JP3549173B2 - ウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハなどの加工時に使用される、ウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類に関する。ここで、加工は、半導体ウエハのパタ―ン面の反対面(裏面)を研磨することや、半導体ウエハを所定のサイズにダイシングすることなどであり、前者ではパタ―ン面に粘着シ―ト類を貼り付けてパタ―ン面を保護し、後者では背面に貼り付けてダイシング時の固定を行うものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハは、近年ますます大型化、薄板化している。その理由は、大型化に関しては、1ウエハからのチツプの取り数を多くするためであり、また薄板化に関しては、封止チツプを組み入れる電子機器の小型化のためであり、研磨後のウエハ厚みは、100μmから500μm程度である。
【0003】
このように半導体ウエハを薄く研磨すると、ウエハから加工用粘着シ―トを剥離する際にウエハが割れやすくなる。また、半導体ウエハをダイシングしたのちのチツプのサイズは、0.2〜30mm□であるが、このサイズが大きくなると、加工用粘着シ―トから剥離しにくくなり、ピツクアツプ時にうまくとれなかつたり、チツプに傷が入るなどの不良が発生する。
【0004】
このような剥離時の問題に対して、従来では、加工用粘着シ―トの粘着力を低く設定したり、放射線硬化型粘着剤を使用して、剥離前に放射線照射により粘着力を低減させるなどして、半導体ウエハの研磨やダイシングなどの加工後に粘着シ―トを容易に剥離できるように工夫している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の工夫では、半導体ウエハの表面の種々の材質(シリコ─ン、ポリイミド、アルミなど)や形状により、粘着力が異なるため、剥離性が変化し、ある種の半導体ウエハでは剥がれやすいが、別の種類の半導体ウエハでは剥がれにくいといつた問題があり、ウエハ加工用シ―トを使い分けする必要があつた。また、貼り付け後に粘着力が増加し、剥がす際に強固に付いているため、剥離が困難となるという問題もあつた。
【0006】
一方、上記従来のように粘着力を低く設定すると、裏面の研磨時に粘着シ―トが剥がれてしまい、ウエハの研磨屑などでパタ―ン面が汚れて不良となつたり、ひどい場合はウエハが割れるおそれがあり、またダイシング時にはダイシングの衝撃でチツプが飛散することもあつた。さらに、放射線硬化型粘着剤を用いたものでは、放射線を照射する前は粘着力が高いため、粘着シ―トの貼り付けミスが生じた場合に貼り替えができないか、できても硬化していない粘着剤がウエハ上に残り、元どおりの再生が難しいという問題があつた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエハ加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、容易に剥離できるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定の単量体構成からなるアクリル系共重合体を用い、これを特定のゲル分率となるまで架橋構造化したときに、ウエハ加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、容易に剥離できる、とくに1〜20m/分程度の実用的な剥離速度で安定に剥離できるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記のa〜c成分またはこれとd成分;
a)一般式(1):CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体50〜89重量%
(式中、R3 は水素またはメチル基、R4 ,R5 は水素またはアルキル基であるか、または両者が結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド30〜10重量%
c)カルボキシル基含有単量体またはその無水物10〜1重量%
d)上記のa〜c成分と共重合可能な単量体20〜0重量%
からなる単量体混合物の共重合体を主成分とし、ゲル分率が80%以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着剤と、このウエハ加工用粘着剤からなる層を基材の片面に有することを特徴とする粘着シ―ト類とに係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるa成分としてのアクリル系単量体は、たとえば、一般式(1)中のR2 がブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などのアルキル基からなるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルが挙げられる。R2 の炭素数が2未満では、粘着剤の濡れ性が低下して、貼り付け直後の初期粘着力が不足し、研磨時やダイシング時に粘着シ―トが剥離するなどの問題がある。また、R2 の炭素数が14を超えると、粘着力に劣りやすい。
【0011】
