JP5560965B2 - エネルギー線易剥離型粘着剤組成物 - Google Patents
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Description
下記条件によりエッチング処理したポリイミド樹脂面に対する上記粘着剤層の180°引き剥がし粘着力(JIS Z0237準拠)が、上記ポリイミド樹脂面に貼付して20分経過後では、0.8〜15N/25mmであり、150℃にて90分間加熱した後では、0.8〜20N/25mmであり、上記加熱後のエネルギー線照射による硬化後では、0.4N/25mm以下である(1)又は(2)に記載のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。
条件:ポリイミドフィルムを60℃の塩化第二鉄の水溶液に2分間浸漬した後、蒸留水にて30秒間の洗浄を2回行い、風乾させる。
本発明のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物(以下、粘着剤組成物という。)は、アクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、架橋剤とを含有し、上記重合開始剤の昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることを特徴とする。本発明の粘着剤組成物によれば、被着体に対する初期粘着力が高く、また、高温にさらされた場合であっても粘着力が低下し難く、被着体の固定や保護に必要な粘着力を維持し、更に、剥離除去する際には糊残りすることなく容易に剥離させることができる。
本発明の粘着剤組成物では、透明性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、塗工適性等に優れ、低コストであるアクリル系ポリマーを主剤として含有する。アクリル系ポリマーは、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記アクリル酸エステルの中でも、特に、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが、透明性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、塗工適性等に優れ、また、低コストである点において好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、エネルギー線重合性オリゴマーを含有する。本発明の粘着剤組成物では、エネルギー線重合性オリゴマーは、エネルギー線の照射により重合し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるからである。光ラジカル重合性のオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、重合開始剤を含有する。重合開始剤によれば、エネルギー線重合性オリゴマーの感応性を増進させるので、エネルギー線による重合硬化時間やエネルギー線照射量を低減することができる。そして、本発明の粘着剤組成物では、重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることを特徴とし、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。このような重合開始剤を含有する粘着剤組成物によれば、貼付した状態で被着体を高温にさらしても、粘着力が低下し難い粘着テープを得ることが可能となる。なお、上記重量減少率は、市販の熱重量測定装置、例えば、島津製作所社製のDTG−60Aを用いて測定した重量から算出することができる。具体的には、上記重合開始剤を分析(雰囲気ガス:窒素,ガス流量:50ml/min,温度範囲:30〜190℃,昇温条件:10℃/min)し、30℃における上記重合開始剤の重量(W1)と、190℃に到達してから30分経過後における上記重合開始剤の重量(W2)とを測定し、下記式にあてはめて算出することができる。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含有する。本発明の粘着剤組成物では、架橋剤は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
条件:ポリイミドフィルムを60℃の塩化第二鉄の水溶液に2分間浸漬した後、蒸留水にて30秒間の洗浄を2回行い、風乾させる。
紫外線硬化型アクリル系粘着剤(商品名:N−4498,アクリル系ポリマー+エネルギー線重合性オリゴマー,アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万,エネルギー線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート,アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1,固形分:40%,日本合成化学社製)100質量部に対して、重合開始剤(商品名:IRGACURE754,光ラジカル発生剤,固形分:100質量部,BASF ジャパン社製)を1.4質量部、及び架橋剤(商品名:コロネートL,イソシアネート系架橋剤,固形分75%,日本ポリウレタン社製)を1.5質量部配合し、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11,質量比1:1,DICグラフィックス株式会社製)180質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
紫外線硬化型アクリル系粘着剤(商品名:N−7257,アクリル系ポリマー+エネルギー線重合性オリゴマー,アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万,エネルギー線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレート,アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:3/1,固形分:41%,日本合成化学社製)100質量部に対して、重合開始剤(商品名:IRGACURE754,光ラジカル発生剤,固形分:100質量部,BASF ジャパン社製)を1.4質量部、及び架橋剤(商品名:コロネートL,イソシアネート系架橋剤,固形分75%,日本ポリウレタン社製)を2質量部配合し、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11,質量比1:1,DICグラフィックス株式会社製)186質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の粘着テープを得た。