JP7139141B2 - 両面粘着テープ、及び薄膜部材と支持部材との積層体 - Google Patents

両面粘着テープ、及び薄膜部材と支持部材との積層体 Download PDF

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Description

本発明は、実質的に変形させることができない薄膜部材を支持部材に仮固定するために使用される両面粘着テープ、及び該両面粘着テープによって、実質的に変形させることができない薄膜部材が支持部材に仮固定された分離可能な積層体に関する。典型的には、薄膜部材は実質的に変形させることができない材料(例えば薄膜ガラス等)から形成されるか、若しくは、表面に実質的に変形させることができない部材(例えば、薄膜電極等)が加工処理された実質的に変形させることができる材料(例えば、プラスチックフィルム等)から形成される。ここで、「実質的に変形させることができない」とは、変形させた場合には破損することを意味する。
液晶ディスプレイ又はスマートフォン等の部品として、薄いガラス基板が使用されることがある。かかるガラス基板のように、脆性を有し、強度が低い薄膜基板に何らかの加工、例えば電子デバイス用の素子あるいは素子の一部の形成等を行う場合、薄膜基板の破損を防止するために、薄膜基板の加工面とは反対面に補強用の基盤を貼り合わせ、その状態で、各種加工処理・搬送の繰り返し工程を経て、薄膜基板上に電子デバイス用素子あるいは素子の一部が形成される。そして、上記加工処理の終了後に、薄膜基板は補強用基盤から分離される。
特許文献1には、表面に液晶表示素子の基板を支持して工程搬送される治具であって、ガラス製支持体と、その表面に接着されたブチルゴム製粘着剤層とを有する治具が記載されている。ブチルゴム製粘着剤層は、表面に貼り付けられる基板を保持するための粘着力が、繰返しの使用によってもほぼ一定に維持されるものである。
しかしながら、基板及びガラス製支持体は変形させると破損するので、一旦貼着した後は、貼着面から捲り上げることができず、基板に対して脱着力を印加することで基板をガラス製支持体から剥離することは困難である。
それゆえ、特許文献1の治具のように、基板を粘着剤層に直接貼着させた場合、昨今の薄型化・軽量化を目的とした更に薄いガラス基板に対しては、依然として、粘着層から剥離し難く、剥離する際に基板が破損するおそれがある。また、粘着剤が分離後の基板へ残存するおそれがある。
特許文献2には、ガラス基板と、裏面保護ガラス基板と、を積層させてなる保護ガラス付ガラス基板であって、前記ガラス基板と、前記裏面保護ガラス基板と、が再剥離性を有する無溶剤付加反応型剥離紙用シリコーン樹脂層を介して積層されている保護ガラス付ガラス基板が記載されている。
特許文献2の保護ガラス付ガラス基板は、ガラス基板と保護ガラス基板を結合する樹脂層として易剥離性および非粘着性のシリコーン樹脂層等を使用している。そのため、ガラス基板と保護ガラス基板とを剥離し易く、ガラス基板と保護ガラス基板とを剥離する際に、ガラス基板が破損する可能性は低い。
しかしながら、再剥離性を有する樹脂層は非粘着性であるために貼着し難く、ガラス基板に対する密着力に劣るおそれがある。また、実施例にも記載されているように、再剥離性を有する樹脂層を保護ガラスにスクリーン印刷して加熱硬化させる工程、再剥離性を有する樹脂を介してガラス基板と保護ガラス基板とを、室温下真空プレスにて貼り合わせる工程等、煩雑な工程を経る必要があり、生産性において改善の余地があった。
特開平8-86993号公報 国際公開WO2008/007622号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、実質的に変形させることができない薄膜部材への加工処理時には薄膜部材と支持部材との間において、薄膜部材が支持部材からずれたり剥がれ落ちたりすることがない適切な密着力を有し、薄膜部材への加工処理後には薄膜部材を支持部材から破損および糊残りすることなく容易に分離することができる両面粘着テープ、及び薄膜部材と支持部材との積層体、及びその積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、両面粘着テープの構成を、第1の表面及び第2の表面を有する基材と、第1の表面及び第2の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層と、該基材の少なくとも1つの表面から該表面上方に位置する該粘着層までの間に設けられた離型層とを、有するものとし、この両面粘着テープにより、実質的に変形させることができない上記薄膜部材と上記支持部材とを貼り合わせた積層体を適用すれば、加工処理後に、最終的に薄膜部材を破損および糊残りすることなく、支持部材から容易に分離できることを見出し、本発明を成すに至った。
尚、本明細書において、「表面の上方」とは表面を有する材料の内部から表面へ向かう方向を意味する。
具体的に説明すると、(1)上記薄膜部材が上記支持部材上に上記両面粘着テープで貼り合わされた構成からなる積層体を準備し、上記薄膜部材への加工処理終了後に、まず、上記薄膜部材と上記支持部材に対して、垂直方向に脱着力を加えて、両面粘着テープの上記離型層と上記離型層に接する上記粘着層との間で薄膜部材側と支持部材側に分離し、次いで、(2)薄膜部材の加工処理面側と反対面側に、離型層を有する可撓性のある片面粘着テープの形で残った、該片面粘着テープをゆっくりと薄膜基板より剥離すれば、最終的に、破損がなく、且つ糊残りがない、加工処理された薄膜部材を得ることができることを見出した。更に、上記粘着層として放射線や熱等の外部エネルギーの後印加により硬化する性質を有する粘着層を適用すれば、上記薄膜部材側と上記支持部材との分離、及び上記片面粘着テープの上記薄膜部材からの剥離がより容易になり、より歩留まり良く、加工処理された薄膜部材を得ることができることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、第1の表面及び第2の表面を有する基材と、第1の表面及び第2の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層と、該基材の少なくとも1つの表面から該表面上方に位置する該粘着層までの間に設けられた離型層とを、有する両面粘着テープを提供する。
ある一形態においては、前記離型層は、前記基材のいずれか1つの表面から該表面上方に位置する粘着層までの間に設けられたものである。
ある一形態においては、前記離型層は、シリコーン系剥離剤及びフッ素系剥離剤から成る群から選択される剥離剤を含んで成るものである。
ある一形態においては、前記粘着層は、活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び熱重合開始剤を主成分とする熱硬化性粘着剤、及び活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び光重合開始剤を主成分とする光感応性粘着剤から成る群から選択される粘着剤を含んで成るものである。
ある一形態においては、前記いずれかの両面粘着テープは、第1の部材を第2の部材に仮固定するために使用され、該2つの部材は実質的に変形させることができない材料から形成されたものである。