このa成分としてのアクリル系単量体は、単量体全体量の50〜89重量%、好ましくは60〜80重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。50重量%未満では、アクリル系粘着剤としての性能を発揮できず、また89重量%を超えると、そのぶん後述するb,c成分の絶対量が不足し、目的とする研磨やダイシングなどの加工時のウエハ保持性と加工後の剥離性にともにすぐれるウエハ加工用粘着シ―ト類が得られない。
【0012】
本発明におけるb成分としてのN−置換(メタ)アクリルアミドには、一般式(2)中のR4 ,R5 が水素またはアルキル基(ただし、R4 ,R5 の少なくとも一方はアルキル基)である非環状の(メタ)アクリルアミドと、同R4 ,R5 が結合しこれとN原子とで複素環を構成する環状の(メタ)アクリルアミドとが含まれ、使用目的に応じて、そのいずれか一方または両方が用いられる。
【0013】
非環状の(メタ)アクリルアミドには、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどがある。また、環状の(メタ)アクリルアミドとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドンなどがある。
【0014】
このb成分としてのN−置換(メタ)アクリルアミドは、単量体全体量の30〜10重量%、好ましくは25〜13重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。30重量%を超えると、粘着剤の濡れ性が低下して、初期粘着力が不足しやすく、また10重量%未満となると、実用的な剥離速度のもとでの剥離性が十分に得られにくい。
【0015】
本発明におけるc成分としてのカルボキシル基含有単量体またはその無水物としては、たとえば、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などや、無水フマル酸などが挙げられ、使用目的に応じて、その1種または2種以上が適宜選択使用される。使用量は、単量体全体量の10〜1重量%、好ましくは8〜2重量%の範囲とするのがよい。10重量%を超えると、初期粘着力に劣り、また1重量%未満となると、凝集力が不足しやすい。
【0016】
本発明におけるd成分としての単量体は、a〜c成分の単量体と共重合可能なものであればよく、たとえば、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。このd成分は、必要により、単量体全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。20重量%を超えると、アクリル系粘着剤としての粘着特性を発現しにくい。
【0017】
本発明のアクリル系共重合体は、上記のa〜c三成分またはこれとd成分からなる単量体混合物を、常法により、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの方法で共重合させることにより、得ることができる。
【0018】
本発明のウエハ加工用粘着剤は、上記のアクリル系共重合体を主成分とし、ゲル分率が80%以上、好ましくは85%以上(理想的には100%まで)となるまで架橋構造化したものである。ゲル分率が80%未満では、粘着力が高くなりすぎて、加工後の剥離性に難があり、またウエハ加工用粘着シ―トとして致命的である剥離後の被着体への糊残りという問題がある。
【0019】
なお、ゲル分率とは、約500mgの粘着剤を試料として用意し、これを、ソツクスレ―抽出器を用いて、アセトン中で50℃、4時間抽出するか、あるいはトルエン中に室温で2日間浸漬したのち、130℃で1時間乾燥後、粘着剤の初期重量(G0 )と不溶分重量(Gt )とから、〔Gt /G0 〕×100(%)として、計算される値である。
【0020】
粘着剤の架橋構造化は、アクリル系重合体を得る際に内部架橋剤として多官能(メタ)アクリレ―トなどを添加するか、あるいはアクリル系重合体を得たのちに外部架橋剤として多官能のエポキシ系化合物やイソシアネ―ト系化合物などを添加することにより実施できる。その他、放射線照射による架橋処理を施してもよい。好ましくは、多官能性エポキシ化合物や多官能性イソシアネ―ト化合物が使用される。ここでいう多官能性とは2官能性以上のことである。
【0021】
多官能性エポキシ化合物は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するもので、ソルビト―ルテトラグリシジルエ―テル、トリメチロ―ルプロパングリシジルエ―テル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフエノ―ルなどがある。多官能性イソシアネ―ト化合物は、分子中に2個以上のイソシアネ―ト基を有するもので、ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、トリレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―トなどがある。
【0022】
これらの架橋剤は、アクリル系共重合体の組成や分子量などに応じて、粘着剤のゲル分率が前記範囲となる使用割合で、その1種または2種以上が用いられる。その際、反応を促進させるために、粘着剤に通常用いられるジブチルスズラウレ―トなどの架橋触媒を加えるようにしてもよい。
【0023】
本発明のウエハ加工用粘着シ―ト類は、このような粘着剤からなる層を基材の片面に設けてシ―ト状やテ―プ状などの形態としたもので、粘着剤の保護のためにその上に剥離フイルムを積層しておくのが望ましい。粘着剤層の厚さは、5〜100μm、好ましくは10〜40μm程度である。
