることができる。
このように、電子部品の製造方法は、被加工体が、積層セラミックコンデンサの前駆体である、層間に金属電極が配置された、セラミックグリーンシート積層体であり、加工が、被加工体を賽の目状に切断して小片化するダイシング加工である場合に好適に用いることができる。但し、本発明の電子部品の製造方法は、積層セラミックコンデンサの製造のみならず、被加工体を仮固定した状態で加工を施す電子部品の製造一般に適用することができる。具体的には、積層セラミックコンデンサの他、積層セラミックインダクタ、抵抗器、フェライト、センサ素子、サーミスタ、バリスタ、圧電セラミック、シリコンウェハ等、種々の電子部品の製造に好適に用いることができる。
[4]積層板の製造方法:
上述の再剥離性粘着シートを用いて、絶縁基材上に導電体層を有する積層板を好適に製造することができる。具体的には、絶縁基板の導電体層を形成する面とは反対側の面に再剥離性粘着シートを貼り付ける。この粘着シート付きの絶縁基板の粘着シート貼り付け面とは反対側の面に導電体層を形成する。これにより再剥離性粘着シート付きの積層板が得られる。この積層板は、そのまま次の回路基板の製造に使用でき、また積層板製造後、積層板から再剥離性粘着シートを剥離することによりCCLを得ることができる。
絶縁基板としては、前記絶縁性を有するものであれば特に制限はないが、柔軟性、屈曲性に優れ、更には電子機器等に実装した際の高温に耐え得る高い耐熱性を備えた材質により構成されたフィルム又はシート状のものを用いることが好ましい。中でも、耐熱性に優れるポリイミドフィルム、アラミドフィルム、LCP等のエンジニアリングプラスチックからなるフィルムより構成されたものを好適に用いることができる。この絶縁基板の厚さは通常4〜100μmの範囲が好ましい。
導電体層の形成方法としては、例えば銅やアルミニウム等の金属箔を予め絶縁基材上又は金属箔上に設けた接着剤層を介して絶縁基材と貼り付ける方法やスパッタリングによる絶縁基材上に導電体層を形成する方法、さらに、導電剤を含有する塗工液を調製し、この塗工液を絶縁基材上に塗布・乾燥し導電層を形成する方法等が挙げられる。導電体層の厚さは2〜50μmの範囲である。
[5]回路基板の製造方法:
上述の再剥離性粘着シート又は前記積層板を用いて、回路基板を好適に製造することができる。具体的には、導電体層が表面に配設された絶縁基板の導電体層とは反対側の面に、再剥離性粘着シートを貼り付け、積層板を得る。この時、積層板は、本発明の積層板の製造方法により得られる積層板であってもよい。この粘着シート付きの積層板を加工して導電体層をパターン化する。パターン化は導電体層に対して選択的にエッチング処理を施すことにより行なうことができる。その後、積層板から再剥離性粘着シートを剥離することにより回路基板(FPC等)を得ることができる。更に、剥離した面に補強シートを貼り付けることにより補強シート付きの回路基板を製造することができる。
このような製造方法によれば、再剥離性粘着シートを剥離して、その面に補強シートを貼り付けた後の補強シートと回路基板との良好な接着強度を得ることができ、しかも本発明の積層板から一貫して回路基板を製造する場合、積層板から再剥離性粘着シート剥離することなく、そのまま再剥離性粘着シートとして使用できるので、資源の有効活用、生産効率、コスト面で有利である。
導電体層はパターン化する部分であり、導電性を有し、エッチング可能な金属、例えば銅等により構成されていることが好ましい。
上記の点を総合的に勘案すると、ポリイミドフィルムからなるフィルムの表面に銅箔が形成された銅張積層板を好適に用いることができる。この銅張積層板は、銅箔上にポリイミドを溶融状態で付与し、フィルム状に形成した2層CCLであっても、銅箔とポリイミドフィルムとをエポキシ系接着剤等の接着剤で貼り合せた、いわゆる3層CCLであってもよい。
導電体層のパターン化は、例えばサブトラクティブ法を用いて、導電体層の所定の部分を選択的にエッチング処理して導電体層の不要部分を除去することにより行なうことができる。選択的エッチング処理の方法は特に限定されないが、例えば、導電体層の表面にレジスト(感光性樹脂)を塗布した後、パターン状に露光・現像処理を施すことにより未露光部分又は露光部のいずれかのレジストを除去して導電体層の不要部分のみを露出させ、その露出部分をエッチングすることにより除去する方法等が挙げられる。
その他の工程については、従来公知の方法に準じて行なうことができる。例えば、選択的エッチング処理を施した後、形成された配線パターンを被覆するように熱硬化性樹脂からなる熱硬化性シート(以下、「カバーレイフィルム」と記す場合がある)を貼着した後、160℃以上の高温条件下で加熱し、熱硬化性シートを熱硬化させることにより配線保護層を形成してもよい。積層板に対する各種処理が完了した後に、再剥離性粘着シートを積層板から剥離して回路基板を得た後、その剥離面に補強シートを接着することによって補強シート付きの回路基板を得ることができる。
以下、本発明の再剥離性粘着剤組成物、及び再剥離性粘着シートにつき実施例を用いて具体的に説明するが、本発明の再剥離性粘着剤組成物、及び再剥離性粘着シートはこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の再剥離性粘着剤組成物、及び再剥離性粘着シートについては、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力、及び被着体に対する剥離性の4項目について評価した。これらの項目については、以下の方法により評価した。