ある一形態においては、前記材料の少なくとも一つはガラスである。
また、本発明は、上記いずれかの両面粘着テープと、該両面粘着テープの粘着層の表面に設けられた剥離ライナーとを有する両面粘着テープ製品を提供する。
また、本発明は、支持部材と、
該支持部材に積層された第1の表面及び第2の表面を有する基材と、第1の表面及び第2の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層と、該基材の少なくとも1つの表面から該表面上方に位置する該粘着層までの間に設けられた離型層とを、有する両面粘着テープと、
該両面粘着テープに積層された実質的に変形させることができない薄膜部材とを、
有する積層体を提供する。
ある一形態においては、前記両面粘着テープは上記いずれかの両面粘着テープである。
また、本発明は、上記いずれかの両面粘着テープにより、実質的に変形させることができない薄膜部材と支持部材とを貼り合わせる工程を包含する、薄膜部材と支持部材との積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、実質的に変形させることができない薄膜部材への加工処理時には薄膜部材と支持部材との間において、薄膜部材が支持部材からずれたり剥がれ落ちたりすることがない適切な密着力を有し、薄膜部材への加工処理後には薄膜部材を支持部材から破損及び糊残りすることなく容易に分離することができる両面粘着テープ、及び薄膜部材と支持部材との積層体、及びその積層体の製造方法が提供される。
本発明の積層体の一実施形態である両面粘着テープの層構造を示す断面図である。 本発明の積層体の一実施形態において、両面粘着テープを用いて支持部材に一旦仮固定された薄膜部材が、支持部材から分離される過程を示した断面図である。 (a)は実施例の積層体に使用される粘着テープ中間体の層構成を示す断面図であり、(b)は実施例の積層体に使用される両面粘着テープの層構成を示す断面図である。 (a)は比較例の積層体に使用される粘着テープ中間体の層構成を示す断面図であり、(b)は比較例の積層体に使用される両面粘着テープの層構成を示す断面図である。 実施例の積層体の一実施形態において、両面粘着テープを使用して薄膜基板ガラス(薄膜部材)と補強用基盤ガラス(支持部材)とを貼着し、垂直剥離試験を行うために補強用基盤ガラスを、接着剤を用いてステンレス板の上に取り付けた状態を示す断面図である。
図1は、本発明の積層体の一実施形態である両面粘着テープの層構造を示す断面図である。図1の両面粘着テープは、第1の表面a及び第2の表面bを有する基材3と、該基材の2つの表面の上方に積層され、最も上部に位置する粘着層2、5と、該基材3の第2の表面bと該粘着層5の間に設けられた離型層4とを有する。
本発明の両面粘着テープの構成部材及び層構造は、図1に示した実施形態に限定されない。本発明の両面粘着テープは、両面粘着テープを湾曲するのに十分な柔軟性を損なわない限り、基材3、粘着層2、5及び剥離層4以外の層を有していてもよい。
本発明の両面粘着テープの層構造として、例えば、離型層4は、基材3の第2の表面bと粘着層5の間に代えて、基材3の第1の表面aと粘着層2の間に設けられてもよい。また、例えば、基材3の第2の表面bと粘着層5の間に加えて、基材3の第1の表面aと粘着層2の間に追加の離型層が設けられてもよい。ただし、追加の離型層を設ける場合は、最終的に加工処理して利用したい薄膜部材に近い側の離型層をもう一方の離型層よりも重剥離化しておく必要がある。
本発明の両面粘着テープの層構造として、典型的には、離型層4は、基材3の第2の表面bと支持部材と接着する粘着層5の間に設けられる。
上記両面粘着テープの粘着層5に、新たに基材を貼り付け、その新たな基材の反対側面に支持部材8と接着する新たな粘着層を備えた積層体構成であっても良い。また、両面粘着テープは、使用時までは、各粘着層の粘着面を保護するための剥離ライナーを備えていてもよい。このような剥離ライナーとしては、特に限定されるものではなく、公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。
基材3は使用環境に耐える強度を有する材料であればよく、紙、高分子材料、布、金属箔などが含まれる。好ましくは、塩化ビニル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、及び(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの)ポリエステルなどの高分子材料から成るものである。これらの基材の形態はフィルム状であり、厚さは一般に5~200μm、好ましくは10~100μmである。
所望ならば、当技術分野では公知である通り、プライマー組成物を支持体に適用するか、或いは支持体をコロナ処理または火炎処理を施すことによって、樹脂組成物を適用する前に、基材の表面を改質して、樹脂組成物と基材の接着性を高めることができる。プライマーの使用は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートの基材を用いる場合に特に好適である。
離型層4は、その表面に接着する粘着層5の接着力を弱める層である。離型層4は剥離ライナーに通常使用される剥離剤から形成されて良い。剥離剤としては、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、アルキド系剥離剤、メラミン系剥離剤、アクリル系剥離剤等が挙げられる。中でも、使用される粘着剤との離型性の観点から、シリコーン系剥離剤及びフッ素系剥離剤から成る群から選択される剥離剤を含んで成るものであることが好ましい。
離型層4は、基材3の表面から剥離しないように形成される。即ち、剥離剤を必要に応じて、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンなどの炭化水素系溶剤又はトルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤等の有機溶剤、または水で希釈した後、必要に応じて硬化触媒を添加・混合することで、離型層塗工液を得る。次いで、得られた離型層塗工液を、基材3の表面に塗布して乾燥させ、硬化させることにより離型層を形成する。離型層塗工層の乾燥・硬化方法は、熱、紫外線照射、電子線照射などを使用できる。離型層の厚さは約0.1~0.6μm、好ましくは約0.2~0.4μmである。
一般に、薄膜部材を支持部材に仮固定するために使用される粘着剤には、脱着(薄膜部材側と支持部材側との分離、片面粘着テープの薄膜部材からの剥離を意味する)時の接着力を低減する目的で、外部エネルギーを印加した際に硬化する性質を有する種類のものが存在する。かかる仮固定用粘着剤は、被着時は未硬化状態にあって柔軟性及び適度な接着力を有するが、脱着時は硬化状態にすることで、硬化収縮し、弾性率が増大するので接着力が大幅に低減される。
薄膜部材を支持部材に固定する状態の粘着層とは、薄膜部材に加工処理を施すため、未だ容易に薄膜部材側を支持部材側から分離させる目的で硬化させていない状態の粘着層を意味する。薄膜部材を支持部材から分離する状態の粘着層、あるいは片面粘着テープを薄膜部材から剥離する状態の粘着層とは、薄膜部材への加工処理後に、容易に薄膜部材側を支持部材側から分離、あるいは片面粘着テープを薄膜部材から剥離させる目的で硬化させた状態の粘着層を意味する。