【0024】
基材としては、ポリオレフイン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などのプラスチツクフイルムや、金属箔などが用いられる。これらの基材は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよく、また片面または両面にコロナ処理などの表面処理を施したものであつてもよい。この基材の厚さとしては、50〜300μm、好ましくは70〜200μm程度であるのがよい。
【0025】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
【0026】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル77部、N−アクリロイルモルホリン20部、アクリル酸3部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.15部、酢酸エチル100部を入れ、60℃で12時間重合して、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン3部を加えて、混合したのち、厚さが140μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、剥離フイルム上に塗布し乾燥して、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて本文詳記の方法にて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0027】
実施例2
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル73部、アクリル酸n−ブチル10部、N,N−ジメチルアクリルアミド15部およびアクリル酸5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン2部を加えて、混合したのち、実施例1と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0028】
実施例3
単量体組成を、アクリル酸n−ブチル75部、N−イソプロピルアクリルアミド23部およびアクリル酸2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン3部を加えて、混合したのち、厚さが100μmのポリエステルフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが35μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0029】
実施例4
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル67部、アクリル酸n−ブチル10部、N−アクリロイルモルホリン18部、アクリル酸5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部およびトリレンジイソシアネ―ト5部を加えて、混合したのち、厚さが130μmのポリエチレンフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが20μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0030】
比較例1
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル87部、N−アクリロイルモルホリン8部およびアクリル酸5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン1部を加えて、混合したのち、実施例1と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0031】
比較例2
単量体組成を、アクリル酸n−ブチル69部、N−イソプロピルアクリルアミド30部およびアクリル酸1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部およびトリレンジイソシアネ―ト3部を加えて、混合したのち、実施例3と同様のポリエステルフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが35μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0032】
以上の実施例1〜4および比較例1,2で作製したウエハ加工用粘着テ―プにつき、以下の要領で、保持力試験、剥離性試験および機械剥離性試験を行つた。これらの結果と各例で測定した粘着剤のゲル分率を、表1に示した。
【0033】
<保持力試験>
粘着テ―プを裁断して20mm×100mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を被着体(シリコンウエハ)に2Kgのロ―ラを1往復させる方法で圧着して貼り付けた。貼り付け30分後に、23℃,65%RHの雰囲気下、低速(0.1m/分)の引張速度で剥離力を測定し、これをウエハ保持力とした。この値が大きい方がウエハの保持性(密着性)が高いことを示している。