[初期粘着力]
製造後、加熱処理や紫外線照射処理を施していない、実施例及び比較例の再剥離性粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルム(商品名:ルミラーT60、東レ(株)製)を、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラーを一往復させることにより圧着して20分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分で、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、初期粘着力を評価した。なお、これらの工程は全て温度23℃、湿度65%RHの条件下で行った。
[高温時粘着力]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、更に、60℃及び100℃の温度雰囲気下で引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、高温時粘着力を評価した。
[冷却後剥離力]
初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、次いで、130℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定することにより、冷却後剥離力を評価した。
[ポリイミドフィルムに対する剥離性]
実施例及び比較例の再剥離性粘着シートに厚さ25μmのポリイミドフィルム(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン(株)製)を圧着して20分間放置し、次いで、130℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、人手によりにより再剥離性粘着シートとポリイミドフィルムを引き剥がした時のポリイミドフィルムの状態を目視により観察し、その剥離性を評価した。具体的には、ポリイドミフィルムの破損や変形、シワを伴わずに容易に粘着シートを剥離できた場合を「○」、剥離不能である場合、及び剥離可能であってもポリイミドフィルムが破損・変形・シワが発生した場合を「×」として評価した。
実施例、及び比較例においては、以下に示す高分子、及び架橋剤を使用した。
(I−1成分)
重量平均分子量39万、ガラス転移温度−42℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル及び酢酸ビニルを含むものである。
(I−2成分)
重量平均分子量90万、ガラス転移温度−60℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含むものである。
(I−3成分)
重量平均分子量32万、ガラス転移温度−8℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含むものである。
(II−1成分)
重量平均分子量40万、ガラス転移温度18℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含むものである。
(III−1成分)
重量平均分子量20万、ガラス転移温度−65℃のアクリル系樹脂である。構成モノマーとして、アクリル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含むものである。
(架橋剤1)
イソアシアネート系の架橋剤であり、その構成成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である(商品名:タケネートD−170N、三井武田ケミカル(株)製、NCO:20.7%)。
(実施例1〜2)
再剥離性粘着性高分子として、表1に記載のI−1成分を、感温型粘着性高分子として、表1に記載のII−1成分を用い、これらを表1に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を表1に記載の質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。
Figure 2007191520
次いで、この粘着層形成塗工液を、基材となる厚さ100μmのポリエステルフィルムの表面に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように常法に従って塗布し、これを80℃で1分間、更に130℃で3分間乾燥することによって粘着層を形成した。この粘着層の表面に、厚さ30μmの延伸ポリプロピレン(OPP:Oriented Polypropylene、商品名:アルファン、王子製紙(株)製)フィルムを剥離ライナーとして貼着し、23℃の温度条件下、1週間養生することによって、再剥離性粘着シートを得た。その再剥離性粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力、及びポリイミドフィルムに対する剥離性を評価した結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