粘着層2は、薄膜部材から剥離した後に、薄膜部材等の被着面に残存しない粘着剤から形成する。粘着層2を形成する粘着剤は、好ましくは、粘着層5と同等の性能を有する種類のものである。粘着層2及び粘着層5を形成する粘着剤は同一種類であっても異なる種類であってもよい。
仮固定用粘着剤としては、例えば、再剥離性のある微粘着タイプのシリコーン系粘着剤及びアクリル系粘着剤等が挙げられる。その中でも、特に、脱着時に外部エネルギーの印加により硬化状態にすることで接着力が大幅に低減される硬化型粘着剤が好ましい。
硬化型粘着剤の中でも放射線硬化型粘着剤としては、例えば、活性官能基(炭素-炭素二重結合基)を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び光重合開始剤を主成分とする光感応性粘着剤が好ましい。かかる粘着剤の構成は、その開示をここに参照として含める、特開2002-212521号公報に記載されている。
上記活性官能基をアクリル系粘着性高分子に導入する方法としては、特に限定されるものではないが、通常、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物等からなる共重合体を重合した後、該共重合体が有する官能基に対して付加反応することが可能な官能基及び炭素-炭素二重結合を有する化合物を付加反応させる方法が挙げられる。例えば、アクリル系粘着性高分子の側鎖にあるヒドロキシル基を(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物(例えば、2―メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなど)と反応させる方法等がある。このようにして、(メタ)アクリロイルオキシ基などの活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子を得ることができる。
上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子の重量平均分子量が10万より小さい場合には、塗工性などを考慮して、数千~数万cPの高粘度の粘着剤組成を得ることが難しく好ましくない。また、重量平均分子量が200万より大きい場合には、粘着テープの特性上、特に問題はないが、アクリル系粘着性高分子を量産的に製造することが難しく、好ましくない。
また、上記活性官能基を有するアクリル系高分子の活性官能基含有量が0.01ミリ当量/gより小さい場合には、光ラジカル架橋反応が十分に起こらず、その結果、易剥離性を付与することが難しくなり、また、活性官能基含有量が2.0ミリ当量/gより大きい場合には、粘着テープの特性上、特に問題はないが、アクリル系粘着性高分子を量産的に製造することが難しく、好ましくない。
また、上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子の水酸基価が10mgKOH/gより小さい場合には、熱架橋剤との反応が十分でない為に、初期粘着性が十分でなく、被着体に粘着剤残りが発生するおそれがある。また、水酸基価が100mgKOH/gより大きい場合には、熱架橋剤との反応に関与しない余剰の水酸基が被着体表面と相互作用するため、外部エネルギーを印加しても粘着力が十分に低下しないおそれがある。
上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子の主成分は、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体から成る。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数6 ~ 1 2 のヘキシルアクリレート、n - オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2 - エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレート、または炭素数5 以下の単量体である、ペンチルアクリレート、n - ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、またはこれらと同様のメタクリレート等が挙げられる。また、極性基含有単量体としては、2 - ヒドロキシエチルアクリレート、2 - ヒドロキシエチルメタクリレート、2 - ヒドロキシプロピルアクリレート、2- ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらを共重合した共重合体としては、具体的には、アクリル酸2―エチルヘキシルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸2―エチルヘキシルとアクリル酸2―ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸2―エチルヘキシルとアクリル酸とアクリル酸2―ヒドロキシエチルとの三元共重合体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
放射線硬化型粘着剤に使用される活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子は、ラジカル反応により架橋する官能基をポリマー側鎖等に有するものである。放射線硬化型粘着剤は、被着体から剥離する際に、紫外線等に暴露されて架橋反応を起こすことにより、粘着剤の凝集力が上昇し、被着体より剥離する時に、被着体に粘着剤残りが生じ難い。
また、上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子の代わりとして、通常の上記活性官能基を有さないアクリル系粘着性高分子に、上記活性官能基を有するオリゴマー等を添加した組成物を使用しても構わない。また、上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子に、更に上記活性官能基を有するオリゴマー等を添加した組成物を使用しても構わない。
放射線硬化型粘着剤に使用される光重合開始剤としては、紫外線等によりラジカル活性種を発生させる化合物が好ましい。具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等の芳香族ケトン系開始剤;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール系開始剤;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;ベンジル等のベンジル系開始剤;ベンゾイン等のベンゾイン系開始剤;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等のα-ケトール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;カンファーキノン系化合物;ハロゲン化ケトン系化合物:アシルホスフィノキシド系化合物;アシルホスフォナート系化合物が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、または2種以上併用してもよい。