【0034】
<剥離性試験>
保持力試験と同様に作製した試験片を被着体(シリコンウエハ、ポリイミドコ─トウエハ)に2Kgのロ―ラを1往復させる方法で圧着して貼り付けた。貼り付け30分後(初期)および40℃で7日間保存後(保存後)、23℃,65%RHの雰囲気下、高速(10m/分)の引張速度で実用剥離力を測定し、これをウエハ剥離性の指標とした。この値が小さい方がウエハを簡単に剥離できることを示している。なお、表中、「A」は被着体がシリコンウエハの場合、「B」は被着体がポリイミドコ─トウエハの場合である。
【0035】
<機械剥離性試験>
粘着テ―プをシリコンウエハ全面に貼り付け、40℃で7日間保存したのち、シ―ト剥離用機械により、粘着シ―トを貼つた100枚のシリコンウエハを機械にかけて、剥離の成功数をカウントし、成功率(%)を求めた。
【0036】
【0037】
表1の結果より、本発明の実施例1〜4のウエハ加工用粘着シ―トは、保持力試験で貼り替え可能な適度な粘着力を有して、満足できるウエハ保持性を示し、しかも剥離性試験では実用的な剥離速度での剥離が軽く、とくにウエハの種類による剥離力の変化が小さく、経時での剥離力の上昇が小さくなつているように、すぐれた剥離性を示し、機械剥離性試験でも失敗なく剥離できることがわかる。これに対し、比較例1,2のウエハ加工用粘着シ―トは、保持力試験と剥離性試験との両立が難しく、とくに比較例1ではウエハの種類による剥離力の変化が大きく、また経時での剥離力の上昇も大きく、比較例2では剥離が全体に重く、機械剥離性試験での失敗がいずれも高くなつている。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、半導体ウエハなどの研磨、ダイシングなどの加工用途に対し、加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、非常に容易に剥離しうるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハなどの加工時に使用される、ウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類に関する。ここで、加工は、半導体ウエハのパタ―ン面の反対面(裏面)を研磨することや、半導体ウエハを所定のサイズにダイシングすることなどであり、前者ではパタ―ン面に粘着シ―ト類を貼り付けてパタ―ン面を保護し、後者では背面に貼り付けてダイシング時の固定を行うものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハは、近年ますます大型化、薄板化している。その理由は、大型化に関しては、1ウエハからのチツプの取り数を多くするためであり、また薄板化に関しては、封止チツプを組み入れる電子機器の小型化のためであり、研磨後のウエハ厚みは、100μmから500μm程度である。
【0003】
このように半導体ウエハを薄く研磨すると、ウエハから加工用粘着シ―トを剥離する際にウエハが割れやすくなる。また、半導体ウエハをダイシングしたのちのチツプのサイズは、0.2〜30mm□であるが、このサイズが大きくなると、加工用粘着シ―トから剥離しにくくなり、ピツクアツプ時にうまくとれなかつたり、チツプに傷が入るなどの不良が発生する。
【0004】
このような剥離時の問題に対して、従来では、加工用粘着シ―トの粘着力を低く設定したり、放射線硬化型粘着剤を使用して、剥離前に放射線照射により粘着力を低減させるなどして、半導体ウエハの研磨やダイシングなどの加工後に粘着シ―トを容易に剥離できるように工夫している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の工夫では、半導体ウエハの表面の種々の材質(シリコ─ン、ポリイミド、アルミなど)や形状により、粘着力が異なるため、剥離性が変化し、ある種の半導体ウエハでは剥がれやすいが、別の種類の半導体ウエハでは剥がれにくいといつた問題があり、ウエハ加工用シ―トを使い分けする必要があつた。また、貼り付け後に粘着力が増加し、剥がす際に強固に付いているため、剥離が困難となるという問題もあつた。
【0006】
一方、上記従来のように粘着力を低く設定すると、裏面の研磨時に粘着シ―トが剥がれてしまい、ウエハの研磨屑などでパタ―ン面が汚れて不良となつたり、ひどい場合はウエハが割れるおそれがあり、またダイシング時にはダイシングの衝撃でチツプが飛散することもあつた。さらに、放射線硬化型粘着剤を用いたものでは、放射線を照射する前は粘着力が高いため、粘着シ―トの貼り付けミスが生じた場合に貼り替えができないか、できても硬化していない粘着剤がウエハ上に残り、元どおりの再生が難しいという問題があつた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエハ加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、容易に剥離できるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定の単量体構成からなるアクリル系共重合体を用い、これを特定のゲル分率となるまで架橋構造化したときに、ウエハ加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、容易に剥離できる、とくに1〜20m/分程度の実用的な剥離速度で安定に剥離できるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記のa〜c成分またはこれとd成分;