表1に記載の各成分を用い、これらを表1に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を表1に記載の質量、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。その後の工程については実施例1〜2と同様にして、再剥離性粘着シートを得た。その再剥離性粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力、及びポリイミドフィルムに対する剥離性を評価した結果を表1に示す。
(評価)
表1に示すように、実施例1〜2の再剥離性粘着シートは全て、初期粘着力が0.3N/25mm未満で60℃での高温時粘着力が初期粘着力よりも高いものであることが分かる。さらに、冷却後剥離力が0.7N/25mm未満と被着体からの剥離性及び貼り直し性の面で期待できるものであり、例えば、ポリイミドフィルムに対する剥離性の評価においてもポリイミドフィルムの破損や変形を伴わずに容易に剥離することができ、良好な結果を示した。
これに対し、比較例1〜2の再剥離性粘着シートは、初期粘着力が0.6N/25mm以上と高いにもかかわらず、60℃の高温領域での粘着力が初期粘着力よりも低くなっていることが分かる。具体的には、比較例2では60℃での粘着力は0.05N/25mm以下となっている。このことにより被着体との密着性が低くなり作業中に被着体が再剥離性粘着シートから剥離する可能性が高くなり、その結果生産性、加工精度等の低下を招来するものであることが予想される。
また、比較例1では、冷却後剥離力が0.75N/25mm以上となっているため、被着体から剥離する際に被着体に破損や変形などの悪影響が発生するものであり、例えばポリイミドフィルムに対する剥離性の評価においてもポリイミドフィルムの破損や変形が発生していることがわかる。
(実施例3〜5)
再剥離性粘着性高分子として、表2に記載のI−2成分を、感温型粘着性高分子として、表2に記載のII−1成分を用い、これらを表2に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤1を表2に記載の質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。これ以外の部分については、全て実施例1と同様にして、再剥離性粘着シートを得た。その再剥離性粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力及びポリイミドフィルムに対する剥離性を評価した結果を表2に示す。
(比較例3〜5)
表2に記載の各成分を用い、これらを表2に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を表2に記載の質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。その後の工程については実施例3〜5と同様にして、再剥離性粘着シートを得た。その再剥離性粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力、及びポリイミドフィルムに対する剥離性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2007191520
表2に示すように、実施例3〜5の粘着シートは、初期粘着力に比べ高温時粘着力が高くなっていることが分かる。例えば、60℃での粘着力は実施例3が初期粘着力の約1.4倍、実施例4が1.7倍、実施例5が約1.1倍となっている。このことにより再剥離性粘着シートを被着体に貼付後、貼り直しし易く、しかも高温時粘着力が充分に高いことから、60℃の高温領域においても被着体を確実に固定可能であることを期待できる。
また、実施例3は比較例5とは初期粘着力は同等であるにもかかわらず、実施例3の粘着シートは比較例5のものに比べ60℃での粘着力が約8倍に調整できていることが分かる。
これに対し、比較例3〜5の再剥離性粘着シートは、初期粘着力に比べ60℃での粘着力が低くなっていることが分かる。また、比較例3の60℃での粘着力は、実施例3の60℃での粘着力と同等であるが、初期粘着力を2.29N/25mmにする必要があり、このような初期粘着力の場合、被着体に貼付後、貼り直しや剥離などを行なうことは困難であり、貼り直しや剥離を行なうと被着体に破損や変形等が発生する。また、比較例3は冷却後剥離力も高いため、作業後、被着体から剥離する場合も被着体に破損や変形等が発生する。また、比較例4は冷却後剥離力が0.75N/25mm以上となっており、被着体から剥離する際に被着体に破損や変形等の悪影響が発生する可能性が高くなり、また、比較例5は60℃での粘着力が0.05N/25mm以下となっているため作業中に被着体が再剥離性粘着シートから剥離する可能性が高くなり、いずれのものもその結果生産性、加工精度等の低下を招来するものであることが予想される。
(実施例6〜9)
再剥離性粘着性高分子として、表3に記載のI−3成分を、感温型粘着性高分子として、表3に記載のII−1成分を用いるかまたは全く用いずに、低極性粘着性高分子として、表3に記載のIII−1成分を用いるか、或いは他の粘着性高分子を全く用いずに、これらを表3に記載の質量比で混合したもの100質量部に対して、架橋剤を表3に記載の質量部、及びメチルエチルケトンとトルエンを1:1の質量比で混合した混合溶媒を300質量部添加して撹拌・混合し、粘着層形成塗工液を調製した。これ以外の部分については、実施例1と同様にして、再剥離性粘着シートを得た。この際の粘着層の厚さは20μmとした。その再剥離性粘着シートについて、初期粘着力、高温時粘着力、冷却後剥離力及びポリイミドフィルムに対する剥離性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2007191520