これらの光重合開始剤の添加量は活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましい。
光重合開始剤の添加量が0.1質量部より少ない場合には、紫外線等に対する光反応性が充分ではない為に粘着剤の硬化が不十分となり剥離性が十分ではなく、また、その添加量が10質量部より多い場合には、その効果は飽和し、経済性の観点からも好ましくない。
また、このような光重合開始剤の増感剤として、ジメチルアミノエチルメタクリレート、4―ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の化合物を粘着剤に添加してもよい。
放射線硬化型粘着剤に使用される熱架橋剤としては、一般にアクリル系粘着剤の架橋剤として使用されるイソシアネート化合物系架橋剤、エポキシ化合物系架橋剤、アルミキレート化合物系架橋剤等が使用される。
例えば、綜研化学社より販売されているポリイソシアネート架橋剤(商品名:L-45など)、エポキシ化合物系架橋剤(商品名:E-AXなど)、アルミキレート化合物系架橋剤(商品名:M-5Aなど)等が使用できるが、ここに挙げたものに限定されるものではない。
これらの熱架橋剤は、上記活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子100質量部に対して、0.01~10質量部の割合で添加されるのが好ましい。熱架橋剤の添加量が0.01質量部より少ない場合には、粘着剤の凝集力が十分ではなく、被着体に糊残りするおそれがあり、またその添加量が10質量部より多い場合には、反応に関与しない余剰の熱架橋剤がブリードアウトし、被着体を汚染するおそれがある。
放射線効果型粘着剤には、通常、アクリル樹脂などに使用されるロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂等の粘着性付与剤を添加しても良い。
放射線効果型粘着剤の成分において、光重合開始剤の代わりに熱重合開始剤を使用してもよい。そのことにより、粘着剤に熱硬化性が付与され、熱硬化型粘着剤が提供される。使用される熱重合開始剤としては、加熱によりラジカル活性種を発生させる化合物が好ましい。具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2-(tert-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等の化合物が挙げられる。
本発明で使用されるこれらの熱重合開始剤の添加量は活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましい。
熱重合開始剤の添加量が0.1質量部より少ない場合には、加熱に対する反応性が充分ではない為に粘着剤の硬化が不十分となり剥離性が十分ではなく、また、その添加量が10質量部より多い場合には、その効果は飽和し、経済性の観点からも好ましくない。
粘着層2、5は、例えば、塗布法により形成される。即ち、粘着剤をトルエン、酢酸エチルなどの有機溶剤で希釈して粘着層塗工液を得る。次いで、得られた粘着層塗工液を、基材の表面に塗布して乾燥させ、硬化させることにより粘着層を形成する。粘着層の厚さは約5~100μm、好ましくは約10~30μmである。
図2(a)、(b)及び(c)は、本発明の積層体の一実施形態において、両面粘着テープを用いて支持部材8に一旦仮固定された薄膜部材7が、支持部材8から分離される過程を示した断面図である。図2(a)は薄膜部材7が支持部材8に固定、積層された状態を示す。薄膜部材7の下面に両面粘着テープの粘着層2が基材3と離型層4とを有する片面粘着テープの形で貼着されており、支持部材8の上面に粘着層5が貼着されている。
薄膜部材7は加工される対象物であり、典型的には、脆性を有し、強度が低い材料から成る部材であるが、前述したような、可撓性を有し、強度が高い材料(例えば、プラスチックフィルム等の樹脂)であっても良い。加工の際に、薄膜部材7には、例えば、エッチング、スパッタリング、パターニング等の処理や、加工装置間搬送等の処理が行われる。
薄膜部材7の材料の具体例には、ガラス、金属、樹脂等が挙げられるが、典型的にはガラスが挙げられる。薄膜部材7の厚さは、一般に0.1mm以上、2.0mm以下、好ましくは0.2mm以上、1.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上、0.5mm以下である。薄膜部材7の厚さが0.1mm未満では支持部材8から分離される際に破損する可能性が高くなり、厚さが2.0mmを超えるような薄膜部材は単独でも破損させることなく加工することができる。
支持部材8は、薄膜部材7の加工に必要な所定の処理が行われる間、薄膜部材7の破損を防止するために補強する部材である。支持部材8は、脆性を有し、強度が低い薄膜部材7を破損させないために剛性、耐熱性、耐薬品性に優れた材料からなることが好ましい。支持部材8の材料の具体例には、ガラス、金属等がある。支持部材8の厚さは、薄膜部材7の厚さより厚いことが好ましいが、一般に、0.1mm以上、5.0mm以下、好ましくは0.4mm以上、2.0mm以下である。
図2(b)は薄膜部材7が支持部材8から剥離された状態を示す。薄膜部材7の加工に必要な所定の処理が終了した後に、要すれば、薄膜部材7と支持部材8の積層体に対して易剥離処理を行う。易剥離処理の具体例は、加熱又は放射線照射を行うことで粘着層の接着力を低減する処理である。その後、薄膜部材7に剥離力、例えば薄膜部材7の表面に対して垂直な方向の脱着力を印加する。そうすると、両面粘着テープは離型層4と粘着層5との間で容易に剥離する。これにより、薄膜部材7は支持部材8から分離される。
図2(c)は両面粘着テープが薄膜部材7及び支持部材8から分離された状態を示す。薄膜部材7の下面には、粘着層2、基材3、離型層4の構成から成る片面粘着テープが残っているが、該片面粘着テープは柔軟性があり、湾曲させて被着面からめくりあげることができる。それゆえ、粘着層2は基材3、離型層4と共に薄膜部材7の下面から容易に剥離され、粘着剤2は薄膜部材7に残存しない。また、粘着層5は支持部材8の上面に残るが、支持部材8を廃棄せずに再利用する場合は、指で剥がしたり、溶剤を用いて拭き取ることにより支持部材8から除去することができる。
粘着層2、5は、薄膜部材7への加工処理が行われる間、薄膜部材7が支持部材8から、ずれたり剥がれ落ちたりすることがないように、薄膜部材7を支持部材8に固定しておくのに適切な接着力を有する粘着剤から形成する。粘着剤としては、従来から加工部品を仮固定する用途に使用されてきた種類のものが好ましく、再剥離性のある種類のものがより好ましく、外部エネルギーの後印加により硬化する性質を有する種類のものがさらに好ましい。薄膜部材7は加工処理が終了した後に支持部材8から分離される必要があり、この状態においては、粘着剤の接着力は、できるだけ弱いこと、あるいは外部エネルギーの後印加により大幅に弱くなることが好ましい。