a)一般式(1):CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体50〜89重量%
(式中、R3 は水素またはメチル基、R4 ,R5 は水素またはアルキル基であるか、または両者が結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド30〜10重量%
c)カルボキシル基含有単量体またはその無水物10〜1重量%
d)上記のa〜c成分と共重合可能な単量体20〜0重量%
からなる単量体混合物の共重合体を主成分とし、ゲル分率が80%以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着剤と、このウエハ加工用粘着剤からなる層を基材の片面に有することを特徴とする粘着シ―ト類とに係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるa成分としてのアクリル系単量体は、たとえば、一般式(1)中のR2 がブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などのアルキル基からなるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルが挙げられる。R2 の炭素数が2未満では、粘着剤の濡れ性が低下して、貼り付け直後の初期粘着力が不足し、研磨時やダイシング時に粘着シ―トが剥離するなどの問題がある。また、R2 の炭素数が14を超えると、粘着力に劣りやすい。
【0011】
このa成分としてのアクリル系単量体は、単量体全体量の50〜89重量%、好ましくは60〜80重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。50重量%未満では、アクリル系粘着剤としての性能を発揮できず、また89重量%を超えると、そのぶん後述するb,c成分の絶対量が不足し、目的とする研磨やダイシングなどの加工時のウエハ保持性と加工後の剥離性にともにすぐれるウエハ加工用粘着シ―ト類が得られない。
【0012】
本発明におけるb成分としてのN−置換(メタ)アクリルアミドには、一般式(2)中のR4 ,R5 が水素またはアルキル基(ただし、R4 ,R5 の少なくとも一方はアルキル基)である非環状の(メタ)アクリルアミドと、同R4 ,R5 が結合しこれとN原子とで複素環を構成する環状の(メタ)アクリルアミドとが含まれ、使用目的に応じて、そのいずれか一方または両方が用いられる。
【0013】
非環状の(メタ)アクリルアミドには、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどがある。また、環状の(メタ)アクリルアミドとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドンなどがある。
【0014】
このb成分としてのN−置換(メタ)アクリルアミドは、単量体全体量の30〜10重量%、好ましくは25〜13重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。30重量%を超えると、粘着剤の濡れ性が低下して、初期粘着力が不足しやすく、また10重量%未満となると、実用的な剥離速度のもとでの剥離性が十分に得られにくい。
【0015】
本発明におけるc成分としてのカルボキシル基含有単量体またはその無水物としては、たとえば、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などや、無水フマル酸などが挙げられ、使用目的に応じて、その1種または2種以上が適宜選択使用される。使用量は、単量体全体量の10〜1重量%、好ましくは8〜2重量%の範囲とするのがよい。10重量%を超えると、初期粘着力に劣り、また1重量%未満となると、凝集力が不足しやすい。
【0016】
本発明におけるd成分としての単量体は、a〜c成分の単量体と共重合可能なものであればよく、たとえば、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。このd成分は、必要により、単量体全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。20重量%を超えると、アクリル系粘着剤としての粘着特性を発現しにくい。
【0017】
本発明のアクリル系共重合体は、上記のa〜c三成分またはこれとd成分からなる単量体混合物を、常法により、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などの方法で共重合させることにより、得ることができる。
【0018】
本発明のウエハ加工用粘着剤は、上記のアクリル系共重合体を主成分とし、ゲル分率が80%以上、好ましくは85%以上(理想的には100%まで)となるまで架橋構造化したものである。ゲル分率が80%未満では、粘着力が高くなりすぎて、加工後の剥離性に難があり、またウエハ加工用粘着シ―トとして致命的である剥離後の被着体への糊残りという問題がある。
【0019】
なお、ゲル分率とは、約500mgの粘着剤を試料として用意し、これを、ソツクスレ―抽出器を用いて、アセトン中で50℃、4時間抽出するか、あるいはトルエン中に室温で2日間浸漬したのち、130℃で1時間乾燥後、粘着剤の初期重量(G0 )と不溶分重量(Gt )とから、〔Gt /G0 〕×100(%)として、計算される値である。