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン SW−2B,アクリル系ポリマー,アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約20万,アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:1/10,固形分35%,綜研化学社製)100質量部に対して、エネルギー線重合性オリゴマー(商品名:UV7600B,ウレタンアクリレートオリゴマー,固形分:100%,日本合成化学社製)を12質量部、重合開始剤(商品名:IRGACURE184,光ラジカル発生剤、固形分:100%,BASF ジャパン社製)を1.3質量部、架橋剤(商品名:E−5XM,エポキシ系架橋剤,固形分:5%,綜研化学社製)を7質量部、及び架橋剤(商品名:L−45,イソシアネート系架橋剤,固形分45%,綜研化学社製)を2.7質量部配合し、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11,質量比1:1,DICグラフィックス社製)100質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の粘着テープを得た。なお、実施例1と同様の方法により、上記紫外線硬化型アクリル系粘着剤に配合された光ラジカル発生剤の重量減少率(測定試料量:14.2mg)を求めたところ、100%であった。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン SW−2B,アクリル系ポリマー,アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約20万,アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:1/10,固形分35%,綜研化学社製)100質量部に対して、エネルギー線重合性オリゴマー(商品名:UV7600B,ウレタンアクリレートオリゴマー,固形分:100%,日本合成化学社製)を12質量部、重合開始剤(商品名:IRGACURE184,光ラジカル発生剤、固形分:100%,BASF ジャパン社製)を1.3質量部、架橋剤(商品名:E−5XM,エポキシ系架橋剤,固形分:5%,綜研化学社製)を7質量部、及び架橋剤(商品名:L−45,イソシアネート系架橋剤,固形分45%,綜研化学社製)を7.0質量部配合し、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11,質量比1:1,DICグラフィックス社製)100質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の粘着テープを得た。
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた粘着テープを幅25mm×長さ100mmに切断し、試験片を作成した。
ポリイミドフィルム(商品名:カプトン 200H,膜厚:50μm,東レ・デュポン社製)を60℃の塩化第二鉄溶液に2分間浸漬させた後、蒸留水で30秒間、2回洗浄し、風乾させ、貼付対象(エッチング処理したポリイミドフィルム)を得た。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。その後、万能材料試験機(5565型,インストロン・ジャパン社製)を用いて、初期粘着力を測定(JIS Z0237準拠,剥離速度:300mm/min,剥離距離:50mm,剥離角:180°)した。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した。次いで、150℃にて90分間加熱した後、常温常湿下にて1時間放置し、万能材料試験機(5565型,インストロン・ジャパン社製)を用いて、加熱処理後の粘着力を測定(JIS Z0237準拠,剥離速度:300mm/min,剥離距離:50mm,剥離角:180°)した。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した後、150℃にて90分間加熱した。次いで、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:200mj/cm2)した後、万能材料試験機(5565型,インストロン・ジャパン社製)を用いて、紫外線照射後の粘着力を測定(JIS Z0237準拠,剥離速度:300mm/min,剥離距離:50mm,剥離角:180°)した。
上記実施例1,2及び比較例1、2で得られた粘着テープを幅25mm×長さ100mmに切断し、試験片を作成した。
上記試験片の剥離シートを剥がし、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面に2kgのローラーを用いてラミネートし、常温常湿下にて20分間放置した後、150℃にて90分間加熱した。次いで、基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量:200mj/cm2)した後、試験片を剥がし(剥離速度:300mm/min,剥離距離:50mm,剥離角:180°)、上記エッチング処理したポリイミド樹脂面における糊残りの有無を光学顕微鏡(VHX−600、キーエンス社製、倍率200)にて確認した。
これに対して、高温条件において不安定な重合開始剤を含有する粘着剤組成物を使用した比較例1,2の粘着テープは、加熱処理後及びUV照射後のいずれの場合も凝集破壊が生じ、粘着力の適正な制御を行うことができなかった。また、剥離した後の糊残りも発生した。
Claims (2)
- エッチング処理を施した被着体に対して貼付され、活性エネルギー線の照射により該被着体から剥離可能な粘着層を形成するためのエネルギー線易剥離型粘着剤組成物であって、
アクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性オリゴマーと、重合開始剤と、イソシアネート系架橋剤とを含有し、
前記重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であり、
前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、該アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られるか、又はアクリル酸エステルを主成分とし、該アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られ、該水酸基含有モノマーと該カルボキシル基含有モノマーとの質量比が51:49〜100:0である
ことを特徴とするエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。 - 厚さ50μmの基材上に、前記エネルギー線易剥離型粘着剤組成物からなる厚さ10μmの粘着剤層を形成した場合において、
下記条件によりエッチング処理したポリイミド樹脂面に対する前記粘着剤層の180°引き剥がし粘着力(JIS Z0237準拠)が、前記ポリイミド樹脂面に貼付して20分経過後では、0.8〜15N/25mmであり、150℃にて90分間加熱した後では、0.8〜20N/25mmであり、前記加熱後のエネルギー線照射による硬化後では、0.4N/25mm以下である請求項1に記載のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。
条件:ポリイミドフィルムを60℃の塩化第二鉄の水溶液に2分間浸漬した後、蒸留水にて30秒間の洗浄を2回行い、風乾させる。
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