例えば、図2(a)に示したように、本発明の構成の積層体は、薄膜部材7と支持部材8と固定した直後においては、両面粘着テープの粘着層5は支持部材8と離型層4に接しており、粘着層2は薄膜部材7と基材3に接している。この状態において、粘着層5と支持部材8の界面の接着力、及び、粘着層2と薄膜部材7の界面の接着力は、適度に確保されており、最も接着力が小さい界面は、粘着層5と離型層4の界面となる。これは、典型的に、薄膜部材7及び支持部材8の表面エネルギーが粘着剤2、5の表面エネルギーよりも大きく、離型層4の表面エネルギーが粘着剤2、5の表面エネルギーよりも小さいことに起因する。この場合、粘着層5と離型層4の界面の接着力が極度に小さいと、加工処理中に、この界面において薄膜部材7が支持部材8から分離してしまい、薄膜部材7への加工処理ができなくなる。
従って、薄膜部材7を支持部材8に固定した直後においては、粘着層5の離型層4に対する接着力(X)は、0.02N/25mm以上、0.50N/25mm以下の範囲であることが好ましい。絶対値そのものは小さいが、粘着層5の離型層4に対する接着力(X)として、少なくとも0.02N/25mm以上の接着力があれば、薄膜部材7は、加工処理中や搬送工程中に、支持部材8からずれたり、剥がれ落ちることはなく、支持部材8に固定された状態を維持することができる。また、薄膜部材7の加工処理終了後においては、薄膜部材7に対して垂直方向に脱着力を加え、薄膜部材7側を支持部材8側から粘着層5と離型層4の界面において分離する必要があるため、粘着層5に外部エネルギーの後印加により硬化する性質を有する粘着層を適応し、接着力を大幅に弱めてから分離する方法を採用する場合も含めて想定すると、この段階、いわゆる初期の接着力の上限値は0.50N/25mm以下に留めておくことが好ましい。このように、接着力の上限値を必要以上に高くしておかないことにより、加工処理終了後に薄膜部材7側を支持部材8側から粘着層5と離型層4の界面においてより容易に分離しやすくなる。
また、薄膜部材7への加工処理終了後に、薄膜部材7に対して垂直方向に脱着力を加え、薄膜部材7側を支持部材8側から粘着層5と離型層4の界面において分離する状態においては、最も接着力が小さい界面は、やはり、粘着層5と離型層4の界面となる。粘着層5の離型層4に対する接着力(Y)は、0.01N/25mm以上、0.10N/25mm以下の範囲であることが好ましく、0.01N/25mm以上、0.05N/25mm以下の範囲であることがより好ましい。粘着層5の離型層4に対する接着力(Y)を上記範囲とするには、粘着層5に外部エネルギーの後印加により硬化する性質を有する粘着層を適用することが好ましい。すなわち、上述した、薄膜部材7を支持部材8に固定した直後における粘着層5の離型層4に対する上記接着力(X)が、たとえ0.10N/25mmを超えるような場合であっても、加工処理終了後に、粘着層5に外部エネルギーを後印加することにより粘着層5を硬化させることができるため、粘着層5の離型層4に対する上記接着力(Y)を0.10N/25mm以下に低減することができる。上記接着力(Y)を上記範囲とすることにより、薄膜部材7を破損することなく、薄膜部材7側を支持部材8側から、粘着層5と離型層4の界面において、垂直方向に分離することができる。上記接着力(Y)が0.10N/25mmを超えると、加工処理終了後に薄膜部材7側を支持部材8側から垂直方向に分離する際に、薄膜部材7に折れや欠け、割れ等の損傷を与えるおそれがある。
薄膜部材7への加工処理が終了し、先ず、離型層4と粘着層5との間で薄膜部材7側と支持部材8側とに分離された後は、例えば、図2(b)に示したように、薄膜部材7の加工処理面側とは反対面側には、粘着層2、基材3、離型層4の構成から成る可撓性のある片面粘着テープ(図2(b)の粘着テープ中間体10に相当)が残る。すなわち、最終的に加工処理された薄膜部材7を得るためには、上記可撓性のある片面粘着テープをゆっくりと例えば90°ピール方向に薄膜部材7から剥離する必要がある。上記片面粘着テープを薄膜部材7を破損させずに、且つ粘着剤残り(糊残り)することなく容易に剥離するためには、剥離する状態においては、上記粘着層2の薄膜部材7に対する接着力(Z)は、0.03N/25mm以上、1.00N/25mm未満の範囲であることが好ましく、0.03N/25mm以上、0.50N/25mm未満の範囲であることがより好ましい。粘着層2の薄膜部材7に対する接着力(Z)を上記範囲とするには、粘着層2に外部エネルギーの後印加により硬化する性質を有する粘着層を適用することが好ましい。上記接着力(Z)を上記範囲とすることにより、薄膜部材7を破損することなく、且つ糊残りすることなく、上記片面粘着テープを薄膜部材7から90°ピール方向に剥離することができる。上記接着力(Z)が1.00N/25mmを超えると、片面粘着テープを薄膜部材7から剥離する際に、薄膜部材7が破損するおそれがある。
薄膜部材7を支持部材8に固定した直後における、上記の粘着層5の離形層4に対する「接着力(X)」は、上記両面粘着テープの粘着層2をPETフィルムで裏打ちし、23℃において、その反対面の粘着層5を支持部材8に貼り付け、2kgローラーで一往復圧着して作製した試験片を用いて、23℃において、支持部材8を固定した状態で剥離速度300mm/分の剥離速度で90度の角度で、離形層4側を粘着層5から剥離した際の90度ピール接着力を意味する。
また、薄膜部材7側を支持部材8側から分離する状態における、上記の粘着層5の離形層4に対する「接着力(Y)」は、基本的には「接着力(X)」と同様の90度ピール接着力を意味する。ただし、薄膜部材7側を支持部材8側から分離する際に、必要に応じて粘着層に外部エネルギーを印加する場合は、上記試験片に外部エネルギーを印加した後に剥離した際の90度ピール接着力を意味する。
更に、上記片面粘着テープを薄膜部材7から剥離する状態における、上記の粘着層2の薄膜部材7に対する「粘着力(Z)」は、上記両面粘着テープの粘着層5を剥離した状態の上記片面粘着テープの粘着層2を薄膜部材7に貼り付け、23℃において、2kgローラーで一往復圧着して作製したテープ試験片を、23℃において、薄膜部材7を固定した状態で剥離速度300mm/分の剥離速度で90度の角度で、粘着層2側を薄膜部材7から剥離した際の90度ピール接着力を意味する。ただし、上記片面粘着テープを薄膜部材7から剥離する際に、必要に応じて粘着層に外部エネルギーを印加する場合は、上記試験片に外部エネルギーを印加した後に剥離した際の90度ピール接着力を意味する。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。但し、実施例1、2、4~9は参考例である。
<樹脂組成物の調製>
1.粘着剤
(1)粘着剤組成物A
シリコーン系粘着剤(信越化学製「KR-3704」(商品名))100質量部、白金触媒(信越化学製「CAT-PL-50T」(商品名))0.5質量部を混合した後、固形分濃度40質量%となるようにトルエンにより希釈し、シリコーン粘着剤組成物Aを得た。
(2)粘着剤組成物B
ラジカル重合性アクリル系粘着剤(日本合成化学製「N-4498」(商品名))100質量部、イソシアネート架橋剤(東ソー株式会社製「L-55E」(商品名))1.0質量部、熱重合開始剤(大塚化学製MAIB)0.5質量部を混合した後、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルにより希釈し、熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bを得た。
(3)粘着剤組成物C