表3に示すように、実施例6〜9の粘着シートは、いずれも初期粘着力よりも60℃での粘着力が高いものであり、しかも冷却後剥離力が初期粘着力に対し2.5倍以内にあるものであることが分かる。さらに、実施例7及び8は、初期粘着力が0.2N/25mm以下でありながら、60℃及び100℃の高温領域での粘着力がいずれも1N/25mm以上と高いことから、60〜100℃の高温領域においても被着体を確実に固定可能であることを期待でき、しかも冷却後剥離力が0.7N/25mm未満と確実に低下しているので、ポリイミドフィルムに対する剥離性の評価においては、実施例7及び8のいずれの粘着シートも、ポリイミドフィルムにシワやカール等を発生させずに容易に剥離することができ、良好な結果を示した。
本発明の再剥離性粘着剤組成物、及び再剥離性粘着シートは、高温領域においては被着体を確実に固定し、しかも被着体から剥離したいときは、確実に剥離可能であるので、各種プリント基板、TABの製造や、積層セラミックコンデンサの他、積層セラミックインダクタ、抵抗器、フェライト、センサ素子、サーミスタ、バリスタ、圧電セラミック、シリコンウェハ等、種々の電子部品の製造に好適に用いることができる。
図1は、一般的な微粘着シートの温度に対する剥離力変化を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 粘着性高分子と架橋剤を含有する粘着剤組成物において、下記粘着力試験における初期粘着力(A)、高温時粘着力(B)、及び冷却後剥離力(C)が次の関係を満足することを特徴とする再剥離性粘着剤組成物。
    (B)≧1×(A)
    (C)≦2.5×(A)
    [初期粘着力(A)]
    片面に再剥離性粘着剤組成物を含有する再剥離性粘着剤層を有する再剥離性粘着シートを、幅25mm、長さ250mmに切断して試験片とし、この試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを、押圧力2kg、速度300mm/分の条件でゴムローラーを一往復させることにより圧着して20分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分で、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。これらの工程は全て温度23℃、湿度65%RHの条件下で行った。
    [高温時粘着力(B)]
    初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、更に、60℃の温度雰囲気下で引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
    [冷却後剥離力(C)]
    初期粘着力と同様にして、試験片に対して、厚さ25μmのポリエステルフィルムを圧着して20分間放置し、次いで、130℃の温度雰囲気下で30分間放置し、更に、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、30分間放置した後、引張試験機により、厚さ25μmのポリエステルフィルムを引張速度300mm/分、180°方向に引き剥がした際の粘着力(剥離力)を測定する。
  2. 初期粘着力(A)が0.3N/25mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  3. 前記再剥離性粘着剤組成物が、
    (I)アクリル系再剥離性粘着剤と、
    (II)主成分となる構成モノマーが炭素数1乃至4のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーである、重量平均分子量(Mw)が20万以上のアクリル系樹脂からなり、そのガラス転移温度(Tg)を−10〜40℃の温度領域に有する感温型粘着性高分子と
    を含有する再剥離性粘着剤組成物であって、
    該(I)成分と該(II)成分との配合割合が質量比で95:5〜50:50であることを特徴とする請求項1又は2に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  4. 前記再剥離性粘着剤組成物は、さらに(III)少なくとも一部の構成モノマーが炭素数6乃至8のアルキル基がエステル結合されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルモノマーであるアクリル系樹脂からなり、そのアルキル基の極性が前記(I)成分及び(II)成分に比して低い低極性粘着性高分子を含むものである請求項3に記載の再剥離性粘着剤組成物。
  5. フィルム状ないしシート状の基材を備え、その少なくとも一方の表面に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の再剥離性粘着剤組成物を含む粘着層を設けた再剥離性粘着シート。
  6. 前記粘着層は、前記(III)成分、又はこれが架橋剤により架橋された架橋高分子を、基材側よりも粘着層表面側が高濃度となるように分布させる濃度勾配が形成されたものである請求項5に記載の再剥離性粘着シート。
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