【0020】
粘着剤の架橋構造化は、アクリル系重合体を得る際に内部架橋剤として多官能(メタ)アクリレ―トなどを添加するか、あるいはアクリル系重合体を得たのちに外部架橋剤として多官能のエポキシ系化合物やイソシアネ―ト系化合物などを添加することにより実施できる。その他、放射線照射による架橋処理を施してもよい。好ましくは、多官能性エポキシ化合物や多官能性イソシアネ―ト化合物が使用される。ここでいう多官能性とは2官能性以上のことである。
【0021】
多官能性エポキシ化合物は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するもので、ソルビト―ルテトラグリシジルエ―テル、トリメチロ―ルプロパングリシジルエ―テル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフエノ―ルなどがある。多官能性イソシアネ―ト化合物は、分子中に2個以上のイソシアネ―ト基を有するもので、ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、トリレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―トなどがある。
【0022】
これらの架橋剤は、アクリル系共重合体の組成や分子量などに応じて、粘着剤のゲル分率が前記範囲となる使用割合で、その1種または2種以上が用いられる。その際、反応を促進させるために、粘着剤に通常用いられるジブチルスズラウレ―トなどの架橋触媒を加えるようにしてもよい。
【0023】
本発明のウエハ加工用粘着シ―ト類は、このような粘着剤からなる層を基材の片面に設けてシ―ト状やテ―プ状などの形態としたもので、粘着剤の保護のためにその上に剥離フイルムを積層しておくのが望ましい。粘着剤層の厚さは、5〜100μm、好ましくは10〜40μm程度である。
【0024】
基材としては、ポリオレフイン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などのプラスチツクフイルムや、金属箔などが用いられる。これらの基材は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよく、また片面または両面にコロナ処理などの表面処理を施したものであつてもよい。この基材の厚さとしては、50〜300μm、好ましくは70〜200μm程度であるのがよい。
【0025】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
【0026】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル77部、N−アクリロイルモルホリン20部、アクリル酸3部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.15部、酢酸エチル100部を入れ、60℃で12時間重合して、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン3部を加えて、混合したのち、厚さが140μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、剥離フイルム上に塗布し乾燥して、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて本文詳記の方法にて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0027】
実施例2
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル73部、アクリル酸n−ブチル10部、N,N−ジメチルアクリルアミド15部およびアクリル酸5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン2部を加えて、混合したのち、実施例1と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0028】
実施例3
単量体組成を、アクリル酸n−ブチル75部、N−イソプロピルアクリルアミド23部およびアクリル酸2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン3部を加えて、混合したのち、厚さが100μmのポリエステルフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが35μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0029】
実施例4
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル67部、アクリル酸n−ブチル10部、N−アクリロイルモルホリン18部、アクリル酸5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部およびトリレンジイソシアネ―ト5部を加えて、混合したのち、厚さが130μmのポリエチレンフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが20μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0030】