ラジカル重合性アクリル系粘着剤(日本合成化学製「N-4498」(商品名))100質量部、イソシアネート架橋剤(東ソー株式会社製「L-55E」(商品名))1.0質量部、光重合開始剤(BASF製「Irg819」(商品名))0.5質量部を混合した後、固形分濃度が35質量%となるように酢酸エチルにより希釈し、放射線硬化型アクリル粘着剤組成物Cを得た。
(4)粘着剤組成物D
アクリル粘着剤(綜研化学製「SKダイン1495」(商品名))100質量部、イソシアネート系架橋剤(綜研化学製「L-45」(商品名))1.0質量部を混合した後、固形分30質量%となるように酢酸エチルにより希釈し、アクリル粘着剤組成物Dを得た。
2.剥離剤
(1)剥離剤組成物a
シリコーン系剥離剤(東レ・ダウコーニング製「LTC-752」(商品名))100質量部、白金触媒(東レダウコーニング製NC-25」(商品名))0.5質量部を混合した後、固形分1質量%になるようにトルエンにより希釈し、シリコーン系剥離剤組成物aを得た。
(2)剥離剤組成物b
フッ素系剥離剤(東レ・ダウコーニング製「BY24-900」(商品名))100質量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング製NC-25」(商品名))0.6質量部を混合した後、固形分1質量%になるようにイソオクタンにより希釈し、フッ素系剥離剤組成物bを得た。
(3)剥離剤組成物c
非シリコーン系剥離剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカル製「ピーロイル1070」(商品名))を固形分1質量%になるようにトルエンにより希釈し、非シリコーン系剥離剤組成物cを得た。
[実施例1]
<両面粘着テープの作製>
図3(a)は実施例の粘着テープ中間体の層構成を示す断面図である。PETフィルム(厚さ:38μm)から成る基材層3の一方の表面に、シリコーン系剥離剤組成物a(dry厚さ:0.2μm)を塗工し、溶剤を乾燥させ、離型層4を形成した。基材層3のもう一方の表面に、シリコーン粘着剤組成物A(dry厚さ:10μm)を塗工し、溶剤を乾燥させ、粘着層A2を形成した。この粘着層A2の表面に剥離ライナー1を貼り合せ、粘着テープ中間体10を作製した。
図3(b)は実施例の両面粘着テープの層構成を示す断面図である。剥離ライナー6に、熱硬化型アクリル粘着剤組成物B(厚さ:dry20μm)を塗工し、溶剤を乾燥させ、粘着層B5を形成した。この粘着層B5の表面を粘着テープ中間体10の離型層4の表面に貼り合せて、両面粘着テープ20を得た。
<薄膜部材と支持部材との積層体の作製および評価>
図5は、両面粘着テープ20を使用して、薄膜部材としての薄膜基板ガラス30と支持部材としての補強用基盤ガラス31とを貼着した積層体について、垂直剥離試験を行うために補強用基盤ガラス31側を、エポキシ2液ガラス用接着剤40を用いてステンレス板50の上に取り付けた状態を示す断面図である。薄膜基板ガラス30は縦45mm×横45mm、補強用基盤ガラスは縦50mm×横50mm、両面粘着テープ20は縦40mm×横40mm、ステンレス板50は100mm×100mmの大きさとした。薄膜基板ガラス30の厚さは、薄膜基板を想定し、0.4mmとした。また、補強用基盤ガラス31の厚さは、補強用基盤を想定し、2.0mmとした。両面粘着テープ20を用いて、粘着層A2が薄膜基板ガラス30、粘着層B5が補強用基盤ガラス31に接するように、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。次いで、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体に対して、外部エネルギーの印加処理として、150℃で1時間の加熱処理を行った。
薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体を室温に冷却した後、補強用基盤ガラス31を、エポキシ2液ガラス用接着剤40を用いてステンレス板50の上に貼り合わせて固定し、垂直剥離試験用の試験片を作製した。
作製した試験片のステンレス板50を固定し、薄膜基板ガラス30の上面中央に吸着パッドを取り付け、吸着パッドを手の指で持って薄膜基板ガラス30に対して上垂直方向にゆっくりと脱着力を加え、薄膜基板ガラス30を補強用基盤ガラス31から引き剥がした。実施例1の両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。
分離された薄膜基板ガラス30の下面には、粘着層A2、基材3、離型層4から構成される粘着テープ中間体10が接着している。次いで、この粘着テープ中間体10を、90°方向に300mm/minの速度で引き離した。実施例1の粘着テープ中間体10は、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離し、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
なお、両面粘着テープの離型層4と粘着層B5の間の剥離性は、以下の基準に基づいて評価した。
<垂直剥離性評価基準>
ガラス板積層体試験体数N=10とし、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を両面粘着テープ20で貼り合せ、上記の方法により垂直方向に引き離した際に、薄膜基板ガラス30の破損状態を確認し、薄膜基板ガラス30が破損せずに分離できた場合を良品とし、以下の基準で評価した。
(◎)良品率:100%(N=10の内、NG数が0)
(○)良品率:70%~90%(N=10の内、NG数が1~3)
(△)良品率:10~60%(N=10の内、NG数が4~9)
(×)良品率:0%(N=10の内、NG数が10)
薄膜基板ガラス30の良品率が70%以上の(◎)(○)の評価となるものを、実用上、垂直剥離が可能な積層体とした。
[実施例2]
熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bの代わりに放射線硬化型アクリル粘着剤組成物Cを使用して粘着層B5を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。加熱処理の代わりに紫外線照射(積算光量300mJ/cm)すること以外は実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例2の粘着テープ中間体10は、実施例1と同様に剥離したところ、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離することができ、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
[実施例3]
シリコーン粘着剤組成物Aの代わりに放射線硬化型アクリル粘着剤組成物Cを使用して粘着層A2を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。次いで、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例3の粘着テープ中間体10に対して、更に紫外線を照射(積算光量300mJ/cm)し、粘着層A2を硬化させた後、実施例1と同様に剥離したところ、実施例3の粘着テープ中間体10は、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離し、薄膜基板ガラス30の破損及び糊残りの発生は見られなかった。
[実施例4]
シリコーン粘着剤組成物Aの代わりに熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bを使用して粘着層A2を形成し、熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bの代わりに放射線硬化型アクリル粘着剤組成物Cを使用して粘着層B5を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。加熱処理の代わりに紫外線照射(積算光量300mJ/cm)すること以外は実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例4の粘着テープ中間体10に対して、更に加熱処理(150℃、1時間)を施して、粘着層A2を硬化させた後、実施例1と同様に剥離したところ、実施例3の粘着テープ中間体10は、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離し、薄膜基板ガラス30の破損及び糊残りの発生は見られなかった。
[実施例5]
シリコーン粘着剤組成物Aの代わりに放射線硬化型アクリル粘着剤組成物Cを使用して粘着層A2を形成し、熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bの代わりにアクリル粘着剤組成物Dを使用して粘着層B5を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。加熱処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、一部の薄膜基板ガラス30が破損したが、殆どの両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。薄膜基板ガラス30の良品率は90%であった。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例5の粘着テープ中間体10に対して、更に紫外線を照射(積算光量300mJ/cm)し、粘着層A2を硬化させた後、実施例1と同様に剥離したところ、実施例5の粘着テープ中間体10は、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離し、薄膜基板ガラス30の破損及び糊残りの発生は見られなかった。
[実施例6]
シリコーン系剥離剤組成物aの代わりにフッ素剥離剤組成物bを使用して離型層4を形成し、シリコーン粘着剤組成物Aの代わりにアクリル粘着剤組成物Dを使用して粘着層A2を形成し、熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bの代わりにシリコーン粘着剤組成物Aを使用して粘着層B5を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。加熱処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、一部の薄膜基板ガラス30が破損したが、殆どの両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。薄膜基板ガラス30の良品率は90%以上であった。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例6の粘着テープ中間体10は、実施例1と同様に剥離したところ、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離することができ、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
[実施例7]
シリコーン系剥離剤組成物aの代わりに非シリコーン系剥離剤組成物cを使用して離型層4を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。次いで、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、一部の薄膜基板ガラス30が破損したが、殆どの両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。薄膜基板ガラス30の良品率は80%であった。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例7の粘着テープ中間体10は、実施例1と同様に剥離したところ、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離することができ、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
[実施例8]
シリコーン系剥離剤組成物aの代わりにフッ素系剥離剤組成物bを使用して離型層4を形成すること以外は実施例1と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。次いで、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30の破損は見られなかった。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例8の粘着テープ中間体10は、実施例1と同様に剥離したところ、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離することができ、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
[実施例9]
シリコーン系剥離剤組成物aの代わりに非シリコーン系剥離剤組成物cを使用して離型層4を形成すること以外は実施例5と同様にして両面粘着テープ20を作製し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を貼着し、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製した。次いで、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31の積層体の垂直剥離試験を行った。その結果、一部の薄膜基板ガラス30が破損したが、殆どの両面粘着テープは離型層4と粘着層B5との間で剥離し、薄膜基板ガラス30は補強用基盤ガラス31から破損せずに分離された。薄膜基板ガラス30の良品率は70%であった。
また、薄膜基板ガラス30の下面に残った実施例9の粘着テープ中間体10は、実施例1と同様に剥離したところ、粘着層A2と薄膜基板ガラス30の間で剥離することができ、薄膜基板ガラス30の破損及び表面の糊残りの発生は見られなかった。
[比較例1]
図4(a)は比較例の粘着テープ中間体の層構成を示す断面図である。図4(b)は比較例の両面粘着テープの層構成を示す断面図である。基材層3に離型層4を形成しないこと以外は実施例1と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