比較例1
単量体組成を、アクリル酸2−エチルヘキシル87部、N−アクリロイルモルホリン8部およびアクリル酸5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン1部を加えて、混合したのち、実施例1と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体フイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが15μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0031】
比較例2
単量体組成を、アクリル酸n−ブチル69部、N−イソプロピルアクリルアミド30部およびアクリル酸1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―溶液に、ポリマ―固形分100部に対して、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部およびトリレンジイソシアネ―ト3部を加えて、混合したのち、実施例3と同様のポリエステルフイルム上に塗布、乾燥して、粘着剤層の厚さが35μmのウエハ加工用粘着テ―プを作製した。また、実施例1と同様にして、ゲル分率測定用のサンプルを作製し、これを用いて粘着剤のゲル分率を測定した。
【0032】
以上の実施例1〜4および比較例1,2で作製したウエハ加工用粘着テ―プにつき、以下の要領で、保持力試験、剥離性試験および機械剥離性試験を行つた。これらの結果と各例で測定した粘着剤のゲル分率を、表1に示した。
【0033】
<保持力試験>
粘着テ―プを裁断して20mm×100mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を被着体(シリコンウエハ)に2Kgのロ―ラを1往復させる方法で圧着して貼り付けた。貼り付け30分後に、23℃,65%RHの雰囲気下、低速(0.1m/分)の引張速度で剥離力を測定し、これをウエハ保持力とした。この値が大きい方がウエハの保持性(密着性)が高いことを示している。
【0034】
<剥離性試験>
保持力試験と同様に作製した試験片を被着体(シリコンウエハ、ポリイミドコ─トウエハ)に2Kgのロ―ラを1往復させる方法で圧着して貼り付けた。貼り付け30分後(初期)および40℃で7日間保存後(保存後)、23℃,65%RHの雰囲気下、高速(10m/分)の引張速度で実用剥離力を測定し、これをウエハ剥離性の指標とした。この値が小さい方がウエハを簡単に剥離できることを示している。なお、表中、「A」は被着体がシリコンウエハの場合、「B」は被着体がポリイミドコ─トウエハの場合である。
【0035】
<機械剥離性試験>
粘着テ―プをシリコンウエハ全面に貼り付け、40℃で7日間保存したのち、シ―ト剥離用機械により、粘着シ―トを貼つた100枚のシリコンウエハを機械にかけて、剥離の成功数をカウントし、成功率(%)を求めた。
【0036】
【0037】
表1の結果より、本発明の実施例1〜4のウエハ加工用粘着シ―トは、保持力試験で貼り替え可能な適度な粘着力を有して、満足できるウエハ保持性を示し、しかも剥離性試験では実用的な剥離速度での剥離が軽く、とくにウエハの種類による剥離力の変化が小さく、経時での剥離力の上昇が小さくなつているように、すぐれた剥離性を示し、機械剥離性試験でも失敗なく剥離できることがわかる。これに対し、比較例1,2のウエハ加工用粘着シ―トは、保持力試験と剥離性試験との両立が難しく、とくに比較例1ではウエハの種類による剥離力の変化が大きく、また経時での剥離力の上昇も大きく、比較例2では剥離が全体に重く、機械剥離性試験での失敗がいずれも高くなつている。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、半導体ウエハなどの研磨、ダイシングなどの加工用途に対し、加工時には貼り替え可能な適度な粘着力を有してウエハを強固に保持でき、加工後にはウエハ表面の材質や形状に影響されずに、また経時での粘着力の増大をみることなく、非常に容易に剥離しうるウエハ加工用粘着剤とその粘着シ―ト類を提供することができる。
Claims (3)
- 下記のa〜c成分またはこれとd成分;
a)一般式(1):CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体50〜89重量%
(式中、R3 は水素またはメチル基、R4 ,R5 は水素またはアルキル基であるか、または両者が結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表されるN−置換(メタ)アクリルアミド30〜10重量%
c)カルボキシル基含有単量体またはその無水物10〜1重量%
d)上記のa〜c成分と共重合可能な単量体20〜0重量%
からなる単量体混合物の共重合体を主成分とし、ゲル分率が80%以上であることを特徴とするウエハ加工用粘着剤。 - 多官能性エポキシ化合物または多官能性イソシアネ―ト化合物により架橋されている請求項1に記載のウエハ加工用粘着剤。
- 基材の片面に請求項1または2に記載のウエハ加工用粘着剤からなる層を有することを特徴とする粘着シ―ト類。
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