[比較例2]
基材層3に離型層4を形成しないこと以外は実施例2と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例2と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
[比較例3]
基材層3に離型層4を形成しないこと以外は実施例3と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例3と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
[比較例4]
基材層3に離型層4を形成しないこと以外は実施例4と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例4と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
[比較例5]
基材層3に離型層4を形成しないこと以外は実施例5と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例5と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
[比較例6]
基材層3に離型層4を形成しないこと、シリコーン粘着剤組成物Aの代わりにアクリル粘着剤組成物Dを使用して粘着層A2を形成し、熱硬化型アクリル粘着剤組成物Bの代わりにシリコーン粘着剤組成物Aを使用して粘着層B5を形成すること以外は実施例1と同様にして粘着テープ中間体11を作製し、両面粘着テープ21を作製した。得られた両面粘着テープ21を用いて、実施例1と同様にして薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31との積層体を作製し、垂直剥離試験を行ったところ、薄膜基板ガラス30と補強用基盤ガラス31を垂直方向に分離しようとした際に、試験体数N=10の全ての薄膜基板ガラス30が破損した。
実施例及び比較例の積層体の粘着テープに使用した樹脂組成物の種類及び積層体の垂直剥離試験の評価結果を表1~4に総括した。
[表1]
Figure 0007139141000001
[表2]
Figure 0007139141000002
[表3]
Figure 0007139141000003
[表4]
Figure 0007139141000004
本発明によれば、実質的に変形させることができない薄膜部材への加工処理時には薄膜部材と支持部材との間において、薄膜部材が支持部材からずれたり剥がれ落ちたりすることがない適切な密着力を有し、薄膜部材への加工処理後には薄膜部材を支持部材から破損および糊残りすることなく容易に分離することができる両面粘着テープ、及び薄膜部材と支持部材との積層体、及びその積層体の製造方法を提供することができる。なお、本実施例では、薄膜部材として、脆性を有し、強度の低い薄膜ガラスを適用した場合を例示したが、本発明は、実質的に変形させることができる材料から形成される部材の上に実質的に変形させることができない加工処理された部材が形成されている場合(例えば、プラスチックフィルム上に薄膜電極等が形成された部材)においても、適用できる。
1、6…剥離ライナー、
2、A2、5、B5…粘着層、
3…基材、
4…離型層、
7…薄膜部材、
8…支持部材。

Claims (9)

  1. 第1の表面及び第2の表面を有する基材と、第1の表面及び第2の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層と、該基材のいずれか1つの表面から該表面上方に位置する粘着層までの間に設けられた、該粘着層に隣接する離型層とを、有する両面粘着テープであって、
    該離型層に隣接する粘着層は、活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び熱重合開始剤を主成分とする熱硬化性粘着剤を含んで成るものであり、
    該基材の前記離型層に隣接する粘着層とは異なる側の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層は、活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び熱重合開始剤を主成分とする熱硬化性粘着剤、及び活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び光重合開始剤を主成分とする光感応性粘着剤から成る群から選択される粘着剤を含んで成るものである、両面粘着テープ。
  2. 前記離型層に隣接する粘着層は、熱の後印加により硬化する性質を有する粘着層である、請求項1に記載の両面粘着テープ。
  3. 前記離型層は、シリコーン系剥離剤及びフッ素系剥離剤から成る群から選択される剥離剤を含んで成るものである請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
  4. 第1の部材を第2の部材に仮固定するために使用され、該2つの部材は実質的に変形させることができない材料から形成されたものである請求項1~のいずれか一項に記載の両面粘着テープ。
  5. 前記材料の少なくとも一つはガラスである請求項に記載の両面粘着テープ。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の両面粘着テープと、該両面粘着テープの粘着層の表面に設けられた剥離ライナーとを有する両面粘着テープ製品。
  7. 支持部材と、
    該支持部材に積層された第1の表面及び第2の表面を有する基材と、第1の表面及び第2の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層と、該基材のいずれか1つの表面から該表面上方に位置する粘着層までの間に設けられた、該粘着層に隣接する離型層とを、有する両面粘着テープと、
    該両面粘着テープに積層された実質的に変形させることができない薄膜部材とを、
    有する積層体であって、
    該離型層に隣接する粘着層は、活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び熱重合開始剤を主成分とする熱硬化性粘着剤を含んで成るものであり、
    該基材の前記離型層に隣接する粘着層とは異なる側の表面の上方かつ最上部に位置する粘着層は、活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び熱重合開始剤を主成分とする熱硬化性粘着剤、及び活性官能基を有するアクリル系粘着性高分子、熱架橋剤及び光重合開始剤を主成分とする光感応性粘着剤から成る群から選択される粘着剤を含んで成るものである、積層体。
  8. 前記両面粘着テープが請求項2~のいずれか一項に記載の両面粘着テープである請求項に記載の積層体。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載の両面粘着テープにより、実質的に変形させることができない薄膜部材と支持部材とを貼り合わせる工程を包含する、薄膜部材と支持部材との積層体の製造方法。
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